(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記製品コンベアにおける前記上流の所定箇所よりも上流に配置され、前記製品コンベアにおいて自身の近傍を移動する前記製品を検知する製品検知センサを、さらに備え、
前記処理部は、
前記製品検知センサによって所定時間、前記製品が検知されなかったときのタイミングで、前記基準品保管ユニットの内部の前記基準品を、前記搬送投入手段を用いて前記製品コンベアの前記上流の所定箇所に投入する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する。)について、図面を参照(言及図以外も適宜参照)して詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の検査システムSは、管理装置1と、製品コンベア2と、製品検知センサ3と、投入側個体識別ID(IDentifier)リーダ4と、検査装置5と、不良品回収ユニット6と、不良品回収手段7と、回収側個体識別IDリーダ8と、基準容器回収手段9(搬送回収手段)と、基準容器保管ユニット10(基準品保管ユニット)と、投入コンベア11(搬送投入手段)と、回収コンベア12(搬送回収手段)と、基準容器23(基準品)と、を備えて構成される。また、製品21(ここでは缶飲料を想定)は、検査システムSにおける検査の対象物である。なお、
図1では、検査装置5による検査の結果、不良品と判定された製品21を、不良品22と表している。
【0013】
管理装置1は、基準容器保管ユニット10の内部に保管された基準容器23の製品コンベア2への投入および回収を制御するコンピュータ装置である。具体的には、管理装置1は、製品検知センサ3、投入側個体識別IDリーダ4、検査装置5、回収側個体識別IDリーダ8から情報を取得したり、不良品回収手段7、基準容器回収手段9、基準容器保管ユニット10の動きを制御したりする。管理装置1は、処理部101、記憶部102、入力部103、出力部104を備えている。
【0014】
処理部101は、記憶部102に記憶された情報に基づいて演算処理や各種制御を行う手段であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって実現される(詳細は
図4を用いて後記)。
【0015】
記憶部102は、情報を記憶する手段であり、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。記憶部102は、基準容器管理情報1021(基準品管理情報)と基準容器検査結果情報1022(基準容器検査結果情報)とを記憶している。
【0016】
基準容器管理情報1021は、基準容器23と、基準容器23ごとに付与される個体識別ID(IDentifier)との対応関係を示す情報である(
図2(a)参照)。
基準容器検査結果情報1022は、基準容器23を用いた装置検査における検査結果を示す情報である。具体的には、
図2(b)に示すように、基準容器検査結果情報1022は、例えば、検査日時、基準容器、検査結果の各カラムから構成される。この基準容器検査結果情報1022によれば、例えば、2012/05/01の01:00に基準容器23の「A」を用いて行われた検査結果が「OK」であったことがわかる。
【0017】
図1に戻って、製品コンベア2は、製品21を搬送する手段である。
製品検知センサ3は、製品コンベア2における箇所A(検査装置5よりも上流の所定箇所。製品コンベア2と投入コンベア11の合流箇所)のさらに上流に配置され、製品コンベア2において自身の近傍を移動する製品21を検知するセンサであり、例えば赤外線センサにより実現される。
【0018】
投入側個体識別IDリーダ4は、検査装置5よりも製品コンベア2の上流側の近傍に位置し、基準容器23の表面に印字された個体識別IDを読み取る手段である。
検査装置5は、製品コンベア2の途中に位置し、製品コンベア2によって搬送される製品21を検査する手段である。
【0019】
不良品回収ユニット6は、検査装置5による検査の結果、不良品と判定された製品21である不良品22を回収(収容)する手段である。
不良品回収手段7は、管理装置1からの指示により、検査装置5による検査の結果、不良品と判定された製品21である不良品22を、製品コンベア2から不良品回収ユニット6に移動させる手段である。
【0020】
