特許第5764282号(P5764282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764282
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】低表面粗度鋳造ストリップ製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/06 20060101AFI20150730BHJP
   B21B 1/46 20060101ALI20150730BHJP
   B22D 11/00 20060101ALI20150730BHJP
   B22D 11/108 20060101ALI20150730BHJP
   B22D 11/124 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   B22D11/06 360C
   B22D11/06 330B
   B22D11/06 370A
   B21B1/46 B
   B22D11/00 A
   B22D11/108 Z
   B22D11/124 Q
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2008-555568(P2008-555568)
(86)(22)【出願日】2007年2月27日
(65)【公表番号】特表2009-528168(P2009-528168A)
(43)【公表日】2009年8月6日
(86)【国際出願番号】AU2007000227
(87)【国際公開番号】WO2007095695
(87)【国際公開日】20070830
【審査請求日】2010年1月15日
【審判番号】不服2013-23524(P2013-23524/J1)
【審判請求日】2013年12月2日
(31)【優先権主張番号】11/362,682
(32)【優先日】2006年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503093305
【氏名又は名称】ニューコア・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター ブレッジ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジェイ オンドロヴィック
【合議体】
【審判長】 鈴木 正紀
【審判官】 河本 充雄
【審判官】 河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−508942(JP,A)
【文献】 特開2000−61588(JP,A)
【文献】 特開平8−300108(JP,A)
【文献】 特開2000−351002(JP,A)
【文献】 特開2003−170207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00,
B21B 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形フェライト、針状フェライト、ウイドマンステッテン、ベイナイト及びマルテンサイトからなる群から選択された少なくとも一つの微構造を有し、スケール厚が10ミクロン未満でスケールを含んでも表面粗度が1.5ミクロンRa未満薄鋳造ストリップ製造方法であって、
a)間にロール間隙を形成する横方向に位置決めされた鋳造機ロールを有する双ロール鋳造機及び該双ロール鋳造機に隣接し作業ロールとバックアップロールとを有する熱間圧延機を組立て、
b)双ロール鋳造機の鋳造ロール間のロール間隙から薄鋳造ストリップを形成し、
c)熱間圧延機のバックアップロールに油水混合物を当て、
d)油水混合物がバックアップロールから作業ロールに当てられつつ1100℃未満の温度で薄鋳造ストリップを熱間圧延機に通し、
e)鋳造ロールから熱間圧延機を通る薄鋳造ストリップを酸素5%未満の雰囲気で包んで、多角形フェライト、針状フェライト、ウイドマンステッテン、ベイナイト及びマルテンサイトからなる群から選択された少なくとも一つの微構造を有し、スケール厚が10ミクロン未満でスケールを含んでも表面粗度が1.5ミクロンRa未満である薄鋳造ストリップを形成する、
