(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハウジングの下方へ突出させたスピンドルに円盤状工具を装着すると共に、前記ハウジングの下端部に、前記円盤状工具の少なくとも後半部を上方から覆う保護カバーの上端に設けた筒状部を装着して、前記保護カバーの内部への注水機構を具備してなる注水式電動工具に用いられて、弾性材料からなる防水シートであって、
前端に、前記保護カバーの外側で前記保護カバーの上面に沿って前記ハウジング側に着脱可能な装着部を有し、前記装着部を前記ハウジング側に装着した平面視で前記保護カバーよりも後方へ突出する長さを有することを特徴とする防水シート。
前記防水シートの幅方向の両側端部の後端を、前記幅方向における中央側よりも後方へ突出するように形成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の防水シート。
前記ハウジングの後部に、当該ハウジング内に空気を導入する吸気口が形成されたものにおいて、前記防水シートの後部に、前記防水シートが前記吸気口を覆って当該防水シートの幅方向の両端部を互いに重ね合わせて固定する固定部を設けたことを特徴とする請求項8又は9に記載の防水シート。
ハウジングの下方へ突出させたスピンドルに円盤状工具を装着すると共に、前記ハウジングの下端部に、前記円盤状工具の少なくとも後半部を上方から覆う保護カバーの上端に設けた筒状部を装着して、前記保護カバーの内部への注水機構を具備してなる注水式電動工具であって、
前記ハウジング側に、請求項1ないし10のいずれかに記載の防水シートを装着したことを特徴とする注水式電動工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、円盤状工具によって被加工材の加工をするときに、バルブやホース等の注水機構を具備する注水式電動工具により、加工部に注水を行う場合がある。このような注水式電動工具においては、作業者に水がかかることを防止するために、弾性材料からなる防水シートを、円盤状工具を覆う保護カバーに対しリベット等で保護カバーの下方へ突出状態で取り付けたものがある。しかしながら、例えば円盤状工具で平面を研磨加工等するときは、防水シートが研磨面に押し付けられて保護カバーの内側へ折れ曲がると、折れ曲がった防水シートが円盤状工具に巻き込まれることが考えられる。その結果、防水シートが研磨加工等を妨げることが懸念される。
【0005】
さらに、例えば円盤状工具で被加工材の角部を面取り加工する場合に、注水式電動工具を円盤状工具が水平姿勢から後方へ傾くようにして使用すると、注水式電動工具の保護カバーに取り付けられた防水シートが傾いて被加工材に当たることが考えられる。その結果、防水シートが作業の妨げになることも懸念される。加えて加工部に注水された水が、傾いた防水シートを伝って下方へ垂れることになると、作業者に水がかかることも懸念されていた。
【0006】
この発明は、このような状態に鑑み提案されたものであって、加工を妨げることなく作業者に水がかかることを防止した防水シート、該防水シートを装着した注水式電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る防水シートは、ハウジングの下方へ突出させたスピンドルに円盤状工具を装着すると共に、前記ハウジングの下端部に、前記円盤状工具の少なくとも後半部を上方から覆う保護カバーの上端に設けた筒状部を装着して、前記保護カバーの内部への注水機構を具備してなる注水式電動工具に用いられて、弾性材料からなる防水シートであって、前端に、
前記保護カバーの外側で前記保護カバーの上面に沿って前記ハウジング側に着脱可能な装着部を有し、前記装着部を前記ハウジング側に装着した平面視で前記保護カバーよりも後方へ突出する長さを有することを特徴とする。