特許第5764278号(P5764278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5764278高い光沢を有する効果顔料を含むインクジェットプリンター用インキ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764278
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】高い光沢を有する効果顔料を含むインクジェットプリンター用インキ
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/30 20140101AFI20150730BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20150730BHJP
   B41M 5/50 20060101ALI20150730BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20150730BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   C09D11/30
   B41M5/00 E
   B41M5/00 B
   B41J2/01 501
【請求項の数】17
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-524156(P2012-524156)
(86)(22)【出願日】2010年8月13日
(65)【公表番号】特表2013-501831(P2013-501831A)
(43)【公表日】2013年1月17日
(86)【国際出願番号】EP2010004983
(87)【国際公開番号】WO2011018239
(87)【国際公開日】20110217
【審査請求日】2013年6月13日
(31)【優先権主張番号】102009037323.3
(32)【優先日】2009年8月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502099902
【氏名又は名称】エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Eckart GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン エンゲル
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/083176(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01862511(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02042569(EP,A1)
【文献】 特表2002−508014(JP,A)
【文献】 特開2007−077316(JP,A)
【文献】 特開2003−012985(JP,A)
【文献】 特表2006−509088(JP,A)
【文献】 特開2003−238882(JP,A)
【文献】 特開2001−181550(JP,A)
【文献】 特開2002−020668(JP,A)
【文献】 特開2005−314603(JP,A)
【文献】 特開2005−213413(JP,A)
【文献】 特開2007−169451(JP,A)
【文献】 特開2007−046034(JP,A)
【文献】 特開平04−173879(JP,A)
【文献】 特開2002−167541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00− 11/54
B41J 2/00− 2/525
B41M 5/00− 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
効果顔料有機溶媒、およびバインダーを含むインクジェットプリンター用インキであって、
効果顔料が、10〜100nmの範囲の平均厚みと、体積平均サイズ分布関数の累積度数分布において15μm未満のd98値を有するアルミニウム効果顔料を含み、インクジェットプリンター用インキが、1〜50mPa・sの範囲の粘度を有し、バインダーに対する効果顔料の重量比が2〜15の範囲にあり、バインダーとしてエチルセルロースを含むことを特徴とする、インクジェットプリンター用インキ。
【請求項2】
アルミニウム効果顔料が、インクジェットプリンター用インキの全重量を基準にして、0.2〜7重量%の濃度で存在していることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項3】
バインダーが、インクジェットプリンター用インキの全重量を基準にして0.1〜1.3重量%の量であることを特徴とする、請求項1または2に記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項4】
エチルセルロースが、50000〜250000g/molの平均モル質量MWを有することを特徴とする、請求項1に記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項5】
有機溶媒が、10〜300の範囲の蒸発数を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項6】
アルミニウム効果顔料が、12μm未満のd98値を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項7】
アルミニウム効果顔料が、粉砕によって得られたアルミニウム効果顔料であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項8】
アルミニウム効果顔料が、PVDアルミニウム効果顔料であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項9】
アルミニウム効果顔料が、15〜50nmの範囲のメジアン厚みh50を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項10】
アルミニウム効果顔料が、式(I)に従って計算して、20〜60%の厚み分布Δhを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキ。
Δh=100(h90−h10)/h50 (I)
【請求項11】
インクジェットプリンター用インキが、3〜30mPa・sの範囲の粘度を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項12】
インクジェットプリンター用インキが、18〜50mN/mの範囲の表面張力を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項13】
インクジェットプリンター用インキが、0.2〜5mS/cmの導電率を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキ。
【請求項14】
基材を印刷するための、請求項1〜13のいずれかに記載のインクジェットプリンター用インキの使用。
【請求項15】
基材が、紙、ポリマー、金属、ガラス、織物、皮革、または木材系の材料からなる群より選択される、請求項14に記載のインクジェットプリンター用インキの使用。
【請求項16】
非多孔質な基材を印刷するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェットプリンター用インキの使用。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェットプリンター用インキを用いて印刷されていることを特徴とする、物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェットプリンター用着色インキは、長年にわたって使用されてきた。しかしながら、効果顔料を用いて着色されたインクジェットプリンター用インキは、事実上は、商品としてまだ市販されていない。効果顔料は、微小板形状の構造と典型的には5〜50μmの範囲の寸法を有しており、そのために、通常のインクジェットプリンターにとっては大きすぎる。インクジェットプリンターは、チャンネル、チューブ、およびノズルの狭いシステムを含んでいる。効果顔料に伴うさらなる問題点は、インクジェットプリンター用インキの粘度の変化、および効果顔料が及ぼす沈降の問題である。
