(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右の走行ブレーキに各別に連係された左右一対のブレーキペダル(19L),(19R)と、一方のブレーキペダル(19L),(19R)の踏込み操作によって他方のブレーキペダル(19L),(19R)が踏込み作動するように一対のブレーキペダル(19L),(19R)を連動させる連動手段とを備えた作業車両のブレーキ操作具であって、一対のブレーキペダル(19L),(19R)を互いに連結させる連結片(34),(47)によって連動機構を構成すると共に、連結片(34),(47)によるブレーキペダル(19L),(19R)同士の連結を解除する解除ペダル(38),(38L),(38R)を、ブレーキペダル(19L),(19R)の踏面(24a)の上方に臨ませて設け、解除ペダル(38),(38L),(38R)を踏込み操作するとともに一方のブレーキペダル(19L),(19R)を踏込み操作した場合には、連結片(34),(47)を介した他方のブレーキペダル(19L),(19R)との連結が解除されるとともに、該一方のブレーキペダル(19L),(19R)側の走行ブレーキのみが制動作動する作業車両のブレーキ操作具。
左右のブレーキペダル(19L),(19R)の踏面(24a)上方に、各別に臨む左右の解除ペダル(38L),(38R)を設けた請求項1記載の作業車両のブレーキ操作具。
ブレーキペダル(19L),(19R)を回動自在に支持する支持軸(22)に、解除アーム(36)を回動自在に支持し、該解除アーム(36)の先端部に、左右のブレーキペダル(19L),(19R)の踏面(24a),(24a)上方に各別に臨む左右の解除ペダル(38L),(38R)と、左右のブレーキペダル(19L),(19R)を互いに連結させる左右の連結片(34),(34)を装着すると共に、左右のブレーキペダル(19L),(19R)に当該連結片(34),(34)を係止する係止部(44),(44)を形成し、一方のブレーキペダル(19L),(19R)側の解除ペダル(38L),(38R)の踏込み操作に伴って、他方のブレーキペダル(19L),(19R)の係止部(44)から連結片(34)が離脱し、該他方のブレーキペダル(19L),(19R)と前記一方のブレーキペダル(19L),(19R)との連結が解除される請求項2記載の作業車両のブレーキ操作具。
一方のブレーキペダル(19L),(19R)側に配された解除ペダル(38L),(38R)における踏込み部分と反対側の端部に、他方のブレーキペダル(19L),(19R)側の連結片(34)を一体形成し、該連結片(34)を係止部(44)に係止される側に付勢する弾性部材(46)を設けた請求項3記載の作業車両のブレーキ操作具。
ブレーキペダル(19L),(19R)における踏面(24a)の下方側にカバープレート(37)を配置し、該カバープレート(37)を解除アーム(36)の先端部に固着し、左右の解除ペダル(38L),(38R)をカバープレート(37)の裏面側に回動自在に枢支した請求項4記載の作業車両のブレーキ操作具。
各ブレーキペダル(19L),(19R)に形成された係止部(44)は、連結片(34)が嵌入される凹部(44a)と、該凹部(44a)から離脱した連結片(34)が凹部(44a)に再度嵌入されるように該連結片(34)を案内するガイド部(44b)とを有する請求項4又は5の何れかに記載の作業車両のブレーキ操作具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の作業車両のブレーキ操作具は、ロック片を係止片に係合させてブレーキペダル同士を連結させた状態であれば、左右両方の走行ブレーキを共に制動作動させる両ブレーキ操作を、オペレータが無意識に行うことができる。
しかし、ロック片と係止片との係合が解除されている際、ブレーキペダル同士が連結されている状態であると勘違いしたオペレータが、片側のブレーキペダルのみを踏込み操作した場合、左右一方の走行ブレーキのみが制動する片ブレーキの誤操作が行われ、機体がオペレータの意図に反して急旋回する等の不都合がある。
