特許第5764216号(P5764216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオリーダーズ コーポレーションの特許一覧 ▶ ザ インダストリー アンド アカデミック コオペレーション イン チュンナム ナショナル ユニバーシティの特許一覧 ▶ ククミン ユニバーシティ インダストリー−アカデミック コオペレーション ファウンデーションの特許一覧

特許5764216ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブ
<>
  • 特許5764216-ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブ 図000002
  • 特許5764216-ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブ 図000003
  • 特許5764216-ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブ 図000004
  • 特許5764216-ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764216
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月12日
(54)【発明の名称】ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/00 20060101AFI20150723BHJP
   G01N 21/64 20060101ALN20150723BHJP
【FI】
   A61K49/00 A
   !G01N21/64 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-539766(P2013-539766)
(86)(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公表番号】特表2013-544358(P2013-544358A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】KR2011008828
(87)【国際公開番号】WO2012067458
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2013年7月17日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0114925
(32)【優先日】2010年11月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506010208
【氏名又は名称】バイオリーダーズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BIOLEADERS CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】511314636
【氏名又は名称】ザ インダストリー アンド アカデミック コオペレーション イン チュンナム ナショナル ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】511166998
【氏名又は名称】ククミン ユニバーシティ インダストリー−アカデミック コオペレーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ソン ムンヒ
(72)【発明者】
【氏名】イム ヨンテク
(72)【発明者】
【氏名】ノ ヨンウク
(72)【発明者】
【氏名】イ イルハン
【審査官】 山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/063701(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/139466(WO,A1)
【文献】 Investigative Radiology,2007年,Vol.42,No.8,p.569-578
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 49/00
G01N 21/64
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ−γ−グルタミン酸及びインドシアニングリーン(ICG)の複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブであって、前記インドシアニングリーンの陰電荷が、前記ポリ−γ−グルタミン酸の疎水性部分と、疎水性結合又は非共有結合により結合する、前記光学映像プローブ
【請求項2】
前記ポリ−γ−グルタミン酸は、10〜15000kDaである請求項1に記載の光学映像プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブに関し、より詳しくは生体皮下注入時センチネルリンパ節で比較的長時間留まりながら、他のリンパ節への移動が少ないポリ−γ−グルタミン酸と光学蛍光ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