なお前記ハウジング側には、ハウジング自体と該ハウジングに装着される筒状部とを含むものとする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記装着部が前記筒状部に装着されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記防水シートを透明の前記弾性材料で形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記防水シートの幅方向の両側端部を、前記平面視で前記保護カバーの外面よりも外側へ突出させたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記防水シートの後端に、前記注水式電動工具との係着部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかにおいて、前記装着部は、前記筒状部の外周に嵌まる開口部であることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかにおいて、前記防水シートの幅方向の両側端部の後端を、前記幅方向における中央側よりも後方へ突出するように形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1において、前記ハウジングが、サイドハンドルを着脱可能に螺合させるネジ孔を有するものにおいて、前記装着部を、当該ネジ孔に螺合されるネジ部材を挿通可能な挿通孔として、前記防水シートは、前記挿通孔に挿通されて前記ネジ孔に螺合させた前記サイドハンドル又は前記ネジ部材を介して前記ハウジングに装着されることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8において、前記防水シートは、前記ハウジングに装着した平面視で当該ハウジングの後端よりも後方へ突出する長さを有することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項8又は9において、前記ハウジングの後部に、当該ハウジング内に空気を導入する吸気口が形成されたものにおいて、前記防水シートの後部に、前記防水シートが前記吸気口を覆って当該防水シートの幅方向の両端部を互いに重ね合わせて固定する固定部を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明に係る注水式電動工具は、ハウジングの下方へ突出させたスピンドルに円盤状工具を装着すると共に、前記ハウジングの下端部に、前記円盤状工具の少なくとも後半部を上方から覆う保護カバーの上端に設けた筒状部を装着して、前記保護カバーの内部への注水機構を具備してなる注水式電動工具であって、前記ハウジング側に、請求項1ないし10のいずれかに記載の防水シートを装着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明に係る防水シート及び請求項11の発明に係る注水式電動工具によれば、例えば円盤状工具で平面の研磨加工等をするときは、弾性変形した防水シートが、注水式電動工具の保護カバー上面に沿って保護カバーの外側に配設され保護カバーの内側にある円盤状工具に巻き込まれることがない。したがって防水シートは、円盤状工具による平面研磨等を妨げることがない。さらに例えば円盤状工具で被加工材の面取り加工をするときも、防水シートは、保護カバー上面に沿って保護カバーを覆い保護カバーの後方から下方へ垂れ下がる。このため、防水シートが被加工材に接近することを防止し、保護カバーを伝って下方へ垂れる水が防水シートで受けられて作業者にかかることを防止できる。したがって防水シートは、円盤状工具による面取り加工を妨げることなく作業者に水がかかることを防止できる。
請求項2の発明によれば、弾性変形した防水シートを保護カバーの上面に沿わせることが容易になる。よって、防水シートが保護カバーの内側にある円盤状工具に巻き込まれることを効果的に防止できる。
請求項3の発明によれば、透明な防水シートをハウジング側に装着した状態で、防水シートを通して被加工材や円盤状工具を目視で確認できる。
請求項4の発明によれば、防水シートは保護カバーの後方の広範囲で水を受けることができる。したがって、保護カバーの内部に注水された水が、円盤状工具の回転に伴って保護カバーの外側に飛散した場合でも、水が作業者にかかることを防止できる。
請求項5の発明によれば、係着部によって注水式電動工具に防水シートの後端を係着させることで、前記後端を注水式電動工具に固定できる。よって注水式電動工具による加工時には防水シートが被加工材に当たることがないため、注水式電動工具の移動動作がスムーズになって加工の作業性が向上する。
請求項6の発明によれば、防水シートに、前端を保護カバーの筒状部に固定する部材を設けなくても、開口部を筒状部の外周に嵌めるだけで、防水シートの前端を筒状部に取り付けることができる。したがって、安価かつ簡単な構造で、防水シートの前端を筒状部に取り付けることが可能になる。
