特許第5764202号(P5764202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5764202-熱交換管を利用する装置及び方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764202
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】熱交換管を利用する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 1/06 20060101AFI20150723BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   F28D1/06 A
   F28F21/08 F
   F28F21/08 A
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-504910(P2013-504910)
(86)(22)【出願日】2011年3月23日
(65)【公表番号】特表2013-540249(P2013-540249A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】US2011029626
(87)【国際公開番号】WO2011133283
(87)【国際公開日】20111027
【審査請求日】2012年10月10日
(31)【優先権主張番号】12/762,910
(32)【優先日】2010年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】スパイサー ディヴィッド ビー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ ジェフリー ピー
【審査官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02362107(US,A)
【文献】 実開昭61−016352(JP,U)
【文献】 実開昭53−140739(JP,U)
【文献】 米国特許第02937923(US,A)
【文献】 米国特許第03600141(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/06
C10G 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換装置であって、
a)内部キャビティを形成する火室本体を有し、前記火室本体は、前記火室本体の少なくとも一部分を構成する第1の表面及び第2の表面を有し、前記第1の表面は、前記内部キャビティ及び前記第2の表面に対して外部に位置決めされ、前記第2の表面は、前記内部キャビティと前記第1の表面との間に位置決めされ、
b)流体を前記火室本体に運ぶ第1の導管と、
c)前記第1の導管と流体連通状態にある第2の導管であって、前記火室本体の前記内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めされた第2の導管と、
d)前記第1の導管と前記第2の導管との間に設けられた接合部と、を備え、
(i)該接合部が、前記内部キャビティ内の温度に基づいて第1の場所と第2場所との間で動き、
(ii)前記第1の場所、前記第1の表面と前記第2の表面との間の中間にあり、前記第2の場所は前記火室本体の前記内部キャビティ内である
ことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記第1の導管は、オーステナイト系ステンレス鋼から成り、
前記第2の導管は、コークスの生成を触媒することはない金属又はセラミック材料から成り、
前記接合部は、前記第1の表面と前記第2の表面との中間に位置決めされ、前記第2の導管は、少なくとも1100℃の管用金属温度状態にある、
請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第1の表面は、第1の壁であり、前記第2の表面は、第2の壁であり、前記熱交換装置は、前記第1の壁と前記第2の壁の中間に位置した耐火材を更に有する、
請求項1記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記第2の導管は、アルミナフォーマ、セラミック及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから成る材料で作られている、
請求項1記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記接合部は、前記第1の導管と前記第2の導管との間の溶接部を含む、
請求項1記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記接合部は、前記第2の導管が20℃の管用金属温度状態にあるとき、前記火室本体の前記内部キャビティ内に位置する、
請求項1記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記第2の導管は、前記第2の導管の内面に被着された酸化物層を有し、前記酸化物層は、5重量%未満のニッケル、鉄又はこれらの混合物を含む、
請求項1記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記第2の導管の金属材料は、前記第2の導管の内面に被着された酸化物層を含み、前記酸化物層は、1重量%未満のニッケルを含み、前記酸化物層は、2重量%未満の鉄を含む、
請求項1記載の熱交換装置。
【請求項9】
前記第2の導管の前記内面は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム及び酸化セシウムの少なくとも1つから成る、
請求項8記載の熱交換装置。
【請求項10】
前記第2の導管は、少なくとも700℃の管用金属温度状態にあり、前記接合部は、前記第1の表面と前記第2の表面との中間に位置している、
請求項1記載の熱交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、例えば装置本体内に設けられた管状構造体を通して運ばれる流体との(流体への又は流体からの)直接燃焼式熱交換の際に有用な熱交換装置であって、本体が別の熱交換媒体、熱源又はヒートシンクを有する熱交換装置に関する。例示の一用途では、本技術は、管系内に加熱されるべき流体を運び込む装置であって、このような管が、流体を1つの温度系、例えば装置の外部から装置の比較的異なる(例えば、高い)温度部分、例えば火室領域中に運び込んで流体を加熱するようになった装置に関する。別の例示の実施形態では、本技術は、炭化水素分解炉に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2010年4月19日に出願された米国特許出願第12/762,910号の優先権主張出願であり、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
熱交換装置では、管は、互いに流体連通状態にあって、運ばれた流体を加熱するか冷却するかのいずれかを行う目的で装置を通して流体を運ぶために用いられる。或る特定の用途では、装置の比較的極端な熱的領域内に位置決めされた1本又は2本以上の管を、装置内か装置の外部かのいずれかに位置する比較的極端ではない熱的領域内の1本又は2本以上の管に接合し、その結果、熱膨張及び/又は熱収縮が比較的過酷な応力を管相互間の接合部に移し又は及ぼす場合がある。例えば、炭化水素水蒸気分解炉では、管は供給物を火室の外部から火室中に、そしてこれを通して送り、次に火室から出して急冷システムに送るよう配置されている。このプロセスに関与する温度差及び潜在的に管内の供給物の内圧に起因して、管は、熱膨張を生じて熱応力を受ける。したがって、管は、可能な場合にはどこでも熱応力を最小限に抑えるよう配置されている。管を互いに連結する接合部は、応力に特に弱い場合がある。したがって、所望の性能特性を維持することが課題となっている場合がある。接合部健全性、強度に関する特別な予防措置及び/又は偶発的な破断又は漏れに対する保護が必要な場合がある。このような管状連結部又は接合部は、特別な連結装置、例えば特別なユニオンフィッティングを更に必要とする場合があり又は万全を期すための連結機構体、例えば、ねじや溶接部を含む場合がある。漏れが特に有害なことがあり、例えば、火災又は毒物放出の恐れを生じさせる恐れがある場合、接合部を装置ケーシングの境界部内に位置決めして潜在的な漏れを高温ゾーン(例えば、火室又は輻射加熱区分)内で消費し、酸化させ又は熱分解することができるようにすることが望ましい場合がある。
【0004】
例示の一熱交換装置は、炭化水素水蒸気分解炉である。水蒸気分解式熱分解法は、エチレン及びプロピレンの生成に用いられる主なプロセスである。水蒸気分解は、代表的には、直接燃焼式管状反応炉で行われる。揮発性炭化水素供給物、例えばエタン、ナフサ、軽油及び原油フラクションを水蒸気の存在下で迅速に加熱してエタン、プロピレン及び他の生成物種を生じさせる。水蒸気分解法では、代表的には、供給流体を低温領域(炉の外側)から高温領域(炉の内側)中、そしてこれを通して運び、次に高温領域から運び出して別の低温領域(炉の外側)に運び込む。
【0005】
このプロセスにおけるプロセス変数の1つは、反応器滞留時間である。例えば、炭化水素供給物の大部分は、輻射コイル(例えば、一本、複数本管又は管類)内の反応時間ができるだけ短く保たれる場合、エチレン及びプロピレンに変換される。滞留時間の工業規格尺度は、輻射火室内における管及び出口管を通って急冷ユニットに至るのに必要な時間である。滞留時間を短縮するよく見受けられる一手法は、高い熱流束を許容することができる高強度鋼を用い、減少したコイル長さ及び減少した表面積の使用を可能にすることである。例示の材料としては、鍛錬又は鋳造高合金オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。もう1つのありふれた手法は、ますます長さの短い設計の炉コイルを利用することである。輻射管熱流束及び/又は温度限度を超えるのを回避するために、コイル長さを短くした場合、より多くの本数の小径コイルが並列に用いられる。というのは、小径コイルは、大径管よりも表面積と体積の比が大きいからである。
