特許第5764213号(P5764213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5764213炭酸カルシウム含有材料の取扱性を改善する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764213
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】炭酸カルシウム含有材料の取扱性を改善する方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 17/00 20060101AFI20150723BHJP
   C09C 1/02 20060101ALI20150723BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20150723BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20150723BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20150723BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20150723BHJP
   C01F 11/18 20060101ALI20150723BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20150723BHJP
   D21H 21/00 20060101ALI20150723BHJP
【FI】
   C09D17/00
   C09C1/02
   C09D201/00
   C09D7/12
   C09D133/00
   C09C3/10
   C01F11/18 J
   C08K3/26
   D21H21/00
【請求項の数】18
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-535366(P2013-535366)
(86)(22)【出願日】2011年10月19日
(65)【公表番号】特表2013-544922(P2013-544922A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011068258
(87)【国際公開番号】WO2012055739
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2013年6月28日
(31)【優先権主張番号】61/410,389
(32)【優先日】2010年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10189374.1
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505018120
【氏名又は名称】オムヤ インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲイン,パトリツク・エイ・シー
(72)【発明者】
【氏名】ブリ,マテイアス
(72)【発明者】
【氏名】ブルム,ルネ・ビンツエンツ
(72)【発明者】
【氏名】レンチユ,サミユエル
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−526901(JP,A)
【文献】 特表2008−506807(JP,A)
【文献】 特開平07−300568(JP,A)
【文献】 特開2001−026666(JP,A)
【文献】 特開昭54−046230(JP,A)
【文献】 特開昭54−045699(JP,A)
【文献】 特開昭55−165960(JP,A)
【文献】 特開平04−031319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 17/00
C09C 1/02
C09D 7/12
C01F 11/18
D21H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
a)少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を用意するステップ、
b)少なくとも1種の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液を調製するステップ、
c)ステップa)の少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、0.1重量%以上10重量%未満である量の、ステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させるステップ
を含む、炭酸カルシウム含有複合粒子を調製する方法であって、
ステップb)において提供される少なくとも1種の結合剤が、スチレン−アクリレートコポリマー及びスチレン−ブタジエン−コポリマー並びにこれらの混合物を含む群から選択され、
ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、ステップc)の前、間または後に、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる、ここで、少なくとも1種のカチオン性ポリマーが、直鎖ポリエチレンイミンもしくはポリアミンアミドエピクロロヒドリンまたはこれらの混合物から選択され、
複合粒子の総重量に基づき、0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子が、ステップa)において用意された炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、Powder Rheometer System FT4で測定されたエネルギー消費量が5%以上40%以下減少するように改善された流動性で、増加したかさ密度を有する、前記方法。
【請求項2】
複合粒子の総重量に基づき、0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有粒子のかさ密度が、ステップa)において用意される炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、5%以上80%以下増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末が、GCCおよびPCCならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末の粉末粒子が、0.1μm以上100μm以下の50値を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末が、鉱物粉末の総重量に基づき10重量%未満の総表面含水率を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)において提供される少なくとも1種の結合剤の量が、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、0.1重量%以上7重量%未満である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種のカチオン性ポリマーの量が、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、1.0重量%未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
方法ステップc)が、5℃以上140℃以下の温度で実施される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)において得られた炭酸カルシウム含有複合粒子が、複合粒子の総重量に基づき、1重量%未満の総表面含水率まで乾燥されるさらなるステップd)を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップd)において得られた乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子が、ふるい分けされおよび/または空気分級されて、望ましくない比較的大きい粒子が除去されるさらなるステップe)を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
スラリーが、ステップc)において得られた炭酸カルシウム含有複合粒子にさらに水および場合によって分散剤を添加することによって調製される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
分散剤が、2000以上15000g/mol以下の重量平均分子量Mを有するポリアクリル酸ナトリウムである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
スラリーが、スラリーの総重量に基づき、10重量%以上82重量%以下の固形分を有する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
方法ステップc)が、磨砕装置で実施される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
方法ステップc)の間に形成された炭酸カルシウム含有複合粒子が、より小さい粒子に分割される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法によって得られる、該改善された流動性で増加したかさ密度を有する、炭酸カルシウム含有複合粒子。
【請求項17】
用意された少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、Powder Rheometer System FT4で測定されたエネルギー消費量が5%以上40%以下減少するように改善された流動性で炭酸カルシウム含有鉱物粉末のかさ密度を増加させるための、少なくとも1種の結合剤及び少なくとも1種のカチオン性ポリマーの使用であって、
当該少なくとも1種の結合剤の量は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、0.1重量%以上10重量%未満であり、かつ、当該少なくとも1種の結合剤は、スチレン−アクリレートコポリマーおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーならびにこれらの混合物を含む群から選択され、そして
