(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、スタンドのロックおよび解除が機械的に行われるために、全体構成が大型化してしまうおそれがある。また、この構成では、スタンドを自動的にロックすることはできるものの、スタンドのロックを解除するためには、鍵を鍵穴に挿入して回転する必要がある。このため、スタンドのロックを解除する場合の操作が、煩わしく、スムーズに自転車を発進させにくいという問題がある。さらに、この構成では、スタンドをロックする場合、オス部材とラッチ部材とを衝突させる必要があるため、この衝突音が不快に感じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、鞍乗型車両におけるコンパクトな鍵システムを、提供することにある。また、鞍乗型車両において、スタンド部のロック又は解除を容易に実行できる鍵システムを、提供することにある。さらに、鞍乗型車両において、スタンド部のロック時又は解除時の音を低減可能な鍵システムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る無線鍵システムは、制御部と、スタンド部と、規制部材と、駆動部と
、電力供給部とを、備えている。制御部は、無線鍵と通信可能である。スタンド部は、鞍乗型車両に対して回動可能に支持される。スタンド部は、鞍乗型車両を支持可能な支持位置および鞍乗型車両を支持不能な解除位置のいずれかに配置される。規制部材は、支持位置から解除位置へのスタンド部の回動を規制可能な規制姿勢、およびスタンド部の回動を許可する許可姿勢の間で、姿勢を変更可能である。駆動部は、制御部の指示に基づいて規制部材を駆動することによって、規制部材の姿勢を変更する。
電力供給部は、制御部に電力を供給する。
【0007】
ここで、電力供給部は、スタンド部の動作よって電力を生成する電力生成部を、有している。電力供給部は、電力生成部により生成された電力を、制御部に供給する。制御部は、電力生成部により生成された電力よって動作し、駆動部を制御する。
【0008】
本無線鍵システムでは、無線鍵が制御部と通信を行うことによって、駆動部が規制部材を駆動し規制部材の姿勢を変更すれば、特別に機械的な構成を容易する必要がないので、従来技術と比較して、コンパクトな鍵システムを、提供することができる。
【0009】
また、本無線鍵システムでは、無線鍵が制御部と通信を行うだけで、鞍乗型車両のロックおよびロックの解除を自動的に行うことができるので、スタンド部のロック又は解除を容易に実行できる。
【0010】
さらに、本無線鍵システムでは、規制部材の姿勢を、スタンド部の回動を規制する規制姿勢およびスタンド部の回動を許可する許可姿勢の間で、変更するだけで、スタンド部を支持位置または解除位置に配置することができるので、スタンド部のロック時又は解除時の音を低減できる。
【0011】
また、本無線鍵システムでは、電力供給部が制御部に電力を供給することによって、制御部を動作させることができる。これにより、制御部を安定的に動作させることができる。
【0012】
さらに、本無線鍵システムでは、スタンド部が動作すると、電力生成部が電力を生成する。これにより、電量供給部に電力を供給するための特別な構成を用意しなくても、電力供給部は制御部に電力を供給することができる。
【0013】
なお、鞍乗型車両は、自転車、自動二輪車、および自動三輪車(前輪2輪・後輪1輪又は前輪1輪・後輪2輪)等を含む文言である。
【0014】
発明2に係る無線鍵システムでは、発明1に記載の無線鍵システムにおいて、スタンド部が、スタンド部材を含んでいる。スタンド部材は、上記の支持位置および解除位置のいずれかに配置される。
【0015】
この場合、スタンド部材の回動を規制部材によって規制することによって、スタンド部が支持位置においてロックされる。また、スタンド部材の回動を、規制部材によって許可することによって、スタンド部が解除位置においてロック解除される。このように構成にしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0016】
発明3に係る無線鍵システムでは、発明1または2に記載の無線鍵システムにおいて、スタンド部が、付勢構造を含む。付勢構造は、スタンド部が支持位置に配置されているときに、スタンド部の回動方向とは異なる方向にスタンド部を付勢する。
【0017】
