特許第5764093号(P5764093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立パワーソリューションズの特許一覧

<>
  • 特許5764093-検査システムおよび検査方法 図000002
  • 特許5764093-検査システムおよび検査方法 図000003
  • 特許5764093-検査システムおよび検査方法 図000004
  • 特許5764093-検査システムおよび検査方法 図000005
  • 特許5764093-検査システムおよび検査方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764093
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】検査システムおよび検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   G01N21/90 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-127408(P2012-127408)
(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公開番号】特開2013-250247(P2013-250247A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 寿憲
(72)【発明者】
【氏名】安藤 高嗣
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 一彦
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−154442(JP,A)
【文献】 特開昭57−118144(JP,A)
【文献】 米国特許第4064534(US,A)
【文献】 特開平02−045706(JP,A)
【文献】 特開2003−130809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
G01B 11/00 − G01B 11/30
B65G 47/00 − B65G 47/32
B07C 1/00 − B07C 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を搬送する製品コンベアと、
前記製品コンベアの途中に位置し、前記製品コンベアによって搬送される製品を検査する検査装置と、
前記検査装置の検査精度が正常か否かを判定するための検査である装置検査に用いられ、個体識別IDが表面に印字されている基準品と、
前記基準品を内部に保管し、前記基準品の出口と入口を有する基準品保管ユニットと、
前記基準品を、前記基準品保管ユニットの出口から、前記製品コンベアにおける前記検査装置の上流の所定箇所まで搬送して投入する搬送投入手段と、
前記基準品を、前記製品コンベアにおける前記検査装置の下流の所定箇所から、前記基準品保管ユニットの入口まで搬送して回収する搬送回収手段と、
前記下流の所定箇所よりも前記製品コンベアの上流側に位置し、前記基準品の表面に印字された前記個体識別IDを読み取る個体識別IDリーダと、
前記基準品保管ユニットの内部に保管された前記基準品の前記製品コンベアへの投入および回収を制御する管理装置と、を備える検査システムであって、
前記管理装置は、
前記基準品と前記個体識別IDとの対応関係である基準品管理情報、および、前記基準品を用いた前記装置検査における検査結果である基準品検査結果情報を記憶する記憶部と、
前記装置検査を行う場合、
所定のタイミングで、前記基準品保管ユニットの内部の前記基準品を、前記搬送投入手段を用いて前記製品コンベアの前記上流の所定箇所に投入し、
前記投入した前記基準品を用いた前記装置検査における検査結果を前記記憶部に記憶し、
その後、前記記憶部の基準品管理情報を参照し、前記個体識別IDリーダによって当該基準品の個体識別IDが読み取られたと判定したときに、前記搬送回収手段を用いて当該基準品を前記製品コンベアの前記下流の所定箇所から前記基準品保管ユニットの内部に回収する処理部と、を備える
ことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記製品コンベアにおける前記上流の所定箇所よりも上流に配置され、前記製品コンベアにおいて自身の近傍を移動する前記製品を検知する製品検知センサを、さらに備え、
前記処理部は、
前記製品検知センサによって所定時間、前記製品が検知されなかったときのタイミングで、前記基準品保管ユニットの内部の前記基準品を、前記搬送投入手段を用いて前記製品コンベアの前記上流の所定箇所に投入する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記基準品の表面には、可視光に対して透明で、紫外線または赤外線が照射されたときに可視化する不可視インクを用いて、前記個体識別IDが印字されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
製品を搬送する製品コンベアと、
前記製品コンベアの途中に位置し、前記製品コンベアによって搬送される製品を検査する検査装置と、
