【課題を解決するための手段】
【0013】
よって、望ましくないオフサイトターゲティングの影響に特異的に対処できる新しい療法及び/又は新しい治療剤に対する必要性が、当該技術において存在する。この必要性は、上記の問題点の1又は2以上を解決する本発明により対処される。
【0014】
国際公開第02/044199号パンフレットにおいて、Lin, Wei-Jen et al.は、神経毒の結合ドメイン中に血液プロテアーゼ切断部位(すなわち、血液中に存在するプロテアーゼが切断できる部位)を含有し、そのことにより血液プロテアーゼとの接触が神経毒を選択的に不活性化するように改変されたクロストリジウム神経毒を提供することによりこの問題を解決することを試みている。上記の結合ドメイン(H
Cドメインともいう)は、Lin, Wei-Jen, et al.の
図1Bに、アミノ酸残基873から開始する領域として示されている。しかしLin, et al.による上記の解決法は、いくつかの問題点を有し、オフサイトターゲティングの影響の問題を適切に解決しない。この関係において、本発明者らは、結合(H
C)ドメインが除去された(又は不活性化された)クロストリジウム神経毒が、まだ毒性であり、それらの標的ニューロンにてまだ阻害をもたらし得ることを同定した。このことは、本出願の
図1(実施例39を参照されたい)により確認され、この図は、結合(H
C)を欠くクロストリジウム神経毒分子(LHN)によりSNAREタンパク質が切断されることを示している。国際公開第02/044199号パンフレット(Lin, Wei-Jen, et al.)に関連するさらなる欠陥は、記載される技術が、H
C結合ドメインを有するクロストリジウム神経毒分子(すなわち、クロストリジウムホロトキシン分子)に限定されることである。しかし、既に論じたように、非細胞毒性プロテアーゼは、所望の標的細胞についての結合特異性を提供するターゲティング部分(TM)として知られる外因性リガンドを含むように天然プロテアーゼが改変されている再ターゲティングされた形態で用いることができる。よって、再ターゲティングされた非細胞毒性プロテアーゼの関係において、Lin, et al.の開示は、オフサイトターゲティングの影響の問題に対処できていない。
【0015】
本発明は、Lin, et al.の欠陥に対処し、標的でない領域への拡散に伴う望ましくない副作用を低減又は妨げる非細胞毒性プロテアーゼを提供する。これらの及び関連する利点は、神経筋障害、神経障害性障害、眼障害、疼痛、筋肉損傷、頭痛、循環器疾患、精神神経障害、内分泌障害、外分泌障害、喘息及びCOPDなどの粘液分泌関連障害、癌、耳障害並びに多動性の顔のしわ、並びに哺乳類への非細胞毒性プロテアーゼの投与が有益な影響を生じ得るその他の障害の治療(例えば本明細書の2〜3頁に記載される全ての療法)などの、種々の臨床用、治療用及び美容用の用途にとって有用である。
【0016】
より詳細には、本発明の第1の態様は:
a.SNAREタンパク質を切断可能な非細胞毒性プロテアーゼと、
b.哺乳動物細胞のエンドソームの中から、エンドソーム膜を横切って、哺乳動物細胞のサイトゾル中に非細胞毒性プロテアーゼを
転移(translocation)可能な
転移ドメインと、
c.第2プロテアーゼにより切断可能であるが非細胞毒性プロテアーゼにより切断可能でない第1破壊性切断部位と、
d.エンドサイトーシスを受けて、哺乳動物ニューロン内のエンドソーム中に組み込まれることが可能である、哺乳動物ニューロン上に存在する結合部位と結合するターゲティング部分(TM)と
を含むポリペプチドであって、
第2プロテアーゼによるその切断後に、上記のSNAREタンパク質を切断する能力の低下及び/又はエンドソーム膜を横切って上記の非細胞毒性プロテアーゼを
転移させる能力の低下により測定可能な効力の低下を有し、
e.上記の第1破壊性切断部位が、上記のTM内にないことを条件とする
ポリペプチドを提供する。
【0017】
よって、本発明は、制御可能に不活性化され、かつ/又はオフサイトの位置にて破壊され得るポリペプチドを提供する。
【0018】
ある実施形態において、破壊性切断部位は、循環性プロテアーゼ(例えば、血清プロテアーゼ又は血液凝固カスケードのプロテアーゼなどの細胞外プロテアーゼ)、組織関連プロテアーゼ(例えば、筋肉のマトリクスメタロプロテアーゼ(matrix metalloprotease、MMP)などのMMP)、及び細胞内プロテアーゼ(好ましくは、標的細胞に存在しないプロテアーゼ))から選択される第2プロテアーゼ(すなわち破壊性プロテアーゼ)により認識され、切断される。
【0019】
つまり、使用にあたって、本発明のポリペプチドは、その意図する標的細胞から離れて拡散し、且つ/又は標的でない細胞により取り込まれるようになるが、該ポリペプチドは、破壊性切断部位の(第2プロテアーゼによる)切断により不活性化される。
【0020】
ある実施形態において、破壊性切断部位は、オフサイトの細胞タイプ中に存在する第2プロテアーゼにより認識され、切断される。この実施形態において、オフサイト細胞及び標的細胞は、好ましくは異なる細胞タイプである。代わりに(又はそれに加えて)、破壊性切断部位は、オフサイトの位置(例えば標的細胞から遠位)に存在する第2プロテアーゼにより認識され、切断される。よって、破壊性の切断が細胞外で生じる場合、標的細胞とオフサイト細胞とは、同じ又は異なる細胞タイプのいずれかであってよい。この関係において、標的細胞とオフサイト細胞とはそれぞれ、本発明の同じポリペプチドが結合する受容体を有してよい。
【0021】
例えば、神経筋障害を治療する場合に、本発明のポリペプチドは、所望の標的細胞(例えば運動ニューロン)を標的にし、筋肉組織中及び/又は筋肉組織の近傍に存在する第2プロテアーゼにより切断される破壊性プロテアーゼ切断部位を含む。よって、ポリペプチドは、筋肉組織に対して最小限の有害な影響を示し、患者により現在許容可能な用量よりも多い用量で用いることができるので、臨床効力が増進される。
【0022】
本発明の破壊性切断部位は、ポリペプチドがオフサイトの位置中又はオフサイトの位置にある場合に、ポリペプチドの不活性化/破壊をもたらす。この関係において、破壊性切断部位での切断は、(サイトゾルの方向に向けて哺乳動物細胞のエンドソーム膜を横切って)非細胞毒性構成要素を
転移させ、且つ/又はSNAREタンパク質切断をもたらすポリペプチドの固有の能力を(同じ破壊性切断部位を欠くか、又は切断されない形態で同じ破壊性部位を有する同一ポリペプチドと比較した場合に)低減することにより、ポリペプチドの効力を最小限にする。
【0023】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、第2(又は後続の)不活性化/破壊部位を含んでよい。上記の(又は後続の)第2部位は、ポリペプチド内のどの位置にあってもよい(TM構成要素内を含む)。上記の第2(又は後続の)部位は、同じ又は異なるプロテアーゼにより切断され得る。上記の第2(又は後続の)部位は、第1不活性化/破壊部位とは異なるアミノ酸認識配列を有してよく、同じ又は異なるプロテアーゼにより切断されてよい。
【0024】
上記の低減したSNARE切断及び/又は低減した
転移能力は、本発明のポリペプチドを、同一のポリペプチド(同じ破壊性切断部位を欠くか、又は切断されない形態で同じ破壊性部位を有する)と直接比較することにより容易に測定できる。より詳細には、本発明のポリペプチド及び対応する切断されない対応物は、多様な従来の全細胞又は無細胞アッセイのいずれか1つにおいて並行してアッセイしてよい。例えば、実施例1〜4を参照する。上記のアッセイ中に、本発明のポリペプチドは不活性化されるが(破壊性切断部位での切断により)、対応ポリペプチドは、完全な能力を実質的に保持する。よって、本発明の関係において、破壊性切断部位にて切断される場合に、本発明のポリペプチドは、切断されない対応ポリペプチドと比較すると、50%未満若しくは25%未満、10%未満若しくは5%未満、1%未満若しくは0.5%未満、0.1%未満若しくは0.01%未満、又は0.001%未満若しくは0.0001%未満のSNAREタンパク質切断能力及び/又は低減した
転移能力を有する。
【0025】
全細胞アッセイの関係において、低減したSNARE切断及び/又は低減した
転移能力は、哺乳動物細胞における相対的SNAREタンパク質切断を測定することにより決定し得る。これは、哺乳動物細胞のサイトゾルにSNAREタンパク質を
転移し、その後、サイトゾル内でこれを切断するポリペプチドの全体的な能力を反映する。例えばSDS−PAGE、及びウェスタンブロッティングとその後の切断生成物のデンシトメータ分析のように、SNAREタンパク質切断を測定するために多様な方法がある。
【0026】
無細胞アッセイの関係において、能力は、相対的SNAREタンパク質切断の点で、又は相対的
転移機能の点で(例えばリポソームからのK
+若しくはNADの放出、又は膜コンダクタンス測定)測定できる。
【0027】
好ましいオフサイト標的(及び上記のアッセイについて好ましい哺乳動物細胞)は、上皮細胞、特に肺上皮細胞、運動ニューロンでないニューロン、及び筋細胞を含む。
【0028】
実施例39に関して、改変クロストリジウム神経毒(LH
N/C)が提供された。この神経毒は、機能的H
C結合ドメインを欠くので、Lin, et al.の改変神経毒(すなわち、本明細書の背景技術の部分で論じたような)を模倣する。上記の改変神経毒を、哺乳動物細胞(例えば、胚性脊髄ニューロン(embryonic spinal cord neuron、eSCN))の存在下でインキュベートして、SNAREタンパク質切断の形態のクロストリジウム神経毒残存活性を示すその能力を評価した。並行して、C型ボツリヌス神経毒(LC/C)のエンドペプチダーゼドメインのみからなる対照神経毒を、同じ様式でインキュベートした。対照神経毒は、よって、機能的H
N転移ドメインを欠いていた。2つのポリペプチドのそれぞれを、次いで、試験細胞におけるSNAREタンパク質の切断について評価した。驚くべきことに、LH
N/C改変クロストリジウム神経毒はSNARE切断を示し(
図1を参照されたい)、よって、ボツリヌス神経毒のH
C結合ドメインの不活性化が、オフサイト活性を低減させるために適切でないことが確認された。これとは対照的に、対照神経毒(機能的
転移構成要素を欠く)は、SNARE切断の欠如を示した。
【0029】
上記のように、本発明のポリペプチドは、1又は2以上(例えば2、3、4、5以上)の破壊性プロテアーゼ切断部位を含み得る。1より多い破壊性切断部位が含まれる場合、各切断部位は、同じ又は異なっていてよい。この関係において、1より多い破壊性切断部位の使用は、オフサイト不活性化の改善をもたらす。同様に、2以上の異なる破壊性切断部位の使用は、さらなる設計の柔軟性をもたらす。例えば、筋肉組織においてオフサイト標的の影響を最小限にする場合、本発明のポリペプチドは、2つの異なる筋肉組織関連プロテアーゼにより認識されて切断される2つの異なる破壊性部位を含み得る。
【0030】
第1破壊性切断部位(複数可)は、非細胞毒性プロテアーゼ構成要素又は
転移構成要素中に工学的に作製してよい。第2(又は後続の)部位(複数可)は、ポリペプチド中のどこに工学的に作製してもよい。この関係において、破壊性切断部位(複数可)は、ポリペプチドがその標的部位/標的細胞から離れていては不安定であることを確実にしながら、(例えば、
転移ドメイン及び/又は非細胞毒性プロテアーゼドメインに対する影響を最小限にすることにより)ポリペプチドの能力に対する最小限の有害な影響を確実にするように選択される。
【0031】
好ましい破壊性切断部位(及び対応する第2プロテアーゼ)を、直後の表に列挙する。列挙された切断部位は、単純に説明のためであり、本発明を限定することを意図しない。
【0032】
【表1】
【0033】
本発明は、トロンビン、凝固第VIIa因子、凝固第IXa因子、凝固第Xa因子、凝固第XIa因子、凝固第XIIa因子、カリクレイン、プロテインC及びMBP関連セリンプロテアーゼなどの哺乳動物血液プロテアーゼにより切断可能な破壊性切断部位を採用し得る。
【0034】
Lin, et al.は、クロストリジウムホロトキシンのH
C結合ドメインを不活性化するためのトロンビン切断部位又は第Xa因子切断部位の使用について記載している。上で論じたように、しかし、H
C不活性化は、所望のオフサイト不活性化を達成するために不適切である。さらに、開示される切断部位が少数である(pausity)ために、Lin, et al.により記載される方法は、例えばトロンビン及び第Xa因子が存在しない(又は低濃度でのみ存在する)オフサイト環境において有用性が限定される。
【0035】
マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)は、本発明の関係において好ましい破壊性プロテアーゼの群である。この群において、TACEとしても知られるADAM17(EC3.4.24.86)が好ましく、これは、多様な膜繋留細胞表面タンパク質を切断して、細胞外ドメインを「切り落とす」。さらに、好ましいMMPは、アダマライシン、セラライシン及びアスタシンを含む。
【0036】
