(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面及び裏面に銅箔層が形成された銅張り基板を加工することにより、内面にスルーホール銅めっき層が形成されたスルーホールが複数設けられているプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法において、
第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層が内面に形成される第1の貫通孔を前記銅張り基板に必要な個数だけ形成する第1の孔あけ工程と、
前記第1の孔あけ工程を経た銅張り基板に一次めっきを施して、前記第1の貫通孔の内面に銅めっき層を形成するとともに、銅張り基板の表裏両面に銅めっき層を形成する一次めっき工程と、
前記一次めっき工程を経た銅張り基板の表裏両面をめっきレジスト膜で覆うとともに、該レジスト膜を、前記一次めっきにより銅めっき層が形成された前記第1の貫通孔の開口部の周縁部よりも内径側に張り出した状態にするめっきレジスト形成工程と、
前記めっきレジスト形成工程を経た銅張り基板に電気めっきを施して第1の貫通孔の内面に形成された銅めっき層の上に更に追加めっき層を形成する二次めっき工程と、
前記二次めっき工程を経た銅張り基板から前記めっきレジスト膜を除去する脱膜工程と、
前記脱膜工程を経ることにより形成された前記第1のスルーホール銅めっき層の突出部分を研磨して前記二次めっき工程を経た銅張り基板の表裏両面を平坦に整える研磨工程と、
前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する銅めっき層が内面に形成される第2の貫通孔を前記研磨工程を経た銅張り基板に必要な個数だけ形成する第2の孔あけ工程と、
前記二次めっき工程を経た時点で第1の貫通孔の内面に既に形成されている銅めっき層の内面と前記第2の貫通孔の内面とに銅めっきを施して、前記二次めっき工程を経た時点で前記第1の貫通孔の内面に既に形成されていた銅めっき層と該銅めっき層の上に更に形成された銅めっき層とにより前記第1の貫通孔の内面に前記第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層を形成するとともに、前記第2の貫通孔の内面に前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層を形成するパネルめっき工程と、
を行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【背景技術】
【0002】
電子回路を構成する電子部品を実装するプリント配線板として、配線板本体の表裏両面に導電パターンを形成したものが多く用いられている。この種のプリント配線板には、配線板本体を厚み方向に貫通した貫通孔と、その内面に形成されたスルーホール銅めっき層とにより構成されるスルーホールが多数設けられている。
【0003】
本明細書において、配線板本体とは、プリント配線板を構成する各部のうち、表裏両面に形成される導電パターンと、必要に応じて導電パターンを覆うように形成されるレジスト膜等の被膜部分とを除いた部分をいう。
【0004】
配線板本体としては、単一の絶縁基板により構成される単層構造のものと、絶縁基板の両面に導電パターンを形成した構造を有する単位配線板を複数枚積層して、積層された単位配線板間をブラインドビアホールやスルーホール等を通して接続した構造を有する多層構造のものとがある。配線板本体が単層構造を有する場合も、多層構造を有する場合も、配線板本体の表裏両面の回路を接続したり、表裏両面に実装される電子部品のリード端子を受け入れたりするために、配線板本体の全体を厚み方向に貫通したスルーホールが設けられる。配線板本体が単層構造を有するプリント配線板を、単層構造のプリント配線板と呼び、配線板本体が多層構造を有するプリント配線板を、多層構造のプリント配線板と呼ぶことにする。本発明は、単層構造のプリント配線板及び多層構造のプリント配線板の双方を対象とする。
【0005】
一般にプリント配線板には、多くのスルーホールが設けられる。プリント配線板に設けられるスルーホールの中には、プリント配線板の表面側のスルーホールランド(スルーホールにつながるランド)と裏面側のスルーホールランドとの間を電気的に接続する配線用スルーホールと、プリント配線板の表面側または裏面側に実装された電子部品が発生する熱を、プリント配線板の裏面側又は表面側に配置されたヒートシンクに伝達するために用いられる放熱用スルーホールとが含まれる。これらのスルーホールの内、配線用スルーホールには、実装される電子部品がリード端子を有している場合に、該リード端子が挿入されて、半田付けされる部品実装用スルーホールが含まれる。
【0006】
スルーホールは、両端が表裏両面の導電パターンを貫通して外部に開口した状態で設けられる場合もあり、少なくとも一端が蓋めっきやレジスト膜等により塞がれた状態で設けられる場合もある。またスルーホール内に樹脂や導電材などからなる充填材が充填されることもある。
【0007】
プリント配線板を製造する方法としては、銅張り基板にエッチングを施すことにより、銅箔の不要部分を除去して所定の導電パターンを形成するサブトラクティブ法が多く採用されている。サブトラクティブ法によりプリント配線板を製造する場合、各スルーホールのスルーホール銅めっき層は、例えば特許文献1に示されているような、パターンめっき法により形成される。パターンめっき法では、貫通孔が形成された配線板本体の、銅めっきを施す必要がない部分をめっきレジストで覆って、配線板本体に無電解めっきを施すことにより、貫通孔の内面を電気めっきが可能な状態にした後、配線板全体をめっき槽に浸漬して電気めっきを施すことにより、貫通孔の内面に所定の膜厚を有するスルーホール銅めっき層を形成する。この場合、スルーホール銅めっき層の厚みは、めっき液の濃度、電流密度等のめっき条件と、めっき回数とにより調整される。従来のプリント配線板を製造する際には、すべてのスルーホールのスルーホール銅めっき層の膜厚の目標値を同一として、設定した膜厚の目標値に応じて設定しためっき条件でめっきを行うことにより、すべてのスルーホールのスルーホール銅めっき層を形成していた。多数のスルーホールが設けられる場合、実際に形成されるスルーホール銅めっき層の厚みには、スルーホール毎に多少のばらつきが生じるが、そのばらつきの範囲は僅かであるため、従来のプリント配線板では、すべてのスルーホールに対して同じ条件でめっきを施していたため、すべてのスルーホールのスルーホール銅めっき層は実質的に同じ膜厚を有しているということができる。
【0008】
プリント配線板に設けられる配線用スルーホールの内、単に表裏両面の回路を電気的に接続する目的で設けられるスルーホールのスルーホール銅めっき層は、所定の範囲の電気抵抗を有する等、表裏両面の回路を接続するために必要な電気的特性を有していればよいが、電子部品のリード端子が挿入されて半田付けされる部品実装用スルーホールは、所定の電気的特性を有することに加えて、半田付け性が良好であることが必要とされる。スルーホール銅めっき層の厚さが薄すぎると、その電気抵抗が大きくなりすぎて損失が増大するため好ましくない。またスルーホール銅めっき層の電気抵抗を低くするためにスルーホール銅めっき層の厚みを厚くし過ぎると、その熱容量が大きくなるため、半田付け性が悪くなるのを避けられない。
