特許第5764195号(P5764195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5764195負荷に電力を供給するシステムに特徴的な量の値を決定するための方法と装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764195
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】負荷に電力を供給するシステムに特徴的な量の値を決定するための方法と装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
   H02M3/00 H
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-500565(P2013-500565)
(86)(22)【出願日】2011年3月23日
(65)【公表番号】特表2013-523079(P2013-523079A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】FR2011050614
(87)【国際公開番号】WO2011117537
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年3月17日
(31)【優先権主張番号】1052076
(32)【優先日】2010年3月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513132966
【氏名又は名称】ジーイー エナジー パワー コンバージョン テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GE Energy Power Conversion Technology Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール ゴレンツ
(72)【発明者】
【氏名】レジ ペロン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジロ
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−540786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷(12)に電力を供給するシステムであって、前記負荷の端子に直列に接続されるとともに直流電源(19)の出力にも接続されたM個(Mは1以上である)のDC/DCコンバータ(20)と、前記負荷の反対側で前記コンバータ(20)に並列に接続された少なくとも1つの蓄電キャパシタ(22)を備えるシステム(10)の特徴的な量(U1dc、U2dc)の値を決定する方法であって、この方法が、以下のステップ:
- 第1の特徴的な量(Ic)の複数の値を第1の高分解度で測定するステップと、
- 第2の特徴的な量(U1dc、U2dc)を低分解度で測定するステップと、
- 第1の特徴的な量(Ic)を第1の高分解度で測定した前記複数の値と、第2の特徴的な量(U1dc、U2dc)を低分解度で測定した前記値から、第2の特徴的な量(U1dc、U2dc)の値を第2の高分解度で決定するステップを含んでいて、第1の高分解度と第2の高分解度が低分解度の少なくとも10倍の分解度であることを特徴とする方法。
【請求項2】
第2の特徴的な量(U1dc、U2dc)の値を第2の高分解度で決定する前記ステップが、複数回の繰り返しを含んでいて、第2の特徴的な量の次の値(U1dc(n)、U2dc(n))が、第2の特徴的な量の前の値(U1dc(n-1)、U2dc(n-1))と、1回の繰り返しごとに第1の特徴的な量(Ic)を第1の高分解度で測定した値に依存する補正項とから、1回の繰り返しごとに計算され、第2の特徴的な量の初期値(U1dc(0)、U2dc(0))は、第2の特徴的な量(U1dc、U2dc)の低分解度での値に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の特徴的な量が、前記負荷(12)に供給される電流の強度(Ic)であり、第2の特徴的な量が、前記コンバータ(20)の前記蓄電キャパシタ(22)側の端子における電圧(U1dc、U2dc)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記M個のコンバータ(20)のそれぞれが直流電源の出力に接続されていて、前記コンバータの前記蓄電キャパシタ側の端子における電圧の次の値(U1dc(n))が、前の値(U1dc(n-1))から、次の式:
U1dc(n)=U1dc(n-1)+h(Ic)/U1dc(n-1)
に従って決定される、ここでh(Ic)は、前記負荷(12)に供給される電流の強度に依存する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
Mが厳密に1よりも大きく、前記M個のコンバータが、前記直流電源(19)の出力に接続されたN1個の第1のコンバータ(30A)と、その直流電源(19)の出力に接続されていないN2個の第2のコンバータ(30B)とからなり、N1とN2は1以上であり、N1とN2の和はMに等しい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第2の特徴的な量が、第1のコンバータ(30A)それぞれの蓄電キャパシタ(22)側における電圧(U1dc)であり、その第1のコンバータ(30A)の端子におけるその電圧の次の値(U1dc(n))が、その第1のコンバータ(30A)の端子における電圧の前の値(U1dc(n-1))から、次の式:
U1dc(n)=U1dc(n-1)+f(Ic)/U1dc(n-1)
に従って決定される、ここでf(Ic)は、前記負荷(12)に供給される電流の強度に依存する請求項2又は3又は5に記載の方法。
【請求項7】
第2の特徴的な量が、第2のコンバータ(30B)それぞれの蓄電キャパシタ(22)側における電圧(U2dc)であり、その第2のコンバータ(30B)の端子におけるその電圧の次の値(U2dc(n))が、その第2のコンバータ(30B)の端子における電圧の前の値(U2dc(n-1))から、次の式:
U2dc(n)=U2dc(n-1)+g(Ic)/U2dc(n-1)
に従って決定される、ここでg(Ic)は、前記負荷(12)に供給される電流の強度に依存する、請求項2又は3又は5に記載の方法。
【請求項8】
第1の高分解度と第2の高分解度がそれぞれ17〜32ビットである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
低分解度が5〜15ビットであり、好ましくは11ビットである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
2回の繰り返しの間隔(Te)が1ミリ秒である、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
負荷(12)に電力を供給するシステムであって、前記負荷の端子に直列に接続されるとともに直流電源(19)の出力にも接続されたM個(Mは1以上である)のDC/DCコンバータ(20)と、前記負荷の反対側で前記コンバータ(20)に並列に接続された少なくとも1つの蓄電キャパシタ(22)を備えるシステム(10)の特徴的な量(U1dc、U2dc)の値を決定する装置であって、この装置が、
-第1の特徴的な量(Ic)の複数の値を第1の高分解度で測定する手段(42)と、
-第2の特徴的な量(U1dc、U2dc)の値を低分解度で測定する手段(43)と、
- 第1の特徴的な量(Ic)の第1の高分解度で測定された前記複数の値と、第2の特徴的な量(U1dc、U2dc)の低分解度の前記値から、第2の特徴的な量(U1dc、U2dc)を第2の高分解度で決定する手段(44)を備えていて、第1の高分解度と第2の高分解度が低分解度の少なくとも10倍の分解度であることを特徴とする装置。
【請求項12】
負荷に電力を供給するための電力供給システムとして、
- 電気ネットワーク(16)に接続された直流電源(19)と、
- 前記負荷(12)の端子に直列に接続されたM個(Mは1以上である)のDC/DCコンバータ(20)と、
- 前記負荷(12)の反対側で前記コンバータ(20)に並列に接続された少なくとも1つの蓄電キャパシタ(22)と、
- この電力供給システムのある特徴的な量を決定する決定装置(23)を備える電力供給システムであって、
