特許 5764160 掛け布団

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5764160

(24)【登録日】2015年6月19日

(45)【発行日】2015年8月12日

(54)【発明の名称】掛け布団

(51)【国際特許分類】

   A47G 9/02 20060101AFI20150723BHJP

【ＦＩ】

   A47G9/02 E

   A47G9/02 D

【請求項の数】5

【全頁数】11

(21)【出願番号】特願2013-98820(P2013-98820)

(22)【出願日】2013年5月8日

(65)【公開番号】特開2014-217576(P2014-217576A)

(43)【公開日】2014年11月20日

【審査請求日】2013年9月5日

(73)【特許権者】

【識別番号】510049229

【氏名又は名称】株式会社丸八プロダクト

(74)【代理人】

【識別番号】100064908

【弁理士】

【氏名又は名称】志賀 正武

(74)【代理人】

【識別番号】100089037

【弁理士】

【氏名又は名称】渡邊 隆

(72)【発明者】

【氏名】柴田 靖

【審査官】 平田 慎二

(56)【参考文献】

【文献】 実公昭５３−０４３３０２（ＪＰ，Ｙ２）

【文献】 実公昭１５−０００６１７（ＪＰ，Ｙ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ４７Ｇ ９／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

上生地および下生地からなる第１袋体と、
該第１袋体の内部に収容され前記上生地の下に配された羽毛からなる第１羽毛層と、
前記第１袋体の内部に収容され前記第１羽毛層の下側に配された羽毛からなる第２羽毛層と、
前記第１羽毛層と前記第２羽毛層との間に配されていて上生地および下生地からなる第２袋体と、
該第２袋体の内部に天然または人工形成綿が収容された綿層と、を備え、
前記第２袋体の下生地は、生地の下面に金属またはセラミックスの薄膜が形成されたシートであることを特徴とする掛け布団。

【請求項2】

前記綿層は幅寸法が前記第１羽毛層の幅寸法よりも小さく形成され、前記第２羽毛層は幅寸法が前記綿層の幅寸法よりも小さく形成され、前記第１羽毛層、前記綿層および前記第２羽毛層はそれぞれの幅方向の中心線が重なっているとともに、前記第１羽毛層は前記綿層の下面の幅方向の両端部近傍を覆っていることを特徴とする請求項１に記載の掛け布団。

【請求項3】

前記第１羽毛層および前記第２羽毛層は長さ方向に延びるキルティング縫合部によって複数の区画に区分されていて、前記第１羽毛層のキルティング縫合部と前記第２羽毛層のキルティング縫合部とは上下方向に重ならない位置に配されていることを特徴とする請求項１または２に記載の掛け布団。

【請求項4】

前記第１羽毛層は、前記キルティング縫合部によって幅方向に３以上の区画に区分されていて、前記幅方向の中央部の区画に収容される羽毛の量は、前記幅方向に隣り合う区画に収容される羽毛の量よりも少ないことを特徴とする請求項３に記載の掛け布団。

【請求項5】

使用者の肩口を覆う肩口部と、該肩口部よりも前記使用者の足側となる本体部とを備え、前記本体部のみに前記第１袋体と前記第１羽毛層と前記第２羽毛層と前記綿層とを備えることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の掛け布団。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、掛け布団に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、保温性を高めるために工夫がなされた掛け布団が知られている。
例えば、特許文献１および特許文献２に開示された掛け布団は、内部にアルミニウムを使用した中袋やシート状の断熱材を配し、内部の熱を使用者に反射するようにして外部への熱の漏出を抑制している。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１１−１１０１２６号公報

【特許文献2】実用新案登録第３１６８２７８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、これらのアルミニウムを使用した中袋やシート状の断熱材だけでは掛け布団の保温性は必ずしも十分ではなく、更なる保温性の向上が求められている。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、保温性を高めることができる掛け布団を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0005】

上記目的を達成するため、本発明に係る掛け布団は、上生地および下生地からなる第１袋体と、該第１袋体の内部に収容され前記上生地の下に配された羽毛からなる第１羽毛層と、前記第１袋体の内部に収容され前記第１羽毛層の下側に配された羽毛からなる第２羽毛層と、前記第１羽毛層と前記第２羽毛層との間に配されていて上生地および下生地からなる第２袋体と、該第２袋体の内部に天然または人工形成綿が収容された綿層と、を備え、前記第２袋体の下生地は、生地の下面に金属またはセラミックスの薄膜が形成されたシートであることを特徴とする。