この場合、スタンド部に含まれる付勢構造の回動を、規制部材によって規制することによって、スタンド部が支持位置においてロックされる。また、スタンド部に含まれる付勢構造の回動を、規制部材によって許可することによって、スタンド部が解除位置においてロック解除される。このように構成にしても、上記と同様の効果を得ることができ
る。
【0018】
発明
4に係る無線鍵システムでは、発明
1から3のいずれか1項に記載の無線鍵システムにおいて、電力生成部は、鞍乗型車両の動
作によって、電力を
さらに生成する。
【0019】
この場合、鞍乗型車
両が動作すると、電力生成部が電力を生成する。これにより、電量供給部に電力を供給するための特別な構成を用意しなくても、電力供給部は制御部に電力を供給することができる。
【0020】
発明
5に係る無線鍵システムでは、発明
1から4のいずれか1項に記載の無線鍵システムにおいて、スタンド部が支持位置から解除位置に動く場合に、電力供給部は、電力生成部により生成された電力を、制御部に供給する。すると、制御部は、電力供給部から供給された電力により、スリープモードからオペレーションモードに移行する。そして、制御部は、オペレーションモードにおいて、無線鍵からの信号を受信したと判断した場合に、規制部材の姿勢を規制姿勢から許可姿勢へと変更するように駆動部を制御する。
【0021】
この場合、スタンド部の位置が支持位置から解除位置へと変化すると、制御部は、電力供給部から電力が供給され、スリープモードからオペレーションモードに移行する。この状態において、制御部が無線鍵から信号を受信すると、制御部は駆動部を制御し、規制部材の姿勢を規制姿勢から許可姿勢へと変更する。このように、スタンド部を動作させるだけで、スタンド部のロックを容易に解除することができる。
【0022】
発明
6に係る無線鍵システムでは、発明
1から5のいずれか1項に記載の無線鍵システムにおいて、スタンド部が解除位置から支持位置に動く場合に、電力供給部は、電力生成部により生成された電力を、制御部に供給する。すると、制御部は、電力供給部から供給された電力により、スリープモードからオペレーションモードに移行する。そして、制御部は、オペレーションモードにおいて、規制部材の姿勢を許可姿勢から規制姿勢へと変更するように駆動部を制御する。
【0023】
この場合、スタンド部の位置が解除位置から支持位置へと変化すると、制御部は、電力供給部から電力が供給され、スリープモードからオペレーションモードに移行する。すると、制御部は駆動部を制御し、規制部材の姿勢を許可姿勢から規制姿勢へと変更する。このように、スタンド部を動作させるだけで、スタンド部を容易にロックすることができる。
【0024】
発明
7に係る無線鍵システムでは、発明
1から6のいずれか1項に記載の無線鍵システムにおいて、電力供給部が、一次電池および二次電池の少なくともいずれか一方を、有している。このように、電力供給部が、1次電池(非可逆的反応を示す電池)であっても、2時電池(可逆的反応を示す電池)であっても、制御部を安定的に動作させることができる。
【0025】
発明
8に係る無線鍵システムでは、発明1から
7のいずれか1項に記載の無線鍵システムにおいて、駆動部が、カム構造を有している。この場合、規制部材はカム構造(駆動部)によって姿勢を変更できるので、規制部材を適切なスピードでスムーズに動作させることができる。
【0026】
発明
9に係る無線鍵システムでは、発明1から
8のいずれか1項に記載の無線鍵システムにおいて、スタンド部が、鞍乗型車両のリアエンド、チェーンステー、およびボトムブラケットのいずれか1つに、回動可能に支持される。このように、スタンド部が、リアエンド、チェーンステー、およびボトムブラケットのいずれに支持されていても、無線鍵システムを作動させることができる。
【0027】
発明
10に係る無線鍵システムでは、発明1から
9のいずれか1項に記載の無線鍵システムにおいて、制御部が、無線鍵と通信可能な通信部を、有している。この場合、制御部が通信部を有しているので、ユーザは鍵を鍵穴に挿入して操作しなくても、無線鍵システムを作動させることができる。
【0028】
発明
11に係る無線鍵システムは、発明1から
10のいずれか1項に記載の無線鍵システムにおいて、鞍乗型車両に装着されるスタンド取付部材を、さらに備える。スタンド部は、スタンド取付部材に回動可能に支持される。規制部材は、規制姿勢および許可姿勢の間で姿勢を変更可能なように、スタンド取付部材に装着される。
【0029】
この場合、スタンド部および規制部材が、スタンド取付部材を介して、鞍乗型車両に装着される。このスタンド取付部材によって、スタンド部および規制部材を鞍乗型車両に容易に装着できる。
【0030】
