特許第5764236号(P5764236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764236
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ集合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/02 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   C01B31/02 101F
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-94580(P2014-94580)
(22)【出願日】2014年5月1日
(62)【分割の表示】特願2009-109010(P2009-109010)の分割
【原出願日】2009年4月28日
(65)【公開番号】特開2014-141411(P2014-141411A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2014年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】前野 洋平
【審査官】 佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−067413(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/087957(WO,A1)
【文献】 特開2007−076925(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0181839(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/029218(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0095695(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 31/00−31/36
CiNii
Thomson Innovation
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板の表面に複数のカーボンナノチューブを備えたカーボンナノチューブ集合体の製造方法であって、
該シリコン基板の表面にAl膜を蒸着後に空気中で700〜1000℃の温度で加熱してAl膜を形成し、該Al膜上に触媒層を形成し、該触媒層上にカーボンナノチューブを成長させる、
カーボンナノチューブ集合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ集合体の製造方法に関する。詳細には、本発明は、シリコン基板の表面に複数のカーボンナノチューブを備えたカーボンナノチューブ集合体の製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
様々な機能性材料への展開が期待されているカーボンナノチューブについて、品質、生産性、用途等、種々の検討がなされている。
【0003】
カーボンナノチューブを機能性材料として実用化させていくためには、例えば、多数本のカーボンナノチューブからなる集合体とし、その集合体の特性を向上させていくことが考えられる。
【0004】
カーボンナノチューブ集合体の用途としては、例えば、粘着剤が挙げられる(特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
産業用途の粘着剤として、種々の材料が使われているが、そのほとんどは柔軟にバルク設計された粘弾性体である。粘弾性体は、そのモジュラスの低さから被着体にぬれて馴染み、接着力を発揮する。一方、カーボンナノチューブは、その直径がナノサイズであるため、被着体の表面凹凸に追従し、ファンデルワールス力によって接着力を発揮することが明らかとなっている。しかし、その粘着特性が不十分な場合がある。
【0006】
複数のカーボンナノチューブを基板上に設けたカーボンナノチューブ集合体は、粘着部材等の様々な用途に適用することが可能である。しかし、従来の複数のカーボンナノチューブを基板上に設けたカーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブと基板との密着力が十分でないという問題があった(特許文献3および特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0071870号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0068195号
【特許文献3】特開2005−97111号公報
【特許文献4】特開2004−67413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、基板の表面に複数のカーボンナノチューブを備えたカーボンナノチューブ集合体の製造方法であって、該基板と該カーボンナノチューブとの密着力が非常に高いカーボンナノチューブ集合体の製造方法を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、
シリコン基板の表面に複数のカーボンナノチューブを備えたカーボンナノチューブ集合体の製造方法であって、
該シリコン基板の表面にAl膜を蒸着後に空気中で700℃以上の温度で加熱してAl膜を形成し、該Al膜上に触媒層を形成し、該触媒層上にカーボンナノチューブを成長させる
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の表面に複数のカーボンナノチューブを備えたカーボンナノチューブ集合体の製造方法であって、該基板と該カーボンナノチューブとの密着力が非常に高いカーボンナノチューブ集合体の製造方法を提供することができる
【0011】
このような効果は、基板としてシリコン基板を採用し、例えば、特定条件にて該基板表面にAl膜/触媒層を形成してから、該触媒層上にカーボンナノチューブを成長させることにより、発現することが可能となる。
【0012】
本発明によって発現される基板とカーボンナノチューブとの密着力は、25℃において10N/cm以上という非常に高い値を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好ましい実施形態におけるカーボンナノチューブ集合体の概略断面図である。
図2】本発明の好ましい実施形態におけるカーボンナノチューブ集合体製造装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の好ましい実施形態における代表的なカーボンナノチューブ集合体の概略断面図(各構成部分を明示するために縮尺は正確に記載されていない)を示す。カーボンナノチューブ集合体10は、シリコン基板1と、複数層を有するカーボンナノチューブ2を備える。カーボンナノチューブの片端2aは、シリコン基板1の表面に密着している。複数層を有するカーボンナノチューブ2は、長さ方向Lに配向している。複数層を有するカーボンナノチューブ2は、好ましくは、シリコン基板1に対して略垂直方向に配向している。
【0015】
上記カーボンナノチューブは、単層であっても多層であってもよい。また、上記カーボンナノチューブの直径、比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
【0016】
上記カーボンナノチューブの形状としては、その横断面が任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
