【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を解決するために、本願発明による自動車ユニット用の一般的な駆動部は、軸方向および/または径方向において、また変形の度合いに応じて異なるバネ定数を有する
鍔部を特徴とする。
【0010】
通常、前記
鍔部の軸方向部および/または径方向部は、少なくとも部分的に蛇腹形状の設計を有する。当該構成においては、前記
鍔部の蛇腹形状部によって弾性変形、構造変形に対応する第1のバネ定数が提供され、一方、
鍔部材のゴム弾性分子内変形によって第2のより高いバネ定数が提供される。
【0011】
これは、本発明の前記
鍔部(これにより前記モーターがベース部に連結される)は第1の(比較的低い)バネ定数と、第2の(比較的高い)バネ定数とを有することを意味する。さらに、前記第1のバネ定数は前記
鍔部の蛇腹形状の設計、または蛇腹形状部によって提供される。前記
鍔部に作用する力により、前記蛇腹形状部は弾性的および構造的に変形、すなわち、バネのようにその外形が変形される。最も簡略的な構成では、前記蛇腹形状部は力が加わったときに圧縮または伸長される。このような場合、前記
鍔部を製造するために使用される材料、すなわち
鍔部材は、当初全くまたは殆ど分子内変形を示さず、その代わりに、前記蛇腹形状部はコイルバネのように伸長または圧縮される。
【0012】
また、上記構成はそれに対応する比較的低いバネ定数を提供し、高周波音を低減するために特に効果的である。このような高周波は通常、前記モーターまたは電気モーターの回転運動によって生じる。これらのモーターは高速モーターであり、当該モーターの回転運動は通常多数の減速ギアによって生成され、出力側の各ユニット、好ましくは前記開閉装置に作用するのに必要な力を提供する。本発明においては、このような高速回転運動によって生じる騒音および特に振動は、前記蛇腹形状部または前記
鍔部の第1の(低い)バネ定数によって主に聴覚的に有利に低減される。これは、例えば、運転中に路面の窪みを通過する際、急に加速する際、またはドアを勢いよく閉めた際に、構造に起因する騒音が前記モーターから前記ベース部に伝達されることがないことを意味する。
【0013】
前記第2のより高いバネ定数は、前記モーターが、例えば、事故によって減速し、前記
鍔部が力を「阻止」することになる場合に主に利用される。これは、前記蛇腹形状部が完全に圧縮され、前記モーターに(新たに)加えられた力は、前記蛇腹形状部のバネ定数と比べてより高いバネ定数を提供する前記
鍔部における周知のゴム弾性分子内変形によって吸収されることを意味する。上記の理由から、変形の度合いに応じて異なるバネ定数が利用される。
【0014】
前記
鍔部材のゴム弾性分子内変形は、分子官能基内の幅広く網目構造になった架橋を有するゴム弾性材料の周知のバネ特性によるものである。エラストマーは実質的に弾性変形可能なプラスチック、主にコイル状ポリマー鎖から成る。前記ポリマー鎖は、伸長する、若しくは非コイル状になることによって引張荷重に反応するが、一旦引張荷重が軽減されると鎖がコイル状に戻る。圧縮荷重が加えられる場合は、その反対の反応が起こる。
【0015】
本発明の前記ゴム弾性
鍔部の材料としては、当該産業分野で一般に利用される、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム(VMQ)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM)、天然ゴム(NR)、またはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのエラストマーを使用することが好ましい。また、いわゆる、エラストマーブレンド、またはポリブレンド(すなわち、いくつかの分子種から成るポリマーの最終的な混合物)を使用することもできる。異なる混合比および添加剤により、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンおよびタルク、または天然ゴム(NR)から成るポリオレフィンエラストマーなどの用途に応じた材料を製造することができる。使用される量比に応じて用途に応じた第2のバネ定数を達成することが可能である。
【0016】
いずれの場合でも、本発明の前記
鍔部は2つの機能を提供する。第1に、前記
鍔部は前記モーターから生じる振動および前記モーターの構造に起因する騒音が前記ベース部に伝達されるのを防ぐ。この機能は、主に前記蛇腹形状部および前記第1のバネ定数によって確保される。また、前記
鍔部は、ドアを勢いよく閉めた際、または事故が起きた際に生じる加速力により前記モーターが確実に減速する必要がある場合、端部ストッパーとしても機能する。この機能は、前記第2のバネ定数および前記
鍔部材の当該分子内変形により達成される。
【0017】
前記モーターが、好ましくは3つまたは4つの
鍔部を介して前記ベース部に固定されると有利であることが実証されている。例えば、前記モーターのこのような3つの
鍔部により、静的に定義された3つの支承点が確保される。また、前記3つの
鍔部は共通の支承平面上に配置または配設される。
【0018】
さらに、前記ベース部を上部から見た場合、少なくとも1つの
鍔部または複数の
鍔部に対して垂直方向に延出する状態で且つ前記モータに隣接して連結頭部が配置されると有利であることも実証されている。このような配置によれば、前記
鍔部は前記モーターの下部ではなく側部に連結されるため、当該
鍔部および当該モーターの高さを比較的低くすることができる。
【0019】
前記
鍔部は通常エラストマーからできているため、通常、前記モーターまたはモーターハウジングおよび/または前記モーターを支持する前記ベース部に射出成形することができる。しかしながら、本発明においては、前記モーターおよび/または前記ベース部に着脱自在に配置できる