【0002】
この点に関しては、近年多数の特許が出願されるようになった。それらには、印字ヘッドの閉塞を起こさせないような十分に小さい微小板形状のアルミニウム効果顔料が記載されている。驚くべきことには、それにも関わらず、これらの小さいアルミニウム効果顔料は良好な光学効果を有している。
【0003】
WO 2009/083176 A1には、サイズが極めて小さいために、インクジェットプリンター用インキにおいて有用なアルミニウム効果顔料が開示されている。そのアルミニウム効果顔料は、ある種の添加剤の存在下での粉砕によって、微粉砕されたものである。
【0004】
WO 2009/010288 A2には、アルミニウム効果顔料、およびそれを用いて着色されたインクジェットプリンター用インキが開示されているが、それは、極めて小さい平均厚みと小さいサイズを有していて、粉砕によって得ることができる。
【0005】
WO 2004/035684 A2には、効果顔料を含む水性のインクジェットプリンター用インキが開示されている。
【0006】
US 2006/0034787 A1には、アルミニウムの中間層と、両側面にSiO層を有し、0.70≦z≦2.0である、PVDで製造された効果顔料が開示されている。これらの顔料は、なかんずく、インクジェットプリンター用インキの中でも使用可能である。
【0007】
WO 2007/054379 A1には、薄いガラスのフレークをベースとする干渉顔料が開示されている。これらは、インクジェットプリンター用インキ、さらには各種のその他の用途において使用することができる。
【0008】
EP 1 862 511 A1にも同様に、金属効果顔料、およびそれを用いて着色されたインクジェットプリンター用インキが開示されている。
【0009】
US 2008/0250970 A1には、なかんずく、低濃度の金属効果顔料を用いて着色することが可能なインクジェットプリンター用インキが開示されている。そのインクジェットプリンター用インキを写真用紙の上に印刷すると、そうして印刷した色は、極めて高い光沢を示す。写真用紙は、吸収性の高い媒体であり、たとえば、バインダーが基材の中に拡散し、そのために、事実上、常に高い光沢の適用を得ることが可能である。写真用紙は、印刷のための基材としては、商品的にあまり関心を持たれることはない。
【0010】
金属効果顔料を用いて着色されたインクジェットプリンター用インキは、US 2008/0182083 A1にも同様に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術では、効果顔料を用いて着色されたインクジェットプリンター用インキが開示されている。しかしながら、公知の顔料着色されたインクジェットプリンター用インキは、特に顔料着色されたインクジェットプリンター用インキを非吸収性の媒体に適用したときに、最善の効果を発現しないことが多い。インクジェットプリンター用インキにおいては、一般的には、高い効果顔料/バインダーの比率が必要とされる。しかしながら、その結果として、印刷物の摩擦抵抗性および拭い抵抗性に難点が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、これらの欠点を有さない、効果顔料で着色されたインクジェットプリンター用インキを安価に提供することをその目的としている。さらに詳しくは、提供されるインクジェットプリンター用インキは、非吸収性の媒体の上に印刷した場合でさえも、良好な効果の発現、および特に高い光沢を可能とするべきものである。それと同時に、理想的には、その印刷物が十分な摩擦抵抗性および拭い抵抗性を有しているべきである。
【0013】
本発明の目的は、効果顔料と有機溶媒または溶媒混合物を含むインクジェットプリンター用インキを提供することによって達成されるが、ここでその効果顔料は、
a)10〜100nmの範囲の平均厚みと、体積平均サイズ分布関数の累積度数分布において15μm未満のd98値を有するアルミニウム効果顔料、および/または
b)体積平均サイズ分布関数の累積度数分布において3.5〜15μmの範囲のd90値を有する真珠光沢顔料、
を含み、そのインクジェットプリンター用インキが、1〜50mPa・sの範囲の粘度および2〜15の範囲のバインダーに対する効果顔料の重量比を有する。
【0014】
一つの好ましい実施態様においては、アルミニウム効果顔料を効果顔料として使用する。使用するアルミニウム効果顔料は、PVDプロセスによって得られたアルミニウム効果顔料、別名PVDアルミニウム効果顔料、または粉砕によって得られたアルミニウム効果顔料であることができる。WO 2009/083176 A1に開示されているアルミニウム効果顔料を、顔料調製物として使用するのが好ましい。この文書の内容を、ここに引用して、本明細書に組み入れたものとする。
【0015】
アルミニウム効果顔料は微小板の形状をしており、それを適用した媒体に対してほとんどは平行な配向をとっていると考えられる。それらは小さな鏡として機能して、入射光を直接的に反射する。これらの顔料を微粉砕して、明らかに1μm未満のメジアンサイズ(d50)にすると、それらは極めて小さいが、それでも、典型的なメタリック光輝、明度、および明暗フロップ性を依然として発現することができる。しかしながら、驚くべきことには、1μmを超える平均サイズであっても、これらの効果を観察することができる。したがって、本発明の一つの好ましい変法においては、そのメジアンサイズ(d50)が少なくとも1μmである。
【0016】
50値、d98値、およびd100値は、累積度数分布として表したときの体積平均粒子サイズ分布に基づいたものである。これは、フラウンホーファー回折理論に基づいたレーザー粒度分析を使用して測定する。この目的には、典型的には、Cilas 1064タイプの機器(Cilas製、Orleans、France)を使用する。
【0017】
98値が15μmよりも大きいと、そのアルミニウム効果顔料は、チューブ、チャンネル、フィルター、および印字ヘッドのシステムを含む印刷装置をもはや通過することができない。閉塞が起きて、印字ヘッドが使用不能となるであろう。
【0018】
本発明の一つの好ましい実施態様においては、そのアルミニウム効果顔料が、2μm〜12μm、より好ましくは2.5μm〜8μm、さらにより好ましくは3μmから6μm未満のd98値を有している。
【0019】
これらの好ましい実施態様においては、その粒子サイズ分布のd50値が、1から6μm未満、より好ましくは1.5〜5μm、さらにより好ましくは1.2〜5μm、さらにもっとより好ましくは1.5〜5μm、最も好ましくは2〜5μmの範囲である。
【0020】
アルミニウム効果顔料のサイズ分布曲線は、極めて狭い。本発明のインクジェットプリンター用インキ中のアルミニウム効果顔料の100%が、好ましくは15μm未満、より好ましくは12μm未満、さらにより好ましくは10μm未満、最も好ましくは6μm未満のd100値を有している。
【0021】
さらに好ましい実施態様においては、アルミニウム効果顔料粒子の100%が、0.3〜8μm、より好ましくは0.5〜7μmのサイズ範囲にある。
【0022】
好ましくは12μm未満、より好ましくは10μm未満のd100を有するアルミニウム効果顔料を使用するが、その理由は、印刷インキがその中を通過しなければならない、たとえばノズルまたはその他の印字ヘッド部品の直径が、通常は20〜50μmの範囲にあるからである。
【0023】