【0017】
上記カーボンナノチューブの長さは、任意の適切な長さに設定され得る。本発明において、複数層を有するカーボンナノチューブは、好ましくは、長さが300μm以上のカーボンナノチューブを含む。上記カーボンナノチューブの長さは、より好ましくは300〜10000μmであり、さらに好ましくは400〜1000μmであり、特に好ましくは500〜1000μmである。カーボンナノチューブの長さが上記範囲内にあることにより、一層優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備え、さらに、粘着部材として用いた場合に一層優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。
【0018】
本発明のカーボンナノチューブ集合体において、上記複数層を有するカーボンナノチューブ中の、長さが300μm以上のカーボンナノチューブの含有割合は、好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%、さらに好ましくは95〜100%、特に好ましくは98〜100%、最も好ましくは実質的に100%である。ここで、「実質的に100%」とは、測定機器における検出限界において100%であることを意味する。上記複数層を有するカーボンナノチューブ中の、長さが300μm以上のカーボンナノチューブの含有割合が上記範囲内にあることにより、一層優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備え、さらに、粘着剤として用いた場合に一層優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。
【0019】
本発明のカーボンナノチューブ集合体においては、複数のカーボンナノチューブとシリコン基板の表面との密着力が25℃において10N/cm以上であり、好ましくは15N/cm以上である。該密着力の測定方法については後述する。従来の複数のカーボンナノチューブを基板上に設けたカーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブと基板との密着力が高くても約6N/cmであり、本発明において発現できる10N/cm以上という上記密着力は、非常に高い密着力を示している。
【0020】
本発明のカーボンナノチューブ集合体において、上記密着力の上限値は高ければ高いほど良いが、現実的には、好ましくは100N/cm以下、より好ましくは70N/cm以下、さらに好ましくは50N/cm以下、特に好ましくは30N/cm以下である。
【0021】
本発明のカーボンナノチューブ集合体は、複数のカーボンナノチューブの片端がシリコン基板の表面に密着する際の密着力が25℃において10N/cm以上であれば、任意の適切な方法で製造し得る。
【0022】
本発明のカーボンナノチューブ集合体は、好ましくは、シリコン基板の表面にAl膜を蒸着後に空気中で700℃以上の温度で加熱してAl膜を形成し、該Al膜上に触媒層を形成し、該触媒層上にカーボンナノチューブを成長させて得られる。化学蒸着気相法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)が好ましく用いられる。
【0023】
本発明のカーボンナノチューブ集合体を製造する際に用い得る装置としては、任意の適切な装置を採用し得る。例えば、熱CVD装置としては、図2に示すような、筒型の反応容器を抵抗加熱式の電気管状炉で囲んで構成されたホットウォール型などが挙げられる。その場合、反応容器としては、例えば、耐熱性の石英管などが好ましく用いられる。
【0024】
Al膜の形成方法としては、シリコン基板の表面にAl膜を蒸着させた後に空気中で加熱して形成する。
【0025】
本発明のカーボンナノチューブ集合体を製造する際においては、上記加熱温度の制御が重要なファクターとなり得る。すなわち、本発明のカーボンナノチューブ集合体を製造する際においては、シリコン基板の表面にAl膜を蒸着後に空気中で700℃以上の温度で加熱してAl膜を形成することが好ましい。上記加熱温度は、より好ましくは700〜1000℃である。上記加熱温度が700℃未満の場合、得られるカーボンナノチューブ集合体における、複数のカーボンナノチューブと基板との密着力が十分に発現できないおそれがある。
【0026】
本発明のカーボンナノチューブ集合体において、Al膜の膜厚は、好ましくは50nm以下、より好ましくは0.01〜30nm、さらに好ましくは0.1〜20nm、特に好ましくは1〜15nm、最も好ましくは1〜10nmである。上記Al膜の膜厚が50nmを超えると、得られるカーボンナノチューブ集合体における、複数のカーボンナノチューブと基板との密着力が十分に発現できないおそれがある。
【0027】
上記Al膜上に触媒層を形成する方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、金属触媒をEB(電子ビーム)、スパッタなどにより蒸着する方法、金属触媒微粒子の懸濁液を基板上に塗布する方法などが挙げられる。
【0028】
本発明のカーボンナノチューブ集合体を製造する際において用い得る触媒(触媒層の材料)としては、任意の適切な触媒を用い得る。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、金、白金、銀、銅などの金属触媒が挙げられる。
【0029】
上記触媒層の厚みは、好ましくは0.01〜20nm、より好ましくは0.1〜10nm、さらに好ましくは0.1〜5nm、特に好ましくは1〜3nmである。上記触媒層の厚みが上記範囲内にあることによって、基板とカーボンナノチューブとの密着力が非常に高いカーボンナノチューブ集合体を提供することができる。
【0030】
本発明のカーボンナノチューブ集合体を製造する際において用い得る、カーボンナノチューブの原料となる炭素源としては、任意の適切な炭素源を用い得る。例えば、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;などが挙げられる。
【0031】
本発明のカーボンナノチューブ集合体は、粘着部材とすることができる。本発明の粘着部材は、本発明のカーボンナノチューブ集合体を含む。粘着部材としては、例えば、粘着シート、粘着フィルムが挙げられる。
【0032】
本発明の粘着部材は、本発明のカーボンナノチューブ集合体が基材に固定されたものであっても良いし、本発明のカーボンナノチューブ集合体をそのまま用いるものであっても良い。
【0033】
本発明の粘着部材が基材を有する場合、該基材としては、石英ガラス、シリコン(シリコンウェハなど)、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。エンジニアリングプラスチックおよびスーパーエンジニアリングプラスチックの具体例としては、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミドが挙げられる。分子量などの諸物性は、本発明の目的を達成し得る範囲において、任意の適切な物性を採用し得る。
【0034】
本発明の粘着部材が基材を有する場合、該基材の厚みは、目的に応じて、任意の適切な値に設定され得る。例えば、好ましくは1〜10000μm、より好ましくは5〜5000μm、さらに好ましくは10〜1000μmである。
【0035】
上記基材の表面は、隣接する層との密着性、保持性などを高めるために、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理などの化学的または物理的処理、下塗剤(例えば、上記粘着性物質)によるコーティング処理が施されていてもよい。
