特許第5764274号(P5764274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764274
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】自動車ユニット用駆動部
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/603 20150101AFI20150730BHJP
   E05B 85/02 20140101ALI20150730BHJP
   E05B 77/34 20140101ALI20150730BHJP
【FI】
   E05F15/10
   E05B85/02
   E05B77/34
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-519255(P2011-519255)
(86)(22)【出願日】2009年8月3日
(65)【公表番号】特表2013-501167(P2013-501167A)
(43)【公表日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】IB2009007036
(87)【国際公開番号】WO2010010471
(87)【国際公開日】20100128
【審査請求日】2012年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ベンデル、トースティン
(72)【発明者】
【氏名】トプファー、クラウス
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102004017300(DE,A1)
【文献】 実開昭59−188336(JP,U)
【文献】 特開平10−026180(JP,A)
【文献】 特開平05−196244(JP,A)
【文献】 実開平07−032819(JP,U)
【文献】 特開2004−168205(JP,A)
【文献】 国際公開第01/054252(WO,A1)
【文献】 欧州特許第01886852(EP,B1)
【文献】 独国実用新案第202005004545(DE,U1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0042039(US,A1)
【文献】 国際公開第02/075759(WO,A2)
【文献】 国際公開第2005/116375(WO,A1)
【文献】 実開平04−116566(JP,U)
【文献】 実開平03−059563(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0077896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
E05F 1/00− 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動車ユニット用駆動部として乾燥領域(7)に配置される駆動部であって、
少なくとも1つのモーター(3)と、
前記モーター(3)をベース部(5)に固定する少なくも1つの弾性鍔部(4)とを有し、
前記弾性鍔部(4)は、軸方向(A)および/または径方向(R)において異なるバネ定数(D1、D2)を有するとともに、電気部品が収容された乾燥領域(7)と前記乾燥領域(7)外の湿潤領域(6)との間に設けられた連通開口部(8)内に配置されて当該連通開口部(8)を密閉し、前記乾燥領域(7)を低湿度下に維持することを特徴とする駆動部。
【請求項2】
請求項1記載の駆動部において、前記弾性鍔部(4)の軸方向部および/または径方向部は、少なくとも部分的に蛇腹形状(concertina)の設計を有し、当該蛇腹形状部(4a)の弾性変形および構造変形に対応する第1のバネ定数(D1)と、弾性鍔部(4)全体のゴム弾性分子内変形に対応する第2のより高いバネ定数(D2)とを有することを特徴とする駆動部。
【請求項3】
