(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764260
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】電池システムおよび中間電圧を供給するための方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20060101AFI20150730BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20150730BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20150730BHJP
B60L 11/18 20060101ALN20150730BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 302B
H02J7/00 302C
H01M10/44 P
!B60L11/18 B
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-515108(P2014-515108)
(86)(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公表番号】特表2014-519803(P2014-519803A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】EP2012057374
(87)【国際公開番号】WO2012171686
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年12月17日
(31)【優先権主張番号】102011077708.3
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100114487
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100153947
【弁理士】
【氏名又は名称】家成 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】ティーフェンバッハ,アンディ
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−220151(JP,A)
【文献】
特表2005−527066(JP,A)
【文献】
特開平11−103535(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/211459(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/071523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H01M 10/44
H02J 7/00
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュール(11)および切換マトリクス(13)を備える電池システム(10)であって、
前記電池モジュール(11)が、第1高電圧接続部(12a)と、第2高電圧接続部(12b)と、前記第1高電圧接続部と前記第2高電圧接続部との間に直列接続された複数の電池セルモジュール(11a,・・・,11n)と、を含み、
前記切換マトリクス(13)が、
複数の切換レール(14)と、
複数の第1切換装置(15a)と、
複数の第2切換装置(15b)と、を備え、
前記複数の切換レール(14)がそれぞれ、直列接続されたいずれか2つの前記電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の間の1つの結合点に接続され、
前記複数の第1切換装置(15a)がそれぞれ、いずれか1つの前記切換レール(14)と前記切換マトリクス(13)の第1低電圧接続部(13a)とを接続するように構成され、
前記複数の第2切換装置(15b)がそれぞれ、いずれか1つの前記切換レール(14)と前記切換マトリクス(13)の第2低電圧接続部(13b)とを接続するように構成された、電池システム(10)において、
前記第1高電圧接続部(12a)と前記第2高電圧接続部(12b)との間に、直列接続された全ての前記電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の第1総電圧(HV)が印加され、
前記第1低電圧接続部(13a)と前記第2低電圧接続部(13b)との間で、直列接続された前記電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の一部の第2総電圧(LV)が、前記第1切換装置(15a)および前記第2切換装置(15b)の切換状態に依存して測定可能であり、
前記切換マトリクス(13)が、
いずれか1つの前記切換レール(14)と前記切換マトリクス(13)の第1中間接続部とを接続するようにそれぞれ構成された複数の第3切換装置(15c)と、
いずれか1つの前記切換レール(14)と前記切換マトリクス(13)の第2中間接続部とを接続するようにそれぞれ構成された複数の第4切換装置(15d)と
をさらに含み、
前記第1低電圧接続部(13a)と前記第1中間接続部との間で、直列接続された前記電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の一部の第3総電圧が前記第1切換装置(15a)および第3切換装置(15c)の切換状態に依存して測定可能であり、