当該少なくとも1種のカチオン性ポリマーが、直鎖ポリエチレンイミンもしくはポリアミンアミドエピクロロヒドリンまたはこれらの混合物から選択される、
法。
【請求項18】
紙用途、塗料またはプラスチックにおける、請求項16の炭酸カルシウム含有複合粒子の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸カルシウム含有材料に関し、より詳細には、増加したかさ密度を有する炭酸カルシウム含有鉱物粉末およびこれを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機材料は、紙、塗料、プラスチックおよび同様の製品の製造に使用されており、得られる製品の品質を改善するために、多量の無機材料を、繊維ウェブ、塗料またはプラスチックに組み込むことがよく知られている。該材料の中で、かかる用途において充填材としての受け入れが増加していることがこのように見出されているのは、炭酸カルシウム含有鉱物である。この種の材料は一般に、乾式粉砕または湿式粉砕および乾燥によって調製されており、該材料は、例えば最終製品の明るさを改善することを目的として、ある種の不純物を除去するために、最初に事前の選鉱ステップにかけられていることもある。しかし、こうした乾燥粉末は、かさ密度が低いために取扱いが難しいという欠点を有している。炭酸カルシウム含有鉱物粉末製品は、例えば、通常は製造業者によって最終的に微粉化された低かさ密度粉末として販売されており、こうした粉末の貯蔵容量には限りがある。さらに、かかる製品は、典型的には袋詰めされるかばら積みされるが、かさ密度が低いために、典型的には40mの鉄道車両に25から35トンの粉末しか積み込むことができない。
【0003】
これまでに、ブリケティングマシン(bricketting machine)またはペレット製造機などの圧縮機を使用して、かかる粉末のかさ密度を増加させる取り組みが為されてきた。しかし、こうしたものは、幾つかの理由で受け入れられないことが判明している。かかる粉末のかさ密度を圧力によって機械的に増加させると、かかる粉末の流動性が悪化する。一層高いエネルギー入力が、製品を貯槽もしくはコンテナに積み込むのにまたはかかる貯槽もしくはコンテナを空けるのに必要である。さらに、結合剤として水を利用するペレット製造機は、許容可能なペレットが形成可能となる前に、大量の水(炭酸カルシウムの重量のおよそ15から25重量%)を添加する必要があることが見出されている。こうした水を輸送に先立って蒸発させなければならないので、こうした水により、製品の輸送コストが増加するまたは製造コストが増加する。水以外の結合剤を利用するペレット製造機も大量の結合剤を必要とし、ペレット化および乾燥の後に水にメイクダウン(make−down)しにくいペレット化製品となることが見出されている。
【0004】
US4,561,597は、実質的に無水のカオリンクレー粉末のかさ密度を増加し、水で湿潤させる時間を低減する方法であって、比エネルギー入力を使用して前記粉末を乾燥ボールミル磨砕すること、次いで高エネルギーインパクトミルでの微粉化および分級して望ましくない比較的大きい粒子を除去することを含む方法を記載している。
【0005】
WO2006/008657は、自己結合する顔料粒子を生成する方法に関し、前記方法は、無機材料の水性懸濁液を形成し、これを粉砕機に投入するステップ、少なくとも1種の結合剤の水溶液もしくは懸濁液または水性の乳濁液を形成し、これを粉砕機に投入するステップおよび自己結合性顔料粒子の水性懸濁液が得られるように、該水性懸濁液を該水溶液または懸濁液または乳濁液と共粉砕するステップを含んでいる。
【0006】
乾燥顔料粒質物を製造する方法がWO01/00712に記載されている。該方法は、有機ポリマー顔料、場合によって無機顔料、結合剤および水を混合して分散液とするステップおよび該分散液を噴霧乾燥するステップを含んでいる。該結合剤は粒子を結合して、粉末の形態でより扱いやすく発塵の問題がない、凝集塊となる。
【0007】
WO01/00713は、プラスチックポリマー顔料を生成する方法に関し、ここでは、プラスチックポリマー顔料の水性分散液が乾燥される。得られたプラスチック顔料粒子は、静電力で共に接着され、凝集塊を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,561,597号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/008657号
【特許文献3】国際公開第2001/000712号
【特許文献4】国際公開第2001/000713号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当技術分野では、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の大量取扱適性を改善する方法に対する需要が依然として存在している。
【0010】
したがって、本発明の目的は、例えば、炭酸カルシウム含有鉱物粉末が貯蔵されるとき、積み込まれるとき、荷降ろしされるときおよび輸送されるときに、改善された大量取扱適性を有する、炭酸カルシウム含有鉱物粉末を調製する方法を提供することである。本発明の別の目的は、従来の炭酸カルシウム含有鉱物粉末より少ない貯蔵容量を必要とし、よってかかる粉末の貯蔵コストを低減することができる炭酸カルシウム含有鉱物粉末を提供することである。従来の炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、同等なまたは改善された流動性で、増加したかさ密度を有する炭酸カルシウム含有鉱物粉末を調製する方法を提供することが望ましいであろう。また、粉末をコンテナに積み込むまたはコンテナから荷降ろしするのに必要なエネルギー入力がより低い炭酸カルシウム含有鉱物粉末を提供することが望ましいであろう。また、従来の炭酸カルシウム含有粒子の他の特性および/または性質全てが少なくとも保持されているかさらに改善されている、増加したかさ密度を有する炭酸カルシウム含有鉱物粉末を提供することが望ましいであろう。また、水に容易に懸濁させることができる、増加したかさ密度を有する炭酸カルシウム含有鉱物粉末を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的および他の目的は、以下のステップ:
a)少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を用意するステップ、
b)少なくとも1種の結合剤の、少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液を調製するステップ、および
c)ステップa)の少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、固体炭酸カルシウム含有複合粒子を形成する量の、ステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させるステップ
を含む炭酸カルシウム含有複合粒子を調製する方法であって、複合粒子の総重量に基づき0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子が、ステップa)において用意された炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、同等なまたは改善された流動性で、増加したかさ密度を有する、方法を提供することによって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、上述の通りの方法によって得られる、同等なまたは改善された流動性で増加したかさ密度を有する炭酸カルシウム含有複合粒子が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態によれば、同等なまたは改善された流動性で炭酸カルシウム含有鉱物粉末のかさ密度を増加させるために、結合剤が使用される。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明の炭酸カルシウム含有複合粒子は、紙用途、塗料またはプラスチックに使用される。
【0015】
本発明の有利な実施形態は、対応する従属請求項に規定される。
【0016】
一実施形態によれば、複合粒子の総重量に基づき0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有粒子のかさ密度は、ステップa)において用意される炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、5から80%、好ましくは8から60%、より好ましくは10から50%増加する。
【0017】
一実施形態によれば、ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、GCCおよびPCC、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態によれば、ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末の粉末粒子は、0.1から100μm、0.3から50μmまたは0.4から10μm、好ましくは0.5から5.0μmの重量中央粒径d50値を有する。さらに別の実施形態によれば、ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、鉱物粉末の総重量に基づき、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の総表面含水率を有する。
【0018】
一実施形態によれば、ステップb)において提供される少なくとも1種の結合剤は、アクリロニトリル、ブタジエン、アクリレート、アクリル酸ブチル、スチレン、スチレン−ブタジエンおよびアクリル酸エステルのコポリマーならびにこれらの混合物を含む群から選択されるポリマー性結合剤から選択され、好ましくは、ステップb)において提供される少なくとも1種の結合剤は、スチレン−アクリレートコポリマーおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーならびにこれらの混合物を含む群から選択される。別の実施形態によれば、ステップb)において提供される少なくとも1種の結合剤の量は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、10重量%未満、好ましくは7重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは0.1から4重量%の間である。
