(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
確かに、
図6に示したスイッチ駆動回路であれば、理論上、両スイッチ素子N1、N2の同時オンを防止することが可能である。
【0016】
しかしながら、上記従来のスイッチ駆動回路では、回路に生じる不可避的な信号遅延についての考慮が為されておらず、駆動信号CLKの駆動条件によっては、スイッチ素子N1、N2の同時オンを生じるおそれがあった。
【0017】
図7は、従来のスイッチング駆動を説明するためのタイミングチャートである。
【0018】
本図(b)に示すように、駆動信号CLKのデューティが中間的な値である場合、スイッチ駆動回路の同時オン防止機能は、回路の信号遅延に依らず、正常に機能する。
【0019】
一方、本図(a)に示すように、駆動信号CLKのデューティが小さくなり、そのハイレベル期間が短くなると、ゲート信号a1がハイレベル(H)に立ち上がった直後に駆動信号CLKがローレベル(L)に立ち下がり、ゲート信号a1が再びローレベル(L)に立ち下がる形となる。このとき、ゲート信号a1の立上がりからモニタ信号b1の立下がりまで、並びに、駆動信号CLKの立下がりからゲート信号a1の立下りまでには、それぞれ所定の遅延が生じる。その結果、ゲート信号a1のハイレベル期間中(スイッチ素子N1のオン期間中)に、駆動信号CLKがローレベル(L)であって、かつ、モニタ信号b1がハイレベル(H)である期間が生じ、ゲート信号a2が意図せずハイレベル(H)となって、スイッチ素子N1、N2の同時オンを生じるおそれがあった。
【0020】
同様に、本図(c)に示すように、駆動信号CLKのデューティが大きくなり、そのローレベル期間が短くなると、ゲート信号a2がハイレベル(H)に立ち上がった直後に駆動信号CLKがハイレベル(H)に立ち上がり、ゲート信号a2が再びローレベル(L)に立ち下がる形となる。このとき、ゲート信号a2の立上がりからモニタ信号b2の立下がりまで、及び、駆動信号CLKの立上がりからゲート信号a2の立下りまでには、それぞれ所定の遅延が生じる。その結果、ゲート信号a2のハイレベル期間中(スイッチ素子N2のオン期間中)に、駆動信号CLKがハイレベル(H)であって、かつ、モニタ信号b2がハイレベル(H)である期間が生じ、ゲート信号a1が意図せずハイレベル(H)となって、スイッチ素子N1、N2の同時オンを生じるおそれがあった。
【0021】
特に、近年では、外付け部品の小型化などを実現すべく、スイッチ素子N1、N2のスイッチング周波数を高める傾向にあり、駆動信号CLKのパルス幅は、今後ますます狭くなっていくと考えられるため、上記の問題点を解決することが非常に重要となる。
【0022】
本明細書中に開示されている種々の発明の一つは、上記の問題点に鑑み、スイッチ素子のスイッチング周波数を高めても、確実に同時オンを防止することが可能な電子回路を提供することを目的とする。
【0023】
また、特許文献2、3に記載のスイッチング電源回路であれば、タイマラッチ方式の保護回路を用いて、負荷の短絡保護機能を実現することが可能である。
【0024】
しかしながら、従来のタイマラッチ方式では、特許文献2、3にも記載されているように、出力電圧をモニタするタイプが一般的であるため、負荷の短絡等によって過電流が流れていても、出力電圧が変化しなければ、オフラッチ動作が機能しなかった。そのため、タイマラッチ方式の保護回路を搭載しているにも拘わらず、回路の動作条件によっては、過電流が流れ続けてICや周辺部品の破壊を招くおそれがあった。
【0025】
本明細書中に開示されている種々の発明の一つは、上記の問題点に鑑み、より確実に過電流保護機能を実現することが可能な電子回路を提供することを目的とする。
【0026】
また、過電流保護機能を備えた従来の電子回路であれば、過電流に伴うICや周辺部品の破壊を防止し、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【0027】
ところで、過電流保護機能を備えた電子回路の多くは、ユーザ設定の自由度を高めるべく、外付け素子で過電流保護値を任意に調整することが可能な構成とされている。
【0028】
しかしながら、上記構成から成る従来の電子回路では、容易に過電流保護値を調整し得る反面、外付け素子のショートや脱落、埃等の付着が生じた場合、或いは、不適切な外付け素子が取り付けられた場合に、過電流保護値が意図しない値となって、過電流保護機能が正常に作動せず、回路の動作条件によっては、過電流が流れ続けてICや周辺部品の破壊を招くおそれがあった。
【0029】
本明細書中に開示されている種々の発明の一つは、上記の問題点に鑑み、過電流保護値に異常が生じた場合でも、ICや周辺部品の破壊を防止することが可能な電子回路を提供することを目的とする。
【0030】
また、外付け素子によって発振周波数が設定される従来の発振回路であれば、ユーザが外付け素子を任意に付け替えることで、容易にその発振周波数を調整することができるので、ユーザ設定の自由度を高めることが可能となる。
【0031】
しかしながら、上記従来の電子回路では、外付け素子のショートや脱落、埃等の付着が生じた場合、或いは、不適切な外付け素子が取り付けられた場合に、発振周波数が意図しない値となって、発振回路の出力信号を用いる後段回路が正常に作動せず、回路の動作条件によっては、ICや周辺部品の破壊を招くおそれがあった。
【0032】
本明細書中に開示されている種々の発明の一つは、上記の問題点に鑑み、発振周波数に異常が生じた場合でも、ICや周辺部品の破壊を防止することが可能な電子回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明に係る電子回路は、外付け素子によって発振周波数が設定される発振回路と、前記発振周波数の異常を検出したときに所定の発振異常保護動作を行う発振異常保護回路とを有して成る構成(第1の構成)とされている。
【0034】
なお、上記第1の構成から成る電子回路は、一端に所定の電圧が印加され、他端から自身のスイッチング駆動に応じたパルス状のスイッチ電圧が引き出されるスイッチ素子を有して成るものであって、前記スイッチ素子のスイッチング周波数は、前記発振回路の発振周波数によって定められるものであり、前記発振異常保護回路は、前記発振周波数が所定の制限範囲を外れているときに、前記スイッチ素子のスイッチング駆動を停止させるものである構成(第2の構成)にするとよい。
【0035】
また、上記第2の構成から成る電子回路において、前記発振回路は、前記外付け素子として抵抗とキャパシタを有して成り、前記抵抗の一端に所定の電圧を印加して生成される基準電流を用いて前記キャパシタの充放電を行い、前記キャパシタの端子電圧を発振信号として出力するものであり、前記発振異常保護回路は、前記基準電流、前記抵抗の端子電圧、及び、前記キャパシタの端子電圧の少なくとも一を監視し、その監視結果に基づいて発振異常保護信号を生成するものである構成(第3の構成)にするとよい。
【0036】
また、上記第3の構成から成る電子回路は、前記発振異常保護信号に基づいて前記発振周波数が異常状態であるか否かを判定し、前記異常状態が所定の期間に亘って継続されたときに前記スイッチ素子をオフラッチするタイマラッチ回路を有して成る構成(第4の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0037】
本明細書中に開示されている電子回路であれば、スイッチ素子のスイッチング周波数を高めても、確実に同時オンを防止することができるので、貫通電流による素子の破壊や効率の低下を回避し、延いては、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【0038】