発明
12に係る無線鍵システムでは、発明
11に記載の無線鍵システムにおいて、スタンド取付部材が、鞍乗型車両のリアエンド、チェーンステー、およびボトムブラケットのいずれか1つに装着される。このように、スタンド取付部材が、リアエンド、チェーンステー、およびボトムブラケットのいずれに支持されていても、無線鍵システムを作動させることができる。
【0031】
発明
13に係る無線鍵システムは、発明1から
12に記載の無線鍵システムにおいて、制御信号を制御部に送信可能な無線鍵を、さらに備える。この場合、無線鍵から制御部へと制御信号を送信するだけで、ユーザは鍵を鍵穴に挿入して操作しなくても、無線鍵システムを作動させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、鞍乗型車両におけるコンパクトな鍵システムを、提供できる。また、鞍乗型車両において、スタンド部のロック又は解除を容易に実行できる鍵システムを、提供できる。さらに、鞍乗型車両において、スタンド部のロック時又は解除時の音を低減可能な鍵システムを、提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<無線鍵システムの構成>
本発明の実施形態に係る自転車100用の無線鍵システム10は、
図1に示すように、無線鍵50と、スタンド取付部材1と、スタンド部2と、規制部材3と、制御ユニット4とを、備えている。
【0035】
無線鍵50は、後述する制御部41を制御するための制御信号を、送信可能である。例えば、無線鍵50と制御部41との距離が所定の範囲内である場合に、無線鍵50が制御部41に制御信号を送信すると、この制御信号が制御部41に認識される。なお、制御信号には、無線鍵50の認証を行うための認証コード、および制御部41に命令を指示するための命令コード等が、含まれる。
【0036】
スタンド取付部材1は、スタンド部2を自転車100に取り付けるための部材である。
図1および
図2に示すように、スタンド取付部材1は、自転車100に装着される。詳細には、スタンド取付部材1は、例えば、自転車100のリアエンド、チェーンステー、又はボトムブラケット等に、装着される。ここでは、スタンド取付部材1が、自転車100のリアエンド200に装着される場合の例を一例として、説明を行う。
【0037】
図2に示すように、スタンド取付部材1は、取付本体部11と、位置決め部12とを、有している。取付本体部11は、実質的にL字形状に形成されている。取付本体部11は、自転車100のリアエンド200に回転不能に装着される。位置決め部12は、規制部材3を位置決めするための部分である。位置決め部12は、取付本体部11に設けられている。位置決め部12には、規制部材3が当接可能である。位置決め部12に対して規制部材3が当接する状態に応じて、規制部材3は、後述する規制姿勢又は解除姿勢に設定される。
【0038】
スタンド部2は、自転車100を支持する部分である。スタンド部2は、自転車100に対して回動可能に支持される。詳細には、
図1に示すように、スタンド部2は、スタンド取付部材1に対して回動可能に支持される。スタンド部2は、
図3Aに示す自転車100を支持可能な支持位置、および
図3Bに示す自転車100を支持不能な解除位置のいずれかに、配置される。
【0039】
具体的には、
図1および
図2に示すように、スタンド部2は、スタンド部材21と、バネ部材22とを、有している。スタンド部材21は、スタンド取付部材1に回動可能に装着される。すなわち、スタンド部材21は、スタンド取付部材1を介して、自転車100のリアエンド200に回動可能に装着される。スタンド部材21は、上述した支持位置および解除位置のいずれかに、配置される(
図3を参照)。
【0040】
図2および
図4に示すように、スタンド部材21は、スタンド本体21aと、スタンド軸部21bと、係合部21cとを、有している。スタンド本体21aは、一方向に長い部材である。スタンド本体21aは、スタンド取付部材1に回動可能に支持されている。スタンド軸部21bは、スタンド本体21aの回動軸である。スタンド軸部21bは、スタンド本体21aに設けられている。スタンド軸部21bは、スタンド本体21aからスタンド取付部材1に向けて突出している。スタンド軸部21bは、スタンド取付部材1に対して、回動自在に装着されている。スタンド軸部21bの先端部外周部には、N極とS極とからなる磁極が、着磁されている。
【0041】