【0006】

本発明では、第１羽毛層と第２羽毛層との間に綿層が配されていることにより、第１羽毛層、第２羽毛層および綿層がそれぞれ蓄熱するとともに、綿と羽毛という異種材料が積層されている構造であることにより掛け布団の内外の空気の出入りが抑制されるため、掛け布団の保温性を高めることができる。
なお、本発明に係る掛け布団は、上生地よりも下生地、また第１羽毛層よりも第２羽毛層が横臥する使用者側に配されるように使用される。そして、この使用者側を下側、使用者側と反対側を上側として以下説明する。

【0007】

また、本発明に係る掛け布団では、前記第２袋体の下生地は、生地の下面に金属またはセラミックスの薄膜が形成されたシートであることを特徴とする。

【0008】

このようにすることにより、第２袋体の下生地が掛け布団内部の熱を使用者へ反射させることができ、使用者が温かく感じることができる。

【0009】

また、本発明に係る掛け布団では、前記人工形成綿は、シンサレート（登録商標）であることが好ましい。

【0010】

このようにすることにより、綿層の保温性が更に高まり、掛け布団の保温性を更に高めることができる。

【0011】

また、本発明に係る掛け布団では、前記綿層は幅寸法が前記第１羽毛層の幅寸法よりも小さく形成され、前記第２羽毛層は幅寸法が前記綿層の幅寸法よりも小さく形成され、前記第１羽毛層、前記綿層および前記第２羽毛層はそれぞれの幅方向の中心線が重なっているとともに、前記第１羽毛層は前記綿層の下面の幅方向の両端部近傍を覆っていることが好ましい。

【0012】

このようにすることにより、掛け布団の幅方向の両端部近傍は、第１袋体の内部において第１羽毛層のみで構成され、第１羽毛層、第２羽毛層および綿層から構成される幅方向の中央部と比べて重量を軽くすることができる。そして、掛け布団の幅方向の両端部近傍の重量が幅方向の中央部の重量と比べて軽くなることによって、使用者は掛け布団自体を軽く感じることができ、快適な使用感を得ることができる。
また、綿層が第１羽毛層および第２羽毛層の羽毛によって囲繞されているため、第１袋体外部からの肌触りを均一にすることができる。

【0013】

また、本発明に係る掛け布団では、前記第１羽毛層および前記第２羽毛層は長さ方向に延びるキルティング縫合部によって複数の区画に区分されていて、前記第１羽毛層のキルティング縫合部と前記第２羽毛層のキルティング縫合部とは上下方向に重ならない位置に配されていることが好ましい。

【0014】

第１羽毛層のキルティング縫合部と第２羽毛層のキルティング縫合部とが上下方向に重なると、重なったキルティング縫合部から掛け布団内部の熱が放熱しやすいが、第１羽毛層のキルティング縫合部と第２羽毛層のキルティング縫合部とが重ならない位置に配されることにより、掛け布団の内部から外部への放熱を抑制することができる。

【0015】

また、本発明に係る掛け布団では、前記第１羽毛層は、前記キルティング縫合部によって幅方向に３以上の区画に区分されていて、前記幅方向の中央部の区画に収容される羽毛の量は、前記幅方向に隣り合う区画に収容される羽毛の量よりも少ないことが好ましい。

【0016】

このようにすることによって、掛け布団の幅方向の中央部のみが極端に厚くなることを防止できる。

【0017】

また、本発明に係る掛け布団では、使用者の肩口を覆う肩口部と、該肩口部よりも前記使用者の足側となる本体部とを備え、前記本体部のみに前記第１袋体と前記第１羽毛層と前記第２羽毛層と前記綿層とを備えることが好ましい。

【0018】

このようにすることにより、肩口部の形状を使用者の襟元や肩口に沿いやすい形状に変化させることができる。

【発明の効果】

【0019】

本発明によれば、第１羽毛層と第２羽毛層との間に綿層が配されていることにより、第１羽毛層、第２羽毛層および綿層がそれぞれ蓄熱するとともに、綿と羽毛という異種材料が積層されている構造であることにより掛け布団の内外の空気の出入りが抑制されるため、掛け布団の保温性を高めることができる。
しかも、第２袋体の下生地が掛け布団内部の熱を使用者へ反射させることができ、使用者が温かく感じることができる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】本発明の実施形態による掛け布団の一例を示す図で上側から見た平面図である。