請求項1または2記載の駆動部において、複数の、または3つもしくは4つの前記弾性鍔部(4)が提供され、当該弾性鍔部(4)は主に共通の支承平面上に配置されることを特徴とする駆動部。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記弾性鍔部(4)は、垂直方向に延出する状態で前記ベース部(5)上に配置され、当該弾性鍔部(4)の連結頭部(4b)は前記モータ(3)に隣接していることを特徴とする駆動部。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記弾性鍔部(4)は中空円筒部であることを特徴とする駆動部。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記弾性鍔部(4)は円錐状にテーパーが付いていることを特徴とする駆動部。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記弾性鍔部(4)はPP(ポリプロピレン)またはNR(天然ゴム)などのエラストマーから製造されることを特徴とする駆動部。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記弾性鍔部(4)は、前記モーター(3)から外部に連通するボーデンケーブルなどのケーブルの導管として機能することを特徴とする駆動部。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記ベース部(5)は、内側ドアパネル、モーターハウジング、アセンブリパネル、ユニット収容部、またはモジュール収容部であることを特徴とする駆動部。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記モーター(3)は前記ベース部(5)の凹部(11)に収容されることを特徴とする駆動部。
【請求項11】
請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記凹部(11)の密閉パネル(12)は前記ベース部(5)として機能することを特徴とする駆動部。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記弾性鍔部(4)は、前記モーター(3)上にあるアーム(14)または前記モーター(3)に射出成形されているアーム(14)によって固定されることを特徴とする駆動部。
【請求項13】
請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記弾性鍔部(4)は、ベローズ(蛇腹)として設計されていることを特徴とする駆動部。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載の駆動部において、前記前記ベース部(5)は、前記モーター(3)に面する内面に取り付けられた吸音用被覆材(15)を有することを特徴とする駆動部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ユニット用の駆動部、より具体的には自動車ドアユニット用の駆動部、また、好ましくは、自動車ドアロック内または当該ドアロック上の開閉装置のための駆動部であって、少なくとも1つのモーターと、当該モーターをベース部に固定する少なくとも1つのゴム弾性軸受とを有する駆動部に関する。
【背景技術】
【0002】
前記モーターは通常電気モーターである。当該モーターまたは電気モーターによって作動される自動車ユニットには、例えば、ミラー、座席、ステアリングコラム、窓ガラスなどが含まれる。自動車ユニットを前記モーターまたは電気モーターによって作動および操作することが特に好ましい。このような自動車ユニットには、例えば、上述した外部ミラーの他に、前記自動車ドアの内部または当該ドア上の、前記モーターによって調整できる他の構成要素が含まれる。特に、前記モーターまたは電気モーターを使用して、自動車ドアロック内の開閉装置を起動および/または作動させることが好ましい。
【0003】
本明細書において、通常、当該駆動部は外部駆動部であり、ボーデンケーブルまたは他の連結手段を介して通常異なる場所に配置されている開閉装置を作動させる。通常、このような開閉装置は前記モーターによって作動され、前記自動車ドアを、例えば、中間閉扉位置から完全閉扉位置に移動させる機能を果たす。このような自動車ドアの移動の際、操作者は前記自動車ドアを中間閉扉位置または中間施錠位置に移動させるだけでよく、その後当該ドアは、前記外部駆動部のモーターによって自動的に前記完全閉扉位置または完全施錠位置へ移動される。
【0004】
さらに、モーターにより作動される自動車ドアロック用の開錠ユニットは周知である。当該開錠ユニットにより、モーターによる自動車ドアの開扉が確実になる。このような開閉装置は主に高級車に使用され、快適性を高める機能を果たすものである。また、安全面に留意することが益々重要になってきている。例えば、補助施錠装置を有する自動車では、当該自動車ドアが完全閉扉位置または完全施錠位置にあることが常に保障され、これにより、搭乗者に最大限の防護が確保される。このような開閉装置の例は、独国特許発明第199 38 378号明細書に開示されている。また、独国特許出願公開第100 48 051号明細書の課題は補助施錠装置である。