係合部21cは、規制部材3に係合可能な部分である。係合部21cは、スタンド本体21aに設けられている。係合部21cは、スタンド本体21aからスタンド取付部材1に向けて突出している。係合部21cは、規制部材3が規制姿勢(後述する)である場合に、規制部材3に係合可能である。例えば、
図3Aおよび
図3Bを参照して、スタンド部材21が、支持位置に配置されている状態で、スタンド部材21を支持位置から解除位置へと回動しようとすると、
図2に示すように、係合部21cが規制部材3に当接する。このようにして、スタンド部材21がロックされる。
【0042】
図1に示すように、バネ部材22(付勢構造の一例)は、スタンド部材21が支持位置に配置されているときに、スタンド部材21の回動方向とは異なる方向に、スタンド部材21を付勢する。バネ部材22の一端部はスタンド取付部材1(取付本体部11)に装着され、バネ部材22の他端部はスタンド部材21(スタンド本体21a)に装着される。また、バネ部材22は、伸ばされた状態で、スタンド取付部材1(取付本体部11)およびスタンド部材21(スタンド本体21a)に装着される。これにより、スタンド部材21が支持位置から解除位置に向けて回動する場合に、スタンド部材21はバネ部材22によって付勢される。
【0043】
規制部材3は、規制姿勢および許可姿勢の間で、姿勢を変更可能である。
図5Aに示すように、規制姿勢は、支持位置(
図3Aの位置)から解除位置(
図3Bの位置)へのスタンド部2の回動を規制可能な姿勢である。
図5Bに示すように、許可姿勢は、スタンド部2の回動を許可する姿勢である。
【0044】
図4、
図5A、および
図5Bに示すように、規制部材3は、規制姿勢および許可姿勢の間で姿勢を変更可能なように、スタンド取付部材1に装着される。具体的には、規制部材3は、本体部31と、軸部32とを有している。本体部31は、実質的に三角形状に形成されている。本体部31は、スタンド部材21とスタンド取付部材1との間に配置されている。本体部31は、軸部32とともに回転可能である。
【0045】
本体部31は、
図5Aに示す規制姿勢と、
図5Bに示す解除姿勢とに、姿勢を変更可能である。例えば、本体部31は、第1方向Aに回転することによって、規制姿勢から解除姿勢へと姿勢を変更する。また、本体部31は、第1方向Aとは反対の第2方向Bに回転することによって、解除姿勢から規制姿勢へと姿勢を変更する。本体部31が規制姿勢である場合、上述したように、スタンド部2の係合部21cが、規制部材3に当接可能である(
図2を参照)。
【0046】
また、本体部31は、スタンド取付部材1の位置決め部12に当接可能である。位置決め部12に対する本体部31の当接状態に応じて、本体部31の姿勢が設定される。例えば、
図5Aに示すように、本体部31の第1辺31aが位置決め部12に当接した場合、本体部31は規制姿勢に設定される。また、
図5Bに示すように、本体部31の第2辺31bが位置決め部12に当接した場合、本体部31は解除姿勢に設定される。
【0047】
軸部32は、本体部31に設けられている。軸部32は、スタンド取付部材1の孔部(図示しない)を挿通され、制御ユニット4(後述する駆動部42)に連結される(
図4を参照)。この軸部32を駆動部42が回転させることによって、本体部31が回転する。
【0048】
図4および
図5に示すように、制御ユニット4は、制御部41と、駆動部42と、電力供給部43と、検知部44とを、有している。制御部41は、無線鍵50と通信可能である。制御部41は、スリープモードとオペレーションモードとの間で、モードを変更可能である。
【0049】
スリープモードは、待機モードである。スリープモードでは、各種命令に対する処理は実行されず、微小電力で命令を待機する。オペレーションモードは、起動モードである。オペレーションモードでは、各種命令に対する処理が、実行される。
【0050】
例えば、制御部41は、オペレーションモードにおいて、無線鍵50からの制御信号を受信したと判断した場合、規制部材3の姿勢を規制姿勢から許可姿勢へと変更するように、駆動部42を制御する。また、制御部41は、オペレーションモードにおいて、所定時間の間、各種処理が実行されていないと判断した場合、オペレーションモードからスリープモードへと移行する。
【0051】