また、本明細書中に開示されている電子回路であれば、出力電圧をモニタする従来のタイマラッチ方式と異なり、出力電圧の挙動に依ることなく、過電流状態を遅滞なく検出して、迅速に保護動作を実施することができるので、より確実に過電流保護機能を実現し、延いては、ICや周辺部品の破壊を防止して、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【0039】
また、本明細書中に開示されている電子回路であれば、過電流の検出手段としてセンス抵抗を挿入する必要がないため、コストダウンや出力効率の向上を実現することが可能となる。
【0040】
また、本明細書中に開示されている電子回路であれば、過電流保護値に異常が生じた場合であっても、ICや周辺部品の破壊を防止し、延いては、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【0041】
また、本明細書中に開示されている電子回路であれば、発振周波数に異常が生じた場合であっても、ICや周辺部品の破壊を防止し、延いては、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、降圧型のスイッチングレギュレータに本発明を適用した構成を例に挙げて、詳細な説明を行う。
【0044】
図1は、本発明に係るスイッチングレギュレータの一実施形態を示す回路ブロック図である。
【0045】
本図に示すように、本実施形態のスイッチングレギュレータは、回路ブロックとして、制御回路1と、スイッチ駆動回路2と、出力回路3と、平滑回路4と、分圧回路5と、異常保護回路6と、を有して成る。
【0046】
制御回路1は、電源電圧Vccから所望の出力電圧Voが得られるように、スイッチ駆動回路2への駆動信号CLKを生成する手段であり、誤差増幅器11と、直流電圧源12と、PWM[Pulse Width Modulation]コンパレータ13と、発振回路14と、Dフリップフロップ15と、論理積演算器16(以下ではAND16と呼ぶ)と、を有して成る。
【0047】
誤差増幅器11の非反転入力端(+)は、直流電圧源12の正極端に接続されており、所定の参照電圧Vref(出力電圧Voの目標設定値に相当)が印加されている。直流電圧源12の負極端は、接地端に接続されている。誤差増幅器11の反転入力端(−)は、分圧回路5の帰還電圧出力端(後述する抵抗51と抵抗52との接続ノード)に接続されており、帰還電圧Vfb(出力電圧Voの実際値に相当)が印加されている。
【0048】
PWMコンパレータ13の非反転入力端(+)は、誤差増幅器11の出力端に接続されており、誤差信号ERRが印加されている。PWMコンパレータ13の反転出力端(−)は、発振回路14の第1出力端に接続されており、所定の周波数を有する三角波信号CTが印加されている。
【0049】
Dフリップフロップ15のデータ入力端(D)は、電源電圧Vccの印加端に接続されている。Dフリップフロップ15のクロック入力端は、発振回路14の第2出力端に接続されており、上記した三角波信号CTと同一の周波数を有するパルス状のクロック信号CKが印加されている。
【0050】
AND16の第1入力端は、PWMコンパレータ13の出力端に接続されており、パルス幅変調信号PWMが印加されている。AND16の第2入力端は、Dフリップフロップ15の出力端(Q)に接続されており、過電流保護信号OCPが印加されている。AND16の第3入力端は、異常保護回路6のオフラッチ信号出力端に接続されており、オフラッチ信号OFFが反転印加されている。AND16の出力端は、駆動信号CLKの出力端に相当し、スイッチ駆動回路2の駆動信号入力端に接続されている。
【0051】
スイッチ駆動回路2は、制御回路1からの駆動信号CLKに基づいて、出力回路3の駆動制御(第1、第2制御信号の生成制御)を行う手段である。なお、スイッチ駆動回路2の構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。
【0052】
出力回路3は、電源電圧Vccの印加端と接地端との間に直列接続された一対のスイッチ素子として、Nチャネル型電界効果トランジスタ(出力トランジスタ)31と、Nチャネル型電界効果トランジスタ(同期整流トランジスタ)32と、を有して成り、これらを相補的にスイッチング駆動することで、電源電圧Vccからパルス状のスイッチ電圧Vswを生成する手段である。なお、トランジスタ31のドレインは、電源電圧Vccの印加端に接続されている。トランジスタ32のドレインは、接地端に接続されている。トランジスタ31、32のソースは、互いに接続されており、その接続ノードは、スイッチ電圧Vswの出力端に相当する。トランジスタ31、32のゲートは、それぞれ、スイッチ駆動回路2の第1、第2制御信号出力端に接続されている。
【0053】
なお、本明細書中で用いている「相補的」という文言は、トランジスタ31、32のオン/オフが完全に逆転している場合のほか、貫通電流防止の観点からトランジスタ31、32のオン/オフ遷移タイミングに所定の遅延を与えている場合をも含むものとする。
【0054】
平滑回路4は、スイッチ電圧Vswを平滑して所望の出力電圧Voを生成する手段であり、ショットキーダイオード41と、インダクタ42と、キャパシタ43と、を有して成る。ショットキーダイオード41のカソードは、出力回路3のスイッチ電圧出力端に接続されている。ショットキーダイオード41のアノードは、接地端に接続されている。インダクタ42の一端は、出力回路3のスイッチ電圧出力端に接続されている。インダクタ42の他端は、キャパシタ43の一端に接続されている。キャパシタ43の他端は、接地端に接続されている。なお、キャパシタ43の一端は、出力電圧Voの出力端に相当する。
【0055】
分圧回路5は、出力電圧Voを分圧して帰還電圧Vfbを生成する手段であり、抵抗51と、抵抗52とを有して成る。抵抗51と抵抗52は、出力電圧Voの出力端と接地端との間に直列接続されており、その接続ノードは、帰還電圧Vfbの出力端に相当する。
【0056】
異常保護回路6は、スイッチングレギュレータの異常を検出したときに所定の保護動作を行う手段であり、スイッチ61と、抵抗62と、コンパレータ63と、直流電圧源64と、コンパレータ65と、直流電圧源66と、タイマラッチ回路67と、を有して成る。
【0057】
スイッチ61の一端は、出力回路3のスイッチ電圧出力端に接続されている。スイッチ61の開閉制御端は、スイッチ駆動回路2の第1制御信号出力端に接続されている。すなわち、スイッチ61は、トランジスタ31と同期してスイッチング制御される。より具体的に述べると、スイッチ61は、トランジスタ31がオンされているときにオンとされ、オフされているときにオフとされる。
【0058】
コンパレータ63の反転入力端(−)は、スイッチ61の他端に接続される一方、抵抗62を介して電源電圧Vccの印加端にも接続されており、スイッチ電圧Vsw’が印加されている。コンパレータ63の非反転入力端(+)は、直流電圧源64の負極端に接続されており、閾値電圧Vth1が印加されている。直流電圧源64の正極端は、電源電圧Vccの印加端に接続されている。コンパレータ63の出力端は、タイマラッチ回路67の第1比較信号入力端に接続される一方、制御回路1を構成するDフリップフロップ15のリセット入力端にも接続されている。
【0059】
コンパレータ65の反転入力端(−)は、分圧回路5の帰還電圧出力端に接続されており、帰還電圧Vfbが印加されている。コンパレータ65の非反転入力端(+)は、直流電圧源66の正極端に接続されており、閾値電圧Vth2が印加されている。直流電圧源66の負極端は、接地端に接続されている。コンパレータ65の出力端は、タイマラッチ回路67の第2比較信号入力端に接続されている。
【0060】