センチネルリンパ節とは、解剖学的には一次癌組織からリンパ管に沿って最初に流入するリンパ節と定義できるが、センチネルリンパ節を検査して、癌細胞を検査して陽性または、悪性を判定すると、その他のリンパ節への移転の有無を知ることができる。従って、センチネルリンパ節に癌細胞が転移しているかを分かると、残っている他のリンパ節状態も予見することができる。
【0003】
即ち、センチネルリンパ節に癌細胞がないとすると、残りのリンパ節にも癌細胞がないと見なせる。このようなセンチネルリンパ節を捜し出す方法として、手術時視覚的な助けを受けるために、イソスルファンブルーダイ(isosulfan blue dye, Lymphazurin 1%, Ben Venue Lab., Inc., USA)を利用する方法と手術前にテクネチウム99mコロイドアルブミン(technetium-99m colloid albumin)を患者に注入後、Neoprobe1500(Neoprobe Corp, USA)と放射線核を探索するhand−held gamma probeを利用する方法が挙げられるが、この二種類を併用すればセンチネルリンパ節を略100%まで探すことができ、センチネルリンパ節を探してこれを持って他のリンパ節への移転を予測する手術的技法が益々普遍化されている。
【0004】
黒色腫や乳癌のような表在性癌の場合で、センチネルリンパ節を探して、これに手術を適用することになれば、不要なリンパ節切除を避けることができる。一側、または両側リンパ腺切除手術を含む、局所広範囲切除術、または根治的外陰切除術の施行は、外陰部癌患者で施行されている一時しのぎの手術法であり、これは手術後創傷破壊(wound breakdown)、リンパ浮腫、又はリンパ種等の後遺症を伴いやすく、たとえ手術が成功しても、患者の生活の質の観点からは好ましくない。
【0005】
しかし、センチネルリンパ節を探し、この凍結生検(frozen biopsy)によって他のリンパ節への移転の有無を予測した後に、凍結生検結果が良性(benign)であれば、センチネルリンパ節の切除だけで手術を終結できる。これは外陰部癌の手術に取って非常に進歩的な方法といえる。
【0006】
ところが、従来用いられている放射線医薬品を利用したセンチネルリンパ節検出法は、多くの問題点を抱いている。放射線医薬品でラベルされたンリンパ節の病理学的検査時における、検査者及び検査室の汚染の問題、及び病理学的検査済みのサンプルの処理の問題等が深刻な問題となっている。何よりも、患者の放射線による曝露を最小化できるように、核医学的方法以外の他の分子映像方法を利用する、センチネルリンパ節の感知方法の開発が切に求められている。
【0007】
本発明者等は、このような問題点を解決するための方法として、生体親和性高分子及び生体親和性光学映像プローブの複合体を利用して、効果的にセンチネルリンパ節を検出できる新しい方法を開発しようと鋭意努力した。
【0008】
インドシアニングリーン(Indocyanine Green、ICG)は、近赤外線領域(700〜1300nm)で蛍光特性を示す代表的な生体光学映像用プローブであり、FDAからヒトに使用が許可された唯一の近赤外線蛍光プローブである。近赤外線は、可視光線に比べて皮膚透過度が良く、皮下層の血管、または臓器等を見るための分子映像イメージを獲得したり、手術過程中に、神経または血管といった敏感な部位に対する誘導(guidance)に適用できる長所を持っている。
【0009】
ICG検査は、主に肝機能検査に用いられており、これはICGを静脈内に注射して一定時間過ぎた後、血液中に残っているかを調べる検査である。ICGは血清蛋白と結合して、肝により選択的に吸収され、腎臓から排泄されず胆汁として排泄されるため、血液内にこの色素が留まる程度(停滞率)や消失率を測定することによって、肝機能を検査できる方法である。停滞率は、15分に5%以下が正常値であり、10%以上が残っている場合は、肝硬変等により肝機能が著しく低下されたことを意味する。
【0010】
ICGは、センチネルリンパ節検出に研究レベルで用いられたりもするが、その大きさが小さすぎるため、生体内に注入された場合、ICGがセンチネルリンパ節に長く留まることなく、周辺の他のリンパ節に移動してしまうという問題点がある。このため、実際手術過程で癌組織の周りにおいて、どのリンパ節がセンチネルリンパ節であるかを区分しにくくさせる短所がある。
【0011】
最近の研究で、高分子有機溶液に近赤外線蛍光ダイであるインドシアニングリーン(ICG)水溶液を分散させた後、前記混合水溶液が分散した高分子有機溶液を乳化剤水溶液に分散させて、近赤外線蛍光ダイを含有する高分子粒子に関する特許出願(韓国公開特許第2009−0026642号)がある。このような高分子粒子は、100nmを超える粒径を持つナノ/マイクロ粒子で製造されて、主に血管投与及び経口投与に用いられるが、10〜25nmの粒径が求められるセンチネルリンパ節の検出には適していなかった。
【0012】
また、生体適合性陰イオン高分子物質であるアルギン酸ナトリウムと多重陽イオン重合体であるポリ−L−リジン溶液の連鎖イオン反応によって、インドシアニングリーンと細胞封入されたマイクロカプセルを製造した特許出願(韓国公開特許第2009−0008838号)がある。このような高分子粒子は細胞封入のために10μmを超える粒径を持つため、センチネルリンパ節の検出には適していなかった。
