特許第5764121号(P5764121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764121
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】流体計量分配装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/36 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   F01N3/36 C
【請求項の数】24
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-511300(P2012-511300)
(86)(22)【出願日】2010年5月20日
(65)【公表番号】特表2012-527565(P2012-527565A)
(43)【公表日】2012年11月8日
(86)【国際出願番号】EP2010057001
(87)【国際公開番号】WO2010133685
(87)【国際公開日】20101125
【審査請求日】2012年1月18日
(31)【優先権主張番号】0908690.1
(32)【優先日】2009年5月20日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514160386
【氏名又は名称】デルファイ・インターナショナル・オペレーションズ・ルクセンブルク・エス・アー・エール・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】ライト,キース
(72)【発明者】
【氏名】クック,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】コスター,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】オールドフィールド,ニック
(72)【発明者】
【氏名】ハーディ,マーティン
【審査官】 山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−019868(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/080695(WO,A1)
【文献】 特開2008−019866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
B01D 53/86
B01D 53/94−53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ(10、110、210)をボス(14、114)で排気管(12、112)に取り付けるための取り付け装置において、
前記ポンプ(10、110、210)は、ポンプ本体(20、120)と、ポンプ本体(20、120)から延びる送出ノズル区分(22、122)とを含み、
前記取り付け装置は、前記ポンプ本体(20、120)を支持するための充填手段(66、152、252)を含む、取り付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の取り付け装置において、
前記ポンプ本体(20、120)は、前記ポンプの重量の半分より大きい重量を有し、及び/又は前記ポンプの質量中心を含む、取り付け装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の取り付け装置において、更に、
使用時に、前記ポンプ(10、110、210)の前記ノズル区分(22、122)を前記ボス(14、114)内に保持するための保持手段(24、26、28;126、144、226、244)を含み、
前記充填手段(66、152、252)は、前記保持手段(24、26、28;126、144、226、244)と協働して前記ポンプ本体を支持する、取り付け装置。
【請求項4】
請求項3に記載の取り付け装置において、
前記保持手段は、前記充填手段(66、152、252)を受け入れるための容積を有する缶状容器(28、126、226)を備える、取り付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の取り付け装置において、
前記充填手段は、充填材(66、152、252)で形成された一つ又はそれ以上の挿入体により形成され、前記挿入体は、前記容器(28、126、226)内に挿入される、取り付け装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のうちのいずれか一項に記載の取り付け装置において、
前記保持手段(28、126、226)は前記ボス(14、114)に固定されており、前記充填手段は、可撓性を有している、取り付け装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の取り付け装置において、
前記充填手段(66、152、252)は、圧縮性材料を備えている、取り付け装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の取り付け装置において、
前記充填手段(66、152、252)は、断熱材を備えている、取り付け装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の取り付け装置において、
前記充填手段(66、152、252)は、少なくとも部分的に、前記ポンプ(10、110)の中央取り付け軸線と平行な軸線方向に沿って圧縮性である、取り付け装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の取り付け装置において、
前記充填手段は、少なくとも部分的に、半径方向剛性が前記ポンプ(10、110)の中央取り付け軸線(116)と平行な軸線方向での剛性よりも高い、異方性(160、162、166、168)を有する、取り付け装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の取り付け装置において、
前記充填手段は、前記ポンプ(10、110)の中央取り付け軸線(116)と平行な軸線方向に沿って配置される複数の層(160、162、164、166、168)を含む、取り付け装置。
【請求項12】
請求項11に記載の取り付け装置において、
前記複数の層は、少なくとも一つの断熱層(164、264)、及び前記少なくとも一つの断熱層(164、264)よりも前記送出ノズル区分(22、122)側に配置される少なくとも一つの可撓性シール層(160、260)を含む、取り付け装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の取り付け装置において、
前記複数の層は、前記ポンプ本体(120)の半径方向に延びて、前記ポンプ(10、110)の中央取り付け軸線(116)に対して垂直な方向で前記ポンプ本体(120)を支持する少なくとも一つの支持層(162)を含む、取り付け装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載の取り付け装置において、
前記ポンプ本体(120)を、前記ポンプ(10、110)の中央取り付け軸線(116)に対して垂直な方向で支持するための少なくとも一つのブレース要素(261)を含む、取り付け装置。
【請求項15】
内燃エンジンの排気システム用の計量分配装置(110)において、
ポンプ本体(120)と、前記ポンプ本体(120)から流体を受け入れる送出ノズル(122)であって、ポンプ(118)の作動時に流体を前記排気システム内に放出するための出口端(130)を備える送出ノズル(122)とを含むポンプ(118)と、
使用時に前記ポンプ(118)を前記排気システムの排気チャンバに取り付けるための取り付け装置(124、126、144)とを含み、
前記取り付け装置(124、126、144)は、ヒートシールド(148)と前記ノズル(122)との間に空隙(150)を形成するように前記ノズル(122)の少なくとも出口端(130)を取り囲むヒートシールド(148)を含み、
前記ヒートシールド(148)は、前記ノズル(122)及び前記ポンプ本体(120)から熱的に遮断されており、
前記ヒートシールド(148)は、前記ヒートシールド(148)と前記ポンプ本体(120)との間の少なくとも一つの中間構成要素(152)によって、前記ポンプ本体(120)から熱的に遮断されており、