【0005】
補助施錠装置は、実際の実装が適用されているため周知であり、通常自動車ドアの内部に実装される。このため、前記モーターまたは電気モーターによって生じる騒音の遮音に関する問題、若しくは前記開閉装置を作動させる際に非常に低い騒音レベルを確保することに関する問題が次第に増加してきている。モータを実装する際に、実際既に適用されているものには、騒音を吸収するネジ山付き要素および発泡体の下張りなどがある。
【0006】
独国特許出願公開第101 31 590号明細書は類似実施形態を開示しており、当該実施形態では、モータが単に固定用フック上に設置され、且つゴム製の遮断要素により、モータから生じる騒音が吸収される。この構成においては、電気モーターは受け入れ開口部を有する略鉢形状のハウジングに配置されている。前記ハウジングはバネが備えられた少なくとも1つの固定要素を有し、熱可塑性エラストマーを含む。しかし、この周知のモーターは送風機を駆動するために使用されるものであり、開閉装置を作動させるものではない。
固定要素を介した前記モーターと前記自動車本体との間の直接の接触によって、モーターから生じる騒音が自動車ドアや、自動車ドアモジュールに伝達されるため、自動車の内部に構造に起因する不快な騒音が生じる。本発明はこの状態を改善することを目的とする。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 独国特許出願公開第102004017300号明細書
【特許文献2】 国際公開第01/54252号
【特許文献3】 独国実用新案出願公開202005004545号明細書
【特許文献4】 欧州特許出願公開第1886852号明細書
【特許文献5】 国際公開第02/075759号
【特許文献6】 国際公開第2005/116375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、正確且つ容易に実装できる鍔部を提供すると共に、当該鍔部によりモーターから発生する騒音を大幅に低減する、自動車ユニット用の駆動部をさらに開発するという技術的課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を解決するために、本願発明による自動車ユニット用の一般的な駆動部は、軸方向および/または径方向において、また変形の度合いに応じて異なるバネ定数を有する鍔部を特徴とする。
【0010】
通常、前記鍔部の軸方向部および/または径方向部は、少なくとも部分的に蛇腹形状の設計を有する。当該構成においては、前記鍔部の蛇腹形状部によって弾性変形、構造変形に対応する第1のバネ定数が提供され、一方、鍔部材のゴム弾性分子内変形によって第2のより高いバネ定数が提供される。
【0011】
これは、本発明の前記鍔部(これにより前記モーターがベース部に連結される)は第1の(比較的低い)バネ定数と、第2の(比較的高い)バネ定数とを有することを意味する。さらに、前記第1のバネ定数は前記鍔部の蛇腹形状の設計、または蛇腹形状部によって提供される。前記鍔部に作用する力により、前記蛇腹形状部は弾性的および構造的に変形、すなわち、バネのようにその外形が変形される。最も簡略的な構成では、前記蛇腹形状部は力が加わったときに圧縮または伸長される。このような場合、前記鍔部を製造するために使用される材料、すなわち鍔部材は、当初全くまたは殆ど分子内変形を示さず、その代わりに、前記蛇腹形状部はコイルバネのように伸長または圧縮される。
【0012】
また、上記構成はそれに対応する比較的低いバネ定数を提供し、高周波音を低減するために特に効果的である。このような高周波は通常、前記モーターまたは電気モーターの回転運動によって生じる。これらのモーターは高速モーターであり、当該モーターの回転運動は通常多数の減速ギアによって生成され、出力側の各ユニット、好ましくは前記開閉装置に作用するのに必要な力を提供する。本発明においては、このような高速回転運動によって生じる騒音および特に振動は、前記蛇腹形状部または前記鍔部の第1の(低い)バネ定数によって主に聴覚的に有利に低減される。これは、例えば、運転中に路面の窪みを通過する際、急に加速する際、またはドアを勢いよく閉めた際に、構造に起因する騒音が前記モーターから前記ベース部に伝達されることがないことを意味する。
【0013】