【図2】掛け布団を下側（使用者側）から見た平面図である。

【図3】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図4】（ａ）は綿層を説明する図で（ｂ）のＢ−Ｂ線断面図、（ｂ）は綿層の平面図である。

【図5】（ａ）は他の実施形態の肩口部を上側から見た平面図、（ｂ）は（ａ）を下側から見た平面図である。

【図6】更に他の実施形態の肩口部を下側から見た平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

以下、本発明の実施形態による掛け布団について、図１乃至図４に基づいて説明する。
図１および図２に示すように、本実施形態による掛け布団１は、平面視において略矩形状に形成されていて、使用者（不図示）の肩口を覆う肩口部２と、肩口部２よりも使用者の足側となる本体部３とを備えている。肩口部２と本体部３とは連結している。

【0022】

図３に示すように、本体部３は、上生地４１および下生地４２からなる第１袋体４と、第１袋体４の内部に収容され上生地４１の下に配される第１羽毛層５と、第１袋体４の内部に収容され第１羽毛層５の下側に配される第２羽毛層６と、第１羽毛層５および第２羽毛層６の間に配されていて上生地７１および下生地７２からなる第２袋体７の内部にシンサレート綿（登録商標）８が収容された綿層９と、を備えている。
なお、本実施形態では、掛け布団１を使用者が横臥して使用した時の使用者側を下側、その反対側を上側とし、この上側、下側を上下方向（図３のＣの方向）として以下説明する。

【0023】

図１乃至図３に示すように、第１袋体４の上生地４１および下生地４２は、平面視において略同形の略矩形状に形成されたダウンプルーフ生地で、端部同士が縫合されて第１袋体４を構成している。
図３に示すように、第１羽毛層５は、本体部３の幅方向（図中のＤの方向）全体および長さ方向（図１、図２および図４のＥの方向）全体にわたる大きさに形成されている。ここで、長さ方向と幅方向とは略直交する方向として以下説明する。
また、第２羽毛層６は、本体部３の幅方向の両端部３ａ，３ａ側を除く中央部側および長さ方向全体にわたる大きさに形成されている。

【0024】

第２袋体７の上生地７１には、通常軽量中生地と言われる綿や合成繊維などの生地が使用されている。また、第２袋体７の下生地７２には、不織布などの生地の下面（使用者側の面）にアルミニウムを蒸着させ、アルミニウム薄膜を形成したシートが使用されている。このようなシートとしては、例えばメタルギア（登録商標）があげられる。
第２袋体７の上生地７１および下生地７２は、平面視において略同形の略矩形状に形成されていて、端部同士が縫合されて第２袋体７を構成している。

【0025】

図１乃至図４に示すように、綿層９は、本体部３の幅方向の両端部３ａ，３ａ側を除く中央部側および長さ方向全体にわたる大きさに形成されている。そして、綿層９の幅寸法（図中のＤ方向の寸法）は、第２羽毛層６の幅寸法よりも大きく、第１羽毛層５の幅寸法よりも小さく設定されている。

【0026】

図１乃至図３に示すように、これらの第１羽毛層５、第２羽毛層６および綿層９は、上から下に向かって第１羽毛層５、綿層９、第２羽毛層６の順にそれぞれの幅方向の中心線Ｆが重なるように配置されている。
そして、第２羽毛層６は綿層９よりも幅寸法が小さいため、綿層９の下面の幅方向の両端部９ａ，９ａ近傍を第１羽毛層５が巻きこむように被覆している。これにより、綿層９は、第１羽毛層５及び第２羽毛層６の羽毛に囲繞されている。

【0027】

また、第１袋体４と第２袋体７との間には、この間の空間を幅方向および長さ方向に複数の区画に区分する複数のキルティング縫合部１０が設けられている。キルティング縫合部１０には、所定の幅（マチ）を有しその幅方向を上下方向として第１袋体４および第２袋体７に縫いつけられたテープ状の生地が使用されている。
第１袋体４と第２袋体７との間に複数のキルティング縫合部１０が設けられることで、第１袋体４の内部における羽毛の移動を抑制し、羽毛が偏ることを防止している。
また、キルティング縫合部１０にはテープ状の生地が使用されていることにより、第１袋体４と第２袋体７との間の空間はキルティング縫合部１０によって立体的に区分されるため、区分された区画は羽毛を収容しやすい形態となる。
ここで、キルティング縫合部１０のうち、長さ方向に延びるものを縦キルティング縫合部とし、幅方向に延びるものを横キルティング縫合部として以下説明する。