まず、上記構成から成るスイッチングレギュレータの基本動作(出力電圧Voの安定化制御)について説明する。
【0061】
制御回路1において、誤差増幅器11は、帰還電圧Vfbと参照電圧Vrefとの差分を増幅して誤差信号ERRを生成する。PWMコンパレータ13は、誤差信号ERRと三角波信号CTとを比較して、パルス幅変調信号PWMを生成する。このとき、パルス幅変調信号PWMの論理は、誤差信号ERRが三角波信号CTよりも高電位であれば、ハイレベルとなり、その逆であれば、ローレベルとなる。すなわち、誤差信号ERRが高電位であるほど、パルス幅変調信号PWMの一周期に占めるハイレベル期間(延いては、トランジスタ31のオンデューティ)が長くなり、逆に、誤差信号ERRが低電位であるほど、パルス幅変調信号PWMの一周期に占めるハイレベル期間が短くなる。
【0062】
スイッチ駆動回路2は、AND16を介して入力されるパルス幅変調信号PWMに基づいて、トランジスタ31及びトランジスタ32の各ゲート信号(第1、第2制御信号)を生成する。
【0063】
このような出力電圧Voのフィードバック制御により、トランジスタ31、32は、帰還電圧Vfbが所定の参照電圧Vrefと一致するように、言い換えれば、出力電圧Voが所望の目標設定値と一致するように、スイッチング制御されることになる。
【0064】
次に、上記構成から成るスイッチングレギュレータの過電流保護動作について、先出の
図1とともに、
図2を参照しながら詳細に説明する。
【0065】
図2は、過電流保護動作(タイマラッチ動作)の一例を説明するためのタイミングチャートである。なお、本図中には、スイッチ電圧Vsw、スイッチ電圧Vsw’、第1比較信号Sa、及び、オフラッチ信号OFFの挙動がそれぞれ描写されている。
【0066】
先にも述べたように、出力回路3におけるスイッチ電圧Vswの出力端とコンパレータ63の反転入力端(−)との間には、スイッチ61が挿入されており、当該スイッチ61は、トランジスタ31がオンされているときにオンとされ、オフされているときにオフとされる。一方、コンパレータ63の反転入力端(−)は、抵抗62を介して電源電圧Vccの印加端にプルアップされている。従って、コンパレータ63の反転入力端(−)に印加されるスイッチ電圧Vsw’は、
図2に示したように、トランジスタ31のオン時にはスイッチ電圧Vswと一致し、トランジスタ31のオフ時には、電源電圧Vccとなる。
【0067】
ここで、トランジスタ31のオン時に得られるスイッチ電圧Vswは、電源電圧Vccから、トランジスタ31のオン抵抗Ronとこれに流れる電流Iとの積算値を差し引いた電圧値(Vcc−Ron×I)となるので、トランジスタ31のオン抵抗Ronを一定値とみなせば、その電圧値は電流Iが大きいほど低下することになる。
【0068】
従って、コンパレータ63でスイッチ電圧Vsw’と所定の閾値電圧Vth1とを比較することにより、過電流(短絡電流)の検出を行うことが可能となる。なお、本実施形態の場合、スイッチ電圧Vsw’が閾値電圧Vth1よりも高ければ、第1比較信号Saはローレベル(正常状態を示す論理)となり、逆に、スイッチ電圧Vsw’が閾値電圧Vth1よりも低ければ、第1比較信号Saはハイレベル(過電流状態を示す論理)となる。
【0069】
一方、制御回路1を構成するDフリップフロップ15は、第1比較信号Saの立上がりエッジでリセットされ、その出力である過電流保護信号OCPをローレベルに遷移する。その結果、AND16は、パルス幅変調信号PWMの伝達経路を遮断する形となる。このような信号遮断は、次のクロック信号CKの立上がりエッジでDフリップフロップ15がデータ入力端(D)の入力である電源電圧Vccを読み込み、過電流保護信号OCPがハイレベルに遷移されるまで継続される。
【0070】
すなわち、上記の過電流保護動作(以下、第1の過電流保護動作と呼ぶ)は、スイッチ電圧Vswをモニタし、第1比較信号Saが過電流状態を示した時点で、当該周期の出力動作をオフさせる一方、次の周期の出力動作については、クロック信号CKに基づいて、自己復帰を行う構成であると言える。このような構成であれば、過電流の検出手段として出力電圧Voの供給経路上にセンス抵抗を挿入する必要がないため、コストダウンや出力効率の向上を実現することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態のスイッチングレギュレータにおいて、異常保護回路6は、上記第1の過電流保護動作のほか、第2の過電流保護動作を実施する手段として、タイマラッチ回路67を備えて成る。
【0072】
タイマラッチ回路67は、第1比較信号Saに基づいてトランジスタ31に流れる電流が過電流状態であるか否かを判定し、過電流状態が所定の期間に亘って継続されたときには、トランジスタ31をオフラッチすべく、オフラッチ信号OFFの論理変遷を行う。
【0073】
より具体的に述べると、本実施形態のタイマラッチ回路67は、
図2に示すように、第1比較信号Saの立上がりエッジでタイマのカウント動作をスタートし、所定時間が経過したときに、オフラッチ信号OFFをローレベル(正常状態を示す論理)からハイレベル(過電流状態を示す論理)に遷移させて、その論理状態を保持する。
【0074】
一方、制御回路1を構成するAND16は、反転入力されるオフラッチ信号OFFに応じて、パルス幅変調信号PWMの伝達経路を遮断する形となる。
【0075】
このように、上記第2の過電流保護動作であれば、出力電圧Voをモニタしていた従来のタイマラッチ方式と異なり、出力電圧Voの挙動に依ることなく、過電流状態を遅滞なく検出して、迅速に保護動作を実施することができるので、ICや周辺部品の破壊を防止し、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態のスイッチングレギュレータであれば、第2の過電流保護動作が機能するまでのタイマ期間中に、第1の過電流保護動作が機能するため、当該タイマ期間中における過電流を適切に抑制する一方、その後も過電流状態が継続する場合には、第2の過電流保護動作によって、出力動作を完全にオフラッチすることができるので、ICや周辺部品の破壊をより確実に防止することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態のスイッチングレギュレータにおいて、異常保護回路6は、帰還電圧Vfbと所定の閾値電圧Vth2とを比較する第2のコンパレータ65を有して成り、タイマラッチ回路67は、第1比較信号Saだけでなく、コンパレータ65から出力される第2の比較信号Sbに基づいて、出力電圧Voが減電圧状態であるか否かを判定し、前記減電圧状態が所定の期間に亘って継続されたときにトランジスタ31をオフラッチする構成とされている。
【0078】
このような減電圧保護動作によれば、出力端のショートや過負荷時の減電圧状態を遅滞なく検出して、迅速に保護動作を実施することができるので、ICや周辺部品の破壊を防止し、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。また、過電流が生じているときに、何らかの理由で上記第2の過電流保護動作が正常に機能しなかった場合でも、上記第1の過電流保護動作さえ正常に機能していれば、出力電圧Voが徐々に低下していくため、最終的には、当該減電圧保護動作によってトランジスタ31をオフラッチすることが可能となる。
【0079】
なお、一旦オフラッチされた出力動作の復帰に関しては、外部からのイネーブル信号等に応じて復帰するようにしてもよいし、別途内蔵のタイマなどを用いて自己復帰するようにしてもよい。
【0080】
次に、タイマラッチ回路67の一構成例について、
図3を参照しながら説明する。
【0081】
図3は、タイマラッチ回路67の一構成例を示す回路ブロック図である。
【0082】