前記第2のより高いバネ定数は、前記モーターが、例えば、事故によって減速し、前記鍔部が力を「阻止」することになる場合に主に利用される。これは、前記蛇腹形状部が完全に圧縮され、前記モーターに(新たに)加えられた力は、前記蛇腹形状部のバネ定数と比べてより高いバネ定数を提供する前記鍔部における周知のゴム弾性分子内変形によって吸収されることを意味する。上記の理由から、変形の度合いに応じて異なるバネ定数が利用される。
【0014】
前記鍔部材のゴム弾性分子内変形は、分子官能基内の幅広く網目構造になった架橋を有するゴム弾性材料の周知のバネ特性によるものである。エラストマーは実質的に弾性変形可能なプラスチック、主にコイル状ポリマー鎖から成る。前記ポリマー鎖は、伸長する、若しくは非コイル状になることによって引張荷重に反応するが、一旦引張荷重が軽減されると鎖がコイル状に戻る。圧縮荷重が加えられる場合は、その反対の反応が起こる。
【0015】
本発明の前記ゴム弾性鍔部の材料としては、当該産業分野で一般に利用される、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム(VMQ)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM)、天然ゴム(NR)、またはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのエラストマーを使用することが好ましい。また、いわゆる、エラストマーブレンド、またはポリブレンド(すなわち、いくつかの分子種から成るポリマーの最終的な混合物)を使用することもできる。異なる混合比および添加剤により、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンおよびタルク、または天然ゴム(NR)から成るポリオレフィンエラストマーなどの用途に応じた材料を製造することができる。使用される量比に応じて用途に応じた第2のバネ定数を達成することが可能である。
【0016】
いずれの場合でも、本発明の前記鍔部は2つの機能を提供する。第1に、前記鍔部は前記モーターから生じる振動および前記モーターの構造に起因する騒音が前記ベース部に伝達されるのを防ぐ。この機能は、主に前記蛇腹形状部および前記第1のバネ定数によって確保される。また、前記鍔部は、ドアを勢いよく閉めた際、または事故が起きた際に生じる加速力により前記モーターが確実に減速する必要がある場合、端部ストッパーとしても機能する。この機能は、前記第2のバネ定数および前記鍔部材の当該分子内変形により達成される。
【0017】
前記モーターが、好ましくは3つまたは4つの鍔部を介して前記ベース部に固定されると有利であることが実証されている。例えば、前記モーターのこのような3つの鍔部により、静的に定義された3つの支承点が確保される。また、前記3つの鍔部は共通の支承平面上に配置または配設される。
【0018】
さらに、前記ベース部を上部から見た場合、少なくとも1つの鍔部または複数の鍔部に対して垂直方向に延出する状態で且つ前記モータに隣接して連結頭部が配置されると有利であることも実証されている。このような配置によれば、前記鍔部は前記モーターの下部ではなく側部に連結されるため、当該鍔部および当該モーターの高さを比較的低くすることができる。
【0019】
前記鍔部は通常エラストマーからできているため、通常、前記モーターまたはモーターハウジングおよび/または前記モーターを支持する前記ベース部に射出成形することができる。しかしながら、本発明においては、前記モーターおよび/または前記ベース部に着脱自在に配置できる鍔部が通常使用される。このため、前記鍔部は通常、前記連結頭部と当該連結頭部に対して垂直方向に延在する連結基部とを有する中空円筒形状である。殆どの場合、前記連結基部から前記連結頭部に向って円錐状にテーパーが付いている形状が選択される。
【0020】
通常、前記鍔部の前記連結基部および前記連結頭部は前記モーターまたは前記ベース部の固定部に設けられた開口部に着脱自在に収容される。前記鍔部は中空円筒形状を有するため、例えば、前記ベース部またはモーターから外部に走る1若しくは複数のケーブル、例えば、ボーデンケーブルなどを同時に収容することもできる。
【0021】