請求項7の発明によれば、保護カバーの外側に飛散した水が、防水シートに付着した後に防水シートを伝って両側端部の後端から落下し易くなる。したがって、防水シートの水切りが良好になる。
請求項8の発明によれば、防水シートの挿通孔に挿通させたサイドハンドル又はネジ部材を、ハウジングに形成したサイドハンドルの着脱に用いるネジ孔に螺合させるだけで、防水シートを簡単にハウジングに装着できる。
請求項9の発明によれば、保護カバーの内部に注水された水が、保護カバーの外側に飛散した場合でも、水がハウジングにかかることを防止できる。
請求項10の発明によれば、固定部によって防水シートの幅方向の両端部を互いに重ね合わせると、吸気口が防水シートで覆われるため、吸気口からハウジング内に水が浸入することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図4を参照しつつ説明する。
図1に示す注水サンダ1は、本体ハウジング10と、ギヤハウジング20と、保護カバー30と、注水機構と、防水シート50とを備えている。なお、注水サンダ1は本発明の注水式電動工具の一例である。
【0021】
本体ハウジング10は、筒状に形成されてモータ11を収容する。モータ11の回転軸12は、軸受13を介して本体ハウジング10内に回転可能に支持されている。回転軸12の先端には第1ベベルギヤ14が設けられている。本体ハウジング10の後端には、モータ11等に給電する電源コード15が接続されている。
【0022】
ギヤハウジング20は、本体ハウジング10の前方(
図1の左側)に組み付けられている。ギヤハウジング20内には、本体ハウジング10から回転軸12が突入している。加えてギヤハウジング20内には、スピンドル21が軸受22、23を介して回転可能な状態で回転軸12と直交状に支持されている。スピンドル21の上方側には第2ベベルギヤ24が外装されている。この第2ベベルギヤ24に第1ベベルギヤ14が噛合することにより、回転軸12の回転がスピンドル21に伝達される。スピンドル21の下端は、ギヤハウジング20の下端部に連設された円筒部25に対して挿通状態でハウジング20の下方へ突出している。スピンドル21の下端には、円盤状の研磨工具26がスピンドル21と直交状に装着されている。なお、円盤状の研磨工具26は本発明の円盤状工具の一例である。
【0023】
保護カバー30は、合成ゴム製で
図1及び
図2に示すように半円形の皿状に形成されている。下向きに開口する保護カバー30の上端には、合成ゴム製の筒状部31が、保護カバー30の内部と連通するように一体に形成されている。この筒状部31は、円筒部25に外装されてバンド32で締結される。筒状部31が円筒部25に締結された状態では、保護カバー30は、
図1に示すように研磨工具26の後半部を上方から非接触で覆う。
図1及び
図4に示すように、保護カバー30の最後方位置でかつ左右対称位置には、保護カバー30の内部と連通して左右方向へ開口する排水部33、33が突設されている。排水部33、33も合成ゴムによって形成されている。
【0024】
注水機構は、注水路41と給水管42とバルブ開閉レバー43とを備えている。注水路41は、スピンドル21内で軸方向に形成されてスピンドル21の先端面に開口する。給水管42は、フレキシブルチューブによって形成されて、本体ハウジング10の下方で本体ハウジング10の前後方向(
図1の左右方向)に配置されている。給水管42の前端は、チューブ継手42Aを介して円筒部25に挿着されて注水路41と連結されている。一方給水管42の後端は、バルブ開閉レバー43とホース継手44とに接続されている。ホース継手44には、例えば水道管と接続されたホースが着脱可能に接続できる。バルブ開閉レバー43は、ホース継手44内のバルブを開閉できる。
【0025】
防水シート50は、1枚の弾性材料(ここでは透明な合成ゴム)で形成されて、
図1ないし
図4に示すように保護カバー30の筒状部31に装着される。
図2ないし
図4に示すように防水シート50の前端(
図2及び
図4の左側)には、筒状部31と略同径に打ち抜かれた開口部51が設けられている。開口部51を筒状部31の外周に嵌めることで、防水シート50の前端を筒状部31に装着できる。一方開口部51を前記外周から抜き取ることで、防水シート50の前端を筒状部31から取り外し可能となる。なお、筒状部31は本発明のハウジング側の一例であり、開口部51は本発明の装着部の一例である。
【0026】
図1及び