【0036】
上記基材は単層であっても良いし、多層体であっても良い。
【0037】
本発明のカーボンナノチューブ集合体を基材に固定する場合、その方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、基材に接着層を設けて固定してもよい。また、基材が熱硬化性樹脂の場合は硬化処理を行って固定すれば良い。また、基材が熱可塑性樹脂や金属などの場合は、溶融した状態で圧着させた後に室温まで冷却して固定すれば良い。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量(質量)基準である。
【0039】
≪シリコン基板とカーボンナノチューブとの密着力の測定≫
シリコン基板の表面に複数のカーボンナノチューブを備えたカーボンナノチューブ集合体のカーボンナノチューブ先端をスライドガラスに5kgローラーで圧着した後、引張り速度50mm/minで引っ張った。剥離面がシリコン基板とカーボンナノチューブとの界面であることを確認後、単位面積あたりのせん断接着力を求めた。
【0040】
〔実施例1〕
シリコン基板(エレクトロニクス エンド製、厚み525μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜を形成した後、765℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜(厚み10nm)を形成した。このAl膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み1nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、45分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブ集合体(1)を得た。
結果を表1にまとめた。
【0041】
〔実施例2〕
シリコン基板(エレクトロニクス エンド製、厚み525μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜を形成した後、765℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜(厚み10nm)を形成した。このAl膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、45分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブ集合体(2)を得た。
結果を表1にまとめた。
【0042】
〔比較例1〕
シリコン基板(エレクトロニクス エンド製、厚み525μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜(厚み10nm)を形成した。このAl膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み1nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、45分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブ集合体(C1)を得た。
結果を表1にまとめた。
【0043】
〔比較例2〕
シリコン基板(エレクトロニクス エンド製、厚み525μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜を形成した後、550℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜(厚み10nm)を形成した。このAl膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み1nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、45分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブ集合体(C2)を得た。
結果を表1にまとめた。
【0044】
〔比較例3〕
シリコン基板(エレクトロニクス エンド製、厚み525μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜を形成した後、650℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜(厚み10nm)を形成した。このAl膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み1nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、45分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブ集合体(C3)を得た。
結果を表1にまとめた。
【0045】
〔比較例4〕
シリコン基板(エレクトロニクス エンド製、厚み525μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜(厚み10nm)を形成した。このAl膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、45分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブ集合体(C4)を得た。
結果を表1にまとめた。
【0046】
〔比較例5〕
シリコン基板(エレクトロニクス エンド製、厚み525μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜を形成した後、550℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜(厚み10nm)を形成した。このAl膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、45分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブ集合体(C5)を得た。
結果を表1にまとめた。
【0047】
〔比較例6〕
シリコン基板(エレクトロニクス エンド製、厚み525μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜を形成した後、650℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl膜(厚み10nm)を形成した。このAl膜上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてさらにFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて10分間放置後、温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、45分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブ集合体(C6)を得た。
結果を表1にまとめた。
【0048】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のカーボンナノチューブ集合体は、粘着シート、粘着フィルムなどの粘着部材に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 カーボンナノチューブ集合体
1 シリコン基板
2 カーボンナノチューブ
図1
図2