【0009】
前述のように、従来のプリント配線板は、すべてのスルーホール銅めっき層に同じ膜厚を持たせることを基本として設計されていたが、通常プリント配線板に設けられるスルーホールには、必ず半田付けが施されるスルーホールが含まれるため、すべてのスルーホールのスルーホール銅めっき層に同じ膜厚を持たせるようにプリント配線板を設計する場合、すべてのスルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを、半田付け性を損なわない範囲の厚みに設定する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のように、プリント配線板の一面に発熱を伴う電子部品(発熱部品)が実装される場合には、該発熱部品が発生した熱を放熱用スルーホールを通してプリント配線板の他面側に配置されたヒートシンクに逃がすことにより、発熱部品の冷却を図ることが行われている。この場合、発熱部品が発生した熱を伝達するスルーホールの内面のスルーホール銅めっき層は、その熱伝導性を高めるために、できるだけ厚くしておくことが好ましい。ところが、すべてのスルーホールのスルーホール銅めっき層の厚さを半田付けが可能な範囲の厚さに設定する必要があった従来のプリント配線板においては、放熱用スルーホールに大きな熱伝導性を持たせることができなかったため、電子部品の冷却を行わせるためには、発熱部品の本体に対向する位置に放熱用スルーホールを多数設けて、これら多数の放熱用スルーホールを、発熱部品の本体に設けられた放熱板に熱的に結合する必要がある。
【0012】
しかしながら、発熱を生じる電子部品の小形化を図る場合には、当該電子部品に対して設ける放熱用スルーホールの数が制限されるため、電子部品から放熱用スルーホールを通してヒートシンクに伝達される熱量が制限され、電子部品の冷却性能が低下するという問題があった。このような問題を生じさせないようにするためには、各放熱用スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みをできるだけ厚くすることが望ましいが、従来のプリント配線板では、電子部品の実装に支障を来さないようにするために、半田付け性を考慮して各スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを設定する必要があったため、放熱用スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを厚くすることができなかった。
【0013】
またプリント配線板を用いて電子回路を構成する場合に、特定の配線用スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを厚くして、該スルーホールで生じる電圧降下を低くしたり、該スルーホールの電流容量を大きくしたりすることが望まれることがあるが、従来のプリント配線板では、半田付け性を考慮して各スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを設定する必要があったため、特定の配線用スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みだけを厚くすることはできなかった。
【0014】
本発明の目的は、プリント配線板に複数のスルーホールが設けられる場合にそれぞれのスルーホールのスルーホール銅めっき層の厚さの最適化を図ることができるプリント配線板を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、表面及び裏面に銅箔層が形成された銅張り基板を加工することにより、内面にスルーホール銅めっき層が形成されたスルーホールが複数設けられているプリント配線板を製造するプリント配線板の方法を対象とする。
本発明においては、下記の工程を行うことによりプリント配線板を製造する。
(a)第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層が内面に形成される第1の貫通孔を銅張り基板に必要な個数だけ形成する第1の孔あけ工程。
(b)第1の孔あけ工程を経た銅張り基板に一次めっきを
施して、前記第1の貫通孔の内面に銅めっき層を形成するとともに、銅張り基板の表裏両面に銅めっき層を形成する一次めっき工程。
(c)
図8(D)に示すように、一次めっき工程を経た銅張り基板の表裏両面をめっきレジスト膜で覆う
とともに、該レジスト膜を、前記一次めっきにより銅めっき層が形成された前記第1の貫通孔の開口部の周縁部よりも内径側に張り出した状態にするめっきレジスト形成工程。
(d)めっきレジスト形成工程を経た銅張り基板に電気めっきを施して第1の貫通孔の内面に形成された銅めっき層の内面に更に追加めっき層を形成する二次めっき工程。
(e)二次めっき工程を経た銅張り基板からめっきレジスト膜を除去する脱膜工程。
(f)脱膜工程を経ることにより形成された第1のスルーホール銅めっき層の突出部分を
研磨して前記二次めっき工程を経た銅張り基板の表裏両面を平坦に整える研磨工程。
(g)前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する銅めっき層が内面に形成される第2の貫通孔を、研磨工程を経た銅張り基板に必要な個数だけ形成する第2の孔あけ工程。
(h)二次めっき工程を得た時点で第1の貫通孔の内面に既に形成されている銅めっき層の内面と第2の貫通孔の内面とに銅めっきを施して、二次めっき工程を得た時点で第1の貫通孔の内面に既に形成されていた銅めっき層と該銅めっき層の上に更に形成された銅めっき層とにより第1の貫通孔の内面に第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層を形成するとともに、第2の貫通孔の内面に前記第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層を形成するパネルめっき工程。
【0016】
上記の方法では、一次めっき工程及び二次めっき工程とパネルめっき工程とにより、第1の貫通孔の内面に第1の厚みを有する第1のスルーホール導体めっき層を形成することができ、パネルめっき工程により、第2の貫通孔の内面に第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層を形成することができる。この方法によれば、銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みを減じる工程を行う必要がなく、またスルーホールを形成する過程で先に形成したスルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを維持するためのレジスト処理を必要としないため、工数を削減して製造コストの低減を図ることができる。
【0017】