図4に示すように防水シート50の長さ寸法Lは、開口部51を筒状部31の外周に嵌めた平面視で、保護カバー30の最後方位置よりも後方へ突出する長さに設定されている。さらに防水シート50の最大左右幅寸法Wは、保護カバー30の直径寸法や排水部33、33間の左右幅寸法よりも長く設定されている。これにより、防水シート50の左右幅方向Xの両側端部52、53は、前記平面視で保護カバー30の外面や排水部33、33の外面よりも外側へ突出する。このため防水シート50を装着した注水サンダ1を持ち上げた状態では、
図1及び
図2に示すように防水シート50は、弾性変形することで保護カバー30の上面に沿って延びて保護カバー30を覆い、防水シート50の後端は、保護カバー30や排水部33、33の外側で保護カバー30の下端や排水部33、33の下端よりも下方へ垂れ下がる。
【0027】
さらに
図4に示すように防水シート50の後端面は、左右幅方向Xの中央側から前記両側端部52、53側に防水シート50の長さ方向Yにおける後方へ向けて円弧状に延びており、両側端部52、53の後端(
図4の右側)は、左右幅方向Xの中央側よりも長さ方向Yにおける後方へ突出するように形成されている。防水シート50を装着した注水サンダ1を持ち上げた状態では、
図3に示すように両側端部52、53の後端は、左右幅方向Xの中央側よりも下方へ垂れ下がることになる。
【0028】
次に防水シート50を装着した注水サンダ1の動作を説明する。この注水サンダ1によって被加工材の平面を研磨する場合には、作業者が本体ハウジング10を把持してスイッチをON状態にすることでモータ11を駆動させる。モータ11の駆動に伴って回転する研磨工具26を、被加工材の平面に当てながら移動させることで前記平面を研磨する。このとき防水シート50は、
図4に示す如く保護カバー30の上面に沿って配設されると共に、防水シート50の後端側は保護カバー30や排水部33、33の外側の後方で前記平面上に接して延びた状態で移動する。ここでは防水シート50は透明な合成ゴムで形成されているため、作業者は防水シート50を通して被加工材や研磨工具26を目視で確認しながら研磨加工ができる。前記平面の研磨加工をするときは、バルブ開閉レバー43を操作してホース継手44内のバルブを開くと、ホースから供給される水が注水路41から保護カバー30の内部へ噴き出す。保護カバー30の内部へ噴き出した水は、被加工材を冷却すると共に被加工材から発生した粉塵を取り込んで保護カバー30の外部へ流出させる。
【0029】
一方注水サンダ1によって被加工材の角部を面取り加工する場合には、例えば作業者は、研磨工具26が水平姿勢から後方へ傾くように本体ハウジング10を支持する。この状態で、注水路41から水を保護カバー30の内部へ噴き出しながら研磨工具26で前記角部を研磨すると、保護カバー30の内面や排水部33、33の内面を伝って水が排水部33、33から排出される。ところが、保護カバー30や排水部33、33の下方へ落下する水もある。この場合でも保護カバー30や排水部33、33の外側で、防水シート50が保護カバー30の下端や排水部33、33の下端よりも下方へ垂れ下がるため、保護カバー30や排水部33、33の下方へ落下した水は、防水シート50で受けられる。防水シート50に付着した水は、垂れ下がった防水シート50を伝って両側端部52、53の後端から落下し易くなる。さらに防水シート50が、保護カバー30の上面に沿って配設されることで被加工材に接近することを防止できる。その上、面取り加工する場合に作業者が、研磨工具26が垂直となるように本体ハウジング10を支持することで、防水シート50が被加工材に当たることがある。この場合でも、防水シート50は弾性変形するため面取り加工の妨げになることはない。
【0030】
また、
図3に示す如く防水シート50の左右幅方向Xの両側端部52、53は、保護カバー30の外面や排水部33、33の外面よりも外側へ突出するため、研磨工具26の回転によって保護カバー30や排水部33、33の外側へ飛散した水を、防水シート50で受けることもできる。
【0031】
<実施形態1の効果>