原理的には、アルミニウム効果顔料の上限は、たとえばチューブ、チャンネル、フィルター、およびノズルのような印字ヘッドの構成全体の直径によって決まってくる。印字ヘッドシステムは、インクジェットプリンター用インキのためのポンプとして機能することができなければならない。上述のような印字ヘッドの構成要素の直径が大きい程、大きい寸法のアルミニウム効果顔料を使用することも可能となる。
【0024】
アルミニウム効果顔料のd50値の印字ヘッドノズルの直径に対する比率は、好ましくは0.02〜0.5、より好ましくは0.03〜0.2、さらにより好ましくは0.04〜0.12の範囲である。
【0025】
上述の比率の範囲に入る寸法を有する微小板形状のアルミニウム効果顔料は、印字ヘッドノズルの中を容易に通過することが可能であって、閉塞を起さない。
【0026】
そのような小さなアルミニウム効果顔料を得るためには、これらを粉砕工程によって微粉砕し、次いで顔料調製物とするのが好ましい。WO 2009/083176 A1に記載されているような、この顔料調製物は、アルミニウム効果顔料、少なくとも1種の溶媒、および少なくとも1種の添加剤を含み、そのアルミニウム効果顔料が、体積平均累積分布曲線において15μm未満のd98値を有しているのが好ましい。
【0027】
その少なくとも1種の添加剤は、WO 2009/083176に記載されているようなリン含有添加剤であり、その溶媒は25℃で少なくとも1.8mPa・sの粘度を有している。
【0028】
さらに好ましい実施態様においては、そのリン含有添加剤には、少なくとも1種のホスフィン酸、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、リン酸および/またはリン酸エステルが含まれる。
【0029】
リン酸またはリン酸エステルは、次の一般式(I)を有している:
(O)P(OR)(OR)(OR) (I)
ホスホン酸またはホスホン酸エステルは、次の一般式(II)を有している:
(O)PR(OR)(OR) (II)
ホスフィン酸またはホスフィン酸エステルは、次の一般式(III)を有している:
(O)PR(OR) (III)
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、H、または1〜30個の炭素原子を有する有機残基(場合によってはO、S、および/またはNのようなへテロ原子を含む)であり、RおよびRはそれぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有する有機残基(場合によってはO、S、および/またはNのようなへテロ原子を含む)である。
【0030】
すべての有機残基R、R、R、RまたはRはそれぞれ独立して、分岐鎖状または直鎖状のアルキル、アルキルアリール、アリールまたはアリールアルキルであってよい。
【0031】
好ましくは、その有機残基が、1〜24個の炭素原子、好ましくは6〜18個の炭素原子を有する分岐鎖状または直鎖状のアルキルであり、それは、場合によってはO、S、および/またはNのようなへテロ原子を含む。
【0032】
アルキルホスホン酸およびアルキルホスホン酸エステルが特に好ましく、より好ましくは、それが、6〜18個の炭素原子、さらにより好ましくは6〜18個の炭素原子を有するアルキル残基を含む。
【0033】
極めて特に好ましいのは、オクタンホスホン酸またはドデシルホスホン酸である。
【0034】
一つの特に好ましい実施態様においては、そのアルミニウム効果顔料が、PVDプロセスによって公知の方法で得られる。
【0035】
さらに好ましい実施態様においては、そのアルミニウム効果顔料が、粉砕によって得られる。WO 2009/010288 A2に開示されているアルミニウム効果顔料を使用するのが好ましい。この文書の内容を、ここに引用して、本明細書に組み入れたものとする。
【0036】
ボールミルを使用することによって、本発明において使用されるアルミニウム効果顔料を得るためには、第一段階においてアルミニウムを融解させ、次いで当業者に公知の方法を使用してアトマイズする。次いで、アトマイゼーションによって得られたボールの形状の粒子を、ビーズミル加工またはボールミル加工して、アルミニウム効果顔料として望ましい粒子サイズとする。金属の粒子を、ボールミル加工またはビーズミル加工することは、「ホールプロセス」として公知である。
【0037】
極めて薄い顔料を得るには、ボール1個あたり2〜13mgの重量の材料からなる球状のボールを使用するのが好ましい。この目的のためには、ガラス製のボールを使用するのが好ましい。本発明のインクジェットプリンター用インキにおいて使用するためのアルミニウム効果顔料を製造するための出発材料としては、微細な微小板形状のアルミニウム顔料を使用するのもまた好ましい。
【0038】
これらの薄いアルミニウム効果顔料を製造するためのアルミニウムグリットの平均粒子サイズ(d50)、すなわちd50,gritは、<20μm、好ましくは<15μm、より好ましくは<10μm、最も好ましくは<8μmである。本発明のさらなる実施態様においては、その平均粒子サイズ分布が以下の特徴を有している:d10,grit<3μm、d50,grit<5μm、d90,grit<8μm。
【0039】
極めて小さな厚み分布を有する極めて薄いアルミニウム効果顔料、たとえば平均厚みh50が15〜80nmで、式(I)による厚みスパン(厚み分布)Δhが30から70%未満のアルミニウム効果顔料を得るためには、出発材料として、狭いサイズ分布を有する極めて微細なアルミニウム結晶粒、すなわち極めて微細なアルミニウムグリットを使用するのが好ましい。その厚み分布は、累積分布(数平均)の形で規定される。厚み分布の相対幅Δh(「厚みスパン」)は、式(I)を使用して計算することにより求められる。
Δh=100(h90−h10)/h50 (I)
【0040】
90値は、粒子の90%の最大顔料厚みを表している。同様にして、h10値は、粒子の10%の最大顔料厚みを表している。
【0041】
10,grit<3.0μm、d50,grit<5.0μm、d90,grit<8.0μmの粒子サイズを有するアルミニウム結晶粒(アルミニウムグリット)を使用するのが好ましい。d10,grit<0.6μm、d50,grit<2.0μm、d90,grit<4.0μmの粒子サイズを有するアルミニウム結晶粒(アルミニウムグリット)を使用するのがより好ましい。
【0042】
粒子厚みは、通常、スプレッド値(DIN 55923に準拠)を求め、それを使用して粒子厚みを計算する方法によるか、および/またはSEMで粒子厚みを計測して平均する方法によって確認する。スプレッド値法は、メジアン厚みを求める場合にのみ使用可能であり、粒子厚みの分布は求めることができない。
【0043】
したがって、本発明のアルミニウム効果顔料の平均厚みは、SEM法によって求めた。典型的には、少なくとも100個の粒子を分析して、代表的結果を得る。その方法についての詳細は、WO 2004/087816で確認できるが、この特許の内容を、ここに引用して、本明細書に組み入れたものとする。
【0044】
SEM画像(SEM:走査型電子顕微鏡)からの測定で得られた、アルミニウム効果顔料のメジアン厚みh50が、15〜150nmの範囲にあるのが好ましい。平均厚みh50は、好ましくは15〜100nm、より好ましくは20〜80nmの範囲である。
【0045】
これらの極めて薄い平均厚みを有する金属効果顔料を使用した、本発明によるアルミニウム効果顔料含有インクジェットプリンター用インキを基材に適用すると、極めて訴求力の高い金属効果を得ることができることが見出された。
【0046】
さらに極めて好ましい平均厚みh50は、30から80nm未満の範囲にある。粉砕により得られるそのような薄いアルミニウム効果顔料によって、高い輝度効果が得られるようになる。高光沢および高フロップ性は別として、その印刷物は、通常はPVD顔料に典型的な、澄んだメタリック効果の外観を有している。
【0047】
平均厚みh50が80〜130nmであれば、輝度は低いが、それでもある程度のメタリック効果が得られる。
【0048】