【0006】
冶金学に関連した制約は、炉内滞留時間の更にそれ以上の短縮にとって妨げとなる。輻射コイル及びエチレン炉の非燃焼断熱ゾーンに通常用いられるオーステナイト系鋼は、最高1100〜1150℃までの適度な高温強度を有し、周知の事実を用いて溶接可能である。オーステナイト系鋼には、管及び取り付け具(継手)の内面が炭素堆積物(例えば、コークス)を触媒するという欠点がある。このコークス層が成長すると、このコークス層は、プロセスガスを断熱し、その結果、管壁温度が上昇し、それにより反応が進むのに十分な熱が提供される。最終的に、管壁温度限度に達し、コークス除去のために炉の使用を停止する。所与の材料が最高1100℃までの温度で使用可能であるが、炉の設計は、温度上昇を見込んで約1020℃の「クリーンコイル(clean-coil)」管壁温度に制限されている。この制限は、コイル内における滞留時間をどれほど短く設計することができるかという観点と所与の幾何学的形状のコイル内でどれほど多くの供給物を処理できるかという観点の両方を制約する。
【0007】
コークス生成には他の原因が存在するが、管表面触媒コークス化は、一般に、特に軽量ガス供給物、例えばエタンにとってコークス生成の主因として認められている。表面触媒コークス化速度は、表面温度の上昇につれて増大する。オーステナイト系ステンレス鋼輻射管材料の温度制限と管表面のところで起こる触媒反応に起因して少なくとも部分的に生じるコークスは、効果的に組み合わさって設計者が滞留時間を約0.10秒未満に短縮するのを阻止する。これによっても炉から達成できる最大エチレン収率に対して制限が課される。
【0008】
コークス化現象をなくし又は実質的に軽減することができる場合、炉は、高い「稼働開始(start-of-run)」又は「クリーンウォール(clean wall)」時管用金属温度(tube metal temperature)向きに設計されるのが良く、短い反応時間及び高い生成物収率の実現を可能にし、又、所与の輻射コイル設計により高い供給量を処理することができる。このような改良は、内面がコークスを触媒しない材料で製造された輻射管を用いることによって実現できる。更に、現行のオーステナイト系ステンレス鋼よりも高い温度で働く輻射管材料を用いる場合、コイル長さ及び滞留時間を一層短縮することができ、これによりエチレン収率の更にそれ以上の増大が得られる。
【0009】
コークスの生成量を減少させるため、表面触媒コークスの生成に抵抗するセラミック管を利用することができる。しかしながら、酸化クロム層ではなくアルミナ層を形成する幾つかの金属は、延性が極めて低く且つ脆弱であり、亀裂及び漏れの影響を受けやすい。さらに、これら材料は、極めて迅速な冷却を許容しようとすると必ず亀裂又は粉砕を起こす傾向がある。したがって、これら材料の使用は、漏れが耐火物内張りケーシングプレート内に封じ込められて酸化される炉の輻射火室内でのみ許容可能である。このような使用は、炉の輻射区分のケーシングプレートの外部では許容できない。輻射区分(輻射入口か輻射出口かのいずれか)の外部で漏れがあったとすれば、これらの場所では炭化水素材料がその着火温度よりも高いので、その結果すぐに火災が生じる。したがって、輻射火室の外部に配置された輻射入口及び輻射出口は、漏れ及び火災の恐れを最小限に抑えるためにより延性の高い材料、例えば既存の高合金オーステナイト系ステンレス鋼で作られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
低コークス触媒輻射コイルをオーステナイトステンレス鋼製の入口及び出口に接合することは、大きな課題である。アルミナフォーマをオーステナイト系ステンレス鋼に溶接することは、可能ではあるが、その結果として、オーステナイト系材料の強度よりも著しく低下した高温応力破断強さの溶接接合部が生じる場合が多い。このような接合部は、熱分解炉の輻射区分内で生じる高温を許容するのに十分な強度を備えていない場合がある。この理由で、このような接合部は、ガス密を得るための漏れ止め溶接部を備えた機械的強度を得るための複合ねじ山付き接合部を用いる場合がある。セラミックをオーステナイト系ステンレス鋼に接合する場合にも、熱膨張係数の著しい差に起因して大きな技術上の課題が生じる。この場合も又、これにより輻射区分の高温にとって好適ではない複合機械的接合部又は低強度ろう付け技術が使用される。
【0011】
一態様では、熱交換装置の高熱ゾーンケーシング内に敏感な管状継手連結部を維持すると共にこのような連結継手を損なう場合のある動作条件で遭遇する場合のある高い温度又は極めて高い温度から連結部を保護するのを容易にする熱交換装置が要望されている。
【0012】
また、コークス生成を確実に触媒することがないようにする材料で作られると共に輻射火室の外部のオーステナイト系ステンレス鋼入口及び/又は出口区分に安全に接合される輻射管を有する炭化水素水蒸気分解炉が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本技術の実施形態の1つ又は2つ以上は、例えば管状構造体を通して運ばれる流体との(流体への又は流体からの)直接燃焼式熱交換に有用な場合のある熱交換装置又は他の比較的高温用途に関する。例示の一用途では、本技術は、管系内に加熱されるべき流体を運び込む装置であって、このような管が、流体を1つの温度系、例えば装置の外部から装置の比較的異なる(例えば、高い)温度部分、例えば火室領域中に運び込んで流体を加熱するようになった装置に関する。別の例示の実施形態では、本技術は、炭化水素分解炉に関する。別の例示の用途では、本技術は、重要な管状接合部を高温領域の熱と漏れが望ましくない危険性をもたらす場合があり又は連結部の存在を許容しない環境の両方にさらすことなく、管系の一部分を接合する方法に関する。
【0014】
一例では、本技術は、コークス生成を触媒する傾向の乏しい輻射管をオーステナイト系ステンレス鋼コンポーネントに接合する方法及び機器に関する。他の非限定的な例では、本技術は、このような輻射区分管を他の関連管に連結する方法及び機器を含む。
【0015】
別の観点では、本技術は、水蒸気分解機器及びこのような水蒸気分解機器を調製する方法に関し、このような機器としては、水蒸気分解炉、水蒸気分解輻射区分装置、輻射クラッキングコイル、輻射コイル連結装置及び/又は関連機器が挙げられるが、これらには限定されず、このような方法としては、これら機器を調製すると共に/或いは使用する方法が挙げられるが、これには限定されない。他の観点では、本技術は、コークス生成を触媒する傾向の乏しい輻射コイルコンポーネントをオーステナイト系ステンレス鋼コンポーネントに接合する機器及び方法に関する。
【0016】
さらに他の観点では、本技術は、例えば輻射コイルが高強度鋼管及び/又は管コンポーネントに接合されるコークス生成を触媒しない内面を有する材料で作られたオレフィンの生成に有用な場合のある水蒸気分解炉を含む。耐コークス性管材料は、種々のセラミック及び/又は金属を含む。例示の金属としては、鉄酸化物、ニッケル酸化物又は内面上に鉄又はニッケル酸化物を含む混合酸化物を生じさせない金属が挙げられるが、これらには限定されない。予想されるように、このような材料は、好ましくは、水蒸気分解条件下においてコイル内面上に安定したAl23か安定したSiO2層かのいずれかを形成することができる。
【0017】
他の実施形態では、本技術は、耐コークス性(例えば、Al23又はSiO2‐形成)輻射コイル材料を接合する連結部の位置決めを含み、オーステナイト系ステンレス鋼入口又は出口区分は、輻射火室ケーシングの境界部内に配置されるが、コイルが動作温度にあるとき、露出状態の輻射火室の外部に配置される。
【0018】
さらに別の観点では、本技術は、熱交換装置であって、a)内部キャビティを形成する本体を有し、本体は、本体の少なくとも一部分を構成する第1の表面及び第2の表面を有し、第1の表面は、内部キャビティ及び第2の表面に対して外部に位置決めされ、第2の表面は、内部キャビティと第1の表面との間に位置決めされ、b)流体を本体に運ぶ第1の導管を有し、c)第1の導管と流体連通状態にある第2の導管を有し、第2の導管は、本体の内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めされ、d)第1の導管と第2の導管との間に設けられた接合部を有し、接合部は、内部キャビティ内の温度に基づいて第1の場所と第2場所との間で動き、第1の場所及び第2場所の少なくとも一方は、第1の表面と第2の表面との間の中間に位置することを特徴とする熱交換装置を含むのが良い。本技術の他の観点は、第1の導管は、オーステナイト系ステンレス鋼から成り、第2の導管は、コークスの生成を触媒することはない金属又はセラミック材料から成り、接合部は、第1の表面と第2の表面との中間に位置決めされ、第2の導管は、少なくとも700℃若しくは少なくとも900℃又は少なくとも1100℃の管用金属温度状態にある。他の幾つかの実施形態では、第1の表面は、第1の壁であるのが良く、第2の表面は、第2の壁であるのが良い。さらに、第1の壁及び第2の壁は、同種材料で作られても良く、或いは、各壁は、異種材料で作られても良い。
【0019】