図6に示すように、制御部41は、命令を処理する命令処理部41aと、無線鍵50と通信可能な通信部41bと、各種情報を記録する記録部41cとを、有している。命令処理部41aは、無線鍵50の認証処理を実行する。また、命令処理部41aは、無線鍵50から受信した各種命令を認識し、これら命令に基づいて駆動部42に対して命令を指示する。通信部41bは、無線鍵50からの命令を受信すると、この命令を命令処理部41aに伝達する。記録部41cは、ROM41d(Read Only Memory)およびRAM41e(Random Access Memory)から構成される。ROM41dは、無線鍵50の認証を行うための認証情報、および各種命令を判断するための命令情報等を、記録する。RAM41eは、各種処理に必要な情報を一時的に記録する。なお、情報という文言は、情報データ、および複数の情報データ等からなるリストデータ等が、含まれる。
【0052】
駆動部42は、制御部41の指示に基づいて規制部材3を駆動することによって、規制部材3の姿勢を変更する。駆動部42は、モータ部42aと、カム部42b(カム構造の一例)とを、有している。モータ部42aは、制御部41例えば命令処理部41aからの命令に基づいて、電力供給部43からの電力を用いて、図示しないシャフト(出力軸)を回転する。カム部42bは、モータ部42aのシャフトに連結されており、モータ部42aのシャフトの回転を減速する。また、カム部42bは、規制部材3(軸部32)に、連結されている。これにより、モータ部42aのシャフトが回転すると、カム部42bを介して、規制部材3が回転する。
【0053】
電力供給部43は、制御部41に電力を供給する。電力供給部43が、電力生成部43aを、有している。電力生成部43aは、自転車100の動作およびスタンド部2の動作の少なくともいずれか一方によって、電力を生成する。電力生成部43aは、例えば、コイル部43bと磁石部43cとから構成されている。電力生成部43aは、コイル部43bおよび磁石部43cのいずれか一方が、コイル部43bおよび磁石部43cのいずれか他方に対して相対移動することによって、電力を生成する。すなわち、自転車100およびスタンド部2の少なくともいずれか一方が動作すると、この動作に伴う振動によってコイル部43bと磁石部43cとによって電磁誘導が生じ、電力が生成される。
【0054】
検知部44は、スタンド部2の回動角度を検知する。例えば、検知部44は、スタンド部材21のスタンド軸部21bと所定の間隔を隔てて配置されている。検知部44は、スタンド部材21のスタンド軸部21bの磁極を、監視する。検知部44は、磁極の監視情報を制御部41に伝達する。この監視情報に基づいて、制御部41(命令処理部41a)は、スタンド部材21のスタンド軸部21bの回動角度を算出する。このようにして、スタンド部材21の回動角度が検知される。なお、検知部44は、例えば、ホール素子である。
【0055】
<無線鍵システムの動作>
以下では、
図7および
図8を参照して、無線鍵システム10の動作について説明する。
【0056】
まず、
図7に示すようにスタンド部2が支持位置から解除位置に動く場合、電力供給部43は、電力生成部43aにより生成された電力を、制御部41に供給する。例えば、スタンド部2のスタンド部材21が、支持位置から解除位置へと動作すると、この動作時の振動によって電力生成部43aが発電する(S1)。すると、この電力が制御部41に供給される。
【0057】
次に、制御部41は、電力供給部43から供給された電力により、スリープモードからオペレーションモードに移行する(S2)。これにより、制御部41は、無線鍵50からの制御信号を受信可能となる。この状態では、制御部41は、無線鍵50からの制御信号の受信の有無を、監視している。詳細には、制御部41において、命令処理部41aが、通信部41bを介して、無線鍵50からの信号の受信の有無を、監視している。
【0058】
続いて、無線鍵50と制御部41との距離が所定の範囲内であり、制御部41が無線鍵50からの制御信号を受信すると、制御部41は無線鍵50を認証する(S3)。ここで、制御部41が無線鍵50の接続を許可した場合(S3でYES)、無線鍵50からの制御信号が、制御部41に認識される。詳細には、制御部41において、命令処理部41aが、記録部41cの情報を参照することによって、制御信号を認識する。
【0059】
続いて、制御部41は、この制御信号に基づいて、駆動部42に対して駆動命令を発行する。すると、駆動部42は、この駆動命令に基づいて駆動し、規制部材3の姿勢を規制姿勢から許可姿勢へと変更する(S4)。詳細には、スタンド部材21の回動角度は検知部44によって監視されているので、スタンド部材21が所定の回動角度に到達すると、駆動部42のモータ部42aが回転し、規制部材3の姿勢を、規制姿勢から許可姿勢へと変更する。このように、駆動部42を駆動することによって、スタンド部材21(係合部21c)を、規制部材3に干渉させることなく、規制部材3の姿勢を規制姿勢から許可姿勢へとスムーズに変更できる。