前記取り付け装置(144)は、前記ポンプ本体(120)を支持するための充填手段(152)を含み、前記充填手段(152)は前記中間構成要素を含む、計量分配装置。
【請求項16】
請求項15に記載の計量分配装置において、
前記ヒートシールド(148)は、前記ヒートシールド(148)と前記ノズル(122)との間の少なくとも一つの中間構成要素によって、前記ノズル(122)から熱的に遮断されている、計量分配装置。
【請求項17】
請求項15に記載の計量分配装置において、
前記少なくとも一つの中間構成要素(152)は非金属製である、計量分配装置。
【請求項18】
請求項16に記載の計量分配装置において、
前記ヒートシールド(148)と前記ポンプ本体(120)との間の前記少なくとも一つの中間構成要素(152)及び前記ヒートシールド(148)と前記ノズル(122)との間の前記少なくとも一つの中間構成要素(152)のうち少なくとも一方は非金属製である、計量分配装置。
【請求項19】
請求項15に記載の計量分配装置において、
前記少なくとも一つの中間構成要素(152)は断熱材(164)を含む、計量分配装置。
【請求項20】
請求項16に記載の計量分配装置において、
前記ヒートシールド(148)と前記ポンプ本体(120)との間の前記少なくとも一つの中間構成要素(152)及び前記ヒートシールド(148)と前記ノズル(122)との間の前記少なくとも一つの中間構成要素(152)のうち少なくとも一方は断熱材(164)を含む、計量分配装置。
【請求項21】
請求項15乃至20のうちのいずれか一項に記載の計量分配装置において、
前記計量分配装置(110)は、前記ヒートシールド(148)と前記ノズル(122)との間及び/又は前記ヒートシールド(148)と前記ポンプ本体(120)との間に一つ又はそれ以上の熱伝導経路を形成し、前記熱伝導経路は、少なくとも一つの中間構成要素(152)を含み、前記ヒートシールド(148)は、前記少なくとも一つの中間構成要素(152)によって前記ノズル(122)及び/又は前記ポンプ本体(120)から熱的に遮断されている、計量分配装置。
【請求項22】
請求項15乃至21のうちのいずれか一項に記載の計量分配装置において、
前記取り付け装置(144)は、前記ポンプ本体(120)を受け入れるための構造体(126)を含み、前記充填手段(152)は前記構造体(126)内に受け入れられる、計量分配装置。
【請求項23】
請求項15乃至22のうちのいずれか一項に記載の計量分配装置において、
前記ヒートシールド(148)は前記ノズル(122)の前記出口端(130)を越えて延びている、計量分配装置。
【請求項24】
請求項15乃至23のうちのいずれか一項に記載の計量分配装置において、
前記ノズル(122)は、ノズル本体(232)と、前記ノズル本体(232)を取り囲み、前記ノズル(122)内に真空の区画室(235)を形成する断熱ジャケット(233)とを含む、計量分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンの排気システム用の流体計量分配(fluid dosing)装置に関する。詳細には、しかし非限定的には、本発明は、反応剤(reagent) を排気ガス流に分配するための流体計量分配装置、及び流体計量分配装置を排気管に取り付けるための方法、手段、及び構成要素に関し、これには取り付け装置が含まれる。
【背景技術】
【0002】
本出願人の欧州特許公開第EP 1 878 920 A1号には、ソレノイド作動式反応剤計量分配ポンプが記載されている。このようなポンプは、代表的には、還元剤等の反応剤をノズルを介して供給し、車輛の排気管内の排気ガス流中に分散するのに使用される。この構成は、車輛のエンジンからの有害な排気ガスエミッションを低減するための選択的触媒還元システム(SCR)の一部として有用である。
【0003】
幾つかの場合では、還元剤を排気ガス流中に送出するため、ポンプの出力ノズルが排気管のポートを通って延びるように、ポンプを排気管に直接的に取り付けるのが望ましい。ポンプは、排気ガスがポートを通って漏れないように排気管に固定的に取り付けられていなければならない。
【0004】
出典を明示することにより、全ての開示内容が本明細書の開示の一部とされる本出願人の欧州特許出願第08169996.9号(「EP08169996.9」)は、排気管に取り付けられた又は取り付けることができるボスと、使用時にポンプをボスに保持するための保持手段とを含み、この保持手段が、ポンプの振動を減衰するための介在O−リングを含む、ポンプ取り付け装置を提供する。O−リングにより、ポンプと取り付けボス又は排気部との間に剛性または強固な機械的連結部がないようにする。
【0005】
ポンプとボスとの間のインターフェース領域に配置されたO−リングは、剛性でなく、そのため、ポンプ内で往復動するソレノイドから排気管に伝達される振動の程度は、O−リングを用いない場合よりも低い。こうした振動はO−リングによって減衰され、そのため、ポンプは排気管から音響的に遮断される。従って、ポンプの使用時にポンプの作動ノイズが排気管によって大幅に増幅されることがない。
【0006】
O−リングは、例えばO−リングがゴム等のポリマー材料で形成されている場合、排気管からポンプへの伝導による熱伝導を減少するのにも役立つ。かくして、この場合、ポンプは、排気管から熱的に或る程度遮断される。これは、ポンプを効率的に且つ確実に作動するのに必要なポンプの冷却量及び反応剤の量を減少するのを補助する。
【0007】
計量分配ポンプ又は他の計量分配装置の出力ノズルの一部が排気管のボア内に位置決めされている場合には、エンジンの使用時に排気管を通って流れる高温の排気ガスから熱が出力ノズルに加わる。従って、排気管の壁からの伝導による熱伝達を減少することに加え、高温のガス流により出力ノズルに及ぼされる加熱効果を小さくするのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許公開第EP 1 878 920 A1号
【特許文献2】欧州特許出願第08169996.9号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の背景に対し、流体計量分配装置の設計及び排気管に反応剤計量分配装置を取り付ける構成の設計を耐久性及び熱伝導の減少に関して改良するために考案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、取り付けボスインターフェース領域から遠方のポンプを支持し、減衰し、断熱することによって、耐久性を向上でき、好ましくは熱伝達を減少できるという理解に基づく。
【0011】
従って、この第1の態様では、ポンプ装置をボスのところで排気管に取り付けるための取り付け装置が提供される。ポンプ装置は、送出ノズル区分と、ポンプ本体を含む残りの区分とを含み、取り付け装置は、ポンプ装置の残りの区分のところでポンプ本体を支持するための充填手段を含む。ポンプ装置の残りの区分は、ポンプ装置の重量の半分以上を占め、及び/又はポンプ装置の質量中心を含む。
【0012】
取り付け装置は、更に、使用時に、ポンプ装置のノズル区分をボス内に保持するための保持手段を含む。取り付け装置は、保持手段と協働してもよい。随意であるが、保持手段は、ノズル区分に直接的に連結されていなくてもよく、又はノズル区分と直接協働しなくてもよいが、その代わり、ノズル区分がボスから離間されるようにノズル区分をボス内の所定位置に保持するように構成されていてもよい。
【0013】
便利には、保持手段は、充填手段を受け入れるための容積を形成する。充填手段は、充填材で形成された一つ又はそれ以上の挿入体を含んでいてもよく、挿入体は、容積内に受け入れられる。一実施例では、保持手段は、容積を形成する缶状容器を含み、充填手段及びポンプ本体が缶状容器内に受け入れられる。容積は、随意であるが、シール可能であってもよい。好ましくは、ポンプ装置の重量の大部分及び/又はポンプ装置の質量中心が、保持手段が形成する容積内に受け入れられていてもよい。
【0014】
保持手段はボスと剛性態様で(換言すれば、一体に又は不動に)協働できるように構成されていてもよい。保持手段は、ボスと剛性をなして協働するように構成された取り付けナット又はスリーブ等の取り付けエレメントを含んでいてもよい。充填手段は、ポンプ本体に対し、保持手段に関して可撓性支持を提供してもよい。
【0015】