さらに別の観点では、本技術は、炭化水素分解ユニットであって、a)炉ケーシング及び火室壁により形成された内部キャビティを有する炉を有し、炉ケーシングは、内部キャビティに対して外部に位置し、火室壁は、炉ケーシングと内部キャビティとの間に位置決めされ、b)オーステナイト系ステンレス鋼から成る第1の導管を有し、c)内面を備えた第2の導管を有し、第2の導管は、内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めされ、d)第1の導管と第2の導管との間に設けられた接合部を有し、接合部は、内部キャビティ内の温度に基づいて第1の場所と第2の場所との間で動き、第1の場所及び第2の場所の少なくとも一方は、炉ケーシングと火室壁との中間に位置することを特徴とする炭化水素分解ユニットを含むのが良い。幾つかの実施形態では、接合部は、第2の導管が少なくとも700℃の管用金属温度状態にあるとき、火室壁と炉ケーシングとの中間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本技術に従って「U字形」コイルを採用した炉の単純化された例示の実施形態を示す図である。
図2】本技術に従ってワン(シングル)パスコイルを採用した炉の単純化された例示の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
熱交換装置では、この装置の最も高温の領域内に配置された1本又は2本以上の流体運搬導管をこの装置の比較的低温の領域内に配置された1本又は2本以上の管に接合することが望ましい場合がある。両方の管は、運ばれる流体を加熱するか冷却するかのいずれかの目的で装置を通して流体を運ぶために用いられる。管を互いに連結する接合部は、応力に特に弱い場合がある。したがって、所望の性能特性を維持することが課題となっている場合がある。接合部健全性、強度に関する特別な予防措置及び/又は偶発的な破断又は漏れに対する保護が必要な場合がある。このような管状連結部又は接合部は、特別な連結装置、例えば特別なユニオンフィッティングを更に必要とする場合があり又は万全を期すための連結機構体、例えばねじや溶接部を含む場合がある。漏れが特に有害なことがあり、例えば、火災又は毒物放出の恐れを生じさせる恐れがある多くの場合、接合部を装置ケーシングの境界部内に位置決めして潜在的な漏れを高温ゾーン(例えば、火室又は輻射加熱区分)内で消費し、酸化させ又は熱分解することができるようにすることが望ましい場合がある。熱膨張に起因して、周囲条件時と動作条件時の両方における接合部の位置が考慮される。
【0022】
本技術の実施形態としての装置及び方法は、種々の熱交換装置に特に利用可能であり、このような熱交換装置としては、熱交換器、炉、熱分解炉、触媒反応器、ボイラ、直接燃焼式加熱器及び他の耐火用途が挙げられるが、これらには限定されない。このような多くの用途では、管内の流体は、熱交換装置によって加熱される。装置及び方法は又、冷却プロセスに関して利用でき、このような冷却プロセスとしては、例えば、管内の流体を冷却する極低温装置又は他の熱交換器が挙げられるが、これらには限定されず、これらについては以下に更に説明する。このような用途では、1つ又は2つ以上の管状連結部を装置ケーシング内に封じ込める一方で、依然として装置を低温又は比較的低温の装置環境温度への直接暴露から保護することが依然として望ましい場合がある。本技術は、管状熱交換用途の加熱形式と冷却形式の両方を含み、これらに利用できる。
【0023】
例示の一熱交換装置は、炭化水素水蒸気分解炉である。水蒸気分解式熱分解法は、エチレン及びプロピレンの生成に用いられる主なプロセスである。水蒸気分解は、代表的には、直接燃焼式管状反応炉で行われる。揮発性炭化水素供給物、例えばエタン、ナフサ、軽油及び原油フラクションを水蒸気の存在下で迅速に加熱してエタン、プロピレン及び他の生成物種を生じさせる。このプロセスにおけるプロセス変数の1つは、反応器滞留時間である。炭化水素供給物の大部分は、輻射コイル内の反応時間が可能な限り短い場合、エチレン及びプロピレンに変換される。滞留時間を短縮する一手法は、高い熱流束を許容することができる高強度鋼を用い、減少したコイル長さ及び減少した表面積の使用を可能にすることである。例示の材料としては、鍛錬又は鋳造高合金オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。
【0024】
もう1つのありふれた手法は、長さの短い設計の炉コイル(管)を利用することである。輻射管熱流束及び/又は温度限度を超えるのを回避するために、コイル長さを短くすると、より多くの本数の小径コイルが並列に用いられる(小径コイルは、大径管よりも表面積と体積の比が大きい)。当該技術分野における熱分解炉輻射コイルは、通常、長さが50〜70フィート(15.24〜21.34m)であり、その内径は、1.75〜2.25インチ(4.45〜5.72cm)という短い長さであり、それにより約0.20秒の滞留時間がもたらされる。この種のコイルは、代表的には、輻射火室を通る2回のパスを可能にする。このようなコイルは、「U字形」に配列されるのが普通であるが、このことが必要不可欠であるというわけではなく、このようなU字形については本技術の実施形態に関して図1において更に説明する。商業的使用における選択性の最も高いコイルは、長さが約35〜45フィート(10.67〜13.72m)の輻射コイルを採用し、その内径は、1.25〜1.75インチ(3.18〜4.45cm)の範囲内にある。このような設計は、0.10〜0.15秒という短い滞留時間を達成した。このようなコイルは、「ワンパス」(「シングルパス」ともいう)コイルと通称されている。というのは、これらコイルは、本技術の実施形態に関して図2を参照して更に説明する熱分解炉の輻射加熱/反応区分の1回のワンパスを可能にするからである。滞留時間を短縮するもう1つの良く見受けられる手法は、管の内部の伝熱面を広げたコイルを用いることである。管長さの1フィート当たりの有効伝熱表面積を増大させることによって、輻射管材料の温度制約内に収まった状態で同一の炉伝熱デューティを達成することができる。内部伝熱管の拡張と「ワンパス」輻射コイル設計を組み合わせることによって、0.08〜0.11秒という短い滞留時間の達成が可能である。
【0025】
冶金学に関連した制約は、炉内滞留時間の更にそれ以上の短縮にとって妨げとなる。輻射コイル及びエチレン炉の非燃焼断熱ゾーンに通常用いられるオーステナイト系鋼は、最高1100〜1150℃までの適度な高温強度を有し、周知の事実を用いて溶接可能である。オーステナイト系鋼には、管及び取り付け具(継手)の内面が炭素堆積物(例えば、コークス)を触媒するという欠点がある。このコークス層が成長すると、このコークス層は、プロセスガスを断熱し、その結果、管壁温度が上昇し、それにより反応が進むのに十分な熱が提供される。最終的に、管壁温度限度に達し、コークス除去のために炉の使用を停止する。所与の材料が最高1100℃までの温度で使用可能であるが、炉の設計は、温度上昇を見込んで約1020℃の「クリーンコイル」管壁温度に制限されている。この制限は、コイル内における滞留時間をどれほど短く設計することができるかという観点と所与の幾何学的形状のコイル内でどれほど多くの供給物を処理できるかという観点の両方を制約する。「コイル」、「管類」、「導管」及び「管」という用語は、本明細書では区別なく用いられる場合がある。
【0026】
コークス生成には他の原因が存在するが、管表面触媒コークス化は、一般に、特に軽量ガス供給物、例えばエタンにとってコークス生成の主因として認められている。表面触媒コークス化速度は、表面温度の上昇につれて増大する。オーステナイト系ステンレス鋼輻射管材料の温度制限と管表面のところで起こる触媒反応に起因して少なくとも部分的に生じるコークスは、効果的に組み合わさって設計者が滞留時間を約0.10秒未満に短縮するのを阻止する。これによっても炉から達成できる最大エチレン収率に対して制限が課される。
【0027】
コークス化現象をなくし又は実質的に軽減することができる場合、炉は、高い「稼働開始」又は「クリーンウォール」時管用金属温度向きに設計されるのが良く、短い反応時間及び高い生成物収率の実現を可能にし、又、所与の輻射コイル設計により高い供給量を処理することができる。このような改良は、内面がコークスを触媒しない材料で製造された輻射管を用いることによって実現できる。更に、現行のオーステナイト系ステンレス鋼よりも高い温度で働く輻射管材料を用いる場合、コイル長さ及び滞留時間を一層短縮することができ、これによりエチレン収率の更にそれ以上の増大が得られる。
【0028】
また、水蒸気分解炉の設計及び動作原理に関する別の特徴は、希釈水蒸気の使用にある。供給物は、希釈水蒸気と混合され、その後、この混合物は、炉の輻射コイル又は反応コイルに入る。処理中の原料に応じて、希釈水蒸気は、輻射供給速度に基づいて0.2〜1.0の重量比で用いられるのが良い。希釈水蒸気は、水蒸気分解の際に少なくとも以下の3つの目的、即ち、1)反応コイル内の炭化水素部分圧を減少させると共に望ましくは軽量オレフィンに対する選択性を増大させる目的、2)炉コイルの表面により触媒されるコークス生成とは別個のコークス化機構である熱分解温度に起因したコークス化速度を減少させる目的、3)輻射コイル内に僅かな酸素部分圧を生じさせ、それによりコイルの構成材料であるオーステナイト系ステンレス鋼材料が管の内側に被着された酸化クロム(Cr23)層を維持し、管材料中への炭素拡散(浸炭)速度を最小限に抑えると共に表面触媒コークス生成速度を最小限に抑える目的を達成する。残念ながら、希釈水蒸気比が高いと、それに伴ってエネルギーコストが増大すると共に機器サイジング及び水取り扱い機器が増加する。希釈水蒸気比を首尾良くどれほど低く設定できるかに関する制限は、一般に、コークス化速度の増大及び管内面Cr23層の維持の困難性の増大という要因と関連している。
【0029】
