特許第5764110号(P5764110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764110
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】振動モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 23/04 20060101AFI20150723BHJP
   B06B 1/16 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   H02K23/04
   B06B1/16
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-252431(P2012-252431)
(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公開番号】特開2014-103715(P2014-103715A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 清香
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−164804(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/133941(WO,A1)
【文献】 特開2003−181379(JP,A)
【文献】 特開2001−070884(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0043061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 23/04
B06B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射状に配置されたアーム部と、前記アーム部の端部に設けられた歯部とを有するコアの表面に、電気絶縁材からなるインシュレータを配置させ、前記アーム部上に配置された前記インシュレータの上からコイルが巻回され、隣接する前記アーム部と前記歯部間のコアスロットに分銅が配置された振動モータにおいて、
前記分銅は、前記コアスロットに挿入される本体部と、前記本体部の端部に設けられて隣接する前記アーム部の前記歯部上に配置される拡張部と、を備え、
前記インシュレータには、前記拡張部より径方向の内方に位置して前記拡張部の径方向の移動を規制する突部が設けられていることを特徴とする振動モータ。
【請求項2】
前記突部は、前記分銅の前記拡張部の周方向における遊端部に当接することによって、前記分銅の周方向の移動を規制することを特徴とする請求項1記載の振動モータ。
【請求項3】
前記突部は、前記コアの前記歯部の両端を結ぶ直線に対して、径方向における外方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の振動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアに分銅が固定された振動モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2002−219411号公報がある。この公報に記載された振動モータに適用される重り(分銅)は、柱状をなす本体と、この本体の一端に形成された張り出し部と、から構成されている。この本体は、コアの二つのコイル巻線部の間の空間すなわちコアスロットの形状に対応する断面形状を有している。また、重りの本体は、コアスロット内に挿入されたとき、コイル巻線部の端部に設けられた歯部の内面とコイルの表面にぴたりと当接して、軸方向に垂直な面内で位置規制される。さらに、重りは、挿入の最終段階にて、この張り出し部がコイル巻線部の歯部の表面に当接することにより、軸方向に関して位置規制されるようになっている。そして、このように挿入された重りは、外側に露出している部分とコイル巻線部の歯部との境界領域にて、レーザ溶接により固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−219411号公報
【特許文献2】特開2003−164804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の振動モータでは、分銅がコイル巻線部の端部に設けられた歯部の内面とコイルの表面にぴったり当接して、軸方向に垂直な面内で位置規制され、これによって、分銅がコアスロット内で内側に倒れ込むのを防止している。しかしながら、振動モータに分銅を組み込む時や振動モータの使用時に、分銅がコイルに接触するので、コイルの断線を発生させる虞がある。また、コイルの断線を防止するために、コイルの表面が分銅に当たらないような大きさにすると、すなわち分銅を小型化させると、振動モータに分銅を組み込む際に分銅の倒れ込みが起こり易くなり、これによって、分銅をコイル巻線部の歯部に固定する際のレーザ溶接ミスが発生し易くなる。さらには、振動モータ使用時において、分銅に加わる径方向の内方への力は溶接のみで支えられているので、溶接部に無理な負荷がかかり続け、分銅の固定強度が徐々に低下する虞があった。
【0005】
本発明は、分銅をコアに確実に固定させ、しかも分銅の固定強度の低下を防止するようにした振動モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、放射状に配置されたアーム部と、アーム部の端部に設けられた歯部とを有するコアの表面に、電気絶縁材からなるインシュレータを配置させ、アーム部上に配置されたインシュレータの上からコイルが巻回され、隣接するアーム部と前記歯部間のコアスロットに分銅が配置された振動モータにおいて、
分銅は、コアスロットに挿入される本体部と、本体部の端部に設けられて隣接するアーム部の歯部上に配置される拡張部と、を備え、