【0019】
一実施形態によれば、ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と、ステップc)の前、間または後に接触させる。別の実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、直鎖ポリエチレンイミンもしくはポリアミンアミドエピクロロヒドリンまたはこれらの混合物から選択される。さらに別の実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの量は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、1.0重量%未満、好ましくは0.8重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.2重量%未満である。
【0020】
一実施形態によれば、方法ステップc)は、5℃から140℃、好ましくは10から110℃、最も好ましくは20℃から105℃または40から105℃の温度で実施される。
【0021】
一実施形態によれば、本発明の方法は、さらなるステップd)であって、ステップc)において得られた炭酸カルシウム含有複合粒子が、好ましくは複合粒子の全重量に基づき1重量%未満、0.8重量%未満、0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の総表面含水率になるまで乾燥される、ステップd)を含む。
【0022】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、さらなるステップe)であって、ステップd)において得られた乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子が、ふるい分けされおよび/または空気分級されて、望ましくない比較的大きい粒子が除去され、好ましくは、100μmより大きい粒子、好ましくは50μmより大きい粒子、より好ましくは20μmより大きい粒子が除去される、ステップe)を含む。
【0023】
一実施形態によれば、方法ステップc)は、磨砕装置で、好ましくはボールミルで実施され、好ましくは、方法ステップc)の間に形成された凝集塊および/または凝結体を再循環させて磨砕装置の入口に戻すサイクロン装置と組み合わせて実施される。別の実施形態によれば、ステップc)の間に形成された炭酸カルシウム含有複合粒子は、より小さい粒子に分割される。
【0024】
一実施形態によれば、方法ステップc)において得られた炭酸カルシウム含有複合粒子から、水および場合によって分散剤を添加することによって、スラリーが調製される。別の実施形態によれば、該分散剤は、2000から15000g/mol、好ましくは3000から7000g/mol、最も好ましくは3500から6000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアクリル酸ナトリウムである。さらに別の実施形態によれば、該スラリーは、スラリーの総重量に基づき、10から82重量%、好ましくは50から81重量%、より好ましくは60から70重量%または70から78重量%の固形分を有する。
【0025】
用語「結合剤」は、本発明で使用される場合、混合物中の2種以上の別の材料を共に結合するために従来法で使用される化合物である。しかし、本発明の方法では、結合剤は凝集以外の効果、すなわち、同等なまたは改善された流動性で炭酸カルシウム含有鉱物粉末のかさ密度を改善する効果を有する。
【0026】
本発明の意味における「かさ密度」は、粉末、顆粒および他の「分割された」固体の性質であり、材料の多くの粒子の質量をこれらが占める総容積で除したものとして定義される。総容積は、粒子容積、粒子間空隙容積および内部細孔容積を含む。本発明のかさ密度は、Powder Rheometer System FT4(Freeman Technology Ltd.、イギリス)で測定することができ、kg/dmで示される。
【0027】
本発明の目的のために、用語「炭酸カルシウム含有鉱物粉末」は、「重質炭酸カルシウム」(GCC)および/または「軽質炭酸カルシウム」(PCC)を含む。少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、鉱物粉末の総重量に基づき10重量%未満の総表面含水率を有する。
【0028】
用語「乾燥された」炭酸カルシウム含有複合粒子は、複合粒子の総重量に基づき、0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満の総表面含水率を有する炭酸カルシウム含有複合粒子を指すものとして理解される。
【0029】
用語「エネルギー消費量」は、本発明で使用される場合、1メートルトンの粉末または粒子を移動させるのに必要なエネルギーの尺度である。本発明全体を通して、エネルギー消費量は、バルク固体の「流動性」の尺度として使用される。すなわち、エネルギー消費量が低いほど、バルク固体の流動性が良い。本発明の「エネルギー消費量」は、Powder Rheometer System FT4(Freeman Technology Ltd.、イギリス)を使用して決定することができ、kJ/tで示される。
【0030】
本発明の意味において、「流動性」は、粉末、顆粒および他の「分割された」固体の性質であり、粉末生成物の粉末移動のためのエネルギー消費量によって定義される。本発明の流動性は、Powder Rheometer System FT4(Freeman Technology Ltd.、イギリス)で測定することができ、kJ/tで示される。
【0031】
本発明の意味における「重質炭酸カルシウム(GCC)」は、大理石、チョークまたは石灰石を含めた天然源から得られ、湿式および/または乾式粉砕、例えば遠心分離またはサイクロンによる、湿潤状態および/または乾燥後のふるい分けおよび/または細分化などの処理を通して加工される炭酸カルシウムである。
【0032】
本文書全体を通して、炭酸カルシウム生成物の「粒径」は、その粒径分布によって記述される。それに対して、値dは粒子のx重量%がdより小さい直径を有するような直径を表す。これは、d20値が、全粒子の20重量%がその粒径より小さいような粒径であることを意味しており、d75値が、全粒子の75重量%がその粒径より小さいような粒径であることを意味している。よって、d50値は、重量中央粒径である。すなわち、全粒子の50重量%がこの粒径より大きいまたは小さい。本発明の目的のために、粒径は、特記ある場合を除き、重量中央粒径d50として示される。0.5μmより大きいd50を有する粒子の重量中央粒径d50値を決定する場合は、Micromeritics社(アメリカ)製のSedigraph 5100装置を使用することができる。
【0033】
本発明の意味における「軽質炭酸カルシウム(PCC)」は一般に、水溶液環境での二酸化炭素と石灰との反応後の沈降によって得られるまたは水中でのカルシウムと炭酸源との沈降によって、例えば炭酸ナトリウムと塩化カルシウムとによって得られる合成材料である。
【0034】
用語「粉末」は、本発明で使用される場合、粉末の総重量に基づき少なくとも90重量%無機鉱物物質の固体鉱物粉末であって、粉末粒子が100μm以下、好ましくは50μm未満、より好ましくは10μm未満、最も好ましくは0.5μmから5.0μmの間のd50値を有する、固体鉱物粉末を包含する。
【0035】
本発明の目的のために、「スラリー」は、不溶性固体および水ならびに場合によってさらなる添加剤を含み、通常は大量の固体を含有しており、よって、その形成元の液体より粘度が高く一般に密度が高い。
【0036】
本発明の意味における用語「固体」炭酸カルシウム含有複合粒子は、複合粒子の総重量に基づき少なくとも90重量%の固形分を有する炭酸カルシウム含有複合粒子を指す。
【0037】
本発明の目的のために、用語「総表面含水率」は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末および/または炭酸カルシウム含有複合粒子の表面ならびに炭酸カルシウム含有鉱物粉末および/または炭酸カルシウム含有複合粒子内の細孔上に吸収された水の量を指す。本発明の水分重量%は、電量カールフィッシャー測定方法(Coulometric Karl Fischer measurement method)に従って決定され、ここでは、鉱物粉末および/または複合粒子が220℃に加熱され、蒸気として放出され窒素ガス流(100mL/分)を使用して単離された含水量が、電量カールフィッシャーユニットで決定される。
【0038】
同等なまたは改善された流動性で、増加したかさ密度を有する炭酸カルシウム含有複合粒子を調製する本発明の方法は、(a)少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を用意するステップ、(b)少なくとも1種の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液を調製するステップ、(c)ステップa)の少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、固体炭酸カルシウム含有複合粒子を形成する量の、ステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させるステップを含み、複合粒子の総重量に基づき0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子が、ステップa)において用意された炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、同等なまたは改善された流動性で、増加したかさ密度を有する。
【0039】
本発明者らは、驚いたことに、乾燥炭酸カルシウム含有鉱物粉末を結合剤の溶液または乳濁液または分散液と接触させることによって、炭酸カルシウム含有鉱物粉末のかさ密度を、同等なまたは改善された流動性で改善することができることを見出した。
【0040】