前記決定装置(23)が請求項11に記載の装置であることを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記直流電源(19)が、前記電気ネットワーク(16)に接続された少なくとも1つの交流変圧器(14)と、その交流変圧器(14)の出力に接続された少なくとも1つの整流器(18)を備える、請求項12に記載のシステム(10)。
【請求項14】
前記M個のコンバータのそれぞれが、前記直流電源(19)の出力に接続されている、請求項12または13に記載のシステム(10)。
【請求項15】
Mが厳密に1よりも大きく、前記M個のコンバータが、前記直流電源(19)の出力に接続されたN1個の第1のコンバータ(30A)と、その直流電源(19)の出力に接続されていないN2個の第2のコンバータ(30B)とからなり、N1とN2は1以上であり、N1とN2の和はMに等しい、請求項12又は13に記載のシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に電力を供給するシステムに特徴的な量の値を決定するための方法に関する。このシステムは、M個(Mは1以上である)のDC/DCコンバータと、少なくとも1つの蓄電キャパシタを備えていて、コンバータは、負荷の端子に直列に接続されるとともに直流電源の出力にも接続されており、蓄電キャパシタは、負荷の反対側にコンバータと並列に接続されている。
【0002】
本発明は、そのような量の値を決定するための装置にも関する。
【0003】
本発明は、負荷に電力を供給するためそのような決定装置を備える電力供給システムにも関する。
【0004】
本発明は特に、典型的には約50MWという大電力の供給システムに適用される。このような電力供給システムは、一般に、陽子シンクロトロンのガイド用コイルなどのパルス式電力供給を必要とする負荷への電力供給を想定している。
【背景技術】
【0005】
上記のタイプの1つの決定法と決定装置が、特許文献EP 1 868 279 A1に記載されている。各コンバータの蓄電キャパシタ側の端子における電圧は、測定装置によって測定される。したがってその電圧値の分解度は、測定装置の分解度に直接依存する。分解度とは、その測定装置で測定するときに検出可能な差の最小値である。言い換えるならば、分解度は、所定の測定期間に測定装置が提供することのできる異なる値の数である。したがって電圧値を高分解度で決定するには、測定装置が高分解度である必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特徴的な量の値を分解度の高い測定装置で直接測定する必要なしにその特徴的な量の値を高分解度で決定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明が対象とするのは、上記のタイプの決定法において、以下のステップ:
- 第1の特徴的な量の複数の値を第1の高分解度で測定するステップと、
- 第2の特徴的な量を低分解度で測定するステップと、
- 第1の特徴的な量を第1の高分解度で測定した複数の値と、第2の特徴的な量を低分解度で測定した値から、第2の特徴的な量の値を第2の高分解度で決定するステップを含んでいて、第1の高分解度と第2の高分解度が低分解度の少なくとも10倍の分解度であることを特徴とする方法である。
【0008】
別の実施態様によれば、この決定法は、以下に示す特徴のうちの1つ以上を個別に、または技術的に可能なあらゆる組み合わせで含んでいる:
- 第2の特徴的な量の値を第2の高分解度で決定するステップは、複数回の繰り返しを含んでいて、第2の特徴的な量の次の値は、第2の特徴的な量の前の値と、1回の繰り返しごとに第1の特徴的な量を第1の高分解度で測定した値に依存する補正項とから、1回の繰り返しごとに計算され、第2の特徴的な量の初期値は、第2の特徴的な量の低分解度での値に等しい、
-第1の特徴的な量は、負荷に供給される電流の強度であり、第2の特徴的な量は、コンバータの蓄電キャパシタ側の端子における電圧である、
- M個のコンバータのそれぞれは直流電源の出力に接続されていて、コンバータの蓄電キャパシタ側の端子における電圧の次の値U1dc(n)は、前の値U1dc(n-1)から、次の式:
U1dc(n)=U1dc(n-1)+h(Ic)/U1dc(n-1)
に従って決定される(ただしh(Ic)は、負荷に供給される電流の強度に依存する)、
- Mは厳密に1よりも大きく、M個のコンバータは、直流電源の出力に接続されたN1個の第1のコンバータと、その直流電源の出力に接続されていないN2個の第2のコンバータとからなり、N1とN2は1以上であり、N1とN2の和はMに等しい、
-第2の特徴的な量は、第1のコンバータそれぞれの蓄電キャパシタ側における電圧であり、その第1のコンバータの端子におけるその電圧の次の値U1dc(n)は、その第1のコンバータの端子における電圧の前の値U1dc(n-1)から、次の式:
U1dc(n)=U1dc(n-1)+f(Ic)/U1dc(n-1)
に従って決定される(ただしf(Ic)は、負荷に供給される電流の強度に依存する)、
-第2の特徴的な量は、第2のコンバータそれぞれの蓄電キャパシタ側における電圧であり、その第2のコンバータの端子におけるその電圧の次の値U2dc(n)は、その第2のコンバータの端子における電圧の前の値U2dc(n-1)から、次の式:
U2dc(n)=U2dc(n-1)+g(Ic)/U2dc(n-1)
に従って決定される(ただしg(Ic)は、負荷に供給される電流の強度に依存する)、
-第1の高分解度と第2の高分解度はそれぞれ17〜32ビットである、
-低分解度は5〜15ビットであり、好ましくは11ビットである、
- 2回の繰り返しの間隔は1ミリ秒である。
【0009】
本発明は、負荷に電力を供給するシステムであって、負荷の端子に直列に接続されるとともに直流電源の出力にも接続されたM個(Mは1以上である)のDC/DCコンバータと、負荷の反対側でコンバータに並列に接続された少なくとも1つの蓄電キャパシタを備えるシステムの特徴的な量の値を決定する装置であって、この装置が、
-第1の特徴的な量の複数の値を第1の高分解度で測定する手段と、
-第2の特徴的な量の値を低分解度で測定する手段と、
- 第1の特徴的な量の第1の高分解度で測定された複数の値と、第2の特徴的な量の低分解度の値から、第2の特徴的な量を第2の高分解度で決定する手段を備えていて、第1の高分解度と第2の高分解度が低分解度の少なくとも10倍の分解度であることを特徴とする装置も対象とする。
【0010】
本発明は、負荷に電力を供給するための電力供給システムとして、
- 電気ネットワークに接続された直流電源と、
- 負荷の端子に直列に接続されたM個(Mは1以上である)のDC/DCコンバータと、
- 負荷の反対側でコンバータに並列に接続された少なくとも1つの蓄電キャパシタと、
- この電力供給システムのある特徴的な量を決定する決定装置を備える電力供給システムであって、
決定装置が上に規定した装置であることを特徴とするシステムも対象とする。
【0011】
別の実施態様によれば、この電力供給システムは、以下に示す特徴のうちの1つ以上を個別に、または技術的に可能なあらゆる組み合わせで含んでいる:
- 直流電源は、電気ネットワークに接続された少なくとも1つの交流変圧器と、その交流変圧器の出力に接続された少なくとも1つの整流器(18)を備えている、
- M個のコンバータのそれぞれは、直流電源の出力に接続されている、
- Mは厳密に1よりも大きく、M個のコンバータは、直流電源の出力に接続されたN1個の第1のコンバータと、その直流電源の出力に接続されていないN2個の第2のコンバータとからなり、N1とN2は1以上であり、N1とN2の和はMに等しい。
【0012】
本発明のこれらの特徴と利点は、添付の図面を参照した単なる例示としての以下の説明を読めば明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による電力供給システムの模式図であり、この電力供給システムは、6個のDC/DCコンバータを備えている。
図2】本発明による決定法のフロー・チャートである。
図3】第1のコンバータと第2のコンバータそれぞれの端子における電圧を時間の関数として示した曲線群である。
図4図3の枠で囲まれた領域IVを拡大した図である。
図5図3の枠で囲まれた領域Vを拡大した図である。
図6図3の枠で囲まれた領域VIを拡大した図である。