また、ブレーキペダル同士が連結されている状態から、オペレータが意図的に片ブレーキ操作を行う場合、ロック片と係止片との係合を解除し、ブレーキペダル同士の連結を解除した後、左右一方のブレーキペダルを踏込み操作する必要があるため、片ブレーキ操作に手間が掛かる。
【0005】
本発明は、左右のブレーキペダルの片ブレーキ操作と、両ブレーキ操作とを誤操作なく、スムーズに行うことが可能な作業車両のブレーキ操作具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1に、左右の走行ブレーキに各別に連係された左右一対のブレーキペダル19L,19Rと、一方のブレーキペダル19L,19Rの踏込み操作によって他方のブレーキペダル19L,19Rが踏込み作動するように一対のブレーキペダル19L,19Rを連動させる連動手段とを備えた作業車両のブレーキ操作具であって、一対のブレーキペダル19L,19Rを互いに連結させる連結片34,47によって連動機構を構成すると共に、連結片34,47によるブレーキペダル19L,19R同士の連結を解除する解除ペダル38,38L,38Rを、ブレーキペダル19L,19Rの踏面24aの上方に臨ませて設け、解除ペダル38,38L,38Rを踏込み操作するとともに一方のブレーキペダル19L,19Rを踏込み操作した場合には、連結片34,47を介した他方のブレーキペダル19L,19Rとの連結が解除されるとともに、該一方のブレーキペダル19L,19R側の走行ブレーキのみが制動作動することを特徴としている。
【0007】
第2に、左右のブレーキペダル19L,19Rの踏面24a上方に、各別に臨む左右の解除ペダル38L,38Rを設けたことを特徴としている。
【0008】
第3に、ブレーキペダル19L,19Rを回動自在に支持する支持軸22に、解除アーム36を回動自在に支持し、該解除アーム36の先端部に、左右のブレーキペダル19L,19Rの踏面24a,24a上方に各別に臨む左右の解除ペダル38L,38Rと、左右のブレーキペダル19L,19Rを互いに連結させる左右の連結片34,34を装着すると共に、左右のブレーキペダル19L,19Rに当該連結片34,34を係止する係止部44,44を形成し、一方のブレーキペダル19L,19R側の解除ペダル38L,38Rの踏込み操作に伴って、他方のブレーキペダル19L,19Rの係止部44から連結片34が離脱し、該他方のブレーキペダル19L,19Rと前記一方のブレーキペダル19L,19Rとの連結が解除されることを特徴としている。
【0009】
第4に、一方のブレーキペダル19L,19R側に配された解除ペダル38L,38Rにおける踏込み部分と反対側の端部に、他方のブレーキペダル19L,19R側の連結片34を一体形成し、該連結片34を係止部44に係止される側に付勢する弾性部材46を設けたことを特徴としている。
【0010】
第5に、ブレーキペダル19L,19Rにおける踏面24aの下方側にカバープレート37を配置し、該カバープレート37を解除アーム36の先端部に固着し、左右の解除ペダル38L,38Rをカバープレート37の裏面側に回動自在に枢支したことを特徴としている。
【0011】
第6に、各ブレーキペダル19L,19Rに形成された係止部44は、連結片34が嵌入される凹部44aと、該凹部44aから離脱した連結片34が凹部44aに再度嵌入されるように該連結片34を案内するガイド部44bとを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
ブレーキペダル同士の連結を解除する解除ペダルを、ブレーキペダルの踏面の上方に臨ませて設けたため、通常或いは緊急時に無意識に左右のブレーキペダル、或いは一方のブレーキペダルを踏込めば、左右のブレーキペダルは連結されていて、両ブレーキ操作になるため、片ブレーキによって生ずる急旋回等の誤操作を未然に防止できる。また、片足で解除ペダルと一方のブレーキペダルとを意識的に一時に踏込むと、ブレーキペダル同士の連結が解除され、機体の小回り旋回等を行うことができる。そして、その際の解除ペダルの操作はブレーキペダルの踏込み操作と同様に、解除ペダルの踏込みによって行うことができるため、足の負担を無理強いしたり踏み損ねたりすることなく確実に左右のブレーキ連結を解除して、片ブレーキ操作を行うことができる。
【0013】