【0028】

本実施形態では、第１羽毛層５を幅方向に３つの区画に区分する２本の第１縦キルティング縫合部１０ａ，１０ａ（図１および図３参照）と、長さ方向に４つの区画に区分する３本の第１横キルティング縫合部１０ｂ，１０ｂ，１０ｂ（図１参照）とが設けられている。
２本の第１縦キルティング縫合線１０ａ，１０ａは、掛け布団１の幅方向の中心線Ｆを基準として対称に配されている。
また、３本の第１横キルティング縫合部１０ｂ，１０ｂ，１０ｂは、互いに長さ方向にほぼ等間隔をあけて配されている。
そして、これらの第１縦キルティング縫合部１０ａ，１０ａおよび第１横キルティング縫合部１０ｂ，１０ｂ，１０ｂで区分された区画のうち幅方向の中央部の区画１１ａでは、その両側の区画１１ｂと比べて収容される羽毛の量が少なくなるように設定されている。

【0029】

また、第２羽毛層６には、幅方向に２つの区画に区分する１本の第２縦キルティング縫合部１０ｃ（図２および図３参照）が設けられているとともに、長さ方向に４つの区画に区分する３本の第２横キルティング縫合部１０ｄ，１０ｄ，１０ｄ（図２参照）が設けられている。
この第２縦キルティング縫合部１０ｃは、掛け布団１の幅方向の中心線Ｆ上に設けられている。
また、３本の第２横キルティング縫合部１０ｄ，１０ｄ，１０ｄは、互いに長さ方向にほぼ等間隔をあけて配されている。
また、綿層９の下面の幅方向の両端部９ａ，９ａ近傍に位置する第１羽毛層５と第２羽毛層６との境界にも長さ方向に延びる第３縦キルティング縫合部１０ｅ，１０ｅ（図２および図３参照）が設けられている。

【0030】

そして、長さ方向に延びる第１縦キルティング縫合部１０ａ，１０ａと、第２縦キルティング縫合部１０ｃおよび第３縦キルティング縫合部１０ｅ，１０ｅとは、互いに上下方向に重ならない位置に配置されている。
なお、本実施形態では、幅方向に延びる第１横キルティング縫合部１０ｂ，１０ｂ，１０ｂと、第２横キルティング縫合部１０ｄ，１０ｄ，１０ｄとは、上下方向に重なる位置に配置されている。

【0031】

図１および図２に示すように、肩口部２は、上生地２１と下生地２２との間に、中生地２３が設けられて上生地２１と中生地２３との間および下生地２２と中生地２３との間に羽毛が収容されている。
肩口部２の上生地２１と中生地２３との間および下生地２２と中生地２３との間には、この間の空間を複数の区画に区分する複数のキルティング縫合部２４，２５が設けられている。

【0032】

肩口部２の上生地２１と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２４のうちの１つ（以下、第１キルティング縫合部２４ａと称す）は、平面視において肩口部２の本体部３側と反対側の端部２ａから本体部３側に張り出すように湾曲した略円弧状に形成されている。

【0033】

また、肩口部２の上生地２１と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２４のうちの他の２つ（以下、第２キルティング縫合部２４ｂ，２４ｂと称す）は、第１キルティング縫合部２４ａから本体部３に向けて長さ方向延びている。
また、肩口部２の上生地２１と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２４のうちの更に他の２つ（以下、第３キルティング縫合部２４ｃ，２４ｃと称す）は、第１キルティング縫合部２４ａから肩口部２の幅方向の両端部２ｂ，２ｂに向けて斜め方向延びている。
第２キルティング縫合部２４ｂ，２４ｂは肩口部２の幅方向の中央側に設けられていて、第３キルティング縫合部２４ｃ，２４ｃは第２キルティング縫合部２４ｂ，２４ｂよりも肩口部２の幅方向の端部２ｂ，２ｂ側に設けられている。
そして、肩口部２には円弧状の第１キルティング縫合部２４ａが形成されているため、上生地２１と中生地２３との間に横長の区画２６ａが形成される。

【0034】

一方、肩口部２の下生地２２と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２５（以下、第４キルティング２５縫合部と称す）は、長さ方向に延びている。
本実施形態では、６本の第４キルティング縫合部２５，２５…が形成され、幅方向に互いに等間隔をあけて配されていて、肩口部２の下生地２２と中生地２３との間の空間を幅方向に７つの区画２７，２７…に区分している。