【0060】
ここで、上記の所定の回動角度は、スタンド部材21が支持位置に配置された状態と、スタンド部材21(係合部21c)が規制部材3に当接した状態との間の範囲であれば、どの角度であってもよい。
【0061】
なお、制御部41が無線鍵50の接続を許可しなかった場合(S3でNO)、制御部41は駆動部42に対して駆動命令を発行しないので、規制部材3の姿勢は規制姿勢で保持される。この状態は、スタンド部材21がロックされた状態である。
【0062】
一方で、
図8に示すようにスタンド部2が解除位置から支持位置に動く場合、電力供給部43は、電力生成部43aにより生成された電力を、制御部41に供給する。例えば、スタンド部2のスタンド部材21が、解除除置から支持位置へと動作すると、この動作時の振動によって電力生成部43aが発電する(S11)。すると、この電力が制御部41に供給される。
【0063】
次に、制御部41は、電力供給部43から供給された電力により、スリープモードからオペレーションモードに移行する(S12)。続いて、スタンド部材21の係合部21cが規制部材3を通過した場合(S13でYES)、制御部41は、駆動部42に対して駆動命令を発行する。すると、駆動部42は、この駆動命令に基づいて駆動し(S14)、規制部材3の姿勢を許可姿勢から規制姿勢へと変更する。
【0064】
ここで、スタンド部材21の回動角度は、検知部44によって監視されている。このため、スタンド部材21の係合部21cが規制部材3を通過したか否かの判断(S13)は、この検知部44において検知された回動角度によって行われる。すなわち、スタンド部材21が所定の回動角度に到達すると、駆動部42のモータ部42aが回転し、規制部材3の姿勢を、許可姿勢から規制姿勢へと変更する。なお、スタンド部材21の係合部21cが規制部材3を通過するまでは(S13でNO)、規制部材の姿勢は許可姿勢で保持される。この状態は、スタンド部材21がロック解除された状態である。
【0065】
このように、駆動部42を駆動することによって、スタンド部材21(係合部21c)を、規制部材3に干渉させることなく、規制部材3の姿勢を許可姿勢から規制姿勢へとスムーズに変更できる。
【0066】
<特徴>
(1)本無線鍵システム10は、制御部41と、スタンド部2と、規制部材3と、駆動部42とを、備えている。制御部41は、無線鍵50と通信可能である。スタンド部2は、自転車100に対して回動可能に支持される。スタンド部2は、自転車100を支持可能な支持位置および自転車100を支持不能な解除位置のいずれかに配置される。規制部材3は、支持位置から解除位置へのスタンド部2の回動を規制可能な規制姿勢、およびスタンド部2の回動を許可する許可姿勢の間で、姿勢を変更可能である。駆動部42は、制御部41の指示に基づいて規制部材3を駆動することによって、規制部材3の姿勢を変更する。
【0067】
本無線鍵システム10では、無線鍵50が制御部41と通信を行うことによって、駆動部42が規制部材3を駆動し規制部材3の姿勢を変更すれば、特別に機械的な構成を容易する必要がないので、従来技術と比較して、コンパクトな鍵システムを、提供することができる。
【0068】
また、本無線鍵システム10では、無線鍵50が制御部41と通信を行うだけで、自転車100のロックおよびロックの解除を自動的に行うことができるので、スタンド部2のロック又は解除を容易に実行できる。
【0069】
さらに、本無線鍵システム10では、規制部材3の姿勢を、スタンド部2の回動を規制する規制姿勢およびスタンド部2の回動を許可する許可姿勢の間で、変更するだけで、スタンド部2を支持位置または解除位置に配置することができるので、スタンド部2のロック時又は解除時の音を低減できる。
【0070】
(2)本無線鍵システム10では、スタンド部2が、スタンド部材21を含んでいる。スタンド部材21は、上記の支持位置および解除位置のいずれかに配置される。この場合、規制部材3がスタンド部材21の回動を規制することによって、スタンド部2が支持位置においてロックされる。また、規制部材3がスタンド部材21の回動を許可することによって、スタンド部2が支持位置から解除位置へと回動可能である。このように構成にしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(3)本無線鍵システム10は、制御部41に電力を供給する電力供給部43を、さらに備える。この場合、電力供給部43が制御部41に電力を供給することによって、制御部41を動作させることができる。これにより、制御部41を安定的に動作させることができる。