また、ブレーキペダルを回動自在に支持する支持軸に、解除アームを回動自在に支持し、該解除アームの先端部に、左右のブレーキペダルの踏面上方に各別に臨む左右の解除ペダルと、左右のブレーキペダルを互いに連結させる左右の連結片を装着すると共に、左右のブレーキペダルに当該連結片を係止する係止部を形成し、一方のブレーキペダル側の解除ペダルの踏込み操作に伴って、他方のブレーキペダルの係止部から連結片が離脱し、該他方のブレーキペダルと前記一方のブレーキペダルとの連結が解除され、一方のブレーキペダル側に配された解除ペダルにおける踏込み部分と反対側の端部に、他方のブレーキペダル側の連結片を一体形成し、該連結片を係止部に係止される側に付勢する弾性部材を設ければ、解除ペダルによる踏込み操作を解除すると、弾性部材の付勢力によって、自動的にブレーキペダル同士が連結されるため、ブレーキペダルの連動機構を比較的安価に構成できるものでありながら、解除状態から連結状態への移行を確実に行うことができる。
【0014】
また、ブレーキペダルにおける踏面の下方側にカバープレートを配置し、該カバープレートを解除アームの先端部に固着し、左右の解除ペダルをカバープレートの裏面側に回動自在に枢支すれば、カバープレートによって解除ペダルの枢支部が保護されて、当該部位への泥付着による作動不良を防止することができる。
【0015】
さらに、各ブレーキペダルに形成された係止部は、連結片が嵌入される凹部と、該凹部から離脱した連結片が凹部に再度嵌入されるように該連結片を案内するガイド部とを有することにより、片ブレーキ操作中に解除ペダルの踏込み操作を解除した際にも、その後のブレーキペダルの踏込み解除によって左右ブレーキペダル同士を確実に連結状態に復帰させることができるため、連結解除状態から連結状態への復帰操作を考慮する必要がなく、取扱性も良好なものにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明を適用した農業用のトラクタの側面図であり、
図2は、
図1のトラクタに設けられたブレーキ操作具の構成を示す要部斜視図である。作業車両の一種である
図1のトラクタは、左右一対の前輪1,1及び左右一対の後輪2,2によって構成された走行部3と、走行部3に支持された走行機体4と、走行機体4の後部の昇降リンク6を介して昇降自在に連結されたロータリ耕耘装置(作業機)7とを備え、下降されたロータリ耕耘装置7を駆動させた状態で、走行機体4を前進走行させることにより、圃場の耕耘作業(作業)を行う。
【0018】
走行機体4の後側半部にはキャビン8が立設され、キャビン8の前方にはエンジン9を開閉自在にカバーするボンネット11が開閉自在に設けられ、エンジン9で発生させた動力は、キャビン8下方に配されたミッションケース12内のトランスミッションによって、走行部3及びロータリ耕耘装置7に変速伝動される。
【0019】
キャビン8内には、オペレータが乗込む操縦部13が設置され、この操縦部13には、オペレータが着座する座席14と、座席14の前方に配置されたステアリングハンドル16とが設けられ、ステアリングハンドル16と座席14との間には、床面となるフロアステップ17が形成され、このフロアステップ17の前部且つステアリングハンドル16の真下側には、走行部3への動力伝動を断続する単一のクラッチペダル18と、左右一対のブレーキペダル19L,19Rとが、左右に並べられた状態で吊下げ配置されている。
【0020】
左右のブレーキペダル19L,19Rは、オペレータの右足で踏込み操作可能なように、クラッチペダル18とは反対側の機体進行方向右(以下、単に「右」)側に配置されている。この左右のブレーキペダル19L,19Rは、左右の連係機構21L,21Rを介して、左右の走行ブレーキ(図示しない)に各別に機械的に連結されている。左右の走行ブレーキは、対応する走行部3,3を個別に制動し、速度を減速又は走行停止させるように構成されている。要するに、左右のブレーキペダル19L,19Rは、左右の走行ブレーキを介して、左右の走行部3,3のブレーキ操作を個別に行う。
【0021】