有利には、充填手段は、ポンプ本体の振動を減衰するように構成されていてもよい。別の態様では、又は追加として、充填手段は、ポンプ本体を熱的に遮断するように構成されていてもよい。換言すると、充填手段は、ポンプ本体への熱の進入に対抗する。
【0016】
特に高運動及び振動期間中に音響的に及び熱的に更に高度に遮断するため、保持手段は、ポンプ装置及び/又は保持手段を、ポンプ装置がボス又は排気管と直接的に機械的(即ち剛性)に接触しないように、ボスとのインターフェース領域に所定位置に保持する、例えばO−リング等の一つ又はそれ以上の圧縮性インターフェース部材を含んでいてもよい。これらのインターフェース部材は、好ましくは、排気ガスが漏れないようにポンプ装置をボス内にシールする。
【0017】
インターフェース部材又は各インターフェース部材は、ポンプ装置をボス即ち保持手段に関して配置するように構成されていてもよい。これに関し、インターフェース部材は、例えば、ボス又は保持手段の面取りを施した縁部と係合してもよい。
【0018】
有利には、インターフェースを確実にシールするため、充填手段は、インターフェース部材に弾性力を及ぼすように構成されていてもよい。相乗的に、好ましくは、一つ又はそれ以上のインターフェース部材が、ポンプ装置に対して第1軸線方向で減衰を提供し、充填手段は少なくとも第2方向、好ましくは逆方向で減衰を提供する。
【0019】
一実施例では、保持手段はポンプ装置の残りの区分だけを支持するように構成されている。このような場合には、ポンプ装置の送出ノズル区分はボス、又は存在する場合には、ボスと剛性態様で協働する取り付けエレメントと接触しない。ヒートシールドが送出ノズル区分の少なくとも一部を取り囲んでいてもよく、ポンプ装置の残りの区分だけが保持手段によって支持される場合、ポンプ装置の送出区分はヒートシールドと接触しない。任意の実施例において、ヒートシールドが設けられている場合、ヒートシールドは、随意であるが、保持手段、ボス、取り付けエレメント(この取り付けエレメントが設けられている場合)、又は取り付けエレメント又は保持手段とボスとの間に配置されたガスケット又はシール部材と一体であってもよいし、これに取り付けられていてもよい。
【0020】
好ましくは、充填手段がポンプ装置の振動を減衰してもよい。これにより、ポンプ本体内の往復動するソレノイド又は他の往復動するアクチュエータが発生し、排気管に伝達する振動の程度は、充填手段が設けられていない場合よりも低くなる。その代わり、ポンプ装置は、排気管から音響的に遮断されている。従って、ポンプ装置の使用時にポンプ装置の作動ノイズが排気管によって大幅に増幅されることはない。減衰効果を提供する適当な可撓性充填材の例を以下に説明する。
【0021】
充填手段は、ポンプ装置への熱の進入に抵抗し、ポンプ装置を排気管から熱的に遮断することができる。これにより、ポンプ装置の冷却量を減少し、ポンプ装置を効率的に且つ確実に作動する上で必要な反応剤の量が減少する。熱が進入しないようにする(即ち断熱を提供する)ため、充填手段には、有利には、熱伝導率が低く、1Wm−1−1よりも低く、好ましくは、0.25Wm−1−1よりも低く、最も好ましくは、0.05Wm−1−1よりも低く、場合によっては0.025Wm−1−1よりも低い充填材が含まれる。適当な断熱性充填材の例は、以下の好ましい実施例の詳細な説明に記載してある。
【0022】
ポンプ装置には、ソレノイド作動式ポンプ装置又は他の線形往復動型ポンプ装置が含まれてよい。このようなポンプ装置では、ノイズを発生する振動の大部分がポンプ装置の軸線に沿って差し向けられる。従って、軸線方向減衰を高めるには、充填手段の少なくとも一部又は層が、ポンプ装置の中央取り付け軸線と平行な軸線方向に沿って圧縮性であってもよい。
【0023】
ポンプの軸線方向移動の減衰を高めると同時に半径方向で追加の支持を提供するのが望ましい場合がある。ポンプに対して高い横方向支持を提供するため、好ましくは、充填手段は、半径方向で、即ち中央取り付け軸線に対して垂直方向で、軸線方向におけるよりも圧縮性が低い、又は剛性が低い。換言すると、充填手段は、有利には、軸線方向減衰が半径方向減衰よりも大きい、または半径方向支持が軸線方向支持よりも大きい少なくとも一つの異方性部分又は異方性層を含んでいてもよい。従って、充填手段は、半径方向剛性がポンプ装置の中央取り付け軸線と平行な軸線方向での剛性よりも高い、少なくとも一つの異方性部分即ち異方性層を含んでいてもよい。
【0024】
ポンプ装置に対する減衰及び支持を最適化するため、充填手段は、複数の層を含んでいてもよい。例えば、以下の好ましい実施例の詳細な説明に記載された充填材等の様々な種類の充填材を、層に対して、任意の適当な組み合わせで使用してもよい。好ましい種類の充填材の有利な特性を以下に詳細に論じる。特定的に説明した層の組み合わせが特に相乗的作用をもたらし、有利であることが分かった。
【0025】
例えば、充填手段は少なくとも一つの断熱層、及び高温の空気が断熱層に向かって進入しないように構成された少なくとも一つの可撓性シール層を含んでいてもよい。少なくとも一つの支持層が設けられていてもよい。支持層は、ポンプ本体に対し、ポンプ装置の中央取り付け軸線に対して垂直な方向で支持を提供するように構成されていてもよい。
【0026】
取り付け装置は、ポンプ本体を、ポンプ装置の中央取り付け軸線に対して垂直な方向で支持するための少なくとも一つのブレース要素を含んでいてもよい。ブレース要素は、排気ガスがブレース要素を通過しないように、ポンプ装置の適当な構成要素及び/又は取り付け装置に関してシールを形成するように構成されていてもよい。
【0027】
かくして、本発明の別の実施例は、ポンプ装置をボスのところで排気管に取り付けるための取り付け装置を提供し、この取り付け装置は、ポンプ装置を支持するための複数の充填層と、これらの充填層及び取り付けエレメントを受け入れるための構造を含む保持手段とを含む。取り付けエレメントは、構造及びボスと剛性をなして協働できる。
【0028】
充填層は、任意の実施例において、好ましくは、ポンプの振動を減衰し、熱がポンプに進入しないようにする。ポンプ装置が送出ノズル区分と残りの区分とを含む場合には、充填層は、有利には、ポンプ装置を残りの区分のところで支持するように構成されている。ポンプの残りの区分は、好ましくは、ポンプの重量の半分以上を占め、及び/又はポンプの質量中心を含む。
【0029】
好ましくは、構造は、充填層及びポンプ装置の少なくとも一部を受け入れるための缶状容器等の容積を形成してもよい。一実施例では、取り付けエレメントは、充填層を受け入れるための構造及び/又はボスと係合するための一つ又はそれ以上のねじ領域を持つナットを含む。別の実施例では、取り付けエレメントは、構造及び/又はボスに取り付けるための一つ又はそれ以上のフランジを持つ管状スリーブを含む。別の実施例では、取り付けエレメントは、構造の延長部分を含む。
【0030】
一つの好ましい実施例では、充填層は、熱伝導率が0.025Wm−1−1よりも低い少なくとも一つの断熱層、高温の空気が断熱層に向かって進入しないように構成された少なくとも一つの可撓性シール層、及びポンプ装置に対して横方向支持を提供する、例えば中央取り付け軸線に対して垂直方向で支持するように構成された支持層を含んでいてもよい。構造がシール可能な容積を形成する場合、支持層は、好ましくは、シール時に他の充填層に圧縮力を及ぼすように構成されていてもよい。有利には、高度の熱遮断を提供するため、可撓性シール層及び支持層もまた熱伝導率が低く、好ましくは、0.25Wm−1−1よりも低く、更に好ましくは、0.05Wm−1−1よりも低い。
【0031】
別の好ましい実施例では、充填層は、軸線方向減衰が半径方向減衰よりも高い(上文中に定義したように)少なくとも一つの異方性層、熱伝導率が0.025Wm−1−1よりも低い少なくとも一つの断熱層、及び高温の空気が断熱層に向かって進入しないように構成された少なくとも一つの(可撓性)シール層を含んでいてもよい。有利には、高度の熱遮断を提供するため、異方性層及び(可撓性)シール層も熱伝導率が低く、好ましくは、0.25Wm−1−1よりも低く、更に好ましくは、0.05Wm−1−1よりも低い。
【0032】
本発明の別の実施例では、ポンプ装置を排気管にボスのところで取り付けるための取り付け装置が提供される。ポンプ装置は、送出ノズル区分及び残りの区分を含む。取り付け装置は、使用時にポンプのノズル区分をボスに保持するための保持手段を含む。取り付け装置は、ポンプ装置をポンプ装置の残りの区分のところで支持するため、保持手段と協働できる充填手段を更に含む。ポンプ装置の残りの区分は、好ましくは、ポンプの重量の半分以上を占め、及び/又はポンプの質量中心を含む。