という諸段階からなる方法。
【請求項2】
スケール厚が10ミクロン未満でスケールを含んでも表面粗度を1.5ミクロンRa未満に減らした薄鋳造鋼ストリップの製造方法であって、
a)間にロール間隙を有する一対の鋳造ロールを備えたストリップ鋳造機を組立て、
b)ロール間隙上方の鋳造ロール間に鋳造溜めを形成でき、ロール間隙の端に隣接した側部堰で前記鋳造溜めを囲い込む、金属送給システムを組立て、
c)ストリップ鋳造機に隣接してバックアップロール及び作業ロールを有し、両者間に間隙を形成する作業表面により高温ストリップが圧延される、熱間圧延機を組立て、
d)バックアップロールに隣接して位置決めされ、油水混合物をバックアップロールに提供できる噴霧ノズルを組立て、
e)対の鋳造ロール間に溶鋼を導入して、鋳造ロールの鋳造表面に支持され前記側部堰により囲い込まれた鋳造溜めを形成し、
f)鋳造ロールを相互方向に回転させることにより鋳造ロール表面に凝固金属殻を形成し、該凝固殻から鋳造ロール間のロール間隙を通して鋼ストリップを鋳造し、
g)ストリップが熱間圧延機に入るときにバックアップロールに油水混合物を噴霧することにより油水混合物を作業ロールに当て、
h)熱間圧延機の作業ロール間で鋳造ストリップを圧延して、スケール厚が10ミクロン未満でスケールを含んでも1.5ミクロンRa未満の表面粗度を有する鋳造ストリップを製造する、
という諸段階からなる方法。
【請求項3】
噴霧ノズルが作業ロールの上流に位置した請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双ロール鋳造機によって製造される低表面粗度鋳造ストリップ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
双ロール鋳造機においては、冷却されて相互方向に回転する一対の水平鋳造ロール間に溶融金属が導入されることにより、動いているロール面上に金属殻が凝固し、ロール間のロール間隙にて合わされて凝固ストリップ品を生み出し、それが鋳造ロール間のロール間隙から下方に送給される。
【0003】
本明細書では「ロール間隙」という語を鋳造ロール同士が最接近される領域全般を指すものとして用いる。溶融金属は取鍋から、ロール間隙上方に配されタンディッシュとコアノズルとで構成された金属送給システムを介し注がれ、ロール間隙上方でロール鋳造面に支持されロール間隙長さ方向沿いに延びる溶融金属鋳造溜めを形成できる。この鋳造溜めを通常囲い込むのが、溢流しないよう鋳造溜めの両端を堰き止めるためロール端面に摺動係合保持される耐火側部板又は側部堰である。
【0004】
双ロール鋳造機で鋼ストリップを鋳造すると、ストリップは1400℃台もしくはそれ以上の非常な高温でロール間隙を出る。通常の大気に晒されると、ストリップは斯かる高温での酸化により非常に急速にスケーリングを被る。従って、シールした封入部を鋳造ロール下方に設けて高温ストリップを受取る。ストリップ鋳造機からのストリップが通る封入部はストリップの酸化を妨げる雰囲気を含んでいる。酸化を妨げる雰囲気は、アルゴン又は窒素などの不活性ガス又は還元ガスであり得る燃焼排ガス等の非酸化ガスを噴射することで創り出すことができる。若しくは、ストリップ鋳造機の操業中に酸素を含む雰囲気が侵入しないよう封入部をシールしてもよい。次いで、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、ストリップの酸化を許してシールされた封入部から酸素を抜き出すことにより鋳造の初期相で封入部内の雰囲気の酸素含量を減少させる。
【0005】
双ロール鋳造機で製造された鋳造ストリップを、ストリップが鋳造機から出てきた後、熱間圧延機で熱間圧延して薄ストリップを成形することは公知である。圧延機と双ロール鋳造機との組み合わせは、ストリップに所望断面プロフィールを提供するのに必要と一般に理解されている。
【特許文献1】アメリカ特許第5,762,126号