具体的な構成を説明すると、フロアステップ17の前部側にはブラケットを介して、左右方向の支持軸22が、自身の軸回りに回動自在に支持されており、左右の各ブレーキペダル19L,19Rは、支持軸22側から下方に延設された支持アーム23,23と、支持アーム23,23の下端部(先端部)に一体的に設けられた踏板24,24とから構成されている。各支持アーム23,23は、上部及び中途部に対して下部が後方に屈曲形成されている。各踏板24,24は、側面視後方に向かって下降傾斜するように支持アーム23,23の先端部に設置され、踏板24の上面がオペレータの足を載せる踏面24aになる。
【0022】
各支持アーム23の上端部は、支持軸22に外嵌された支持筒26に、溶接等により一体的に取付固定されている。この左右の支持筒26,26の一方(左側)は支持軸22に対してピンで固定され、他方は支持軸22の軸回りに回転自在に支持されている。このため、左右一方の支持アーム23は、支持軸22と一体で前後回動するが、他方の支持アーム23は、支持軸22の軸回りに、該支持軸22とは別に前後回動される。
【0023】
支持軸22と一体で前後回動するブレーキペダル19L側の連係機構21Lは、該支持軸22と、該支持軸22と一体で回動する連係アーム27と、連係アーム27の回動を対応する走行ブレーキに伝えるリンク機構28とから構成されている。一方、支持軸22に前後回動自在に支持されたブレーキペダル19R側の連係機構21Rは、上記支持筒26と一体で回動する連係アーム29と、連結アーム29の回動を対応する走行ブレーキに伝えるリンク機構31とから構成されている。
【0024】
そして、支持筒26,26側に設けられた引張スプリングで構成する弾性部材32,32によって、各ブレーキペダル19L,19R(各支持アーム23)は、後方回動側に付勢され、この弾性付勢力によって、未操作の状態時の各ブレーキペダル19L,19Rは後方位置に回動された状態になり、この状態では、走行ブレーキが非作用な状態になる。
【0025】
すなわち、ブレーキペダル19L,19Rは、弾性部材32,32によって常時走行ブレーキ切側に付勢されている。一方、踏面24aに右足を載せ、弾性部材32の付勢力に抗して、ブレーキペダル19L,19Rを踏込み操作すると、該ブレーキペダル19L,19Rに機械的に連係された走行ブレーキが制動作動し、該走行ブレーキ側の走行部3,3にブレーキがかかる。
【0026】
このように構成されたブレーキペダル19L,19Rであるが、この左右のブレーキペダル19L,19Rには、ブレーキペダル19L,19R同士を連結するとともに該連結を解除する連結・解除機構33(
図3乃至
図8参照)が設けられ、この連結・解除機構33と、左右ブレーキペダル19L,19Rとによって本発明のブレーキ操作具が構成されており、このブレーキ操作具によれば、左右の走行ブレーキを両方制動作動させる両ブレーキ操作と、左右の走行ブレーキの一方のみを制動作動させる片ブレーキ操作とを、誤操作が防止された状態で、スムーズに行うことが可能になる。
【0027】
次に、
図3乃至
図8に基づき連結・解除機構33の構成を説明する。
図3(A)はブレーキペダル及び連結・解除機構の側面図であり、(B)は(A)のB矢視図であり、
図4(A),(B)はブレーキペダル及び連結・解除機構の正面側斜視図及び背面側斜視図である。ちなみに、ブレーキペダル19L,19Rはオペレータ側(進行方向後方側)を向いた部材であるため、ブレーキペダル19L,19Rの後側面を正面としている。連結・解除機構33は、ブレーキペダル19L,19R同士を連結する左右一対の連結片34,34と、支持軸22側から下方に突出し且つ支持軸22に前後回動自在に支持された解除アーム36と、解除アーム36の下端部(先端部)に固着されたカバープレート37と、カバープレート37の裏面側(背面側)に回動自在に支持された左右一対の解除ペダル38L,38Rとを備えている。
【0028】
上記解除アーム36は左右のブレーキペダル19L,19R間に配置され、側面視支持アーム23に沿うように解除アーム36の下部が上部及び中途部に対して後方に屈曲形成されている。この解除アーム36の上端が、支持軸22に軸回りに回動自在に外嵌された支持スリーブ39に溶接等で取付固定されている。そして、左右の支持筒26,26に挟まれた支持スリーブ39には弾性部材41(