前記検査装置の検査精度が正常か否かを判定するための検査である装置検査に用いられ、個体識別IDが表面に印字されている基準品と、
前記基準品を内部に保管し、前記基準品の出口と入口を有する基準品保管ユニットと、
前記基準品を、前記基準品保管ユニットの出口から、前記製品コンベアにおける前記検査装置の上流の所定箇所まで搬送して投入する搬送投入手段と、
前記基準品を、前記製品コンベアにおける前記検査装置の下流の所定箇所から、前記基準品保管ユニットの入口まで搬送して回収する搬送回収手段と、
前記下流の所定箇所よりも前記製品コンベアの上流側に位置し、前記基準品の表面に印字された前記個体識別IDを読み取る個体識別IDリーダと、
前記基準品保管ユニットの内部に保管された前記基準品の前記製品コンベアへの投入および回収を制御する管理装置と、を備える検査システムにおける検査方法であって、
前記管理装置は、
前記基準品と前記個体識別IDとの対応関係である基準品管理情報、および、前記基準品を用いた前記装置検査における検査結果である基準品検査結果情報を記憶する記憶部と、処理部と、を備えており、
前記処理部は、
前記装置検査を行う場合、
所定のタイミングで、前記基準品保管ユニットの内部の前記基準品を、前記搬送投入手段を用いて前記製品コンベアの前記上流の所定箇所に投入し、
前記投入した前記基準品を用いた前記装置検査における検査結果を前記記憶部に記憶し、
その後、前記記憶部の基準品管理情報を参照し、前記個体識別IDリーダによって当該基準品の個体識別IDが読み取られたと判定したときに、前記搬送回収手段を用いて当該基準品を前記製品コンベアの前記下流の所定箇所から前記基準品保管ユニットの内部に回収する
ことを特徴とする検査方法。
【請求項5】
前記検査システムは、
前記製品コンベアにおける前記上流の所定箇所よりも上流に配置され、前記製品コンベアにおいて自身の近傍を移動する前記製品を検知する製品検知センサを、さらに備えており、
前記処理部は、
前記製品検知センサによって所定時間、前記製品が検知されなかったときのタイミングで、前記基準品保管ユニットの内部の前記基準品を、前記搬送投入手段を用いて前記製品コンベアの前記上流の所定箇所に投入する
ことを特徴とする請求項4に記載の検査方法。
【請求項6】
前記基準品の表面には、可視光に対して透明で、紫外線または赤外線が照射されたときに可視化する不可視インクを用いて、前記個体識別IDが印字されている
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の検査を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製造業では、製造(生産)した製品について、一定の品質が確保されていることを確認するために、検査システムによって各種の検査を行っている。例えば、製品が液体(内容物)とその容器の場合(飲料、食品、化粧品など)、検査としては、中身検査(内容物の異状の有無の検査)、入味検査(内容量の適否の検査)、外観検査(内容物や容器の外観の異状の有無の検査)、賞味期限や表記内容などの印字検査(容器の印字の適否の検査)などがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、製品について、容器に入った液体の画像を撮影し、画像処理することで、高精度な中身検査を行うことができる技術について、開示されている。
【0004】
また、一般に、各種の検査とともに、検査装置が正常に動作しているかを検証する精度管理(以下、「装置検査」と称する。)が行われる。装置検査では、装置検査用の擬似製品である基準品が用いられることが周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−2917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
装置検査をする際、製品に基準品が紛れ込んでしまわないように、生産を開始する前や、生産中であれば生産を一時中断して行う場合、装置検査の時間の間、生産効率が低下するという問題があった。また、そのような生産効率の低下を避けるために、製品の生産を停止せずに基準品による装置検査を行う場合、手作業でコンベアに基準品を投入し、コンベアに並んだ複数の製品と基準品の順番によって基準品の位置を把握していたため、何らかの事情で1つ以上の製品がコンベアから離脱する等の事態が発生すると、基準品の位置がわからなくなってしまい、基準品の回収が困難になってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、検査システムにおいて基準品を用いて装置検査を行う際に、製品の生産を停止せずに、かつ、コンベアからの製品の離脱等があっても基準品を確実に回収することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、製品を搬送する製品コンベアと、前記製品コンベアの途中に位置し、前記製品コンベアによって搬送される製品を検査する検査装置と、前記検査装置の検査精度が正常か否かを判定するための検査である装置検査に用いられ、個体識別IDが表面に印字されている基準品と、前記基準品を内部に保管し、前記基準品の出口と入口を有する基準品保管ユニットと、前記基準品を、前記基準品保管ユニットの出口から、前記製品コンベアにおける前記検査装置の上流の所定箇所まで搬送して投入する搬送投入手段と、前記基準品を、前記製品コンベアにおける前記検査装置の下流の所定箇所から、前記基準品保管ユニットの入口まで搬送して回収する搬送回収手段と、前記下流の所定箇所よりも前記製品コンベアの上流側に位置し、前記基準品の表面に印字された前記個体識別IDを読み取る個体識別IDリーダと、前記基準品保管ユニットの内部に保管された前記基準品の前記製品コンベアへの投入および回収を制御する管理装置と、を備える検査システムである。