図7図3の枠で囲まれた領域VIIを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1では、負荷12に電力を供給する電力供給システム10は、電気ネットワーク16に接続された2つの交流変圧器14と、変圧器14の出力にそれぞれ接続された2つの整流器18を備えている。変圧器14と整流器18は、電気ネットワーク16に接続された直流電源19を形成している。直流電源19は、最大で12.5MWの電力Pを供給することができる。
【0015】
電力供給システム10は、M個のDC/DCコンバータ20と、各コンバータ20に並列に接続されたM個の蓄電キャパシタ22も備えている。M個のコンバータ20は、負荷12の端子に直列に接続されている。なおMは1以上である。
【0016】
電力供給システム10は、各コンバータ20の蓄電キャパシタ22側の端子における電圧値を決定する装置23と、コンバータ20の制御手段24と、負荷12とコンバータ20の間に接続された2つのフィルタ26と、負荷12に問題がある場合にその負荷12を放電させる2つの装置27も備えている。
【0017】
図1に示した実施例では、M個のコンバータは、各整流器18の出力に接続されたN1個の第1のコンバータ30A(いわゆる負荷コンバータ)と、N2個の第2のコンバータ30B(いわゆる浮動コンバータ)からなる。N2個の浮動コンバータ30Bは、整流器の出力に直接は接続されていない。N1とN2は1以上である。N1とN2の和はMに等しい。
【0018】
図1に示した実施例では、Mは4以上の偶数であり、例えば6である。N1は2であり、N2は4である。
【0019】
図示していない別の例では、M個のコンバータは、負荷の端子に直列に接続されるとともに、直流電源の出力に接続されている。言い換えるならば、M個のコンバータは、整流器の出力に接続された負荷コンバータであり、N1はMに等しい。それぞれの負荷コンバータは、付随する蓄電キャパシタ側の端子における電圧がU1dcである。
【0020】
負荷12は、陽子シンクロトロンをガイドするための2つの半コイル34に分かれたコイルと、それら半コイル34を絶縁するリレー35を備えている。負荷12は、インダクタンスLc(例えば9 mH)と、内部抵抗Rc(例えば3.2 mΩ)と、容量Cc(例えば22 nF)と、減衰抵抗pc(例えば136Ω)を持つ。
【0021】
コンバータ20から負荷12に供給される電流は強度Icを持ち、負荷12の端子における電圧は、抵抗成分VRと誘導成分VLを持つ。
【0022】
それぞれの交流変圧器14は、第1のリレー36を介して電気ネットワーク16に接続されている。
【0023】
電気ネットワーク16は、電力供給システム10に複数の相を含む電流を供給することのできる多相交流ネットワークである。電気ネットワーク16は、例えば三相ネットワークである。
【0024】
各整流器18は、AC/DCコンバータであり、第2のリレー38を介して対応する第1のコンバータ30Aの出力に接続されている。その第2のリレー38は、必要な場合に第1のコンバータ30Aを各整流器18から絶縁することができる。
【0025】
どのコンバータ20も同じ構造であり、その制御規則だけが各コンバータに固有である。
【0026】
各DC/DCコンバータ20(チョッパとも呼ばれる)は、それぞれの蓄電キャパシタ22に接続された2つの端子40と、2つの第2の端子V+、V-を備えている。チョッパ20の各端子V+は、隣のチョッパ20の端子V-に接続されている。チョッパ20は、負荷12の端子に直列に接続されている。直列に接続されたチョッパ20の端部に位置していて別のチョッパの対応する第2の端子に接続されていない第2の端子V+、V-は、両方とも負荷12の端子に接続されている。
【0027】
それぞれの負荷コンバータ30Aは、付随する蓄電キャパシタ側の端子間の電圧がU1dcであり、それぞれの浮動コンバータ30Bは、付随する蓄電キャパシタ側の端子間の電圧がU2dcである。
【0028】
各チョッパ20は、第1の端子40を通過する電流に対して第2の端子V+、V-を通過する電流の電圧を変化させることができる。各チョッパ20は可逆的であり、電流は、ある期間は対応するキャパシタ22から負荷12へと流れることができ、別の期間には負荷12からキャパシタ22へと逆向きに流れることができる。
【0029】