図2参照)が装着されており、これにより解除アーム36は、常に後方側に回動するように付勢されている。
【0029】
上記カバープレート37は、左右両側のブレーキペダル38L,38Rの下方側(具体的には、踏板24の踏面24aと反対側の面である下面側)に位置するように、解除アーム36の先端部における前縁側に取付固定されている。そして、このカバープレート37は、左踏板24から右踏板24に至る左右幅を有している。ちなみに、カバープレート37の解除アーム36への取付構造について説明すると、解除アーム36の背面(前面)下部には側面視逆L字状の取付ブラケット40が固着され、この取付ブラケット40に、側面視L字状に屈曲されたカバープレート37が、ボックス状をなすように溶着等で固着され、このボックス状内に解除アーム36の先端部が収容された状態になる。
【0030】
上記解除ペダル38L,38Rは、への字状に屈曲された天秤アーム42と、解除側踏板43とを備えている。この左右の天秤アーム42は、背面視クロスするようにして、への字の屈曲部分が、カバープレート37の裏面側に取付ブラケット40を介して左右回動自在に軸支(枢支)されている。各天秤アーム42の一方側部分は後方に屈曲形成され、この一方側部分の端部(先端部)には、上面が踏面43aとなる上記解除側踏板43が、ブレーキペダル19L,19Rの踏面24aの上方側に臨むようにして、一体的に取付けられている。
【0031】
すなわち、解除ペダル38L,38Rの解除側踏板43(踏込み部分)が一方側ブレーキペダル19L,19Rの踏面24aの上方側に近接状態で臨む一方で、解除ペダル38L,38Rの踏込み部分と反対側の端部(連結側端部)は他方側ブレーキペダル19L,19Rの踏板24の前方且つ下方側に位置している。
【0032】
上記左右の連結片34は、左右の解除ペダル38L,38Rの連結側端部にそれぞれ一体形成されている。一方、各ブレーキペダル19L,19Rの支持アーム23,23の先端部からは、前方に向かって延びる係止部44が一体的に突設されている。ブレーキペダル19L,19Rの係止部44に、対応する連結片34が係脱自在に係合することにより、該ブレーキペダル19L,19Rが、取付ブラケット40を介して、解除アーム36に連結され、この解除アーム36と該ブレーキペダル19L,19Rとが一体で前後回動するようになる。
【0033】
そして、左側の連結片34が右側の係止部44に係合するとともに、右側の連結片34が左側の係止部44に係合することにより、取付ブラケット40及び解除アーム37を介して、左右のブレーキペダル19L,19R同士が連結され、この結果、左右のブレーキペダル19L,19R及び解除アーム36が一体で回動する状態になる。ちなみに、天秤アーム42の連結片34側端部を、係止部44側に回動させる側に弾性付勢する引張スプリング等の弾性部材46が、該各天秤アーム42とカバープレート37の間に設置され、この左右の弾性部材46,46によって、左右の連結片34が、対応する係止部44と係合する側に、それぞれ弾性付勢される。
【0034】
図5は、係止部44及び連結片34の構成を示す要部側面図である。係止部44及び連結片34の構成についてさらに詳細に説明すると、該係止部44には、対応する連結片34を凹凸嵌合させて係止する凹部44aと、該凹部44aから離脱し且つ上記弾性部材46によって係止部44側に付勢された非係合状態の連結片44を凹部44aにガイドする案内縁であるガイド部44bとが形成されている。
【0035】
図6(A)乃至(C)は、左右一方側の解除ペダルを踏込み操作した状態を示す正面図、側面図及び背面側斜視図であり、
図7(A)乃至(C)は、左右一方側の解除ペダルと共に該解除ペダル側のブレーキペダルを踏込み操作した状態を示す正面図、側面図及び背面側斜視図であり、
図8(A)乃至(C)は、左右一方側の解除ペダル及びブレーキペダルの踏込み操作を解除した場合の作動状態を示す正面図、側面図及び背面側斜視図である。
【0036】
座席14に着座したオペレータが、右足で、一方側(図示する例では左側)のブレーキペダル19Lのみを踏込み操作する片ブレーキ操作を行う場合を説明する。
【0037】