【特許文献2】アメリカ特許第5,960,855号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、80m/分の標準鋳造速度で鋳造されたストリップを熱間圧延機により熱間圧延機でストリップが16%圧下されるよう熱間圧延すると表面粗度が比較的高い6〜8ミクロンRaで表面の微小割れが生じ得ることが判明している。図1は、双ロール鋳造機と同じラインの熱間圧延機から出たそのような鋳造・熱間圧延ストリップの典型的な表面粗度を示す顕微鏡写真である。圧延方向は左から右であって、顕微鏡写真はストリップ表面(20〜30μm深さ)上の顕著なラッピング(lapping)を示している。この表面粗度の理由は、ストリップが作業ロール表面に溶着することによるストリップ表面での剪断、作業ロール表面のテクスチャがストリップ表面に刻印されること及び/またはその他要因によるものであり得る。更にまた、鋳造ストリップの表面上の微小割れは問題であるとされてきた。ストリップの鋳造速度と熱消費率を下げることにより微小割れを減らすことが可能であったが、製造中にこれらの条件を再現するのは非経済的であった。
【0007】
高温ストリップ圧延機製品の微構造はほぼ100%の等軸フェライトである。しかしながら、双ロール鋳造機で鋳造ストリップを造る場合、従来経験しているのは微構造が多角形フェライト、針状フェライト及びウイドマンステッテン(Widmanstatten)の粗粒であり、微構造は30〜60%が多角形フェライト、70〜40%がウイドマンステッテン及び針状フェライトというのが典型的であった。この微構造では、典型的な表面粗度は4〜7ミクロンRaだった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
多角形フェライト、針状フェライト、ウイドマンステッテン、ベイナイト及びマルテンサイトからなる群から選択された少なくとも一つの微構造を有し、スケール厚が10ミクロン未満でスケールを含んでも表面粗度が1.5ミクロンRa未満薄鋳造ストリップ製造方法が提供され、該方法は以下の段階からなる。
a)間にロール間隙を形成する横方向に位置決めされた鋳造機ロールを有する双ロール鋳造機及び該双ロール鋳造機に隣接し作業ロールとバックアップロールとを有する熱間圧延機を組立て、
b)双ロール鋳造機の鋳造ロール間のロール間隙から薄鋳造ストリップを形成し、
c)熱間圧延機のバックアップロールに油水混合物を当て、
d)油水混合物がバックアップロールから作業ロールに当てられつつ1100℃未満の温度で薄鋳造ストリップを熱間圧延機に通し、
e)鋳造ロールから熱間圧延機を通る薄鋳造ストリップを酸素5%未満の雰囲気で包んで、多角形フェライト、針状フェライト、ウイドマンステッテン、ベイナイト及びマルテンサイトからなる群から選択された少なくとも一つの微構造を有し、スケール厚が10ミクロン未満でスケールを含んでも表面粗度が1.5ミクロンRa未満である薄鋳造ストリップを形成する。
【0018】
スケール厚が10ミクロン未満でスケールを含んでも表面粗度を1.5ミクロンRa未満に減らした薄鋳造鋼ストリップの製造方法も提供され、該方法は以下の段階からなる。
a)間にロール間隙を有する一対の鋳造ロールを備えたストリップ鋳造機を組立て、
b)ロール間隙上方の鋳造ロール間に鋳造溜めを形成でき、ロール間隙の端に隣接した側部堰で前記鋳造溜めを囲い込む、金属送給システムを組立て、
c)ストリップ鋳造機に隣接してバックアップロール及び作業ロールを有し、両者間に間隙を形成する作業表面により高温ストリップが圧延される、熱間圧延機を組立て、
d)バックアップロールに隣接して位置決めされ、油水混合物をバックアップロールに提供できる噴霧ノズルを組立て、
e)対の鋳造ロール間に溶鋼を導入して、鋳造ロールの鋳造表面に支持され前記側部堰により囲い込まれた鋳造溜めを形成し、
f)鋳造ロールを相互方向に回転させることにより鋳造ロール表面に凝固金属殻を形成し、該凝固殻から鋳造ロール間のロール間隙を通して鋼ストリップを鋳造し、
g)ストリップが熱間圧延機に入るときにバックアップロールに油水混合物を噴霧することにより油水混合物を作業ロールに当て、
h)熱間圧延機の作業ロール間で鋳造ストリップを圧延して、スケール厚が10ミクロン未満でスケールを含んでも1.5ミクロンRa未満の表面粗度を有する鋳造ストリップを製造する。
【0019】
前記方法において、前記噴霧ノズルは作業ロールの上流に位置させることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