いかなる理論にも拘束されるものではないが、結合剤が炭酸カルシウム含有鉱物粉末の粒形を変化させ、粉末粒子の凝集に反作用すると考えられる。これにより、結果的に炭酸カルシウム含有鉱物粉末の充填性および流動性が改善される。しかし、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の特性は、本発明の方法によって実質的な程度には全く損なわれておらず、すなわち、不透明性、結合性などの望ましい材料の特性の全ては実質的に元のままであるか改善すらされている。
【0041】
方法ステップa):少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末
本発明の方法で使用されてもよい少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、例えば、重質炭酸カルシウム(GCC)もしくは軽質炭酸カルシウム(PCC)またはこれらの混合物の形である炭酸カルシウムを含むことができる。
【0042】
天然の重質炭酸カルシウム(GCC)は、例えば、大理石、石灰石、チョークおよび/または苦灰石のうちの1種以上であることを特徴とすることができる。本発明の一実施形態によれば、GCCは乾式粉砕によって得られる。本発明の別の実施形態によれば、GCCは湿式粉砕およびそれに次ぐ乾燥によって得られる。
【0043】
一般に、粉砕ステップは、任意の従来の粉砕装置で、例えば、精製が主に二次的な物体との衝突から得られるような状態の下で実施されてもよく、すなわち、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心インパクトミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、微粉機、細断機、デクランパー(de−clumper)、ナイフカッターまたは当業者に公知の他のかかる機器のうちの1種以上において実施されてもよい。炭酸カルシウム含有鉱物粉末が湿潤重質炭酸カルシウム含有鉱物材料を含む場合、粉砕ステップは、自生粉砕が行われるような状態の下で行われてもよく、ならびに/または横型ボールミル磨砕および/もしくは当業者に公知の他のかかる方法によって行われてもよい。このように得られた湿式処理された重質炭酸カルシウム含有鉱物材料は、乾燥に先立って、周知の方法によって、例えば、凝集、濾過または強制蒸発によって、洗浄され、脱水されてもよい。それに次ぐ乾燥ステップは、噴霧乾燥などの単一のステップで実施されてもよいしまたは少なくとも2ステップで実施されてもよい。かかる鉱物材料を選鉱ステップ(浮選、漂白または磁気分離ステップなど)にかけて不純物を除去することも一般的である。
【0044】
軽質炭酸カルシウム(PCC)は、例えば、アラレ石型、ファーテライト型および/または方解石型鉱物結晶形のうちの1種以上であることを特徴とすることができる。アラレ石は通常針状形であるのに対し、ファーテライトは六方晶系に属している。方解石は、偏三角面体、角柱、球および菱面体形を形成することができる。PCCは、様々な手段で生成されてもよく、例えば、二酸化炭素での沈降、石灰ソーダ法またはPCCがアンモニア生成の副生物であるソルベー法によって生成されてもよい。得られたPCCスラリーは、機械的に脱水され、乾燥されてもよい。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、GCCおよびPCCならびにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、重質炭酸カルシウム(GCC)を含む。
【0047】
炭酸カルシウムに加えて、炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、さらなる金属酸化物、例えば二酸化チタンおよび/もしくは三酸化アルミニウムなど、金属水酸化物、例えば三水酸化アルミニウムなど、金属塩、例えば硫酸塩など、ケイ酸塩、例えばタルクおよび/もしくはカオリンクレーおよび/もしくはマイカなど、炭酸塩、例えば炭酸マグネシウムなど、ならびに/または石膏、サテンホワイトならびにこれらの混合物を含んでもよい。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、炭酸カルシウム含有材料粉末中の炭酸カルシウムの量は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき少なくとも90重量%であり、例えば、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%または最も好ましくは少なくとも99.8重量%である。
【0049】
少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総表面含水率は、鉱物粉末の総重量に基づき10重量%未満である。本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末の含水量は、鉱物粉末の総重量に基づき、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満であり、好ましくは、0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満である。
【0050】
好ましい一実施形態では、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、50%の相対湿度を有する水分雰囲気に23℃で48時間暴露された後であっても、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、0.01重量%から1.0重量%の間、好ましくは0.02重量%から0.9重量%の間、より好ましくは0.03重量%から0.09重量%の間の総表面含水率を有する。
【0051】
炭酸カルシウム含有鉱物粉末の粉末粒子は、0.1から100μm、0.3から50μmまたは0.4から10μmのd50値であることを特徴とすることができる。好ましくは、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の粉末粒子は、約0.5から5.0μmのd50値を有する。
【0052】
方法ステップb):少なくとも1種の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液
本発明の方法のステップb)では、少なくとも1種の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液が調製される。適切な結合剤は、例えば、天然由来の結合剤、例えば、デンプン、カゼインなどのタンパク質、セルロースおよびセルロースの誘導体、例えば、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)および/もしくはカルボキシメチルセルロース(CMC)などまたは合成結合剤、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVA)、アクリル結合剤、例えば、アクリル酸エステル結合剤および/もしくはアクリロニトリル結合剤および/もしくはスチレン−アクリレート結合剤など、スチレン結合剤、スチレン−ブタジエン結合剤ならびにブタジエン結合剤またはこれらの混合物である。
【0053】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤は合成結合剤、例えばポリマー結合剤である。
【0054】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤は、アクリロニトリル、ブタジエン、アクリレート、アクリル酸ブチル、スチレン、スチレン−ブタジエンおよびアクリル酸エステルのコポリマーならびにこれらの混合物を含む群から選択されるポリマー性結合剤である。適切なポリマー性結合剤の例は、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリ(アクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸エチルとのコポリマーまたは酢酸ビニルとアクリル酸n−ブチルとのコポリマーである。
【0055】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤は、アニオン性のポリマー性結合剤である。適切なアニオン性のポリマー性結合剤は、例えば、オレフィン性不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸のようなモノカルボン酸などまたはマレイン酸もしくは無水マレイン酸および/フマル酸および/もしくはイタコン酸および/もしくはシトラコン酸のようなジカルボン酸などまたはアコニット酸のようなトリカルボン酸など)に、アクリロニトリル、ブタジエン、モノビニリデン芳香族モノマー(例えば、α−メチルスチレンおよび/もしくはオルト−、メタ−、パラメチルスチレン、スチレン−ブタジエンのようなスチレンおよびスチレン誘導体など)、オレフィン性不飽和エステル(例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ブチルのようなアクリル酸および/もしくはメタクリル酸アルキルエステルなど)を組み合わせたコポリマーならびにこれらの混合物のような、カルボン酸含有ポリマーである。適切なポリマー性結合剤の例は、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリ(アクリル酸n−ブチル)、ポリ(メタクリル酸n−ブチル)、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸エチルとのコポリマーまたは酢酸ビニルとアクリル酸n−ブチルとのコポリマーである。
【0056】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤は、エチレンアクリル酸メチル、エチレンアクリル酸、ポリアセテート、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタレートカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、スチレンアクリロニトリル、アクリロニトリルアクリル酸スチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシメチルメタクリレートまたはこれらの混合物のホモ−および/またはコポリマーを含む群から選択される熱可塑性ポリマーである。該ホモ−および/またはコポリマーは、架橋性であっても、非架橋性であってもよい。代表的な一実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤は、好ましくはブタ−1−エン、ヘキサ−1−エン、4−メチル−ペンタ−1−エン、ヘプタ−1−エン、オクタ−1−エンおよびデカ−1−エンを含む群から選択される、より好ましくはブタ−1−エンおよびヘキサ−1−エンを含む群から選択される、C−C12−α−オレフィンのコモノマーを含む熱可塑性ポリマーである。