本実施形態の防水シート50及び防水シート50を装着した注水サンダ1では、研磨工具26で被加工材の平面を研磨するときは、弾性変形した防水シート50が、保護カバー30の上面に沿って保護カバー30の外側に配設され保護カバー30の内側にある研磨工具26に巻き込まれることがない。したがって防水シート50は、研磨工具26による平面研磨を妨げることがない。さらに研磨工具26で被加工材の面取り加工をするときも、防水シート50は、保護カバー30の上面に沿って保護カバー30を覆い保護カバー30や排水部33、33の後方から下方へ垂れ下がる。このため、防水シート50が被加工材に接近することを防止し、保護カバー30や排水部33、33を伝って下方へ垂れる水が防水シート50で受けられて作業者にかかることを防止できる。したがって防水シート50は、研磨工具26による面取り加工を妨げることなく作業者に水がかかることを防止できる。加えて、防水シート50の開口部51を、保護カバー30の筒状部31の外周に嵌めることで、弾性変形した防水シート50を保護カバー30の上面に沿わせることが容易になる。よって、防水シート50が保護カバー30の内側にある研磨工具26に巻き込まれることを効果的に防止できる。
【0032】
また、防水シート50は透明な合成ゴムで形成されているため、作業者は防水シート50を通して被加工材や研磨工具26を目視で確認できる。
【0033】
さらに、防水シート50の左右幅方向Xの両側端部52、53は、保護カバー30の外面よりも外側へ突出するため、防水シート50は保護カバー30の後方の広範囲で水を受けることができる。したがって、保護カバー30の内部に注水された水が、研磨工具26の回転によって保護カバー30の外側に飛散した場合でも、水が作業者にかかることを防止できる。
【0034】
加えて防水シート50に、前端を保護カバー30の筒状部31に固定する部材を設けなくても、開口部51を筒状部31の外周に嵌めるだけで、防水シート50の前端を筒状部31に取り付けることができる。したがって、安価かつ簡単な構成で、防水シート50の前端を筒状部31に取り付けることが可能になる。
【0035】
さらに加えて、保護カバー30の外側に飛散した水が、防水シート50に付着した後に防水シート50を伝って両側端部52、53の後端から落下し易くなる。したがって、防水シート50の水切りが良好になる。
【0036】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を
図5ないし
図7を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。
図5に示す注水サンダ1Aでは、防水シート50Aの後端(
図5の右側)を給水管42に固定できる。防水シート50Aは、
図5ないし
図7に示すように係着具受入孔55と係着具56とを備えている。
【0037】
図6に示すように係着具受入孔55は、防水シート50Aの後端(
図6の右側)で左右幅方向Xにおける略中央位置に設けられている。係着具56は、プラスチック製で
図7に示すように軸部56Aと給水管保持部56Bとを備えている。軸部56Aの外周面には、周方向に沿って周溝56Cが形成されている。給水管保持部56Bは、軸部56Aの上端に連設されて、上部に隙間Sを設けた環状体とされている。係着具56の周溝56Cを係着具受入孔55に嵌めることで、係着具56は、給水管保持部56Bが防水シート50Aの上面から上方へ突出した状態で防水シート50Aに抜け止めされる。給水管保持部56Bには、隙間Sから給水管42が嵌め入れられることで保持できる。
図5に示すように、防水シート50Aの前端を筒状部31に装着すると共に給水管保持部56Bで給水管42を保持することで、本体ハウジング10の下方で防水シート50Aが本体ハウジング10の前後方向に張られた状態が維持される。なお、係着具受入孔55及び係着具56は本発明の係着部の一例である。
【0038】
次に注水サンダ1Aの動作を説明する。この注水サンダ1Aによって被加工材の平面を研磨する場合には、係着具56を用いることで防水シート50の後端を前記平面から離して給水管42に固定した状態が維持される。したがって、研磨工具26を前記平面に当てながら移動させるときは、防水シート50Aの前端に加えて後端も前記平面に当たることがない。よって、研磨工具26を前記平面上を移動させる動作がスムーズになる。
【0039】
<実施形態2の効果>
本実施形態の注水サンダ1Aでは、防水シート50Aに抜け止めされた係着具56の給水管保持部56Bに、給水管42を嵌め入れることで、防水シート50Aの後端を、被加工材の平面から離した状態で給水管42に固定できる。よって注水サンダ1Aによる被加工材の平面研磨時には、防水シート50Aが前記平面に当たることがない。したがって、注水サンダ1Aの研磨工具26を前記平面上を移動させる動作がスムーズになって平面研磨の作業性を向上させることができる。
【0040】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を
図8ないし