上記の方法において、第1の貫通孔を複数設ける場合、該複数の第1の貫通孔の内径はすべて等しくてもよく、一部が異なっていてもよい。同様に、第2の貫通孔を複数設ける場合、該複数の第2の貫通孔の内径はすべて等しくてもよく、一部が異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、一次めっき工程及び二次めっき工程とパネルめっき工程とにより、第1の貫通孔の内面に第1の厚みを有する第1のスルーホール導体めっき層を形成し、パネルめっき工程により、第2の貫通孔の内面に第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層を形成するので、同一のプリント配線板に、スルーホール銅メッキ層の膜厚が異なる第1及び第2のスルーホールを形成することができる。
【0019】
本発明によれば、第1の貫通孔の内面に形成するスルーホール銅メッキ層の厚さを厚くして、その熱伝導性を高めたり、電流容量を大きくしたりすることができ、また第2の貫通孔の内面に形成するスルーホール銅メッキ層の厚さを薄くして、半田付け性を良好にすることができるため、電子部品の実装に支障を来すことなく、特定のスルーホールのスルーホール銅めっき層の膜厚を厚くしてその熱伝導性を高めたり、電流容量を大きくしたりすることができる。
【0020】
本発明によればまた、内面に形成されるスルーホール銅めっき層の最終的な厚みの目標値が大きい第1の貫通孔を形成する第1の孔あけ工程を、内面に形成されるスルーホール銅めっき層の最終的な厚みの目標値が小さい第2の貫通孔を形成する第2の孔あけ工程よりも先に行うようにして、銅張り基板を厚み方向に貫通した貫通孔を形成する孔あけ工程と各貫通孔の内面に銅めっき層を形成する工程とを含むスルーホール形成工程を複数回行うことにより、スルーホール銅めっき層の厚さが異なる2類のスルーホールを形成するので、スルーホール形成工程を繰り返すだけで、各貫通孔の内面に所定の厚みのスルーホール銅めっき層を形成することができ、各スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚さの管理を複雑にすることなく、スルーホール銅めっき層の厚さが異なるスルーホールが混在したプリント配線板を製造することができる。従って、本発明によれば、スルーホール銅めっき層の厚みの最適化が図られた2種類のスルーホールを有するプリント配線板を、コストの大幅な上昇を招くことなく製造することができる。
【0021】
本発明によればまた、銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みを減じる工程を行う必要がなく、またスルーホールを形成する過程で先に形成したスルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを維持するためのレジスト処理を必要としないため、工数を削減して製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1]本発明に係る製造方法により製造されるプリント配線板の一構成例について
図1は本発明に係る製造方法により製造されたプリント配線板を用いて構成した電子回路の一例を示したもので、同図(A)は同電子回路の一部を示した断面図、(B)は同電子回路の他の部分を示した断面図である。
図1(A),(B)において、1は絶縁基板2と、絶縁基板2の表面及び裏面にそれぞれ形成された導電パターン3及び4とを有するプリント配線板であり、本実施形態では、単一の絶縁基板2により配線板本体が構成されている。
【0024】
図1に示した例では、単一の絶縁基板2により配線板本体が構成されているが、単一の絶縁基板の両面に導電パターンを形成した構造を有する単位配線板を複数枚積層して、隣接する単位配線板間をブラインドビアホールやスルーホール等を通して接続した構造を有する多層構造の配線板本体が用いられる場合もある。
【0025】
本発明に係る製造方法により製造されたプリント配線板においては、絶縁基板(配線板本体)2に、スルーホール銅めっき層の厚さが異なる複数種類のスルーホールが設けられるが、図示の例では、絶縁基板2を厚み方向に貫通させて2種類のスルーホール21及び22が形成されている。これらのスルーホールのうち、スルーホール21は、プリント配線板に実装された電子部品から発生する熱をヒートシンクに伝達するために用いられる放熱用スルーホールであり、このスルーホール21は、絶縁基板2の表面側に形成された放熱用ランド3aと、絶縁基板2の裏面側に形成された放熱用ランド4aとの間を接続するように設けられている。また他のスルーホール22は、絶縁基板(配線板本体)2の表裏両面の回路を電気的に接続する配線用スルーホールで、このスルーホールは、絶縁基板2の表面側に形成された導電パターンの一部に設けられた表面側のスルーホールランド3bと、絶縁基板2の裏面側に形成された導電パターン4の一部に設けられた裏面側のスルーホールランド4bとの間を接続するように設けられている。
【0026】
図1(A)に示された放熱用スルーホール21は、絶縁基板2を厚み方向に貫通した貫通孔21aと、貫通孔21aの内面に形成されたスルーホール銅めっき層21bとにより構成され、
図1(A)及び(B)に示された配線用スルーホール22は、絶縁基板2を厚み方向に貫通した貫通孔22aと、貫通孔22aの内面に形成されたスルーホール銅めっき層22bとにより構成されている。
【0027】
ここで、放熱用スルーホール21を構成する貫通孔21aの内径を第1の内径とし、配線用スルーホール22を構成する貫通孔22aの内径を第2の内径とすると、図示の例では、第1の内径が第2の内径よりも大きく設定され、放熱用スルーホール21の内面のスルーホール銅めっき層21bが配線用スルーホール22の内面のスルーホール銅めっき層22bよりも大きな厚みを有するように形成されている。
【0028】
本実施形態においては、厚みが厚いスルーホール銅めっき層が内面に形成されるスルーホール21を構成する貫通孔の内径(第1の内径)を、厚みが厚いスルーホール銅めっき層が内面に形成されるスルーホール22を構成する貫通孔の内径(第2の内径)よりも大きく設定しているが、第1の内径が第2の内径よりも大きいことは本発明の必須の要件ではない。第1の内径と第2の内径とを等しく設定してもよく、場合によっては、第1の内径を第2の内径よりも小さく設定してもよい。また第1の貫通孔21aを複数設ける場合、該複数の第1の貫通孔の内径はすべて等しくてもよく、一部の第1の貫通孔の内径が他の第1の貫通孔の内径と異なっていてもよい。同様に、第2の貫通孔22aを複数設ける場合、該複数の第2の貫通孔の内径はすべて等しくてもよく、一部の第2の貫通孔の内径が他の第2の貫通孔の内径と異なっていてもよい。
【0029】
放熱用スルーホール21のスルーホール銅めっき層21bは、その一端及び他端の端面が、絶縁基板2の表面側及び裏面側にそれぞれ形成された放熱用ランド3a及び4aと面一になるように設けられ、配線用スルーホール22は、その一端及び他端の端面が、絶縁基板2の表面側及び裏面側にそれぞれ形成された導電パターンの一部に設けられたスルーホールランド3b及び4bと面一になるように設けられている。
【0030】
図示のプリント配線板1は、