【0057】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤は、スチレン−アクリレートコポリマーおよびスチレン−ブタジエン−コポリマーならびにこれらの混合物を含む群から選択される。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤の溶液または乳濁液または分散液は、水溶液または乳濁液または分散液であり、すなわち、溶液または乳濁液または分散液を調製するために使用される溶媒は水である。
【0059】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤は、水性の分散液の形で提供される。結合剤が分散液の形で提供されている場合、結合剤の粒径は、10から800nm、好ましくは20から500、より好ましくは25から100nmのd50値を有していてもよい。しかし、少なくとも1種の結合剤はまた、溶液もしくは乳濁液の形で提供されてもよいし、また溶液および/もしくは乳濁液および/もしくは分散液の混合物の形で提供されてもよい。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種の結合剤の量は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、10重量%未満、好ましくは7重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは0.1から4重量%の間である。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、ステップb)の少なくとも1種の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液は、溶液または乳濁液または分散液の総重量に基づき、結合剤を10から70重量%含有し、好ましくは40から65重量%、より好ましくは45から55重量%含有する。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、ステップb)の少なくとも1種の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液の量は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、10重量%未満、好ましくは7重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは0.1から4重量%の間である。
【0063】
方法ステップc):炭酸カルシウム含有鉱物粉末と結合剤とを接触させる
方法ステップc)では、ステップa)の少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、固体炭酸カルシウム含有複合粒子を形成する量の、ステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる。
【0064】
ステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液および場合によってさらなる構成成分は、固体炭酸カルシウム含有複合粒子を形成する量で添加される。ステップb)の結合剤の溶液または乳濁液または分散液および場合によってさらなる構成成分は、固体生成物、すなわち、生成物の総重量に基づき少なくとも90重量%の最終固形分を有する生成物が確実に得られる量で炭酸カルシウム含有鉱物粉末に添加されることに注意すべきである。換言すれば、ステップb)の結合剤の大量の溶液または乳濁液または分散液ならびに場合によってさらなる成分を添加することによって液体反応混合物を形成することは避けるべきであり、必要に応じて熱および/または真空を用いる。
【0065】
少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末をステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させることは、混合および/または均質化条件下で実施されてもよい。当業者であれば、こうした混合および/または均質化条件、例えば混合速度および温度などを、自分のプロセス用機器に従って適合させると思われる。
【0066】
例えば、混合および均質化は、プローシェアミキサーを利用して行ってもよい。プローシェアミキサーは、機械的に生成された流動床の原理によって機能する。鋤型のブレードが横型円筒形ドラムの内壁近くを回転し、混合物の構成成分を生成物床から空いた混合空間に運び出す。機械的に生成された流動床により、大きなバッチであっても極めて短い時間に強力な混合が確実となる。乾式操作では、塊を分散させるために細断機および/または分散機が使用される。本発明の方法に使用されてもよい機器は、例えば、Gebruder Lodige Maschinenbau GmbH(ドイツ)から入手可能である。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、方法ステップc)は、流動床混合機またはプローシェアミキサーを使用して実施される。
【0068】
本発明の別の実施形態によれば、方法ステップc)は、磨砕装置で、好ましくはボールミルで実施され、好ましくは、方法ステップc)の間に形成された凝集塊および/または凝結体を再循環させて磨砕装置の入口に戻すサイクロン装置と組み合わせて実施される。サイクロン装置により、粒子、凝集塊または凝結体などの粒状材料を、重力に基づいて比較的小さいおよび比較的大きい粒状材料の画分に分離することができる。
【0069】
実験の実施形態によれば、方法ステップc)の間に形成された炭酸カルシウム含有複合粒子は、より小さい粒子に分割される。用語「分割すること」は、本発明で使用される場合、粒子がより小さい粒子に分けられることを意味している。これは、例えば、ボールミル、ハンマーミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心インパクトミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、微粉機、細断機、デクランパーまたはナイフカッターを使用する粉砕によって行われてもよい。しかし、方法ステップc)の間に形成された炭酸カルシウム含有複合粒子をより小さい粒子に分割することが可能な他の任意の装置を使用してもよい。
【0070】
方法ステップc)は、室温で、すなわち20℃で実施されてもよいしまたは他の温度で実施されてもよい。一実施形態によれば、方法ステップc)は、5から140℃、好ましくは10から110℃、最も好ましくは20から105℃の温度で実施される。いかなる理論にも拘束されるものではないが、方法ステップc)を、室温を上回る温度、例えば40から105℃の間で実施することによって、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の表面への結合剤の接着を改善することができると考えられる。熱は、内部剪断によってもしくは外部熱源によってまたはこれらの組み合わせによって導入されてもよい。
【0071】
本発明の代表的な実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、それをステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる前に予熱される。例えば、炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、30から100℃、40から90℃または好ましくは50から80℃の温度に予熱されてもよい。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、方法ステップc)は、少なくとも1秒間、好ましくは少なくとも1分間、例えば、少なくとも15分間、30分間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間または10時間実施される。
【0073】
本発明の代表的な実施形態によれば、方法ステップc)は、20℃で少なくとも30分間実施される。別の代表的な実施形態によれば、方法ステップc)は、80℃で少なくとも30分間実施される。
【0074】
本発明の別の代表的な実施形態によれば、方法ステップc)は、回転子固定子混合機で、80から150℃の温度で、好ましくは120℃の温度で、1から10秒間、例えば2から3秒間、複合粒子2から5トン/時の工業生産速度で連続的に実施される。
【0075】
本発明の別の代表的な実施形態によれば、方法ステップc)は、処理ステップおよび加熱ステップに分割され、ここでは、処理ステップは、ステップa)の少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、ステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させるステップを含む。例えば、処理ステップおよび加熱ステップは、並行して実施されてもよいしまたは処理ステップの後に加熱ステップが続いてもよい。
【0076】
本発明の代表的な一実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末をステップb)の少なくとも1種の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させた後に、均質化ステップが実施される。
【0077】