前記ベース部は、内側ドアパネル、モーターハウジング、取付板、ユニット収容部、ドアモジュール収容部などであってよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、前記モータが前記ベースの凹部に収容されると有利であることも実証されている。このような構成では前記凹部はシールされ、前記モーターを完全に密閉するオプションが提供される。この場合、前記凹部による密閉パネルが前記ベース部として機能する。その場合、前記密閉パネルは前記鍔部の連結基部に適合し、且つ前記鍔部の連結頭部は前記モータに連結されるか、または、前記モーターハウジングのアームまたはそれに類似物に連結される。
【0022】
前記モーターまたは殆どの場合プラスチックでできた前記モーターハウジングは、通常1若しくはそれ以上の取付アームを有する。通常、前記アームは前記鍔部の連結頭部を着脱自在に収容する。前記鍔部は前記アームの各々に射出成形してもよく、また、2Kバージョンとして一工程で製造してもよい。別の実施形態においては、前記モーターハウジング上の側面に沿って形成されたパネルにより前記連結基部を収容することも可能あり、この場合、前記連結頭部は、例えば、クリップ連結部によって、例えば、前記ドアモジュール収容部に連結される。
【0023】
通常、前記鍔部は、その蛇腹形状部および中空円筒形状を有する設計のため、ベローズ(蛇腹)形状部として設計される。これは、容易に製造可能な(必要であれば一部変更を含む)ベローズ形状部が使用できることを意味する。遮音効果をさらに高めるために、前記ベースも吸音用被覆材を有すると有利であることが実証されている。殆どの場合、前記モーターに面する前記ベース部の内面は吸音材で被覆されているか、若しくは内側に吸音被覆材が使用されている。発泡材またはその他の類似する多孔質被覆材は、残存するいかなる空気伝播音も確実に低減するため有利であることが実証されている。これに対して、本発明の前記鍔部は、主に構造に起因する騒音を低減し、且つ当該騒音が伝達されるのを阻止するものである。このように、構造に起因する騒音および空気中に伝播される騒音の双方が効果的に低減されるため、全体として特別な吸音効果が達成される。
【0024】
自動車ユニット用の駆動部は上記の効果を踏まえたものであり、当該駆動部は自動車ドアロックの内部または当該ドアロック上の開閉装置に使用されるのが好ましい。通常、前記駆動部は自動車ドアの内部に配置されており、殆どの場合、当該自動車ドア内で使用される前記開閉装置またはレバーと物理的に分離されている。通常、外部駆動部および前記自動車ドアロックは、一体化された開閉装置または前記レバーにボーデンケーブルまたは他の弾性連結手段を介して連結されている。このボーデンケーブルまたは他の弾性連結手段は、前記モーターの運動を前記自動車ドアロックの内部または当該ドアロック上のレバーに伝達する。
【0025】
前記モータを作動させて、例えば施錠機能を実行すると、当該モータは構造に起因する騒音を振動を通じて前記自動車ドアおよび自動車本体に伝達し、好ましくない騒音源となる。本発明の実施形態においては、この構造に起因する騒音は、前記モーターを前記ベース部に固定するために使用される特別なゴム弾性鍔部によって低減される。前記鍔部の第1のバネ定数は主にこの機能を果たす。前記第2の比較的より高いバネ定数は、衝突、大幅な加速が行われたとき、カーブや起伏のある路面でブレーキが掛けられたとき、前記鍔部が前記モーターの端部ストッパーとして作用する場合重要となる。これは安全上の理由から特に望ましい。
【0026】
前記鍔部は、当該鍔部により実質的に空間でのみで固定された前記モーターに柔軟性を有する膜のような緩衝を提供するため、前記ベース部に振動が伝達されることはない。また特に、前記モータに連結された、本実施形態におけるボーデンケーブルはスラスト鍔部を有するため、前記駆動部にはいかなる力も作用することはない。従って、上述したように前記ゴム弾性鍔部によって振動が効果的に吸収されるので、前記モーターは制限なく振動することが可能である。
【0027】
これと同時に、前記鍔部は、いわゆる乾燥領域に通常配置される前記モーターを湿潤領域から分離する膜の機能を果たすことができる。前記湿潤領域はドアモジュールと、前記自動車ドアロックとを含む。通常、この湿潤領域は前記自動車ドアの内部にあり且つ外側に面した空洞部であり、前記内側ドアパネルまたはモジュール収容部と金属箔によって、当該自動車ドアのいわゆる乾燥領域から分離されている。通常、この乾燥領域には、前記エアバッグなどのセーフティコンポーネントおよびスピーカーなどの電気部品が収容されている。
【0028】