図12を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1、2と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。
図8及び
図9に示すように本体ハウジング10の前方には、ギヤハウジング20(
図1参照。)の外面を覆うギヤハウジングカバー60が組み付けられている。このギヤハウジングカバー60の左右の側面には、ネジ孔61、61(
図9参照。)が形成されている。また
図12に示すように本体ハウジング10の前部の側面には、モータ11の駆動スイッチをON/OFFするスライドスイッチ16が設けられている。さらに本体ハウジング10の後部における左右の側面には、吸気口62が複数形成されている。モータ11の駆動に伴って回転軸12(
図1参照。)に固定されたファンが回転すると、各吸気口62から本体ハウジング10内に空気が導入される。この空気は、本体ハウジング10内を通過してモータ11を冷却し、その後ギヤハウジング20内を通過してギヤハウジングカバー60の前端に設けた排気口から排出される。
【0041】
図8及び
図9に示すようにギヤハウジングカバー60の側面には、サイドハンドル63が前記側面から突出状態で着脱自在に取り付け可能とされている。サイドハンドル63は、操作者が握るグリップ部64と、グリップ部64の先端から突設された円筒部65と、円筒部65に支持されてネジ孔61(
図9参照。)に螺合可能なネジ部66とを備えている。
【0042】
図10に示すように防水シート50Bは、平面視で後端(
図10の下側)の最大左右幅寸法が前端(
図10の上側)の最大左右幅寸法よりも長く設定されている。さらに防水シート50Bには、左右の前端から長さ方向Yにおける前方へ突出する突出部71が一対形成されて、各突出部71には、ネジ部66やネジ部材72(
図9参照。)をそれぞれ挿通可能な挿通孔73(
図9及び
図10参照。)が設けられている。この防水シート50Bは、
図8及び
図9に示すように、サイドハンドル63とネジ部材72とを介してギヤハウジングカバー60に装着される。なお、ギヤハウジングカバー60は本発明のハウジング側の一例である。
【0043】
防水シート50Bをギヤハウジングカバー60に装着する場合には、
図8及び
図9に示すようにネジ部66を、防水シート50Bの左側(同図中の下側)の挿通孔73に挿通させてネジ孔61に螺合させる。この状態では、円筒部65が前記左側の挿通孔73に嵌合している。加えてネジ部材72のネジ軸74を、防水シート50Bの右側(同図中の上側)の挿通孔73に挿通させてネジ孔61に螺合させる。図示するように、ネジ軸74には挿通孔73よりも大径のワッシャ部材75を装着したため、ネジ軸74をネジ孔61に螺合させた状態ではワッシャ部材75が突出部71に押さえ付けられる。
【0044】
また
図8及び
図10に示すように、防水シート50Bには、左右幅方向Xの中央位置で防水シート50Bの後端から長さ方向Yにおける前方へ向けて略半円状に切り込まれた切込部76が形成されている。加えて、防水シート50Bの後部で、防水シート50Bの前端の最大左右幅寸法を2等分する位置と後端の最大左右幅寸法を2等分する位置とを結ぶ中心線77に対して左右対称位置に、係止ピン78(
図12参照。)が抜き差し可能に保持される保持孔79、80が形成されている。これに加えて
図8に示すように、防水シート50Bの突出部71の前端から切込部76までの長さ寸法L1は、防水シート50Bをギヤハウジングカバー60に装着した平面視で、本体ハウジング10の後端よりも後方へ突出する長さに設定されている。
【0045】
図11及び
図12には、防水シート50Bの後部における左右幅方向Xの両端部を互いに重ね合わせて固定するために、
図8に示した保持孔79と保持孔80とが重なるように防水シート50Bの左右幅方向Xの両端部を互いに重ね合わせた後に、係止ピン78を両保持孔79、80に差し込んで保持させた状態を示した。この状態では、防水シート50Bの前部は、スライドスイッチ16との間に操作者が本体ハウジング10を把持した状態で指を配置可能な空間をおいて該スライドスイッチ16の外側に位置し、防水シート50Bの後部は各吸気口62を非接触で覆う。そして、防水シート50Bの左右幅方向Xの両端部を互いに重ね合わせた場合でも、ホース継手44に接続されるホースは、切込部76を通過させることで防水シート50Bと干渉することがない。なお、両保持孔79、80及び係止ピン78は本発明の固定部の一例である。