例示の鋳造・圧延設備を構成するのは全体に参照番号11を付した双ロール鋳造機であり、そこで製造された薄鋳造鋼ストリップ12が遷移路内を通り、ガイドテーブル13を渡ってピンチロールスタンド14に至る。ピンチロールスタンド14を出た後、薄鋳造ストリップ12はバックアップロール16と上下作業ロール16A,16Bで構成される熱間圧延機15に入り、ストリップ厚が減らされる。圧延機15を出たストリップ12は、ランアウトテーブル17上を通って水噴流18により強制冷却されることができ、次いで、一対のピンチロール20Aで構成されたピンチロールスタンド20を通って巻取器19に至る。
【0026】
双ロール鋳造機11を構成する主機械フレームが支持する一対の横方向に位置決めされた鋳造ロール22は間にロール間隙を形成する鋳造面22Aを有する。鋳造操業中に溶融金属は 取鍋(図示せず)からタンディッシュ23へと供給され、耐火シュラウドを経て取外し可能なタンディッシュ25(分配容器または遷移ピースとも呼ばれる)へと、更には、ロール間隙上方の鋳造ロール22間の金属送給ノズル28(コアノズルとも呼ばれる)へと至る。
【0027】
溶鋼はタンディッシュ23から耐火シュラウド出口を経て取外し可能なタンディッシュ25に導入される。タンディッシュ23はストッパロッドとスライドゲート弁(図示せず)とを備えていてシュラウド出口を選択的に開閉し、タンディッシュ23から鋳造機への溶融金属流を有効に制御する。溶融金属は取外し可能なタンディッシュ25から出口に流れ、オプションで送給ノズル28へと流れる。
【0028】
従って、鋳造ロール22に送給される溶融金属が、ロール間隙上方で鋳造ロール面22Aにより支持される鋳造溜めを形成する。この鋳造溜めをロール端で囲い込む一対の側部堰又は側部板は、側部堰に接続された流体圧シリンダユニットで構成される一対のスラスタ(図示せず)によりロール端に当てられる。鋳造溜めの上面(一般に「メニスカス」レベルと呼ばれる)は送給ノズル28の下端より上に来ることで、送給ノズル下端が鋳造溜め内に浸漬してもよい。
【0029】
鋳造ロール22は冷却剤供給源(図示せず)により内部的に水冷され、駆動装置(図示せず)により相互方向に回転駆動されるので、動いている鋳造ロール表面上に殻が凝固してロール間隙にて互いに合わされて薄鋳造ストリップ12を造り、それが鋳造ロール間のロール間隙から下方に送給される。
【0030】
双ロール鋳造機11下方では、鋳造鋼ストリップ12がシールされた封入部10内を通ってガイドテーブル13に至り、ガイドテーブルによりストリップはピンチロールスタンド14へとガイドされてから、シールされた封入部10の外に出る。封入部10のシールは完全でなくてよいが、以下で述べるように封入部内の雰囲気と封入部内での鋳造ストリップに対する酸素のアクセスを制御可能にするのに適切なものとする。シールされた封入部10を出た後、ストリップはピンチロールスタンド14の後で、熱間圧延機15を含む更なるシールされた封入部を通ることができる。
【0031】
封入部10は複数の別々の壁部を種々のシール接続部でつなぎ併せて連続する封入部壁を形成することにより形成される。これら接続部を構成するのは双ロール鋳造機にて鋳造ロール22を囲む第1壁部41と、第1壁部41の下方に延びて開口を形成し、スクラップ箱容器40の上縁部とシール係合する壁封入部42である。スクラップ箱容器40と封入部壁42とのシール43は封入部壁42の開口の周りでナイフ・砂シールにより形成でき、シールは封入部壁42に対するスクラップ箱容器40の上下動により確立・解除できる。シール43は、スクラップ箱容器40を上昇させ、ナイフフランジを溝の砂に進入させてシールを確立させることにより形成される。
【0032】
このシール43はスクラップ箱容器40を鋳造機から離れたスクラップ排出位置(図示せず)へと動かそうとして作動位置から降下させることにより解除できる。スクラップ箱容器40は車輪46付きの台車45に取付けられてレール47上を走行するので、スクラップ箱容器はスクラップ排出位置へと移動することができる。台車45に備えた一組の動力付きスクリュージャッキ51は、スクラップ箱容器40を封入部壁42から離間した降下位置から、ナイフフランジが砂に進入して両者間にシール43を形成する上昇位置へと作動可能である。