前記第2低電圧接続部(13b)と前記第2中間接続部との間で、直列接続された前記電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の一部の第4総電圧が前記第2切換装置(15b)および第4切換装置(15d)の切換状態に依存して測定可能である電池システム(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の電池システム(10)において、
前記切換マトリクス(13)が、
前記第1高電圧接続部(12a)および前記第2高電圧接続部(12b)にそれぞれ接続された他の2つの切換レール(14)と、
該他の2つの切換レール(14)のいずれか1つと前記切換マトリクス(13)の前記第1低電圧接続部(13a)または第2低電圧接続部(13b)とを接続するようにそれぞれ構成された他の第1接続装置(15a)および第2切換装置(15b)と
をさらに含む電池システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電池システム(10)において、
前記第1低電圧接続部(13a)および前記第1中間接続部に接続された、2つの入力接続部を備える第1直流電圧変換器(16a)と、
前記第2低電圧接続部(13b)および前記第2中間接続部に接続された、2つの入力接続部を備える第2直流電圧変換器(16c)と、
をさらに備え、
前記第1および第2直流電圧変換器(16a,16c)が、それぞれ第1出力接続部を介して直列接続されており、それぞれ第1直流電圧変換器(16a)および第2直流電圧変換器(16c)の第2出力接続部の間で、第3および第4総電圧における電圧変換された総電圧(LV′)が測定可能である電池システム(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の電池システム(10)において、
前記第1低電圧接続部(13a)と前記第1中間接続部との間に接続された第1コンデンサ(17a)を備える第1直流電圧中間回路と、
前記第2低電圧接続部(13b)と前記第2中間接続部との間に接続された第2コンデンサ(17c)を備える第2直流電圧中間回路と、をさらに備える電池システム(10)
【請求項5】
請求項1に記載の電池システム(10)において、
前記第1低電圧接続部(13a)および前記第2低電圧接続部(13b)に接続された2つの入力接続部と、2つの出力接続部とをさらに備え、該出力接続部で、電圧変換された第2総電圧が測定可能である直流電圧変換器(16)をさらに備える電池システム(10)。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の電池システム(10)において、
前記第1低電圧接続部(13a)と前記第2低電圧接続部(13b)との間に接続されたコンデンサ(17)を備える直流電圧中間回路をさらに備える電池システム(10)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の電池システム(10)において、
複数の接続装置(18)をさらに備え、該接続装置(18)がそれぞれ、直列接続されたオーム抵抗器(18a)およびスイッチ(18b)を備え、前記切換マトリクス(13)のいずれか2つの切換レール(14)の間に接続されている電池システム(10)。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の電池システム(10)において中間電圧(LV)を発生する方法(30)において、
直列接続された電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の充電状態を検出するステップと、
最も高い充電状態を備える所定数の前記電池セルモジュール(11a,・・・,11n)を選択するステップと、
第1および第2低電圧接続部(13a,13b)の間において、選択された前記電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の総電圧(LV)が第1および第2切換装置(15a,15b)の切換状態に依存して測定可能となるように、切換マトリクスの前記第1および第2切換装置(15a,15b)を制御するステップと、を含む方法(30)。
【請求項9】
請求項8に記載の方法(30)において、
選択された前記電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の充電状態と残りの電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の充電状態とを比較し、現在選択されている電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の充填状態が少なくとも1つの残りの電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の充電状態未満に降下したら、電池セルモジュール(11a,・・・,11n)の選択を変更する方法(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池システム、および、特に電動車両のためのトラクションバッテリーにおいて、中間電圧を供給するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー源、特に可動電気エネルギー源、例えば、電動車両のためのトラクションバッテリーは再充電可能なエネルギー蓄積器、例えば、12ボルト以上の出力電圧を供給するリチウムイオン電池を含んでいることが多い。エネルギー蓄積器を制御および監視するためには制御器が使用され、このような制御器は、エネルギー蓄積器によって供給される高電圧よりも低い、例えば、12ボルトの供給電圧を必要とする。これらの低電圧または車載電圧は、第2の電池、例えば鉛酸電池によって供給するか、またはエネルギー蓄積器の高電圧からの直流電圧変換によって生成することができる。