本図に示すように、本構成例のタイマラッチ回路67は、否定論理和演算器67a(以下では、NOR67aと呼ぶ)と、タイマ制御回路67bと、定電流源67cと、スイッチ67dと、キャパシタ67eと、コンパレータ67fと、直流電圧源67gと、を有して成る。
【0083】
NOR67aの一入力端は、第1比較信号Saの入力端に相当し、コンパレータ63の出力端に接続されている。NOR67aの他入力端は、第2比較信号Sbの入力端に相当し、コンパレータ65の出力端に接続されている。定電流源67cの一端は、電源電圧Vccの印加端に接続されている。定電流源67cの他端は、スイッチ67dの一端と、キャパシタ67eの一端と、コンパレータ67fの非反転入力端(+)と、にそれぞれ接続されている。スイッチ67dの他端とキャパシタ67eの他端は、いずれも接地端に接続されている。コンパレータ67fの反転入力端(−)は、直流電圧源67gの正極端に接続されている。直流電圧源67gの負極端は、接地端に接続されている。コンパレータ67fの出力端は、オフラッチ信号OFFの出力端に相当する。
【0084】
タイマ制御回路67bは、NOR67aの出力論理がハイレベルからローレベルに遷移されたとき、すなわち、過電流状態及び減電圧状態のいずれか一方が検出されたときに、スイッチ67dをオンからオフに遷移させる。なお、過電流状態が検出されている間、第1比較信号Saは、所定の周期を有するパルス信号となるため、NOR67aの出力論理も、上記と同一の周期を有するパルス信号となるが、タイマ制御回路67bは、当該パルス信号が前記周期で連続的に入力されている間は、スイッチ67dをオフに維持し、前記パルス信号の入力が停止した場合には、スイッチ67dをオンとする構成にすればよい。
【0085】
スイッチ67dがオンからオフに遷移されると、定電流源67cで生成された定電流がキャパシタ67eを介して接地端に流れ込み、キャパシタ67eの充電が開始される。そして、キャパシタ67eの一端で得られる端子電圧(充電電圧)が直流電圧源67gで生成される所定の閾値電圧に達するまで上昇したとき、コンパレータ67fの出力論理(すなわち、オフラッチ信号OFFの出力論理)がローレベルからハイレベルに遷移される。
【0086】
上記構成から成るタイマラッチ回路67であれば、極めて簡易な構成で、タイマラッチ動作を実現することが可能となる。なお、タイマスタートからオフラッチまでの期間については、定電流源67cの定電流値やキャパシタ67eの容量値、並びに、直流電圧源67gの閾値電圧を調整することにより、適宜設定することが可能である。
【0087】
ただし、タイマラッチ回路67の構成については、上記に限定されるものではなく、ディジタルカウンタなどを用いても構わない。
【0088】
続いて、スイッチ駆動回路2の構成について、
図4を参照しながら詳細に説明する。
【0089】
図4は、スイッチ駆動回路2の一構成例を示す回路ブロック図である。
【0090】
図4に示すように、本構成例のスイッチ駆動回路2は、上側制御部21と、上側ドライバ部22と、上側モニタ部23と、インバータ24と、下側制御部25と、下側ドライバ部26と、下側モニタ部27と、を有して成る。
【0091】
上側制御部21は、制御回路1からの駆動信号CLKとモニタ信号B2に基づいてゲート信号A1を生成する手段であり、インバータ21a(以下、INV21aと呼ぶ)と、論理積演算器21b(以下、AND21bと呼ぶ)と、否定論理積演算器21c、21d(以下、NAND21c、21d)と呼ぶと、論理積演算器21e(以下、AND21eと呼ぶ)と、を有して成る。なお、本構成例の上側制御部21では、NAND21cとNAND21dによって、RSフリップフロップが構成されている。
【0092】
INV21aの入力端は、モニタ信号B2の印加端に接続されている。INV21aの出力端は、NAND21dの一入力端(RSフリップフロップのセット入力端(S)に相当)に接続されている。NAND21dの他入力端は、NAND21cの出力端に接続されている。NAND21dの出力端(RSフリップフロップの出力端(Q)に相当)は、NAND21cの一入力端に接続される一方、AND21eの一入力端にも接続されている。NAND21cの他入力端(RSフリップフロップのリセット入力端(R)に相当)は、駆動信号CLKの印加端に接続されている。AND21bの一入力端は、モニタ信号B2の印加端に接続されている。AND21bの他入力端は、駆動信号CLKの印加端に接続されている。AND21bの出力端は、AND21eの他入力端に接続されている。AND21eの出力端は、上側ドライバ部22を介して、トランジスタ31のゲートに接続されている。
【0093】
上側ドライバ部22は、上側制御部21で生成されたゲート信号A1にレベルシフト処理などを施して、トランジスタ31のゲートに供給する手段である。
【0094】
上側モニタ部23は、ゲート信号A1をモニタしてトランジスタ31のオン/オフ状態を示すモニタ信号B1を生成する手段であり、コンパレータ23aと、直流電圧源23bと、を有して成る。コンパレータ23aの反転入力端(−)は、トランジスタ31のゲートに接続されている。コンパレータ23aの非反転入力端(+)は、直流電圧源23bの正極端に接続されている。直流電圧源23bの負極端は、接地端に接続されている。コンパレータ23aの出力端は、モニタ信号B1の出力端に相当する。
【0095】
下側制御部25は、制御回路1からインバータ24を介して反転入力される駆動信号CLKとモニタ信号B1に基づいてゲート信号A2を生成する手段であり、インバータ25a(以下、INV25aと呼ぶ)と、否定論理積演算器25b、25c、25d(以下、NAND25b、25c、25dと呼ぶ)と、否定論理和演算器25e(以下、NOR25eと呼ぶ)と、を有して成る。なお、本構成例の下側制御部25では、NAND25bとNAND25cによって、RSフリップフロップが構成されている。
【0096】
INV25aの入力端は、モニタ信号B1の印加端に接続されている。INV25aの出力端は、NAND25cの一入力端(RSフリップフロップのリセット入力端(R)に相当)に接続されている。NAND25cの他入力端は、NAND25bの出力端に接続されている。NAND25cの出力端は、NAND25bの一入力端に接続されている。NAND25bの他入力端(RSフリップフロップのセット入力端(S)に相当)は、インバータ24の出力端に接続されている。NAND25bの出力端(RSフリップフロップの出力端(Q)に相当)は、NOR25eの一入力端に接続されている。NOR25eの他入力端は、NAND25dの出力端に接続されている。NAND25dの一入力端はインバータ24の出力端に接続されている。NAND25dの他入力端は、モニタ信号B1の印加端に接続されている。NOR25eの出力端は、下側ドライバ部26を介して、トランジスタ32のゲートに接続されている。
【0097】
下側ドライバ部26は、下側制御部25で生成されたゲート信号A2にレベルシフト処理などを施して、トランジスタ32のゲートに供給する手段である。
【0098】
下側モニタ部27は、ゲート信号A2をモニタしてトランジスタ32のオン/オフ状態を示すモニタ信号B2を生成する手段であり、コンパレータ27aと、直流電圧源27bと、を有して成る。コンパレータ27aの反転入力端(−)は、トランジスタ32のゲートに接続されている。コンパレータ27aの非反転入力端(+)は、直流電圧源27bの正極端に接続されている。直流電圧源27bの負極端は、接地端に接続されている。コンパレータ27aの出力端は、モニタ信号B2の出力端に相当する。
【0099】
次に、上記構成から成るスイッチ駆動回路2によるスイッチング駆動(特に、トランジスタ31、32の同時オン防止動作)について、
図5を参照しながら詳細に説明する。
【0100】