インシュレータには、拡張部より径方向の内方に位置して拡張部の径方向の移動を規制する突部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この振動モータにおいて、インシュレータには、分銅の本体部の端部に設けられた拡張部より径方向の内方に位置して拡張部の径方向の移動を規制する突部が設けられ、分銅の径方向の内方への倒れ込みをインシュレータの突部によって支えているので、振動モータ使用時において、分銅に加わる径方向の内方への力は溶接又は接着剤のみで支えられるような事態が回避され、分銅の固定強度が徐々に低下することがない。特に、分銅にタングステンを使用しコアに鉄を利用すると、融点の違いにより接合の信頼性が低下し、接着剤を利用する場合には、接着剤自体の接着強度の経年劣化が起こるので、本発明のように、分銅の径方向の内方への倒れ込みをインシュレータの突部によって支える構成にすると、分銅の外れを確実に防止することができる。また、振動モータの組立て時に分銅の倒れ込みが起こり易いと、溶接や接着剤による分銅の固定ミスが発生し易く、固定強度の信頼性の低下を招くが、このような事態も回避させることができる。そして、分銅の倒れ込みをコイルで支える必要がなく、これにより、分銅がコイルに接触することによって起こるコイルの断線を確実に防止することができる。また、インシュレータの突部は、振動モータの組立て時に分銅の位置規制として機能するので、組立て作業性も良好にしている。
【0008】
また、突部は、分銅の拡張部の周方向における遊端部に当接することによって、分銅の周方向の移動を規制する。
このような構成を採用すると、振動モータの組立て時に分銅の位置規制を更に確実なものとし、溶接や接着剤による分銅の固定ミスが発生し難く、更なる固定強度の信頼性の向上が図られる。
【0009】
また、突部は、コアの歯部の両端を結ぶ直線に対して、径方向における外方に配置されている。
このような構成を採用すると、コイルをコアのアーム部に巻くときに、インシュレータの突部が邪魔になることを回避させ、しかも、アーム部にコイルを巻くときの巻きしろが、突部の存在によって狭くなるのを回避させることができる。さらに、突部によってコイルの巻き位置の端部を確実に制御することができ、これによって、コイル巻きが確実なものとなり、扁平な振動モータにあっては分銅設置スペースが非常に少ないので、少ない容積の中で確実に分銅設置スペースを確保することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分銅をコアに確実に固定させ、しかも分銅の固定強度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る振動モータの一実施形態を示す断面図である。
図2】ロータアッセンブリーを示す分解斜視図である。
図3】ロータアッセンブリーを示す斜視図である。
図4】ロータアッセンブリーの平面図である。
図5】インシュレータの斜視図である。
図6】インシュレータを裏面から見た斜視図である。
図7】インシュレータの平面図である。
図8】インシュレータの底面図である。
図9】分銅の斜視図である。
図10】分銅を別の角度から見た斜視図である。
図11】分銅を更に別の角度から見た斜視図である。
図12】分銅の平面図である。
図13】分銅の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る振動モータの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1に示されるように、扁平な振動モータ1は、2極3スロットタイプであって、直径約24mm、厚さ約13mmであり、小型化が図られている。この振動モータ1は、一端が開放された扁平な外筒部2と、外筒部2の開放側を塞ぐためのブラケット3とから構成されたモータケースCを有している。そして、モータケースC内には、ロータアッセンブリーR及びマグネット7が収容されている。
【0014】
鉄などの磁性体からなる外筒部2の中央には、シャフト4の一端を支持するための軸受5が固定され、樹脂材からなるブラケット3の中央には、シャフト4の他端を支持するための軸受6が圧入により固定されている。外筒部2の内周面には、リング状のマグネット7が接着固定され、ブラケット3には、ブラシ片8が組み付けられている。
【0015】
図2図4に示されるように、ロータアッセンブリーRは、鉄板が積層されたコア10と、コア10の表面の電気絶縁性を担保するための樹脂製インシュレータ11と、円筒状コミテータホルダ12の外周面に3枚のコミテータセグメント13が組み付けられたコミテータ部14と、コア10とインシュレータ11とコミテータ部14のコミテータホルダ12の中心に圧入されるシャフト4と、タングステンからなりコア10に固定される分銅16と、で構成されている。
【0016】
同形状の薄板の鉄板を積層させてなるコア10は、放射状に配置された3本のアーム部10aと、アーム部10aの端部で三日月状に形成された歯部10bと、で構成されている。このコア10の各アーム部10aには、コイル17が巻かれるが、コア10が導電性であるので電気絶縁性のインシュレータ11がコア10の表面に装着されている。
【0017】
図5図8に示されるように、インシュレータ11は、円錐台形状のセンター部11aと、このセンター部11aから放射状に延在してコア10のアーム部10aの表面の全長に渡って当接する断面コ字状のアーム被覆部11bと、アーム被覆部11bの端部に設けられた突部18とからなる。そして、突部18は、アーム被覆部11bの端部に設けられて周方向に突出する第1の突部18aと、アーム被覆部11bの端部に設けられてシャフト4の軸線L方向に突出する第2の突部18bと、第2の突部18bから径方向の外方に突出してコア10の歯部10bの表面に当接する第3の突部18cと、からなる。
【0018】
センター部11aのセンター孔11dには放射状にスリット11eが形成され、これにより、センター孔11dの弾性変形を容易にし、シャフト4の圧入を確実ならしめている。そして、第1の突部18aと第2の突部18bと第3の突部18cとで突部18が構成され、この突部18によって、インシュレータ11の着座安定性と分銅16の位置規制とを図っている。
【0019】