前記管理装置は、前記基準品と前記個体識別IDとの対応関係である基準品管理情報、および、前記基準品を用いた前記装置検査における検査結果である基準品検査結果情報を記憶する記憶部と、前記装置検査を行う場合、所定のタイミングで、前記基準品保管ユニットの内部の前記基準品を、前記搬送投入手段を用いて前記製品コンベアの前記上流の所定箇所に投入し、前記投入した前記基準品を用いた前記装置検査における検査結果を前記記憶部に記憶し、その後、前記記憶部の基準品管理情報を参照し、前記個体識別IDリーダによって当該基準品の個体識別IDが読み取られたと判定したときに、前記搬送回収手段を用いて当該基準品を前記製品コンベアの前記下流の所定箇所から前記基準品保管ユニットの内部に回収する処理部と、を備えることを特徴とする。
その他の手段については後記する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検査システムにおいて基準品を用いて装置検査を行う際に、製品の生産を停止せずに、かつ、コンベアからの製品の離脱等があっても基準品の位置を確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の検査システムの全体構成図である。
図2】管理装置の記憶部に記憶される情報であり、(a)は基準容器管理情報の一例を示す図で、(b)は基準容器検査結果情報の一例を示す図である。
図3】(a)は、印字手段を備える印字装置の概要図で、(b)〜(d)は、基準容器の底に印字される製品情報と識別情報記号を示す図である。
図4】管理装置による装置検査の際の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】検査システムの他の例の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する。)について、図面を参照(言及図以外も適宜参照)して詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の検査システムSは、管理装置1と、製品コンベア2と、製品検知センサ3と、投入側個体識別ID(IDentifier)リーダ4と、検査装置5と、不良品回収ユニット6と、不良品回収手段7と、回収側個体識別IDリーダ8と、基準容器回収手段9(搬送回収手段)と、基準容器保管ユニット10(基準品保管ユニット)と、投入コンベア11(搬送投入手段)と、回収コンベア12(搬送回収手段)と、基準容器23(基準品)と、を備えて構成される。また、製品21(ここでは缶飲料を想定)は、検査システムSにおける検査の対象物である。なお、図1では、検査装置5による検査の結果、不良品と判定された製品21を、不良品22と表している。
【0013】
管理装置1は、基準容器保管ユニット10の内部に保管された基準容器23の製品コンベア2への投入および回収を制御するコンピュータ装置である。具体的には、管理装置1は、製品検知センサ3、投入側個体識別IDリーダ4、検査装置5、回収側個体識別IDリーダ8から情報を取得したり、不良品回収手段7、基準容器回収手段9、基準容器保管ユニット10の動きを制御したりする。管理装置1は、処理部101、記憶部102、入力部103、出力部104を備えている。
【0014】
処理部101は、記憶部102に記憶された情報に基づいて演算処理や各種制御を行う手段であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって実現される(詳細は図4を用いて後記)。
【0015】
記憶部102は、情報を記憶する手段であり、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。記憶部102は、基準容器管理情報1021(基準品管理情報)と基準容器検査結果情報1022(基準容器検査結果情報)とを記憶している。
【0016】
基準容器管理情報1021は、基準容器23と、基準容器23ごとに付与される個体識別ID(IDentifier)との対応関係を示す情報である(図2(a)参照)。
基準容器検査結果情報1022は、基準容器23を用いた装置検査における検査結果を示す情報である。具体的には、図2(b)に示すように、基準容器検査結果情報1022は、例えば、検査日時、基準容器、検査結果の各カラムから構成される。この基準容器検査結果情報1022によれば、例えば、2012/05/01の01:00に基準容器23の「A」を用いて行われた検査結果が「OK」であったことがわかる。
【0017】
図1に戻って、製品コンベア2は、製品21を搬送する手段である。
