(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764210
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】多段式マストモジュールを用いたマストリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/06 20060101AFI20150723BHJP
【FI】
B66F9/06 N
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-524956(P2013-524956)
(86)(22)【出願日】2011年8月17日
(65)【公表番号】特表2013-539444(P2013-539444A)
(43)【公表日】2013年10月24日
(86)【国際出願番号】US2011048053
(87)【国際公開番号】WO2012024378
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2013年2月18日
(31)【優先権主張番号】61/374,368
(32)【優先日】2010年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597011614
【氏名又は名称】ジェイエルジー インダストリーズ インク.
【氏名又は名称原語表記】JLG INDUSTRIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ジェイムズ, ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー, ジョージ, キャンベル
【審査官】
大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−036087(JP,A)
【文献】
特開平04−366050(JP,A)
【文献】
特開昭63−168160(JP,A)
【文献】
実開平02−107337(JP,U)
【文献】
実開昭57−046577(JP,U)
【文献】
実開平05−069079(JP,U)
【文献】
特許第3166610(JP,B2)
【文献】
特開2006−264797(JP,A)
【文献】
特開平02−159404(JP,A)
【文献】
特開平06−340398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段式マストモジュールを支持する基部、及び前記多段式マストモジュールに結合されたプラットフォームを含むマストリフト用の、多段式マストモジュールであって、
複数の伸縮マスト部を含むマストユニットと、
前記マストユニットの前記伸縮マスト部の間に連結され、隣接した前記伸縮マスト部の間にそれぞれ作動可能に位置し且つ前記伸縮マスト部を格納位置と伸長位置の間で変位させるように駆動されるアクメねじを含む多段式駆動装置と、
前記マストユニットの前記伸縮マスト部の間に連結され、前記隣接した前記伸縮マスト部の間で作用するガススプリングと、
第2多段式マストモジュールを支持するように成形され設置された支持構造を備え、
前記多段式マストモジュールは、前記基部に対して選択的に連結可能及び除去可能であり、それ自体で独立した持ち運び可能なアセンブリである多段式マストモジュール。
【請求項2】
前記多段式駆動装置が入れ子式アクメねじを備える請求項1に記載の多段式マストモジュール。
【請求項3】
前記多段式駆動装置がオフセットアクメねじを備える請求項1に記載の多段式マストモジュール。
【請求項4】
前記ガススプリングが前記伸縮マスト部を伸長位置に向かって付勢する方向に向けられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の多段式マストモジュール。
【請求項5】
前記マストユニットが、下部マスト、前記下部マストに対して可動な中央部マスト、前記中央部マストに対して可動な上部マストを備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の多段式マストモジュール。
【請求項6】
第1アクメねじ及び第2アクメねじを備え、