【0033】
シールされた封入部10は更に、ガイドテーブル13の周りに配し、一対のピンチロール50を含むピンチロールスタンド14のフレームに接続される第3壁部61で構成することができる。封入部10に配した第3壁部61は摺動シールによりシールされる。
【0034】
封入部壁部41、42,61の大半は耐火レンガでライニングされていてよい。また、スクラップ箱容器40は耐火レンガ又は不定形耐火ライニングでライニングされていてよい。このようにして、封入部10全体が鋳造作業前にシールされ、それによりストリップが鋳造ロール22からピンチロールスタンド14を経て熱間圧延機15に至るにつれての薄鋳造ストリップ12への酸素アクセスを制限する。
【0035】
初期に、ストリップはストリップ初期部に重厚なスケールを形成することで封入部10から全酸素を抜き取ることができる。しかしながら、シールされた封入部10は周囲の雰囲気から封入部への酸素進入を制限してストリップが取り込み得る酸素量を減らす。従って、初期立上げ期以後、封入部10の酸素含量は使い尽くされたままであるので、ストリップ12酸化のために使える酸素量が制限される。このようにして、連続的に還元又は非酸化ガスを封入部に送給する必要なしにスケールの形成が10ミクロン未満の厚みに制御される。勿論、還元又は非酸化ガスを封入部壁を介して供給してもよい。しかしながら、立上げ期の重厚なスケーリングを避けるためには、鋳造開始直前に封入部10を浄化して封入部10内の初期酸素レベルを下げることができ、それにより封入部を通過するストリップを酸化させる酸素との相互作用の結果として封入部内での酸素レベルが安定するまでの時間が減らされる。例えば、一例として、封入部は窒素ガス等で好都合に浄化できる。初期酸素含量を5%程のレベルに減少させることにより、初期立上げ相でさえも封入部10からの出口でのストリップのスケーリングが約10ミクロン〜17ミクロンに制限されることが判明している。本発明の実施例では、連続鋳造において薄鋳造鋼ストリップのスケール厚が約10ミクロン未満であるか、またはスケール厚が7ミクロン未満若しくは4ミクロン未満であり得る。
【0036】
鋳造作業の始めに、鋳造状態が安定化するまで短い長さの不完全ストリップが造られる。連続鋳造が確立すると、鋳造ロール22はわずかに離間されてから再び合わせられて、このストリップ先端をオーストラリア特許第646,981号やアメリカ特許第5,287,912号に記述されているように、切り離して後続の薄鋳造ストリップ12のきれいな頭端を形成する。不完全な材料は鋳造機11の下方に位置したスクラップ箱容器40に落下し、このとき、図3に示すように通常はピボット39から鋳造機の片側に垂下している旋回エプロン38が鋳造機出口を横切って旋回して薄鋳造ストリップ12のきれいな頭端をガイドテーブル13へとガイドし、ストリップがピンチロールスタンド14に供給される。次いで、エプロン38が 図3に示すような垂下位置へと戻されることによりストリップ12が図2及び図3に示すように鋳造機下側でループ36に垂下できてから、その後ストリップはガイドテーブル13へと通る。ガイドテーブル13を構成する一連のストリップ支持ロール37はピンチロールスタンド14に至るまでストリップを支持する。ロール37は一列に配されてピンチロールスタンド14から後方に鋳造機下側へと下方に湾曲して延び、ループ36からのストリップを滑らかに受けてガイドする。双ロール鋳造機は、アメリカ特許第5,184,668号及び第5,277,243号、又はアメリカ特許第5,488,988号に詳細に示され、記述されている種類のものであってよい。本発明の一部を構成しない構造的詳細についてはこれらの特許を参照することができる。
【0037】
ピンチロールスタンド14を構成する一対のピンチロール50は熱間圧延機15により加えられる張力に応答する。従って、ストリップは鋳造ロール22からガイドテーブル13を経てピンチロールスタンド14に至るまでループ36状に垂下でき、ピンチロール50は自由垂下するループと処理ライン下流部でストリップに加えられる張力との間の張力バリヤを提供する。ピンチロール50は送りテーブル13上のストリップの位置を安定させることもして、ストリップを熱間圧延機15に送給する。