製品検知センサ3は、製品コンベア2における箇所A(検査装置5よりも上流の所定箇所。製品コンベア2と投入コンベア11の合流箇所)のさらに上流に配置され、製品コンベア2において自身の近傍を移動する製品21を検知するセンサであり、例えば赤外線センサにより実現される。
【0018】
投入側個体識別IDリーダ4は、検査装置5よりも製品コンベア2の上流側の近傍に位置し、基準容器23の表面に印字された個体識別IDを読み取る手段である。
検査装置5は、製品コンベア2の途中に位置し、製品コンベア2によって搬送される製品21を検査する手段である。
【0019】
不良品回収ユニット6は、検査装置5による検査の結果、不良品と判定された製品21である不良品22を回収(収容)する手段である。
不良品回収手段7は、管理装置1からの指示により、検査装置5による検査の結果、不良品と判定された製品21である不良品22を、製品コンベア2から不良品回収ユニット6に移動させる手段である。
【0020】
回収側個体識別IDリーダ8は、基準容器回収手段9よりも製品コンベア2における上流側の近傍に位置し、基準容器23の表面に印字された個体識別IDを読み取る手段である。
基準容器回収手段9は、製品コンベア2における箇所B(検査装置5よりも下流の所定箇所。製品コンベア2と回収コンベア12の分岐箇所)に位置する基準容器23を押して回収コンベア12に移動させる手段である。
【0021】
基準容器保管ユニット10は、複数の基準容器23を内部に保管する手段であり、基準容器23の出口10aと入口10bを有する。
投入コンベア11は、基準容器23を、基準容器保管ユニット10の出口10aから、製品コンベア2における箇所Aまで搬送して投入する手段である。
回収コンベア12は、製品コンベア2における箇所Bで基準容器回収手段9によって押されて移動してきた基準容器23を、基準容器保管ユニット10の入口10bまで搬送して回収する手段である。
【0022】
基準容器23は、検査装置5の検査精度が正常か否かを調べるための検査である装置検査に用いられるもので、個体識別IDが表面に印字されている(詳細は図3を用いて後記)。
【0023】
次に、基準容器23への個体識別IDの印字について説明する。ここでは、基準容器23の個体識別IDを、例えば、二次元コード化した記号(識別情報記号)として、基準容器23に印字する場合を考える。その場合、例えば、基準容器23の表面に、可視光に対して透明で、紫外線または赤外線が照射されたときに可視化する不可視インク(ステルスインク)を用いて、個体識別IDを印字すればよい。
【0024】
例えば、図3(a)に示すように、印字装置31に備えられた印字手段32によって、下方を通過する基準容器23に対し、二次元コード化した識別情報記号33を、ステルスインクで基準容器23の底に印字すればよい(図3(b)参照)。
【0025】
また、図3(c)に示すように、基準容器23の識別情報記号33と互いに重なる部分に他情報34を印字することもできる。この他情報34の印字に使用されるインクは、例えば、熱硬化インク、紫外線硬化インクなどの可視インクであればよい。
【0026】
もし、識別情報記号33がステルスインクでなく可視インクで印字されると、図3(c)に示すように、他情報34と識別情報記号33が重る部分は、他情報34の判読が困難になる。また、可視光下で読取装置(投入側個体識別IDリーダ4、回収側個体識別IDリーダ8)が識別情報記号33を識別することが困難になり、読み取りのエラー発生率が高くなることが予測される。
【0027】
これに対し、識別情報記号33がステルスインクで印字されると、可視光下で識別情報記号33は透明であり、図3(d)に示すように、他情報34のみ視認することができる。したがって、検査システムSのユーザは、他情報34を容易に読み取ることができる。
【0028】
また、例えば、識別情報記号33に使用するインクを紫外線の照射で発光するステルスインクとすると、可視光を遮断した環境であっても、紫外線を照射することで識別情報記号33のみ発光させることができ、読取装置が識別情報記号33を容易に識別することが可能で、読み取りのエラー発生率を低く抑えることができる。
以上の理由によって、識別情報記号33はステルスインクで印字されることが好ましい。
【0029】
次に、管理装置1による装置検査の際の処理の流れについて説明する。
図4に示すように、処理部101は、装置検査を行う場合、まず、基準容器23の投入のタイミング(一定時間ごと、スケジュールにより決定したタイミングなどの所定のタイミング)が到来したか否かを判定し、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0030】
ステップS2において、処理部101は、基準容器保管ユニット10の内部の基準容器23を、投入コンベア11を用いて製品コンベア2における箇所Aに投入する。
次に、ステップS3において、処理部101は、ステップS2で投入した基準容器23を用いた検査装置5による装置検査における検査結果を、記憶部102に基準容器検査結果情報1022として記憶する。なお、処理部101は、投入側個体識別IDリーダ4から基準容器23の個体識別IDを読み取った旨の情報を受信することで、当該基準容器23がその直後に検査装置5を通過することを認識でき、基準容器23による検査装置5の装置検査を確実に行うことができる。
【0031】