オペレータは、まず、該左右一方側の解除側踏板43(解除ペダル38L)の踏面43aに右足を載せて、弾性部材46の弾性力に抗して前方斜め下方に踏込む。すると、左右他方側のブレーキペダル19Rの係止部44に設けられた凹部44aから連結片34が上方に離脱し、両者の係合が解除され、該他方側のブレーキペダル38Rと取付ブラケット40との連結が解除(すなわち一方側ブレーキペダル38Lと他方側のブレーキペダル38Rとの連結が解除)される(
図6参照)。
【0038】
続いて、上記一方側の解除側踏板43の踏面43aと、該解除側踏板43に近い側のブレーキペダル19Lの踏面24aとに右足を載せ、該解除ペダル38Lとブレーキペダル19Lをまとめて踏込み操作すると、該一方側のブレーキペダル19Lのみが踏込み操作される片ブレーキ操作が行われ、該一方側の走行部3にのみ走行ブレーキを介して制動力が作用する(
図7参照)。
【0039】
最後に、上記一方側の解除ペダル38L及びブレーキペダル19Lから右足を離すと、弾性部材46の弾性力により、連結片34がガイド部44bに沿って凹部44aに向かってガイド作動され、該連結片34と凹部44aとが自動的に凹凸嵌合され、上記他方側のブレーキペダル19Rと取付ブラケット40(及び上記一方側のブレーキペダル19L)が再び連結される(
図8参照)。
【0040】
また、座席14に着座したオペレータが、右足で、左右両側のブレーキペダル19L,19Rを踏込み操作する両ブレーキ操作を行う場合を説明する。
【0041】
オペレータは、意識せずに、少なくとも一方側のブレーキペダル19L,19Rを踏込み操作すると、左右の連結片34,34によってブレーキペダル19L,19R同士が連結されているため、両ブレーキペダル19L,19Rがまとめて踏込み操作され、両ブレーキ操作が行われる。
【0042】
以上のように構成されるブレーキ操作具によれば、意識的且つ自然に左右一方側の解除ペダル38L,38R及びブレーキペダル19L,19Rを片足で踏込み操作することにより、片ブレーキ操作を行うため、片ブレーキ操作を迅速且つスムーズに行うことができるとともに、両ブレーキ操作と勘違いして片ブレーキ操作を行うことも効率的に防止される。
【0043】
また、片ブレーキ操作を終了させれば、ガイド部44b及び弾性部材46の作用によって、自動的に両ブレーキ操作可能な状態に復帰するため、両ブレーキ操作を迅速且つスムーズに行うことが可能になる。そして、ブレーキペダル19L,19Rにおける踏面24aの下方側にカバープレート37を配置し、左右の解除ペダル38L,38Rをカバープレート37の裏面側に取付ブラケット40を介して回動自在に枢支するため、泥が付着した靴でブレーキペダル19L,19Rの踏面24を踏み込んだ際にも、カバープレート37によって左右の解除ペダル38L,38Rの枢支部は保護され、枢支部の泥付着による作動不良を防止することができる。
【0044】
次に、
図9及び
図10に基づきブレーキ操作具の別実施形態について上述の例と異なる部分を説明する。
図9は、ブレーキ操作具の別実施形態の構成を示す斜視図であり、
図10(A)はブレーキペダル同士が連結された状態を示す断面図であり、(B)はブレーキペダル同士が連結されていない状態を示す断面図である。上述した例では、左右のブレーキペダル19L,19Lの上方側近傍に、左右一対の解除ペダル38L,38Rが各別に臨んだが、本例では、左右のブレーキペダル19L,19Rの上方側に単一の解除ペダル38が臨むように構成されている。
【0045】
具体的に説明すると、図示するブレーキ操作具は、解除アーム36の先端部に、左右のブレーキペダル19L,19Rの踏面24a,24a上方に臨む単一の解除ペダル38(解除側踏板43)を固設し、左右一方側(図示する例では右側)のブレーキペダル19Rの支持筒26には、前記連結片として機能する左右方向の連結棒47を、支持部材48を介して、軸方向に移動可能に支持するとともに、左右他方側のブレーキペダル19Lの支持筒26には、該連結棒47が挿脱自在に挿入される連結孔49aが開口形成されたプレート状の係止部49を設け、連結棒47を、連結孔49aに挿入される側に付勢する弾性部材51を、連結棒47の外周に装着し、係止部49及び連結棒47が位置する側には、解除ペダル38の踏込み及び踏込み解除による上下回動に伴って連結棒47を軸方向に移動作動させる作動機構52が設けられている。