【0038】
ピンチロールスタンド14から、薄鋳造ストリップ12が、上作業ロール16Aと下ロール16Bで構成される熱間圧延機15に送られる。図4に示すように、本発明の好適実施例は、バックアップロール16の下流面に油水混合物を噴霧することからなる。油溜め100にはヒータ101が設けられて油をほぼ50℃に維持しているが、加熱は必須ではない。加熱された油は定容量型ポンプ102により油移送ライン103を介してスタテックミキサ104へ移送され、そこで加熱された油が水と混合される。
【0039】
水が水源110から水ストリップ冷却ヘッダ111と圧延機ロール供給ライン112に供給される。水の第1部分は噴霧ヘッダ18へ供給されて、冷却水の供給で熱間圧延機15から出た後の高温ストリップ12を冷却する。典型的には、水圧は圧力調整器113を通ることで減らされて約40ポンド/平方インチになる。約10〜30ガロン/分(37.9〜113.6リットル/分)の水が各スタテックミキサ104に供給され、約4ガロン/時(15.1リットル/時)の加熱された油と混合される。
【0040】
次いで、混合された油と水は油水ノズル71(噴霧ノズル)を介してバックアップロール16の下流面(薄鋳造鋼ストリップ12の移動方向を矢印120で示す)に提供される。若しくは、油水混合物はロール間隙域の鋳造ストリップ12に提供してもよいし、バックアップロール16上流面または作業ロール16A,16Bに提供してもよい。
【0041】
熱間圧延機15における薄鋳造鋼ストリップ12の温度は好ましくは1100℃未満であり、更に好ましくは1050℃未満であり、最も好ましくは900℃未満である。又、好ましくは、熱間圧延機15における薄鋳造鋼ストリップの温度は400℃より大である。
【0042】
スタテックミキサ104は標準タイプの、従来得られる装置である。油と水を良好にかき混ぜることができるのなら他の型のミキサを用いてもよい。
【0043】
一つの実施例では、油水混合物は5〜30ガロン/分(18.9〜113.6リットル/分)、40ポンド/平方インチの割でバックアップロール16に送給される。本実施例において、油水混合物は典型的には約10〜20ガロン/分(37.9〜75.7リットル/分)でバックアップロールに送給されるが、15ガロン/分(56.8リットル/分)が適度な設定である。油水混合物は油分が5%未満であってもよく、一つの実施例では容積で4部の油と600部〜1800部の水からなる。油は混合物の2%未満若しくは1%未満でよい。油は通例は15ガロン/時(56.8リットル/時)未満の水と混合されるよう提供される。
【0044】
図5は、本発明を用いて造られた薄鋳造ストリップである鋼ストリップ12のミクロン単位での平均表面粗度(Ra)を示す。図5からわかるように、平均表面粗度は著しく低く、上記したように油水混合物を加えたことで約0.66〜約1.5ミクロンである。
【0045】
一つの実施例では、本発明は上記したような油水を用いて80m/分を超える割で薄鋳造鋼ストリップを製造する。
【0046】
本発明を特定の実施例について記述してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更を行うことができ、同等物の置き換えができることを当業者は理解するであろう。加えて、本発明の範囲を逸脱することなく特定の条件又は材料を本発明の教示に適応させるため多くの改変を行うことができる。従って、本発明は開示した特定の実施例に限定されるものではなく、添付した請求項の範囲内にある全ての実施例を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】熱間圧延した後の鋳造ストリップの典型的な表面粗度を示す顕微鏡写真である。
図2】鋳造ストリップの形状を制御する熱間圧延機を有する薄ストリップ鋳造プラントを示す概略図である。
図3図2の薄ストリップ鋳造プラントの鋳造機の拡大側断面図である。
図4】油水混合物を熱間圧延機のロールに加えるシステムを示す概略図である。
図5】本発明を用いて造られた薄鋳造鋼ストリップ、シーケンス2613の平均表面粗度を示すグラフである。
図1
図2
図3
図4
図5