次に、ステップS4において、処理部101は、記憶部102の基準容器管理情報1021を参照し、回収側個体識別IDリーダ8から当該基準容器23の個体識別IDを読み取った(検知した)旨の情報を受信したか否かを判定し、Yesの場合はステップS5に進み、Noの場合はステップS3に戻る。
【0032】
ステップS5において、処理部101は、基準容器回収手段9によって当該基準容器23を押して製品コンベア2から回収コンベア12に移動させ、回収コンベア12を用いて当該基準容器23を基準容器保管ユニット10の入口10bを経由して内部に回収し、ステップS1に戻る。
【0033】
このように、本実施形態の検査システムSによれば、個体識別IDが表面に印字されている基準容器23を製品コンベア2に対して自動的に投入および回収して検査装置5の装置検査を行うことにより、製品21の生産を停止せずに、かつ、製品コンベア2からの製品21の離脱等があっても基準容器23を確実に回収することができる。それにより、装置検査の機能を正常に維持することができる。また、検査装置5の装置検査の記録(エビデンス)を残すことができる。
【0034】
また、基準容器23の表面への個体識別ID(識別情報記号33)の印字にステルスインクを使用することで、可視光により視認可能な他情報34を重畳印字することができ、また、可視光を遮断した環境であっても、紫外線または赤外線を照射することで読取装置によりその個体識別IDを容易に識別することができる。
【0035】
次に、検査システムSの応用例について説明する。図5に示すように、応用例である検査システムSaは、図1の検査システムSと比較して、検査装置5の代わりに入味検査装置41、外観検査装置42、印字検査装置43が設けられ、最終個体識別IDリーダ44が追加され、製品検知センサ3が削除されている点で相違している。
【0036】
このような検査システムSaの場合、入味検査装置41、外観検査装置42、印字検査装置43に対して、それぞれ異なる基準容器23を用意し、所定のタイミングでそれらの基準容器23を基準容器保管ユニット10から投入コンベア11を用いて製品コンベア2に投入すればよい。そして、それぞれの基準容器23の表面に印字された個体識別IDを回収側個体識別IDリーダ8で読み取ることで、基準容器回収手段9によって当該基準容器23を押して製品コンベア2から回収コンベア12に移動させ、回収コンベア12を用いて当該基準容器23を基準容器保管ユニット10の内部に回収することができる。つまり、検査装置が複数種類であっても、それぞれに対応した基準容器23について、製品コンベア2に対して自動的に投入および回収をすることができる。
【0037】
また、製品コンベア2の下流に最終個体識別IDリーダ44を設けたことで、何らかの理由によってそこを通過しようとする基準容器23があった場合に、その基準容器23の存在を認識し、対応することができ、基準容器23の回収をより確実にすることができる。
【0038】
以上で本実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
例えば、基準容器23だけでなく、製品21にも個体識別IDを印字して読取装置によってその個体識別IDを読み取って管理するようにしてもよい。
【0039】
また、基準容器23を製品コンベア2に投入するタイミングは、所定時間ごとでなくても、例えば、製品検知センサ3(図1参照)によって製品コンベア2において製品21が所定時間(例えば1分間)以上検知されなかったときのタイミングであってもよい。そうすれば、周囲に製品21がない状態で基準容器23を製品コンベア2に投入することができ、基準容器23を用いた検査装置5による検査や基準容器23の回収などを、より確実に行うことができる。
【0040】
また、製品21は、容器と液体等から構成されるものでなくても、乾電池等の一体型のものであってもよい。その場合、基準容器23も、製品21に合わせた形態とすればよい。
また、基準容器23に個体識別IDを印字する箇所は、底でなくても側面や上面等の他の部分であってもよい。
【0041】
また、基準容器23は、外観で製品21と見分けがつくように、製品21と異なる外観(色、模様)としてもよい。
また、投入コンベア11や、基準容器回収手段9と回収コンベア12の組み合わせの代わりに、マジックハンドのような形状の搬送手段を用いて、製品21を製品コンベア2に対して投入や回収するようにもよい。
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 管理装置
2 製品コンベア
3 製品検知センサ
4 投入側個体識別IDリーダ
5 検査装置
6 不良品回収ユニット
7 不良品回収手段
8 回収側個体識別IDリーダ
9 基準容器回収手段(搬送回収手段)
10 基準容器保管ユニット(基準品保管ユニット)
10a 出口
10b 入口
11 投入コンベア(搬送投入手段)
12 回収コンベア(搬送回収手段)
21 製品
22 不良品
23 基準容器(基準品)
31 印字装置
32 印字手段
33 識別情報記号
34 他情報
41 入味検査装置
42 外観検査装置
43 印字検査装置
44 最終個体識別IDリーダ
101 処理部
102 記憶部
103 入力部
104 出力部
1021 基準容器管理情報(基準品管理情報)
1022 基準容器検査結果情報(基準容器検査結果情報)
S,Sa 検査システム
図1
図2
図3
図4
図5