図2(A)に示されたように絶縁基板2の表裏両面に銅箔層3’,4’が形成された銅張り基板5’に加工を施すことにより製造される。
図1に示された例では、絶縁基板2の表裏両面にそれぞれ形成された銅箔層3’,4’の上に銅めっき層23",24"が形成され、銅箔層3’及び4’と銅めっき層23"及び24"とによりそれぞれ、絶縁基板2の表裏両面の銅層が形成されている。これらの銅層がエッチングされることにより絶縁基板2の表裏両面に導電パターン3及び4が形成される。
【0031】
本実施形態では、プリント配線板1の表面側に、発熱を生じるためにヒートシンクを用いた積極的な冷却を必要とする電子部品8(
図1A参照)と、積極的な冷却を必要としない電子部品8’(
図1B参照)とが実装されている。電子部品8は、電力増幅用の半導体素子や、比較的大きな電流を流す整流素子などである。
図1(A)に示された、発熱を生じる電子部品8は、本体801と、本体801から四方に導出された複数の端子802と、本体801の裏面に設けられた放熱板803とを有していて、その放熱板803がプリント配線板1の表面に形成された放熱用ランド3aと、放熱用スルーホール21のスルーホール銅めっき層21bとに熱的に結合された状態で配置されている。
【0032】
図示の例では、電子部品8の放熱板803が、放熱用ランド3aと、放熱用ランド3aと面一に配置された放熱用スルーホール21の銅めっき層21bの一方の端面とに半田付けされることにより、電子部品8と放熱用スルーホール21とが熱的に結合されている。
電子部品8の本体から四方に導出された複数の端子802は、放熱用ランド3aの周囲に設けられたマウンティングパッド3cに半田9により接続されている。またプリント配線板1の裏面に形成された放熱用ランド4aと、この放熱用ランド4aと面一に配置された放熱用スルーホール21のスルーホール銅めっき層21bの他方の端面とにヒートシンク11が、放熱グリスなどの良熱伝導性を有するペーストを介して接触させられることにより、放熱用スルーホール21とヒートシンク11とが熱的に結合され、電子部品8から発生した熱が放熱用スルーホール21の銅めっき層21bを通してヒートシンク11に伝達されるようになっている。
【0033】
なお図示の例では、説明を簡単にするために、一つの電子部品8に対して表裏両面の放熱用ランド3a及び4aが一つずつ設けられて、これらの放熱用ランドの間を接続するように一つの放熱用スルーホール21が形成されているが、表裏両面の放熱用ランド3a及び4aを接続するように複数の放熱用スルーホールを設けることもできる。例えば、放熱用ランド3a及び4aのそれぞれを矩形状に形成する場合、放熱用ランド3a及び4aの縦横に整列して並ぶように多数の放熱用スルーホールを設けて、これらの放熱用スルーホールにより表裏両面の放熱用ランド3a及び4a間を接続する構造にしてもよい。このように、一つの電子部品に対して複数の放熱用スルーホールを設ける場合、各放熱用スルーホールを構成する貫通孔の内径(第1の内径)は、配線用スルーホールを構成する貫通孔の内径(第2の内径)と同等か、又は配線用スルーホールを構成する貫通孔の内径よりも小さく設定される。
【0034】
図1(B)に示された、積極的な冷却を必要としない電子部品8’は、本体801’と、本体801’の両端から導出されたリード端子802’,802’とを有している。リード端子を有する電子部品8’のリード端子802’、802’は、部品実装用スルーホールを兼ねる所定の配線用スルーホール22,22内に挿入されている。部品実装用スルーホールを兼ねる配線用スルーホール22,22に挿入されたリード端子802’,802’は、当該配線用スルーホール22,22につながるようにして絶縁基板2の表面側に形成されたスルーホールランド3bと、絶縁基板2の裏面側に形成されたスルーホールランド4bとに半田9により接続されている。この半田付けに支障を来さないように(スルーホール銅めっき層22bの熱容量が大きくなり過ぎないように)、スルーホール銅めっき層22bの厚みが設定されている。
【0035】
上記のように、本実施形態では、電子部品8が発生する熱を放熱用スルーホール21のスルーホール銅めっき層21bを通してヒートシンク11に伝達させることにより、電子部品8を効率よく冷却することができるようにしている。電子部品8を、定格電流を流した状態で支障なく動作させることができる温度まで電子部品8を冷却するために必要な熱伝導性をスルーホール銅めっき層21bに持たせるように、スルーホール銅めっき層21bの厚みが十分厚く設定されている。また部品実装用スルーホール22のスルーホール銅めっき層22bの電気抵抗を十分に低くし、かつスルーホール銅めっき層22bの熱容量を半田付けが可能な範囲の大きさとするように、スルーホール銅めっき層22bの厚みが設定されている。
【0036】
上記のように、プリント配線板に設ける複数のスルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを、それぞれのスルーホールの用途に応じて設定するようにすると、それぞれのスルーホールのスルーホール銅めっき層の厚さの最適化を図ることができ、電子部品の実装に支障を来すことなく、特定のスルーホールのスルーホール銅めっき層の膜厚を厚くしてその熱伝導性を高めたり、特定の配線用スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを厚くして、該スルーホールで生じる電圧降下を低くしたり、該スルーホールの電流容量を大きくしたりすることができる。
【0037】
なお
図1は、あくまでも本発明に係る製造方法により製造されるプリント配線板の構成の一例を示したものであり、種々の用途を有する更に多くのスルーホールが設けられるプリント配線板をも本発明に係る製造方法により製造することができるのはもちろんである。
【0038】
[2]プリント配線板の製造方法の実施形態について
上記のプリント配線板は、表面及び裏面に銅箔層が形成された銅張り基板を加工することにより製造される。以下に開示されるプリント配線板の製造方法においては、内面に形成されるスルーホール銅めっき層の最終的な厚みが等しい貫通孔の形成を同時に行い、かつ最終的な厚みが厚いスルーホール銅めっき層が内面に形成される貫通孔の形成を、最終的な厚みが薄いスルーホール銅めっき層が内面に形成される貫通孔の形成よりも先に行うようにして、銅張り基板を厚み方向に貫通した貫通孔を形成する貫通孔形成工程と各貫通孔の内面に銅めっき層を形成する銅めっき層形成工程とを含むスルーホール形成工程を複数回行うことにより、スルーホール銅めっき層の厚さが異なる2種類以上のスルーホールを形成する。
【0039】
従来のプリント配線板の製造方法では、銅張り基板に形成するすべての貫通孔の形成を一工程で行った後に、各貫通孔の内面に銅めっきを施してスルーホールを形成するようにしていたが、すべての貫通孔の形成を一工程で行って、その後に各貫通孔の内面に銅めっき層を形成するようにした場合には、一つのプリント配線板にスルーホール銅めっき層の厚さが異なる複数種類のスルーホールを混在させる場合に、各スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚さの管理が非常に面倒になり、プリント配線板の製造工数が増加して、製造コストが著しく高くなるのを避けられない。そのため、従来は、同じプリント配線板に、スルーホール銅めっき層の厚さが異なるスルーホールを混在させることは行われていなかった。