【0003】
電動車両のためのエネルギー蓄積器は、多くの場合、必要に応じて並行に接続された個別セルの直列接続からなり、これらの個別セルはわずかな固有電圧を備える。個別セルの直列接続により、わずかな固有電圧から総電圧を発生することができ、この総電圧は、数百ボルトの範囲で高電圧、例えばトラクション電圧を供給するために用いることができる。
【0004】
エネルギー蓄積器の個別セルにおける出力パラメータには、製造時の条件に基づいたばらつきが生じるので、個々の電池セルは異なる程度に使用されるか、もしくはエネルギー蓄積器の所定の作動時間後には、初期充電状態は同じであるのにも関わらず、異なる充電状態を示す。最も低い充電状態の電池セルは、直列接続で構成されたエネルギー蓄積器の性能に著しい影響を及ぼすので、いわゆる「セル・バランシング」、すなわち、個々の電池セルの充電状態の補償を確保することのできる方法が用いられる。特にリチウムイオン電池の場合、このようにしてエネルギー蓄積器全体の性能、耐用寿命および効率を改善することができる。積極的な方法により、より高い充電状態の電池セルからより低い充電状態の電池セルへ容量的および誘導的に電荷を移動することができる。受動的な方法では、相対的な充電状態に応じて、選択的に個々の電池セルを部分的に放電する。
【0005】
刊行物WO2007/128876A1により、直列接続された電池セルを備える電池システムにおいてセル状態を補償するための方法が既知である。この方法では、セル個別の充電器から、より低い充電状態の電池セルにエネルギーを選択的に供給し、全ての電池セルの充電状態を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2007/128876A1
【発明の概要】
【0007】
本発明は、第1高電圧接続部と、第2高電圧接続部と、第1高電圧接続部と第2高電圧接続部との間に直列接続された複数の電池セルモジュールと、を含む電池モジュール、および、直列接続されたいずれか2つの電池セルモジュールの間の1つの結合点にそれぞれ接続された複数の切換レールと、いずれか1つの切換レールと切換マトリクスの第1低電圧接続部とを接続するようにそれぞれ構成された複数の第1切換装置と、いずれか1つの切換レールと切換マトリクスの第2低電圧接続部とを接続するようにそれぞれ構成された複数の第2切換装置と、を含む切換マトリクス、を備える電池システムにおいて、第1高電圧接続部と第2高電圧接続部との間に、直列接続された全ての電池セルモジュールの第1総電圧が印加され、第1低電圧接続部と第2低電圧接続部との間で、直列接続された電池セルモジュールの一部の第2総電圧が第1および第2切換装置の切換状態に依存して測定可能である。
【0008】
別の実施形態によれば、本発明は、本発明による電池システムにおいて中間電圧を発生する方法において、直列接続された電池セルモジュールの充填状態を検出するステップと、最も高い充填状態を備える所定数の電池セルモジュールを選択するステップと、第1および第2低電圧接続部の間において、選択された電池セルモジュールの総電圧が第1および第2切換装置の切換状態に依存して測定可能となるように、切換マトリクスの第1および第2切換装置を制御するステップと、を含む方法を提供する。
【0009】
本発明の基本思想は、個別セルの直列接続により構成された電気エネルギー蓄積器の性能を高め、この場合にそれぞれ個々の電池セルの最適な寿命が達成されるようにすることである。そこで、複数の切換装置を介して、電池セルの充電状態に依存して電池セルのグループを選択することができる切換マトリクスを使用し、このような電池セルのグループによって、特に電気エネルギー蓄積器の制御器のために車載電圧または供給電圧を供給する中間電圧を発生する。これにより、2つの重要な利点が生じる。第1に、常に現在最も高い充電状態の電池セルのみが中間電圧を発生するために使用されるので、電池セルの負荷は一様であり、個別セルの劣化過程が遅くなる。第2に、これにより、単一のエネルギー蓄積器により2つの異なる出力電圧を発生することができるので、二次電池を省略することができる。
【0010】
したがって、このように構成されたエネルギー蓄積器は、劣化が遅く、セルが一様に充電され、製造許容差への依存性がより小さいので、高い性能を提供する。有利には、電池セルモジュールの充電状態の検出は、従来のリチウムイオン電池では一般に既に設けられている充電監視装置によって行うことができる。必要に応じて、電池管理により得られた変数を電池セルモジュールの劣化状態(SOH, “state of health”)を決定するために用いることができる。
【0011】
有利には、いずれか1つの切換レールと切換マトリクスの第1および第2中間接続部とを接続するようにそれぞれ構成された他の切換装置を用いることもでき、低電圧接続部といずれか1つの中間接続部との間には、直列接続を介して総電圧に追加することができる部分電圧が印加される。これにより、中間電圧を発生するために幾つの電池セルモジュールが使用されるかに応じて中間電圧を可変に構成することができる。
【0012】
有利には、それぞれ中間電圧を変換することのできる直流変換器を電池システムに装備することができる。これにより、中間電圧を供給される車載給電システムを高電圧網からガルバニック分離することができるという利点が生じる。
【0013】
有利な実施形態によれば、電池システムは、直列接続されたオーム抵抗器およびスイッチを有する複数の接続装置を備えていてもよく、スイッチの閉鎖によりオーム抵抗器を介して個々の電池セルモジュールを部分的に放電するか、もしくは部分的に充電することができる。これにより充電状態補償の微調整を行うことができる。
【0014】