【0046】
次に注水サンダ1Bの動作を説明する。この注水サンダ1Bでは、
図8に示す如く防水シート50Bの後部における左右幅方向Xの両端部を互いに重ね合わせない状態と
図11及び
図12に示す如く前記両端部を互いに重ね合わせる状態とのいずれかを選択することが可能である。
図8及び
図9に示すように防水シート50Bがサイドハンドル63とネジ部材72とを介してギヤハウジングカバー60に装着された状態で、注水サンダ1Bによって被加工材の平面を研磨する場合には、防水シート50Bは、排水部33、33の上面に沿って配設されると共に、排水部33、33の外側の後方で前記平面上に接して延びた状態で移動する。このため防水カバー50Bは、保護カバー30の内側にある研磨工具26に巻き込まれることがない。しかも防水シート50Bは、本体ハウジング10の後端よりも後方へ突出した状態になるため、研磨工具26の回転によって保護カバー30や排水部33、33の外側へ飛散した水が、本体ハウジング10にかかることを防止できる。
【0047】
一方
図8及び
図9に示す状態の注水サンダ1Bによって例えば被加工材の角部を面取り加工する場合に、水平姿勢から後方へ傾いた保護カバー30や排水路33、33から下方へ水が落下すると、この水は防水シート50Bで受けられる。したがって、作業者に水がかかることを防止できる。
【0048】
また
図12に示す状態の注水サンダ1Bによって被加工材の角部を面取り加工する場合に、防水シート50Bの後部が各吸気口62を覆っているため、研磨工具26の回転によって保護カバー30や排水部33、33の外側へ飛散した水が、各吸気口62から本体ハウジング10内に浸入することを防止できる。
【0049】
<実施形態3の効果>
本実施形態の注水サンダ1Bでは、防水シート50Bの左側の挿通孔73に挿通させたサイドハンドル63のネジ部66や、防水シート50Bの右側の挿通孔73に挿通させたネジ部材72のネジ軸74を、ギヤハウジングカバー60の左右の側面に形成された各ネジ孔61にそれぞれ螺合させるだけで、防水シート50Bを簡単にギヤハウジングカバー60に装着できる。
【0050】
また、防水シート50Bの突出部71の前端から切込部76までの長さ寸法L1は、防水シート50Bをギヤハウジングカバー60に装着した平面視で、本体ハウジング10の後端よりも後方へ突出する長さに設定されている。このため、保護カバー30の内部に注水された水が、研磨工具26の回転によって保護カバー30の外側に飛散した場合でも、水が本体ハウジング10にかかることを防止できる。
【0051】
さらに、係止ピン78を両保持孔79、80に差し込んで保持させることで、防水シート50Bの後部における左右幅方向Xの両端部を互いに重ね合わせると、各吸気口62が防水シート50Bの後部で覆われる。このため、各吸気口62から本体ハウジング10内に水が浸入することを防止できる。
【0052】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば防水シートの前端に、開口部51に代えて十字状の切れ目を設け、この切れ目に筒状部31を嵌め込むことで、防水シートの前端を筒状部31に装着してもよい。
【0053】
また、透明な合成ゴムに代えて半透明の合成ゴムや黒色等の合成ゴムで防水シートを形成してもよい。さらに上述した実施形態とは異なり、防水シートの後端面を防水シートの
長さ方向で同一位置となり防水シートの左右幅方向に延びる直線状に形成してもよい。
【0054】
加えて上述した実施形態とは異なり、排水部33、33を設けない保護カバーによって、研磨工具26の後半部を上方から非接触で覆うようにしてもよい。さらに加えて上述した実施形態とは異なり、保護カバーを下向きに開口する円形の皿状に形成して、この保護カバーで、研磨工具26の全周を上方から非接触で覆うようにしてもよい。また
図12に示した実施形態とは異なり
図13に示すように、防水シート50Bの左側の挿通孔73に挿通させたネジ部材72と、防水シート50Bの右側の挿通孔73に挿通させたサイドハンドハンドル63のネジ部66とをギヤハウジングカバー60の左右のネジ孔61、61にそれぞれ螺合させることで、防水シート50Bをギヤハウジングカバー60に装着してもよい。さらに上述した実施形態では、本発明を注水機構を備えた注水サンダ1、1A、1Bに適用する例を示したが、これに限らず、本発明を交流駆動式又は充電式で注水機構を備えたグラインダやポリッシャ等の注水式電動工具に適用してもよい。