【0040】
これに対し、本発明のように、内面に形成されるスルーホール銅めっき層の最終的な厚みの目標値が同じである貫通孔の形成を同時に行い、かつ内面に形成されるスルーホール銅めっき層の最終的な厚みの目標値が大きい貫通孔の形成を、内面に形成されるスルーホール銅めっき層の最終的な厚みの目標値が小さい貫通孔の形成よりも先に行うようにした場合には、スルーホール形成工程をn回(nは1以上の整数)行うことにより、各貫通孔の内面に所定の厚みのスルーホール銅めっき層を形成することができるため、各スルーホールのスルーホール銅めっき層の厚さの管理を容易にして、工数の増加を抑え、製造コストの低減を図ることができる。
【0041】
本願明細書に開示するプリント配線板の製造方法の好ましい実施形態を
図2ないし
図9に示した。
[プリント配線板の製造方法の第1の実施形態]
図2及び
図3は、本願明細書に開示するプリント配線板の製造方法の第1の実施形態を示したものである。本実施形態では、内面にスルーホール銅めっき層が形成されたスルーホールが複数設けられているプリント配線板を製造するに当たり、
図2(A)に示されたように絶縁基板2の表面及び裏面にそれぞれ銅箔層3’及び4’が形成された銅張り基板5’を用意し、この銅張り基板5’に、同図(B)に示すように、ドリル等の孔あけ工具30を用いて、第1の内径を有する第1の貫通孔21aを必要な個数だけ形成する第1の孔あけ工程を行う。この第1の孔あけ工程で形成されるすべての第1の貫通孔21aの内面には、後の工程で、厚みが等しい第1のスルーホールめっき層が形成される。
【0042】
第1の貫通孔21aの内径は、後の工程でこの貫通孔の内面に形成される第1のスルーホール銅めっき層の最終的な厚みの目標値と、アスペクト比(銅張り基板5’の厚み/貫通孔21aの内径)とを考慮して適当な値に設定しておく。一般に、アスペクト比が大きくなると、後の工程で行うパネルめっきの難易度が高くなるので、後の工程で行うパネルめっきを容易かつ均一に行うことができるように、アスペクト比を設定しておく。これらの点は、後で説明する第2乃至第4の実施形態でも同様である。
【0043】
本実施形態では、出発材料である銅張り基板5’に対して第1の孔あけ工程を行うようにしているが、後記するように、スルーホール形成工程において、スルーホール銅めっき層の形成に伴って銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みが増大する場合には、スルーホールが形成されたプリント配線板の表裏両面に導電パターン3及び4を形成するためのエッチングを行う際の銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みを、所定のエッチング精度を得るために必要な厚みとするように、第1の孔あけ工程を行う前に、スルーホール形成工程で生じる表裏両面の銅層の厚みの増大を考慮して、出発材料である銅張り基板の表裏両面の銅箔層3’及び4’の厚みを、ハーフエッチングにより予め減じておく工程を、第1の孔あけ工程に先立って行うようにすることもできる。
【0044】
第1の孔あけ工程を行った後、該第1の孔あけ工程を経た銅張り基板5’に対して、第1のパネルめっき工程を行う。この第1のパネルめっき工程では、
図2(C)に示すように、第1の貫通孔21aの内面に銅めっき層21b’を形成し、銅張り基板5’の表裏両面の銅箔層3’,4’の上に銅めっき層23’,24’を形成するパネルめっき工程をN回(Nは2以上の整数)繰り返すことにより、
図2(D)に示すように、第1の貫通孔21aの内面に第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層21bを形成する。この工程では、同時に銅張り基板5’の表裏両面の銅箔層3’,4’の上にも、同じく第1の厚みを有する表裏両面の銅めっき層23,24が形成される。
【0045】
第1のパネルめっき工程で最初にスルーホール銅めっき層を形成する際には、先ず無電解銅めっきにより、第1の貫通孔21aの内面及び銅張り基板5’の表裏両面の銅箔層3’,4’の上に薄い銅めっき層を形成し、その上に電気めっきを施すことによりスルーホール銅めっき層21b’及び表裏両面の銅めっき層23’,24’を形成する。1回の電気めっきにより形成される銅めっき層の厚みは、めっき液の濃度や電流密度等のめっき条件を一定とすることにより一定にすることができるため、第1のスルーホール銅めっき層21b及び表裏両面の銅めっき層23,24の厚みは、電気めっきのめっき条件と電気めっきを行う回数とにより正確に管理することができる。
【0046】
上記第1のパネルめっき工程を行った後、
図2(E)に示すように、第1のパネルめっき工程を経た銅張り基板5’の第1のスルーホール銅めっき層21bの内側に熱伝導性が良好な絶縁性の樹脂または熱伝導性が良好な導電性の樹脂(金属粒子を含む樹脂)からなる充填材25を充填して、第1のスルーホール銅めっき層21の内側の孔を埋める孔埋め処理を行う孔埋め工程を行う。この孔埋め工程で行う孔埋め処理は、第1のスルーホール銅めっき層21bの厚みが後の工程で変化するのを防ぐための(第1のスルーホール銅めっき層の厚みを維持するための)レジスト処理と、放熱用スルーホールである第1のスルーホール21の放熱性を高めるための処理とを兼ねている。孔埋め工程は、スクリーン印刷の技術を用いて行うことができる。
【0047】
次いで、孔埋め工程を経た銅張り基板の表裏両面を平坦に整えるとともに、表裏両面の銅層の厚みを調整する表裏両面調整工程を行う。この表裏両面調整工程では、孔埋め工程を経た銅張り基板5’の表裏両面の銅箔層3’,4’の上に形成された表裏両面の銅めっき層23,24(
図2E参照)の一部を、ハーフエッチングにより除去して、
図3(A)に示すように、表裏両面の銅箔層3’,4’と両銅箔層3’,4’の上にそれぞれ形成された表裏両面の銅めっき層23,24とからなる銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みを規定の厚みまで減少させる。表裏両面調整工程ではまた、銅張り基板の表裏両面の銅層に対してハーフエッチングを行ったことにより、
図3(A)に示されているように銅張り基板の表裏両面から突出した状態になった充填材の突出部分を研磨機31,31により除去して、孔埋め工程を経た銅張り基板の表裏両面を平坦に整える。本実施形態においては、表裏両面調整工程でハーフエッチングにより表裏両面の銅めっき層23,24をすべて除去して、銅箔層3’,4’を露呈させるようにしている。
【0048】