【0035】

そして、これらの区画２７…のうち幅方向の中央部の区画２７ａでは、その両隣の区画２７ｂ，２７ｂよりも収容される羽毛の量が少なくなるように設定されている。これにより、中央部の区画２７ａの厚さは、その両隣の区画２７ｂの厚さよりも薄くなり、断面形状において区画２７ａの下生地２２は中生地２３側に湾曲し凹部（不図示）を形成することになる。
この凹部は、使用者が掛け布団１を使用した時に使用者の首の上部に位置している。

【0036】

次に、上述した掛け布団１の作用効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による掛け布団１では、第１羽毛層５と第２羽毛層６との間に綿層９が配されていることにより、第１羽毛層５、第２羽毛層６および綿層９がそれぞれ蓄熱するとともに、綿と羽毛という異種材料が積層されている構造であることにより掛け布団１の内外の空気の出入りが抑制されるため、掛け布団１の保温性を高めることができる作用効果を奏する。
また、第２袋体７の下生地７２には、不織布などの生地の下面（使用者側の面）にアルミニウム薄膜を形成したシートが使用されていることにより、第２袋体７の下生地７２が掛け布団１内部の熱を使用者へ反射させることができ、使用者が温かく感じることができる。また、アルミニウム薄膜を形成したシートは湿気を透過しにくい構造であるが、第２袋体７の下生地７２のアルミニウム薄膜を形成したシートは、掛け布団１の内部に配され使用者が第２袋体７の下生地７２と直接接触することがないため、使用者はこの湿気を感じることなく快適な使用感を得ることができる。
また、綿層９にシンサレート（登録商標）を使用していることにより、綿層９の保温性を更に高めることができ、掛け布団１の保温性を更に高めることができる。

【0037】

また、綿層９は、幅寸法が第１羽毛層５の幅寸法よりも小さく形成され、本体部３の幅方向の中央部に配されることにより、掛け布団１の幅方向の両端部１ａ，１ａ近傍の重量が幅方向の中央部の重量よりも軽い形態となる。そして、掛け布団１の幅方向の両端部１ａ，１ａ近傍の重量が軽いことにより、使用者は掛け布団１を軽く感じることができて、快適な使用感を得ることができる。
また、綿層９が第１羽毛層５および第２羽毛層６の羽毛によって囲繞されているため、掛け布団１の外部からの肌触りを均一にすることができる。

【0038】

また、キルティング縫合部は上下方向に重なると、重なったキルティング縫合部から掛け布団１内部の熱が放熱しやすいが、本体部３において、長さ方向に延びる第１縦キルティング縫合部１０ａ，１０ａと、第２縦キルティング縫合部１０ｃおよび第３縦キルティング縫合部１０ｅ，１０ｅとは、互いに上下方向に重ならない位置に配されていることにより、掛け布団１の内部から外部への放熱を抑制することができる。

【0039】

また、前記第１羽毛層５は、第１縦キルティング縫合部１０ａ，１０ａおよび第１横キルティング縫合部１０ｂ，１０ｂ，１０ｂで区分された区画のうち幅方向の中央部の区画１１ａでは、その両側の区画１１ｂと比べて収容される羽毛の量が少なくなるように設定されていることによって、掛け布団１の幅方向の中央部がその両側よりも極端に厚くなることを防止することができる。

【0040】

また、掛け布団１は、肩口部２と本体部３とを備えていることにより、肩口部２は使用者の肩口に沿う形状とすることができるため、使用者の肩口と掛け布団１との隙間を少なくすることができて使用者と掛け布団１との隙間からの放熱を抑制することができる。

【0041】

また、肩口部２は、上生地２１と中生地２３との間に設けられたキルティング縫合部２４ａ〜２４ｃを折り目として折れ曲がることで使用者の肩口に沿った形状となるため、使用者と肩口部２とのフィット性を高めることができる。また、使用者と肩口部２との隙間が少なくなるため、この隙間からの放熱を抑えることができ、掛け布団１の保温性を高めることができる。
また、肩口部２の下生地２２と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２５は、肩口部２の上生地２１と中生地２３との間に設けられたキルティング縫合部２４ａ〜２４ｃよりも多く配されていることにより、肩口部２の使用者側（下側）を表側（上側）よりも使用者の肩口に沿った形状とすることができる。