図5は、スイッチ駆動回路2によるスイッチング駆動を説明するためのタイミングチャートである。
【0101】
駆動信号CLKの論理がローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移されたとき、下側制御部25において、NAND25dの出力論理は、ローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移され、また、RSフリップフロップの出力論理は、セット信号(インバータ24を介して反転入力される駆動信号CLK)の立下がりエッジをトリガとして、ローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移される。従って、NOR25eの出力論理(すなわち、ゲート信号A2の論理)は、ハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移され、トランジスタ32がターンオフされる。
【0102】
ゲート信号A2の論理がローレベル(L)に遷移されると、モニタ信号B2の論理は、ローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移される。このとき、上側制御部21において、AND21bの出力論理は、ローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移され、また、RSフリップフロップの出力論理は、セット信号(INV21aを介して反転入力されるモニタ信号B2)の立下がりエッジをトリガとして、ローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移される。従って、AND21eの出力論理(すなわち、ゲート信号A1の論理)は、ローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移され、トランジスタ31がターンオンされる。
【0103】
このとき、ゲート信号A2の論理がローレベル(L)に遷移されてから、ゲート信号A1の論理がハイレベル(H)に遷移されるまでの期間dは、トランジスタ31、32の同時オフ期間となる。なお、同時オフ期間dを定めるに際しては、下側モニタ部27の比較出力に要する遅延時間のみを利用してもよいし、下側モニタ部27の出力段に別途遅延回路を挿入してもよい。
【0104】
ゲート信号A1の論理がハイレベル(H)に遷移されると、モニタ信号B1の論理は、ハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移される。このとき、下側制御部25において、NAND25dの出力論理は、駆動信号CLKの論理に依ることなく、それまでのハイレベル(H)に維持される。また、RSフリップフロップの出力論理についても、それまでのハイレベル(H)に維持される。従って、NOR25eの出力論理(すなわち、ゲート信号A2の論理)は、それまでのローレベル(L)に維持され、トランジスタ32は引き続いてオフ状態に維持される。
【0105】
一方、駆動信号CLKの論理がハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移されたとき、上側制御部21において、AND21bの出力論理は、ハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移され、また、RSフリップフロップの出力論理は、リセット信号(駆動信号CLK)の立下がりエッジをトリガとしてハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移される。従って、AND21eの出力論理(ゲート信号A1の論理)は、ハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移され、トランジスタ31がターンオフされる。
【0106】
ゲート信号A1の論理がローレベル(L)に遷移されると、モニタ信号B1の論理は、ローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移される。このとき、下側制御部25において、NAND25dの出力論理は、ハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移され、また、RSフリップフロップの出力論理は、リセット信号(INV25aを介して反転入力されるモニタ信号B1)の立下がりエッジをトリガとして、ハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移される。従って、NOR25eの出力論理(すなわち、ゲート信号A1の論理)は、ローレベル(L)からハイレベル(H)に遷移され、トランジスタ32がターンオンされる。
【0107】
このとき、ゲート信号A1の論理がローレベル(L)に遷移されてから、ゲート信号A2の論理がハイレベル(H)に遷移されるまでの期間dは、トランジスタ31、32の同時オフ期間となる。なお、同時オフ期間dを定めるに際しては、上側モニタ部23の比較出力に要する遅延時間のみを利用してもよいし、上側モニタ部23の出力段に別途遅延回路を挿入してもよい。
【0108】
ゲート信号A2の論理がハイレベル(H)に遷移されると、モニタ信号B2の論理は、ハイレベル(H)からローレベル(L)に遷移される。このとき、上側制御部21において、AND21bの出力論理は、駆動信号CLKの論理に依ることなく、それまでのローレベル(L)に維持される。また、RSフリップフロップの出力論理についても、それまでのローレベル(L)に維持される。従って、AND21eの出力論理(すなわち、ゲート信号A1の論理)は、それまでのローレベル(L)に維持され、トランジスタ31は、引き続いてオフ状態に維持される。
【0109】
上記ロジックによれば、本図(a)に示すように、駆動信号CLKのデューティが小さくなり、回路に生じる不可避的な信号遅延に起因して、ゲート信号A1のハイレベル期間中(トランジスタ31のオン期間中)に、駆動信号CLKがローレベル(L)であって、かつ、モニタ信号B1がハイレベル(H)である期間が生じた場合であっても、
図6で示した従来構成と異なり、ゲート信号A2が意図せずハイレベル(H)となることはない。
【0110】
同様に、上記ロジックによれば、本図(c)に示すように、駆動信号CLKのデューティが大きくなり、回路に生じる不可避的な信号遅延に起因して、ゲート信号A2のハイレベル期間中(トランジスタ32のオン期間中)に、駆動信号CLKがハイレベル(H)であって、かつ、モニタ信号B2がハイレベル(H)である期間が生じた場合であっても、ゲート信号A1が意図せずハイレベル(H)となることはない。
【0111】
上記したように、本実施形態のスイッチングレギュレータは、異なる2電位間に直列接続されたトランジスタ31、32を駆動するスイッチ駆動回路2を備えたスイッチングレギュレータであって、スイッチ駆動回路2は、トランジスタ31のゲート信号A1をモニタしてトランジスタ31のオン/オフ状態を示すモニタ信号B1を生成する上側モニタ部23と、トランジスタ32のゲート信号A2をモニタしてトランジスタ32のオン/オフ状態を示すモニタ信号B2を生成する下側モニタ部27と、所定の駆動信号CLKとモニタ信号B2に基づいてゲート信号A1を生成する上側制御部21と、駆動信号CLKとモニタ信号B1に基づいてゲート信号A2を生成する下側制御部25と、を有して成り、上側制御部21は、駆動信号CLKに基づいてトランジスタ31のターンオフが指示されたことをトリガとして、トランジスタ31をオフラッチする一方、モニタ信号B2に基づいてトランジスタ32のターンオフが確認されたことをトリガとして、トランジスタ31のオフラッチを解除するように、ゲート信号A1の論理変遷を行うものであり、下側制御部25は、駆動信号CLKに基づいてトランジスタ32のターンオフが指示されたことをトリガとして、トランジスタ32をオフラッチする一方、モニタ信号B1に基づいてトランジスタ31のターンオフが確認されたことをトリガとして、トランジスタ32のオフラッチを解除するように、ゲート信号A2の論理変遷を行うものである構成とされている。