本発明の前記モーター鍔部は、前記モーターの騒音の低減の最適化を確実にするのみでなく、その膜のような特性によって前記乾燥領域と前記湿潤領域との間にシールされた状態での連通が提供される。前記モーターにより作用される前記ボーデンケーブルが必修の開口部を介して連通しており、当該ケーブルは前記湿潤領域に配置された前記自動車ドアロックで終端する。当然のことながら、他の実装形態も可能であり、且つ本発明に包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下に、1実施形態のみを示す図を参照して本発明を詳細に説明する。
図1図1は、自動車ユニット用の本願発明による駆動部の構成を示す。
図2図2は、本願発明の別図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
前記図は自動車ユニット、主に開閉装置1のための駆動部を示す。前記開閉装置1は、自動車ドアロック2(詳細省略)内に配置されている。従来のように、前記開閉装置1は、施錠ハンドルまたは任意のレバーを介して前記自動車ドアロック内部の回転式ラッチに作用し、これにより、当該回転式ラッチは中間閉鎖位置または中間施錠位置から、完全閉鎖位置または完全施錠位置に移動する。このような構成は周知であり、本発明の目的ではない。
【0031】
本明細書に記載する駆動部は、主にモーター3と、前記モーター3をベース部5に固定する弾性軸受またはゴム弾性軸受4とを有する。本実施形態において、前記ベース部5は、図において前記自動車ドアの内部にある湿潤領域6を乾燥領域7から分離する、いわゆる内側ドアパネルである(詳細は図示せず)。前記湿潤領域6は前記自動車ドア内部の領域であって、例えば、当該領域に配置された窓ガラス上昇機構を通じて通常湿気が浸透する可能性がある領域、および当該領域に設けられた孔部を通じて前記自動車ドア内で湿気が浸透する領域を指す。通常、および本実施形態において、前記自動車ドアロック2は前記湿潤領域6に配置されている。
【0032】
前記湿潤領域6は前記乾燥領域7と区別される必要がある。この乾燥領域7は、金属箔またはその他任意の方法で前記湿潤領域6から通常分離されている前記自動車ドアの内部の領域を指し、名称から自明なように、湿気を含まない領域である。前記乾燥領域7は、スピーカー、エアバッグなどの湿気の影響を受けやすいコンポーネントを収容する。さらに、前記モーター3は、前記乾燥領域7、すなわち、前記湿潤領域6を隔てる連通開口部8内に配置されている。
【0033】
図1および図2で示す実施形態では、前記モーター3を前記ベース部5に固定するゴム弾性軸受4が提供されている。
【0034】
軸受4のいずれについても、軸方向Aおよび/または径方向Rにおいて、また変形の度合いに応じて異なるバネ定数DおよびDを有する点で共通性がある。このような異なるバネ定数を達成するために、前記軸受4の各々の前記軸方向部および/または径方向部は、少なくとも部分的に蛇腹形状部4aを有する蛇腹形状部(concertina)として設計されている。前記蛇腹形状部4aは、当該蛇腹形状部4aの弾性変形および構造変形に対応または起因する第1のバネ定数Dを有する。さらに、前記軸受4は軸受材、すなわち、当該軸受4の原材料のゴム弾性分子内変形に対応する第2のより高いバネ定数Dを有する。
【0035】
前記第1のバネ定数Dより高い前記第2のバネ定数D(D>D)は、前記蛇腹形状部4aが完全に圧縮される場合、および前記軸受4に任意のより大きな力が作用し、その力が弾性変形および構造変形(すなわち、伸長および圧縮)にもはや対応せず、ゴム弾性軸受材の分子内に吸収される場合に作用を効する。これについては上記で詳細に説明済みである。
【0036】
図1に示す4つの軸受4は2つの支承平面に配設されていることは明らかである。第1に、3つの軸受4は前記モーター3または電気モーター3の下部または側部に配置され、共通の支承平面を形成している。また、第4の軸受4は、当該支承平面と垂直な支承平面に配置され、前記乾燥領域7と前記湿潤領域6との間に設けられた前記連通開口部8をシールする。
【0037】
前記モーター3から延出する本実施形態におけるボーデンケーブル10、または類似した弾性連結手段にはスラスト軸受が備えられているため、いずれの場合でも、前記モーター3にはいかなる力も作用することなく、前記ベース部5に連結および固定されている。従って、前記モーター3は収容空間において制限なく振動することが可能であり、また前記複数の軸受4により当該モーター3のから生じるいかなる振動も効果的に低減させることが可能となる。このように実質上構造に起因する騒音が前記モーター3から前記ベース部5に伝達されることはない。
【0038】