【0042】

また、肩口部２の下生地２２と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２５に区分された区画２７，２７…では、幅方向の中央部の区画２７ａが、その両隣の区画２７ｂ，２７ｂよりも収容される羽毛の量が少なくなるように設定され、断面形状において区画２７ａの下生地２２は中生地２３側に湾曲し凹部を形成することにより、この凹部が使用者の首および肩口に沿うため、使用者と下生地２２との隙間を少なくすることができて、この隙間からの放熱を少なくすることができ、掛け布団１の保温性を高めることができる。

【0043】

以上、本発明による掛け布団１の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、綿層９にシンサレート綿８を使用しているが、シンサレート綿に代わってコットン綿などの天然綿、ポリエステル綿やアクリル繊維の成形綿などの人工形成綿などを使用してもよい。
また、上述した実施形態では、第２袋体７の下生地７２に、不織布の下面にアルミニウムを蒸着させたシートを使用しているが、不織布の下面にアルミニウム以外の金属やセラミックスの薄膜を形成したシートとしてもよいし、金属やセラミックスを使用していないシート（生地）や遠赤外線シートなどとしてもよい。
また、上述した本実施形態では、本体部３において、長さ方向に延びる複数の第１〜第３縦キルティング縫合部１０ａ，１０ｃ，１０ｅが上下方向に重ならないように配されているが、これらが上下方向に重なっていてもよい。さらに、上述した本実施形態では幅方向に延びる複数の第１および第２横キルティング縫合部１０ｂ，１０ｄが上下方向に重なっているが、これらが上下方向に重ならないように配されていてもよい。
また、上述した実施形態では、本体部３のキルティング縫合部１０に上下方向に所定の幅を有するテープを使用しているが、このようなテープを使用しなくてもよい。例えば、第１袋体４と第２袋体７とを直接縫合してもよい。
また、本実施形態では、複数のキルティング縫合部１０，２４，２５によって区分された区画に収容される羽毛の量が部分的に異なっているが、同じ量としてもよい。さらにキルティング縫合部１０，２４，２５の数や延びる方向は適宜設定されてよい。

【0044】

また、上述した実施形態では、掛け布団１が肩口部２と本体部３とから構成されているが、本体部３のみで構成される掛け布団１としてもよい。
また、肩口部２の形態を本実施形態以外の形態としてもよい。
例えば、図５（ａ）および（ｂ）に示すように、肩口部２の上生地２１と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２８ａ…はすべて斜め方向に延び、下生地２２と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２８ｂ…は中央部の１つを除いて斜め方向に延びる形態としてもよい。
また、肩口部２の上生地２１と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２４は、図１に示す本実施形態と同様で、図６に示すように肩口部２の下生地２２と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２８ｃは、斜め方向に延びている形態としてもよい。
このように、肩口部２のキルティング縫合部２８ａ，２８ｂ，２８ｃが斜め方向に延びていることにより、肩口部２は使用者の体に沿って折れ曲がりやすく、使用者との隙間を少なくすることができる。

【0045】

なお、これらの形態においても、肩口部２の上生地２１と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２４，２８ａの数よりも下生地２２と中生地２３との間に設けられた複数のキルティング縫合部２８ｂ，２８ｃの数のほうが多いことが好ましい。これにより、肩口部２の使用者側（下側）を表側（上側）よりも使用者の肩口に沿った形状とすることができる。
また、下生地２２と中生地２３との間のキルティング縫合部２８ｂ，２８ｃによって区分された区画に収容される羽毛の量は、幅方向の中央部側の区分２９ａ，２９ａ（図５（ｂ）参照），２９ｃ（図６参照）がその隣の区分２９ｂ，２９ｂ（図５（ｂ）参照），２９ｄ，２９ｄ（図６参照）よりも少ないことが好ましい。これにより、断面形状において区画２９ａ，２９ａの下生地２２は中生地２３側に湾曲し凹部を形成し、この凹部が使用者の首および肩口に沿うため、使用者と下生地２２との隙間を少なくすることができる。

【符号の説明】

【0046】

１ 掛け布団
２ 肩口部
３ 本体部
４ 第１袋体
５ 第１羽毛層
６ 第２羽毛層
７ 第２袋体
８ シンサレート綿（天然または人工形成綿）
９ 綿層
４１ 上生地
４２ 下生地
７１ 上生地
７２ 下生地

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】