図2図4に示されるように、上述したインシュレータ11でコア10を上下から挟み込み、上下一対のインシュレータ11のアーム被覆部11bの上からコイル17を巻くことで、コイル17とコア10の電気絶縁が図られる。そして、コイル17の端は、コミテータセグメント13から延在するライザ部13aに結線される。また、ライザ部13aは、コア10における隣接するアーム部10aと歯部10b間に形成されたコアスロットSに向かって、コミテータホルダ12のフランジ部12aから突出する。
【0020】
また、インシュレータ11のセンター部11aを円錐台形状にすることで、コイル17の端をコミテータセグメント13のライザ部13aに結線させる際に、センター部11aの傾斜面Aに沿ってコイル17を引き回すことができる。これによって、コイル17の引き回しが容易になり、そして、引き回しに際して、コイル17に無理な張力をかけなくても済むので、手作業による結線を断線無く行うことができる。また、コア10のアーム部10aにコイル17を巻く場合でも、センター部11aの傾斜面Aに沿ってコイル17が滑り落ちるので、コイル17をアーム部10aに確実に巻くことができる。
【0021】
図9図13に示されるように、軸線L(図4参照)を通る平面で対称形をなす分銅16は、コア10の隣接するアーム部10aと歯部10b間に形成されたコアスロットS(図4参照)に挿入される柱状の本体部16Aと、本体部16Aの端部に設けられて隣接するアーム部10aの歯部10bの表面に配置される拡張部16Bと、で構成されている。そして、拡張部16Bは、一定の高さHと幅Wをもって本体部16Aの一端部から周方向に突出する。
【0022】
本体部16Aは、略断面6角形の柱形状をなし、軸線Lを通る対称平面Q(図3参照)が交差する最外周面16cと、最外周面16cの端部から歯部10bの内周面10c(図4参照)に沿って延在する外周面16dと、軸線Lを通る対称平面Qが交差する最内周面16eと、最内周面16eの端部から歯部10bの内周面10c(図4参照)に向かって延在する内周面16fと、を有している。
【0023】
また、本体部16Aの最外周面16cと拡張部16Bの外周面16gとは同一曲面上に位置する。そして、図4に示されるように、最外周面16cと外周面16gは、コア10の歯部10bの円弧状の外周面からはみ出さない。また、歯部10bの内周面10cと、分銅16の本体部16Aの外周面16dとは、面接触し、その箇所に接着剤Gが塗布される。なお、分銅16の拡張部16Bは、歯部10bに溶接で固定されてもよい。
【0024】
また、振動モータ1の組立て時において、コア10の歯部10bの内周面10cと、分銅16の本体部16Aの外周面16dとが面接触し、インシュレータ11の第1の突部18aに分銅16の拡張部16Bが当接することにより、分銅16の径方向の内方への倒れ込みを防止する。
【0025】
この振動モータ1において、インシュレータ11には、分銅16の本体部16Aの端部に設けられた拡張部16Bより径方向の内方に位置して拡張部16Bの径方向の移動を規制する突部18が設けられ、分銅16の径方向の内方への倒れ込みをインシュレータ11の突部18によって支えているので、振動モータ使用時において、分銅16に加わる径方向の内方への力は溶接又は接着剤のみで支えられるような事態が回避され、分銅16の固定強度が徐々に低下することがない。
【0026】
特に、分銅16にタングステンを使用しコア10に鉄を利用すると、融点の違いにより接合の信頼性が低下し、接着剤を利用する場合には、接着剤自体の接着強度の経年劣化が起こるので、分銅16の径方向の内方への倒れ込みをインシュレータ11の突部18によって支える構成にすると、分銅の外れを確実に防止することができる。
【0027】
また、振動モータ1の組立て時に分銅16の倒れ込みが起こり易いと、溶接や接着剤による分銅16の固定ミスが発生し易く、固定強度の信頼性の低下を招くが、このような事態も回避させることができる。そして、分銅16の倒れ込みをコイル17で支える必要がなく、これにより、分銅16がコイル17に接触することによって起こるコイル17の断線を確実に防止することができる。また、インシュレータ11の突部18は、振動モータ1の組立て時に分銅16の位置規制として機能するので、組立て作業性をも良好にしている。
【0028】
図4に示されるように、突部18は、分銅16の拡張部16Bの周方向における遊端部16aに当接することによって、分銅16の周方向の移動を規制させることができる。このような突部18を採用すると、振動モータ1の組立て時に分銅16の位置規制を更に確実なものとし、溶接や接着剤による分銅16の固定ミスが発生し難く、更なる固定強度の信頼性の向上が図られる。
【0029】
また、突部18は、コア10の歯部10bの両遊端を結ぶ直線Pに対して、径方向における外方に配置されている。このような構成を採用すると、コイル17をコア10のアーム部10aに巻くときに、インシュレータ11の突部18が邪魔になることを回避させ、しかも、アーム部10aにコイル17を巻くときの巻きしろが、突部18の存在によって狭くなるのを回避させることができる。さらに、突部18によってコイル17の巻き位置の端部を確実に制御することができ、これによって、コイル17巻きが確実なものとなり、扁平な振動モータ1にあっては分銅設置スペースが非常に少ないので、少ない容積の中で確実に分銅設置スペースを確保することができる。
【0030】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0031】
例えば、図示しないが、第1の突部18aは分銅16の拡張部16Bの内周面16h(図4参照)に沿って延在してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…振動モータ 10…コア 10a…アーム部 10b…歯部 11…インシュレータ 14…コミテータ部 16…分銅 16A…本体部 16B…拡張部 16a…分銅の遊端部 17…コイル 18…突部 18a…第1の突部 18b…第2の突部 18c…第3の突部 G…接着剤 L…軸線 R…ロータアッセンブリー P…直線 S…コアスロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13