前記第1アクメねじは、一端が前記下部マストか前記中央部マストの一方に回転可能に固定され、反対端が前記下部マストか前記中央部マストの他方に固定された下部ナットに係合され、
前記第2アクメねじは、一端が前記中央部マストか前記上部マストの一方に回転可能に固定され、反対端が前記中央部マストか前記上部マストの他方に固定された上部ナットに係合され、
前記第1アクメねじを前記下部ナットに対して回転させることで、前記中央部マストが、前記下部マストに対して移動し、前記第2アクメねじを前記上部ナットに対して回転させることで、前記上部マストが、前記中央部マストに対して移動する請求項5に記載の多段式マストモジュール。
【請求項7】
第1ガススプリング及び第2ガススプリングを備え、前記第1ガススプリングは前記下部マストと前記中央部マストの間で作用し、前記第2ガススプリングは前記中央部マストと前記上部マストの間で作用する請求項5又は6に記載の多段式マストモジュール。
【請求項8】
前記第1ガススプリング及び前記第2ガススプリングが順番に作動する請求項7に記載の多段式マストモジュール。
【請求項9】
前記第1アクメねじ及び前記第2アクメねじの一方が、前記第1アクメねじ及び前記第2アクメねじの他方を収容する中空管を備え、前記下部ナット及び前記上部ナットの各一方が前記中空管内に配置される請求項6〜8のいずれか一項に記載の多段式マストモジュール。
【請求項10】
前記第1アクメねじが前記第2アクメねじの片側にオフセットされ、前記第1アクメねじからのトルクが前記第2アクメねじに伝達され、前記第2アクメねじからのトルクが前記第1アクメねじに伝達されるように、前記多段式駆動装置が、前記第1アクメねじと前記第2アクメねじを回転結合する連結構造を備える請求項6〜8のいずれか一項に記載の多段式マストモジュール。
【請求項11】
前記連結構造が、歯付きベルト及び歯車のうち一つを備える請求項10に記載の多段式マストモジュール。
【請求項12】
基部と
前記基部に固定可能な第1多段式マストモジュールであって、
複数の伸縮マスト部を含むマストユニットと、
前記マストユニットの前記伸縮マスト部の間に連結され、隣接した前記伸縮マスト部の間にそれぞれ作動可能に位置し且つ前記伸縮マスト部を格納位置と伸長位置の間で変位させるように駆動されるアクメねじを含む多段式駆動装置と、
前記マストユニットの前記伸縮マスト部の間に連結され、前記隣接した前記伸縮マスト部の間で作用するガススプリングとを含む第1多段式マストモジュールと、
前記第1多段式マストモジュールに固定可能なプラットフォームとを含み、
前記第1多段式マストモジュールは、前記基部に対して選択的に連結可能及び除去可能であり、それ自体で独立した持ち運び可能なアセンブリであり、第2多段式マストモジュールを支持するように成形され設置された支持構造を備えるマストリフト。
【請求項13】
基部と
前記基部に固定可能な第1多段式マストモジュールであって、
複数の伸縮マスト部を含むマストユニットと、
前記マストユニットの前記伸縮マスト部の間に連結され、隣接した前記伸縮マスト部の間にそれぞれ作動可能に位置し且つ前記伸縮マスト部を格納位置と伸長位置の間で変位させるように駆動されるアクメねじを含む多段式駆動装置と、
前記マストユニットの前記伸縮マスト部の間に連結され、前記隣接した前記伸縮マスト部の間で作用するガススプリングとを含む第1多段式マストモジュールと、
前記第1多段式マストモジュールに固定可能なプラットフォームと、
前記第1多段式マストモジュール及び前記基部の間で選択的に結合可能な第2多段式マストモジュールとを含み、
前記第1多段式マストモジュールは、前記基部に対して選択的に連結可能及び除去可能であり、それ自体で独立した持ち運び可能なアセンブリであるマストリフト。
【請求項14】
さらに前記第1多段式マストモジュール及び前記基部の間で選択的に結合可能な第2多段式マストモジュールを備える請求項12に記載のマストリフト。
【請求項15】
前記基部が、第1多段式マストモジュールまたは第2多段式マストモジュールが着脱可能に取り付けられる基部スタンプを備え、前記第2多段式マストモジュールは、前記第1多段式マストモジュールが着脱可能に取り付けられるモジュールスタンプを備える請求項13に記載のマストリフト。
【請求項16】
基部と
前記基部に対して独立して固定可能及び除去可能であって、第1の複数の伸縮マスト部を含む第1多段式マストモジュールと、