本発明の実施形態の他の特徴および利点を添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による電池システムの概略図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による電池システムの概略図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による電池システムにおいて中間電圧を発生するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、電池モジュール11および切換マトリクス13を備える電池システム10の概略図を示す。この場合、電池モジュール11は、直列接続された複数の電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを備える。電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nは、例えば、リチウムイオン電池であってもよい。電池モジュール11は2つの高電圧接続部12a,12bを備え、これらの高電圧接続部には、電池システム10の出力電圧HV、例えばトラクション電圧が印加されている。出力電圧HVは、例えば、高電圧であってもよいし、数百ボルトでもあってよい。
【0017】
切換マトリクスは、2つの電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの間の結合点にそれぞれ接続された複数の切換レール14を備える。他の切換レール14は、電池モジュール11の高電圧接続部12a,12bに接続されている。見やすくするために、
図1では1つの切換レール14のみに符号を付す。切換レール14は、それぞれ第1切換装置15aを介して切換マトリクス13の第1低電圧接続部13aに切換可能に接続されており、第2切換装置15bを介して切換マトリクス13の第2低電圧接続部13bに切換可能に接続されている。第1および第2切換装置15a,15bは、例えば半導体スイッチ、例えばIGBT‐スイッチまたはMOSFET‐スイッチを含んでいてもよい。
【0018】
低電圧接続部13aおよび13bの間に中間電圧LVを発生するためには、それぞれいずれか1つの第1切換装置15aおよびいずれか1つの第2切換装置15bを閉じることができ、これにより、低電圧接続部13aおよび13bの間で1つ以上の電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nが切換られる。
図1に示した切換マトリクス13により、それぞれ隣接する電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを低電圧接続部13aおよび13bの間で切り換えることができる。この場合、中間電圧LVを発生するために使用される所定数の隣接した電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを選択することができる。例えば、電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nは、それぞれ4ボルトの個別電圧を供給することができ、所定数は3個であってもよい。このように、3×4ボルト=12ボルトの中間電圧LVを低電圧接続部13aおよび13bにおいて取り出すことができる。当然ながら、中間電圧LVを発生するために隣接した電池セルモジュール11a,11bをそれぞれ別の個数だけ使用してもよい。
【0019】
所定数に応じて、複数の第1もしくは第2切換装置15aおよび15bの一部を効率性の理由から省くことも可能である。例えば、隣接する3つの電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nが中間電圧LVを発生するために常に使用される場合には、
図1の上側の3つの切換レール14の第2切換装置15bおよび
図1の下側の3つの切換レール14の第1切換装置15aは設けなくてもよい。
【0020】
さらに電池システム10は、コンデンサ17を備える直流電圧中間回路を備え、コンデンサ17は、切換マトリクス13の第1低電圧接続部13aと第2低電圧接続部13bとの間に接続されている。さらに中間電圧LVを変換する直流電圧変換器16が設けられていてもよい。この場合、直流電圧変換器16は、1:1の変換比を備えていてもよく、例えば、中間電圧回路、例えば電動車両の車載給電システムをガルバニック分離するためにのみ用いられる。しかしながら、電池システム10を簡易化し、例えば、移動時に使用する目的で重量を最適化するためには、直流変換器16を設けなくてもよい。
【0021】
電池システム10は接続装置18を備える。接続装置18は、直列接続されたオーム抵抗器18aおよびスイッチ18bを介して、隣接するそれぞれ2つの切換レール14をブリッジすることができる。これにより、電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを部分的にのみ充電することができ、この場合、付属のスイッチ18bは閉じられ、電流の一部は対応した電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを通る代わりにオーム抵抗器18aを介して流れる。オーム抵抗器18aは、このために特に高いオーム抵抗を備えていてもよい。
【0022】
低電圧接続部13aおよび13bで供給される中間電圧LVは、例えば、電池システム10の制御器に給電するために使用してもよい。しかしながら、低電圧電池に中間電圧LVを印加することも可能である。これにより、有利には個々の電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nに選択的に充電することのできるバッファーメモリを提供することもできる。このために、直流電圧変換器16は双方向に構成されていてもよい。したがって、電池モジュール11の充電過程では、セル充填率の差を補償するために、最も低い充電状態の電池セルモジュールに低電圧電池から付加的なエネルギーを意図的に供給することができる。