【0046】
作動機構52は、支持スリーブ39と一体回動するカム53と、連結棒47と一体で軸方に移動する接当部54とを備えている。そして、解除ペダル38が踏込み操作された場合には、カム53が接当部54に接当し、弾性部材51の弾性力に抗して、該連結棒47を連結孔49aから抜出す側に移動させ、これによって、ブレーキペダル19L,19R同士の連結が解除され、片ブレーキ操作可能な状態になる。一方、解除ペダル38の踏込みが解除された場合には、カム53が接当部54に対して非作用状態になり、弾性部材51の弾性力により連結棒47が連結孔49aに再び挿入される。
【0047】
ちなみに、左右のブレーキペダル19L,19R及び解除ペダル38の踏込み解除時、弾性部材51の付勢力によって、左右のブレーキペダル19L,19Rが最後方位置に回動された状態になり、連結棒47と連結孔49aの位置が側面視で一致し、連結棒47がスムーズに連結孔49aに挿入され、左右のブレーキペダル19L,19R同士が自動的且つ円滑に連結される。
【0048】
該構成のブレーキ操作具によれば、一方のブレーキペダル19L,19Rのみを意識的に解除ペダル38とともに踏込むことにより片ブレーキ操作を行うとともに、通常、又は緊急時に少なくとも一方のブレーキペダル19L,19Rを踏込むことにより、両ブレーキ操作を行う。
【0049】
次に、
図11及び
図12に基づき、
図9及び
図10に示すブレーキ操作具の変形例について上述の例と異なる部分を説明する。
図11(A)はブレーキペダル同士が連結された状態を示す断面図であり、(B)はブレーキペダル同士の連結が解除された状態を示す断面図である。
【0050】
本例では、前記解除アーム36及び解除ペダル38を設けずに、左右の支持筒26,26を直接的に隣接させ、係止部49を挟んだ連結棒47の反対側には、連結孔49aに挿脱自在に挿入される左右方向の係脱軸56を有するソレノイド57を設けている。
【0051】
ソレノイド57の非駆動時、連結棒47は、弾性部材51の付勢力によって、連結孔49aに挿入され、ブレーキペダル19L,19R同士が連結された状態になる(
図12(A)参照)。一方、ソレノイド57を駆動させると、係脱軸56が連結孔49aに挿入され、これに伴って連結棒47が連結孔49aから抜出され、ブレーキペダル19L,19R同士の連結が解除された状態になる(同図(B)参照)。このようにしてソレノイド57の非駆動・駆動を切換えることにより、両ブレーキ操作状態と、片ブレーキ操作可能状態との切換えることが可能になる。
【0052】
図12は、ステアリングハンドルの背面図である。ステアリングハンドル16のステアリング軸(図示しない)側からの側方に向かって、ロータリ耕耘装置7の昇降操作用の操作レバー58が設けられている。この操作レバー58を、ステアリングハンドル16から離間・近接する方向に揺動させることにより、ロータリ耕耘装置7の昇降操作を行う他、この操作レバー58をステアリング軸回りに回動操作することにより、上述したソレノイド57の駆動の入切操作を行う。
【0053】
具体的には、この操作レバー58を、ステアリング軸回りの一方側(図示する例では前方側)に回動操作することにより、上記ソレノイ57が駆動し、ブレーキペダル19L,19R同士を連結させる一方で、他方側に回動操作することにより、上記ソレノイド57が駆動停止し、ブレーキペダル19L,19R同士の連結が解除される。すなわち、操作レバー58は、ステアリング軸回りの回動操作によって、操作位置を、後側の駆動停止位置と前側の駆動位置との間で切換えることにより、ソレノイド57の駆動及び駆動停止を行う。
【0054】
また、ステアリングハンドル16の回動によって操向操作(ステアリング操作)を行うが、機体を左右に旋回操作した後に直進走行するように、ステアリング操作を行った場合、操作レバー58の基端側に設けられた従来公知のキャンセルロータ(図示しない)の機能によって、操作レバー58が駆動停止位置に自動的に復帰作動される。すなわち、ステアリング操作とともに片ブレーキ操作をして、機体を小回り旋回させた後は、自動的に両ブレーキ操作状態に復帰する。