回収側個体識別IDリーダ8は、基準容器回収手段9よりも製品コンベア2における上流側の近傍に位置し、基準容器23の表面に印字された個体識別IDを読み取る手段である。
基準容器回収手段9は、製品コンベア2における箇所B(検査装置5よりも下流の所定箇所。製品コンベア2と回収コンベア12の分岐箇所)に位置する基準容器23を押して回収コンベア12に移動させる手段である。
【0021】
基準容器保管ユニット10は、複数の基準容器23を内部に保管する手段であり、基準容器23の出口10aと入口10bを有する。
投入コンベア11は、基準容器23を、基準容器保管ユニット10の出口10aから、製品コンベア2における箇所Aまで搬送して投入する手段である。
回収コンベア12は、製品コンベア2における箇所Bで基準容器回収手段9によって押されて移動してきた基準容器23を、基準容器保管ユニット10の入口10bまで搬送して回収する手段である。
【0022】
基準容器23は、検査装置5の検査精度が正常か否かを調べるための検査である装置検査に用いられるもので、個体識別IDが表面に印字されている(詳細は
図3を用いて後記)。
【0023】
次に、基準容器23への個体識別IDの印字について説明する。ここでは、基準容器23の個体識別IDを、例えば、二次元コード化した記号(識別情報記号)として、基準容器23に印字する場合を考える。その場合、例えば、基準容器23の表面に、可視光に対して透明で、紫外線または赤外線が照射されたときに可視化する不可視インク(ステルスインク)を用いて、個体識別IDを印字すればよい。
【0024】
例えば、
図3(a)に示すように、印字装置31に備えられた印字手段32によって、下方を通過する基準容器23に対し、二次元コード化した識別情報記号33を、ステルスインクで基準容器23の底に印字すればよい(
図3(b)参照)。
【0025】
また、
図3(c)に示すように、基準容器23の識別情報記号33と互いに重なる部分に他情報34を印字することもできる。この他情報34の印字に使用されるインクは、例えば、熱硬化インク、紫外線硬化インクなどの可視インクであればよい。
【0026】
もし、識別情報記号33がステルスインクでなく可視インクで印字されると、
図3(c)に示すように、他情報34と識別情報記号33が重る部分は、他情報34の判読が困難になる。また、可視光下で読取装置(投入側個体識別IDリーダ4、回収側個体識別IDリーダ8)が識別情報記号33を識別することが困難になり、読み取りのエラー発生率が高くなることが予測される。
【0027】
これに対し、識別情報記号33がステルスインクで印字されると、可視光下で識別情報記号33は透明であり、
図3(d)に示すように、他情報34のみ視認することができる。したがって、検査システムSのユーザは、他情報34を容易に読み取ることができる。
【0028】
また、例えば、識別情報記号33に使用するインクを紫外線の照射で発光するステルスインクとすると、可視光を遮断した環境であっても、紫外線を照射することで識別情報記号33のみ発光させることができ、読取装置が識別情報記号33を容易に識別することが可能で、読み取りのエラー発生率を低く抑えることができる。
以上の理由によって、識別情報記号33はステルスインクで印字されることが好ましい。
【0029】
次に、管理装置1による装置検査の際の処理の流れについて説明する。
図4に示すように、処理部101は、装置検査を行う場合、まず、基準容器23の投入のタイミング(一定時間ごと、スケジュールにより決定したタイミングなどの所定のタイミング)が到来したか否かを判定し、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0030】
ステップS2において、処理部101は、基準容器保管ユニット10の内部の基準容器23を、投入コンベア11を用いて製品コンベア2における箇所Aに投入する。
次に、ステップS3において、処理部101は、ステップS2で投入した基準容器23を用いた検査装置5による装置検査における検査結果を、記憶部102に基準容器検査結果情報1022として記憶する。なお、処理部101は、投入側個体識別IDリーダ4から基準容器23の個体識別IDを読み取った旨の情報を受信することで、当該基準容器23がその直後に検査装置5を通過することを認識でき、基準容器23による検査装置5の装置検査を確実に行うことができる。
【0031】