低触媒コークス化傾向のある材料は、一般に、2つのカテゴリ、即ち、1)アルミナフォーマ及び2)シリカフォーマ及びセラミックの一方に属する。これら材料は、これらがコイル内面上に安定したAl23又はSiO2層を形成することができるので低い表面触媒コークス化傾向を備えている。このような層は、触媒コークス化に比較的不活性であり、しかも耐浸炭性を提要する。さらに、Al23層は、SrO2層よりも低い酸素分圧に対して安定したままであり、低希釈水蒸気比の使用が可能になる。また、セラミック(石英)管が表面触媒コークスの生成に抵抗するものとして実験から知られている。特に、管内における表面触媒コークス化を軽減し又は管酸化を軽減する(これら軽減は、高温現象である)ためにオーステナイト系ステンレス鋼管上にアルミナフォーマ又はシリカフォーマを用いるのが良い。低温/極低温用途では、熱交換器内のステンレス鋼管は、従来のステンレス鋼相互間の溶接により使用することができる。
【0030】
しかしながら、セラミック材料及び幾つかのアルミナフォーマは、延性が極めて低く且つ脆弱であり、亀裂及び漏れの影響を受けやすい。さらに、これら材料は、極めて迅速な冷却を許容しようとすると必ず亀裂又は粉砕を起こす傾向がある。したがって、これら材料の使用は、漏れが耐火物内張りケーシングプレート内に封じ込められて酸化される炉の輻射火室内でしか許容できない。すなわち、炉の輻射区分のケーシングプレートの外部での使用は許容できない。例えば、輻射区分(輻射入口か輻射出口かのいずれか)の外部での漏れの結果として、これらの場所では炭化水素材料がその着火温度よりも高いので、火災が生じる。したがって、輻射火室の外部に配置された輻射入口及び輻射出口は、漏れ及び火災の恐れを最小限に抑えるためにより延性の高い材料、例えば既存の高合金オーステナイト系ステンレス鋼で作られる。
【0031】
低コークス触媒輻射コイルをオーステナイトステンレス鋼製の入口及び出口に接合することは、大きな課題である。アルミナフォーマをオーステナイト系ステンレス鋼に溶接することは、可能ではあるが、その結果として、オーステナイト系材料の強度よりも著しく低下した高温応力破断強さの溶接接合部が生じる場合が多い。このような接合部は、熱分解炉の輻射区分内で生じる高温を許容するのに十分な強度を備えていない場合がある。この理由で、このような接合部は、ガス密を得るための漏れ止め溶接部を備えた機械的強度を得るための複合ねじ山付き接合部を用いる場合がある。「接合部」という用語は、2つの管状コンポーネント(例えば、導管又は管)の流路を互いに直接連結して共通の流路にすることに関するものとして「連結部」という用語と同義に用いられている。但し、このような接合部は、実際には、特定の接合装置、連結部の組み合わせ、2つの接合された管類のところ又はその近くで互いにほぼ関連付けられた多数の連結部を含む場合がある。接合部は、連結装置、ガスケット、スプライス接続、継手、フランジ、溶接材料、ねじ、カップリング、圧着、ブッシュ、カラー、コネクタサブ(connector-sub )、減速装置、断熱装置及び/又は外部導管(例えば、第1の導管と呼ぶ場合のある入口導管又は出口管)から内部導管(例えば、第2の導管と呼ぶ場合のある炉管)への連結及び移行と関連した他のコンポーネントを含む場合がある。外部導管は、内部導管と実質的に同種又は異なる材料から成る場合がある。接合部は、例えば全体として「U字形」炉導管(例えば、水蒸気分解炉内のU字形輻射管)を入口導管及び出口導管に連結する場合に2つ又は3つ以上の別々の接合部を更に含む場合がある。このような場合、入口導管は、出口導管と同種の材料から成っていても良く又はそうでなくても良く、出口導管も又、炉導管とは異なる材料から成っていても良い。セラミックをオーステナイト系ステンレス鋼に接合する場合にも、熱膨張係数の著しい差に起因して大きな技術上の課題が生じる。この場合も又、これにより輻射区分の高温にとって好適ではない複合機械的接合部又は低強度ろう付け技術が使用される。
【0032】
本技術の或る特定の実施形態は、エチレンの生成のための水蒸気分解炉を含むのが良く、このような水蒸気分解炉では、(a)輻射コイルは、所与の材料又はコークスの生成を触媒しない内面を備えた材料で作られ(このような材料は、セラミック又は金属であっても良いが、鉄酸化物、ニッケル酸化物又は内面上に鉄又はニッケル酸化物を含む混合酸化物を生じさせない。予想されるように、このような材料は、水蒸気分解条件下においてコイル内面上に安定したAl23か安定したSiO2層かのいずれかを形成することができる)、(b)輻射コイル材料を形成するAl23又はSiO2とオーステナイト系ステンレス鋼入口及び出口区分との間の接合部は、輻射火室ケーシングの境界部内に配置されるが、コイルの金属温度が稼働温度状態にあるとき、火室の輻射熱暴露領域の外部に位置し、この稼働温度は、最高900℃(1652°F)又は1200℃(2192°F)までの温度を含む場合があり、煙道ガス温度は、これよりも高い。
【0033】
上述の原理を採用した炉は、理論的には、蛇行したコイルを有するのが良いが、本発明の技術的思想は、ワンパス輻射コイル又は「U字形」コイルを採用した炉に特に好適であり、これらについて以下に更に説明する。上述の原理を採用した炉は、従来の円形内部輪郭形状を備えた管を採用しても良く、或いは、炉は、熱伝達を促進するよう延長された内部輪郭形状を有しても良い。さらに、上述の原理を採用した炉は、「フィン付き」又は非円形、内部又は外部輪郭形状を備えた管を採用しても良い。「U字形」コイルの場合、接合部が同種材料から成るにせよ異種材料から成るにせよいずれにせよ、両方の接合部は、火室又は火室ルーフ(弓形)ケーシング末端部(例えば、水蒸気分解分野においては、炉ケーシングと通称されている炉の主要な外壁又は外部構造体は、本明細書においては、第1の壁として参照目的で定義される場合がある)が、内部又は第2の壁(例えば、第2の壁の少なくとも部分を構成する弓形断熱システム、典型的には、このような断熱システムは、厚さが12〜14インチ(30.48〜35.56cm)である)によって火室からの直接的な輻射から遮蔽されるのが良い。
【0034】
輻射コイルは、代表的には、火室から出た後すぐに出口脚部上に支持されると共に/或いは固定される。この支持は、例えば輻射火室のすぐ下流側に配置された急冷熱交換器によって提供されるのが良い。コイルの出口脚部は、入口脚部よりも膨張度が高いので、入口脚部上の異種材料接合部は、コイルが動作条件まで昇温するにつれて下方に動く。接合部存在場所は、この下方運動が行われている場合であっても、コイルが動作状態にあるとき、接合部は依然として、直接的な輻射から保護されるよう設計されているのが良い。
【0035】
ワンパス(上向き流)コイルの場合、輻射コイル出口のところの異種材料接合部は又、「U字形」コイルの場合と同様、弓形断熱材内に配置されるのが良い。しかしながら、輻射コイル入口のところの異種材料接合部は、炉床の一般的な領域内に配置される。輻射出口の近くで支持/固定されたワンパスコイルは、典型的には、長さが30〜40フィート(9.14〜12.19m)であり、周囲温度から動作温度まで昇温すると、8〜10インチ(20.32〜25.4cm)の範囲内で膨張する。したがって、異種材料接合部は、炉が周囲温度状態にあるとき、床断熱材(これ又、典型的には、厚さが12〜14インチ(30.48〜35.56cm)である)の頂部よりも上にほぼ4〜6インチ(10.16〜15.24cm)のところに配置されている。このように、炉が動作温度まで昇温すると、異種材料接合部は、下方に動き、これが床断熱領域に入るときに直接的輻射から保護される。当該技術分野において経験を積んだ設計者は、検討対象の特定の輻射コイルの動作温度及び使用されている特定の管材料の熱膨張率に関する自分の知識により接合部に必要な周囲温度位置を選択することができる。
【0036】
実施例
【0037】
以下の表は、ワンパス炉の性能に対する影響を記載している。
【表1】
【0038】
表の最初の比較列である「ベース1」は、ワンパス輻射管設計の典型的な短い滞留時間エタン分解炉を表している。炉の反応ゾーン内における滞留時間は、約(〜)0.1秒である。輻射コイルは、内部フィン付き設計のものであり、流れ領域は、直径3.937cm(1.55インチ)の円形管と等価である。各場合において、例示の炉(例えば、実施例1.1及び実施例2.1)は、ベース炉(例えば、ベース1及びベース2)と同一の希釈水蒸気比で評価されている。
【0039】
表の最初の例示の列である「実施例1.1」は、本技術がエタン炉設計及び動作原理に与える影響を示している。管表面は、触媒コークス生成に対して不活性であるので、0.635cm(0.25インチ)のコークスがコイル内に存在する状態で動作する能力を備えた設計を行う必要はもはやない。図示の場合、最大0.254cm(0.10インチ)までのコークスについて許容度が依然として提供される。というのは、コークスは、依然として非触媒方式で作られるからである。このコークス収率の減少により、過度の圧力降下を生じさせないでコイル直径を減少させることができる。管表面は、触媒コークス生成に対して不活性なので、設計者は、一般に、稼働終了(end-of-run)時管用金属温度に関心がある。というのは、許容可能な稼働開始時管用金属温度に関する従来の指針(コークス化に関する観点から)は、もはや制御性を備えておらず、輻射コイルを短くすることができると共に反応コイルと急冷熱交換器との間の移行ゾーンを物理的に実施可能な最小距離に減少させることができる。管表面からのコークス化を触媒しない材料を用いることにより、高い金属温度を用いることができる。ただし、これが選択された材料の機械的性能の範囲内にあることを条件とする。正味の結果として、反応ゾーン内の滞留時間を約0.10秒から0.08秒未満に短縮することができ、これに対応して、予想エチレン収率が増大する。
【0040】
表の第2の比較列である「ベース2」は、典型的な短い滞留時間ナフサ(LVN)分解炉を表している。炉の反応ゾーン内の滞留時間は、〜0.1秒である。輻射コイルは、内部フィン付き設計のものであり、流れ領域は、直径が3.94cm(1.55インチ)の円形管と等価である。
【0041】