鍔部が通常使用される。このため、前記
鍔部は通常、前記連結頭部と当該連結頭部に対して垂直方向に延在する連結基部とを有する中空円筒形状である。殆どの場合、前記連結基部から前記連結頭部に向って円錐状にテーパーが付いている形状が選択される。
【0020】
通常、前記
鍔部の前記連結基部および前記連結頭部は前記モーターまたは前記ベース部の固定部に設けられた開口部に着脱自在に収容される。前記
鍔部は中空円筒形状を有するため、例えば、前記ベース部またはモーターから外部に走る1若しくは複数のケーブル、例えば、ボーデンケーブルなどを同時に収容することもできる。
【0021】
前記ベース部は、内側ドアパネル、モーターハウジング、取付板、ユニット収容部、ドアモジュール収容部などであってよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、前記モータが前記ベースの凹部に収容されると有利であることも実証されている。このような構成では前記凹部はシールされ、前記モーターを完全に密閉するオプションが提供される。この場合、前記凹部による密閉パネルが前記ベース部として機能する。その場合、前記密閉パネルは前記
鍔部の連結基部に適合し、且つ前記
鍔部の連結頭部は前記モータに連結されるか、または、前記モーターハウジングのアームまたはそれに類似物に連結される。
【0022】
前記モーターまたは殆どの場合プラスチックでできた前記モーターハウジングは、通常1若しくはそれ以上の取付アームを有する。通常、前記アームは前記
鍔部の連結頭部を着脱自在に収容する。前記
鍔部は前記アームの各々に射出成形してもよく、また、2Kバージョンとして一工程で製造してもよい。別の実施形態においては、前記モーターハウジング上の側面に沿って形成されたパネルにより前記連結基部を収容することも可能あり、この場合、前記連結頭部は、例えば、クリップ連結部によって、例えば、前記ドアモジュール収容部に連結される。
【0023】
通常、前記
鍔部は、その蛇腹形状部および中空円筒形状を有する設計のため、ベローズ(蛇腹)形状部として設計される。これは、容易に製造可能な(必要であれば一部変更を含む)ベローズ形状部が使用できることを意味する。遮音効果をさらに高めるために、前記ベースも吸音用被覆材を有すると有利であることが実証されている。殆どの場合、前記モーターに面する前記ベース部の内面は吸音材で被覆されているか、若しくは内側に吸音被覆材が使用されている。発泡材またはその他の類似する多孔質被覆材は、残存するいかなる空気伝播音も確実に低減するため有利であることが実証されている。これに対して、本発明の前記
鍔部は、主に構造に起因する騒音を低減し、且つ当該騒音が伝達されるのを阻止するものである。このように、構造に起因する騒音および空気中に伝播される騒音の双方が効果的に低減されるため、全体として特別な吸音効果が達成される。
【0024】
自動車ユニット用の駆動部は上記の効果を踏まえたものであり、当該駆動部は自動車ドアロックの内部または当該ドアロック上の開閉装置に使用されるのが好ましい。通常、前記駆動部は自動車ドアの内部に配置されており、殆どの場合、当該自動車ドア内で使用される前記開閉装置またはレバーと物理的に分離されている。通常、外部駆動部および前記自動車ドアロックは、一体化された開閉装置または前記レバーにボーデンケーブルまたは他の弾性連結手段を介して連結されている。このボーデンケーブルまたは他の弾性連結手段は、前記モーターの運動を前記自動車ドアロックの内部または当該ドアロック上のレバーに伝達する。
【0025】
前記モータを作動させて、例えば施錠機能を実行すると、当該モータは構造に起因する騒音を振動を通じて前記自動車ドアおよび自動車本体に伝達し、好ましくない騒音源となる。本発明の実施形態においては、この構造に起因する騒音は、前記モーターを前記ベース部に固定するために使用される特別なゴム弾性
鍔部によって低減される。前記
鍔部の第1のバネ定数は主にこの機能を果たす。前記第2の比較的より高いバネ定数は、衝突、大幅な加速が行われたとき、カーブや起伏のある路面でブレーキが掛けられたとき、前記
鍔部が前記モーターの端部ストッパーとして作用する場合重要となる。これは安全上の理由から特に望ましい。
【0026】
前記
鍔部は、当該
鍔部により実質的に空間でのみで固定された前記モーターに柔軟性を有する膜のような緩衝を提供するため、前記ベース部に振動が伝達されることはない。また特に、前記モータに連結された、本実施形態におけるボーデンケーブルはスラスト
鍔部を有するため、前記駆動部にはいかなる力も作用することはない。従って、上述したように前記ゴム弾性
鍔部によって振動が効果的に吸収されるので、前記モーターは制限なく振動することが可能である。
【0027】
これと同時に、前記
鍔部は、いわゆる乾燥領域に通常配置される前記モーターを湿潤領域から分離する膜の機能を果たすことができる。前記湿潤領域はドアモジュールと、前記自動車ドアロックとを含む。通常、この湿潤領域は前記自動車ドアの内部にあり且つ外側に面した空洞部であり、前記内側ドアパネルまたはモジュール収容部と金属箔によって、当該自動車ドアのいわゆる乾燥領域から分離されている。通常、この乾燥領域には、前記エアバッグなどのセーフティコンポーネントおよびスピーカーなどの電気部品が収容されている。
【0028】
本発明の前記モーター
鍔部は、前記モーターの騒音の低減の最適化を確実にするのみでなく、その膜のような特性によって前記乾燥領域と前記湿潤領域との間にシールされた状態での連通が提供される。前記モーターにより作用される前記ボーデンケーブルが必修の開口部を介して連通しており、当該ケーブルは前記湿潤領域に配置された前記自動車ドアロックで終端する。当然のことながら、他の実装形態も可能であり、且つ本発明に包含されている。