【課題を解決するための手段】
【0041】
このため本発明(請求項1)である真空ポンプは、回転翼及び円筒部と磁性体を有する回転体と、該回転体に固設されたロータ軸とからなる回転部と、前記回転体の温度の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルが配設された非回転部と、前記センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記温度の計測信号を出力するセンサ回路とが配設された制御装置と、前記被変調電圧の周波数特性を、インダクタンスの変化により変化し、前記高周波電圧の周波数を含む周波数領域での変更を可能とする周波数特性可変手段を備えて構成した。
また、本発明(請求項2)である真空ポンプは、回転翼及び円筒部と導電体を有する回転体と、該回転体に固設されたロータ軸とからなる回転部と、前記回転体の温度の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルが配設された非回転部と、前記センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記温度の計測信号を出力するセンサ回路とが配設された制御装置
と、前記被変調電圧の周波数特性の変更を可能とする周波数特性可変手段を備えて構成し
た。
【0042】
真空ポンプが、被変調電圧の周波数特性の変更を可能とする周波数特性可変手段を備えることにより、被変調電圧の周波数特性を、その曲線の傾きが大きい周波数帯域に、発振器が供給する高周波電圧の周波数すなわちキャリア周波数が入るように調整することができる。これにより、センサコイル又はそのコアの位置を調整することなく、良好なセンサ感度を得ることができる。
【0043】
さらに、本発明(請求項
3)である真空ポンプは、前記周波数特性可変手段が可変コンデンサ及び/又は可変抵抗を備え、該可変コンデンサ及び/又は該可変抵抗が前記センサコイルに接続されたことを特徴とする。
【0044】
センサコイルに可変コンデンサや可変抵抗を接続し、この静電容量や抵抗を調整することにより、被変調電圧の周波数特性を調整することが可能になるとともに、安価に周波数特性可変手段を実現することができる。
可変コンデンサ又は可変抵抗としては、例えば、可動片を回転若しくはスライドさせて連続的あるいは段階的に静電容量又は抵抗値を変化させる形式のものや、センサコイルにセレクトスイッチを介して静電容量の異なる複数のコンデンサ又は抵抗値の異なる複数の抵抗を接続し、このセレクトスイッチでセンサコイルに接続するコンデンサ又は抵抗を切り替える構成、コンデンサ又は抵抗を着脱可能に接続し、好適な静電容量のコンデンサ又は好適な抵抗値の抵抗と交換する構成などがあげられる。
【0045】
さらに、本発明(請求項
4)である真空ポンプは、前記高周波電圧の周波数の変更を可能とする発振周波数可変手段を備えて構成した。
【0046】
発振器が供給する高周波電圧の周波数の変更を可能とする発振周波数可変手段を備えることにより、高周波電圧の周波数すなわちキャリア周波数を、被変調電圧の周波数特性の曲線の傾きが大きい周波数帯域に入るように調整することができる。これにより、センサコイル又はそのコアの位置を調整することなく、良好なセンサ感度を得ることができる。
【0047】
さらに、本発明(請求項
5)である真空ポンプは、前記計測信号の基準値信号を生成する基準値信号生成手段と、前記計測信号と前記基準値信号の値の差の信号又は該差を増幅した信号を出力するセンサ出力差動手段を備えて構成した。
【0048】
さらに、本発明(請求項
6)である真空ポンプは、前記基準値信号の値の変更を可能とする基準値信号可変手段を備えて構成した。
【0049】
基準値信号生成手段が、計測信号の基準値信号を生成し、センサ出力差動手段が、計測信号と基準値信号の値の差の信号又はこの差を増幅した信号を出力することにより、物理量の基準値信号の値より低い値を計測対象外とし、
真空ポンプの出力信号の全範囲を、物理量の基準値信号の値以上の値の範囲に対応させることができる。
【0050】
これにより、センサ感度が向上し、計測信号を増幅器で増幅する場合にも、計測信号の不要な値を増幅することはないので消費電力を低減でき、出力飽和電圧の高い増幅器も必要としないので、装置の高コスト化を緩和することもできる。
【0051】
基準値信号生成手段としては、例えば、コンデンサ又は抵抗を回路素子とする電気回路があげられる。この場合には、コンデンサ又は抵抗の端子間電圧を、基準値信号とすることができる。
【0052】
また、基準値信号生成手段が、基準値信号の値の変更を可能とする基準値信号可変手段を備えることにより、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイルのインダクタンス、センサ回路と発振器の特性のばらつきなどによる物理量の計測対象範囲の設定誤差を補正したり、計測条件などに応じて、物理量の計測対象範囲を調整したりすることができる。