銅張り基板5’の表裏両面の銅層が厚すぎると、後の工程で銅張り基板の表裏両面の銅層にエッチングを施して銅張り基板の表裏両面に所定の回路を構成する導電パターンを形成する際にエッチング精度が低下し、プリント配線板の配線密度を高めることができない。また銅張り基板5’の表裏両面の銅層が薄すぎると、その電気抵抗が大きくなって電圧降下が増大し、通電容量が減少するため好ましくない。上記表裏両面調整工程は、エッチング精度を高めて配線密度を高め、しかも表裏両面の導電パターンに十分に低い電気抵抗を持たせることができるように、銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みを調整するために必要である。
【0049】
なお表裏両面調整工程において銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みを減じる過程は、本実施形態のようにハーフエッチングにより行うことが好ましいが、基板の表裏両面の銅層を研磨機により研磨して、その厚みを減じる方法により行うことも可能である。
【0050】
表裏両面調整工程を行った後、
図3(C)に示すように、孔あけ工具32を用いて、表裏両面調整工程を経た銅張り基板5’に第2の内径を有する第2の貫通孔22aを必要個数だけ形成する第2の孔あけ工程を行う。本実施形態では、第2の内径が第1の内径(第1の貫通孔21aの内径)より小さく設定されている。第2の孔あけ工程で形成されたすべての第2の貫通孔22aの内面には、後の工程で、前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層22bが形成される。
【0051】
第2の孔あけ工程を行った後、
図3(D)に示すように、第2の孔あけ工程を経た銅張り基板5’の、第2の貫通孔22aの内面に前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層22bを形成する第2のパネルめっき工程を行う。この第2のパネルめっき工程では、銅張り基板の表裏両面にも第2の厚みを有する銅めっき層23",24"が形成される。この工程により、第2の貫通孔22aと、その内面に形成された第2のスルーホール銅めっき層22bとからなる第2のスルーホール22を形成する。第2のスルーホールが配線用スルーホールである場合、第2のパネルめっき工程は通常1回だけ行えば十分であるが、第2のパネルめっき工程を1回行っただけでは所定の厚みの第2のスルーホール銅めっき層22bを得ることができない場合には、この第2のパネルめっき工程を複数回行う。第2のパネルめっき工程を行うことにより、第1のスルーホール21の表裏両面の開口部(充填材25の両端)が銅めっき層(蓋めっき)23"、24"により覆われる。
【0052】
第2のパネルめっき工程で、基板の表裏両面の銅層の厚みが厚くなりすぎる場合には、基板の表裏両面の銅層の厚みを機械加工により減じるか、又は第2のスルーホール22に後で除去することができる充填材を充填してスルーホール銅めっき層22bを保護した状態で、基板の両面の銅層の厚みをハーフエッチングにより減少させることにより、基板の両面の銅層の厚みを調整する。第2のスルーホール22を、部品実装用スルーホールを兼ねる配線用スルーホールとする場合には、電子部品のリード端子の挿入を可能にするために、基板の表裏両面の銅層の厚みを調整した後、第2のスルーホール22b内に充填した充填材を除去する。
【0053】
図2(B)に示した第1の孔あけ工程から
図3(D)に示した第2のパネルめっき工程までの一連の工程を行うことにより、放熱用スルーホールとして用いる第1のスルーホール21及び配線用スルーホールとして用いる第2のスルーホール22を形成することができる。
【0054】
第1及び第2のスルーホールを形成した後、
図3(E)に示すように、銅張り基板の表裏両面の銅めっき層23"及び24"の上にエッチングレジスト41,42をかけ、これらのエッチングレジストに露光することにより、基板の表裏両面に導電パターンを形成する際に除去すべき部分を露呈させる。次いでエッチング工程を行って、
図3(F)に示すように基板の表裏両面の銅層の不要部分を除去し、更にエッチングレジスト除去工程を行うことにより、
図3(G)に示すようにエッチング41,42を除去して、絶縁基板2の表裏両面に導電パターン3,4が形成された絶縁基板2にスルーホール21及び22を形成したプリント配線板1を完成する。
【0055】
図示の例では、基板の裏面側にエッチングレジストをかける際に、第2のパネルめっき工程で形成された基板の裏面側の銅めっき層24"の、第1のスルーホール21の裏面側の開口部を塞いでいる部分をエッチングレジスト42で覆うようにしている。そのため、
図3(G)に示すように、プリント配線板1を完成した段階で、放熱用スルーホール21の裏面側の開口部を塞ぐ蓋めっき部24a"が形成される。このような蓋めっき部を形成しておくと、この蓋めっき部をヒートシンクに面接触させることにより、放熱用スルーホールとヒートシンクとの熱的結合を良くすることができるため、放熱用スルーホール21からヒートシンク11への熱伝達を良好に行わせることができる。
【0056】
上記の実施形態では、
図2(B)に示した第1の孔あけ工程から
図3(B)に示した表裏両面調整工程までの工程により、銅張り基板5’を厚み方向に貫通した貫通孔を形成する貫通孔形成工程と各貫通孔の内面に銅めっき層を形成する銅めっき層形成工程とを含む一つのスルーホール形成工程が構成されている。また
図3(C)に示す第2の孔あけ工程から
図3(D)に示した第2のパネルめっき工程までの工程により、他のスルーホール形成工程が構成されている。
【0057】
[プリント配線板の製造方法の第2の実施形態]
次に
図4及び
図5を参照して、本願明細書に開示する製造方法の第2の実施形態を説明する。本実施形態においても、先ず、
図4(A)に示されたように絶縁基板2の表面及び裏面にそれぞれ銅箔層3’及び4’が形成された銅張り基板5’に、同図(B)に示すように、ドリル等の孔あけ工具30を用いて、第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層が内面に形成される第1の貫通孔21aを必要な個数だけ形成する第1の孔あけ工程を行う。次いで、
図4(C)に示すように、第1の孔あけ工程を経た銅張り基板5’の第1の貫通孔21aの内面にスルーホール銅めっき層21b′を形成し、銅張り基板5’の表裏両面にスルーホール銅めっき層23’、24’を形成する第1のパネルめっき工程を行う。この工程を繰り返すことにより、
図4(D)に示すように、第1の貫通孔21aの内面に銅めっき層21b”を形成し、表裏両面の銅箔層3’,4’の上に銅めっき層23,24を形成する。
【0058】
次に、第1のパネルめっき工程を経た銅張り基板5’の表裏両面の銅めっき層の厚みを調整する表裏両面調整工程を行う。この工程では、
図4(D)に示すように、銅張り基板5’の表裏両面の銅箔層3’,4’の上に形成された表裏両面の銅めっき層23,24を研磨機31,31により機械的に研磨して、表裏両面の銅箔層3’,4’と両銅箔層3’,4’の上にそれぞれ形成された表裏両面の銅めっき層23,24とからなる銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みを規定の厚みまで減少させて、表裏両面の銅層の厚みが調整された銅張り基板5’を得る。本実施形態では、表裏両面調整工程において、第1のパネルめっき工程で形成された表裏両面の銅めっき層23、24を除去して銅箔層3’,4’を露出させるようにしている。