50が15nmよりも低いと、その顔料の透明性が高すぎて、反射性が低下し、そのために、同じ程度に吸収性が高くなって、極めて暗く映るようになる。h50が150nmを超えると、比隠蔽力、すなわち単位重量のアルミニウム効果顔料で被覆される媒体の面積が低下するために、アルミニウム効果顔料および顔料材料の光学的性能が浪費されることになる。
【0049】
SEMの厚み測定で、同様にして厚み分布も得られる。これを変換して累積分布(数平均)とすると、それを使用し、式(I)を用いて厚み分布の相対幅Δh(「厚みスパン」)を求めることができる。
【0050】
厚みスパンΔhは、30〜140%の範囲にあるのが好ましい。さらに好ましい実施態様においては、厚み分布の平均バンド幅Δhは、30〜100%、より好ましくは30〜70%、さらにより好ましくは30〜50%の範囲である。
【0051】
平均厚みh50が15〜80nmで、かつΔhが30から70%未満のアルミニウム効果顔料が、極めて好ましい。
【0052】
驚くべきことには、本発明のインクジェットプリンター用インキ中における、粉砕によって得られた薄いアルミニウム効果顔料がそのようなサイズ分布曲線を有していると、このインクジェットプリンター用インキを基材に適用した場合に、極めて高い光沢およびフロップ性を有する光学効果、さらには訴求力のある澄んだメタリック効果が得られるということが見出された。
【0053】
Δh値(厚みスパン)が低いということは、所望の高い値の光学効果を得るために好ましいことである。140%を超えるΔhを有する顔料は、インクジェットプリンター用インキの中で効率的に層構造を作らない。さらに、インクジェットプリンター用インキの適用とその硬化の間の、配向のための時間が短いために、最適な配向が達成できるのは、Δhが140%未満、より好ましくは100%未満の顔料に限られる。
【0054】
インクジェットプリンター用インキを適用してから溶媒が蒸発する間に利用可能な、短い時間間隔のうちに、実質的に全部のアルミニウム効果顔料を均質に配向させることを可能とするためには、本発明によるインクジェットプリンター用インキが、粒子サイズ分布曲線においていくぶん小さい幅(スパン)を有する、極めて薄いアルミニウム効果顔料を含んでいるのが好ましい。
【0055】
本発明のアルミニウム効果顔料は、好ましくは110nm未満、より好ましくは75nm未満のh90値となる厚み分布曲線を有している。厚み分布のh95値は、好ましくは150nm未満、より好ましくは120nm未満である。さらに、h99値は、好ましくは140nm未満、より好ましくは90nm未満である。
【0056】
さらに好ましい実施態様では、効果顔料として真珠光沢顔料を使用する。
【0057】
この場合も、過度に大きい真珠光沢顔料を使用すれば、印字ヘッドの寸法および印字ヘッド閉塞の可能性に関する上述の問題が、同様に起きる。
【0058】
真珠光沢顔料のサイズ分布は、アルミニウム効果顔料の場合と同様にして、レーザー粒度分析で求めることができる。しかしながら、アルミニウム効果顔料は、それらの光学的性質(屈折率、吸収定数)のために、この場合には、より高い信号を発するので、d90値は、真珠光沢顔料の場合における粗い画分の特性解析をするために、より好適な尺度である。この場合のd98値を再現性よく測定するのは、極めて困難である。この値が小さいほど、本発明による真珠光沢顔料含有インクジェットプリンター用インキの、各種のインクジェット印字ヘッドへの適用性が、より良好となる。
【0059】
本発明においては、その真珠光沢顔料は、d90値が3.5〜15μmのサイズ分布を有する。真珠光沢顔料は、好ましくは4〜13μm、より好ましくは5.5〜12μm、さらにより好ましくは5〜10μm、さらにもっとより好ましくは5.1〜8μmの範囲のd90値となるサイズ分布を有する。
【0060】
本発明のさらなる実施態様においては、その真珠光沢顔料は、5〜20μm、好ましくは5.5〜15μm、より好ましくは6〜13μm、さらにより好ましくは6.5〜10μmの範囲のd95値となるサイズ分布を有する。
【0061】
本発明のさらなる実施態様においては、その真珠光沢顔料は、2〜10μm、好ましくは2.5〜8μm、より好ましくは3〜7.5μm、さらにより好ましくは3.5〜6μmのd50値となるサイズ分布を有する。
【0062】
好ましい実施態様においては、その真珠光沢顔料の基材は、40〜150nm、好ましくは50〜140nm、より好ましくは60〜130nm、より好ましくは70〜120nm、さらにより好ましくは80〜110nmの範囲のメジアン高さ(層厚み)hを有する。
【0063】
層厚みが40nm未満であると、その顔料は機械的に脆すぎる可能性がある。さらに、比表面積が極端に高いために、金属または高屈折率の金属酸化物を用いてコーティングするのに必要な時間が長すぎて、コスト的に受け入れられない。比表面積とは、単位重量あたりの表面積である。本発明による真珠光沢顔料の基材の層厚みは極端に薄いので、これらの基材は、従来からの基材に比較して、極めて大きな、単位重量あたりの表面積を有している。
【0064】
メジアン高さhの標準偏差は、好ましくは25〜80%、より好ましくは28〜60%、さらにより好ましくは30〜50%の範囲である。
【0065】
真珠光沢顔料の基材の粒子の厚みと粒子サイズは、その製造プロセスの結果として、相互に実質的に依存する。粒子サイズが大きい場合には、相応に粒子の厚みが厚くなり、その逆も同様である。本発明によるインクジェットプリンター用インキの印刷適性は、真珠光沢顔料の粒子サイズによって決定的な影響を受ける。過度に粗く、従って相応に厚い真珠光沢顔料は、市販のインクジェット印字ヘッドへの適性が低い。真珠光沢顔料の基材のメジアン高さhが150nmよりも大きいと、印刷インキ、好ましくはインクジェット用インキが、市販のインクジェット印字ヘッドでは、印刷可能であるとしても、十分な印刷ができない。
【0066】
したがって、本発明によるインクジェットプリンター用インキの中の極端に微細な真珠光沢顔料は、低いd90値と低いメジアン層厚みhを有する、実質的に透明な基材をベースとしている。このことが、市販のインクジェット印字ヘッドにおける印刷適性と、さらには、驚くべきことには、極めて良好な機械的安定性を与えている。それと同時に、その真珠光沢顔料は、強い干渉色を有しており、そのために、真珠光沢効果を有する、強い色彩の高品質印刷物に有用である。
【0067】
粒子サイズ(直径)d90/d95と層厚み(メジアン高さ)hを以下に述べるように組み合わせた真珠光沢顔料が、特に好適であるということが判明した。以下に述べるこれらの組合せは、極めて小さくて微細な真珠光沢顔料を与えると同時に、驚くべきことには、本発明によるインクジェットプリンター用インキを市販のインクジェット印字ヘッドで印刷したときに、高い機械的安定性をもたらす。これらの小さくて微細な真珠光沢顔料が、それらのサイズが小さいにも関わらず、真珠光沢顔料に典型的な光沢仕上げの光輝を有しているのは、さらに極めて驚くべきことであった。
【0068】
本発明においては、本発明によるインクジェットプリンター用インキは、その体積平均サイズ分布関数の累積度数分布におけるd90値が3.5〜15μmの範囲、好ましくは4〜13μmの範囲であり、そしてそのメジアン高さhが40〜150nmの範囲、好ましくは50〜140nmの範囲である、真珠光沢顔料を含んでいるのが好ましい。
【0069】
さらに好ましい実施態様においては、本発明のインクジェットプリンター用インキは、その体積平均サイズ分布関数の累積度数分布におけるd90値が4.5〜12μmの範囲、好ましくは5〜10μmの範囲であり、そしてそのメジアン高さhが60〜130nmの範囲、好ましくは70〜120nmの範囲である、真珠光沢顔料を含んでいる。
【0070】
特に好ましい実施態様においては、本発明のインクジェットプリンター用インキは、その体積平均サイズ分布関数の累積度数分布におけるd90値が5.1〜8μmの範囲であり、そしてそのメジアン高さhが80〜110nmの範囲である、真珠光沢顔料を含んでいる。
【0071】
本発明によるさらなる実施態様においては、本発明のインクジェットプリンター用インキは、その体積平均サイズ分布関数の累積度数分布おけるd95値が5〜20μmの範囲、好ましくは5.5〜15μmの範囲であり、そしてそのメジアン高さhが40〜150nmの範囲、好ましくは50〜140nmの範囲である、真珠光沢顔料を含んでいる。