【0013】
また、陽電荷を帯びたポリアリルアミンヒドロクロライド(Poly allylamine hydrochloride)電解質高分子と、二塩酸ナトリウム陰イオンのイオン交差結合反応によって、インドシアニングリーンが封合した後、シリカナノパーティクルでコーティングされたマイクロカプセルを製造した特許出願(米国公開特許第2010−0047356号)があるが、このような高分子マイクロカプセルは、0.6〜2μmの粒径を持っており、インドシアニングリーンの光力学特性を利用した光治療に用いられるだけであり、センチネルリンパ節の検出に適していなかった。
【0014】
そこで、本発明者等は、血液を通じて注入した時、センチネルリンパ節でより長時間留まりながら、他のリンパ節への移動が少ない分子映像用プローブを開発しようと鋭意努力した結果、γ−PGAとインドシアニングリーン複合体を製造し、これを分子映像用プローブとして用いる場合、センチネルリンパ節をより容易にかつ、正確に検出できることを確認して本発明を完成するようになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、分子映像用プローブがセンチネルリンパ節で長時間留まるようにして、他のリンパ節へ移動する傾向を減らすことによって、より容易にかつ効果的にセンチネルリンパ節を検出できるようにするポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブを提供することである。
前記目的を達成するために、本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブを提供する。
【0016】
本発明の他の特徴及び実施態様は、以下の詳細な説明及び添付された特許請求範囲からより一層明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】インドシアニングリーン(ICG)(左)及びγ−PGA/ICG複合体(右)の近赤外線蛍光スペクトル(右)を示している。0.01%ICGとγ−PGA/ICG複合体溶液を1.5mLチューブに50μL分注した後、室温で3日間放置した場合、光安定性を示したものである。
図2】本発明で用いられた近赤外線映像測定装置の概略図である。
図3】γ−PGA(分子量50kDa)/ICG複合体をマウス左側前足底に注射した後、5〜30分後に近赤外線光学映像装置から得られるin vivoセンチネルリンパ節映像を示したものである。
図4】γ−PGA(分子量7000KDa)/ICG複合体をマウス左側前足底に注射した後、5〜30分後に近赤外線光学映像装置から得られるin vivoセンチネルリンパ節映像を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸と光学映像ダイの複合体を含有するセンチネルリンパ節検出用光学映像プローブに関する。
【0019】
蛍光ダイとして用いられるインドシアニンは、陰電荷を帯びる両親媒性(水性及び親水性)物質で、水溶液内でインドシアニンの陰電荷とγ−PGAの水性の部分が水性結合(非共有結合)により複合体を形成することになる。
【0020】
本発明において光学映像ダイは、可視光線及び近赤外線波長領域で蛍光特性を示す蛍光ダイで、特に光に対する皮膚浸透度が最大になる近赤外線領域において蛍光特性を示す近赤外線光学ダイを利用した映像プローブは、S/Nが高い信号を検出することができる。
【0021】
本発明において、前記光学映像ダイは、近赤外線、または可視光線領域の蛍光ダイであることを特徴とし、前記近赤外線蛍光ダイは、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 780、cy5、cy5.5、cy7、インドシアニングリーン(ICG)、Cypate、ITCC、NIR820、NIR2、IRDye680、IRDye700、IRDye800、DiD、DiR、Cresy Violet、ナイルブルー(Nile Blue)、Oxazine750、及びローダミン800(Rhodamine 800)で構成された群から選択されることを特徴とし、前記可視光線蛍光ダイは、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、cy2、cy3、cy3.5、Fluorescein(FITC)、NBD、ナイルレッド(Nile Red)、ローダミンB(Rhodamine B)、テトラメチルローダミン(Tetramethylrhodamine;TRITC)、及びテキサスレッド(Texas Red)で構成された群から選択されることを特徴とする。
【0022】
好ましくは、前記光学映像ダイは、近赤外線蛍光ダイであってもよく、さらに好ましくはインドシアニングリーン(ICG)であってもよい。
【0023】
本発明において、前記光学映像プローブは、センチネルリンパ節検出用であることを特徴とする。
【0024】