各チョッパ20は、H型ブリッジを形成する2つのモジュール(図示せず)を備えている。各モジュールは、2つの第1の端子40の間に接続されるとともに、それぞれの端子V+、V-にも接続されている。各モジュールは、1つ以上の切り換え分岐路を備えている。切り換え分岐路はどれも同じであることが好ましい。それぞれの切り換え分岐路は、例えば3段の電圧インバータを形成する。あるいは各切り換え分岐路は、2段の電圧インバータを形成する。
【0030】
どの蓄電キャパシタ22も同じ構造であり、それぞれが容量Cを持つ。
【0031】
電力供給システム10は、M個の制御可能なシャント41も備えている。各シャント41は、各チョッパの第2の端子V+、V-に並列に接続されている。各シャント41は、命令によって対応するチョッパの第2の端子V+とV-の間を短絡させることができる。
【0032】
決定装置23は、負荷12に供給される電流強度Icの一連の値を第1の高分解度で測定するための手段42と、コンバータ20の蓄電キャパシタ側の端子における電圧U1dc、U2dcの値を低分解度で測定する手段43を備えている。決定装置23は、負荷12に供給される第1の高分解度で測定された電流強度Icの一連の値と、コンバータ20の蓄電キャパシタ側の端子における低分解度の電圧U1dc、U2dcの値とから、電圧U1dc、U2dcの値を第2の高分解度で決定する手段44も備えている。
【0033】
第1の高分解度と第2の高分解度は、例えば17〜32ビットの間である。第1の高分解度と第2の高分解度は32ビットであることが好ましい。言い換えるならば、決定手段44は、例えば所定の測定期間に電圧U1dc、U2dcの値を232通りの値、すなわち4,294,967,296個の異なる値の中から決定することができる。したがって0〜10 kVの電圧の測定では、決定手段44によって決定できる測定値の差の最小値は10 kV/232、すなわち約2.3μVである。
【0034】
低分解度は、例えば5〜15ビットであり、11ビットが好ましい。言い換えるならば、測定手段43は、例えば所定の測定期間に211通りの異なる値、すなわち2,048通りの異なる値から電圧U1dc、U2dcの値を測定することができる。
【0035】
第1の高分解度と第2の高分解度は、低分解度の少なくとも10倍の分解度である。所定の測定期間に232通りの異なる値を含む第2の高分解度は、その測定期間に211通りの異なる値を含む低分解度の例えば221倍、すなわち2,097,152倍の分解度である。第1の高分解度は、例えばそれと同様に低分解度の221倍、すなわち2,097,152倍の分解度である。
【0036】
測定手段42は、例えば第1の高分解度で電流強度を測定できる電流計を備えている。
【0037】
測定手段43は、低分解度の電圧計を備えている。
【0038】
決定手段44は、測定手段42、43に接続されている。決定手段44は、例えばメモリ44B付きのデータ・プロセッサ44Aで形成された情報処理ユニットを備えている。メモリ44Bには、測定手段42、43によって測定された値を取得するためのソフトウエア・パッケージ44Cと、測定手段42によって第1の高分解度で測定された複数の値と測定手段43によって低分解度で測定された複数の値から電圧U1dc、U2dcの値を第2の高分解度で決定するためのソフトウエア・パッケージ44Dを収容することができる。
【0039】
あるいは決定手段44は、プログラム可能な論理素子として、または専用の集積回路として製造される。
【0040】
各フィルタ26は、負荷12と一群のコンバータ20の間に設置されている。各フィルタ26は第1の分岐路45と第2の分岐路46を備えていて、両方の分岐路45、46は互いに並列になっている。第1の分岐路45は、負荷12の端子間に直列に接続された2つのキャパシタ47を備えている。どちらのキャパシタ47も中間点48に接続されている。第2の分岐路46は、負荷12の端子間に直列に接続されたキャパシタ49と抵抗器50を備えている。フィルタのそれぞれの第1の分岐路45の中間点48は、抵抗器54を介してグラウンド52に接続されている。
【0041】
放電装置27は、負荷12のそれぞれの端子の間に並列に接続されている。放電装置27は、部品群に直列に接続されたコイル56を備えている。その部品群には、第1のサイリスタ58と、その第1のサイリスタ58に並列に接続された直列接続の第2のサイリスタ60と放電用抵抗器62が含まれる。第1のサイリスタ58と第2のサイリスタ60は、一方の頭部が他方の尾部に接続されている。