本発明のある実施形態において、上記の破壊性切断部位(複数可)は、少なくとも3又は4、好ましくは5又は6、より好ましくは6又は7、特に好ましくは少なくとも8の連続アミノ酸残基を有する認識配列を含む。この関係において、認識配列が長ければ長いほど(連続アミノ酸残基の点で)、意図しない第2プロテアーゼによる破壊性部位の非特異的切断が起こりにくい。
【0037】
本発明のポリペプチドは、ニューロン(例えば神経細胞)上の結合部位と結合することにより、他の細胞よりも標的細胞のこの種に対するポリペプチドの選択性をもたらすターゲティング部分(TM)を含んでいてもよい。ある実施形態において、ニューロンは、神経筋接合部又はシナプス前コリン作動性末梢神経終末の細胞である。
【0038】
本発明の第1(及び後続の)破壊性切断部位(複数可)は、好ましくは、プロテアーゼ構成要素及び/又は
転移構成要素中に導入される。これらの2つの構成要素のうち、プロテアーゼ構成要素が好ましい。よって、ポリペプチドは、非細胞毒性プロテアーゼ及び/又は
転移構成要素の直接の破壊により迅速に不活性化され得る。これらの挿入位置は、TM挿入位置よりも好ましい。なぜなら、完全なTM不活性化の場合でさえ、得られたポリペプチドは、オフサイト細胞に対して適切に低減された能力を示さないことがあることが示されているからである[Chaddock, JA., et al. Protein Expression Purification 2002, 25, 219-228及びSutton, JM, et al. Protein Expression & Purification 2005, 40(1), 31-41]。
【0039】
よって、本発明のポリペプチドは、ポリペプチドのターゲティング部分構成要素内だけに破壊性切断部位(複数可)を含むことはない。いずれの理論に拘束されることも望まないが、TM構成要素単独の中に破壊部位を用いることは、オフサイト標的細胞による非特異的取り込みに対して対処しないと考えられる。実施例39(
図1も参照されたい)は、結合ドメインH
Cを欠くC型ボツリヌス神経毒のフラグメントがなお、eSCNに侵入し、その基質であるSNAREタンパク質(シンタキシン)を切断できることを示す。さらなる可能性は、TM構成要素内での切断が、オフサイト細胞に対する結合親和性が増加したTMを、例えばTM内のより高い親和性結合領域の露出により導く可能性があるということである。まとめると、TM構成要素単独の中で破壊性切断部位(複数可)を用いることは、不満足であると考えられる。第1に、オフサイトターゲティングが適切に対処されておらず、第2に、オフサイト細胞に一旦送達されると、ポリペプチドは、依然として、(野生型/天然の)
転移活性及び/又はSNAREタンパク質切断活性を示すことができる。
【0040】
TMは、破壊性切断部位を有さないことが好ましい。この関係において、TM構成要素が、ポリペプチドの所望の結合に不利に影響する有害な立体構造変化(破壊性切断部位の挿入による)に対して特に感受性であり得ることが示されている。このことは、TMが、クロストリジウム神経毒の天然のターゲティング部分(すなわちH
C)である場合に、特に問題となることが示されている。
【0041】
本発明のポリペプチドにおいて用いるために適切なTMは、サイトカイン、成長因子、神経ペプチド、レクチン、タンパク質結合スカフォールド及び抗体を含み、抗体という用語は、モノクローナル抗体、及びFab、F(ab)’
2、Fv、ScFvなどの抗体フラグメントを含む。
【0042】
TMは、ニューロン、好ましくは神経筋接合部のニューロンと結合するリガンド(好ましくはペプチド)である。この関係において、ある実施形態において、TMは、クロストリジウム神経毒(例えばBoNT、TeNT又はその他のクロストリジウム種(Clostridium spp.)から)の結合ドメイン(H
CC若しくはH
C)、又は天然の神経毒結合能力を有するそのフラグメントを含む。クロストリジウムH
Cドメインは、非常に効果的な様式で、ニューロン上に存在する受容体と結合するように進化してきた。この後者の実施形態に従って、本発明は、BOTOX(商標)を改変して、その臨床上有用性を改善するための使用及び対応する方法を提供する。例えば、適切なTMクロストリジウムH
CC参照配列は、以下のものを含む:
A型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(Y1111〜L1296)
B型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(Y1098〜E1291)
C型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(Y1112〜E1291)
D型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(Y1099〜E1276)
E型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(Y1086〜K1252)
F型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(Y1106〜E1274)
G型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(Y1106〜E1297)
破傷風神経毒−アミノ酸残基(Y1128〜D1315)。
【0043】
上で同定される参照配列は、サブ血清型によってわずかな変動が生じ得るので、手引きとみなすべきである。
【0044】
同様に、例えば、参照配列の適切なTMクロストリジウムH
Cドメインは、BoNT/A−N872〜L1296;BoNT/B−E859〜E1291;BoNT/C1−N867〜E1291;BoNT/D−S863〜E1276;BoNT/E−R846〜K1252;BoNT/F−K865〜E1274;BoNT/G−N864〜E1297;及びTeNT−I880〜D1315を含む。
【0045】
別の実施形態において、TMは、神経筋接合部との所望の結合をもたらすように選択される。適切なTMは、国際公開第2006/099590号パンフレット(これは、それを参照することにより本明細書に組み込まれる)に列挙され、グルカゴン様ホルモン、ニューロホルモン、神経調節性サイトカイン、ニューロトロフィン、成長因子、軸索ガイダンスシグナル伝達分子、糖結合性タンパク質、ニューレキシンと選択的に結合するリガンド、ニューレキシン2αのリガンド、ニューレキシン2βのリガンド、ニューレキシン3αのリガンド、ニューレキシン3βのリガンド、WNT、Ng−CAM(LI)、NCAM、N−カドヘリン、VIPペプチドなどのPACAPペプチド、アグリン−MUSK、基底膜ポリペプチド、及び上記のポリペプチドのいずれかのバリアント、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor、CNTF)、グリコホリンA(glycophorin-A、GPA)、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor、LIF)、インターロイキン(interleukin、IL)、オノスタチン(onostatin)M、カルジオトロフィン1(cardiotrophin-1、CT−1)、カルジオトロフィン様サイトカイン(cardiotrophin-like cytokine、CLC)、ニューロロイキン、VEGF、インスリン様成長因子(insulin-like growth factor、IGF)、上皮成長因子(epidermal growth factor、EGF)、及び上記の神経調節性サイトカインのいずれかのバリアントなどの神経調節性サイトカインを含む。これら及びその他のTMは、クロストリジウム神経毒の結合能力を模倣するので、本発明において用いるために選択される。
【0046】
上記のように、破壊性切断部位(複数可)は、ポリペプチドの生物学的特性(特に、エンドペプチダーゼ活性及び/又は膜
転移活性)に対する有害な影響を最小限にして導入される。この関係において、ポリペプチドの能力における可能性のあるいかなる減少も(上記の破壊性切断部位(複数可)を欠く同じポリペプチドと比較して)、未改変の元のタンパク質の25%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは5%未満であることが好ましい。ここでいう能力は、実施例1〜4に記載するような比較アッセイにより測定し得る。
【0047】
本発明の関係において破壊性切断部位(複数可)を選択する場合、破壊性切断部位(複数可)は、本発明のポリペプチドの製造プロセスの一部としてその翻訳後修飾のために別個に用いる可能性があるいずれのプロテアーゼの基質でもないことが好ましい。この関係において、本発明の非細胞毒性プロテアーゼは、(本発明の破壊性切断部位とは構造的に異なる別個の「活性化」プロテアーゼ切断部位による)プロテアーゼ活性化事象を典型的に採用する。活性化切断部位の目的は、非細胞毒性プロテアーゼと、本発明のポリペプチドの
転移又はTM構成要素との間のペプチド結合を切断することにより、これらの2つの構成要素がジスルフィド結合により一緒に連結された「活性化された」2本鎖ポリペプチドを提供することである。
【0048】
天然のクロストリジウムホロトキシンにおいて、2本鎖ループプロテアーゼ切断部位は、BoNT/AについてK448〜A449、BoNT/BについてK441〜A442、BoNT/C1についてK449〜T450、BoNT/DについてR445〜D446、BoNT/EについてR422〜K423、BoNT/FについてK439〜A440、BoNT/GについてK446〜S447、及びTeNTについてA457〜S458に存在する。よって、本発明のポリペプチドの破壊性切断部位が「活性化」切断部位及び後続のジスルフィド結合形成に不利に影響しないことを確実にすることを補助するために、前者を、本発明のポリペプチドに、「活性化」切断部位から少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、及びより好ましくは少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80(連続)アミノ酸残基離れた位置に導入することが好ましい。この関係において、本発明のポリペプチドの活性化部位は、クロストリジウムホロトキシンの活性化部位の位置(上で列挙した)と容易に位置合わせできる(単純な1次配列アラインメントにより)。
【0049】
破壊性切断部位(複数可)は、ポリペプチドの天然の構成要素に関して外因性(すなわち工学的に操作された/人工)であることが好ましい。言い換えると、上記の切断部位は、ポリペプチドの対応する天然の構成要素に固有でないのが好ましい。例えば、BoNT/AのL鎖又はH鎖(それぞれ)に基づくプロテアーゼ又は
転移構成要素を、切断部位(複数可)を含むように本発明に従って工学的に操作し得る。上記の切断部位(複数可)は、しかし、対応するBoNTの天然のL鎖又はH鎖には存在しない。
【0050】
本発明の好ましい実施形態において、破壊性切断部位(複数可)及び「活性化」切断部位は、同じプロテアーゼにより切断されない。ある実施形態において、2つの切断部位は、それぞれの認識配列内の少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、特に好ましくは少なくとも3、最も好ましくは少なくとも4の許容されるアミノ酸が異なるように互いに異なっている。
【0051】
例えば、クロストリジウムL鎖とH
N構成要素との間に第Xa因子「活性化」部位を含有するポリペプチドキメラの場合において、第Xa因子部位以外の部位である破壊性切断部位(複数可)を用いることが好ましく、これは、L鎖及び/又はH
N構成要素(複数可)内の他の場所に挿入され得る。この筋書きにおいて、ポリペプチドは、L鎖とH
N構成要素との間に代替の「活性化」部位(例えばエンテロキナーゼ切断部位)を収容できるように改変されてよく、この場合、別個の第Xa因子切断部位(複数可)を、ポリペプチドの他の場所に、破壊性切断部位として組み込むことができる。代わりに、現存する第Xa因子「活性化」部位をL鎖とH
N構成要素との間に保持して、トロンビン切断部位などの代替の切断部位を、破壊性切断部位(複数可)として組み込むことができる。
【0052】
切断部位(複数可)を含めるために本発明の構成要素のいずれかの1次配列内に適切な部位を同定する場合、挿入されることとなる、提案される切断部位(複数可)と密接に一致する1次配列を選択することが好ましい。このようにすることにより、最小限の構造変化がポリペプチドに導入される。例えば、切断部位は、典型的には、少なくとも3の連続アミノ酸残基を含む。よって、好ましい実施形態において、新しい切断部位を導入するために必要なアミノ酸残基の少なくとも1、好ましくは少なくとも2を(対応する位置(複数可)に)既に有する切断部位が、選択される。例えば、カスパーゼ3切断部位(DMQD)が導入される場合、例えばDxxx、xMxx、xxQx、xxxD、DMxx、DxQx、DxxD、xMQx、xMxD、xxQD、DMQx、xMQD、DxQD及びDMxDから選択される1次配列を既に含む好ましい挿入位置が同定され得る。