【0059】
本実施形態では、表裏両面調整工程を機械加工により行っているが、第1の貫通孔21aの内面に形成された銅めっき層21b”の内側にレジスト用の樹脂を充填して、銅めっき層21b”を保護した状態で、表裏両面調整工程をハーフエッチングの技法により行うこともできる。ハーフエッチングにより表裏両面調整工程を行った場合には、当該工程を終了した後、第1の貫通孔21aの内面に形成された銅めっき層21b”の内側に充填された樹脂を除去する。
【0060】
次いで、
図4(F)に示すように、表裏両面調整工程を経た銅張り基板5′に、孔あけ工具32,32を用いて、後の工程で第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層が内面に形成される第2の貫通孔22aを必要な個数だけ形成する第2の孔あけ工程を行った後、
図5(A)に示すように、第2の孔あけ工程を経た銅張り基板5′の第1の貫通孔21aの内面に形成されたスルーホール銅めっき層21b”の内面に更に銅めっきを施して該第1の貫通孔21aの内面に第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層21bを形成するとともに、第2の貫通孔22aの内面に第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層22bを形成し、銅張り基板の表裏両面に第2の厚みを有する表裏両面の銅めっき層23”,24”を形成する第2のパネルめっき工程を行う。
【0061】
第1及び第2のスルーホールを形成した後、
図5(B)に示すように、銅張り基板の表裏両面の銅めっき層23"及び24"の上にエッチングレジスト41,42をかけ、これらのエッチングレジストに露光することにより、基板の表裏両面に導電パターンを形成する際に除去すべき部分を露呈させる。次いでエッチング工程を行って、
図5(C)に示すように基板の表裏両面の銅層の不要部分を除去し、更にエッチングレジスト除去工程を行うことにより、
図5(D)に示すようにエッチング41,42を除去して、絶縁基板2の表裏両面に導電パターン3,4が形成された絶縁基板2にスルーホール21及び22を形成したプリント配線板1を完成する。
【0062】
上記の実施形態では、
図4(B)に示した第1の孔あけ工程から
図4(E)に示した表裏両面調整工程までの工程により、銅張り基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と各貫通孔の内面にスルーホール銅めっき層を形成する銅めっき層形成工程とを含む一つのスルーホール形成工程が構成されている。また
図4(F)に示す第2の孔あけ工程から
図5(A)に示した第2のパネルめっき工程までの工程により、他のスルーホール形成工程が構成されている。
【0063】
[プリント配線板の製造方法の第3の実施形態]
次に
図6及び
図7を参照して、本願明細書に開示するプリント配線板の製造方法の第3の実施形態を説明する。本実施形態においては、先ず
図6(B)に示すように、孔あけ工具30を用いて、
図6(A)に示された銅張り基板5’に対して、後の工程で第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層が内面に形成される第1の貫通孔21aを銅張り基板5’に必要な個数だけ形成する第1の孔あけ工程を行う。第1の孔あけ工程を行った後、
図6(C)に示すように、第1の孔あけ工程を経た銅張り基板に一次めっき(無電解めっき)を施して、貫通孔21aの内面に銅めっき層21b’を形成するとともに、銅張り基板の表裏両面に銅めっき層23’,24’を形成する一次めっき工程を行う。
【0064】
次いで,
図6(D)に示すように、一次めっき工程を経た銅張り基板の表裏両面をめっきレジスト43,44で覆うめっきレジスト形成工程を行い、
図6(E)に示すように、第1の貫通孔21aの内面の銅めっき層21b′の上に電気めっきを施して、第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層21bを形成する二次めっき工程を行う。
【0065】
次いで、
図6(F)に示すように、二次めっき工程を経た銅張り基板からめっきレジスト43,44を除去し、第1のスルーホール銅めっき層21bの突出部分(レジスト43,44の厚み相当分)を研磨して、二次めっき工程を経た銅張り基板の表裏両面を平坦に整える脱膜研磨工程を行う。
【0066】
次に、
図6(G)に示したように、脱膜研磨工程を経た銅張り基板の第1のスルーホール銅めっき層21bの内側に樹脂等からなる充填材25を充填して該第1のスルーホール銅めっき層の内側の孔を埋める孔埋め工程を行った後、表裏両面調整工程を行う。この表裏両面調整工程では、孔埋め工程を経た銅張り基板の表裏両面の銅層に対してハーフエッチングを行って、
図7(A)に示すように、銅張り基板の表裏両面に形成されているスルーホール銅めっき層の厚みを規定の厚みまで減じた後、
図7(B)に示したように、第1のスルーホール銅めっき層21bの内側に充填された充填材25の突出部分を研磨機31により研磨することにより除去して、
図7(C)のように銅張り基板5’の表裏両面を平坦に整える表裏両面調整工程を行う。本実施形態でも、表裏両面調整工程で行うハーフエッチングにより、銅張り基板5′の表裏両面の銅箔層3’及び5’を露呈させるようにしている。
【0067】
次いで、
図7(D)に示したように、表裏両面調整工程を経た銅張り基板5’に、第2の貫通孔22aを必要な個数だけ形成する第2の孔あけ工程を行う。本実施形態では、第2の貫通孔22aの内径が、第1の貫通孔21aの内径よりも小さく設定されている。
【0068】
第2の孔あけ工程を行った後、
図7(E)に示したように、第2の孔あけ工程を経た銅張り基板5’に無電解めっきを施して第2の貫通孔の内面に電気めっきを行うことができる状態にした後、銅張り基板5’をめっき層に浸漬して電気めっきを施すパネルめっき法により、銅張り基板5’に銅めっきを施して、第2の貫通孔22aの内面に第1のスルーホール銅めっき層21bよりも薄い第2のスルーホール銅めっき層22bを形成し、銅張り基板5’の表裏両面にスルーホール銅めっき層23”,24”を形成するパネルめっき工程を行う。
【0069】
上記のようにして第1及び第2のスルーホールを形成した後、
図7(F)に示すように、銅張り基板の表裏両面の銅めっき層23"及び24"の上にエッチングレジスト41,42をかけ、これらのエッチングレジストに露光することにより、基板の表裏両面に導電パターンを形成する際に除去すべき部分を露呈させる。次いでエッチング工程を行って、
図7(G)に示すように基板の表裏両面の銅層の不要部分を除去し、更にエッチングレジスト除去工程を行うことにより、
図7(H)に示すようにエッチング41,42を除去して、絶縁基板2の表裏両面に導電パターン3,4が形成された絶縁基板2に第1及び第2のスルーホール21及び22を形成したプリント配線板1を完成する。
【0070】
上記の実施形態では、
図6(B)に示した第1の孔あけ工程から