より良い分散を確実とするために、本発明の方法に使用される構成成分のうちのいずれかに分散剤も添加されてもよく、例えば分散剤の水溶液および/または粉末の形で添加されてもよい。適切な分散剤は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸をベースとするポリカルボン酸塩およびアクリルアミドのホモポリマーもしくはコポリマーまたはこれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい。アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーがとりわけ好ましい。かかる製品の重量平均分子量Mは、好ましくは2000から15000g/molの範囲内であり、重量平均分子量Mが3000から7000g/molまたは3500から6000g/molであることがとりわけ好ましい。代表的な実施形態によれば、分散剤は、2000から15000g/mol、好ましくは3000から7000g/mol、最も好ましくは3500から6000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアクリル酸ナトリウムである。
【0078】
得られた固体炭酸カルシウム含有複合粒子
本発明の一実施形態によれば、得られた固体炭酸カルシウム含有複合粒子の固形分は、複合粒子の総重量に基づき少なくとも90重量%であり、例えば、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%または最も好ましくは少なくとも99.8重量%またはさらには>99.9重量%である。
【0079】
任意の実施形態によれば、本発明の方法は、さらなる方法ステップd)であって、ステップc)において得られた炭酸カルシウム含有複合粒子が乾燥される方法ステップd)を含む。
【0080】
炭酸カルシウム含有複合粒子は、例えば熱的に、例えば、噴霧乾燥機もしくはマイクロ波を利用してまたはオーブン中で乾燥されてもよいしまたは機械的に、例えば、濾過もしくは含水量を低下させることによって乾燥されてもよい。
【0081】
本発明の、任意の実施形態によれば、炭酸カルシウム含有複合粒子は、50から150℃、好ましくは80から120℃の温度で、より好ましくは約110℃の温度で、オーブン中で乾燥される。
【0082】
本発明の任意の別の実施形態によれば、得られた炭酸カルシウム含有複合粒子は、好ましくは50%の相対湿度を有する水分雰囲気に23℃で48時間に暴露された後であっても、複合粒子の総重量に基づき、1重量%未満、0.8重量%未満、0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の総表面含水率まで乾燥されている。
【0083】
複合粒子の総重量に基づき0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子は、ステップa)において用意された炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、同等なまたは改善された流動性で、増加したかさ密度を有する。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、複合粒子の総重量に基づき0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子のかさ密度は、ステップa)において用意された炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、5から80%、好ましくは8から60%、より好ましくは10から50%増加する。乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子のかさ密度は、例えば、0.5から1.0kg/dm、0.6から0.9kg/dmまたは0.7から0.8kg/dmであってもよい。
【0085】
本発明の別の実施形態によれば、複合粒子の総重量に基づき0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子を移動させるのに必要なエネルギー消費量は、ステップa)において用意された炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して減少する。
【0086】
本発明の代表的な実施形態によれば、複合粒子の総重量に基づき0.5重量%未満の総表面含水率における、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子のエネルギー消費量は、ステップa)において用意された炭酸カルシウム含有鉱物粉末と比較して、0から40%、好ましくは5から30%、より好ましくは10から20%減少する。乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子のエネルギー消費量は、例えば、1から20kJ/t、4から16kJ/tまたは6から14kJ/tであってもよい。
【0087】
本発明の乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子は、紙用途、塗料またはプラスチックに使用されてもよい。
【0088】
任意の方法ステップ:少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を少なくとも1種のカチオン性ポリマーと接触させる
本発明のさらなる任意の実施形態によれば、ステップa)において用意された少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、ステップc)の前、間または後に、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる。いかなる理論にも拘束されるものではないが、カチオン性ポリマーにより、炭酸カルシウム含有鉱物粉末への少なくとも1種の結合剤の接着を改善することができると考えられる。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、1種以上のジカルボン酸およびジアミン、トリアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンの群からの1種以上のモノマー、ならびにエピクロロヒドリンをモノマーとして含むコポリマーからなる。
【0090】
好ましくは、飽和または不飽和の、分岐または非分岐の、C−C10−ジカルボン酸、とりわけC−C−ジカルボン酸、C−C−ジカルボン酸、C−C−ジカルボン酸、特にアジピン酸が、ジカルボン酸モノマーとして使用される。
【0091】
直鎖または分岐の、置換または非置換の、ジアミンおよびトリアミン、特にN−(2−アミノエチル)−1,2−エタン−ジアミンが、結合剤ポリマーの第2のモノマーとしてとりわけ適切である。
【0092】
好ましいジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミンには、例えば、ジエタノールアミン、N−アルキルジアルカノールアミン、例えばN−メチル−およびN−エチル−ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンが含まれる。
【0093】
コポリマーの分子量および/または鎖長を監視または制御するために、1種以上の一価アミン、例えばモノアルカノールアミンなどが重縮合の間に使用されてもよい。好ましい実施形態によれば、モノエタノールアミンが使用される。
【0094】
本発明の好ましい実施形態によれば、得られる中間体コポリマーを、次にエピクロロヒドリンと反応させる。別の好ましい実施形態によれば、得られる中間体コポリマーは、エピクロロヒドリンと反応させる前に、800から1200g/mol、好ましくは900から1100g/molまたは950から1050g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0095】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーはポリエチレンイミン(PEI)であり、分岐ポリエチレンイミン、直鎖ポリエチレンイミンおよび前記の混合物を含む群から選択される。好ましくは、本発明の分岐ポリエチレンイミン中の一級、二級および三級アミン反応基の比率は、分岐ポリエチレンイミンの実行可能な変性の前に、1:0.86:0.42から1:1.20:0.76までの範囲内である。
【0096】
本発明の好ましい一実施形態によれば、少なくとも1種のポリエチレンイミンは、変性および未変性ポリエチレンイミンの群から選択される。
【0097】
適切なポリエチレンイミンの例は、エチレンイミン(アジリジン)またはそれより高度なその同族体のホモポリマー、また、ポリアミドアミンまたはポリビニルアミンとエチレンイミンまたはそれより高度なその同族体とのグラフトポリマーである。ポリエチレンイミンは、架橋されていても架橋されていなくてもよく、四級化されていてもよくおよび/またはアルキレンオキシド、炭酸ジアルキルもしくは炭酸アルキレンまたはC−C−カルボン酸との反応によって変性されていてもよい。ポリエチレンイミンは、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドなど、炭酸ジアルキル、例えば炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルなど、炭酸アルキレン、例えば炭酸エチレンもしくは炭酸プロピレンなどまたはC−C−カルボン酸との反応によって変性されていてもよい。変性PEIは、アルコキシル化ポリエチレンイミン、例えばプロポキシル化ポリエチレンイミン(PPEI)およびエトキシル化ポリエチレンイミン(EPEI)などを含んでもよい。さらなる好ましい変性ポリエチレンイミンは、未変性PEIを、1種以上のC−C28−脂肪酸と、好ましくは1種以上のC−C18−脂肪酸と、とりわけ好ましくは、例えばヤシ脂肪酸のようなC10−C14−脂肪酸と反応させることによって得ることができる。PEIを含むカチオン性ポリマーを作製する一方法は、酸触媒下における水などの溶媒中でのエチレンジアミン(EDA)とエチレンイミン(EI)との反応に基づいている。一般的なエチレンイミンの例は、アジリジンである。組成物中の、得られたポリエチレンイミン(PEI)は、例えば、エチレンオキシドなどのアルキレンオキシドとアルコキシル化してAPEIを形成するなどのさらなる化学変換が可能な、一級、二級および三級アミンの官能性を有する。PEIはまた、エチレンジアミン(EDA)などのジ−またはポリアミン、アジリジンなどのエチレンイミン(EI)、水および酸触媒から作製されてもよい。