【0053】
クロストリジウム神経毒の3次元構造の分析により、本発明者らは、破壊性部位配列(複数可)の挿入のための一連の適切な露出領域(特に露出ループ領域)を同定した。この分析は、主にCell & Molecular Life Sciences中のChaddock & Marks (2006), 63, 540-551と、付加的な参考としてhttp://pathema.tigr.org/pathema/BoNT_structures.shtml;Lacy and Stevens, 1999, J. Mol Biol., 291, 1091-1104と、以下の表とに基づいている。
【0054】
【表2】
【0055】
上記のPDB識別は、構造データベースへの具体的なエントリーを同定するために、Research Collaboratory for Structural Bioinformatics (RCSB) Protein Data Bank(http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)により用いられている4文字コードである。
【0056】
採用されるさらなる技術は、ペプチド/抗体マッピング情報、例えばHC/A(Dolimbek, BZ, 2007, Mol Immunol., 44(5): 1029-41)、HN/A(Atassi MZ, 2004, Protein J. 23(1):39-52)、H
C/A(Oshima M., 1998, Immunol Lett., 60(1):7-12; Bavari, S 1998, Vaccine, 16(19): 1850-6)、HC/E(Kubota T, 1997, Appl Environ Microbiol. 63(4): 1214-8)の表面上の部位の抗体マッピングを用いること(BoNT血清型内のエピトープのリストは、http://pathema.tigr.org/pathema/BoNT_epitopes.shtmlにて維持され、公共に利用可能である)、及び具体的なペプチド領域の溶媒露出度を予測するための構造予測ソフトウェアを用いること(公共に利用可能なソフトウェアの例は、Swiss Model(http://swissmodel.expasy.org);ESyPred3D(http://www.fundp.ac.be/sciences/biologie/urbm/bioinfo/esypred)及びGeno3D(http://geno3d-pbil.ibcp.fr/cgi-bin/geno3d_automat.pl?page=/GENO3D/geno3d_home.html)を含む)を含む。
【0057】
本発明のある実施形態において、破壊性切断部位(複数可)は、BoNT/Aの1次アミノ酸配列に基づく(便宜上)、以下の位置(複数可)の1又は2以上にて導入される。挿入位置はBoNT/Aを参照して同定するが、BoNT/B〜Gなどについての対応するプロテアーゼドメイン及び/又は
転移ドメインの1次アミノ酸配列は、上記のBoNT/Aの位置と容易に位置合わせできる。例えば、我々は、
図2に示す血清型アラインメントを参照する。
【0058】
プロテアーゼ構成要素について、以下の位置の1又は2以上が好ましい:27位〜31位、56位〜63位、73位〜75位、78位〜81位、99位〜105位、120位〜124位、137位〜144位、161位〜165位、169位〜173位、187位〜194位、202位〜214位、237位〜241位、243位〜250位、300位〜304位、323位〜335位、375位〜382位、391位〜400位及び413位〜423位。上記の番号付けは、好ましくは、本発明のプロテアーゼ構成要素のN末端から開始する。これらの位置のうち、99位〜105位及び/又は202位〜214位が最も好ましい。この関係において、
図2を参照して、99位〜105位は、A血清型について「YSTDLGR」の配列に相当し、これは、B血清型について領域「KSKPLGE」、C
1血清型について「NSREIGE」、D血清型について「NERDIGK」、E血清型について「NNNLSGG」、F血清型について「NSNPAGQ」、そしてG血清型について「NSKPSGQ」と等しい。同様に、
図2を参照して、202位〜214位は、A血清型について「VDTNPLLGAGKFA」の配列に相当し、これは、B血清型について領域「NKGASIFNRRGYF」、C
1血清型について「DVGEGRFSKSEFC」、D血清型について「NQSSAVLGKSIFC」、E血清型について「DNC ----MN--EFI」、F血清型について「DN-----TD--LFI」、そしてG血清型について「ENKDTSIFSRRAYF」と等しい。そして、それぞれ、
図2の上部の番号付けを用いて「P」(202)は「P」。
【0059】
好ましい実施形態において、破壊性切断部位(複数可)は、プロテアーゼ構成要素のN末端から8アミノ酸残基超、好ましくは10アミノ酸残基超、より好ましくは25アミノ酸残基超、特に好ましくは50アミノ酸残基超の位置にある。同様に、好ましい実施形態において、破壊性切断部位(複数可)は、プロテアーゼ構成要素のC末端から20アミノ酸残基超、好ましくは30アミノ酸残基超、より好ましくは40アミノ酸残基超、特に好ましくは50アミノ酸残基超の位置にある。
【0060】
転移構成要素について、以下の位置の1又は2以上が好ましい:474位〜479位、483位〜495位、507位〜543位、557位〜567位、576位〜580位、618位〜631位、643位〜650位、669位〜677位、751位〜767位、823位〜834位、845位〜859位。上記の番号付けは、好ましくは、本発明の
転移ドメイン構成要素のN末端についての449位の開始位置、及びH
N構成要素のC末端についての871位の開始位置を確認する。これらの位置のうち、557位〜567位及び/又は751位〜767位が最も好ましい。この関係において、
図2を参照して、557位〜567位は、A血清型について「QEFEHGKSRIA」の配列に相当し、これは、B血清型について領域「QTFPLDIRDIS」、C
1血清型について「QKLSDNVEDFT」、D血清型について「QKLSNNVENIT、E血清型について「QKVPEGENNVN」、F血清型について「QKAPEGESAIS」、そしてG血清型について「QTFPSNIENLQ」と等しい。同様に、
図2を参照して、751位〜767位は、A血清型について「YNQYTEEEKNNINNID」の配列に相当し、これは、B血清型について領域「YNIYSEKEKSNIN--IDFN」、C
1血清型について「YKKYSGSDKENIKS--QVE」、D血清型について「YKKYSGSDKENIKS--QVE」、E血清型について「YNSYTLEEKNELTNKYDIK」、F血清型について「YNNYTLDEKNRLRAEYNIY」、そしてG血清型について「YNRYSEEDKMNIN--IDFN」と等しい。
【0061】
好ましい実施形態において、破壊性切断部位(複数可)は、
転移構成要素のN末端から10アミノ酸残基超、好ましくは25アミノ酸残基超、より好ましくは40アミノ酸残基超、特に好ましくは50アミノ酸残基超の位置にある。同様に、好ましい実施形態において、破壊性切断部位(複数可)は、
転移構成要素のC末端から10アミノ酸残基超、好ましくは25アミノ酸残基超、より好ましくは40アミノ酸残基超、特に好ましくは50アミノ酸残基超の位置にある。
【0062】
本発明の第2の態様によると、一連の多様な医療状態及び疾患を治療するための非細胞毒性ポリペプチドの使用が提供される。上記の異常及び疾患は、非常に密接に関連する(しかし、本発明によると未改変である)非細胞毒性ポリペプチドに基づいて療法が確立されている(本明細書の背景技術の部分を参照されたい)。よって、本発明は、破壊性切断部位を有し、そのことによりオフサイトの影響が低減された改変非細胞毒性ポリペプチドを用いることにより、上記の療法を改善する。
【0063】
特に、本発明は、斜視(strabismus)、眼瞼痙攣、藪睨(squint)、痙攣性及び顎口腔ジストニア、斜頚の治療、並びに(SNAREの下方制御又は不活性化による)細胞/筋肉の無能力化により利益を受けるその他の美化療法(美容)の用途のための使用及び対応する方法を提供する。
【0064】
さらに、眼球運動の神経筋異常(condition)又は疾患、例えば共動及び上下斜視、外側直筋麻痺、眼振、甲状腺不全性筋疾患など;ジストニア、例えば痙攣性斜頚、書痙、眼瞼痙攣、顎口腔ジストニア及びその症状、例えば歯ぎしり、ウィルソン病、遅発性ジストニア、喉頭ジストニアなどの限局性ジストニア;その他のジストニア、例えば振戦、チック、分節性ミオクローヌス;慢性多発性硬化症による痙攣、例えば脊髄損傷の患者における異常膀胱制御をもたらす痙攣、アニ
スムス(ani
smus)、背部攣縮、筋肉のつりなどの攣縮;筋収縮性頭痛;挙筋骨盤症候群;二分脊椎症、遅発性ジスキネジア;パーキンソン病及び四肢(限局性)ジストニア並びに吃音症などの治療のための関連する療法が提供される。
【0065】
使用において、本発明のポリペプチドは、標的細胞上に存在し、好ましくは標的細胞に特徴的である表面構造(結合部位)と結合する。結合の後に、ポリペプチド(少なくともそのプロテアーゼ構成要素)は、小胞中に飲食され、次いで、
転移構成要素が、エンドソーム膜を横切って標的細胞のサイトゾル中へのプロテアーゼ構成要素の輸送を導く。標的細胞の内部に一旦入ると、非細胞毒性プロテアーゼは、細胞性開口分泌融合プロセスを阻害し、そのことにより、標的細胞からの放出/分泌を阻害する。
【0066】
本発明のポリペプチドの生物活性構成要素は、非細胞毒性プロテアーゼである。非細胞毒性プロテアーゼは、細胞を死滅させない分子の孤立したクラスである。代わりに、これらは、タンパク質合成以外の細胞性プロセスを阻害することにより作用する。非細胞毒性プロテアーゼは、多様な植物により、そしてクロストリジウム種及びナイセリア種(Neisseria sp.)などの多様な微生物により、より大きい毒素分子の一部として生成される。
【0067】
クロストリジウム神経毒は、非細胞毒性毒素分子の主要な群であり、ジスルフィド結合により一緒に連結された2つのポリペプチド鎖を含む。2つの鎖は、およそ100kDaの分子質量を有する重鎖(H鎖)と、およそ50kDaの分子質量を有する軽鎖(L鎖)と命名されている。プロテアーゼ機能を有し、小胞及び/又は開口分泌プロセスに関与する細胞膜関連(SNARE)タンパク質(例えばシナプトブレビン、シンタキシン又はSNAP−25)に対する高い基質特異性を示すのは、L鎖である。これらの基質は、神経分泌機構の重要な構成要素である。
【0068】
最も重要には淋菌(N. gonorrhoeae)の種からのナイセリア種は、機能的に類似する非細胞毒性毒素分子を生成する。このような非細胞毒性プロテアーゼの例は、IgAプロテアーゼである(国際公開第99/58571号パンフレットを参照されたい)。
【0069】
TMの選択は、ポリペプチドの特異性を決定する。例えば、同じ(又は類似する)受容体が、1つのTMが異なる細胞タイプと結合するようにいくつかの異なる細胞上に存在することがある。この筋書きにおいて、単一の細胞タイプを標的にすることが望まれる可能性がある。よって、本発明のポリペプチド中に、1又は2以上の望ましくない細胞(及び/又はその環境)に特異的なプロテアーゼにより切断される第2プロテアーゼ(「破壊」)切断部位を採用することにより、望ましくない細胞におけるオフターゲット副作用を最小限にすることができる。
【0070】
別の実施形態において、本発明のポリペプチドは、異なる標的細胞タイプと結合可能な2以上の異なるTMを含み得る。代わりに(又はさらに)、異なる標的細胞タイプの連係したターゲティングをもたらすように異なるTMを有するポリペプチドの組合せを採用してよい。
【0071】
ポリペプチドの調製
本発明のポリペプチドは、4つの主要な構成要素、すなわちTMと、非細胞毒性プロテアーゼと、
転移ドメインと、破壊性プロテアーゼ切断部位とを含む。上記のポリペプチドは、クロストリジウム神経毒などの非細胞毒性ホロトキシンと、外因性TMが存在する場合に、再ターゲティングされたキメラ(再ターゲティングされたプロテアーゼとしばしばよばれる)とを包含する。これらの分子の調製は、従来のものである。例えば、我々は、国際公開第94/21300号パンフレット;国際公開第96/33273号パンフレット;国際公開第98/07864号パンフレット;国際公開第00/10598号パンフレット;国際公開第01/21213号パンフレット;国際公開第06/059093号パンフレット;国際公開第00/62814号パンフレット;国際公開第00/04926号パンフレット;国際公開第93/15766号パンフレット;国際公開第00/61192号パンフレット;及び国際公開第99/58571号パンフレットを参照する。これらの公報の全ては、それらを参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0072】