【0112】
このような構成とすることにより、トランジスタ31、32のスイッチング周波数を高めた場合など、あらゆる条件下でも確実に同時オンを防止することができるので、貫通電流による素子の破壊や効率の低下を回避し、延いては、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【0113】
続いて、閾値電圧Vth1(過電流保護値)の異常を検出したときに所定の端子異常保護動作を行う端子異常保護回路について、
図8を参照しながら詳細に説明する。
【0114】
図8は、端子異常保護回路68の一構成例を示す回路図である。
【0115】
図8に示すように、先述の直流電圧源64は、一端が電源電圧Vccの印加端に接続され、他端が外部端子64cに接続された外付けの抵抗64a(抵抗値R)に、定電流源64bで生成される定電流(電流値I)を流すことにより、外部端子64cにて得られる端子電圧(電圧値V=Vcc−I・R)を閾値電圧Vth1として引き出す構成とされている。このような構成とすることにより、ユーザは抵抗64aを任意に付け替えることで、容易に過電流保護値である閾値電圧Vth1を調整することができるので、ユーザ設定の自由度を高めることが可能となる。
【0116】
一方、端子異常保護回路68は、閾値電圧Vth1が所定の制限範囲を外れていると判定したときにトランジスタ31のスイッチング駆動を停止させる手段であり、pnp型バイポーラトランジスタ68aと、抵抗68bと、を有して成る。
【0117】
トランジスタ68aのエミッタは、スイッチ電圧Vsw’の印加端、すなわち、コンパレータ63の反転入力端(−)に接続されている。トランジスタ68aのベースは、閾値電圧Vth1の印加端、すなわち、コンパレータ63の非反転入力端(+)に接続されている。トランジスタ68aのコレクタは、抵抗68bを介して接地端に接続されており、当該コレクタから、端子異常保護信号Scが引き出されている。
【0118】
上記構成から成る端子異常保護回路68において、トランジスタ68aは、ベースに印加される閾値電圧Vth1がエミッタに印加されるスイッチ電圧Vsw’よりも1Vf分だけ低下したときにオンとなる。例えば、抵抗64aが脱落して外部端子64cがオープン状態となった場合や、外部端子64cが地絡状態となった場合には、閾値電圧Vth1が接地電圧(或いは、接地電圧の近傍)まで低下するため、トランジスタ68aがオンとなる。このとき、端子異常保護信号Scは、ローレベル(正常状態を示す論理)からハイレベル(異常状態を示す論理)となる。
【0119】
従って、端子異常保護信号Scがハイレベルとなったときに閾値電圧Vth1が所定の制限範囲を外れていると判定して、所定の端子異常保護動作(出力停止制御など)を行う構成としておけば、正常に作動し得ない過電流保護機能に頼った結果、過電流が流れ続けてICや周辺部品が破壊に至る、という最悪の事態を未然に回避することが可能となる。
【0120】
なお、端子異常保護動作の一例としては、先述のタイマラッチ回路67に端子異常保護信号Scを入力し、閾値電圧Vth1の異常状態が所定の期間に亘って継続されたときにトランジスタ31をオフラッチする構成にするとよい。
【0121】
一方、抵抗64aがショートして外部端子64cが天絡した場合にも、過電流保護機能は正常に作動し得ないが、この場合には、コンパレータ63の第1比較信号Saがハイレベル(過電流状態を示す論理)に張り付き、出力動作が停止される結果となるので、ICや周辺部品が破壊に至ることはない。
【0122】
上記したように、本実施形態のスイッチングレギュレータは、外付けの抵抗64aによって設定される閾値電圧Vth1(過電流保護値)に応じた過電流保護動作を行う過電流保護回路(61〜64)と、閾値電圧Vth1の異常を検出したときに所定の端子異常保護動作を行う端子異常保護回路68と、を有して成る構成とされている。このような構成とすることにより、過電流の発生時はもとより、外部端子64cの天絡や地絡、抵抗64aのショートや脱落、埃等の付着、或いは、誤装着に起因して、閾値電圧Vth1に異常が生じた場合であっても、ICや周辺部品の破壊を防止し、延いては、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態のスイッチングレギュレータにおいて、端子異常保護回路68は、ベースが閾値電圧Vth1の印加端に接続され、エミッタがスイッチ電圧Vsw’の印加端に接続され、コレクタから端子異常保護信号Scが引き出されるpnp型バイポーラトランジスタ68aを有して成る構成とされている。このような構成とすることにより、極めて簡易に端子異常保護回路68を実現することができるので、素子数や回路規模の増大、並びに、これに伴うコストアップを最小限に抑えることが可能となる。
【0124】
なお、本実施形態のスイッチングレギュレータにおいて、例えば、電源電圧Vccが1[V]であり、閾値電圧Vth1が0.1[V]に設定されている場合、通常動作時におけるスイッチ電圧Vsw’と閾値電圧Vth1との電圧差は、最大0.9[V]となる。従って、端子異常保護回路68が正常な過電流保護機能に支障を来さないようにするためには、トランジスタ68aのベース・エミッタ間に、0.9[V]よりも大きな電圧差が生じたときにのみ、トランジスタ68aがオンとなるように、トランジスタ68aのオンスレッショルド電圧Vfを0.9[V]よりも大きく設計するか、或いは、
図9に示すように、アノードがトランジスタ68aのベースに接続され、カソードが閾値電圧Vth1の印加端に接続されたダイオード(
図9ではダイオード接続されたnpn型バイポーラトランジスタ68c)を挿入し、トランジスタ68aとトランジスタ68cの各オンスレッショルド電圧Vfを合わせて0.9[V]よりも大きくなるように設計すればよい。
【0125】
また、本実施形態のスイッチングレギュレータにおいて、端子異常保護回路68の構成は、上記に限定されるものではなく、
図10に示すように、閾値電圧Vth1と所定の閾値(電源電圧Vcc及び直流電圧源68fの正極電圧)とを比較し、その比較結果を端子異常保護信号Sc1、Sc2として出力するコンパレータ68d、68eを有して成る構成としてもよい。このような構成とすることにより、外部端子64cの天絡や地絡、抵抗64aのショートや脱落、埃等の付着、或いは、誤装着に起因した閾値電圧Vth1の異常を適切に検出し、ICや周辺部品の破壊を防止することが可能となる。
【0126】
続いて、発振回路14、並びに、その発振周波数の異常を検出したときに所定の発振異常保護動作を行う発振異常保護回路について、
図11を参照しながら詳細に説明する。
【0127】
図11は、発振回路14と発振異常保護回路69の一構成例を示す回路図である。
【0128】
まず、発振回路14の構成及び動作について説明する。
【0129】
図11に示すように、本構成例の発振回路14は、pnp型バイポーラトランジスタ14a、14b、14cと、npn型バイポーラトランジスタ14dと、外部端子14e、14fと、外付けの抵抗14gと、外付けのキャパシタ14hと、pnp型バイポーラトランジスタ14i、14jと、スイッチ14kと、スイッチ制御部14lと、クロック信号生成部14mと、を有して成る。
【0130】