次に、ステップS4において、処理部101は、記憶部102の基準容器管理情報1021を参照し、回収側個体識別IDリーダ8から当該基準容器23の個体識別IDを読み取った(検知した)旨の情報を受信したか否かを判定し、Yesの場合はステップS5に進み、Noの場合はステップS3に戻る。
【0032】
ステップS5において、処理部101は、基準容器回収手段9によって当該基準容器23を押して製品コンベア2から回収コンベア12に移動させ、回収コンベア12を用いて当該基準容器23を基準容器保管ユニット10の入口10bを経由して内部に回収し、ステップS1に戻る。
【0033】
このように、本実施形態の検査システムSによれば、個体識別IDが表面に印字されている基準容器23を製品コンベア2に対して自動的に投入および回収して検査装置5の装置検査を行うことにより、製品21の生産を停止せずに、かつ、製品コンベア2からの製品21の離脱等があっても基準容器23を確実に回収することができる。それにより、装置検査の機能を正常に維持することができる。また、検査装置5の装置検査の記録(エビデンス)を残すことができる。
【0034】
また、基準容器23の表面への個体識別ID(識別情報記号33)の印字にステルスインクを使用することで、可視光により視認可能な他情報34を重畳印字することができ、また、可視光を遮断した環境であっても、紫外線または赤外線を照射することで読取装置によりその個体識別IDを容易に識別することができる。
【0035】
次に、検査システムSの応用例について説明する。
図5に示すように、応用例である検査システムSaは、
図1の検査システムSと比較して、検査装置5の代わりに入味検査装置41、外観検査装置42、印字検査装置43が設けられ、最終個体識別IDリーダ44が追加され、製品検知センサ3が削除されている点で相違している。
【0036】
このような検査システムSaの場合、入味検査装置41、外観検査装置42、印字検査装置43に対して、それぞれ異なる基準容器23を用意し、所定のタイミングでそれらの基準容器23を基準容器保管ユニット10から投入コンベア11を用いて製品コンベア2に投入すればよい。そして、それぞれの基準容器23の表面に印字された個体識別IDを回収側個体識別IDリーダ8で読み取ることで、基準容器回収手段9によって当該基準容器23を押して製品コンベア2から回収コンベア12に移動させ、回収コンベア12を用いて当該基準容器23を基準容器保管ユニット10の内部に回収することができる。つまり、検査装置が複数種類であっても、それぞれに対応した基準容器23について、製品コンベア2に対して自動的に投入および回収をすることができる。
【0037】
また、製品コンベア2の下流に最終個体識別IDリーダ44を設けたことで、何らかの理由によってそこを通過しようとする基準容器23があった場合に、その基準容器23の存在を認識し、対応することができ、基準容器23の回収をより確実にすることができる。
【0038】
以上で本実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
例えば、基準容器23だけでなく、製品21にも個体識別IDを印字して読取装置によってその個体識別IDを読み取って管理するようにしてもよい。
【0039】
また、基準容器23を製品コンベア2に投入するタイミングは、所定時間ごとでなくても、例えば、製品検知センサ3(
図1参照)によって製品コンベア2において製品21が所定時間(例えば1分間)以上検知されなかったときのタイミングであってもよい。そうすれば、周囲に製品21がない状態で基準容器23を製品コンベア2に投入することができ、基準容器23を用いた検査装置5による検査や基準容器23の回収などを、より確実に行うことができる。
【0040】
また、製品21は、容器と液体等から構成されるものでなくても、乾電池等の一体型のものであってもよい。その場合、基準容器23も、製品21に合わせた形態とすればよい。
また、基準容器23に個体識別IDを印字する箇所は、底でなくても側面や上面等の他の部分であってもよい。
【0041】
また、基準容器23は、外観で製品21と見分けがつくように、製品21と異なる外観(色、模様)としてもよい。
また、投入コンベア11や、基準容器回収手段9と回収コンベア12の組み合わせの代わりに、マジックハンドのような形状の搬送手段を用いて、製品21を製品コンベア2に対して投入や回収するようにもよい。
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。