【0033】
本発明の更に別の実施例では、ポンプをボスのところで排気管に取り付けるための取り付け装置が提供される。取り付け装置は、ポンプを支持するための、及び/又は取り囲むための充填手段と、使用時にポンプを支持及び/又は取り囲む充填手段を受け入れる容積を形成する、ポンプをボスに保持するための保持手段とを含む。
【0034】
本発明は、本発明の上述の実施例のうちの任意の実施例による取り付け装置を持つ計量分配装置を含む。計量分配装置は、送出ノズル区分と、ポンプ本体を含む残りの区分を含んでいてもよい。
【0035】
本発明の第2の態様は、ポンプ装置を排気ガス流及び排気管から熱的に遮断することによって、排気ガス流から計量分配装置のポンプ装置への熱伝達を減少できるという理解に基づく。
【0036】
従って、本発明の第2の態様では、内燃エンジンの排気システム用の計量分配装置は、ポンプ本体を含むポンプと、ポンプから流体を受け入れ、ポンプの作動時に流体を出口端から排気システム内に放出するための送出ノズルと、使用時にポンプを排気システムの排気チャンバに取り付けるための取り付け装置とを含む。取り付け装置は、ノズルとの間に空隙を形成するようにノズルの少なくとも出口端を取り囲むヒートシールドを含む。ヒートシールドは、ノズル及びポンプ本体から熱的に遮断されている。
【0037】
ヒートシールドは、使用時に、排気システム内の高温の排気ガスをノズルの出口端から又はその周囲から逸らす。従って、ヒートシールドには高い温度が加わり、それ自体の温度が上昇する。ヒートシールドをノズル及びポンプ本体から熱的に遮断することによって、ヒートシールドからノズル及びポンプ本体への伝導による熱伝達が、ヒートシールドがノズル又はポンプ本体に直接的に連結された構成や連結された構成要素の各々が比較的良好な熱伝導体であるためにヒートシールドとノズル又はポンプ本体との間に熱伝導経路が存在する構成と比較して大幅に減少する。従って、本発明の第2の態様は、反応剤が高温の排気ガスの影響でノズル又はポンプ本体内で過度に加熱されるという問題点を低減し、即ち緩和する。
【0038】
一実施例では、ヒートシールドは、熱伝導率が低い材料でできた少なくとも一つの領域又はヒートシールドをノズル及びポンプ本体から分離する構造が存在するため、ノズル及びポンプ本体から熱的に遮断される。換言すると、計量分配装置の構成要素を通ってヒートシールドからノズル及びポンプ本体への全ての熱伝導経路には、例えば薄壁構成要素又は断面積が小さい他の構造の様な断熱材料及び/又は熱伝導低減構造によって、熱伝導を減衰する又は減少する部分がある。
【0039】
本発明の第2の態様の熱遮断特徴には、例えば、使用された材料が熱伝導経路に沿って変化する構成、及び計量分配装置の構成要素間の熱伝導を減少するように材料及び/又は構造を変化した構成が含まれる。これに対し、従来の構成では、ヒートシールドからノズル及び/又はポンプ本体への熱伝導経路が金属製構成要素を通る、又は連結された一つ又はそれ以上の金属製構成要素を通る。
【0040】
ヒートシールドは、ヒートシールドとポンプ本体との間の少なくとも一つの中間構成要素によってポンプ本体から熱的に遮断されていてもよい。同様に、ヒートシールドは、ヒートシールドとノズルとの間の少なくとも一つの中間構成要素によってノズルから熱的に遮断されていてもよい。
【0041】
中間構成要素、又は二つ以上の中間構成要素が設けられている場合には、少なくとも一つの中間構成要素は非金属製であってもよい。従って、ヒートシールドとノズル又はポンプ本体のいずれかとの間で計量分配装置の金属製構成要素を通る熱伝導経路はなくてよい。中間構成要素、又は少なくとも一つの中間構成要素は断熱材を含んでいてもよい。
【0042】
計量分配装置は、ヒートシールドとノズルとの間及び/又はヒートシールドとポンプ本体との間に一つ又はそれ以上の熱伝導経路を形成してもよく、熱伝導経路又は各熱伝導経路は、少なくとも一つの中間構成要素を含んでいてもよい。換言すると、ヒートシールドからノズル又はポンプ本体に熱を伝導するための経路がなく、非金属製又は断熱性の構成要素、又は断面積が小さい金属製構成要素等の熱を伝導し難いものを通して熱を伝導する必要がない。このようにして、ヒートシールドは、ノズル及びポンプ本体から熱的に遮断される。
【0043】
取り付け装置は、ポンプ本体を支持するための充填手段を含んでいてもよい。充填手段は、中間構成要素を含んでいてもよく、中間構成要素を形成してもよい。取り付け装置は、ポンプ本体を受け入れるための缶状容器等の構造を含んでいてもよく、充填手段は構造内に受け入れられていてもよい。
【0044】
取り付け装置は、使用時にノズルを排気チャンバ内の所定位置に保持するための保持手段を含んでいてもよい。保持手段は、ヒートシールを含んでいてもよい。
ヒートシールドはノズルの出口端を越えて延びていてもよい。このようにして、ノズルの出口端はヒートシールド内に引っ込んでおり、使用時にノズルを高温の排気ガスからシールドするヒートシールドの性能を更に向上する。ノズルは、ノズル本体と、ノズル本体を取り囲み、ノズル内に実質的に真空の区画室を形成する断熱ジャケットを含んでいてもよい。実質的に真空の区画室及びヒートシールドの組み合わせが、ノズル内の反応剤を適当な温度に維持するという大きな利点を提供する。
【0045】
本発明は、本発明の第1の態様による取り付け装置を持つ、本発明の第2の態様による計量分配装置、及び本発明の第2の態様による計量分配装置用のヒートシールドに関する。
【0046】
上文中に説明した本発明の各態様及び実施例の好ましい及び/又は随意の特徴は、他の態様及び実施例で、単独で又は適当な組み合わせで使用してもよいということは理解されよう。
【発明の効果】
【0047】
本発明のこの他の好ましい特徴及び利点は、以下の好ましい実施例の詳細な説明から理解されよう。
次に、本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、本発明の第1実施例による取り付け装置を示す、反応剤ポンプ及び排気管の一部の部分断面側面図である。
図2図2は、本発明の第2実施例による取り付け装置を示す、反応剤ポンプの一部及び排気管の一部の部分断面側面図である。
図3図3は、図2の取り付け装置の構成要素の概略斜視図である。
図4図4は、図3の取り付け装置の別の構成要素の概略斜視図である。
図5図5は、本発明の第3実施例による取り付け装置を示す、反応剤ポンプの部分断面側面図である。
図6図6は、図5の取り付け装置の構成要素の概略斜視図である。
図7図7は、図5の反応剤ポンプの一部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
次に、図1を参照して本発明の第1実施例を説明する。図1は、取り付けボス14で排気管12に取り付けられたポンプアッセンブリ10を示す。
ポンプアッセンブリ10は、中央取り付け軸線16を有し、ポンプ本体20及び円筒形ノズル22を持つポンプ18と、ノズル22によって支持された全体に円筒形形態のスリーブ部材24と、スリーブ部材と協働可能な取り付けナット26の形態の取り付けエレメントと、ポンプ18を断熱し且つ支持するため、取り付けナット26に溶接された缶状容器28とを含む。
【0050】
ポンプ本体20は、ポンプの入口30からノズル22の出口32まで流体を全体に軸線16に沿って圧送するように構成された、例えば欧州特許出願公開第EP1 878 920A1号に記載された従来のソレノイドアクチュエータ(図示せず)を含む。
【0051】
ポンプ18のノズル22は、ノズル22の出口32とは反対側の端部がポンプ本体20に連結されたノズル本体34を含む。ノズル本体34は、ねじ山を備えたカラー36を含み、このカラーは、内ねじを備えたスリーブ部材24を支持する。
【0052】
ポンプアッセンブリ10を排気管12に取り付けたとき、ノズル22は、排気管12の壁40のポート38を通って延びる。このようにして、ポンプ18の使用時にノズル22の出口32から分散される流体は、排気管12のボア42内を通る排気ガス流に進入する。
【0053】
スリーブ部材24は、ポンプ本体20に最も近い端部に半径方向に延びるフランジ44を備えている。ポンプ本体20から最も遠い反対側の端部では、スリーブ部材24は、半径方向突出部46を備えている。この半径方向突出部46には、ポンプ本体20から遠ざかる方向に向いた面取り領域48が設けられている。