表の第2の例示の列である「実施例2.1」は、本技術がナフサ炉設計に及ぼす影響を示している。表面触媒コークスは、ナフサ分解炉内で生じる全コークスの僅かなフラクション(エタン分解炉と比較して)を表しているので、0.15インチコークスで動作する性能は、表面触媒コークス化に対して不活性な管材料で設計された炉について保持された。これは、保持されるべき同一管直径及び炉について僅かに高い稼働終了時管用金属温度要件(1150℃(2105°F))を利用している。
【0042】
この場合も又、稼働開始時管用金属温度を増大させることができることにより、コイル長さ及び反応滞留時間を減少させることができる。滞留時間を0.08秒に短縮した状態で、エチレン収率は、32.2重量%から32.8重量%に増大している。変形例として、本技術による水蒸気分解炉は、既存の材料を採用したベースケースのコイルとほぼ同じ分解度及び滞留時間で動作することができるが、著しく減少した希釈水蒸気比で動作することによって相当なエネルギー効率向上分を捕らえることができる。
【0043】
図1は、熱交換装置、即ち、「U字形」輻射コイルを利用した炭化水素水蒸気分解炉の一般化された一例を提供しており、本技術の広義の発明的概念を説明するためにこのような装置の例示を用いている。図1は、輻射加熱及び分解区分102及び対流加熱区分104を備えた炭化水素水蒸気分解炉100を示している。輻射区分入口マニホルド132は、予熱炭化水素供給物を外部入口導管130に供給し、このような外部入口導管を第1の入口導管又は第1の導管と呼ぶ場合がある。外部入口導管130は、供給物を内部導管140経由で輻射区分102に運び、このような内部導管を第2の導管、炉内導管又は輻射導管と呼ぶ場合がある。供給物がいったん熱分解されて分解生成物になると、この分解生成物は、第1の出口導管又は第1の導管と呼ぶ場合のある外部出口導管131を経て入口導管140から出る。次に、分解生成物は、急冷熱交換器134内で冷却され又は急冷され、そして次の処理及び分離(図示せず)のために送られる。入口マニホルド132及び出口入口導管130は、支持体108によって支持され、外部出口導管131は、出口支持体109によって支持されている。急冷熱交換器134は、急冷熱交換器支持体135によって支持されている。
【0044】
接合部又は連結部150が外部入口導管130と内部導管又は輻射コイル140との間に設けられ、別の接合部又は連結部151が外部出口導管131と内部導管140との間に設けられている。接合部150,151は、あたかも炉100が稼働温度にあるかのように位置決めされた状態で示されており、接合部は、熱膨張により第1の壁110と第2の壁120との中間の位置に変位している。第1の壁110は、炉ケーシング又は保護シェルを有し、この炉ケーシング又は保護シェルは、機能のうちでとりわけ、接合部150の漏れを閉じ込めて内部キャビティ又は輻射区分102内に位置したままにし、その結果、漏れ物質を火災又は自由放出の恐れなく消費し又は酸化することができるようにするよう機能する。第2の壁120は、耐火物(又は領域)の内面(例えば、内部キャビティに向いた表面)によって構成されるのが良い。第2の壁120は、内張りであっても良く、或いは、単に火室とケーシング又は第1の壁110との間の領域の少なくとも一部分を満たす耐火物の内面であっても良い。バッファ又は耐火ゾーン160が第1の壁110と第2の壁120との間の領域によって又は第1の壁110の内面から第2の壁120の内面までに形成された領域によって形成されている。
【0045】
本技術の一態様として、導管130,131,140は、内部キャビティ(例えば、熱交換装置の輻射又は極低温内部)が接合部150,151の健全性に悪影響を及ぼす場合のある極端な温度に達すると、接合部150,151を内部キャビティ中の極端な温度又は条件に直接さらされないよう保護するバッファゾーンが第2の壁120によって第1の壁110と第2の壁120との間に形成されるよう設計されると共に位置決めされている。認識されるように、内壁(例えば、第2の壁120)は、単に平坦な又は湾曲した表面である必要はないが、このような形状のものである場合が多く、しかしながら、第2の壁120は、接合部をこのようなゾーン160内に収容し又は封じ込めるようバッファ又は耐火ゾーン160を形成し又は拡張させるよう設計された内面の幾つかのオフセットし又は別々の特徴部を有するのが良い。このような特徴部は、本技術に従って内壁又は第2の壁120の一部として第2の壁に設けられるのが良く、内壁の形状は、任意特定の形状又は設計には限定されず、これとは異なり、装置が稼働温度状態にあるときに接合部を収容するこのような任意のオフセット部、延長部、ポケット等を含む。
【0046】
本技術の単純化された一例として引き続き図1を参照すると、図1は、一態様として、熱交換装置100を示しており、この熱交換装置は、a)内部キャビティ102を備えた本体106を有し、本体106は、本体106の少なくとも一部分を構成する第1の壁110及び第2の壁120を有し、第1の壁は、第2の壁120及び内部キャビティ102に対して外部に位置決めされ、第2の壁120は、内部キャビティ102に対して外部に且つ第1の壁110に対して内部に位置決めされ、b)外部入口コイル130又は外部出口コイル131と呼ぶ場合があり、流体(例えば、外部入口コイル130のための原料及び外部出口コイル131のための原料の分解に由来する流出液)を本体106に出し入れする外部導管又はコイル130,131を有し、c)外部導管130,131と流体連通状態にあり、炉内コイルと呼ぶ場合のある内部導管又はコイル140を有し、内部導管140は、本体106の内部キャビティ102内に少なくとも部分的に位置決めされ、d)外部入口導管130又は外部出口導管131と内部導管140との間に設けられていて、入口接合部150及び出口接合部151と呼ぶ場合のある接合部150,151を有し、接合部150,151は、第1の壁110と第2の壁120との中間に位置決めされている。接合部150,151は、熱交換装置100が稼働しているとき、好ましくは、この装置が通常の又は完全稼働温度にあるとき、第1の壁110と第2の壁120との中間に(一般に第1の壁及び第2の壁を構成する平面又は表面相互間に又はこれらの中に)位置決めされている。換言すると、装置が熱による変位(これは、第1の導管(例えば、外部入口導管130又は外部出口導管131)及び第2の導管(例えば、内部導管140)の稼働条件のための温度及び圧力に基づく本体に対する最大熱的変位である場合がある)を生じると、接合部150又は接合部151は、次に、第1の壁と第2の壁との中間に位置決めされるはずである。熱交換装置の用途、機能、危険性又は使用に応じて、接合部150又は151は、装置が稼働していない場合又は最高通常の稼働温度まで又は最低通常の稼働温度までに至っていない場合、第1の壁と第2の壁との中間に位置決めされても良く又はそうでなくても良い。別の実施形態では、本技術は、第1の導管(例えば、外部入口導管130又は外部出口導管131)がオーステナイト系ステンレス鋼から成り、第2の導管(例えば、内部導管140)がコークスの生成を触媒することがない金属又はセラミックガイドから成り、接合部150,151が、内部導管が少なくとも700℃、少なくとも900℃、少なくとも1000℃、少なくとも1020℃又は少なくとも1100℃の管用金属温度状態にあるとき、第1の壁110と第2の壁120との中間に位置決めされる熱交換装置を含む場合がある。
【0047】
図2は、熱交換装置、即ち、「ワンパス」輻射管又はコイルを利用した炭化水素水蒸気分解炉の一般化された一例を提供しており、本技術の広義の発明的概念を説明するためにこのような装置の例示を用いている。図2は又、図2の左半分が周囲条件で一実施形態を示しており、接合部250が内部キャビティ200内に配置され、図2の右半分が本質的にこの実施形態を稼働温度で示しており、接合部250が第1の壁210と第2の壁220との中間の位置に変位しているという点で図1とは異なっている。周囲条件は、約−10℃〜40℃又は好ましくは約20℃の温度を含むのが良く、圧力は、大気圧以上であるのが良い。図2は、輻射加熱及び分解区分202及び対流加熱区分204を備えた炭化水素水蒸気分解炉200を示している。輻射区分入口マニホルド232は、予熱炭化水素供給物を外部入口導管230に供給し、このような外部入口導管を第1の入口導管又は第1の導管と呼ぶ場合がある。外部入口導管230は、供給物を内部導管240経由で輻射区分202に運び、このような内部導管を第2の導管、炉内導管又は輻射導管と呼ぶ場合がある。供給物がいったん熱分解されて水蒸気分解生成物になると、この水蒸気分解生成物は、外部出口導管231を経て入口導管240から出る。次に、この分解生成物は、急冷熱交換器234内で冷却され又は急冷され、そして次の処理及び分離(図示せず)のために送られる。内部導管240及び外部出口導管231の重量は、コイル支持体235によって支持されている。しかしながら、入口マニホルド232及び外部入口導管230の重量、入口マニホルド232に連結された釣り合いおもりによって支持されている。この構成は、内部導管240内のマニホルドの重量に起因する引っ張り応力を減少させることができ、その結果、導管材料の過度のクリープ速度を減少させることができる。
【0048】
入口接合部又は連結部250が外部入口導管230と内部導管240との間に設けられ、出口接合部又は連結部251が外部出口導管231と内部導管240との間に設けられている。図2の右半分の接合部250,251は、あたかも炉200が稼働温度にあるかのように位置決めされた状態で示されており、接合部250,251は、熱膨張により第1の壁210と第2の壁220との中間の位置に変位している。第1の壁210は、炉ケーシング又は保護シェルを有し、この炉ケーシング又は保護シェルは、機能のうちでとりわけ、接合部250の漏れを閉じ込めて内部キャビティ又は輻射区分202内に位置したままにし、その結果、漏れ物質を火災又は自由放出の恐れなく消費し又は酸化することができるようにするよう機能する。第2の壁220は、耐火物(又は領域)の内面(例えば、内部キャビティに向いた表面)によって構成されるのが良い。