トランジスタ14a、14b、14cのエミッタは、いずれも、電源電圧Vccの印加端に接続されている。トランジスタ14a、14b、14cのベースは、いずれも、トランジスタ14aのコレクタに接続されている。トランジスタ14dのコレクタは、トランジスタ14aのコレクタに接続されている。トランジスタ14dのベースは、ベース電圧Vbの印加端に接続されている。トランジスタ14dのエミッタは、外部端子14eに接続されている。トランジスタ14bのコレクタは、外部端子14fに接続されている。
【0131】
外部端子14eは、発振周波数設定用の抵抗14g(抵抗値R)を外部接続するための端子であり、抵抗14gを介して接地端に接続されている。外部端子14fは、発振周波数設定用のキャパシタ14h(容量値C)を外部接続するための端子であり、キャパシタ14hを介して接地端に接続されている。このような外部端子14e、14fを備えた構成とすることにより、ユーザは外付けの抵抗14g、及び、キャパシタ14hを適宜選択することで、発振回路14の発振周波数を自由に設定することが可能となる。
【0132】
トランジスタ14iのエミッタは、トランジスタ14bのコレクタに接続されている。トランジスタ14jのエミッタは、トランジスタ14cのコレクタに接続されている。トランジスタ14i、14jのコレクタは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタ14i、14jのベースは、いずれも、トランジスタ14jのエミッタに接続されている。スイッチ14kの一端は、トランジスタ14i、14jのベースに接続されている。スイッチ14kの他端は、接地端に接続されている。
【0133】
スイッチ制御部14lは、キャパシタ14hの端子電圧Vy(三角波信号CTに相当)と、所定の上限電圧V1及び下限電圧V2と、をそれぞれ比較し、スイッチ14kの開閉制御を行う手段である。
【0134】
クロック信号生成部14mは、キャパシタ14hの端子電圧Vy(三角波信号CT)から、これと同一の周波数を有するパルス状のクロック信号CKを生成する手段である。
【0135】
上記構成から成る発振回路14において、トランジスタ14a、14b、14cは、第1のカレントミラーを構成しており、トランジスタ14i、14jは、第2のカレントミラーを構成している。なお、第1、第2のカレントミラーにおけるミラー比は、いずれも任意に設定することができるが、以下では、第1のカレントミラーにおけるミラー比を1とし、第2のカレントミラーにおけるミラー比を2とした場合を例に挙げて説明を行う。
【0136】
上記のミラー比が設定されている場合、第1のカレントミラーでは、トランジスタ14aに流れる基準電流i1と同一の電流値を有するミラー電流i2、i3がトランジスタ14b、14cに流され、第2のカレントミラーでは、トランジスタ14jに流れる電流i3の2倍(延いては、電流i1、i2の2倍)の電流値を有するミラー電流i4がトランジスタ14iに流される。ただし、スイッチ14kがオンされている場合には、第2のカレントミラーが機能しないため、ミラー電流i4はゼロ値となる。
【0137】
スイッチ14kがオンされているとき、キャパシタ14hは、ミラー電流i2で充電され、端子電圧Vyが上昇していく。端子電圧Vyが上限電圧V1まで上昇すると、スイッチ制御部14lは、スイッチ14kをオフとする。このようなスイッチ制御により、第2のカレントミラーには、ミラー電流i4が引き込まれる。ここで、ミラー電流i4は、ミラー電流i2の2倍の電流値を有しているため、キャパシタ14hは、その差電流(i4−i2)によって放電される形となり、端子電圧Vyが下降し始める。その後、端子電圧Vyが下限電圧V2まで低下すると、スイッチ制御部14lは、スイッチ14kをオンとする。このようなスイッチ制御により、先述と同様、キャパシタ14hは、ミラー電流i2で充電される形となり、端子電圧Vyが再び上昇に転じる。上記の充放電を繰り返すことにより、所望の発振周波数を有する三角波信号CTとクロック信号CKが生成される。
【0138】
上記からも分かるように、発振回路14の発振周期は、端子電圧Vyが下限電圧V2から上限電圧V1まで上昇した後、再び下限電圧V2まで低下するのに要する充放電期間に相当し、当該充放電期間は、スイッチ制御部14lに入力される上限電圧V1及び下限電圧V2が固定的に設定されていれば、充放電電流の電流値(基準電流i1の電流値、延いては、抵抗14gの抵抗値R)とキャパシタ14hの容量値Cに応じて決まる。従って、本構成例の発振回路14の発振周波数は、抵抗14gの抵抗値Rとキャパシタ14hの容量値Cを適宜選択することにより、任意に調整することが可能である。
【0139】
なお、第1のカレントミラーの入力側に設けられたトランジスタ14dは、ベース電圧Vbに応じた一定のバイアス電圧を外部端子14eに印加する手段である。トランジスタ14dのベース電圧Vbについては、電源電圧Vccやその分圧電圧を単純に用いてもよいし、或いは、上記の分圧電圧を一旦バッファリングしてその電圧精度を高めてもよい。若しくは、外部端子14eの端子電圧Vxをフィードバックすることで、ベース電圧Vbを高精度に制御してもよい。いずれにせよ、トランジスタ14dを用いて外部端子14eの端子電圧Vxを予め定めておく構成であれば、i1=Vx/Rという単純なオームの法則式に基づき、選択すべき抵抗値Rを容易に算出することができる。従って、発振回路14の利便性向上を図ることが可能となる。
【0140】
次に、発振異常保護回路69の構成及び動作について説明する。
【0141】
図11に示すように、本構成例の発振異常保護回路69は、異常電流検知部69aと、第1の異常電圧検知部69bと、第2の異常電圧検知部69cと、pnp型バイポーラトランジスタ69dと、を有して成る。
【0142】
トランジスタ69dのエミッタは、電源電圧Vccの印加端に接続されている。トランジスタ69dのベースは、トランジスタ14a、14b、14cのベースに接続されている。すなわち、トランジスタ69dは、先述した第1のカレントミラーに並列する形で、トランジスタ14aに流れる基準電流i1に応じたモニタ電流i5を生成し、これをコレクタから異常電流検知部69aに出力する手段である。
【0143】
異常電流検知部69aは、モニタ電流i5を監視し、モニタ電流i5が所定の制限範囲を外れていると判定したときにトランジスタ31のスイッチング駆動を停止させるべく、発振異常保護信号Sc1をローレベル(正常状態を示す論理)からハイレベル(異常状態を示す論理)とする。
【0144】
異常電圧検知部69bは、端子電圧Vxを監視し、端子電圧Vxが所定の制限範囲を外れていると判定したときにトランジスタ31のスイッチング駆動を停止させるべく、発振異常保護信号Sc2をローレベル(正常状態を示す論理)からハイレベル(異常状態を示す論理)とする。
【0145】
異常電圧検知部69cは、端子電圧Vyを監視し、端子電圧Vyが所定の制限範囲を外れていると判定したときにトランジスタ31のスイッチング駆動を停止させるべく、発振異常保護信号Sc3をローレベル(正常状態を示す論理)からハイレベル(異常状態を示す論理)とする。
【0146】
例えば、抵抗14gがショートして外部端子14eが地絡状態となった場合には、基準電流i1(延いてはモニタ電流i5)が大きくなり、端子電圧Vxが接地電圧(或いは、接地電圧の近傍)まで低下する。一方、抵抗14gが脱落して外部端子14eがオープン状態となった場合や、外部端子14eが天絡状態となった場合には、基準電流i1(延いてはモニタ電流i5)が小さくなり、端子電圧Vxが電源電圧Vcc(或いは、電源電圧Vccの近傍)まで上昇する。
【0147】
また、キャパシタ14hがショートして外部端子14fが地絡状態となった場合には、端子電圧Vyが接地電圧(或いは、接地電圧の近傍)まで低下する。一方、キャパシタ14hが脱落して外部端子14fがオープン状態となった場合や、外部端子14fが天絡状態となった場合には、端子電圧Vyが電源電圧Vcc(或いは、電源電圧Vccの近傍)まで上昇する。