【0072】
さらなる実施態様においては、本発明のインクジェットプリンター用インキは、その体積平均サイズ分布関数の累積度数分布におけるd95値が6〜13μmの範囲、好ましくは6.5〜10μmの範囲であり、そしてそのメジアン高さhが60〜130nmの範囲、好ましくは70〜120nmの範囲である、真珠光沢顔料を含んでいる。
【0073】
さらなる実施態様においては、本発明のインクジェットプリンター用インキは、その体積平均サイズ分布関数の累積度数分布におけるd90値が3.5〜15μmの範囲、好ましくは4〜13μmの範囲であり、そしてその体積平均サイズ分布関数の累積度数分布におけるd95値が5〜20μmの範囲、好ましくは5.5〜15μmの範囲である、真珠光沢顔料を含んでいる。
【0074】
さらなる実施態様においては、本発明のインクジェットプリンター用インキは、その体積平均サイズ分布関数の累積度数分布におけるd90値が4.5〜12μmの範囲、好ましくは5〜10μmの範囲であり、そしてその体積平均サイズ分布関数の累積度数分布におけるd95値が6〜13μmの範囲、好ましくは6.5〜10μmの範囲である、真珠光沢顔料を含んでいる。
【0075】
本発明の一つの好ましい変法においては、そのインクジェット用インキの中の真珠光沢顔料が、TiOの金属酸化物層およびマイカの基材を含んでいる。そのマイカは、合成マイカであっても天然マイカであってもよい。
【0076】
本発明によるインクジェットプリンター用インキの粘度は、1〜50mPa・sの範囲である。この粘度は、Brookfield製のダブルスロットシリンダー測定システムを有するR/Sレオメーターを用い、DIN 54453に従って、25℃、150rpmの設定で測定する。インクジェットプリンター用インキの粘度は、好ましくは3〜30mPa・sの範囲、より好ましくは4〜20mPa・sの範囲である。
【0077】
本発明のさらに好ましい改良態様においては、本発明によるインクジェットプリンター用インキが、du Nouyのリング法を使用して温度25℃で測定して、18〜50mN/m、より好ましくは20〜45mN/mの表面張力を有している。
【0078】
本発明のさらに好ましい改良態様においては、本発明によるインクジェットプリンター用インキが、DIN 53779に従うかまたはそれに相当する方法を使用して温度25℃で測定して、0〜5mS/cm、好ましくは0.2〜4mS/cmの導電率を有している。
【0079】
本発明の溶媒系のインクジェットプリンター用インキは、好ましくは、Brookfield製のダブルスロットシリンダー測定システムを有するR/Sレオメーターを用い、DIN 54453に従って、25℃、150rpmの設定で測定して、4〜20mPa・sの粘度、du Nouyのリング法を使用して、温度25℃で測定して、20〜45mN/mの表面張力、そして好ましくは、DIN 53779に従うかまたはそれに相当する方法を使用して温度25℃で測定して、0〜5mS/cmの導電率を有している。
【0080】
一つの好ましい実施態様においては、効果顔料、アルミニウム効果顔料、および/または真珠光沢効果顔料は、いずれもインクジェットプリンター用インキの全重量を基準にして、0.2〜7重量%、より好ましくは0.3〜6重量%、より好ましくは0.4〜5重量%、さらにより好ましくは0.5〜3重量%の濃度で存在させる。
【0081】
0.2重量%未満では、効果の発現、本明細書においては特に高い光沢が、ほんの部分的にしか発現されない。印刷物が、効果顔料で連続的に被覆されず、その結果、それに伴う所望の光沢を十分に発現することができない。7重量%を超えると、当然のことながら、インクジェットプリンター用インキのコストの割合では、効果顔料が最も高価な原材料であるので、印刷インキのコストが高くなりすぎる。
【0082】
バインダーに対する効果顔料の重量比が高いことが、本発明によるインクジェットプリンター用インキの特徴であり、これは本発明にとっては本質的な事柄である。この比率は、2〜15の範囲、好ましくは2.5〜10の範囲、より好ましくは2.8〜6.25の範囲である。
【0083】
従来技術において開示されている量比は、いずれの場合においてももっと顕著に低く、それは、それらにおいて開示されている例示的な実施態様からも特に明らかである。従来のインクジェットプリンター用着色インキは、ほぼ1:1という顕著に低い重量比が慣用されている。本明細書においては、印刷インキ中で約4〜6重量%という比較的高いバインダー含量が使用されているが、その理由は、そうしないと、印刷物で望まれる摩擦抵抗性および拭い抵抗性が得られないからである。
【0084】
バインダーに対する効果顔料の重量比が2未満では、特に非多孔質な基材の上に印刷した場合に、印刷物の光沢が顕著に低下する。比率が15よりも高いと、その場合の印刷物中のバインダーが少なすぎて、結局は、印刷物の摩擦抵抗性および拭い抵抗性がもはや受容不能となる。
【0085】
本発明のインクジェットプリンター用インキにおいて、バインダーに対する効果顔料の重量比が高いという驚くべき発見は、微小板形状の効果顔料の比表面積が、従来からの顔料に比較すると相対的に低いためであろうと考えられる。その結果、機械的に安定な形で効果顔料を印刷物に結合させるために必要とされるバインダーの量が少ない。
【0086】
ここで、留意しておかなければならないのは、多孔質な媒体、たとえば無光沢紙およびミクロポアコート紙、デジタル印刷において常用されるフィルムおよびプレートに印刷すると、必ず、バインダーの少なくともいくぶんかは溶媒と共にその媒体の細孔の中に拡散するであろうということである。したがって、その印刷物の中にバインダーがほとんど、またはまったく存在しないので、高い光沢の印刷物が得られる。しかしながら、その印刷された層は、そのために、その印刷物の結合力を確保するためのバインダーが少ないかまたはまったくないことになる。たとえば高光沢ミクロポアコート紙のようないくつかの多孔質な媒体の場合、その媒体の表面にある細孔は極めて小さいので、溶媒とバインダーだけがその細孔の中に拡散することが可能であって、より大きな効果顔料は拡散することができない。したがって、その結果、効果顔料とバインダーが印刷物の中で空間的に実質的に離されて、機械的な安定性の面で受容不能となる。極端なケースでは、媒体に対して効果顔料がもはやまったく付着しないことになる。
【0087】
驚くべきことには、本発明のインクジェットプリンター用インキは、特に非多孔質な基材への印刷を可能とし、バインダー含量が低い場合であってもその機械的安定性が実質的に保持される。本発明によるインクジェットプリンター用インキのバインダー含量は、インクジェットプリンター用インキの全重量を基準にして、好ましくは0.1〜1.3重量%の範囲、より好ましくは0.15〜1.0重量%の範囲、さらにより好ましくは0.2〜0.8重量%の範囲、さらにもっとより好ましくは0.25〜0.6重量%の範囲である。上記のバインダー含量は、それぞれ、バインダーの固形分含量を基準としたものである。
【0088】
溶媒含有インクジェットプリンター用インキは、典型的には、1〜50mPa・sの範囲の粘度を有している。慣用されるインクジェットプリンター用インキにおいて必要とされる粘度は、典型的には、バインダー含量によって調節される。驚くべきことには、効果顔料を含む本発明のインクジェットプリンター用インキは、必要とされる粘度を達成させるのに、極めて低いレベルのバインダーしか必要としないということが見出される。
【0089】
使用するバインダーは、使用する特定の溶媒混合物の中に溶解しやすくないバインダーであるのが好ましい。
【0090】