【0054】
保持手段として作用する取り付けナット26は全体に円筒形であり、スリーブ部材24が隙間嵌めする中央開口部50を有する。取り付けナット26は、比較的大径のファセット部分52と、比較的小径の外ねじ部分54とを含み、これらは、内方に面する環状面取り縁部58を持つ肩部56によって接合されている。ファセット部分52は、以下に説明するように、取り付けナット26の外ねじ部分54を取り付けボス14にねじ込むため、スパナ等の工具と協働するように構成されている。
【0055】
取り付けナット26の外ねじ部分54は、漏斗状環状面取り部56を介して円筒形ヒートシールド59に接合されている。円筒形ヒートシールド59は、使用時に(以下に説明するように、取り付けナット26がポンプ18と協働したとき)、ノズル22を取り囲む。ヒートシールド59は、ノズル22とヒートシールド59との間に全体に円筒形の環状空隙60を提供するような大きさ及び形状を備えている。空隙60は、空気の熱伝導率が低いため、使用時にノズル22に対して追加の断熱を提供する。
【0056】
取り付けナット26は、実質的に、EP08169996.9に記載されているように、例えば商業的に入手できるパーフルオロエラストマーであるカルレッツ(カルレッツ(Kalrez)は登録商標である)スペクトラム7075等の適当なポリマー材料製のO−リング62、64の形態の減衰/弾性−耐熱性保持手段を用いてポンプ18と協働し且つこのポンプを支持する。第1O−リング62は、スリーブ部材24のフランジ44、取り付けナット26の内側壁、及びスリーブ部材24の半径方向突出部46によって形成される空間内に受け入れられる。第2O−リング64は、スリーブ部材24の半径方向突出部46の面取り領域48、取り付けナット26の内側壁、及び取り付けナット26の漏斗状環状面取り部56によって形成される空間内に受け入れられる。
【0057】
スリーブ部材24及びO−リング62、64を取り付けナット26に押し込むと、両O−リング62、64が、ノズル本体34に取り付けられたスリーブ部材24に対して圧縮される。従って、特に漏斗状面取り部56により、ノズル22及びポンプ18全体が取り付けナット26に関して配置され、保持され、減衰される。第1O−リング62は、主として、取り付けナット26に関するスリーブ部材24の半径方向移動を減衰する。第2O−リング64は、主として、取り付けナット26に関するスリーブ部材24の軸線方向移動を減衰する。更に、第2O−リング64は、スリーブ部材24を取り付けナット26に関して配置し、即ちその中心に置くのを補助し、空気がヒートシールド58とノズル22との間の空隙60からポンプ18に向かって進入しないようにする。
【0058】
O−リング62、64は、或る程度の保持を提供するが、ポンプ18は、以下に説明するように、缶状容器28によって取り付けナット26に関して追加に支持される。缶状容器28(及びその挿入体)による追加の支持により、排気管12の高振動期間に対する抵抗を提供することによって、取り付け装置の耐久性を向上する。更に、缶状容器28は、断熱機能を提供する。
【0059】
缶状容器28は、充填材66の床の形態の充填手段内にポンプ18を保持する。従って、缶状容器28は、ポンプ本体20を拡大した形態(これは、この実施例では全体に円筒形である)とほぼ一致する形状の容器本体68を有する。容器本体68のノズルに面する端部70は、例えばレーザーによって取り付けナット26のファセット部分52に溶接されており、ここにしっかりと連結される。容器本体68の反対側の端部72には、容器封止蓋74と協働できる開口部が設けられている。容器封止蓋74は、ポンプ18及び充填材66を挿入した後、例えばレーザーによって所定位置に溶接される。容器封止蓋74には、ポンプ本体20を越えて延び、ポンプ本体20の肩部78を形成するポンプの入口構成76(電源を含む)用の穴が設けられている。
【0060】
充填材66は、三つの別個の構成要素、即ち断熱材80、シール材82、及び支持材料84を含む。
断熱材80は、例えば非強化シリコーンスポンジゴム又は微孔質セラミック粉体(例えばマイクロサーム(マイクロサーム(Microtherm)は登録商標である)の商標で販売されている)であってもよく、ポンプ本体20を取り付けユニット26のファセット部分52内及び容器本体68の大部分内にほぼポンプ本体20の肩部78まで半径方向で取り囲む。かくして、断熱材80は、熱がポンプ本体20に入り込まないようにするのを補助し、ポンプ18に対して或る程度の横方向支持を提供する。断熱材80の熱伝導率は、代表的には、0.025Wm−1−1よりも低い。
【0061】
ポンプ本体20の肩部78では、一層のシール材82がガスケットとして作用し、断熱材80及びポンプ本体20を外部環境からシールする。任意の適当なシール材82を選択してもよいが、シリコーンスポンジゴム製の可撓性で圧縮性の層が特に適していることがわかっている。圧縮性シール材には、ポンプ18に対して軸線方向減衰を提供するという利点があり、これによってノイズレベルの減少に寄与する。シール材82の層には、ポンプ18の入口構成76用の中央穴が設けられている。シール材の熱伝導率は、代表的には、1Wm−1−1であり、好ましくは、0.25Wm−1−1よりも低い。
【0062】
シール材、容器本体68の横壁86、及び容器封止蓋74の間の空所は、支持材料84によって充填される。支持材料84は、缶状容器28を蓋74で閉鎖したときに、缶状容器28内に圧縮力を加え、これによって、スリーブ部材24と取り付けナット26との間のインターフェースでポンプ18及びO−リング62、64に圧縮力を加えるように機能する。これにより、ポンプ18全体と取り付けナット26との間をぴったりと嵌着し、シールする。
【0063】
重要なことは、支持材料84が、ポンプ18と容器本体68の横壁86との間を半径方向に延びることによって、ポンプ18を横方向でも支持するということである。容器本体68が取り付けナット26及び取り付けボス14を介して排気管12にしっかりと固定されるということに着目されたい。ポンプ18を支持材料84を介して容器本体68で横方向に支持することにより、耐久性を向上する。これは、取り付けナット26、及び特にO−リングとのインターフェースから負荷支持歪を取り除くことによって行われる。
【0064】
支持材料84は任意の適当な形態をとってもよいが、或る程度の剛性及び低い熱伝導率が好ましい特性である。PTFEが適当であるということがわかっている。この実施例の特に好ましい変形例では、支持材料84はポンプの取り付け軸線16に沿った圧縮性がポンプの取り付け軸線16に対して垂直方向での圧縮性よりも大きい。特に高い軸線方向減衰及び特に強い横方向支持の両方をポンプ18に提供する異方性を提供する上で、例えば、ガラス強化シリコーンスポンジゴムが好ましい。支持材料の熱伝導率は、代表的には、1Wm−1−1であり、好ましくは、0.25Wm−1−1よりも低い。
【0065】
特筆すべきは、ポンプ18が支持材料84及び容器本体68により横方向で支持されているにも関わらず、ポンプ18と取り付けナット26との間に剛性の機械的連結部はなく、そのため、ポンプ18は音響的に及び熱的に取り付けナット26から遮断されたままであるということである。スリーブ部材24と取り付けナット26との間におけるO−リングが介在した隙間は、ポンプ本体20と容器本体68との間の充填材66によって行われるような剛性の機械的連結を防止する。
【0066】
ポンプアッセンブリ10は、取り付けボス14によって、全体がボア42の出口32で所定位置に保持されている。取り付けボス14は、排気管12の壁40に溶接されており、全体に円筒形形態の端部分88を有する。この実施例では、取り付けボス14の中央軸線は、排気管12の長さ方向軸線に対して約45°である。しかしながら、他の適当な角度を選択してもよい。
【0067】
取り付けボス14の端部分88には、取り付けナット26を受け入れるため、内ねじが設けられている。かくして、取り付けナット26は、ポンプアッセンブリ10の残りの構成要素が取り付けられた状態で取り付けボス14にねじ込まれる。取り付けボス14の冷却を補助するため、この実施例では、取り付けボス14に放熱フィン90が設けられている。
【0068】