前記第1多段式マストモジュール及び前記基部の間に対して選択的に独立して結合可能及び除去可能であって、第2の複数の伸縮マスト部を含む第2多段式マストモジュールと
前記第1多段式マストモジュールに固定可能なプラットフォームとを含み、
前記第1多段式マストモジュール及び前記第2多段式マストモジュールがそれぞれ、
手持ちパワードリルを介して駆動されるリフトアセンブリと、
前記伸縮マスト部の間に連結されたガススプリングであって、隣接した前記伸縮マスト部の間で作用するガススプリングを備えるモジュール式持ち運び可能なマストリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照情報:本願は、2010年8月17日に出願された米国仮特許出願第61/374,368号の優先権を主張する。上記仮出願の開示全てをここに援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
本発明は作業者用リフトに関し、より具体的には、リフトシステムにより昇降される作業プラットフォームを含む、持ち運び可能なリフト機械に関する。ジェイエルジー インダストリーズ インクによるリフトポッド(登録商標)システムが、米国特許出願番号第10/594,666号、米国特許出願番号第11/581,785号、米国特許出願番号第12/190,217号、米国特許出願番号第12/293,759号、米国特許出願番号第13/191,676号、米国(デザイン)特許番号第D570,071号、米国特許番号第7,614,459号、米国特許番号第7,762,532号、および米国特許番号第7,766,750号に記載されている。www.LiftPod.comも参照されたい。これら文献の内容を援用して本文の記載の一部とする。
【背景技術】
【0003】
梯子の概念は、数千年前から存在する。しかし、現存する梯子は扱いにくく、操作が難しいことがある。さらに、従来の梯子は、特に平坦でない地面で不安定になることがあり、作業領域は作業者の手の届く範囲に制限される。
【0004】
梯子製造会社は、動力機械製品の開発に消極的である。しかし、梯子の多数の利点(例えば、一人の操作者によって組み立てて使用することができる、軽量であるなど)を達成するとともに、持ち運び可能な動力機械における一層の安定性およびより広い作業領域を可能にする作業者用リフトを開発することが望ましい。
【0005】
マストクライミング式プラットフォームは知られており、一般的に、自立するまたは、壁もしくは他の支持構造により支持されるマストを含む。しかし、現存するマスト式クライマは、安全使用荷重が約454kg(1000ポンド)であり、少なくともそのサイズのために、一人のユーザによって持ち運ぶことも操作することも不可能である。垂直マスト製品および空中作業プラットフォームは、移動プラットフォームを含み、一般に垂直マスト製品および空中作業プラットフォームは、持ち運ぶには非常に大型でもあり、持ち運び易さ、低コスト、および使い易さに関して、梯子によりもたらされる多くの利点から大変かけ離れている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
持ち運び易さ、軽量性及び信頼性の高いリフトシステム機構を達成することは、作業者をリフトする装置に要求される機能をもたらすうえで望ましい。
【0007】
本発明は概して、より高く手が届き(例えば、プラットフォームの高さが約4.3m(14フィート))、持ち運び可能なモジュールに(すなわち一人の人間によって運ばれるように)分解し、コードレスドリル技術によって駆動されるマストリフトに関する。この製品タイプは、既存の空中作業プラットフォーム(AWP)技術では今のところ提供されない、多くの用途のための解決法を提供することができる。このような用途の一例は、既存のAWP技術が、大きさ、接近方法、床の耐力の制約のために、接近するのに使用できない、家庭用吹き抜け天井(double height ceilings)だろう。また、これらの場所に接近する通常の方法は、一般的に扱いにくく危険である、大きな梯子及び足場を用いることである。本設計の目的とする用途は、学校の体育館やホテルのロビー、工場の照明も含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な実施形態では、多段式マストモジュールは、マストリフトと協働可能である。