好ましい実施態様においては、(C〜Cアルキル)−セルロース、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ニトロセルロース、塩化ビニルコポリマー、アクリレート、ケトン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの混合物を、バインダーとして本発明のインクジェットプリンター用インキの中において使用する。(C〜Cアルキル)−セルロース、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ニトロセルロースまたはそれらの混合物を、バインダーとして本発明のインクジェットプリンター用インキの中において使用するのが特に好ましい。バインダーとして、そのアルキルがメチル、エチル、またはプロピルであるC〜Cアルキルセルロースを使用するのが極めて特に好ましい。
【0091】
極めて特に好ましい実施態様においては、本発明のインクジェットプリンター用インキには、エチルセルロースがバインダーとして含まれる。特に、エチルセルロースはインクジェット印刷分野においては滅多に使用されないバインダーであるので、これは驚くべきことである。エチルセルロースは、一般的に、効果顔料の光沢発現に最良の結果を与える。
【0092】
バインダーとしてエチルセルロースを使用した場合、たとえばミクロポア材料のように極端に多孔質な媒体材料であってさえも、効果顔料を用いて満足のいくレベルで印刷することが可能であり、良好な機械的安定性を有する印刷物が得られる。対象となる媒体は、SiOおよびAlの多孔質な層を用いてコーティングされた、紙またはフィルムまたはプレートである。このコーティングは、極端に小さい直径の細孔を有している。この多孔質構造は、強い毛細管力を有しているために、印刷直後にインクジェットプリンター用インキの溶媒を吸い取る。
【0093】
従来技術において溶媒の中に容易に溶解されたバインダーは、当然のことながら、同様に吸収され、そのために効果顔料が、印刷物の中でもはや機械的安定性を持てなくなる。
【0094】
エチルセルロースはおそらく、効果顔料、特にアルミニウム効果顔料に対する高い親和性を有しているので、このメカニズムには従わない。
【0095】
より好ましい実施態様においては、バインダーとして使用されるエチルセルロースが、50000〜250000g/mol、好ましくは80000〜150000g/molの平均モル質量M(質量平均)を有している。モル質量は、DIN 55672のパート1に従い、溶媒としてのTHF、ポリスチレン標準、および長さがそれぞれ30cm、内径がそれぞれ7.8mm、細孔径がHR5、HR4およびHR2である3本のカラム(Waters GmbH)を使用して、GPCによって求めるのが好ましい。
【0096】
これらはエチルセルロースが比較的に低〜中程度のモル質量であるので、使用する溶媒の中へのバインダーの溶解性がよくなる。
【0097】
1〜50mPa・s、好ましくは4〜20mPa・sの粘度を有する、本発明によるインクジェットプリンター用インキの好ましい実施態様には、以下の成分Aおよび/またはBが含まれる:
成分A:
a)メジアン厚みが15〜50nmで、d98が12μm未満の、アルミニウム効果顔料;
b)エチルセルロース、CAB、またはニトロセルロースの群からのバインダー;
(ここで、バインダーに対するアルミニウム効果顔料の重量比は、2.5〜6.25の範囲である)。
【0098】
インクジェットプリンター用インキAの特に好ましい実施態様には、0.2〜0.8重量%の量で、エチルセルロース、CAB、またはニトロセルロースの群からのバインダーが含まれている。
【0099】
成分B:
a)メジアン厚みが15〜50nmで、d98が2〜12μm、好ましくは2.5から8μm未満の、アルミニウム効果顔料;
b)バインダーとしてのエチルセルロース;
(ここで、バインダーに対するアルミニウム効果顔料の重量比は、好ましくは2.5〜6.25の範囲であり、そしてバインダーが、好ましくは、インクジェットプリンター用インキの全重量を基準にして0.2〜1.0重量%の量で存在している)。
【0100】
インクジェットプリンター用インキBの特に好ましい実施態様には、50000〜250000g/molの平均モル質量Mを有するエチルセルロースのバインダーが含まれている。
【0101】
本発明のさらなる態様は、特に非多孔質な基材に印刷するための、本発明のインクジェットプリンター用インキの使用に関する。
【0102】
本明細書において好ましい非多孔質な基材は、未コーティングかまたは非多孔質なコーティングをしたフィルム、およびメッシュビニル垂れ幕、ガラス、セラミック、塗装プレート、金属プレート、シートメタル、処理済み皮革、塗装のための被覆キャンバス、さらには光沢コート紙である。
【0103】
非多孔質な基材は、印刷操作の後では、溶媒が蒸発するか、またはせいぜいのところ、媒体を膨潤させるかもしくは先ず媒体を溶解させるという点に特徴がある。その結果として、溶媒の大部分または全部を吸い取ることが可能な多孔質な基材の場合よりも、乾燥時間が通常かなり長くなる。
【0104】
未コーティングのフィルムの例は、垂れ幕材料も含めて、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ビニルフィルム、およびポリエステルフィルムである。塗装プレートの例は、Dibond(登録商標)、またはフォームボード製品である。グラビア紙およびオフセット紙は、典型的には、光沢コート紙として使用される。典型的なインクジェット用紙とは異なり、それらはほんのいくぶんかの吸収性があるが、多孔質ではない。
【0105】
溶媒系のインクジェットプリンター用インキは、インクジェットプリンター用インキの全重量を基準にして、50〜99重量%の間、好ましくは75〜98.5重量%の間、より好ましくは85〜98.0重量%の間の溶媒含量を有しているのが好ましい。
【0106】
溶媒の蒸発数は、好ましくは10〜300の間、より好ましくは20〜250の間、さらにより好ましくは80〜200の間の範囲である。蒸発数は、20℃でのエーテルに対する相対値として、DIN 53170によって定義される。
【0107】
インクジェット印刷に適した溶媒ならばいずれも、溶媒または溶媒混合物として使用することができる。好適な溶媒としては以下のものが挙げられる:アルコール、エステル、エーテル、チオエーテル、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、アミン、アミド、ケトン、および/または炭化水素、またはそれらの混合物。
【0108】
アルコールの例としては以下のものが挙げられる:アルキルアルコール、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、フッ素化アルコール、またはそれらの混合物。
【0109】
溶媒として有用なケトンの例としては以下のものが挙げられる:アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、ジアセトンアルコール、またはそれらの混合物。
【0110】
エステルの例としては以下のものが挙げられる:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、酢酸プロピル、酢酸エトキシプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルもしくはプロピオン酸エチル、グリコールエーテルアセテート、ブチルグリコールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、乳酸エチル、またはそれらの混合物。
【0111】
溶媒として有用なエーテルの例としては以下のものが挙げられる:ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールエーテル、特にエチレングリコールエチルエーテルもしくはエチレングリコールメチルエーテル、メトキシプロパノール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコールブチルエーテル、またはそれらの混合物。
【0112】
溶媒として有用なアミドの例は、N−メチル−ピロリドンおよび2−ピロリドンである。
【0113】