【0042】
図2は、コンバータ20の蓄電キャパシタ22側の端子における電圧U1dc、U2dcの値を決定する方法を示している。
【0043】
ステップ100では、測定手段43が、コンバータ20の蓄電キャパシタ22側の端子における電圧U1dc、U2dcの値を1つだけ低分解度で測定する。
【0044】
電圧U1dc、U2dcの値を第2の高分解度で決定するには、例えば複数回の繰り返しが実行される。コンバータの端子における電圧の次の値U1dc(n)、U2dc(n)は、1回の繰り返しごとに、コンバータの端子における電圧の前の値U1dc(n-1)、U2dc(n-1)と補正項から計算される。
【0045】
コンバータの端子における電圧の初期値U1dc(0)、U2dc(0)は、ステップ100でコンバータの端子において低分解度で測定された電圧U1dc、U2dcの値に等しい。
【0046】
nは繰り返し指数を表わす。指数nの値は、ステップ110において1ずつ大きくされる。
【0047】
補正項は、負荷に供給される電流の強度Icを第1の高分解度で測定した値に依存する。この強度Icの値は、ステップ120において1回の繰り返しごとに測定手段42によって測定される。したがって測定手段42は、この決定法を適用しているとき、負荷12に供給される電流の強度Icの一連の値を高分解度で測定する。
【0048】
次に、決定手段44が、ステップ130において、負荷に供給される電流の強度Icを高分解度で測定した値(ステップ120)とコンバータの端子における電圧U1dc、U2dcの低分解度での値(ステップ100)から、コンバータの端子における電圧の次の値U1dc(n)、U2dc(n)を計算する。
【0049】
ステップ140の終わりにサンプリング期間Teが終了すると、この決定法をステップ110に戻って繰り返す。
【0050】
この決定法は、必要な回数の繰り返しを含んでいるため、第2の高分解度の値は、低分解度の値の少なくとも10倍の分解度である。繰り返しの最少数Nは、例えば50回よりも多く、80回よりも多いことが好ましく、100回であることがさらに好ましい。
【0051】
こうすることで、決定手段44は、N回目の繰り返しのステップ130において、負荷に供給される電流の強度Icを第1の高分解度で測定した一連の値とコンバータの端子における電圧U1dc、U2dcの低分解度での値から、コンバータ20の端子における電圧の第2の高分解度での値U1dc、U2dcを決定する。
【0052】
負荷の端子における電圧の抵抗成分VRは、例えば負荷コンバータ30Aによってだけ供給される。負荷の端子における電圧の誘導成分VLのほうは、負荷コンバータ30Aと浮動コンバータ30Bの両方によって供給される。
【0053】
負荷コンバータ30Aと浮動コンバータ30Bの間での誘導成分VLの分配は、コンバータ間での誘導成分VLの分配係数によって決まる。すなわち負荷コンバータ30Aに付随する第1の分配係数K1と、浮動コンバータ30Bに付随する第2の分配係数K2によって決まる。分配係数K1とK2は、それぞれ、あらかじめ決めた値である。誘導成分VLは、例えば大部分が浮動コンバータ30Bのために供給され、K2のあらかじめ決められた値はK1よりも大きい。
【0054】
第1の分配係数K1と第2の分配係数K2は、以下の式を満たす。
N1×K1+N2×K2=1 (1)
【0055】
決定された電圧が、N1個ある負荷コンバータ30Aそれぞれの端子における電圧U1dcである場合には、その電圧の次の値U1dc(n)は、その電圧の前の値U1dc(n-1)から以下の式:
U1dc(n)=U1dc(n-1)+f(Ic)/U1dc(n-1) (2)
に従って計算される。ただしf(Ic)は、負荷に供給される電圧の強度Icに依存する項を表わす。
【0056】
関数fは、例えば以下の式:
f(Ic)=(1/C)×((P供給-VR・Ic)/N1-K1・VL・Ic)×Te (3)
によって決まる。ただしTeは、2回の繰り返しの間隔を表わす。
【0057】
決定された電圧がN2個ある浮動コンバータ30Bそれぞれの端子における電圧U2dcである場合には、その電圧の次の値U2dc(n)は、その電圧の前の値U2dc(n-1)から以下の式:
U2dc(n)=U2dc(n-1)+g(Ic)/U2dc(n-1) (4)
に従って計算される。ただしg(Ic)は、負荷に供給される電流の強度Icに依存する項を表わす。
【0058】
関数gは、例えば以下の式:
g(Ic)=-(K2/C)×(VL・Ic)×Te (5)
によって決まる。
【0059】
あるいは各コンバータが直流電源の出力に接続されている場合には、決定された電圧は、負荷コンバータそれぞれの端子における電圧U1dcである。負荷コンバータの蓄電キャパシタ側の端子における電圧の次の値U1dc(n)は、その電圧の前の値U1dc(n-1)から以下の式:
U1dc(n)=U1dc(n-1)+h(Ic)/U1dc(n-1) (6)
に従って計算される。ただしh(Ic)は、負荷に供給される電流の強度Icに依存する項を表わす。
【0060】
関数hは、例えば以下の式:
h(Ic)=(1/C)×((P供給-VR・Ic)/M-VL・Ic)×Te (7)
によって決まる。
【0061】
図3は、負荷コンバータ30Aと浮動コンバータ30Bについて、測定されて決定されたさまざまな電圧と、比較のためのシミュレーション電圧を表わす曲線を示している。図4図7は、図3の領域IV〜VIIの拡大図である。
【0062】
曲線200、202、204、206は、負荷コンバータ30Aの蓄電キャパシタ側の端子における電圧曲線である。
【0063】
曲線210、212、214、216は、浮動コンバータ30Bの蓄電キャパシタ側の端子における電圧曲線である。
【0064】
曲線200と210は、負荷コンバータと浮動コンバータの端子における近似誤差(例えば測定誤差、計算の間違い、分解度に起因する誤差)なしの電圧を示すために電気法則に従ってシミュレーションした電圧を表わす。
【0065】
曲線202と212は、それぞれ、負荷コンバータ30Aと浮動コンバータ30Bの端子において決定手段44によって第2の高分解度で決定された電圧を示している。図3図7の実施例では、第2の高分解度は32ビットである。
【0066】
曲線204と214は、負荷コンバータと浮動コンバータの端子における電圧を第2の高分解度でシミュレーションした値を示している。言い換えるならば、曲線204と214は、曲線202と212に対応するシミュレーション曲線である。曲線202と204の間のずれ、曲線212と214の間のずれは、それぞれ、決定装置23がコンバータ20に関係する損失を考慮していないことに関係する。
【0067】
最後に、曲線206と216は、それぞれ、負荷コンバータ30Aと浮動コンバータ30Bの端子において測定手段43によって低分解度で測定された電圧を示している。図3図7の実施例では、低分解度は11ビットである。
【0068】
曲線202、204、206、212、214、216は、それぞれ、水平部と鉛直部を含む階段状の形を有する。水平部はサンプリング期間Teに対応し、鉛直部は分解度に依存する。
【0069】
図3図7に示した実施例では、サンプリング期間Teは、曲線202、204、206、212、214、216すべてで1ミリ秒である。そのためこれらの曲線のどの水平部も同じ長さである。曲線202と204、曲線212と214は、それぞれ第2の高分解度を示していて短い鉛直部を持つのに対し、曲線206と216は、低分解度を示していて長い鉛直部を持つこともわかる。
【0070】
したがって、本発明の方法と装置によってコンバータの蓄電キャパシタ側の端子における電圧の値を高分解度で決定できるが、高分解度の測定装置を用いたこの電圧の測定は不要であることがわかる。
【0071】
あるいはこの決定法は、コンバータの蓄電キャパシタ側の端子における電圧U1dc、U2dcの複数の値を第1の高分解度で測定する操作と、負荷に供給される電流の強度Icの値を低分解度で測定する操作を含んでいる。この決定法は、次に、コンバータの蓄電キャパシタ側の端子において第1の高分解度で測定された電圧U1dc、U2dcの複数の値と、負荷に供給される電流の強度Icの低分解度での値から、負荷に供給される電流の強度Icの値を第2の高分解度で決定する操作を含んでいる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7