マストリフトは、多段式マストモジュールを支持する基部と、多段式マストモジュールと結合されたプラットフォームとを含む。多段式マストモジュールは、複数の伸縮マスト部(入れ子式伸縮マスト部、telescoping mast section)を含むマストユニットと、マストユニットの伸縮マスト部の間に連結された多段式駆動装置を含む。多段式駆動装置は、隣接した伸縮マスト部の間にそれぞれ動作可能に配置されたアクメねじを含む。アクメねじは、伸縮マスト部を格納位置と伸長位置の間で変位させる様に駆動される。ガススプリングがマストユニットの伸縮マスト部間に接続される。ガススプリングは、隣接した伸縮マスト部の間で作用する。
【0009】
ある実施形態では、多段式駆動装置は入れ子式アクメねじを備える。あるいは、多段式駆動装置はオフセットアクメねじを含んでもよい。好ましくは、ガススプリングは伸長位置にむかって伸縮マスト部を付勢する方向に向けられる。
【0010】
さらに、多段式マストモジュールは、第2多段式マストモジュールを支持するように成形され設置された支持構造を含んでもよい。また、多段式マストモジュールは、第2多段式マストモジュールまたは基部の支持構造と選択的に結合可能な連結構造を含んでもよい。
【0011】
ある構成では、マストユニットは、下部マスト、下部マストに対して可動な中央部マスト、及び中央部マストに対して可動な上部マストを含む。このような構成においては、モジュールはさらに、第1アクメねじ及び第2アクメねじを含んでもよい。第1アクメねじは、一端が下部マスト及び中央部マストの一方に回転可能に固定され、反対の端が下部マスト及び中央部マストの他方に固定された下部ナットに係合している。第2アクメねじは、一端が中央部マスト及び上部マストの一方に回転可能に固定され、反対の端が中央部マスト及び上部マストの他方に固定された上部ナットに係合されている。第1アクメねじを下部ナットに対して回転させることにより、中央部マストが下部マストに対して移動し、第2アクメねじを上部ナットに対して回転させることにより、上部マストが中央部マストに対して移動する。
【0012】
モジュールはさらに、第1ガススプリング及び第2ガススプリングを含んでもよく、第1ガススプリングは、下部マストと中央部マストの間で作用し、第2ガススプリングは、中央部マストと上部マストの間で作用する。好ましくは、第1ガススプリング及び第2ガススプリングは順番に(in series)作動する。
【0013】
第1アクメねじ及び第2アクメねじの一方は、第1アクメねじ及び第2アクメねじの他方を収容する中空管を含んでもよく、下部ナット及び上部ナットの各一方は中空管内に配置される。代替構成では、第1アクメねじは第2アクメねじの片側にオフセットされてもよく、さらに、多段式駆動装置は、第1アクメねじからのトルクが第2アクメねじに伝達され、第2アクメねじからのトルクが第1アクメねじに伝達されるように第1アクメねじと第2アクメねじを回転結合する、歯付きベルトや歯車のような連結構造を含んでもよい。
【0014】
他の例示的な実施形態では、マストリフトは、基部と、基部に固定可能な第1多段式マストモジュールを含む。第1多段式マストモジュールは複数の伸縮マスト部を含むマストユニット、及びマストユニットの伸縮マスト部の間に連結された多段式駆動装置を含む。多段式駆動装置は、隣接した伸縮マスト部の間に各々動作可能なように配置されたアクメねじを含む。アクメねじは、伸縮マスト部を格納位置と伸長位置の間で変位させる様に駆動される。また、第1多段式マストモジュールは、マストユニットの伸縮マスト部の間に接続されたガススプリングを含む。ガススプリングは、隣接した伸縮マスト部の間で作用する。また、マストリフトは第1多段式マストモジュールに固定可能なプラットフォームを含む。
【0015】
さらに、マストリフトは、第1多段式マストモジュールと基部の間で選択的に結合可能な第2多段式マストモジュールを含んでもよい。このような構成においては、基部は、第1多段式マストモジュールまたは第2多段式マストモジュールを着脱可能に取り付けられる基部スタンプを含んでもよく、第2多段式マストモジュールは、第1多段式マストモジュールを着脱可能に取り付けられるモジュールスタンプを備える。
【0016】