【0098】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、好ましくはカルボン酸基で変性された、より好ましくは1種以上のC−C28−脂肪酸、1種以上のC−C18−脂肪酸または1種以上のC10−C14−脂肪酸で変性された、変性ポリエチレンイミンを含むまたはアルコキシル化によって、好ましくはエトキシル化によって、より好ましくは10から50個のエチレンオキシド基でのエトキシル化によって、変性されている。
【0099】
本発明の好ましい実施形態では、ポリエチレンイミンは、100g/molから10000g/molの範囲内の重量平均分子量Mを有する。本発明の別の好ましい実施形態では、ポリエチレンイミンは、100から700g/mol、好ましくは146から232g/molの重量平均分子量Mを有する直鎖ポリエチレンイミンの群から選択され、好ましくは、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミンおよびテトラエチレンペンタミンから選択される。別の好ましい実施形態によれば、ポリエチレンイミンは、500から8000g/mol、好ましくは800から1200g/molの重量平均分子量Mを有する分岐ポリエチレンイミンの群から選択される。
【0100】
本発明の代表的な一実施形態によれば、アジピン酸とN−(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミンおよびエピクロロヒドリンとのコポリマーが、少なくとも1種のカチオン性ポリマーとして使用される。本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは直鎖ポリエチレンイミンもしくはポリアミンアミドエピクロロヒドリンまたはこれらの混合物から選択される。
【0101】
好ましくは、ポリアミンアミドエピクロロヒドリンが、少なくとも1種のカチオン性ポリマーとして使用される。
【0102】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップa)において用意される少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、ステップc)の前、間または後に、カチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液に接触させ、ここでは、少なくとも1種の結合剤は、アニオン性結合剤である。いかなる理論にも拘束されるものではないが、カチオン性ポリマーをアニオン性結合剤と組み合わせると、炭酸カルシウム含有鉱物粉末への少なくとも1種の結合剤の接着をさらに改善することができると考えられる。
【0103】
本発明の一実施形態によれば、本発明の方法で使用される少なくとも1種のカチオン性ポリマーの量は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、1.0重量%未満、好ましくは0.8重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.2重量%未満である。
【0104】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、水性の形で提供され、例えば、水溶液または乳濁液または分散液の形で提供される。
【0105】
少なくとも1種のカチオン性ポリマーが分散液の形で提供される場合、カチオン性ポリマーの粒径は、10から500nm、好ましくは20から100、より好ましくは25から80nmのd50値を有していてもよい。
【0106】
本発明の一実施形態によれば、カチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液は、溶液または乳濁液または分散液の総重量に基づき、5から70重量%、好ましくは10から50重量%、より好ましくは12から17重量%の少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む。
【0107】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、水溶液の形で提供され、該水溶液は、溶液の総重量に基づき、好ましくは10から50重量%、より好ましくは11から30重量%、最も好ましくは12から17重量%の少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む。
【0108】
しかし、少なくとも1種のカチオン性ポリマーはまた、乳濁液もしくは分散液の形で提供されてもよいしまたは溶液および/もしくは乳濁液および/もしくは分散液の混合物の形で提供されてもよい。
【0109】
本発明の一実施形態によれば、本発明の方法で使用される、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液の量は、炭酸カルシウム含有鉱物粉末の総重量に基づき、1.0重量%未満、好ましくは0.8重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.2重量%未満である。
【0110】
少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末をカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させることは、混合および/または均質化条件下で実施されてもよい。混合および/または均質化条件は、方法ステップc)について上述したものと同一であってもよい。
【0111】
一実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末は、それをカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる前に予熱される。
【0112】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、方法ステップc)の前に、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる。本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、方法ステップc)の間に、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる。本発明のさらに別の実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、方法ステップc)の後に、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる。好ましくは、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末を、方法ステップc)の前に、少なくとも1種のカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる。
【0113】
本発明の代表的な一実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末をカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させた後およびステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる前に、均質化ステップが実施される。本発明の別の代表的な実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有鉱物粉末をステップb)の結合剤の少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させた後およびカチオン性ポリマーの少なくとも1種の溶液または乳濁液または分散液と接触させる前に、均質化ステップが実施される。
【0114】
さらなる任意の方法ステップ
さらなる任意の実施形態によれば、本発明の方法は、さらなる方法ステップe)であって、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子が、ふるい分けされおよび/または空気分級されて、望ましくない大きな粒子が除去される方法ステップe)を含む。ふるい分けは、ふるい分け機、例えば、サークルスルー(circle−through)振動ふるい機、高周波振動機または旋回機を使用して実施されてもよい。空気分級は空気分級機を使用して実施されてもよく、それは、サイズ、形状および密度の組み合わせによって材料を選別するものであり、上昇する空気柱を含有するチャンバに選別しようとする材料の流れを噴出させることによって動作する。物体のサイズおよび形状に応じた空気抵抗により、移動している空気柱内の材料粒子が垂直方向に選別され、このようにして分離することができる。
【0115】
本発明の任意の一実施形態によれば、100μmより大きい、好ましくは50μmより大きい、より好ましくは20μmより大きい粒子が除去される。好ましくは、望ましくない大きい粒子は、得られた乾燥炭酸カルシウム含有複合粒子中で、1000ppm未満の量まで、より好ましくは100ppm未満の量まで、例えば、50および80ppm未満または60および70ppm未満まで除去される。
【0116】
任意の別の実施形態によれば、スラリーが、ステップc)によって得られた炭酸カルシウム含有複合粒子から、水を添加することによって調製される。
【0117】
場合によって、スラリーを調製するために分散剤が使用されてもよい。分散剤は、炭酸カルシウム含有複合粒子の総重量に基づいて、0.01から10重量%、0.05から8重量%、0.5から5重量%、0.8から3重量%または1.0から1.5重量%の量で使用されてもよい。好ましい実施形態では、顔料が、複合粒子の総重量に基づいて0.05から5重量%の量の分散剤とともに、好ましくは0.5から5重量%の量の分散剤とともに分散されている。適切な分散剤は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸をベースとするポリカルボン酸塩およびアクリルアミドのホモポリマーもしくはコポリマーまたはこれらの混合物を含む群から選択されることが好ましい。アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーがとりわけ好ましい。かかる生成物の重量平均分子量Mは、好ましくは2000から15000g/molの範囲内であり、重量平均分子量Mが3000から7000g/molまたは3500から6000g/molであることがとりわけ好ましい。代表的な実施形態によれば、分散剤は、2000から15000g/mol、好ましくは3000から7000g/mol、最も好ましくは3500から6000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアクリル酸ナトリウムである。