本発明において、γ−PGAは、微生物によって産生される様式によって区分されるが、構成アミノ酸であるグルタミン酸の二つの異性体(D−glutamic acid、L−glutamic acid)の構成比により、100%L−グルタミン酸のポリ−γ−グルタミン酸を産生するナトリアルバ・エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)と100%D−グルタミン酸で構成されたポリ−γ−グルタミン酸を産生する炭疽菌(Bacillus anthracis)、及びD−グルタミン酸、L−グルタミン酸が全て混合されているポリ−γ−グルタミン酸を産生するバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・マガテリウム(Bacillus magaterium)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)等が報告されている。本発明において用いられるポリ−γ−グルタミン酸は、前記D/Lポリ−γ−グルタミン酸の種類に限定されることなく使用可能であり、本発明で用いられたポリ−γ−グルタミン酸は、10〜15000kDaであることが好ましい。
【0025】
本発明において、近赤外線蛍光ダイは、シアニン系列であるcy3.5、cy5、cy5.5、cy7、ICGを含む。本発明に用いられる他の近赤外線蛍光ダイとしては、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 780、Cypate、ITCC、NIR820、NIR2、IRDye680、IRDye700、IRDye800、DiD、DiR、Cresy Violet、ナイルブルーとOxaines系列のCresy Violet、ナイルブルー、Oxazine 750及びローダミン系列のローダミン800、テキサスレッドで構成された群から選択される有機物であることを特徴とするが、これに限定されない。
【0026】
前述したようにインドシアニングリーン(ICG)は、FDAから人体適用可能が許容された数少ない蛍光染料の一つであり、近赤外線領域で蛍光を出すため、種々の分野に活用されているが、物質自らの光安定性が低いため、より多くの分野への活用が限定されている。
【0027】
本発明においては、このようなICGをセンチネルリンパ節検出に用いるに当たり、γ−PGA/ICG複合体を構成することによって、ICGの低い光安定性を画期的に向上させる方法を提供する(図1)。図1において、一般的なICGは3日後に蛍光強度が急激に減少することが分かるが、γ−PGA/ICG複合体はその蛍光強度が略一定に維持されることが分かる。
【0028】
また、本発明においては、このようなICGをセンチネルリンパ節検出に用いるに当たり、ICG分子の大きさが小さすぎて生体内に注入された場合、ICGがセンチネルリンパ節に長時間留まることなく、周辺の他のリンパ節へ移動してしまう問題点を解決できる方法を提供することを特徴とする。このような点は、実際に手術の過程で癌組織の周りにおいてどのリンパ節がセンチネルリンパ節であるかを区分しにくくさせる短所がある。本発明では、このような効果を検証するために、分子量が大きい生体親和性高分子素材と複合体を構成することによって、このような問題を解決しよう試みた。
【0029】
本発明の一実施例では、分子量が各々50kDa及び7000kDaであるγ−PGAとICGの複合体を製造して、センチネルリンパ節検出に応用した(図3及び図4)。
【0030】
図3から分かるように、一般的なICGを皮膚に注入した場合、時間経過に伴って、センチネルリンパ節方向にICGが移動する傾向が把握できるが、30分経過した後には、ICGがセンチネルリンパ節に留まることなく、他のリンパ節へ移動するため、センチネルリンパ節における蛍光強度が非常に弱いことが分かる。これに比べて、分子量が50kDaであるγ−PGA/ICG複合体を0.01%濃度で皮膚に注入した場合、30分経過した後にも、センチネルリンパ節から放出される蛍光強度が非常に強いことが確認できる。
【0031】
また、γ−PGA/ICG複合体を0.1%濃度に増加させた場合には、5分後からセンチネルリンパ節で強い蛍光信号が検出され始め、20、30分後には非常に強い蛍光強度を検出することができる。それに対して、γ−PGA/ICG複合体を1%濃度で注入した場合には、20分経過する時まで信号が弱いままであるが、30分経過した後には、センチネルリンパ節で強い蛍光信号を検出することができた。
【0032】
図4では、分子量が7000kDaであるγ−PGA/ICG複合体を0.01%、0.1%、1%濃度で皮膚に注入した後に、センチネルリンパ節で検出される蛍光強度を調べて見た。
【0033】
図4から分かるように、分子量が7000kDaであるγ−PGA/ICG複合体を0.01%で用いた場合、20分後にセンチネルリンパ節で強い蛍光信号が検出され始め、30分後には信号がさらに強くなることが分かる。これに対して、分子量が7000kDaであるγ−PGA/ICG複合体を0.1%と1%濃度で用いた場合には、センチネルリンパ節で検出される信号が弱くなることを確認することができる。
【0034】
このような実験結果は、γ−PGA/ICG複合体を利用したセンチネルリンパ節検出方法で、γ−PGAの分子量に応じた適切な濃度を選択することが大変重要であるということが示唆している。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当分野において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0036】