さらに他の例示的な実施形態では、モジュール式持ち運び可能なマストリフトは、基部と、基部に固定可能で且つ第1の複数の伸縮マスト部を含む第1多段式マストモジュールと、第1多段式マストモジュールと基部の間で選択的に連結可能で且つ第2の複数の伸縮マスト部を含む第2多段式マストモジュールと、第1多段式マストモジュールに固定可能なプラットフォームを含む。第1及び第2多段式マストモジュールは各々、手持ち式パワードリルを介して駆動可能なリフトアセンブリ、及び伸縮マスト部の間に接続されるガススプリングを含んでもよく、ガススプリングは隣接した伸縮マスト部の間で作用する。
【0017】
さらに他の例示的な実施形態では、多段式マストモジュールはマストリフトと協働可能である。マストリフトは、多段式マストモジュールを支持する基部と、多段式マストモジュールに結合されたプラットフォームを含む。多段式マストモジュールは、複数の伸縮マスト部を含むマストユニットと、マストユニットの伸縮マスト部の間に連結された多段式駆動装置を含む。ガススプリングが、マストユニットの伸縮マスト部の間に連結される。ガススプリングは、隣接した伸縮マスト部の間で作用する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のこれらの態様および他の態様、並びに利点を、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、マストリフトのモジュール部品を示している。
【
図2】
図2は、例示的なマストモジュールの断面図である。
【
図3】
図3は、併置配置のアクメねじを含む、代替のマストモジュールの一部の斜視図である。
【
図4】
図4は、併置アクメねじ間の代替の結合を示している。
【
図5】
図5は、第2マストモジュールのスタンプ連結の斜視図である。
【
図6】
図6は、最大プラットフォーム高さに到達するために2つのマストモジュールを使用したマストリフトを示している。
【
図7】
図7は、単独のマストモジュールを用いたマストリフトを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好ましい実施形態によるマストリフトは、多用途性を提供し、運搬を容易にするため、モジュール部品から構成される。
図1を参照すると、マストリフトは、基部12、第1マストモジュール14、第2マストモジュール16、及びプラットフォーム18を含む。
図2を参照すると、マストモジュール14、16はそれぞれ、複数の伸縮マスト部を含むマストユニット20からなる。具体的には、マストユニット20は、下部マスト22、下部マスト22に対して可動な中央部マスト24、及び中央部マスト24に対して可動な上部マスト26を含む。3つのマスト部22,24,26が示されているが、マストユニット20はより多い、またはより少ない部分を含んでもよい。
【0020】
マストモジュール14、16には、伸縮マスト部22、24、26を格納位置と伸長位置の間で変位させるように働く多段式駆動装置28を備える。示されているように、多段式駆動装置28は、隣接した伸縮マスト部(それぞれ22、24及び24,26)の間でそれぞれ動作可能なように配置されたアクメねじ30、32を含んでもよい。
【0021】
使用にあたって、アクメねじ30、32はそれぞれ、一端がマスト部の一つに回転可能に固定され、反対端は隣接したマスト部に固定されたナット34、36に締結される。アクメねじ30、32をナット34、36に対して回転させることにより、アクメねじ30、32がナット34、36に対して軸方向に移動し、それによって、中央部マスト24及び上部マスト26が、互いに対して、及び下部マスト22に対して移動する。
【0022】
図2に示す実施形態において、多段式駆動装置28は、2段入れ子式アクメ駆動装置として構成される。駆動装置の第1段は、上部マスト26に軸方向に取り付けられたアクメねじ32である。第1段アクメねじ32は、適切なコネクタ38を介して上部マスト26に回転可能に固定される。示されているように、第1段アクメねじ32の部分40は、上部マスト26の外側まで延在する。第2段アクメねじ30は、第1段アクメねじ32を収容する大きさに形成された内径を有する中空管を備える。中空管には、外壁にねじ山が設けられる。第1段アクメねじ32は、第2段アクメねじ30の中空管内に固定されたナット36で、中空管内に収容される。よって、第1段アクメねじ32を回転することで、第1段アクメねじ32が移動し、それによって上部マスト26がナット36及び中央部マスト24に対して移動する。