【0049】
本技術の単純化された一例として引き続き図2を参照すると、図2は、一態様として、熱交換装置200を示しており、この熱交換装置は、a)内部キャビティ202を備えた本体206を有し、本体206は、本体206の少なくとも一部分を構成する第1の壁210及び第2の壁220を有し、第1の壁は、第2の壁220及び内部キャビティ202に対して外部に位置決めされ、第2の壁220は、内部キャビティ202に対して外部に且つ第1の壁210に対して内部に位置決めされ、b)外部入口コイル230又は外部出口コイル231と呼ぶ場合があり、流体(例えば、外部入口コイル230のための原料及び外部出口コイル231のための原料の分解に由来する流出液)を本体206に出し入れする外部導管又はコイルを有し、c)外部入口導管230及び外部出口導管231と流体連通状態にある内部導管又はコイル240を有し、内部導管240は、本体206の内部キャビティ202内に少なくとも部分的に位置決めされ、d)外部入口導管230又は外部出口導管231と内部導管240との間に設けられていて、入口接合部250及び出口接合部251と呼ぶ場合のある接合部250,251を有し、接合部250,251は、第1の壁210と第2の壁220との中間に位置決めされている。接合部250,251は、熱交換装置200が稼働しているとき、好ましくは、この装置が通常の又は完全稼働温度にあるとき、第1の壁210と第2の壁220との中間に(一般に第1の壁及び第2の壁を構成する平面又は表面相互間に又はこれらの中に)位置決めされている。換言すると、装置が熱による変位(これは、第1の導管(例えば、外部入口導管230又は外部出口導管231)及び第2の導管(例えば、内部導管240)の稼働条件のための温度及び圧力に基づく本体に対する最大熱的変位である場合がある)を生じると、接合部250又は接合部251は、次に、第1の壁と第2の壁との中間に位置決めされるはずである。熱交換装置の用途、機能、危険性又は使用に応じて、接合部250又は251は、装置が稼働していない場合又は最高通常の稼働温度まで又は最低通常の稼働温度までに至っていない場合、第1の壁と第2の壁との中間に位置決めされても良く又はそうでなくても良い。別の実施形態では、本技術は、外部導管230,231がオーステナイト系ステンレス鋼から成り、内部導管240がコークスの生成を触媒することがない金属又はセラミックガイドから成り、接合部250,251が、内部導管240が少なくとも700℃、少なくとも900℃、少なくとも1000℃、少なくとも1020℃又は少なくとも1100℃の管用金属温度状態にあるとき、第1の壁210と第2の壁220との中間に位置決めされる熱交換装置を含む場合がある。
【0050】
熱交換装置は、流体運搬(例えば、管状)導管を本体(これは、ハウジング、ケース、シェル、容器又は内部キャビティを部分的に又は全体的に包囲したケーシング(例えば、火室、流体チャンバ、対流セル、炉ユニット、熱分解ユニット、反応器ユニット等)であることを意味する)内に提供する熱交換ユニットであれば実質的にどのようなものであっても良い。内部キャビティは、熱源、例えば炉、バーナ、加熱流体又は媒体又は火室を提供することができる。しかしながら、他の実施形態では、内部キャビティは、例えば極低温プロセス又は冷却プロセスのためのヒートシンク源を提供しても良く、それにより、管状コンポーネント内の流体が冷却される。
【0051】
管状コンポーネントは、流体、例えばガス、蒸気、ミスト、液体又は他の流体を内部キャビティ中に又はこれを通して運び、内部キャビティ内において、熱交換プロセスが運び込まれた流体と内部キャビティ内に存在する高温(又は低温)源との間で起こり、このような流体は、代表的には、次に、内部キャビティから出て戻され、その後処理又は回収が行われる。管状流体とキャビティ内流体は、内部キャビティ内で混ざり合うことがなく、これとは異なり、これらのそれぞれの導管又は容器内にとどまる。例えば、水蒸気分解炉では、炭化水素供給物は、対流予熱区分からクロスオーバー又は輻射入口管類を通って炉又は分解炉の輻射区分内に流入する。炭化水素供給物は、これが輻射分解区分内で加熱されているとき及びこれを通して運ばれているとき、管類内にとどまり、しかる後、出口又は外部出口導管を通って輻射区分から出る。外部出口導管材料は、内部導管材料と同種の外部入口導管材料と同種であっても良く或いは異なる材料から成っていても良い。本技術によれば、内部又は輻射導管を外部入口導管に連結する接合部は、炉及び管類が稼働温度状態にある間、炉ケーシング(第1の壁)と炉の耐火内張り内面(第2の壁)との間に位置するのが良い。稼働温度は、例えば、少なくとも700℃、少なくとも800℃、少なくとも900℃、少なくとも1000℃、少なくとも1020℃、少なくとも1050℃、少なくとも1100℃、少なくとも1150℃又は少なくとも1200℃の内部又は輻射導管の管用金属温度であるのが良い。
【0052】
上述の実施形態は、熱交換器の本体のための第1の壁及び第2の壁に関するが、他の実施形態は、壁の一部として単一の本体又は互いに異なる2つ又は3つ以上の層の組み合わせであっても良い。したがって、本体は、第1の表面及び第2の表面を有し、これら表面は、上述の実施形態において提供されているように、第1の壁及び第2の壁を含むのが良いことが理解されるべきである。それにもかかわらず、導管相互間の接合部(例えば、導管の1本は、内部キャビティ内の本体及びコイル中への流体流路及びこれらからの流体流路を提供する)は、上述したように接合部を保護するために稼働温度において本体の第1の表面と第2の表面との中間に位置するのが良い。
【0053】
他の実施形態では、熱交換装置は、第1の壁と第2の壁との中間に設けられた耐火材(この中に提供される領域又はゾーンを含む)を更に有するのが良い。「耐火材」という用語は、広義には本明細書において、内部キャビティの極端な温度から実質的にバッファされ又は保護される材料及び/又は空気を含むゾーンを意味するものと定義され、このような耐火材は、サーマルバリヤ(又は断熱層)、ヒートシンク、熱反射体又は断熱機能を提供する実質的に任意の材料及び/又は領域を有し、このような材料及び/又は領域としては、例えば断熱材、耐火等級断熱材料、耐火レンガ、タイル、パネル、空気層、繊維材料、流体チャンバ及び/又は外壁又はシェルのための他の内部内張りのような材料が挙げられるが、これらには限定されない。本明細書で用いられる「耐火材」という用語は又、用いられる実際の材料だけでなく、内壁(第2の壁)と外壁(第1の壁)との間に位置すると共にこれらを含むゾーン又は領域全体を含む。それにより、耐火材ゾーンは、装置又は方法が特定の温度、例えば少なくとも700℃、少なくとも900℃、少なくとも1000℃、少なくとも1020℃、少なくとも1100℃又は少なくとも1200℃のような特定の温度(このような値のスペクトルの範囲内の全ての温度を含む)にあるとき、導管相互間の接合又は連結部を内部キャビティ内の強烈な高温又は低温から隔離し、軽減し、収容し、バッファすると共に/或いは断熱することができる。これら温度は、一般に管用金属温度と呼ばれているコイル、導管又は管温度の尺度である。耐火物又は他の材料が第1の壁(ケーシング)とライナ(第2の壁)が内部キャビティを形成する表面との間に位置決めされているときに管状コンポーネントの外面及び接合部又は連結部のためにもこのような耐火物又は他の材料を提供することができる。第2の壁の一機能は、管状接合部を内部キャビティ内の強烈な高熱又は低温(例えば、輻射火炎熱等)への暴露から隔離し、断熱し又は部分的に遮蔽することにある。また、管状接合部を内部キャビティ内の強烈な高熱又は低温(例えば、輻射火炎熱等)への暴露から第2の壁に対して別個に、もっぱら又は補完的に隔離し、断熱し又は部分的に遮蔽することも又、耐火内張りの一機能であるといえる。
【0054】
幾つかの実施形態では、内部導管は、アルミナフォーマ、セラミック及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから成る。さらに別の実施形態では、接合部は、外部導管と内部導管との間の遊着(例えば、熱的手段により、このような熱的手段としては、ろう付けすること、溶接すること、TIG溶接すること、MIG溶接すること等が挙げられるが、これらには限定されない)。他の接合機構体、例えばクランプ、ねじ山及び/又はフランジも又単独で又はこのような遊着と組み合わせて使用することができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、接合部は、内部導管が20℃の管用金属温度(周囲温度又は稼働温度とは相対的に異なる温度)状態にあるとき、第1の壁と第2の壁との中間(間)には位置しない。接合部を稼働温度状態にあるときに第1の壁と第2の壁との中間のその位置からの再位置決めは、主として管の熱収縮又は熱膨張に起因する。
【0056】
他の実施形態では、内部導管は、内部導管の内面に被着された酸化物層を有し、酸化物層は、内部導管の内面上の酸化物層の全重量に基づいて1重量%以下のニッケル、鉄又はこれらの混合物を含む。酸化物層は、1重量%を超えるこれら要素の幾つかを含むのが良い。好ましい機能上の観点は、水蒸気分解の稼働条件下で形成される表面酸化物層には鉄酸化物及びニッケル酸化物が含まれていないということにある。「1重量%以下」又は「1重量%未満」という表現は、ニッケル、鉄又はこれらの混合物の最大存在量が1.0重量%であるが、多くの所望の実施形態は、1重量%未満、例えば実質的にゼロのニッケル、鉄又はこれらの混合物を含み又は0.1重量%未満、0.01重量%未満又は0.001重量%未満のニッケル、鉄又はこれらの混合物を含む場合がある。さらに別の実施形態は、内部導管金属材料が内部導管の内面上の酸化物層を構成し、酸化物層が1重量%未満のニッケル、鉄又はこれらの混合物を含む熱交換装置を含む場合がある。