図7(C)に示した表裏両面調整工程までの工程により、銅張り基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と各貫通孔の内面にスルーホール銅めっき層を形成する銅めっき工程とを含む一つのスルーホール形成工程が構成されている。また
図7(D)に示す第2の孔あけ工程から
図7(E)に示したパネルめっき工程までの工程により、他のスルーホール形成工程が構成されている。
【0071】
[プリント配線板の製造方法の第4の実施形態]
次に
図8及び
図9を参照して、本願明細書に開示するプリント配線板の製造方法の第4の実施形態を説明する。
本実施形態においても、
図8(B)に示すように、第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層が内面に形成される第1の貫通孔21aを、
図8(A)に示された銅張り基板5’に必要な個数だけ形成する第1の孔あけ工程を行う。次いで、
図8(C)に示すように、第1の孔あけ工程を経た銅張り基板に一次めっき(無電解めっき)を施して、第1の貫通孔21aの内面に銅めっき層21b”を形成するとともに、銅張り基板の表裏両面に銅めっき層23’,24’を形成する一次めっき工程を行った後、
図8(D)に示すように、一次めっき工程を経た銅張り基板の表裏両面をめっきレジスト43,44で覆うめっきレジスト形成工程を行う。
【0072】
次いで、
図8(E)に示すように、めっきレジスト形成工程を経た銅張り基板5’に電気めっきを施して第1の貫通孔21aの内面に形成されたスルーホール銅めっき層21b”の上に更に追加めっき層を形成することにより第1の貫通孔21aの内面により厚い銅めっき層21b’を形成する二次めっき工程を行う。
【0073】
その後、
図8(F)に示すように、二次めっき工程を経た銅張り基板5’からめっきレジスト43,44を除去し、
図9(A)に示すように、第1の貫通孔21aの内面に形成されたスルーホール銅めっき層21b’の両端から突出した突出部分を研磨機31,31により研磨して、
図9(B)に示したように、二次めっき工程を経た銅張り基板の表裏両面を平坦に整える研磨工程を行う。
【0074】
次いで、
図9(C)に示したように、第1の厚み(第1のスルーホール銅めっき層21bの最終的な厚み)よりも薄い第2の厚みを有する銅めっき層が内面に形成される第2の貫通孔22aを、研磨工程を経た銅張り基板5’に必要な個数だけ形成する第2の孔あけ工程を行う。
【0075】
第2の孔あけ工程を行った後、
図9(D)に示したように、二次めっき工程を経た時点で第1の貫通孔の内面に既に形成されているめっき層21b’の内面と第2の貫通孔22aの内面とに銅めっき(無電解めっき及び電気めっき)を施して、
図8(E)に示した二次めっき工程を経た時点で第1の貫通孔21aの内面に既に形成されていためっき層21b’と該めっき層の上に更に形成されためっき層とにより第1の貫通孔21aの内面に第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層21bを形成するとともに、第2の貫通孔22aの内面に第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有する第2のスルーホール銅めっき層22bを形成するパネルめっき工程を行う。
【0076】
図9(D)に示したパネルめっき工程では、銅張り基板5’の表裏両面の銅めっき層の上にも銅めっき層23”,24”が形成される。本実施形態においては、
図9(D)に示すパネルめっき工程で銅めっきを施した際に、最終的に第1の貫通孔21aの内面に設定された第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層21bが形成されるように、
図8(E)の二次めっき工程で形成するスルーホール銅めっき層21b’の厚みを設定しておく。
【0077】
上記のようにして第1及び第2のスルーホールを形成した後、
図9(E)に示すように、銅張り基板の表裏両面の銅めっき層23"及び24"の上にエッチングレジスト41,42をかけ、これらのエッチングレジストに露光することにより、基板の表裏両面に導電パターンを形成する際に除去すべき部分を露呈させる。次いでエッチング工程を行って、
図9(F)に示すように基板の表裏両面の銅層の不要部分を除去し、更にエッチングレジスト除去工程を行うことにより、
図9(G)に示すようにエッチング41,42を除去して、絶縁基板2の表裏両面に導電パターン3,4が形成された絶縁基板2にスルーホール21及び22を形成したプリント配線板1を完成する。
【0078】
上記の実施形態では、
図8(B)に示した第1の孔あけ工程から
図9(B)に示した研磨工程までの工程により、内面に形成されるスルーホール銅めっき層の最終的な厚みが等しい貫通孔を銅張り基板に形成する貫通孔形成工程と、各貫通孔の内面に銅めっき層を形成する銅めっき工程とを含む一つのスルーホール形成工程が構成されている。また
図9(C)に示す第2の孔あけ工程から
図9(D)に示したパネルめっき工程までの工程により、他のスルーホール形成工程が構成されている。
【0079】
本実施形態によれば、銅張り基板の表裏両面の銅層の厚みを減じる工程を行う必要がなく、またスルーホールを形成する過程で先に形成したスルーホールのスルーホール銅めっき層の厚みを維持するためのレジスト処理を必要としないため、工数を削減して製造コストの低減を図ることができる。
【0080】
上記の各態様では、第1の貫通孔の内面に第1の厚みを有する第1のスルーホール銅めっき層を形成する工程と、第2の貫通孔の内面に第1の厚みよりも薄い第2のスルーホール銅めっき層を形成する工程とを行っているが、本発明においては、第2の厚みよりも更に薄い厚みを有するスルーホール銅めっき層を他の貫通孔の内面に形成することを妨げない。
【0081】
上記の各実施形態では、単一の絶縁基板により配線板本体が構成される単層構造のプリント配線板を例にとったが、絶縁基板の両面に導電パターンを形成した構造を有する単位配線板を複数枚積層して、単位配線板の間をブラインドビアホールやスルーホール等を通して接続した構造を有する多層構造のプリント基板にも本発明を適用することができる。多層構造のプリント基板に本発明を適用する場合には、単位配線板の積層体(表裏両面の銅箔層等を除いた部分)により配線板本体が構成される。
【0082】
上記の各実施形態では、第1の厚みを有するスルーホール銅めっき層21bを内面に形成する第1の貫通孔21aの内径を、第1の厚みよりも薄い第2の厚みを有するスルーホール銅めっき層22bを内面に形成する第2の貫通孔22aの内径よりも大きくしているが、第1の貫通孔21aの内径を第2の貫通孔22aの内径に等しくしたり、第1の貫通孔21aの内径を第2の貫通孔22aの内径より小さくしたりすることもできる。第1の貫通孔21aの内径を第2の貫通孔22aの内径に等しくしたり、第1の貫通孔21aの内径を第2の貫通孔22aの内径より小さくしたりした場合には、第1の貫通孔21aの内面に形成されるスルーホールめっき層の内側の孔が小さくなったり、孔の一部が詰まったりすることがあり得るが、放熱用スルーホールの場合は、その内側の孔が詰まっても支障を来さない。