【0023】
中空管である第2段アクメねじ30は、適切なコネクタ38または同様のものを介して、中央部マスト24に回転可能に固定される。第2段アクメねじ30の外側のねじ山は、下部マスト22に固定されたナット34に収容される。それにより、第2段アクメねじ30をナット34内で回転させることで、上部マスト24及び中央部マスト26が下部マスト22に対して軸方向に移動する。
【0024】
マストモジュール14、16は、手持ちのパワードリルまたは同様の動力駆動装置を第1段アクメねじ32の部分40に取り付けることで、格納位置と伸長位置の間で変位可能である。理論的には、動力源は、下方から第2段アクメねじに適用され得る。第1段アクメねじ32はより小さい直径を有し、その結果としてより低い摩擦係数を有するため、直径の比によって、まず第1段アクメねじ32が駆動される。このようにして、上部マスト26は、その下方の中央部マスト24及び下部マスト22から上方へ伸長する。第1段アクメねじ32が、その運動距離の端まで到達するとき、第2段(中空管)アクメねじ30が上昇する。第2段アクメねじ30は、より直径が大きいことによってより高い摩擦係数を有する。第2段アクメねじ30の回転が継続されることで、中央部マスト24及び上部マスト26が下部マスト22に対して移動する。
【0025】
当業者によって理解される通り、マストモジュール14、16のさらなる到達及び伸長性能を提供するために、追加の段が用いられてもよい。第3段は同様に、第2段アクメねじ30を収容するためのナットを内側に固定した中空管アクメねじを備えてもよく、さらに別のマスト部に固定されたさらに別のナットにおいて移動可能な、中空管アクメねじの外側のねじ山を備えてもよい。追加の段のための所要電力は、アクメねじの直径が増加するにつれて、段ごとに増加し、コードレス手持ちパワードリルの使用は限界があるだろう。
【0026】
引き続き
図2を参照すると、マストモジュール14、16は、さらに、マストユニット20の伸縮マスト部22、24、26の間に連結されたガススプリング42、44を含む。ガススプリング42、44は、隣接した伸縮マスト部22、24、26の間で作用する。ガススプリング42,44は、順番に作動し、伸長位置にむかって伸縮マスト部22、24、26を付勢するように構成される。第1ガススプリング42は、下部マスト22と中央部マスト24の間で作用する。ガススプリング42の一端は、適切なコネクタ46を介して下部マスト22に固定される。ガススプリング42の反対端は、適切なコネクタ46を介して中央部マスト24に固定される。第2ガススプリング44は、中央部マスト24と上部マスト26の間で作用し、その端は、それぞれ、中央部マスト24及び上部マスト26に適切なコネクタ46を介して固定される。
【0027】
ガススプリング42、44は、好ましくは圧搾空気のガススプリングであり、両方の駆動装置を手持ちコードレスドリルの動力限度内で作動させるように、直列的に(in
series)配置される。ガススプリング定格力は、機械の対象とする動作荷重のための最適なバランスを提供するように選択される。ガススプリング定格容量は、最小容量及び最大容量に加えて、機械を上昇及び降下させる両方の所要の力を考慮して決定される。
【0028】
2段式入れ子式アクメ駆動装置28の代替として、アクメねじは、オフセットした形態に配置され得る。
図3は、マストモジュールが格納位置にある、2段式オフセットアクメ駆動装置128の一部分を示す。オフセットアクメ駆動装置は、第1アクメねじ130及び第2アクメねじ132を含む。各ねじのそれぞれの伸縮マスト部への結合は、2段式入れ子式アクメ駆動装置28と同様である。しかし、上段アクメねじが第2段アクメねじに入れ子式に出入りする代わりに、第1段130は第2段132の片側にオフセットされる。アクメねじ130、132は、第1段から第2段にトルクを伝達するために、適切なコネクタ134を介して回転結合される。例示的なコネクタ134が、
図3に歯付きベルト駆動装置として示されている。歯車や他のベルト駆動装置のような任意の一般的な結合機構が用いられ得る。例示的な歯車結合135が