より詳細には、本発明のTM構成要素は、本発明のプロテアーゼ構成要素又は
転移構成要素のいずれかと融合してよい。上記の融合は、例えば直接的共有結合又はスペーサー/リンカー分子を介するいずれかの共有結合によることが好ましい。プロテアーゼ構成要素と
転移構成要素とは、例えば直接的共有結合又はスペーサー/リンカー分子を介するいずれかの共有結合により一緒に連結されることが好ましい。適切なスペーサー/リンカー分子は、当該技術において公知であり、典型的には、5〜40、好ましくは10〜30アミノ酸残基長のアミノ酸ベースの配列を含む。
【0073】
使用において、ポリペプチドは、2本鎖立体構造を有し、ここで、プロテアーゼ構成要素と
転移構成要素とは、好ましくはジスルフィド結合により一緒に連結される。
【0074】
本発明のポリペプチドは、当業者に公知の従来の化学結合技術により調製し得る。例えば、Hermanson, G.T. (1996), Bioconjugate techniques, Academic Press、及びWong, S.S. (1991), Chemistry of protein conjugation and cross-linking, CRC Pressが参照される。
【0075】
代わりに、ポリペプチドは、単一ポリペプチド融合タンパク質の組換え調製により調製し得る(例えば、国際公開第98/07864号パンフレットを参照されたい)。この技術は、それにより天然クロストリジウム神経毒(すなわちホロトキシン)が調製されるインビボ細菌機構に基づき、以下の「単純化された」構造的配置を有する融合タンパク質をもたらす:
NH
2−[プロテアーゼ構成要素]−[
転移構成要素]−[TM]−COOH
【0076】
国際公開第98/07864号パンフレットによると、TMは、融合タンパク質のC末端に向かって配置される。融合タンパク質は、次いで、プロテアーゼ構成要素と
転移構成要素との間の部位を切断するプロテアーゼでの処理により「活性化」される。よって、
転移構成要素とTMとを含有する別の単一ポリペプチド鎖と(ジスルフィドブリッジにより)共有付着した単一ポリペプチド鎖としてのプロテアーゼ構成要素を含む2本鎖タンパク質が生成される。
【0077】
国際公開第98/07864号パンフレットの系は、標的細胞上の結合部位との相互作用のために「遊離」であるC末端ドメインを必要とするTMを有する融合タンパク質の調製のために特に適切である。
【0078】
標的細胞上の結合部位との相互作用のために「遊離」であるN末端ドメインを必要とするTMを有する融合タンパク質について、国際公開第06/059113号パンフレットに記載されるような改変系を採用してよい。
【0079】
この改変系において、融合タンパク質のTM構成要素は、直鎖状融合タンパク質配列の中央に向かって、プロテアーゼ切断部位と
転移構成要素との間にある。このことにより、TMが、
転移ドメイン(すなわち天然クロストリジウムホロトキシンにおいて生じるのと同様に)に付着することが確実になるが、この場合、2つの構成要素は、天然ホロトキシンと比べて順序が逆である。プロテアーゼ切断部位でのその後の切断により、TMのN末端部分が露出され、2本鎖ポリペプチド融合タンパク質が得られる。
【0080】
上記のプロテアーゼ切断配列(複数可)は、DNAレベルにて、部位特異的突然変異誘発などの従来の手段により導入してよい(且つ/又はいかなる固有の切断配列も除去してよい)。切断配列の存在を確認するためのスクリーニングは、手動で、又はコンピュータソフトウェア(例えばDNASTAR, Inc.社製MapDrawプログラム)の支援により行ってよい。いかなるプロテアーゼ切断部位も採用してよい(すなわち、クロストリジウムのもの、又は非クロストリジウムのもの)が、以下のものが好ましい(「破壊性」切断部位又は「活性化」切断部位のいずれかとして):
エンテロキナーゼ(DDDDK↓)
第Xa因子(IEGR↓/IDGR↓)
タバコエッチ病ウイルス(TEV、Tobacco Etch virus)(ENLYFQ↓G)
トロンビン(LVPR↓GS)
PreScission(LEVLFQ↓GP)。
【0081】
自己切断性配列であるインテインも、プロテアーゼ切断部位の用語に包含される。自己スプライシング反応は、例えば存在する還元剤の濃度を変動させることにより制御可能である。
【0082】
好ましい実施形態において、本発明の融合タンパク質は、1又は2以上のN末端及び/又はC末端精製タグを含んでよい。いかなる精製タグも採用し得るが、以下のものが好ましい:
好ましくはC末端及び/又はN末端タグとしてのHisタグ(例えば6×ヒスチジン)
好ましくはN末端タグとしてのマルトース結合タンパク質(MBP、maltose binding protein)タグ
好ましくはN末端タグとしてのグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST、glutathione-S-transferase)タグ
好ましくはN末端タグとしてのHis−MBPタグ
好ましくはN末端タグとしてのGST−MBPタグ
好ましくはN末端タグとしてのチオレドキシンタグ
好ましくはN末端タグとしてのキチン結合ドメイン(CBD、Chitin Binding Domain)タグ。
【0083】
1又は2以上のペプチドスペーサー/リンカー分子を、融合タンパク質に含めてよい。例えば、ペプチドスペーサーを、精製タグと融合タンパク質分子の残りとの間に採用してよい。
【0084】
よって、本発明の第3の態様は、上記のようなポリペプチドをコードする核酸(例えばDNA)配列を提供する。
【0085】
上記の核酸は、プラスミドなどのベクターの形態に含まれてよく、これは、1又は2以上の複製起点、核酸組み込み部位、プロモーター、ターミネーター及びリボソーム結合部位を含んでいてもよい。
【0086】
本発明は、宿主細胞、特に大腸菌(E. coli)において、又はバキュロウイルス発現系により上記の核酸配列(すなわち本発明の第3の態様)を発現するための方法も含む。
【0087】
本発明は、本発明のポリペプチドを活性化するための方法であって、ポリペプチドを、非細胞毒性プロテアーゼ構成要素と
転移構成要素との間にある認識部位(切断部位)にてポリペプチドを切断するプロテアーゼと接触させ、そのことによりポリペプチドを2本鎖ポリペプチドに変換するステップを含み、非細胞毒性プロテアーゼと
転移構成要素とが、ジスルフィド結合により一緒に連結されている方法も含む。好ましい実施形態において、認識部位は、天然に存在するクロストリジウム神経毒及び/又は天然に存在するIgAプロテアーゼにとって固有でない。
【0088】
ポリペプチド送達
使用において、本発明は、ポリペプチドを、薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバント、噴射剤及び/又は塩から選択される少なくとも1つの構成要素と一緒に含む医薬組成物を採用する。
【0089】
本発明のポリペプチドは、経口、非経口、連続注入、吸入又は局所での投与のために処方され得る。注射用に適する組成物は、液剤、懸濁剤若しくは乳剤、又は使用前に適切な媒体に溶解若しくは懸濁される乾燥散剤の形態であってよい。
【0090】
局在送達されるポリペプチドの場合、ポリペプチドは、クリーム(例えば局所塗布のため)として、又は皮下注射のために処方され得る。
【0091】
局在送達とは、エアロゾル又はその他の噴霧剤(例えば噴霧吸入器)を含み得る。この関係において、ポリペプチドのエアロゾル製剤は、肺並びに/或いはその他の鼻及び/又は気管支若しくは気道の経路への送達を可能にする。
【0092】
本発明のポリペプチドは、患部器官の神経支配に関与する脊髄分節のレベルで脊柱にくも膜下内又は硬膜外注射することにより患者に投与してよい。
【0093】
好ましい投与経路は、腹腔鏡(laproscopic)による及び/又は局在化された、特に筋内の注射による。
【0094】
注射用の製剤の場合において、投与部位でのポリペプチドの滞留を援助するか、又は投与部位からのポリペプチドの除去を低減するために薬学的活性物質を含んでいてもよい。このような薬学的活性物質のある例は、アドレナリンなどの血管収縮薬である。このような製剤は、投与後のポリペプチドの滞留時間を増加し、よって、その効果を増加且つ/又は増進する利点を与える。
【0095】
本発明のポリペプチドの投与についての投与量範囲は、望ましい治療効果を生じるものである。必要とされる投与量範囲は、ポリペプチド又は組成物の厳密な性質、投与経路、製剤の性質、患者の年齢、患者の状態の性質、程度又は重症度、存在するならば禁忌、及び主治医の判断に依存することが認識される。これらの投与量レベルにおける変動は、最適化のための標準的な経験的慣例を用いて調節できる。
【0096】
適切な1日投与量(患者の体重1kg当たり)は、0.0001〜1ng/kg、好ましくは0.0001〜0.5ng/kg、より好ましくは0.002〜0.5ng/kg、特に好ましくは0.004〜0.5ng/kgの範囲である。単位投与量は、1ピコグラム未満〜30ngで変動できるが、典型的には、投与当たり0.01〜1ngの領域にあり、これを、毎日、又は好ましくは毎週若しくは6カ月毎などのより少ない頻度で投与し得る。
【0097】
特に好ましい投与計画は、1×用量として0.25ngのポリペプチドを基本とする。この関係において、好ましい投与量は、1×〜100×(すなわち0.25〜25ng)の範囲にある。
【0098】
流体投与形態は、ポリペプチドと発熱物質除去滅菌媒体とを用いて典型的に調製される。媒体及び用いる濃度に依存して、ポリペプチドは、媒体に溶解又は懸濁できる。溶液の調製において、ポリペプチドは、媒体に溶解でき、溶液を、必要であれば、塩化ナトリウムの添加により等張にし、無菌的技術を用いて滅菌フィルタを通してろ過することにより滅菌した後に、適切な滅菌バイアル又はアンプルに充填して密閉する。代わりに、溶液の安定性が適切であれば、密閉容器中の溶液を、高圧蒸気殺菌法により滅菌してよい。有利には、緩衝剤、可溶化剤、安定化剤、防腐剤若しくは殺菌剤、懸濁化剤若しくは乳化剤、及び又は局所麻酔薬などの添加剤を、媒体に溶解してよい。
【0099】
使用前の適切な媒体に溶解又は懸濁される乾燥散剤は、滅菌領域において無菌的技術を用いて滅菌済みの成分を滅菌容器に充填することにより調製し得る。代わりに、成分は、滅菌領域において無菌的技術を用いて適切な容器中に溶解してよい。生成物を、次いで、凍結乾燥し、容器を無菌的に密閉する。
【0100】
筋内、皮下又は皮内注射に適する非経口懸濁剤は、滅菌構成要素を溶解する代わりに滅菌媒体中に懸濁し、滅菌をろ過により達成できないこと以外は、実質的に同じ様式で調製される。構成要素は、滅菌状態で単離してよいか、代わりに、単離の後に例えばガンマ照射により滅菌してよい。
【0101】
有利には、懸濁化剤、例えばポリビニルピロリドンを組成物/複数可に含めて、構成要素の均一な分配を促進する。
【0102】
本発明による投与は、微小粒子封入、ウイルス送達系又は高圧エアロゾル衝撃を含む多様な送達技術を用いてよい。
【0103】
定義の部
ターゲティング部分(TM)は、結合部位と機能的に相互作用して、本発明のポリペプチドと標的細胞の表面との間の物理的会合をもたらす任意の化学構造を意味する。TMとの用語は、標的細胞上の結合部位と結合可能な任意の分子(すなわち天然に存在する分子、又は化学的/物理的に改変されたそのバリアント)を包含し、この結合部位は、内在化されることが可能である(例えばエンドソーム形成)。このことは、受容体媒介飲食作用ともよばれる。TMは、エンドソーム膜
転移機能を有してよく、この場合、別々のTMと
転移ドメイン構成要素とが、本発明の物質中に存在する必要はない。上記の記載を通して、具体的なTMについて記載した。上記のTMについての言及は単に例示のためであり、本発明は、例示されるTMの基本的な結合(すなわちターゲティング)能力を保持するその全てのバリアント及び誘導体を包含する。
【0104】
上記のように、好ましいTMは、抗体(例えば抗体フラグメント)及び結合性スカフォールド、特に、神経細胞との(例えば特異的な)結合の目的のために設計された商業的に入手可能な抗体/フラグメント及びスカフォールドを含む。
【0105】
タンパク質スカフォールドは、scFv、Fab分子、dAb(単一ドメイン抗体)、ダイアボディ及びミニボディ(このそれぞれは、本発明のTMとして採用し得る)などの治療用モノクローナル抗体及び誘導体の拡大するレパートリーを補足するための、新世代の普遍的結合フレームワークである。スカフォールドの系は、新規なスカフォールドの創出によるか又は既知のタンパク質結合ドメインの改変により、既知のタンパク質認識ドメインを創出するか又は改変する。このようなスカフォールドは、それらに限定されないが以下のものを含む:
(i)プロテインAに基づくスカフォールド−アフィボディ(Nord, K. et al 1997 "Binding proteins selected from combinatorial libraries of an alpha-helical bacterial receptor domain". Nat Biotechnol 15, 772-777);