炭化水素は、以下のものからなる群より選択してよい:テルペン、たとえば、ピネン、リモネン、テルピノレン、脂肪族炭化水素、たとえば、ヘプタン、ホワイトスピリット、ストッダード溶媒、および/または芳香族炭化水素、たとえば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、またはそれらの混合物。
【0114】
より好ましくは、適切な溶媒は以下のものからなる群より選択される:アルコール、グリコールエーテル、エステル、ケトン、またはそれらの混合物。本発明の目的のための溶媒は、単一溶媒または溶媒混合物を意味していると理解されたい。
【0115】
特に好ましい溶媒は以下のものである:イソプロパノール、エタノール、ブタノール、ジイソブチルケトン、ブチルグリコール、ブチルグリコールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチル、または酢酸エトキシプロピルまたは3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール。
【0116】
有機溶媒または溶媒混合物は水を含んでいないのが好ましい。たとえば工業レベルの不純物として存在している少量の水は、仮にあったとしても、ほとんど影響しない。水分含量は、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、さらにより好ましくは5重量%未満である。水分含量が2重量%未満であれば極めて好ましいが、これらの項目はすべて、溶媒/溶媒混合物の全重量を基準にしている。
【0117】
さらなる実施態様においては、ドロップ−オン−デマンド(DOD)技術において使用されるインクジェット用インキ中の溶媒/溶媒混合物が、少なくとも61℃か、またはそれよりも高い引火点を有しているのが好ましい。このことによって、印刷機は、防爆エリアの中に設置しなければならないとか、防爆設計にしなければならないとかいうことが回避される。さらに、そのようなインクジェットプリンター用インキの貯蔵や輸送もより安全である。
【0118】
本発明のさらなる実施態様においては、そのインクジェットプリンター用インキは、18〜50mN/m、好ましくは20〜40mN/m、より好ましくは22〜35mN/mの表面張力を有している。
【0119】
表面張力が18mN/m未満であるような場合には、インクジェットプリンター用インキが、印字ヘッドの表面から流れ出る可能性があるので、インキ液滴を吐出させるのが困難となる。さらに、そのインキが印刷する相手の基材の上で拡がる可能性があるので、印刷画像の質が低下する。表面張力が50mN/mよりも高いときには、印刷する相手の基材を濡らすことができず、印刷する相手の基材の上でインキが拡がらない。
【0120】
好ましくは、インクジェットプリンター用インキが添加剤をさらに含んでいるが、そのような添加剤としては、たとえば以下のものが挙げられる:分散剤、沈降防止剤、吸湿剤、湿潤剤(クレーター防止または流動調節添加剤を含む)、殺虫剤、pH調節剤、可塑剤、UV安定剤、またはそれらの混合物。
【0121】
分散剤は、すべての固体の成分をインクジェット用インキの中に均質に分散させるのに役立つ。より詳しくは、真珠光沢顔料で起こりうるいかなる集塊も回避される。
【0122】
本発明によるインクジェットプリンター用インキの組成物は、分散剤を含んでいてもよい。有用な分散剤としては、通常の印刷インキ、特に、グラビア印刷インキ、オフセットインキ、凹版インキ、またはスクリーン印刷インキなどのようなインキ組成物の中で使用されるあらゆる一般的な分散剤が挙げられる。分散剤として市販の製品を使用することができる。その例としては、以下のものが挙げられる:Solsperse 20000、24000、30000、32000、32500、33500、34000、および35200(Avecia K.K.製)、またはDisperbyk−102、106、111、161、162、163、164、166、180、190、191、および192(BYK−Chemie GmbH製)。
【0123】
ある物質は、インクジェット用インキの中で微小板形状の効果顔料が沈降することを防ぐと言われている。それらの例としては以下のものが挙げられる:熱分解シリカと組み合わせたByk−405、変性尿素、たとえばByk−410もしくはByk−411、またはワックス、たとえば、Byk Ceramat 237、Ceramat 250、Cerafak 103、Cerafak 106、もしくはCeratix 8461。
【0124】
さらに好ましい実施態様においては、本発明のインクジェットプリンター用インキに湿潤剤が含まれている。
【0125】
湿潤剤は、印刷する相手の基材の濡れを改良するのに役立つ。湿潤剤もまた、印字ヘッドの機能にとって重要であるが、その理由は、内部構造、たとえば、チャンネル、フィルター、ノズル副室なども湿潤状態にあるからである。適切な湿潤剤の例としては以下のものが挙げられる:脂肪酸アルキルエーテル、アセチレン誘導体、フッ素化エステル、フッ素化ポリマー、またはシリコーン化合物。
【0126】
殺虫剤を本発明によるインクジェットプリンター用インキの中に組み入れて、微生物の増殖を防止することもできる。有用なものの例としては以下のものが挙げられる:ポリヘキサメチレンビグアニド、イソチアゾロン、イソチアゾリノン、たとえば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CIT)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)など、またはそれらの混合物。
【0127】
アンモニア、またはアミン、たとえばトリエタノールアミンもしくはジメチルエタノールアミンをインクジェットプリンター用インキに添加して、pHを調節することもできる。
【0128】
インクジェットプリンター用インキに添加するのに有用な可塑剤としては、たとえば以下のものが挙げられる:クエン酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステル、および高級アルコール。
【0129】
2,6−ジ−tert−ブチルフェノールは、本発明のインクジェットプリンター用インキに添加することが可能なUV安定剤の一例である。
【0130】
本発明のインクジェットプリンター用インキは、印刷する相手の各種の基材に適用することができる。基材は、以下のものからなる群より選択するのが好ましい:コート紙もしくは非コート紙もしくは板紙、ポリマー性基材(プラスチック)、金属、セラミック、ガラス、織物、皮革、またはそれらの組合せ。ポリマー性基材(プラスチック)、たとえばポリマーフィルム/シート(たとえばPVCまたはPEのフィルム/シート)からなる基材が最も好ましい。
【0131】
本発明によるインクジェットプリンター用インキは、UVシステムを除いて、各種の可能なインクジェット技術を用いて使用することができる。本発明のインクジェット用インキは、各種のインクジェット印刷システムにおいて使用することができる。インクジェット印刷システムは、一方では、液滴を静電的に荷電して偏向させるシステム(連続インクジェットプロセス)であってよい。さらには、圧電素子によって発生させた圧力波によって液滴が形成されるインクジェット印刷システム(ドロップ−オン−デマンドプロセス)を使用することも可能である。
【0132】
本発明のインクジェットプリンター用インキは、連続インクジェット技術(CIJ)、または衝撃もしくは圧電ドロップ−オン−デマンドインクジェット技術(DOD)を用いて使用するのが好ましい。
【0133】
良好な印刷品質を確保するためには、標準として、少なくとも300dpiの解像度が期待される。
【0134】
本発明によって取り組まれる課題は、さらに本発明のインクジェットプリンター用インキを用いて印刷された物品によっても解決される。より具体的には、その物品には、上述の基材、たとえば、フィルム、紙、板紙、厚紙、ガラス、セラミック、プレート、金属シート、皮革などが含まれる。
【0135】
以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明がこれらによって限定を受けるものではない。