【0057】
他の実施形態では、内部導管の内面は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム及び酸化セシウムの少なくとも1つから成る。
【0058】
熱交換装置の更に別の実施形態では、内部導管が少なくとも1100℃の管用金属温度状態にあるとき、接合部は、第1の壁と第2の壁との中間に位置する。
【0059】
他の観点では、本技術は、炭化水素分解ユニットを含み、この炭化水素分解ユニットは、a)火室壁に対して外部に位置する炉ケーシング及び火室を含む炉を有し、火室壁は、火室の外部に位置し且つ炉ケーシングに対して内部に位置し、b)オーステナイト系ステンレス鋼から成る第1の導管(例えば、外部導管)を有し、c)コークスの生成を触媒することがない内面を備えた第2の導管(例えば、内部導管)を有し、第2の導管は、火室内に少なくとも部分的に位置決めされ、d)第1の導管と第2の導管との間に位置する接合部を有し、接合部は、第2の導管が少なくとも1020℃の管用金属温度状態にあるとき、炉ケーシングと火室壁との中間に位置する。
【0060】
他の実施形態では、分解ユニットは、輻射区分内に設けられた輻射熱源を有する。多くの実施形態では、輻射区分内の管類又は導管は、これが少なくとも700℃、又は多くの場合、少なくとも1000℃、少なくとも1020℃又は少なくとも1100℃の管用金属温度を有する場合、稼働温度状態にある。さらに別の実施形態では、炭化水素原料は、水蒸気と混合され、その後、本体の内部キャビティ(輻射区分等)に入る。他の分解ユニット実施形態は、火室と熱的連絡状態にある対流区分を有するのが良い。さらに別の実施形態では、分解ユニットは、分解のための供給物を含むのが良く、供給物は、炭化水素と水蒸気の混合物を含む。
【0061】
さらに別の実施形態では、分解ユニットは、炉ケーシングと前記火室壁との中間に設けられた耐火材を更に有するのが良い。
【0062】
分解ユニットの幾つかの実施形態では、第2の導管又は内部導管は、0.20秒未満、好ましくは0.15秒未満、より好ましくは0.11秒未満、更により好ましくは0.10秒未満、更により好ましくは0.08秒未満の火室内滞留時間を提供する内径を有する。
【0063】
他の幾つかの実施形態では、第2の導管又は内部導管は、アルミナフォーマ、セラミック及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから成る。
【0064】
幾つかの実施形態は、第1の導管と第2の導管との間の溶接部を含むのが良い。
【0065】
分解ユニットの他の実施形態では、接合部は、第2の導管又は内部導管が20℃の管用金属温度状態にあるとき、炉ケーシングと火室壁との中間には位置しない。分解ユニットの更に別の実施形態では、第2の導管又は内部導管は、第2の導管又は内部導管の内面上に酸化物層を有するのが良く、酸化物層は、5重量%未満のニッケル、鉄又はこれらの混合物、好ましくは2重量%未満のニッケル、鉄又はこれらの混合物、1重量%のニッケル、鉄又はこれらの混合物を含む。さらに、1つ又は2つ以上の実施形態では、酸化物層は、2重量%未満の鉄及び1重量%未満のニッケルを含む。他の実施形態では、第2の導管又は内部導管の内面は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム及び酸化セシウムの少なくとも1つから成る。
【0066】
分解ユニットの種々の他の実施形態では、第2の導管又は内部導管は、接合部が炉ケーシングと内部キャビティ又は火室壁との中間に位置する場合、少なくとも1100℃の管用金属温度状態にある。
【0067】
他の分解ユニット実施形態によれば、第2の導管又は内部導管は、ワンパスコイル、U字形コイル、蛇行形コイル及びマルチプルパスコイルの少なくとも1つから成る。さらに他の実施形態では、第2の導管又は内部導管は、非円形内部輪郭形状、例えば内部フィン付き管輪郭形状を有する。
【0068】
さらに別の観点では、本技術の実施形態は、熱交換ユニットを調製する方法であって、a)内部キャビティを備えた本体を用意するステップを有し、本体は、第1の表面及び第2の表面を更に有し、第2の表面は、本体内に内部キャビティを構成し、第1の表面は、第2の表面及び内部キャビティに対して外部に位置決めされ、第2の表面は、内部キャビティと第1の表面との間に位置決めされ、b)第1の導管又は外部導管を用意するステップを有し、第1の導管の少なくとも一部分は、第1の表面に対して外部に位置し、c)第2の導管又は内部導管を用意し、第2の導管を第1の導管と流体連通関係をなすよう位置決めし、第2の導管を本体の内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めするステップを有し、d)第2の導管が少なくとも700℃の管用金属温度状態にあるとき、第1の壁と第2の壁との中間で第1の導管と第2の導管との間に接合部を位置決めするステップを有することを特徴とする熱交換ユニット調製方法を含むのが良い。
【0069】
この方法の他の実施形態では、熱交換ユニットは、水蒸気分解炉である。さらに他の実施形態では、第1の導管又は外部導管は、オーステナイト系ステンレス鋼から成り、第2の導管又は内部導管は、コークスの生成を触媒することがない金属又はセラミック内面を有する。
【0070】
別の観点では、本技術の実施形態は、水蒸気分解ユニット内で炭化水素を分解する方法であって、a)内部キャビティを備えた水蒸気分解炉本体を用意するステップを有し、本体は、第1の表面及び第2の表面を更に有し、第2の表面は、本体内に内部キャビティを構成し、第1の表面は、第2の表面及び内部キャビティに対して外部に位置決めされ、第2の表面は、内部キャビティと第1の表面との間に位置決めされ、b)オーステナイト系ステンレス鋼から成る第1の導管又は外部導管を用意するステップを有し、第1の導管の少なくとも一部分は、第1の表面に対して外部に位置し、c)コークスの生成を触媒することがない金属又はセラミック材料から成る第2の導管又は内部導管を用意し、第2の導管を第1の導管と流体連通関係をなすよう位置決めし、第2の導管を本体の内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めするステップを有し、d)第1の導管と第2の導管との間の接合部を第1の壁と第2の壁の中間に位置決めするステップを有し、e)第2の導管を少なくとも700℃又は幾つかの実施形態では、少なくとも900℃、少なくとも1000℃、少なくとも1020℃又は少なくとも1100℃の管用金属温度まで加熱するステップを有し、f)炭化水素供給原料を、第1の導管を通ると共に接合部を通り、更に第2の導管を通る流路に沿って供給するステップを有することを特徴とする方法を含む。
【0071】
他の実施形態では、この方法は、炭化水素と水蒸気の混合物を、第2の導管を通って、0.2秒未満の分解滞留時間を提供するのに十分な量で供給するステップを更に有するのが良い。
【0072】
更に別の実施形態では、この方法は、第1の導管を接合部のところで第2の導管に溶接するステップを有するのが良い。
【0073】
別の実施形態では、本技術は、次の実施態様項に関する。
【0074】
〔実施態様項1〕
熱交換装置であって、
a)内部キャビティを形成する本体を有し、前記本体は、前記本体の少なくとも一部分を構成する第1の表面及び第2の表面を有し、前記第1の表面は、前記内部キャビティ及び前記第2の表面に対して外部に位置決めされ、前記第2の表面は、前記内部キャビティと前記第1の表面との間に位置決めされ、
b)流体を前記本体に運ぶ第1の導管を有し、
c)前記第1の導管と流体連通状態にある第2の導管を有し、前記第2の導管は、前記本体の前記内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めされ、
d)前記第1の導管と前記第2の導管との間に設けられた接合部を有し、前記接合部は、前記内部キャビティ内の温度に基づいて第1の場所と第2場所との間で動き、前記第1の場所及び前記第2場所の少なくとも一方は、前記第1の表面と前記第2の表面との間の中間に位置する、熱交換装置。
〔実施態様項2〕
前記第1の導管は、オーステナイト系ステンレス鋼から成り、
前記第2の導管は、コークスの生成を触媒することはない金属又はセラミック材料から成り、
前記接合部は、前記第1の表面と前記第2の表面との中間に位置決めされ、前記第2の導管は、少なくとも1100℃の管用金属温度状態にある、実施態様項1記載の熱交換装置。
〔実施態様項3〕
前記第1の表面は、第1の壁であり、前記第2の表面は、第2の壁であり、前記熱交換装置は、前記第1の壁と前記第2の壁の中間に位置した耐火材を更に有する、実施態様項1又は2記載の熱交換装置。
〔実施態様項4〕
前記第2の導管は、アルミナフォーマ、セラミック及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから成る材料で作られている、実施態様項1〜3のうちいずれか一に記載の熱交換装置。
〔実施態様項5〕
前記接合部は、前記第1の導管と前記第2の導管との間の溶接部を含む、実施態様項14のうちいずれか一に記載の熱交換装置。
〔実施態様項6〕
前記接合部は、前記第2の導管が20℃の管用金属温度状態にあるとき、前記本体の前記内部キャビティ内に位置する、実施態様項1〜5のうちいずれか一に記載の熱交換装置。
〔実施態様項7〕
前記第2の導管は、前記第2の導管の内面に被着された酸化物層を有し、前記酸化物層は、5重量%未満のニッケル、鉄又はこれらの混合物を含む、実施態様項1〜6のうちいずれか一に記載の熱交換装置。
〔実施態様項8〕
前記第2の導管の金属材料は、前記第2の導管の内面に被着された酸化物層を含み、前記酸化物層は、1重量%未満のニッケルを含み、前記酸化物層は、2重量%未満の鉄を含む、実施態様項1〜7のうちいずれか一に記載の熱交換装置。