前記モーター3はその全体が前記乾燥領域7内に配置されており、また、当該モーター3の駆動系に提供された前記軸受4は密閉鍔部として作用するため、高速DCモーターとして設計された前記モーター3の機能的欠陥は実質的に排除される。前記軸受4は全体として中空円筒部として設計されており、上述したように、通常、ゴム弾性プラスチック、またはポリマーで製造される。前記軸受4の中空円筒形状の設計により、当該軸受4は、ケーブルまたは本実施形態のボーデンケーブル10の開口部および密閉鍔部として同時に機能することができる。これにより、前記乾燥領域7内のモーター3が前記軸受4と前記ボーデンケーブル10を介して前記自動車ドアロック2内の前記開閉装置1に機械的に連結される。
【0039】
既に説明したように、前記ベース部5は内側ドアパネルとして設計することができるが、図1に示すように、当該ベース部5を密閉パネル12上または密閉パネル12内に形成することも可能である。当該密閉パネル12は、前記ベース部5の凹部11を密閉する機能を果たす。また、前記凹部11および前記密閉パネル12は、前記モーター3全体を収容する機能を果たし、図1においては、前記内側ドアパネルの内部に形成される。
【0040】
このような設計は、安全上の理由、特に、前記モーター3に非常に高い横加速力が加わった際に生じる側面衝撃に対応するために推奨される。このような横加速力は、一方では、前記モーター3を収容する前記ハウジングによって吸収され、他方では、前記軸受4または複数の軸受4によって吸収される。このような場合、前記蛇腹形状部4aの各々は完全に圧縮され、前記軸受4が当該横加速力を「阻止」することになるので、前記より高いバネ定数Dが特に重要となる。駆動部がこのような動的状態にあり、前記軸受4が端部ストッパーとして作用する場合、実際、前記より高いバネ定数Dの非常に大きい反力により、いかなる変形も打ち消される。
【0041】
概して、前記軸受4は前記モーター3に着脱自在に連結することができる。このような目的で、前記ベース部5または前記密閉パネル12の係合バーと係合して前記軸受4を前記連通開口部8の各々に固定するスロット13を前記軸受4に設けてもよい。通常、前記モーター3はプラスチック製のハウジングを有するか、または前記ベース部の全体または一部はプラスチックまたは金属でできているので、自明な形態、または代替形態として、前記軸受4を前記モーター3および/または前記ベース5に射出成形してもよい。前記軸受4の材料として利用可能なエラストマーは、このような材料(プラスチック、スチール)に射出成形によって容易に結合可能である。
【0042】
しかしながら、図1および図2の実施形態で示すように、前記軸受4が前記ベース5または前記密閉パネル12に着脱自在に連結されていると特に有利である。前記軸受4は、連結頭部4bと、連結基部4cとを有する。図1に示す断面図から、前記軸受4は前記連結基部4cから前記連結頭部4bに向かって円錐状にテーパーが付いていることが明らかである。このような形状により、前記軸受4が衝突により最大横加速力を受け圧縮されるとき蛇腹状に互に押圧されるのみでなく、前記蛇腹形状部4aの各領域が互いに同軸方向に移動されることが確実になるため、前記モーター3の支承点は変動なく維持される。
【0043】
前記軸受4がアーム14によって部分的に、また前記連結頭部4bによって全体的に支持されいることは明らかである。前記アーム14は前記モーターと一体化して連結されてもよく、また、当該モーターのハウジングに連結されてもよい。さらに、前記アーム14は前記連結頭部4bに適合する開口部を有する。また、前記軸受4の各々(そのうち3つの軸受4は前記モーター3の側部または下部に配置)の前記連結頭部4bが当該軸受4に対して垂直方向に延出するように配置、または、前記ベース部5を上部から見た場合、前記モーター3の側部に配置されていることも明らかである。このような配置により、空間を節約してコンパクトに前記モーター3を固定することができる。
【0044】
前記軸受4は、通常、上述したひだ状のベローズ(蛇腹)形状として設計されるが、この設計は、前記軸受4が圧縮されたとき、互いに同軸方向にスライド移動する円錐形状の性質を考慮したものである。前記軸受4が伸長された場合は逆の状態になる。前記軸受4は主に前記モーター3によって生じる、構造に起因した騒音を完全に低減する機能を果たす。追加的に空気中に伝播される騒音については、吸音性のある内部被覆材15によって低減することが可能である。前記吸音性のある内部被覆材15は、発泡層またはその他の多孔質被覆層として前記ベース部5の前記モーター3に面する内面に取り付けることができる。この原理は図2で示されている。
図1
図2