【0072】
(4)本無線鍵システム10では、電力供給部43が、電力生成部43aを、有する。電力生成部43aは、自転車100の動作およびスタンド部2の動作の少なくともいずれか一方によって、電力を生成する。この場合、自転車100およびスタンド部2の少なくともいずれか一方が動作すると、電力生成部43aが電力を生成する。これにより、電量供給部に電力を供給するための特別な構成を用意しなくても、電力供給部43は制御部41に電力を供給することができる。
【0073】
(5)本無線鍵システム10では、スタンド部2が支持位置から解除位置に動く場合に、電力供給部43は、電力生成部43aにより生成された電力を、制御部41に供給する。すると、制御部41は、電力供給部43から供給された電力により、スリープモードからオペレーションモードに移行する。そして、制御部41は、オペレーションモードにおいて、無線鍵50からの信号を受信したと判断した場合に、規制部材3の姿勢を規制姿勢から許可姿勢へと変更するように駆動部42を制御する。
【0074】
この場合、スタンド部2の位置が支持位置から解除位置へと変化すると、制御部41は、電力供給部43から電力が供給され、スリープモードからオペレーションモードに移行する。この状態において、制御部41が無線鍵50から信号を受信すると、制御部41は駆動部42を制御し、規制部材3の姿勢を規制姿勢から許可姿勢へと変更する。このように、スタンド部2を動作させるだけで、スタンド部2のロックを容易に解除することができる。
【0075】
(6)本無線鍵システム10では、スタンド部2が解除位置から支持位置に動く場合に、電力供給部43は、電力生成部43aにより生成された電力を、制御部41に供給する。すると、制御部41は、電力供給部43から供給された電力により、スリープモードからオペレーションモードに移行する。そして、制御部41は、オペレーションモードにおいて、規制部材3の姿勢を許可姿勢から規制姿勢へと変更するように駆動部42を制御する。
【0076】
この場合、スタンド部2の位置が解除位置から支持位置へと変化すると、制御部41は、電力供給部43から電力が供給され、スリープモードからオペレーションモードに移行する。すると、制御部41は駆動部42を制御し、規制部材3の姿勢を許可姿勢から規制姿勢へと変更する。このように、スタンド部2を動作させるだけで、スタンド部2を容易にロックすることができる。
【0077】
(7)本無線鍵システム10では、駆動部42が、カム部42bを有している。この場合、規制部材3はカム部42bによって姿勢を変更できるので、規制部材3を適切なスピードでスムーズに動作させることができる。
【0078】
(8)本無線鍵システム10では、スタンド部2が、自転車100のリアエンド200に、回動可能に支持される。このように、スタンド部2をリアエンド200に支持させることによって、無線鍵システム10を構築することができる。なお、本無線鍵システム10では、スタンド部2が、チェーンステー又はボトムブラケットにも装着可能である。このように構成しても、無線鍵システム10を作動させることができる。
【0079】
(9)本無線鍵システム10では、制御部41が、無線鍵50と通信可能な通信部41bを、有している。この場合、制御部41が通信部41bを有しているので、ユーザは鍵を鍵穴に挿入して操作しなくても、無線鍵システム10を作動させることができる。
【0080】
(10)本無線鍵システム10は、自転車100に装着されるスタンド取付部材1を、さらに備える。スタンド部2は、スタンド取付部材1に回動可能に支持される。規制部材3は、規制姿勢および許可姿勢の間で姿勢を変更可能なように、スタンド取付部材1に装着される。
【0081】
この場合、スタンド部2および規制部材3が、スタンド取付部材1を介して、自転車100に装着される。このスタンド取付部材1によって、スタンド部2および規制部材3を自転車100に容易に装着できる。
【0082】
(11)本無線鍵システム10では、スタンド取付部材1が、自転車100のリアエンド200に回動不能に装着される場合の例を示したが、スタンド取付部材1は、チェーンステーおよびボトムブラケットのいずれか1つに装着されてもよい。このように構成しても、無線鍵システム10を作動させることができる。
【0083】
(12)本無線鍵システム10は、制御信号を制御部41に送信可能な無線鍵50を、備える。この場合、無線鍵50から制御部41へと制御信号を送信するだけで、ユーザは鍵を鍵穴に挿入して操作しなくても、無線鍵システム10を作動させることができる。