【0023】
図2は、電池システム20の概略図を示す。電池システム20は、いずれか1つの切換レール14と切換マトリクス13の中間接続部とをそれぞれ接続することができる複数の第3および第4切換装置15cもしくは15dが設けられていることにより
図1に示した電池システムとは異なっている。電池システム20は幾つかの直流変換器16a,16b,16cを備える。これらの直流変換器はそれぞれ切換マトリクスの低電圧接続部と中間接続部との間に接続されており、これらの直流変換器の出力接続部は直列接続で接続されており、これにより、低電圧接続部13aおよび13bでは、それぞれの直流電圧変換器16a,16b,16cの出力電圧V1,V2,V3の総電圧である中間電圧LV′が測定可能である。
【0024】
付加的な切換装置15c,15dによって、電池システム20において、隣接していない個々の電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを意図的に選択し、中間電圧LV′を発生するために使用することもできる。例えば、最も高い充電状態の3つの電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを検出し、選択された3つの電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nそれぞれが直流変換器16a,16b,16cに給電し、したがって、中間電圧LV′は、選択された3つの電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの個別電圧の合計に依存するように切換装置15a,15b,15c,15dを適宜に制御することができる。例えば、電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの個別電圧は4ボルトであってもよい。直流電圧変換器16a,16b,16cが1:1の変換比を備える場合には、低電圧接続部13aおよび13bの間には12ボルトの中間電圧LV′を供給することができる。当然ながら、
図2の中間接続部もしくは直流電圧変換器の数は、例示的な性質のものであり、電池システム20において、これよりも多いか、または少ない中間接続部もしくは直流電圧変換器を設けることも可能である。
【0025】
同様に、低電圧接続部と中間接続部との間にコンデンサ17a,17bおよび17cを備える直流電圧中間回路をそれぞれ接続してもよい。
【0026】
図3は、電池システム、特に
図1または
図2のいずれかに示した電池システム10または20において中間電圧を発生するための方法30の概略図を示す。第1ステップ31では、電池モジュール11における直列接続された電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの充電状態の検出が行われる。第2ステップ32では、最も高い充電状態を備える所定数の電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの選択が行われる。第3ステップ33では、切換マトリクス13の第1および第2切換装置15a,15bの制御が行われ、これにより、第1および第2低電圧接続部13a,13bの間では、選択された電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの総電圧が第1および第2切換装置15a,15bの切換状態に依存して測定可能である。
【0027】
方法30によって、現在最も高い充電状態を備える電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを中間電圧もしくは総電圧LVを発生するために意図的に選択することができる。選択された電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nは、次いで同時に低電圧供給における作動および高電圧供給における作動のために使用される。直流電圧変換器を用いて、低電圧を所望の値に調節することができる。電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの充電状態を継続的に監視し、これにより、現在選択されている電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの充填状態が現在選択されていない他の電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの充電状態未満となった場合には、選択された電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nを変更することができるようにしてもよい。このためには、選択された電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの変更を行う前に電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの充電状態の間の差が超えている必要のある閾値を設けてもよい。これにより、切換装置15a,15bが絶えず切り換えられることが回避される。
【0028】
代替的には、中間電圧LVを発生するために積極的なパルス法を使用するように構成されていてもよい。この場合、全ての電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nは周期的な間隔をおいて中間電圧を発生するために使用され、相対的な作動頻度はそれぞれの電池セルモジュール11a,11b,11c,・・・,11nの充電状態に依存する。