【0148】
そこで、異常電流検知部69a及び異常電圧検知部69b、69cでは、モニタ電流i5及び端子電圧Vx、Vyの上記挙動に着目して、外部端子14e、14fに異常が生じているか否か、延いては、発振回路14の発振周波数に異常が生じているか否かを示す発振異常保護信号Sc1、Sc2、Sc3が各々生成される。
【0149】
従って、発振異常保護信号Sc1、Sc2、Sc3のいずれかがハイレベルとなったときに発振周波数が所定の制限範囲を外れていると判定して、所定の発振異常保護動作(出力停止制御など)を行う構成としておけば、意図しない発振動作によってICや周辺部品が破壊に至る、という事態を未然に回避することが可能となる。
【0150】
なお、発振異常保護動作の一例としては、先述のタイマラッチ回路67に発振異常保護信号Sc1、Sc2、Sc3を入力し、発振周波数の異常状態が所定の期間に亘って継続されたときにトランジスタ31をオフラッチする構成にするとよい。
【0151】
上記したように、本実施形態のスイッチングレギュレータは、外付けの抵抗14g及びキャパシタ14hによって発振周波数が設定される発振回路14と、前記発振周波数の異常を検出したときに所定の発振異常保護動作を行う発振異常保護回路69と、を有して成る構成とされている。このような構成とすることにより、外部端子14e、14fの天絡や地絡、抵抗14g及びキャパシタ14hのショートや脱落、埃等の付着、或いは、誤装着に起因して、発振回路14の発振周波数に異常が生じた場合であっても、ICや周辺部品の破壊を防止し、延いては、搭載されるセットの信頼性を向上することが可能となる。
【0152】
また、本実施形態のスイッチングレギュレータにおいて、発振回路14は、外付け素子として抵抗14gとキャパシタ14hを有して成り、抵抗14gの一端に所定の電圧を印加して生成される基準電流i1(より具体的にはミラー電流i2、i4)を用いてキャパシタ14hの充放電を行い、キャパシタ14hの端子電圧Vyから三角波信号CTとクロック信号CKを生成するものであり、発振異常保護回路69は、基準電流i1(具体的にはそのミラー電流i5)、抵抗14gの端子電圧Vx、及び、キャパシタ14hの端子電圧Vyを監視し、その監視結果に基づいて発振異常保護信号Sc1、Sc2、Sc3を生成する構成とされている。このような構成とすることにより、簡易な検出手段を用いて、発振周波数の異常を検出することが可能となる。
【0153】
次に、異常電流検知部69aの構成及び動作について、
図12A、
図12Bを参照しながら説明する。
【0154】
図12A、
図12Bは、各々、異常電流検知部69aの一構成例を示す回路図である。
【0155】
図12Aで例示した異常電流検知部69aは、npn型バイポーラトランジスタN1と抵抗R1、R2を有して成る。トランジスタN1のベースは、モニタ電流i5の入力端に接続される一方、抵抗R1を介して接地端にも接続されている。トランジスタN1のコレクタは、抵抗R2を介して電源電圧Vccの印加端に接続されている。なお、トランジスタN1のコレクタは、発振異常保護信号Sc1の出力端に相当する。トランジスタN1のエミッタは、接地端に接続されている。
【0156】
上記構成から成る異常電流検知部69aでは、抵抗R1を用いてモニタ電流i5がトランジスタN1のベース電圧に変換され、これに基づいてトランジスタN1のオン/オフ制御を行うことにより、異常保護信号Sc1が生成される。
【0157】
図12Bで例示した異常電流検知部69aは、コンパレータCMP1と、直流電圧源E1と、抵抗R1を有して成る。コンパレータCMP1の非反転入力端(+)は、モニタ電流i5の入力端に接続される一方、抵抗R1を介して接地端にも接続されている。コンパレータCMP1の反転入力端(−)は、直流電圧源E1の正極端(閾値電圧の印加端)に接続されている。直流電圧源E1の負極端は、接地端に接続されている。コンパレータCMP1の出力端は、発振異常保護信号Sc1の出力端に相当する。
【0158】
上記構成から成る異常電流検知部69aでは、抵抗R1を用いてモニタ電流i5がコンパレータCMP1の入力電圧に変換され、これと所定の閾値電圧との比較結果が発振異常保護信号Sc1として出力される。
【0159】
なお、上記の抵抗R1に代えて、定電流源を用いても構わない。
【0160】
次に、異常電圧検知部69bの構成及び動作について、
図13A、
図13Bを参照しながら説明する。
【0161】
図13A、
図13Bは、それぞれ、異常電圧検知部69bの一構成例を示す回路図である。なお、異常電圧検知部69cの構成も同様であるため、重複した説明は割愛する。
【0162】
図13Aで例示した異常電圧検知部68bは、npn型バイポーラトランジスタN2と抵抗R3を有して成る。トランジスタN2のベースは、端子電圧Vxの印加端に接続されている。トランジスタN2のコレクタは、抵抗R3を介して電源電圧Vccの印加端に接続されている。なお、トランジスタN2のコレクタは、発振異常保護信号Sc2の出力端に相当する。トランジスタN2のエミッタは、接地端に接続されている。
【0163】
上記構成から成る異常電圧検知部69bでは、トランジスタN2のベース電圧として端子電圧Vxが印加され、これに基づいてトランジスタN2のオン/オフ制御を行うことにより、異常保護信号Sc2が生成される。
【0164】
図13Bで例示した異常電圧検知部69bは、コンパレータCMP2と、直流電圧源E2と、を有して成る。コンパレータCMP2の非反転入力端(+)は、端子電圧Vxの印加端に接続されている。コンパレータCMP2の反転入力端(−)は、直流電圧源E2の正極端(閾値電圧の印加端)に接続されている。直流電圧源E2の負極端は、接地端に接続されている。コンパレータCMP2の出力端は、発振異常保護信号Sc2の出力端に相当する。
【0165】
上記構成から成る異常電圧検知部69bでは、端子電圧Vxと所定の閾値電圧との比較結果が発振異常保護信号Sc2として出力される。
【0166】
なお、上記の実施形態では、降圧型のスイッチングレギュレータに本発明を適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、スイッチングレギュレータやチャージポンプ、ドライバICなど、スイッチ駆動回路を備えた電子回路に広く適用することができる。
【0167】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0168】
例えば、上記の実施形態では、上側制御部21及び下側制御部25として、NAND型のRSフリップフロップを用いた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、NOR型のRSフリップフロップなどを用いて、同一の動作を実現する構成としても構わない。
【0169】
また、上記の実施形態では、過電流保護値を設定するための外付け素子として、抵抗を接続する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、その他の外付け素子を接続する構成としてもよい。
【0170】
また、上記の実施形態では、発振周波数を設定するための外付け素子として、抵抗とキャパシタを接続する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、その他の外付け素子を接続する構成としてもよい。
【0171】
また、上記の実施形態において、pnp型バイポーラトランジスタを用いている部分については、これに代えてPチャネル型電界効果トランジスタを用いてもよく、また、npn型バイポーラトランジスタを用いている部分については、これに代えてNチャネル型電界効果トランジスタを用いても構わない。