図4に示される。また、オフセットアセンブリは、ねじの不支持部の長さが最長となるときにねじのしなりを制御する助けとなる、ガイドチューブ136及びガイド137を含んでもよい。また、これらのガイドチューブ136は、ねじ山を潤滑に保つためのグリースハウスとして働く。
【0029】
入れ子式駆動装置のように、手持ちコードレスドリルまたは等価の動力システムが第1段アクメねじ130の頂部に取り付けられ得る。第1段アクメねじ130が完全伸長量に到達すると、第2段アクメねじ132がその最大高さに到達するまで駆動される。アクメねじ130、132の配置に応じて、第1段及び第2段が、同時に伸長、格納されてもよい。上述のように、駆動装置の動力の付与は、マストの底部からの付与、または場合によってはヘリカルまたはウォーム駆動を用いた横からの付与を含む、いくつかの異なる形態で実行されてもよい。
【0030】
オフセットアクメ駆動装置を
図3に示されているよりも多くの段を通して用いることは、理論的に実行可能である。そのようにするには、第1駆動装置から第2駆動装置への結合の反復、例えば、第2アクメねじが第3段に結合され、第3アクメねじが第4段に結合されるなどが必要となる。
【0031】
入れ子式駆動配置でもオフセット駆動配置でも、アクメねじは回転固定されてもよく、一方、対応するナットは、ねじをナットに対して軸方向に移動させ(それによりマストモジュールを伸長、格納させ)る回転のために固定される。さらに、アセンブリは、両方の手段を組み合わせてもよく、または他の代替手段を組み合わせてもよい。例えば、オフセット駆動配置を用いて、第1段ナットが、第2段ナットに歯付きベルトシステムか同様のものを介して結合されてもよい。第2段アクメねじが固定保持されてもよく、中央部の下部に対する動きを生じさせるため、第2段ナットが回転される。他の構成も考えられ、本発明は必ずしも特定の構成に限定されることを意図するものではない。
【0032】
図1及び5を参照すると、基部12は、第1多段式マストモジュール14または第2多段式マストモジュール16を着脱可能に取り付けられる基部スタンプ48を含む。マストモジュール14、16は基部スタンプ48上に、ピンか他の適切な固定機構を介して固定されてもよい。第2マストモジュール16は、同様に構成された、第1多段式マストモジュール14を着脱可能に取り付けられるモジュールスタンプ50を含む。同様のピンまたは固定機構が第1モジュール14を第2モジュール16のモジュールスタンプ50に固定する。このモジュール構成を用いると、
図6に示すように、マストリフトは、第1及び第2マストモジュール14、16の両方を用いて、最大高さ用に構成され得る。例示的な構成では、マストモジュール14、16の両方を用いて、マストリフトは、約4.3m(14フィート)のプラットフォーム高さまで到達し得る。
図7を参照すると、より低いプラットフォーム高さ、例えば約2.4m(8フィート)が要望される場合、第1マストモジュール14が基部スタンプ48に直接固定されうる。
【0033】
約4.3m(14フィート)の機械として組み合わせて使用される場合、マストモジュール14、16は、両方とも手持ちコードレスドリルを用いて順番に駆動されるか、2個のモータ、制御ボックス、及びコードレスバッテリーを含む専用の動力システムを用い、並行して駆動され得る。2個のモータは、機械を最大高さへ駆動させるために順番にまたは同時に駆動され得る。
【0034】
記載された技術は、リフトポッド(登録商標)技術において著しい進展であり、以前の設計に対して多くの利益を提供する。これらの利益のいくつかは以下を含む。
・以前の設計より90%少ない部品
・伸縮自在であり、収納状態で高さが1/3である‐保管や運搬するのに、よりコンパクトである
・より効率的である‐初期特性は、記載した技術が、従来の機械より最大50%効率的であ(り、結果として充電あたりの稼働時間が長くな)ることを示す
・記載した技術の製造コストは従来のマストより約60%少ない‐(主に部品の減少及び機械を駆動する機械システムの単純化による)売上原価の著しい減少
【0035】
本発明は、最も実用的であり好ましい実施形態であると現在考えられるものに関連して記載したが、本発明は開示された実施形態に限定されないこと、それとは逆に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の改変および等価な構成を包含するように意図されたものであることが理解されるべきである。