(ii)リポカリンに基づくスカフォールド−アンチカリン(Skerra 2008 "Alternative binding proteins: anticalins - harnessing the structural plasticity of the lipocalin ligand pocket to engineer novel binding activities". FEBS J. 275:2677-83);
(iii)フィブロネクチンに基づくスカフォールド−アドネクチン(Dineen et al 2008 "The Adnectin CT-322 is a novel VEGF receptor 2 inhibitor that decreases tumor burden in an orthotopic mouse model of pancreatic cancer". BMC Cancer 8:352);
(iv)アビマー(Silverman et al 2005 "Multivalent avimer proteins evolved by exon shuffling of a family of human receptor domains". Nat Biotechnol 23:1556-61);
(v)アンキリンに基づくスカフォールド−ダルピン(darpin)(Zahnd et al 2006 "Selection and characterization of Her2 binding-designed ankyrin repeat proteins". J Biol Chem. 281:35167-75);及び
(vi)センチリン(centyrin)スカフォールド−CDRと相似するループを有するIgドメインとの著しい構造的相同性を有するタンパク質折り畳みに基づく。Igドメインは、ヒトタンパク質における共通したモジュールであり、代替スカフォールドタンパク質として広く用いられている。上記のそれぞれの「スカフォールド」出版物は、それらを参照することにより(その全体が)本明細書に組み込まれる。
【0106】
結合性スカフォールドは、特異的細胞表面タンパク質、受容体又は糖基などのその他の細胞表面エピトープとの相互作用により特定の細胞タイプを標的にするために用いることができる。このような改変スカフォールドは、本発明の非細胞毒性プロテアーゼに基づく組換えポリペプチド上に工学的に操作して、所望の特異的な神経細胞のタイプを標的にすることができる。
【0107】
本発明のTMは、問題の標的細胞と結合する(好ましくは特異的に結合する)。「特異的に結合する」との用語は、所定のTMが、10
6M
−1以上、好ましくは10
7M
−1以上、より好ましくは10
8M
−1以上、最も好ましくは10
9M
−1以上の結合親和性(Ka)で標的細胞と結合することを意味することが好ましい。
【0108】
本明細書においてTMと言う場合、問題の標的細胞と結合する能力を保持するそのフラグメント及びバリアントを包含する。例えば、バリアントは、参照TMと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも97又は少なくとも99%のアミノ酸配列相同性を有し得る。つまり、バリアントは、1若しくは2以上のアミノ酸アナログ(例えば非天然アミノ酸)又は置換結合を含んでよい。また、例えば、TMとの関係で用いる場合のフラグメントとの用語は、参照TMの少なくとも10、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、最も好ましくは少なくとも40アミノ酸残基を有するペプチドを意味する。フラグメントとの用語は、上記のバリアントにも関連する。つまり、例えば、本発明のフラグメントは、少なくとも10、20、30又は40アミノ酸を有するペプチド配列を含んでよく、該ペプチド配列は、参照ペプチドの対応するペプチド配列(連続)アミノ酸全体にわたって少なくとも80%の配列相同性を有する。
【0109】
例えば、ErbBペプチドTM(例えばEGF)を改変して、安定性の増加などの特性が改善されたムテインErbBリガンドを作製してよい。例えば、ErbB TMムテインは、細胞性プロテアーゼに対する安定性を与える46位又は47位のバリン残基(EGFVal46又は47)などのアミノ酸改変を有するErbBペプチドを含む。ErbB TMは、アミノ酸が欠失していてもよいし、さらなるアミノ酸が挿入されていてもよい。これは、それらに限定されないが、2つのC末端アミノ酸の欠失と51位での中性アミノ酸置換を有するEGF(特にEGF51Gln51;米国特許出願公開第20020098178号明細書を参照されたい)、及びアミノ酸が欠失したEGF(例えばrEGF2−48;rEGF3−48及びrEGF4−48)を含む。ErbB TMのフラグメントは、予測されるβターン領域(例えば、Ac-C-H-S-G-Y-V-G-A-R-C-O-OMeの配列のペプチド)と、[Ala20]EGF(14−31)などのEGFのフラグメントと、ペプチドYHWYGYTPQNVI又はGE11とを含有するTGFαのフラグメントを含み得る。上記の特許明細書の全ては、それらを参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0110】
TMが選択された標的細胞と結合することを確認することは、慣例である。例えば、単純な放射活性置換実験を採用してよく、ここでは、標的細胞の標本である組織又は細胞を、過剰の未標識TMの存在下に、標識化(例えばトリチウム化)TMに曝露する。このような実験において、非特異的結合と特異的結合の相対的な割合を評価することにより、TMが標的細胞と結合することを確認できる。アッセイは、1又は2以上の結合アンタゴニストを含んでいてもよく、アッセイは、TM結合の喪失を観察するステップをさらに含んでいてもよい。このタイプの実験の例は、Receptor biochemistry, A Practical Approach, Ed. E.C. Hulme, Oxford University Press中のHulme, E.C. (1990), Receptor-binding studies, a brief outline, pp. 303-311で見出すことができる。
【0111】
本発明の関係において、ペプチドTMと言う場合、ペプチドアナログが対応する「参照」TMと同じ受容体と結合する限り、そのアナログを包含する。上記のアナログは、以下のような合成残基を含み得る:
β−Nal=β−ナフチルアラニン
β−Pal=β−ピリジルアラニン
hArg(Bu)=N−グアニジノ−(ブチル)−ホモアルギニン
hArg(Et)
2=N,N’−グアニジノ−(ジメチル)−ホモアルギニン
hArg(CH
2CF
3)
2=N,N’−グアニジノ−ビス−(2,2,2,−トリフルオロエチル)−ホモアルギニン
hArg(CH
3,ヘキシル)=N,N’−グアニジノ−(メチル,ヘキシル)−ホモアルギニン
Lys(Me)=N
e−メチルリジン
Lys(iPr)=N
e−イソプロピルリジン
AmPhe=アミノメチルフェニルアラニン
AChxAla=アミノシクロヘキシルアラニン
Abu=α−アミノ酪酸
Tpo=4−チアプロリン
MeLeu=N−メチルロイシン
Orn=オルニチン
Nle−ノルロイシン
Nva=ノルバリン
Trp(Br)=5−ブロモ−トリプトファン
Trp(F)=5−フルオロ−トリプトファン
Trp(NO
2)=5−ニトロ−トリプトファン
Gaba=γ−アミノ酪酸
Bmp=J−メルカプトプロピオニル
Ac=アセチル
Pen−ペンシラミン
【0112】
本発明のポリペプチドは、クロストリジウム神経毒の機能的H
C(又はH
CC)ドメインを欠いていてよく、この場合、非クロストリジウムTMが典型的に存在して、神経細胞上の結合部位にポリペプチドを結合させる。天然のクロストリジウム神経毒のH
Cペプチドは、およそ400〜440アミノ酸残基を含み、それぞれおよそ25kDaの2つの機能的に異なるドメイン、すなわちN末端領域(一般に、H
CNペプチド又はドメインとよばれる)及びC末端領域(一般に、H
CCペプチド又はドメインとよばれる)からなる。C末端の160〜200アミノ酸残基を構成するC末端領域(H
CC)は、クロストリジウム神経毒がその天然の細胞受容体、すなわち神経筋接合部での神経終末と結合することを担うことが詳細に記録されている。この事実は、上記の出版物によっても確認されている。よって、本明細書を通して、機能的重鎖H
Cペプチド(又はドメイン)を欠くクロストリジウム重鎖と言う場合、クロストリジウム重鎖が機能的H
CCペプチドを単純に欠くことを意味する。言い換えると、H
CCペプチド領域は、部分的若しくは全体的に欠失しているか、又はそうでなければ神経細胞についてのその天然の結合能力を不活性化するように(例えば従来の化学的及びタンパク質分解処理により)改変されている。
【0113】
代わりに、本発明のポリペプチドは、クロストリジウム神経毒の機能的H
C(又はH
CC)ドメインをTMとして含有してよい。結合ドメインを含む多様なクロストリジウム神経毒のH
CC又はH
C領域が、本発明の態様において有用であり得るが、但し、これらの活性フラグメントが、天然神経毒の結合活性及び結合特異性をもたらすことを条件とする。クロストリジウム毒素の重鎖からのH
C領域は、およそ400〜440アミノ酸長であり、結合ドメインを含む。クロストリジウム毒素重鎖からのH
C領域の全長が、結合ドメインの結合活性にとって必要でないことが、研究で示されている。つまり、この実施形態の態様は、例えば少なくとも350アミノ酸、少なくとも375アミノ酸、少なくとも400アミノ酸、及び少なくとも425アミノ酸長を有する結合ドメインを含むクロストリジウム毒素H
C領域を含み得る。この実施形態のその他の態様は、例えば多くて350アミノ酸、多くて375アミノ酸、多くて400アミノ酸、及び多くて425アミノ酸長を有する結合ドメインを含むクロストリジウム毒素H
C領域を含み得る。
【0114】
本発明のプロテアーゼは、真核細胞における開口分泌融合装置の1又は2以上のタンパク質を切断できる全ての非細胞毒性プロテアーゼを包含する。
【0115】
本発明のプロテアーゼは、好ましくは、細菌プロテアーゼ(又はそのフラグメント)である。より好ましくは、細菌プロテアーゼは、クロストリジウム又はナイセリア/ストレプトコッカス(Streptococcus)属から選択される(例えばクロストリジウムL鎖、又はナイセリアIgAプロテアーゼ、好ましくは淋菌又は肺炎球菌(S. pneumoniae)から)。
【0116】
本発明は、バリアント非細胞毒性プロテアーゼ(すなわち、天然に存在するプロテアーゼ分子のバリアント)も、バリアントプロテアーゼが必須のプロテアーゼ活性を示す限りは包含する。例えば、バリアントは、参照プロテアーゼ配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95又は少なくとも98%のアミノ酸配列相同性を有し得る。つまり、バリアントとの用語は、エンドペプチダーゼ活性が増進(又は減少)した非細胞毒性プロテアーゼを含む。ここでは特に、BoNT/A変異体Q161A、E54A及びK165LのK
cat/K
mの増加が挙げられる。Ahmed, S.A.(2008) Protein J. DOI 10.1007/s10930-007-9118-8(これは、それを参照することにより組み込まれる)を参照されたい。プロテアーゼとの関係で用いる場合のフラグメントとの用語は、参照プロテアーゼの少なくとも150、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも250、最も好ましくは少なくとも300アミノ酸残基を有するペプチドを典型的に意味する。TM「フラグメント」構成要素(上で論じた)と同様に、本発明のプロテアーゼ「フラグメント」は、参照配列に基づくバリアントプロテアーゼのフラグメントを包含する。
【0117】
本発明のプロテアーゼは、セリン又はメタロプロテアーゼ活性(例えばエンドペプチダーゼ活性)を示すことが好ましい。プロテアーゼは、好ましくは、SNAREタンパク質(例えばSNAP−25、シナプトブレビン/VAMP又はシンタキシン)に特異的である。
【0118】
神経毒のプロテアーゼドメイン、例えば細菌神経毒のプロテアーゼドメインが特に挙げられる。つまり、本発明は、天然に存在する神経毒ドメイン、及び該天然に存在する神経毒の組換えにより調製されたバージョンの使用を包含する。
【0119】
例示的な神経毒は、クロストリジウムにより生成され、クロストリジウム神経毒との用語は、破傷風菌(C. tetani)(TeNT)及びA〜G血清型ボツリヌス菌により生成される神経毒(BoNT)、並びにシー・バラティイ(C. baratii)及び酪酸菌(C. butyricum)により生成される密接に関連するBoNT様神経毒を包含する。上記の略語は、本明細書を通して用いられる。例えば、BoNT/Aとの命名は、神経毒の供給源がBoNT(A血清型)であることを示す。対応する命名法が、その他のBoNT血清型について用いられる。
【0120】