【0136】
A.インクジェットプリンター用インキ配合
3種のインキ配合を開発した。使用した顔料/バインダーの比率に応じて、それらは、本発明実施例または比較例となる。
【0137】
インクジェットプリンター用インキ配合1:
−プロピレングリコールジアセテート: 37重量%
−ブチルグリコールアセテート: 20重量%
−ジプロピレングリコールジメチルエーテル: 12.7重量%
−酢酸エトキシプロピル: 20重量%
−Fluorad−FC4430: 0.3重量%
−N200エチルセルロース: 0.4重量%
−アルミニウム効果顔料分散体:** 12重量%
(アルミニウム効果顔料分散体の全重量を基準にして10重量%のアルミニウム含量、Eckart)
N200エチルセルロースは、116000g/molの分子量Mを有していた。DIN 55672のパート1に従い、溶媒としてのTHF、ポリスチレン標準、および長さがそれぞれ30cm、内径がそれぞれ7.8mm、細孔径がHR5、HR4およびHR2である3本のカラム(Waters GmbH)を使用して、GPCによって求めた。
** WO 2009/083176 A1の実施例2の記載に従って、粉砕により所望の粒子サイズ(D50=1.8μm)としたPVDアルミニウム効果顔料。
【0138】
インクジェットプリンター用インキ配合2:
−溶媒混合物: 87.3重量%〜65.7重量%
以下のものからなる
プロピレングリコールジアセテート 34.4重量%
1−ブトキシ−2−プロパノール 40.4重量%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル 13.7重量%
酢酸エトキシプロピル 11.5重量%
−Fluorad−FC4430: 0.3重量%
−各種バインダー:(表2参照) 0.4重量%〜4.0重量%
−アルミニウム効果顔料分散体: 12重量%〜30重量%
(アルミニウム効果顔料分散体の全重量を基準にして10重量%のアルミニウム含量、Eckart)
インキ配合1に同じ。
アルミニウム効果顔料分散体の濃度が12%を超えるか、および/またはバインダー濃度が0.4%を超える場合には、その組成が変化しないように注意しながら、溶媒混合物の濃度を相応に適応させる。
【0139】
インクジェットプリンター用インキ配合3:
−溶媒混合物: 68.75重量%
以下のものからなる
ジプロピレングリコールジメチルエーテル 52.4重量%
1−ブトキシ−2−プロパノール 47.6重量%
Byk340: 0.25重量%
−各種バインダー:(表3参照) 1重量%〜8.2重量%
−アルミニウム効果顔料分散体: 30重量%
(アルミニウム効果顔料分散体の全重量を基準にして10重量%のアルミニウム含量、Eckart)
インキ配合1に同じ。
バインダーの濃度が1%を超える場合には、溶媒の濃度を相応に適応させるが、溶媒混合物の組成が変化しないように注意すること。
【0140】
特に断らない限り、すべての項目は、それぞれインクジェットプリンター用インキの全重量を基準にした重量%である。
【0141】
それぞれのインクジェットプリンター用インキは、100gの量で作製した。
【0142】
B.使用例:
使用例1a)〜c):
セクションAからのインクジェットプリンター用インキ1〜3を、Mimaki製のデジタル大型プリンター(JV3−160S型)を使用して印刷した。このタイプのプリンターでは慣例となっている100%領域印刷試験を使用して、各種の一般的な基材の上に50×400mmのストリップを作製した。Byk Gardner製のMicro−Tri−Gloss光沢メータを使用し、60度の測定角で、その印刷物の光沢値を測定した。拭い抵抗性は手で試験して、3段階スケールで評価した。
【0143】
プリンターの試験メニューでは以下の設定を選択した。
最大インキ塗布比率:100%
解像度:720dpi
前進ステップ:16パス
印字ヘッド移動方向:Bi
前進速度:高速=off、すなわち、常用速度
【0144】
ドライヤーデバイスの温度は、取入れ領域では50℃、印字領域では45℃に設定した。
【0145】
【表1】
【0146】
すべての実施例が、高い光沢値と、可〜良の拭い抵抗性を示す。Sihl Maranello Photo Paperは多孔質な基材であるが、それに対して他の二つの基材は多孔性を有してはいない。したがって、実施例1cの場合においては、他の実施例の場合よりも、実際により高い効果顔料/バインダーの比率が印刷物中に存在しているであろう。実施例1cの光沢がより高いのは、恐らくはこのためであろう。
【0147】
驚くべきことには、しかしながら、実施例1aと1bの印刷物も、高い光沢と、受容可能な拭い抵抗性を有している。
【0148】
使用例2a)および2b):
インクジェットプリンター用インキ配合2を用い、各種のバインダーおよび各種の顔料/バインダー濃度を選択することによって、各種の比較例および本発明実施例を作製した(表2参照)。これらの例を、Mimaki製のデジタル大型プリンター(JV3−160S型)を使用して印刷した。
【0149】
商業的に慣用されている設定を用いて、各種の割合のメタリックカラーを特色とする混合ポスターモチーフを印刷した。
【0150】
実際には、2種の典型的なプリンター設定を選択した。
【0151】
a) b)
解像度 720dpi 360×540dpi
前進ステップ 8パス 6パス
前進速度 高速 高速
印字ヘッド移動方向 Bi Bi
【0152】
1日に数時間、数週間にわたってプリンターを運転したが、操作上の不具合は起きなかった。このことは、印字ヘッドの閉塞が無かったということを意味している。
【0153】
インクジェットプリンター用インキ配合2を用い、各種のバインダーおよび各種の顔料/バインダー濃度を選択することによって、各種の比較例および本発明実施例をさらに作製し、基材としてのIgepa Masterscreen permanent(粘着性ビニルフィルム)の上に、使用例1の条件下で印刷した。この基材は多孔質ではない。
【0154】
【表2】
【0155】
効果顔料/バインダーの比率が低い比較例は一貫して、本発明実施例2aおよび2bよりも低い光沢値を有している。実際、光沢値は、効果顔料/バインダーの比率にほぼ直線的に比例して増加しているように見える。驚くべきことには、実施例2bの機械的性質は、バインダーの割合が低いにも関わらず受容可能であった。
【0156】
使用例3:
インクジェットプリンター用インキ配合3を用い、各種のバインダーおよび各種の顔料/バインダー濃度を選択することによって、各種の比較例および本発明実施例を作製した(表3参照)。これらのインクジェットプリンター用インキを、それぞれ、固定印字ヘッドを使用して印刷した。
【0157】
それらのインキは、まず容器に充填し、そこからインクジェット印字ヘッドのインキ供給システムの中にポンプ輸送した。印字ヘッドの温度を30℃に設定して、必要とされる粘度の8〜20mPa・sを得た。
【0158】
印字ヘッド:Dimatix Spectra Nova PH256/80AAA
インキ供給システム:Spectra Apollo II印字ヘッドサポートキット
条件: ヘッド部温度、40℃
液滴発生振動数、5kHz
解像度、300dpi
操作電圧、100V
波形、6/2/2μs
試験の形態:100%ジェットパターン、全ノズル、15分間連続操作
【0159】
いずれの場合においても、ノズルトラブルは見出されなかった。
【0160】
それらのインクジェットプリンター用インキを、さらに、非多孔質な基材としてのIgepa Master Screen粘着性ビニルに印刷した。
【0161】
【表3】
【0162】
Igepa Master Screen粘着性ビニルの上への印刷の光沢値は、320であった。Mimakiシステムに比較して光沢値が概して低いのは、解像度が顕著に低く、かつDimatix印字ヘッドの液滴容積が大きい(Dimatix:80pL、Mimaki:4pL)ためである。
【0163】
比較例3aおよび3bでは、かなり低い光沢値が見られるが、これらは、はるかに低い顔料/バインダーの比率を使用したものである。