〔実施態様項9〕
前記第2の導管の前記内面は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム及び酸化セシウムの少なくとも1つから成る、実施態様項1〜8のうちいずれか一に記載の熱交換装置。
〔実施態様項10〕
前記第2の導管は、少なくとも700℃の管用金属温度状態にあり、前記接合部は、前記第1の表面と前記第2の表面との中間に位置している、実施態様項1〜9のうちいずれか一に記載の熱交換装置。
〔実施態様項11〕
前記第1の場所は、前記第1の表面と前記第2の表面との中間に位置し、前記第2の場所は、前記本体の前記内部キャビティ内に位置している、実施態様項1〜10のうちいずれか一に記載の熱交換装置。
〔実施態様項12〕
炭化水素分解ユニットであって、
a)炉ケーシング及び火室壁により形成された内部キャビティを有する炉を有し、前記炉ケーシングは、前記内部キャビティに対して外部に位置し、前記火室壁は、前記炉ケーシングと前記内部キャビティとの間に位置決めされ、
b)オーステナイト系ステンレス鋼から成る第1の導管を有し、
c)内面を備えた第2の導管を有し、前記第2の導管は、前記内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めされ、
d)前記第1の導管と前記第2の導管との間に設けられた接合部を有し、前記接合部は、前記内部キャビティ内の温度に基づいて第1の場所と第2の場所との間で動き、前記第1の場所及び前記第2の場所の少なくとも一方は、前記炉ケーシングと前記火室壁との中間に位置する、炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項13〕
前記内部キャビティ内に設けられた輻射熱源を更に有し、前記第2の導管の前記管用金属温度は、前記接合部が前記炉ケーシングと前記火室壁との中間に位置している時、少なくとも1000℃である、実施態様項12記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項14〕
前記第2の導管は、水蒸気と混合した炭化水素供給原料を分解する輻射管から成る、実施態様項12又は13記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項15〕
前記第1の導管と熱的連絡状態にある対流区分を更に有する、実施態様項12〜14のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項16〕
前記炉ケーシングと前記火室壁との中間に設けられた耐火材を更に有する、実施態様項12〜15のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項17〕
前記第2の導管は、0.20秒未満の炉内滞留時間を提供する内径を有する、実施態様項12〜16のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項18〕
前記第2の導管は、アルミナフォーマ、セラミック及びこれらの組み合わせの少なくとも1つから成る材料で作られている、実施態様項12〜17のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項19〕
前記接合部は、前記第1の導管と前記第2の導管との間の溶接部を含む、実施態様項12〜18のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項20〕
前記接合部は、前記第2の導管が20℃の管用金属温度状態にあるとき、前記本体の前記内部キャビティ内に位置する、実施態様項12〜19のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項21〕
前記第2の導管は、前記第2の導管の内面に被着された酸化物層を有し、前記酸化物層は、5重量%未満のニッケル、鉄又はこれらの混合物を含む、実施態様項12〜20のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項22〕
前記第2の導管の前記内面は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム及び酸化セシウムの少なくとも1つから成る、実施態様項21記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項23〕
前記第2の導管は、前記接合部が前記炉ケーシングと前記火室壁との中間に位置しているとき、少なくとも1100℃の管用金属温度状態にある、実施態様項12〜22のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項24〕
前記第2の導管は、ワンパスコイル、U字形コイル、蛇行形コイル及びマルチプルパスコイルの少なくとも1つから成る、実施態様項12〜19又は21〜23のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項25〕
前記第2の導管は、非円形内部輪郭形状を有する、実施態様項12〜24のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項26〕
前記接合部の存在位置は、温度変化に基づいて、(i)前記炉ケーシングと前記火室壁との中間の第1の位置と(ii)前記炉の前記内部キャビティ内の第2の位置との間で動くよう設定されている、実施態様項12〜23及び25のうちいずれか一に記載の炭化水素分解ユニット。
〔実施態様項27〕
熱交換ユニット(好ましくは、実施態様項1〜26のうちいずれか一に記載のユニット又は装置)を調製する方法であって、
a)内部キャビティを備えた本体を用意するステップを有し、前記本体は、第1の表面及び第2の表面を更に有し、前記第2の表面は、前記本体内に前記内部キャビティを構成し、前記第1の表面は、前記第2の表面及び前記内部キャビティに対して外部に位置決めされ、前記第2の表面は、前記内部キャビティと前記第1の表面との間に位置決めされ、
b)第1の導管を用意するステップを有し、前記第1の導管の少なくとも一部分は、前記第1の表面に対して外部に位置し、
c)第2の導管を用意し、前記第2の導管を前記第1の導管と流体連通関係をなすよう位置決めし、前記第2の導管を前記本体の前記内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めするステップを有し、
d)前記第1の導管と前記第2の導管との間に接合部を位置決めするステップを有し、前記接合部は、前記内部キャビティ内の温度に基づいて第1の場所と第2の場所との間で動き、前記第1の場所及び前記第2の場所の少なくとも一方は、(i)前記第1の表面と前記第2の表面との中間と(ii)前記本体の前記内部キャビティ内との間に位置し、前記場所は、少なくとも部分的に、前記内部キャビティ内の温度に依存する、方法。
〔実施態様項28〕
前記熱交換ユニットは、水蒸気分解炉である、実施態様項27記載の方法。
〔実施態様項29〕
前記第1の導管は、オーステナイト系ステンレス鋼から成り、前記第2の導管は、コークスの生成を触媒することがない金属又はセラミック内面を有する、実施態様項27又は28記載の方法。
〔実施態様項30〕
前記第1の導管と前記第2の導管との間の前記接合部は、前記第2の導管が少なくとも700℃の管用金属温度状態にあるとき、前記第1の表面と前記第2の表面との中間に位置する、実施態様項27〜29のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項31〕
水蒸気分解ユニット(好ましくは、実施態様項1〜26のうちいずれか一に記載のユニット又は装置)内で炭化水素を分解する方法であって、
a)内部キャビティを備えた水蒸気分解炉本体を用意するステップを有し、前記本体は、第1の表面及び第2の表面を更に有し、前記第2の表面は、前記本体内に前記内部キャビティを構成し、前記第1の表面は、前記第2の表面及び前記内部キャビティに対して外部に位置決めされ、前記第2の表面は、前記内部キャビティと前記第1の表面との間に位置決めされ、
b)オーステナイト系ステンレス鋼から成る第1の導管を用意するステップを有し、前記第1の導管の少なくとも一部分は、前記第1の表面に対して外部に位置し、
c)コークスの生成を触媒することがない金属又はセラミック材料から成る第2の導管を用意し、前記第2の導管を前記第1の導管と流体連通関係をなすよう位置決めし、前記第2の導管を前記本体の前記内部キャビティ内に少なくとも部分的に位置決めするステップを有し、
d)前記第1の導管と前記第2の導管との間の接合部を第1の場所又は第2の場所の一方のところに位置決めするステップを有し、前記第1の場所及び前記第2の場所の少なくとも一方は、前記第1の表面と前記第2の表面との中間に位置し、前記第1の場所及び前記第2の場所は、少なくとも部分的に、前記内部キャビティ内の温度に依存し、
e)前記第2の導管を少なくとも700℃の管用金属温度まで加熱するステップを有し、
f)炭化水素供給原料を、前記第1の導管を通ると共に前記接合部を通り、更に前記第2の導管を通る流路に沿って供給するステップを有する、方法。
〔実施態様項32〕
炭化水素と水蒸気の混合物を、前記第2の導管を通って、0.2秒未満の分解滞留時間を提供するのに十分な量で供給するステップを更に有する、実施態様項31記載の方法。
〔実施態様項33〕
前記第1の導管を前記接合部のところで前記第2の導管に融合させるステップを有する、実施態様項31又は32記載の方法。
【0075】
本技術を或る特定の実施形態に関して説明すると共に図示したが、本技術は、開示した特定の構成には限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれる全ての均等例に及ぶことは理解されるべきである。
図1
図2