ノズル22が取り付けボス14を通って延びる場所で、ノズル22と取り付けボス14との間に隙間が存在し、ポンプ18は、直接的には取り付けボス14と接触していない。従って、非常に重要なことには、上文中に論じたように、ポンプ18が取り付けナット26から音響的に及び熱的に遮断されているということは、ポンプ18が取り付けボス14及び排気管12から音響的に及び熱的に遮断されているということに等しい。
【0069】
上述のように、ヒートシールド59は、ヒートシールド59とノズル22との間に空隙60を形成する。この空隙60は、排気管のボア42内の高温の排気ガスからノズル22への熱伝達を減少するのを補助する。ヒートシールド59は、ノズル22の周囲の排気ガスを逸らし、排気ガスがノズル22に直接当たらないようにする。
【0070】
このような構成では、ヒートシールド59は排気ガス流に直接的に露呈されており、従って、使用時にかなりの高温になるということは理解されよう。ヒートシールド59は、代表的には、ステンレス鋼等の金属から形成されている。図1に示すポンプアッセンブリ10の別の有利な特徴は、ヒートシールド59がポンプ18及びノズル22から熱的に遮断されているということである。このようにして、高温のヒートシールド59から装置10の反応剤搬送構成要素、詳細にはポンプ18及びノズル22への熱伝達を最小にし、流体の過加熱の危険を低減する。
【0071】
図1の例では、熱的遮断を行うため、装置10は、ヒートシールド59とポンプ18及びノズル22の夫々との間に重大な熱伝導路がないように構成されている。詳細には、図1からわかるように、ヒートシールド59は、ポンプ18の本体20に対し、及びノズル22に対し、熱伝導性が低い非金属材料製の構成要素のみによって連結されている。
【0072】
例えば、ヒートシールド59は、この例では、取り付けナット26の一部として形成されている。しかしながら、取り付けナット26及び従ってヒートシールド59は、上文中に説明したように、ゴム製のO−リング62、64によってノズル22から熱的に遮断されている。O−リング62、64は、ヒートシールド59とノズル22との間の熱伝導路を遮断するか或いは大幅に減少する中間熱遮断構成要素を提供する。
【0073】
図1からわかるように、ヒートシールド59からノズル22まで、金属製構成要素を通した連続的な熱伝導経路はない。その代わり、唯一の熱伝導経路は、断熱性構成要素を通した経路である。これに関し、断熱材及び空隙を通して熱が或る程度伝導するが、こうして伝導される熱の量がノズル22の性質に及ぼし、加熱する作用は、接触する金属製構成要素を通して生じる熱伝導量と比較して非常に小さく、又は無視できるということは理解されよう。
【0074】
取り付けナット26は金属製容器本体68に連結されており、ヒートシールド59と容器本体68との間に金属−金属熱伝導経路が存在する。しかしながら、充填材66のため、及び特に断熱材80のため、容器本体68とポンプ本体20との間に金属−金属熱伝導経路がない。従って、ヒートシールド59は、更に、中間非金属充填材66の存在により、ポンプ本体20から熱的に遮断されている。
【0075】
ヒートシールド59、取り付けナット26、容器本体68、及び他のポンプ構成要素に使用された金属は、熱伝導率が低く、ヒートシールド59から装置10の他の部品への熱伝導を妨げるように選択できる。更に、これらの金属製構成要素は、例えば容器本体68の壁をできるだけ薄くすることによって、熱伝導を最小にするように設計できる。
【0076】
それにも関わらず、ヒートシールド59とポンプ本体20との間及び同様にヒートシールド59とノズル22との間の何らかの熱伝導経路を遮断し又は実質的になくすために少なくとも一つの中間構成要素を設けることにより、ヒートシールド59から装置10の反応剤搬送構成要素までの熱伝導を大幅に減少する。これらの中間構成要素は、好ましくは、非金属製であり、断熱材で形成されていてもよい。従って、この場合も、ヒートシールド59とポンプ本体20との間の唯一の熱伝導経路は断熱性構成要素を通した経路である。
【0077】
本発明の第2の実施例を、取り付けボス114によって排気管112に取り付けられたポンプアッセンブリ110を示す図2を参照して説明する。
ポンプアッセンブリ110は中央軸線116を有し、ポンプ本体120及び円筒形ノズル122を持つポンプ118と、取り付けエレメント124と、取り付けエレメント124に溶接された、ポンプ118を断熱し且つ支持するための缶状容器126とを含む。
【0078】
ポンプ本体120は、流体をほぼ軸線116に沿ってポンプの入口128からノズル122の出口130まで圧送するように構成された従来のソレノイドアクチュエータ(図示せず)を含む。ソレノイドアクチュエータは、例えば、欧州特許出願公開第1 878 920 A1号に記載されたソレノイドアクチュエータである。ポンプ118のノズル122は、ノズル122の出口130とは反対側の端部がポンプ本体120に連結されたノズル本体132を含む。
【0079】
ポンプアッセンブリ110が排気管112に取り付けられたとき、ノズル122は、排気管12の壁136のポート134を通って延びる。このようにして、流体は、ポンプ118の使用時にノズル122の出口130から分配され、排気管112のボア138内を流れる排気ガス流に進入する。
【0080】
保持手段として作用する取り付けエレメント124は、中央開口部140を持つ円筒形スリーブを含み、開口部140にノズル122が隙間嵌めで挿入される。取り付けエレメント124の第1フランジ142がポンプ本体120に最も近い方の取り付けエレメントの端部のところで半径方向に延びており、第2フランジ144がポンプ本体120から離れた位置で半径方向に延びている。第1フランジ142は、缶状容器126と係合し、缶状容器126の壁として作用するのに対し、第2フランジ144は、以下に説明するように、取り付けボス114とともに取り付けクランプ172の一方の半部として作用する。
【0081】
第2フランジ144を越えて、即ちポンプ本体120から更に遠くで、取り付けエレメント124は、使用時にノズル122を取り囲むための円筒形ヒートシールド148を形成する。ヒートシールド148は、ノズル122とヒートシールド148との間に全体に円筒形の環状空隙150を形成するような大きさ及び形状を有する。この空隙150は、空気の熱伝導率が低いため、使用時に、ノズル122に対し、追加の断熱を提供する。
【0082】
缶状容器126は、充填材152の床の形態の充填手段内にポンプ118を保持する。従って、缶状容器126は、ポンプ本体120の形態(この実施例では全体に円筒形)を拡大した形態とほぼ一致する形状の容器本体154を有する。容器本体154のノズルに面する第1端部156は、例えばレーザーによって取り付けエレメント124の第1フランジ142に溶接され、剛性連結部を形成する。容器本体154の反対側の第2端部158は、ポンプの入口128及び電源又は電気接合部129用の二つの穴を除いてシールされている。
【0083】
充填材152は、(ノズルからポンプ本体への方向で)以下の層を有する。即ち、シール材でできた第1層160、減衰材でできた第2層162、断熱材でできた第3層164、減衰材でできた第4層166、及びシール材でできた第5層168を有する。これらの全ての層160、162、164、166、168は、適当には、ポンプ118を設けるため、環状であり、第3層164は、ポンプ本体120を収容するため、特に大きい中央穴を有する。層160、162、164、166、168は、互いとの及びポンプ118との組み合わせにおいて、缶状容器126のほぼ全容積を充填し、これによって、第1実施例の充填材66と同様にしかし改良された態様でポンプ118に対して支持を提供する。
【0084】
シール材の第1層160は、取り付けエレメント124の第1フランジ142と第2層162との間に設けられる。シール材の第1層160はガスケットとして作用し、他の層162、164、166、168及びポンプ本体120を外部環境、特に空隙150内の高温の空気からシールする。任意の適当なシール材を選択してもよいが、シリコーンスポンジゴム製の可撓性で圧縮性の層が特に適していることがわかっている。第1実施例と同様に、圧縮性シール材には、ポンプ118を減衰し、これによってノイズレベルの減少に寄与するという利点がある。シール材の熱伝導率は、代表的には、1Wm−1−1よりも低く、好ましくは、0.25Wm−1−1よりも低い。
【0085】