実施例1:PGA/ICG複合体の製造
蛍光ダイとして用いられるICGは、陰電荷を帯びる両親媒性(水性及び親水性)物質で、ICGの水溶液内で陰電荷を帯びるγ−PGAの水性の部分と水性結合(非共有結合)により複合体が形成される。
【0037】
インドシアニングリーン(ICG)とγ−PGAの複合体を下記の通り作製した。
ICG(DONGINDANG PHARMACEUTICAL)0.01mgとγ−PGA((株)バイオリーダーズ)0.1、1、10mgを三次蒸溜水1mLに順次溶解させて複合体を製造した。
【0038】
作製されたICG/γ−PGA複合体溶液を1.5mLチューブに50μLずつ分注した後、蛍光分光計(Fluorescence Spectrophotometer; FluoroMate FS-2)を利用して近赤外線蛍光スペクトルを測定した(図1)。
図1に示されたように、ICGは時間経過に伴って急激に減少することが分かるが、ICG/γ−PGA複合体は3日過ぎても蛍光強度が略一定に維持されることが分かる。
【0039】
実施例2:ICG/γ−PGA複合体のin vivo映像化
動物実験用のマウスは、特定病原菌フリーの6週齢の雌BALB/cヌードマウス(SLC Inc., Japan)を用い、全ての動物実験は、忠南(チュンナム)大学校共同動物実験センターで承認を受けた後行った。
【0040】
データ獲得及び分析のために自体製作された近赤外線光学映像測定装置(home made NIR optical imaging system)(図2)を利用して映像を得た(図3)。ここで、前記近赤外線映像測定装置は、500mWファイバー状のレーザーで構成された光源(light source)、放出フィルター(emission filter)、マクロズームが取り付けられたレンズシステム、近赤外線検出器(NIR CCD detector)で構成される(図2)。前記近赤外線映像測定装置において、蛍光の強度は、類似カラー(pseudo color)として示され、赤い蛍光を示すほど蛍光強度が強いことを示す。
【0041】
映像化に先立ち、体重g当たり0.01mLの2.5%アベルチン(avertin)(2,2,2-tribromoethanol-tert-amyl alcohol, Sigma)溶液をマウスの腹腔に注入して、マウスを麻酔させた。50μLのICG溶液(0.01%)、ICG/γ−PGA(50kDa)複合体溶液(0.01%、0.1%及び1%)及びICG/γ−PGA(7000kDa)複合体溶液(0.01%、0.1%及び1%)を各々のヌードマウスの左側前足底に注入(footpad, subcutaneous injection)して、5分、20分及び30分後に、センチネルリンパ節の蛍光を測定した。全ての近赤外線蛍光映像は、760nmレーザーと835/55nm(810〜860nm励起波長測定)フィルターセットを利用して測定した。
【0042】
その結果、図3に示された通り、一般的なICGを皮膚に注入した場合、時間経過に伴って、センチネルリンパ節方向にICGが移動する傾向が把握でき、30分経過した後には、ICGがセンチネルリンパ節に留まることなく、他のリンパ節へ移動するために、センチネルリンパ節における蛍光強度が非常に弱いことが分かる。それに対して、分子量が50KDaであるγ−PGAを用いたICG/γ−PGA複合体の場合、30分経過した後にセンチネルリンパ節から放出される蛍光強度がICG単独に比べて非常に強いことを確認することができた。
【0043】
また、γ−PGA/ICG複合体を0.1%濃度に増加させた場合には、5分後からセンチネルリンパ節において強い蛍光信号が検出され始め、20分後及び30分後には非常に強い蛍光強度を検出することができる。一方、γ−PGA/ICG複合体を1%濃度で注入した場合には、20分経過する時までは信号が弱いが、30分経過した後には、センチネルリンパ節において強い蛍光信号を検出することができた。
【0044】
また、分子量が7000kDaであるγ−PGA/ICG複合体を0.01%、0.1%、1%濃度で皮膚に注入した後に、センチネルリンパ節で検出される蛍光強度は、図4に示された通り、γ−PGA/ICG複合体を0.01%で用いた場合、20分過ぎた後にセンチネルリンパ節において強い蛍光信号が検出され始め、30分過ぎた後には信号がさらに強くなることが分かる。それに対して、分子量が7000KDaであるγ−PGA/ICG複合体を0.1%と1%濃度で用いた場合にはセンチネルリンパ節において検出される信号が弱くなることを確認することができる。
【0045】
このような実験結果は、γ−PGA/ICG複合体を利用したセンチネルリンパ節検出方法において、γ−PGAの分子量に応じた適切な濃度を選択することが大変重要であることを示唆している。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上、説明した通り、本発明によると、既存の放射能医薬品を用いず、生体に安全なポリ−γ−グルタミン酸と蛍光ダイの複合体を用いるため、放射能汚染の心配がなく、センチネルリンパ節の位置をリアルタイムで正確に検出することができる。
【0047】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。
図1
図2
図3
図4