BoNTは、既知の最も効力が高い毒素であり、マウスに対する半数致死量(LD50)の値は、血清型に依存して0.5〜5ng/kgの範囲である。BoNTは、胃腸管に吸着され、全身循環に入った後にコリン作動性神経終末のシナプス前膜と結合して、それらの神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を妨げる。BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F及びBoNT/Gは、シナプトブレビン/小胞関連膜タンパク質(vesicle-associated membrane protein、VAMP)を切断し、BoNT/C、BoNT/A及びBoNT/Eは、25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(synaptosomal-associated protein of 25 kDa、SNAP−25)を切断し、BoNT/Cは、シンタキシンを切断する。
【0121】
BoNTは、およそ50kDaの軽鎖(L鎖)と単一ジスルフィド結合により共有結合したおよそ100kDaの重鎖(H鎖)からなるおよそ150kDaの2本鎖タンパク質である共通の構造を共有する。H鎖は、それぞれおよそ50kDaの2つのドメインからなる。C末端ドメイン(H
C)は、高親和性のニューロンの結合に必要であり、N末端ドメイン(H
N)は、膜
転移に関与することが提案されている。L鎖は、基質であるSNAREタンパク質の切断を担う亜鉛依存性メタロプロテアーゼである。
【0122】
L鎖フラグメントとの用語は、神経毒のL鎖の構成要素を意味し、このフラグメントは、メタロプロテアーゼ活性を示し、細胞性開口分泌に関与する小胞及び/又は細胞膜関連タンパク質をタンパク質分解することが可能である。
【0123】
適切なプロテアーゼ(参照)配列の例は、以下のものを含む:
A型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(1〜448)
B型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(1〜440)
C型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(1〜441)
D型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(1〜445)
E型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(1〜422)
F型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(1〜439)
G型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(1〜441)
破傷風神経毒−アミノ酸残基(1〜457)
IgAプロテアーゼ−アミノ酸残基(1〜959)
*
*Pohlner, J. et al. (1987). Nature 325, pp. 458-462(これは、それを参照することにより本明細書に組み込まれる)。
【0124】
上で同定される参照配列は、サブ血清型によってわずかな変動が生じ得るので、手引きとみなすべきである。例えば、米国特許出願公開第2007/0166332号明細書(それを参照することにより本明細書に組み込まれる)は、わずかに異なるクロストリジウム配列を引用している:
A型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(M1〜K448)
B型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(M1〜K441)
C型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(M1〜K449)
D型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(M1〜R445)
E型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(M1〜R422)
F型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(M1〜K439)
G型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(M1〜K446)
破傷風神経毒−アミノ酸残基(M1〜A457)
【0125】
軽鎖を含む多様なクロストリジウム毒素フラグメントは、本発明の態様において有用であり得るが、但し、これらの軽鎖フラグメントが、神経伝達物質放出装置の核となる構成要素を特異的に標的にし、よって、それによりクロストリジウム毒素が基質をタンパク質分解する全体的な細胞機構の達成に参加できることを条件とする。クロストリジウム毒素の軽鎖は、およそ420〜460アミノ酸長であり、酵素ドメインを含む。クロストリジウム毒素軽鎖の全長が、酵素ドメインの酵素活性にとって必要でないことが、研究で示されている。非限定的な例として、BoNT/A軽鎖の最初の8アミノ酸は、酵素活性にとって必要でない。別の非限定的な例として、TeNT軽鎖の最初の8アミノ酸は、酵素活性にとって必要でない。同様に、軽鎖のカルボキシル末端は、活性にとって必要でない。非限定的な例として、BoNT/A軽鎖の最後の32アミノ酸(残基417〜448)は、酵素活性にとって必要でない。別の非限定的な例として、TeNT軽鎖の最後の31アミノ酸(残基427〜457)は、酵素活性にとって必要でない。つまり、この実施形態の態様は、例えば少なくとも350アミノ酸、少なくとも375アミノ酸、少なくとも400アミノ酸、少なくとも425アミノ酸及び少なくとも450アミノ酸長を有する酵素ドメインを含むクロストリジウム毒素軽鎖を含み得る。この実施形態の別の態様は、例えば多くて350アミノ酸、多くて375アミノ酸、多くて400アミノ酸、多くて425アミノ酸、及び多くて450アミノ酸長を有する酵素ドメインを含むクロストリジウム毒素軽鎖を含み得る。
【0126】
本発明のポリペプチド、特にそのプロテアーゼ構成要素は、PEG化されていてよい。このことは、安定性、例えばプロテアーゼ構成要素の作用の持続期間を増加させる助けとなり得る。PEG化は、プロテアーゼがBoNT/A、B又はC
1プロテアーゼを含む場合に特に好ましい。PEG化は、プロテアーゼ構成要素のN末端へのPEGの付加を含むことが好ましい。例えば、プロテアーゼのN末端は、1又は2以上のアミノ酸(例えばシステイン)残基を用いて伸長してよく、該残基は同じ又は異なっていてよい。上記のアミノ酸残基の1又は2以上は、それに付着した(例えば共有付着)それ自体のPEG分子を有してよい。この技術の例は、国際公開第2007/104567号パンフレット(これは、それを参照することによりその全体が組み込まれる)に記載されている。
【0127】
転移ドメインは、プロテアーゼ活性の機能的発現が標的細胞のサイトゾル内で生じるように標的細胞へプロテアーゼを
転移させることができる分子である。任意の分子(例えばタンパク質又はペプチド)が本発明の必須の
転移機能を有するかどうかは、いくつかの従来のアッセイのいずれか1つにより確認し得る。
【0128】
例えば、Shone C. (1987)は、被検分子で攻撃されたリポソームを用いるインビトロアッセイについて記載している。必須の
転移機能の存在は、リポソームからのK
+及び/又は標識NADの放出により確認され、これらは容易にモニターできる[Shone C. (1987) Eur. J. Biochem; vol. 167(1): pp. 175-180を参照されたい]。
【0129】
さらなる例は、Blaustein R. (1987)により提供され、これは、平面状リン脂質二重膜を用いる単純なインビトロアッセイについて記載している。被検分子を用いて膜を攻撃し、必須の
転移機能は、上記の膜を挟むコンダクタンスの増加により確認される[Blaustein (1987) FEBS Letts; vol. 226, no.1: pp. 115-120を参照されたい]。
【0130】
膜融合の評価を可能にし、よって、本発明において用いるために適する
転移ドメインの同定を可能にするさらなる方法は、Methods in Enzymology Vol 220 and 221, Membrane Fusion Techniques, Parts A and B, Academic Press 1993で提供される。
【0131】
本発明は、バリアントドメインが必須の
転移活性をまだ示す限りは、バリアント
転移ドメインも包含する。例えば、バリアントは、参照
転移ドメインと少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%又は少なくとも98%のアミノ酸配列相同性を有し得る。
転移ドメインとの関係で用いる場合のフラグメントとの用語は、参照
転移ドメインの少なくとも20、好ましくは少なくとも40、より好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも100アミノ酸残基を有するペプチドを意味する。クロストリジウム
転移ドメインの場合、フラグメントは、参照
転移ドメイン(例えばH
Nドメイン)の少なくとも100、好ましくは少なくとも150、より好ましくは少なくとも200、最も好ましくは少なくとも250アミノ酸残基を有することが好ましい。TM「フラグメント」構成要素(上で論じた)と同様に、本発明の
転移「フラグメント」は、参照配列に基づくバリアント
転移ドメインのフラグメントを包含する。
【0132】
転移ドメインは、低pH条件下で脂質膜にイオン透過可能な孔の形成を可能にすることが好ましい。好ましくは、孔を形成可能なタンパク質分子のこれらの部分のみをエンドソーム膜内で用いることが見出されている。
【0133】
転移ドメインは、微生物タンパク質供給源、特に細菌又はウイルスのタンパク質供給源から得ることができる。よって、ある実施形態において、
転移ドメインは、細菌毒素又はウイルスタンパク質などの、酵素の
転移性ドメインである。
【0134】
細菌毒素分子のあるいくつかのドメインが、このような孔を形成可能であることが詳細に記録されている。ウイルスにより発現される膜融合タンパク質のあるいくつかの
転移ドメインが、このような孔を形成可能であることも知られている。このようなドメインを、本発明において採用してよい。
【0135】
転移ドメインは、H
Nドメイン(又はその機能的構成要素)のようにクロストリジウム起源のものであってよい。H
Nは、H鎖のアミノ末端側の半分とほぼ等しいクロストリジウム神経毒のH鎖の部分若しくはフラグメント、又はインタクトなH鎖におけるそのフラグメントに相当するドメインを意味する。H鎖は、H鎖のH
C構成要素の天然の結合機能を欠いている。この関係において、H
C機能は、H
Cアミノ酸配列の欠失(DNA合成レベル又はヌクレアーゼ若しくはプロテアーゼ処理による合成後レベルのいずれかで)により除去してよい。代わりに、H
C機能は、化学的又は生物学的処理により不活性化してよい。つまり、H鎖は、天然のクロストリジウム神経毒(すなわちホロトキシン)が結合する標的細胞上の結合部位に結合できない。
【0136】
適切な(参照)
転移ドメインの例は、以下のものを含む:
A型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(449〜871)
B型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(441〜858)
C型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(442〜866)
D型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(446〜862)
E型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(423〜845)
F型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(440〜864)
G型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(442〜863)
破傷風神経毒−アミノ酸残基(458〜879)
【0137】
上で同定される参照配列は、サブ血清型によってわずかな変動が生じ得るので、手引きとみなすべきである。例えば、米国特許出願公開第2007/0166332号明細書(それを参照することにより本明細書に組み込まれる)は、わずかに異なるクロストリジウム配列を引用している:
A型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(A449〜K871)
B型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(A442〜S858)