減衰材の第2層162は、シール材の第1層160と第3層164との間に配置される。減衰材の第2層162は、主として、減衰、即ちポンプ118の弾性的移動の自由を提供するのに役立ち、ポンプ118を取り付けボス114及び排気管112から音響的に及び熱的に遮断する。更に、減衰材の第2層162は、ポンプ118に対し、或る程度の横方向支持を提供する。音響的及び熱的遮断(減衰)及び横方向支持は、第1実施例に関して上文中に説明した理由により、重要であり且つ有利である。
【0086】
減衰材として作用する任意の適当な材料を選択してもよい。しかしながら、第2実施例の一つの特に好ましい変形例では、減衰材の第2層162は、ポンプ118の取り付け軸線116に沿って、ポンプ118の取り付け軸線116に対して垂直方向よりも圧縮性が高い。例えば、ガラス強化シリコンスポンジゴムがこのような異方性を提供する。これにより、特に高い軸線方向減衰及び特に強い横方向支持の両方をポンプ118に提供する。減衰材の熱伝導率は、代表的には、1Wm−1−1よりも低く、好ましくは、0.25Wm−1−1よりも低い。減衰材の第2層162用の別の適当な材料は、微孔質セラミック粉体である。
【0087】
断熱材の第3層164は減衰材の第2層162と第4層166との間に配置される。断熱材の第3層164は、ポンプ本体120の軸線方向長さに亘って延び、主として熱がポンプ本体120に進入しないようにするのに役立つ。更に、第3層164は、ポンプ118に対して或る程度の横方向支持を提供する。任意の適当な断熱材を選択できるが、非強化シリコーンゴムスポンジゴムが断熱性及び横方向支持の特に良好な組み合わせを提供することがわかっている。断熱材の熱伝導率は、代表的には、0.025Wm−1−1よりも低い。第3層164用の別の適当な断熱材は、微孔質セラミック粉体である。
【0088】
減衰材の第4層166は、断熱材の第3層164と第5層168との間に配置される。減衰材の第4層166は、減衰材の第2層162と機能が同じである。この場合も、任意の適当な材料を選択してもよいが、例えばガラス強化シリコンスポンジゴム等の異方性層が特に有利な減衰結果及び支持結果を提供する。これに関し、及び第4層166についての他の選択肢に関し、第2層162の説明を参照されたい。
【0089】
減衰材の第4層166はポンプの入口128及び電気接続部129を収容するように形成されている。例えば、図3は、スロット又は切欠き167が設けられた第4層166についての適当な形体を示す。切欠き167は、円形の層166の中央から外方に延びており、そのため、第4層166は全体に「C」字形状の形態を有する。
【0090】
シール材の第5層168は、減衰材の第4層166と缶状容器126の第2端部158との間に配置される。シール材の第5層168は、シール材の第1層160と機能が同じであるが、第5層168は、ポンプ118のノズル122とは反対側に設けられており、高温の排気ガスと接触しにくい。この場合も、任意の適当なシール材を選択してもよいが、シリコーンスポンジゴム製の可撓性で圧縮性の層が特に適していることがわかった。上述のように、圧縮性シール材には、ポンプ118に対して減衰を提供するという利点があり、これによってノイズレベルの減少に寄与する。第5層168についての選択肢に関し、第1層160の説明を参照されたい。
【0091】
第5層168は、第4層166と同様に、入口128及び電気接続部129を収容しなければならない。第5層168についての適当な形状の一例を図4に示す。この場合、第5層168には、入口128を受け入れるための中央穴又は穴169a及び中央穴169aから半径方向にオフセットした、電気接続部129を受け入れるための別の穴169bが設けられている。
【0092】
ポンプアッセンブリ110は、ボア138内の出口130に関し、取り付けボス114によって所定位置に保持される。取り付けボス114は、排気管112の壁136に溶接されており、全体に円筒形形態の端部分170を有する。この実施例では、取り付けボス114が形成する円筒体の軸線は、排気管112の長さ方向軸線に対して約45°の角度をなしている。しかしながら、適当であれば、この他の角度を選択してもよい。
【0093】
この実施例の取り付けボス114は、取り付けエレメント124との組み合わされ、取り付けクランプ172を形成する(酪農型)。このクランプは、配管クランプ174によって互いに保持される。詳細には、取り付けエレメント124の第2フランジ144は、配管クランプ174によって取り付けボス114の端フランジ115にクランプされる。シールガスケット175がフランジ144と115との間に設けられ、排気ガスがクランプの隙間から漏出しないようにする。かくして、取り付けエレメント124は、取り付けられたポンプアッセンブリ110の残りの構成要素とともに取り付けボス114にクランプされる。
【0094】
ノズル122と取り付けボス114との間には、ノズル122が取り付けボス114を通って延びる場所に隙間があり、ポンプ118には取り付けボス114と直接的に接触している部分はない。従って、非常に重要なことには、ポンプ118は、取り付けボス114及び排気から音響的に及び熱的に遮断される。
【0095】
本発明の第1実施例におけるのと同様に、この第2実施例では、ヒートシールド148とノズル122との間及びヒートシールド148とポンプ本体120との間の全ての熱伝導経路は、断熱性非金属製構成要素を通した経路である。この例では、充填材152は、ヒートシールド148をポンプアッセンブリ110の反応剤搬送部品から熱的に遮断する中間構成要素を提供する。
【0096】
本発明の第2実施例は、特に缶状容器内の第2減衰材料層及び第4減衰材料層により、取り付けインターフェースのところでO−リング又は他の減衰手段を必要とせずに減衰を行うポンプ用の取り付け装置を提供する。従って、本発明の第2実施例は、音響的及び熱的遮断の問題に対し、比較的簡単であり且つ低価格の解決策を提供する。
【0097】
本発明の第3実施例を図5に示す。この実施例では、本発明の第2実施例と共通の多くの特徴を持つ計量分配ポンプ装置210が提供される。従って、第2実施例と異なる第3実施例の特徴だけを以下に詳細に説明する。実施例間で共通の特徴には同じ参照番号が付してある。
【0098】
この第3実施例では、ポンプ118を受け入れる缶状容器226の形態の構造は、ポンプ本体120を拡大した形態とほぼ一致する形状の容器本体254を含む。容器本体254のノズルに面する第1端部256は、ノズルに向かって延び、円筒形端部領域257を形成する。取り付けフランジ244が容器本体254の円筒形端部領域257の外面に溶接等で取り付けられている。取り付けフランジ244は、本発明の第2実施例の取り付けエレメント124の第2フランジ144と同じ機能を果たす。従って、この第3実施例では、別の取り付けエレメントが設けられていない。その代わり、容器本体254の第1端部256及び取り付けフランジ244は、共に容器本体254用の取り付けエレメントとして作用する。
【0099】
第2実施例のヒートシールド148と同じ機能を果たす管状ヒートシールド248が容器本体254の端部領域257の内面に溶接等で取り付けられている。この実施例では、ヒートシールド248の端部がノズル122の出口端130を越えて延び、ノズル122の出口端130がヒートシールド248内に引っ込んでいる。このようにして、ポンプ装置210を排気管(図示せず)に取り付けたとき、ノズルの出口端130を高温の排気ガスから更に効果的にシールドする。
【0100】
容器本体254は、深絞り又は他の適当な手段によって製造されてもよい。容器本体254、ヒートシールド248、及び取り付けフランジ244を図5に別々の構成要素として示したが、製造及び他の都合に応じて、容器本体254、ヒートシールド248、及び取り付けフランジ244のうちの任意の二つ又は三つ全部を単一の構成要素で一体化してもよい。
【0101】
第1端部256とは反対側の容器本体254の第2端部は、容器本体254に例えばクリンプ止め又は溶接された適当な端プレート又は蓋259によって閉鎖される。
本発明の上述の実施例におけるのと同様に、缶状容器226は、充填材252の床の形態の充填手段内にポンプ118を保持する。充填材252は(ノズルからポンプ本体への方向で)以下の層を有する。即ち、シール材でできた第1層260、以下に更に詳細に説明するブレース要素261、断熱材でできた第2層264、減衰材でできた第3層266、支持材料でできた第4層267、及びシール材でできた第5層268を有する。上述の実施例と同様に、これらの層260、264、266、268はポンプ118に対して支持を提供すると同時に、ポンプ118を取り付け装置114から熱的に及び音響的に遮断する。層260、264、266、268についての適当な材料の選択に関し、本発明の第1及び第2の実施例の対応する層を参照されたい。