【0118】
炭酸カルシウム含有複合粒子から調製されるスラリーは、スラリーの総重量に基づいて10から82重量%、好ましくは50から81重量%、より好ましくは60から70重量%または70から78重量%の固形分を有していてもよい。
【実施例】
【0119】
以下の実施例は、本発明の方法に従って調製された様々な炭酸カルシウム含有複合粒子を示している。
【0120】
A.材料
炭酸カルシウム含有鉱物粉末
炭酸カルシウム1:スラリーの総重量に基づいて25重量%で、湿式粉砕および噴霧乾燥された、イタリア、カララ地方の大理石、粒径(d50):1.8μm
炭酸カルシウム2:乾式粉砕された、イタリア、カララ地方の大理石、粒径(d50):3.4μm
炭酸カルシウム3:乾式粉砕された、イタリア、カララ地方の大理石、粒径(d50):5.3μm
炭酸カルシウム4:乾式粉砕された、オーストリア、フィラッハ地方の大理石、粒径(d50):2.6μm
炭酸カルシウム5:乾式粉砕された、デンマーク地方のチョーク、粒径(d50):2.4μm
【0121】
カチオン性ポリマー
カチオン性ポリマー1:直鎖ポリエチレンイミン、濃度:>99%
カチオン性ポリマー2:水中に溶解させたポリアミンアミドエピクロロヒドリン、濃度:溶液の総重量に基づき15重量%。
【0122】
結合剤
結合剤1:水中に分散させたスチレン−アクリレート−コポリマー、濃度:分散液の総重量に基づき50重量%。
【0123】
結合剤2:水中に分散させたスチレン−ブタジエン−コポリマー、濃度:分散液の総重量に基づき50重量%。
【0124】
分散剤1
ポリアクリル酸ナトリウム、M=3500g/mol
【0125】
B.方法:
処理方法1
CaCO粉末3000gをLodige混合機(Gebruder Lodige Maschinenbau GmbH、ドイツ)に入れ、混合機を運転しながらカチオン性ポリマー溶液を添加した。5分間の均質化ステップの後に結合剤の分散液を添加し、この混合物をさらに30分間均質化した。カチオン性ポリマーを使用しなかった場合は、カチオン性ポリマーではなく結合剤の分散液を最初に添加した。
【0126】
得られた生成物を、乾燥器中で15時間110℃に調節した。
【0127】
処理方法2
CaCO粉末3000gを、80℃の乾燥器中で2時間予熱した。次に、このCaCOを、80℃に予熱されたLodige混合機(Gebruder Lodige Maschinenbau GmbH、ドイツ)に入れ、混合機を運転しながらカチオン性ポリマー溶液を添加した。5分間の均質化ステップの後に結合剤の分散液を添加し、この混合物をさらに30分間均質化した。全処理方法の間、Lodige混合機の温度を80℃に保持した。カチオン性ポリマーおよび結合剤は予熱しなかった。カチオン性ポリマーを使用しなかった場合は、カチオン性ポリマーではなく結合剤の分散液を最初に添加した。
【0128】
得られた生成物を、乾燥器中で15時間110℃に調節した。
【0129】
処理方法3
CaCO粉末500gをM3/1.5型混合機(MTI Mischtechnik International GmbH、ドイツ)に入れ、500rpmで混合を起動した。その後、カチオン性ポリマー溶液および結合剤の分散液を、CaCO粉末に室温で導入した。混合機の内容物は、500rpmの撹拌速度の下で、10分または20分の間混合された。
【0130】
得られた生成物を、乾燥器中で15時間110℃に調節した。
【0131】
調整された、かさ密度(CBD)の測定
粉末を調整することにより低応力で均一な充填状態を築くことができるPowder Rheometer System FT4(Freeman Technology Ltd.、イギリス)で、調整された、かさ密度を測定した。
【0132】
調整方法は、均質に充填された粉体層を作成することを目的として、粉末をほぐし軽く空気を含ませるために、試料全体を穏やかに転置させるものであった。調整サイクルは、ブレードの下方への縦断およびそれに次ぐ上方への縦断から構成されていた。下方縦断には、ブレードの動作が圧縮するより切るように、5°の正のねじれ(helix)を使用した。上方縦断には、粉末を穏やかに持ち上げてブレード越しに落とし、各粒子がブレードの下で静止するような、5°の負のねじれを使用した。調整サイクルの後、粉末試料は局所的な応力を有しておらず、過剰な空気を含んでいなかった。
【0133】
次に、160mlの体積に相当する試料をPowder Rheometer System FT4に内蔵された秤を使用して計量し、調整された、かさ密度がレオメーターによって自動的に計算された。
【0134】
粉末移動のためのエネルギー消費量の測定
1メートルトンの粉末を移動させるのに必要なエネルギーを、Powder Rheometer System FT4(Freeman Technology Ltd.、イギリス)およびPowder Rheometer System FT4によって提供される、特定の一連の安定性(Rep)および可変流量(VFR)試験シーケンスを使用して決定した。
【0135】
Rep+VFR試験の構成は、以下に図示される通りの、7回の調整および安定性試験の試験サイクルと、4回の調整および可変流速試験の試験サイクルとを組み合わせたものであった。
【0136】
【化1】
図中、C=調整サイクル、T=試験サイクル、(x)=試験サイクル中のブレード端速度(mm/秒)および分割=測定用に正確な粉末容量を提供するために容器を分けることである。粉末の質量は分割後に自動的に再計算された。ブレード端速度は、括弧内に定められていない場合(Repシーケンスの間)、100mm/秒であった。
【0137】
mJでの平均「総エネルギー消費量」が試験番号4から8から得られ、平均総エネルギー消費量を測定された試料の重量で除することによって、kJ/tでのエネルギー消費量に変換された。
【0138】
Brookfield粘度の測定
Brookfield粘度は、Brookfield DVII+粘度計をl00rpmおよび23℃で使用して測定した。
【0139】
粒径の測定
重量中央粒径d50を決定するために、Micromeritics社(アメリカ)製のSedigraph 5100装置を使用した。測定を0.1重量%のNaの水溶液中で行った。試料を高速撹拌機および超音波を使用して分散させた。
【0140】
総表面含水率の測定
総表面含水率は、カールフィッシャー電量測定方法に従って決定され、ここでは、乾燥された炭酸カルシウム含有複合粒子が220℃に加熱され、蒸気として放出され窒素ガス流(100mL/分)を使用して単離された含水量が、電量カールフィッシャーユニットで決定された。
【0141】
C.結果
【0142】
[実施例1]
2000gの炭酸カルシウム1を、処理方法2を使用して処理し、該方法において0.5重量%のカチオン性ポリマー1および8重量%の結合剤2が添加された。ここでは、重量パーセントは炭酸カルシウムの総重量に基づいている。
【0143】
本発明の生成物は、未処理の炭酸カルシウムと比較して、かさ密度の上昇および生成物の移動に要するエネルギーの低下を示した。
【0144】
【表1】
【0145】
[実施例2]
2000gの炭酸カルシウム2を、処理方法1を使用して表面処理し、該方法において0.2重量%のカチオン性ポリマー2および3重量%の結合剤1が添加された。ここでは、重量パーセントは炭酸カルシウムの総重量に基づいている。
【0146】
本発明の生成物は、未処理の炭酸カルシウムと比較して、かさ密度の上昇および生成物の移動に要するエネルギーの低下を示した。
【0147】
【表2】
【0148】
[実施例3]
生成物A:
3000gの炭酸カルシウム3を、処理方法1を使用して表面処理し、該方法において0.2重量%のカチオン性ポリマー2および3重量%の結合剤1が添加された。ここでは、重量パーセントは炭酸カルシウムの総重量に基づいている。
【0149】
生成物B:
500gの炭酸カルシウム3を、処理方法3を使用して表面処理し、該方法において3重量%の結合剤1が添加された。ここでは、重量パーセントは炭酸カルシウムの総重量に基づいている。
【0150】
本発明の生成物は、未処理の炭酸カルシウムと比較して、かさ密度の上昇および生成物の移動に要するエネルギーの低下を示した。
【0151】
【表3】
【0152】
[実施例4]
3000gの炭酸カルシウム5を、処理方法1を使用して表面処理し、該方法において0.2重量%のカチオン性ポリマー2および3重量%の結合剤1が添加された。ここでは、重量パーセントは炭酸カルシウムの総重量に基づいている。
【0153】
本発明の生成物は、未処理の炭酸カルシウムと比較して、かさ密度の上昇および生成物の移動に要するエネルギーの低下を示した。
【0154】
【表4】
【0155】
[実施例5]
生成物C
2000gの炭酸カルシウム4を、処理方法2を使用して表面処理し、該方法において0.2重量%のカチオン性ポリマー2および2重量%の結合剤1が添加された。ここでは、重量パーセントは炭酸カルシウムの総重量に基づいている。
【0156】
生成物D
2000gの炭酸カルシウム4を、処理方法1を使用して表面処理し、該方法において0.2重量%のカチオン性ポリマー1および2重量%の結合剤1が添加された。ここでは、重量パーセントは炭酸カルシウムの総重量に基づいている。
【0157】
生成物E
2000gの炭酸カルシウム4を、処理方法1を使用して表面処理し、該方法において0.2重量%のカチオン性ポリマー2および5重量%の結合剤1が添加された。ここでは、重量パーセントは炭酸カルシウムの総重量に基づいている。
【0158】
本発明の生成物は、未処理の炭酸カルシウムと比較して、かさ密度の上昇および生成物の移動に要する同様のエネルギーまたはエネルギーの低下を示した。
【0159】
【表5】
【0160】
[実施例6]
65重量%の固体を有するスラリーを、実施例2の生成物の2000gおよび乾燥CaCOの重量に基づき0.03重量%の分散剤1を使用して調製した。
【0161】
得られたスラリーのBrookfield粘度は620mPasであった。
【0162】
[実施例7]
65重量%の固体を有するスラリーを、実施例3の生成物Aの2000gおよび乾燥CaCOの重量に基づき0.03重量%の分散剤1を使用して調製した。
【0163】
得られたスラリーのBrookfield粘度は510mPasであった。