【0084】
<他の実施形態>
(A)前記実施形態では、付勢構造がバネ部材22から構成される場合の例を示したが、
図9に示すように、付勢構造は、バネ部材122と、ロックレバー123とを、有していてもよい。この場合、バネ部材122は、スタンド取付部材101とロックレバー123とに装着される。詳細には、バネ部材122が伸張した状態で、バネ部材122の一端部がスタンド取付部材101に装着され、バネ部材122の他端部がロックレバー123に装着される。ロックレバー123は、スタンド部材21に揺動自在に装着される。このように構成しても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0085】
(B)前記実施形態では、規制部材3がスタンド部材21に係合することによって、スタンド部2の回動が規制される場合の例を示したが、
図9および
図10に示すように、規制部材103がロックレバー123(付勢構造の一例)に係合することによって、スタンド部102の回動を規制してもよい。
【0086】
具体的には、
図9および
図10に示すように、付勢構造は、バネ部材122と、ロックレバー123とを、有している。バネ部材122は、スタンド部材121が支持位置に配置されているときに、スタンド部材121の回動方向とは異なる方向にロックレバー123を付勢する。バネ部材122は、スタンド取付部材101とロックレバー123とに装着され、スタンド取付部材101とロックレバー123とを連結する。詳細には、バネ部材122が伸張した状態で、バネ部材122の一端部がスタンド取付部材101に装着され、バネ部材122の他端部がロックレバー123に装着される。
【0087】
ロックレバー123は、スタンド取付部材101とスタンド部材121との間に配置される。ロックレバー123は、スタンド部材121に揺動自在に装着される。ロックレバー123には、係合部121cが設けられている。この係合部121cが、規制姿勢の規制部材103に係合することによって、支持位置から解除位置へのスタンド部材121の回動が、規制される。一方で、規制部材103が解除姿勢である場合には、ロックレバー123の係合部121cは規制部材103と係合することがないため、スタンド部材121は、支持位置から解除位置へと回動可能である。
【0088】
なお、規制部材103の姿勢は、スタンド取付部材101の位置決め部112に対する当接状態に応じて設定される。この設定は、前記実施形態において説明したものと同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0089】
この場合、規制部材103がロックレバー123の回動を規制することによって、スタンド部材121が支持位置においてロックされる。また、規制部材103がロックレバー123の回動を許可することによって、スタンド部材121が、支持位置から解除位置へと回動可能である。このように構成にしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0090】
(D)前記実施形態では、スタンド部材21(スタンド軸部21b)が被検知部44(磁極)を有し、制御ユニット4が検知部44を有する場合の例を示したが、スタンド部材21(スタンド軸部21b)が検知部44を有し、制御ユニット4が被検知部44を有するように構成してもよい。このように構成しても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0091】
(E)前記実施形態では、スタンド軸部21bの外周部が着磁される場合の例を示したが、スタンド軸部21bの外周部に磁石を設けることによって、磁場を形成してもよい。このように構成しても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(F)前記実施形態では、電力供給部43が電力生成部43aを有しており、この電力生成部43aにおいて電力が生成される場合の例を示したが、電力供給部43は、1次電池および2次電池の少なくともいずれか一方であってもよい。このように、電力供給部43が、1次電池(非可逆的反応を示す電池)であっても、2次電池(可逆的反応を示す電池)であっても、制御部41を安定的に動作させることができる。また、このように構成しても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。