【0102】
上述のように、缶状容器226は、ブレースディスク261の形態のブレース要素を収容する。ブレースディスク261を図6に更に詳細に示す。ブレースディスク261は、缶状容器226内に締り嵌めする外径を持つ環状ベースプレート261a及びノズル122の周囲に締り嵌めする中央穴261bを含む。ベースプレート261a及び穴261bの両方の周囲が壁261cを支持し、この壁は、ベースプレート261aから外方に拡がっている(diverge) 。このようにして、ブレースディスク261は、所定位置にあるとき、容器本体254とノズル122との間にしっかりと固定され、気密シールを形成する。
【0103】
ブレースディスク261は、PTFE、ポリイミド、又は適当なフルオロポリマー、又はこれらの及び他のポリマーを含む強化複合材料又は充填剤入り複合材料等の比較的剛性のプラスチックから形成される。更に一般的には、ブレースディスク261用の適当な材料は、使用時にディスク261に加わる温度の上限及び下限で機械的安定性、特に適当に高度の剛性を保持できる材料である。例えば、ブレースディスク261の材料は、好ましくは、−40℃乃至+250℃の温度範囲内でその機械的性能を保持する。ディスク261は、好ましくは射出成形により形成されるが、ディスク261を製造するため、当該技術分野で周知の他の適当なプラスチック形成技術を使用できる。
【0104】
ブレースディスク261は、容器本体254に関するノズル122の位置を維持することによって、ポンプ118及びノズル122に対して比較的剛性の半径方向支持を提供する。従って、ポンプ装置210の機械的安定性を改善する。ブレースディスク261は半径方向では比較的剛性であるが、軸線116と平行な方向での移動に対して柔軟である。従って、ブレースディスク261は、充填手段252、詳細には減衰材266及びシール材268が提供する音響減衰の利点をほとんど損なわない。ブレースディスク261は、プラスチック材料製であるため、熱伝導率が低く、容器本体254からノズル122までの良好な熱伝導経路を提供しない。
【0105】
ブレースディスク261の壁261cは容器本体254及びノズル122に押し付けられ、これによって、排気ガスがヒートシールド248とノズル122との間の空隙150を通って充填材252に進入しないように保護するシールを提供する。有利には、壁261cの拡がり(divergence)のため、容器本体254の僅かな寸法変化によってブレースディスク261のシール効果に悪影響が及ぼされることはない。更に、壁261cの拡がりのため、熱膨張及び収縮によりディスク261及び缶状容器254の寸法変化を吸収することによって、計量分配装置の全作動温度範囲に亘ってシールを維持できる。
【0106】
図5では、ブレースディスク261はシール材の第1層260と断熱材の第2層264との間に設けられている。しかしながら、ブレースディスク261がシール機能を提供するため、シール材の第1層260を省略してもよい。シリコーンスポンジ等のシール材の第1層260が設けられている場合には、第1層260は、図5に示すようにブレースディスク261のベースプレート261aから間隔が隔てられていてもよく、又は別の態様では、ブレースディスク261と形状が一致するようにシール材の第1層260を形成してもよい。その場合、シール材の第1層260がベースプレート261aに当接してもよい。
【0107】
ブレース要素は、図5及び図6に示す形態とは異なる形態を備えていてもよい。例えば、平らなベースプレート261aの代わりに、ベースプレート及び中央穴の周囲(及び存在するのであれば関連した壁)を押圧し、缶状容器及びノズル本体の夫々と接触するばねのような効果を提供するようにベースプレートを形成してもよい。例えば、ベースプレートは皿状であってもよいしカップ状であってもよい。二つ以上のブレース要素が設けられていてもよい。例えば、ノズル122の周囲、ポンプ本体120の周囲、及び/又は入口連結部128の周囲に一つ又はそれ以上の追加のブレース要素を設けてもよい。
【0108】
支持材料の第4層267は、ブレース要素261と同様の機能を果たす。支持材料の第4層267は、この実施例ではシール機能を果たさない(しかし、他の実施例では、シール機能を果たしてもよい)が、ポンプ118に対して比較的剛性の半径方向支持を提供する。支持材料の第4層267は、入口128の周囲に位置決めされており、従って、入口128及び電気接続部129を受け入れる穴が設けられている。支持材料の第4層267は、従って、図4に示す層と同様の形態を有している。支持材料の第4層267は、ファイバ強化ポリアミド又はアラミド繊維強化ニトリルゴム等の半剛性材料で形成されている。
【0109】
支持材料の第4層267は、ブレースディスク261と同様に、ポンプ118を横方向移動に対して保護する。このような横方向移動は、特にポンプ本体120の質量により、及び使用時に入口128に接続された供給ホースの質量により、ポンプ118の入口端のところで生じる。ポンプ118が中央軸線116から遠ざかる方向に過度に横方向に移動することは望ましくないということは理解されよう。これは、例えば、ノズル122がヒートシールド248と接触する危険があるためである。ブレースディスク261及び第4層267は、軸線116に沿ってその所望の位置から遠ざかる方向へのポンプ118の移動を最小にするのを補助する。換言すれば、ブレースディスク261及び第4層267の各々が、ポンプ118及び缶状容器226の同心性及びノズル122及びヒートシールド248の同心性を維持するのを補助する。
【0110】
図7は、図5のポンプ装置210の随意の変形例の出口端領域の断面図である。この場合、反応剤がポンプ装置210を通ってノズル122の出口端130まで流れるときに過加熱される可能性を低減するため、ノズル本体232は、管状ジャケット233によって取り囲まれている。ジャケット233は、ノズル122の出口端130のところで、及びノズル122の第2端(図7には示さず)のところで、ノズル本体232に密封をなして取り付けられている。このようにして、ジャケット233はノズル122内に区画室235を形成し、これにより、ノズル122の壁を通した半径方向熱伝導を減少する。好ましくは、区画室235は実質的に真空である。ノズルの出口端130には、出口バルブ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0111】
組み合わせにおいて、ヒートシールド248及び真空区画室235は、共に、排気管内の排気ガスが影響を直接的に及ぼすことによって、ノズル122が出口端130の領域で加熱されないように保護する。更に、ヒートシールド248とノズル122との間の熱伝導経路を遮断する断熱充填材252によって、ノズル122の間接的加熱を阻止する。
【0112】
本開示に照らして当業者には明らかなように、第1、第2、及び第3の実施例の適合する特徴、及び課題を解決するための手段において更に一般的に開示した特徴を組み合わせ及び/又は交換することができる。例えば、第2実施例及び第3実施例は、取り付けインターフェースのところでO−リング又は他のインターフェース減衰手段を用いないで減衰を行うけれども、特に高振動期間中に音響的及び熱的遮断を更に高めるためにこうした部材を導入してもよい。これにより耐久性を更に向上する。同様に、当業者は、本発明を実施する上で悪影響を及ぼすことなく、取り付けエレメント及び取り付けボスの構造を非常に様々な方法で変更できる。
【符号の説明】
【0113】
12 排気管
110 ポンプアッセンブリ
114 取り付けボス
116 中央軸線
118 ポンプ
120 ポンプ本体
122 円筒形ノズル
124 取り付けエレメント
126 缶状容器
128 ポンプ入口
130 ノズル出口
132 ノズル本体
134 ポート
136 壁
138 ボア
140 中央開口部
142 第1フランジ
144 第2フランジ
148 円筒形ヒートシールド
172 取り付けクランプ
150 環状空隙
152 充填材
154 容器本体
160 第1層
162 第2層
164 第3層
166 第4層
168 第5層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7