C型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(T450〜N866)
D型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(D446〜N862)
E型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(K423〜K845)
F型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(A440〜K864)
G型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(S447〜S863)
破傷風神経毒−アミノ酸残基(S458〜V879)
【0138】
本発明の関係において、
転移ドメインを含む多様なクロストリジウム毒素H
N領域は、本発明の態様において有用であり得るが、但し、これらの活性フラグメントが、非細胞毒性プロテアーゼ(例えば、クロストリジウムL鎖)を細胞内小胞から標的細胞の細胞質へ放出することを促進し、よって、それによりクロストリジウム毒素が基質をタンパク質分解する全体的な細胞機構の達成に参加できることを条件とする。クロストリジウム毒素の重鎖からのH
N領域は、およそ410〜430アミノ酸長であり、
転移ドメインを含む。クロストリジウム毒素重鎖からのH
N領域の全長が、
転移ドメインの
転移活性にとって必要でないことが、研究で示されている。よって、この実施形態の態様は、例えば少なくとも350アミノ酸、少なくとも375アミノ酸、少なくとも400アミノ酸及び少なくとも425アミノ酸長を有する
転移ドメインを含むクロストリジウム毒素H
N領域を含み得る。この実施形態のその他の態様は、例えば多くて350アミノ酸、多くて375アミノ酸、多くて400アミノ酸及び多くて425アミノ酸長を有する
転移ドメインを含むクロストリジウム毒素H
N領域を含み得る。
【0139】
ボツリヌス菌及び破傷風菌における毒素生成の遺伝子的基礎についてのさらなる詳細のために、我々は、The Clostridia: Molecular Biology and Pathogenesis, Academic press中のHenderson et al (1997)を参照する。
【0140】
H
Nとの用語は、天然に存在する神経毒H
N部分、並びに天然に存在しないアミノ酸配列及び/又は合成アミノ酸残基を有する改変H
N部分を、改変H
N部分が上記の
転移機能をまだ示す限り含む。
【0141】
代わりに、
転移ドメインは、非クロストリジウム起源のものであってよい。非クロストリジウム(参照)
転移ドメイン起源の例は、それらに限定されないが、ジフテリア毒素の
転移ドメイン[O=Keefe et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89, 6202-6206;Silverman et al., J. Biol. Chem. (1993) 269, 22524-22532;及びLondon, E. (1992) Biochem. Biophys. Acta., 1112, pp.25-51]、シュードモナス(Pseudomonas)A型外毒素の
転移ドメイン[Prior et al. Biochemistry (1992) 31, 3555-3559]、炭疽毒素の
転移ドメイン[Blanke et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1996) 93, 8437-8442]、
転移機能を有する多様な融合性又は疎水性ペプチド[Plank et al. J. Biol. Chem. (1994) 269, 12918-12924;及びWagner et al (1992) PNAS, 89, pp.7934-7938]、及び両親媒性ペプチド[Murata et al (1992) Biochem., 31, pp.1986-1992]を含む。
転移ドメインは、天然に存在するタンパク質中に存在する
転移ドメインを反映してよいか、又はアミノ酸変動を、該変動が
転移ドメインの
転移能力を破壊しない限り含んでよい。
【0142】
本発明において用いるために適するウイルス(参照)
転移ドメインの特定の例は、ウイルスにより発現される膜融合タンパク質のあるいくつかの
転移性ドメインを含む。例えば、Wagner et al.(1992)及びMurata et al.(1992)は、インフルエンザウイルスヘマグルチニンのN末端領域に由来するいくつかの融合性及び両親媒性ペプチドの
転移(すなわち膜融合及び小胞形成)機能について記載している。所望の
転移活性を有することが知られているその他のウイルスにより発現される膜融合タンパク質は、セムリキ森林ウイルス(Semliki Forest Virus、SFV)の融合性ペプチドの
転移性ドメイン、水泡性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus、VSV)糖タンパク質Gの
転移性ドメイン、SERウイルスFタンパク質の
転移性ドメイン、及び泡沫状ウイルスエンベロープ糖タンパク質の
転移性ドメインである。ウイルスによりコードされるアスパイク(Aspike)タンパク質、例えばSFVのE1タンパク質並びにVSVのGタンパク質のGタンパク質は、本発明の関係において特に用いられる。
【0143】
表(下記)に列挙される(参照)
転移ドメインの使用は、その配列バリアントの使用を含む。バリアントは、1又は2以上の保存的核酸置換及び/又は核酸欠失若しくは挿入を、バリアントが必須の
転移機能を有することを条件として含んでよい。バリアントは、1又は2以上のアミノ酸置換及び/又はアミノ酸欠失若しくは挿入を、バリアントが必須の
転移機能を有する限り含んでもよい。
【0144】
【表3】
【0145】
本発明のポリペプチドは、
転移促進性ドメインをさらに含んでよい。上記のドメインは、標的細胞のサイトゾルへの非細胞毒性プロテアーゼの送達を促進し、例えば国際公開第08/008803号パンフレット及び国際公開第08/008805号パンフレット(これらのそれぞれは、それを参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0146】
例えば、適切な
転移促進性ドメインは、エンベロープウイルス融合性ペプチドドメインを含み、例えば、適切な融合性ペプチドドメインは、インフルエンザウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば23アミノ酸のA型インフルエンザウイルス融合性ペプチドドメイン)、アルファウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば26アミノ酸のセムリキ森林ウイルス融合性ペプチドドメイン)、ベシクロウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば21アミノ酸の水泡性口内炎ウイルス融合性ペプチドドメイン)、レスピロウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば25アミノ酸のセンダイウイルス融合性ペプチドドメイン)、モルビリウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば25アミノ酸のイヌジステンパーウイルス融合性ペプチドドメイン)、アブラウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば25アミノ酸のニューカッスル病ウイルス融合性ペプチドドメイン)、ヘニパウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば25アミノ酸のヘンドラウイルス融合性ペプチドドメイン)、メタニューモウイルス融合性ペプチドドメイン(例えば25アミノ酸のヒトメタニューモウイルス融合性ペプチドドメイン)、若しくはサル泡沫状ウイルス融合性ペプチドドメインなどのスプーマウイルス融合性ペプチドドメイン、又はそのフラグメント若しくはバリアントを含む。
【0147】
さらなる例として、
転移促進性ドメインは、クロストリジウム毒素H
CNドメイン又はそのフラグメント若しくはバリアントを含んでよい。より詳細には、クロストリジウム毒素H
CN転移促進性ドメインは、少なくとも200アミノ酸、少なくとも225アミノ酸、少なくとも250アミノ酸、少なくとも275アミノ酸長を有し得る。この関係において、クロストリジウム毒素H
CN転移促進性ドメインは、多くて200アミノ酸、多くて225アミノ酸、多くて250アミノ酸、又は多くて275アミノ酸長を有することが好ましい。
【0148】
具体的な(参照)例は、以下のものを含む:
A型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(872〜1110)
B型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(859〜1097)
C型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(867〜1111)
D型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(863〜1098)
E型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(846〜1085)
F型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(865〜1105)
G型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(864〜1105)
破傷風神経毒−アミノ酸残基(880〜1127)
【0149】
上記の配列の位置は、血清型/サブタイプにより少し変動することがあり、適切な(参照)クロストリジウム毒素H
CNドメインのさらなる例は、以下のものを含む:
A型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(874〜1110)
B型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(861〜1097)
C型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(869〜1111)
D型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(865〜1098)
E型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(848〜1085)
F型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(867〜1105)
G型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(866〜1105)
破傷風神経毒−アミノ酸残基(882〜1127)
【0150】
上記の促進性ドメインのいずれも、本発明において用いるために適する以前に記載したいかなる
転移ドメインペプチドとも組み合わせてよい。よって、例えば、非クロストリジウム促進性ドメインは、非クロストリジウム
転移ドメインペプチド又はクロストリジウム
転移ドメインペプチドと組み合わせてよい。代わりに、クロストリジウム毒素H
CN転移促進性ドメインは、非クロストリジウム
転移ドメインペプチドと組み合わせてよい。代わりに、クロストリジウム毒素H
CN促進性ドメインは、その例を以下に示すクロストリジウム
転移ドメインペプチドと組み合わせてよい:
A型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(449〜1110)
B型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(442〜1097)
C型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(450〜1111)
D型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(446〜1098)
E型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(423〜1085)
F型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(440〜1105)
G型ボツリヌス神経毒−アミノ酸残基(447〜1105)
破傷風神経毒−アミノ酸残基(458〜1127)
【0151】
配列相同性:
それらに限定されないが、全体法、局限法及び例えばセグメントアプローチ法などのハイブリッド法を含む多様な配列アラインメント法のいずれを用いても、パーセント同一性を決定できる。パーセント同一性を決定するためのプロトコルは、当業者の範囲内の慣例の手順である。全体法は、分子の最初から最後までの配列を整列させて、個別の残基対のスコアを加算し、ギャップペナルティを課すことにより最適アラインメントを決定する。非限定的な方法は、例えばCLUSTAL W(例えばJulie D. Thompson et al., CLUSTAL W: Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting, Position- Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice, 22(22) Nucleic Acids Research 4673-4680 (1994)を参照されたい)、及び反復精密化(例えばOsamu Gotoh, Significant Improvement in Accuracy of Multiple Protein. Sequence Alignments by Iterative Refinement as Assessed by Reference to Structural Alignments, 264(4) J. Mol. Biol. 823-838 (1996)を参照されたい)を含む。局限法は、入力配列の全てが共有する1又は2以上の保存されたモチーフを同定することにより配列を整列させる。非限定的な方法は、例えばマッチボックス(例えばEric Depiereux and Ernest Feytmans, Match-Box: A Fundamentally New Algorithm for the Simultaneous Alignment of Several Protein Sequences, 8(5) CABIOS 501-509 (1992)を参照されたい)、ギブスサンプリング(例えばC. E. Lawrence et al., Detecting Subtle Sequence Signals: A Gibbs Sampling Strategy for Multiple Alignment, 262(5131) Science 208-214 (1993)を参照されたい)、Align−M(例えばIvo Van Walle et al., Align-M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences, 20(9) Bioinformatics:1428-1435 (2004)を参照されたい)を含む。
【0152】
よって、パーセント配列同一性は、従来の方法により決定される。例えば、Altschul et al., Bull. Math. Bio. 48: 603-16, 1986及びHenikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-19, 1992を参照されたい。簡単に述べると、10のギャップ開始ペナルティ、1のギャップ伸長ペナルティ及び以下に示すようなHenikoff and Henikoff(同上)の「blosum62」スコア行列(アミノ酸は、標準の1文字コードで示す)を用いてアラインメントスコアを最適化するように2つのアミノ酸配列を整列させる。
【0153】
配列同一性を決定するためのアラインメントスコア
A R N D C Q E G H I L K M F P S T W Y V
A 4
R -1 5
N -2 0 6
D -2 -2 1 6
C 0 -3 -3 -3 9
Q -1 1 0 0 -3 5
E -1 0 0 2 -4 2 5
G 0 -2 0 -1 -3 -2 -2 6
H -2 0 1 -1 -3 0 0 -2 8
I -1 -3 -3 -3 -1 -3 -3 -4 -3 4
L -1 -2 -3 -4 -1 -2 -3 -4 -3 2 4
K -1 2 0 -1 -3 1 1 -2 -1 -3 -2 5
M -1 -1 -2 -3 -1 0 -2 -3 -2 1 2 -1 5
F -2 -3 -3 -3 -2 -3 -3 -3 -1 0 0 -3 0 6
P -1 -2 -2 -1 -3 -1 -1 -2 -2 -3 -3 -1 -2 -4 7
S 1 -1 1 0 -1 0 0 0 -1 -2 -2 0 -1 -2 -1 4
T 0 -1 0 -1 -1 -1 -1 -2 -2 -1 -1 -1 -1 -2 -1 1 5
W -3 -3 -4 -4 -2 -2 -3 -2 -2 -3 -2 -3 -1 1 -4 -3 -2 11
Y -2 -2 -2 -3 -2 -1 -2 -3 2 -1 -1 -2 -1 3 -3 -2 -2 2 7
V 0 -3 -3 -3 -1 -2 -2 -3 -3 3 1 -2 1 -1 -2 -2 0 -3 -1 4
【0154】
パーセント同一性は、次いで、以下のようにして算出される:
(同一マッチの合計数)/[長いほうの配列の長さ+2つの配列を整列させるために長いほうの配列に導入したギャップの数]×100
【0155】
実質的に相同なポリペプチドは、1又は2以上のアミノ酸置換、欠失又は付加を有することによって特徴づけられる。これらの変化は、重要でない性質のものが好ましく、すなわち、保存的アミノ酸置換(下記を参照されたい)及びポリペプチドの折り畳み又は活性に著しく影響しないその他の置換;典型的には1〜約30アミノ酸の小さい欠失;並びにアミノ末端メチオニン残基、約20〜25残基までの小さいリンカーペプチド若しくはアフィニティタグなどの小さいアミノ又はカルボキシル末端伸長である。
【0156】
保存的アミノ酸置換
塩基性:アルギニン
リジン
ヒスチジン
酸性:グルタミン酸
アスパラギン酸
極性:グルタミン
アスパラギン
疎水性:ロイシン
イソロイシン
バリン
芳香族:フェニルアラニン
トリプトファン
チロシン
小型:グリシン
アラニン
セリン
スレオニン
メチオニン
【0157】
20の標準アミノ酸に加えて、非標準アミノ酸(例えば4−ヒドロキシプロリン、6−N−メチルリジン、2−アミノイソ酪酸、イソバリン及びα−メチルセリン)で、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基を置換してよい。クロストリジウムポリペプチドアミノ酸残基は、限定数の非保存的アミノ酸、遺伝子コードによりコードされないアミノ酸及び非天然アミノ酸により置換してよい。本発明のポリペプチドは、天然に存在しないアミノ酸残基も含むことができる。
【0158】
天然に存在しないアミノ酸は、限定することなく、トランス−3−メチルプロリン、2,4−メタノ−プロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、N−メチルグリシン、アロ−スレオニン、メチル−スレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン及び4−フルオロフェニルアラニンを含む。天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質に組み込むためのいくつかの方法が、当該技術において知られている。例えば、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを用いてナンセンス変異が抑制されたインビトロ系を採用できる。アミノ酸及びアミノアシル化tRNAを合成するための方法は、当該技術において知られている。ナンセンス変異を含有するプラスミドの転写及び翻訳は、大腸菌S30抽出物と商業的に入手可能な酵素及びその他の試薬とを含む無細胞系において行われる。タンパク質は、クロマトグラフィーにより精製される。例えば、Robertson et al., J. Am. Chem. Soc. 113:2722, 1991;Ellman et al., Methods Enzymol. 202:301, 1991;Chung et al., Science 259:806-9, 1993;及びChung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10145-9, 1993を参照されたい。第2の方法において、翻訳は、ツメガエル卵母細胞において、変異mRNA及び化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAをマイクロインジェクションすることにより行われる(Turcatti et al., J. Biol. Chem. 271 :19991-8, 1996)。第3の方法において、大腸菌細胞を、置き換えられる天然アミノ酸(例えばフェニルアラニン)の非存在下、且つ所望の天然に存在しないアミノ酸(複数可)(例えば2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン又は4−フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養する。天然に存在しないアミノ酸は、その天然の対応物の代わりにポリペプチドに取り込まれる。Koide et al., Biochem. 33:7470-6, 1994を参照されたい。天然に存在するアミノ酸残基は、天然に存在しない種に、インビトロ化学修飾により変換できる。化学修飾は、置換の範囲をさらに拡大するために部位特異的突然変異誘発と組み合わせることができる(Wynn and Richards, Protein Sci. 2:395-403, 1993)。
【0159】
本発明のポリペプチドのアミノ酸残基は、限定数の非保存的アミノ酸、遺伝子コードによりコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸及び非天然アミノ酸で置換してよい。
【0160】
本発明のポリペプチド中の必須のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発などの当該技術において既知の手順に従って同定できる(Cunningham and Wells, Science 244: 1081-5, 1989)。生物学的相互作用の部位は、推定接触部位アミノ酸の変異と組み合わせた核磁気共鳴、結晶学、電子回折又は光親和性標識などの技術により決定されるように、構造の物理的解析により決定することもできる。例えばde Vos et al., Science 255:306-12, 1992;Smith et al., J. Mol. Biol. 224:899-904, 1992;Wlodaver et al., FEBS Lett. 309:59-64, 1992を参照されたい。必須のアミノ酸の同定は、本発明のポリペプチドの関連する構成要素(例えば
転移又はプロテアーゼ構成要素)との相同性の分析から推測することもできる。
【0161】
多重アミノ酸置換は、Reidhaar-Olson and Sauer(Science 241:53-7, 1988)又はBowie and Sauer(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-6. 1989)により開示されるものなどの突然変異誘発及びスクリーニングの既知の方法を用いて作製して試験できる。簡単に述べると、これらの著者らは、ポリペプチド中の2以上の位置を同時に無作為化し、機能的ポリペプチドを選択し、次いで、突然変異誘発されたポリペプチドを配列決定して、それぞれの位置での許容され得る置換の範囲を決定する方法を開示している。用いることができるその他の方法は、ファージディスプレイ(例えばLowman et al., Biochem. 30:10832-7, 1991;Ladner et al.、米国特許第5,223,409号明細書;Huse、国際公開第92/06204号パンフレット)及び領域特異的突然変異誘発(Derbyshire et al., Gene 46:145, 1986;Ner et al., DNA 7:127, 1988)を含む。
【0162】
多重アミノ酸置換は、Reidhaar-Olson and Sauer(Science 241:53-7, 1988)又はBowie and Sauer(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-6. 1989)により開示されるものなどの突然変異誘発及びスクリーニングの既知の方法を用いて作製して試験できる。簡単に述べると、これらの著者らは、ポリペプチド中の2以上の位置を同時に無作為化し、機能的ポリペプチドを選択し、次いで、突然変異誘発されたポリペプチドを配列決定して、それぞれの位置での許容され得る置換の範囲を決定する方法を開示している。用いることができるその他の方法は、ファージディスプレイ(例えばLowman et al., Biochem. 30:10832-7, 1991;Ladner et al.、米国特許第5,223,409号明細書;Huse、国際公開第92/06204号パンフレット)及び領域特異的突然変異誘発(Derbyshire et al., Gene 46:145, 1986;Ner et al., DNA 7:127, 1988)を含む。
【0163】
ここで、以下に、本発明の態様及び/又は実施形態を説明する図面の簡単な説明を記載する。