【0053】
さらに、本発明(請求項
7)である真空ポンプは、前記基準値信号可変手段
が可変抵抗を備えたことを特徴とする。
【0054】
基準値信号生成回路が、例えばコンデンサ又は抵抗を備えて構成され、このコンデンサ又は抵抗の端子間電圧を基準値信号とする場合には、このコンデンサ又は抵抗の少なくとも一部を可変コンデンサ又は可変抵抗とする。これにより、安価に基準値信号可変手段を構成することができる。
【0055】
さらに、本発明(請求項
8)である真空ポンプは、前記センサ出力差動手段が、前記計測信号と前記基準値信号の値の差の信号の増幅率の変更を可能とする差信号増幅率可変手段を備えたことを特徴とする。
【0056】
センサ出力差動手段が、計測信号と基準値信号の値の差の信号の増幅率の変更を可能とする差信号増幅率可変手段を備えることにより、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイルのインダクタンス、センサ回路と発振器の特性のばらつきなどによりセンサ感度が変化しても、適切な感度に調整することができる。
【0058】
さらに、本発明(請求項
9)である真空ポンプは、前記被変調電圧に基づく信号の前記回転体の変位の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタ手段を備え、前記フィルタ手段を介して前記計測信号を出力することを特徴とする。
【0059】
一般に、被計測体の温度は、被計測体の位置より低い周波数で変動する。
真空ポンプが、被変調電圧に基づく信号の所定の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタ手段を備え、このフィルタ手段を介して計測信号を出力することにより、温度の計測信号に含まれる被計測体の位置の変動による誤差を低減することができる。このフィルタ手段としては、後述する磁気軸受装置や真空ポンプにおいては、例えば、これらの回転体若しくは回転部の回転速度周波数より低い周波数を遮断周波数とするローパスフィルタなどがあげられる。
【0060】
さらに、本発
明である磁気浮上装置は
、物理量計測装置を搭載した磁気浮上装置であって、該磁気浮上装置が、磁力によって浮上支持され、前記磁性体又は前記導電体を有する浮上部と、前記磁力を生成する磁石を有し、前記センサコイルが配設された非浮上部と、前記発振器が配設された制御装置を備えて構成し
てもよい。
【0061】
これにより、上記発明の物理量計測装置の効果を奏する磁気浮上装置を提供することが可能になる。
【0062】
さらに、本発
明である磁気浮上装置は、前記周波数特性可変手段が前記非浮上部に配設されたことを特徴と
してもよい。
【0063】
さらに、本発
明である磁気浮上装置は、前記発振周波数可変手段が前記非浮上部に配設されたことを特徴と
してもよい。
【0064】
磁気浮上装置の多くは、浮上部と非浮上部からなる機構部本体と制御装置、これらを電気的に接続するケーブルとによって構成される。周波数特性可変手段あるいは発振周波数可変手段を、制御装置ではなく機構部本体の非浮上部に配設することにより、浮上部に配設された磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、非浮上部に配設されたセンサコイルのばらつきなどに起因して生じるセンサ感度のばらつきを、機構部本体で調整し所定の範囲内に収めることができる。
【0065】
これにより、機構部本体と制御装置の組み合わせに応じて、センサ感度を調整する必要がなくなり、機構部本体と制御装置の互換性を向上することができる。そして、機構部本体と制御装置のいずれか一方を故障などにより交換するときに、技術者が、計測器などの調整に必要な機材を帯同して磁気浮上装置の設置場所に赴きセンサ感度を調整する作業を、削減若しくは簡略化することができる。
【0066】
さらに、本発
明である磁気浮上装置は、前記基準値信号可変手段が、前記非浮上部に配設されたことを特徴と
してもよい。
【0067】
基準値信号可変手段を機構部本体の非浮上部に配設することにより、機構部本体で、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイルのインダクタンス、センサ回路と発振器の特性のばらつきなどによる物理量の計測対象範囲の設定誤差を所定の範囲内に収まるように補正したり、物理量計測装置の計測条件などに応じて、物理量の計測対象範囲を調整したりすることができる。
【0068】
これにより、機構部本体と制御装置の組み合わせに応じて、センサ回路が出力する計測信号の値の範囲に対応する浮上部の物理量の値の範囲を調整する必要がなくなり、機構部本体と制御装置の互換性を向上することができる。そして、機構部本体と制御装置のいずれか一方を故障などにより交換するときに、技術者が、計測器などの調整に必要な機材を帯同して磁気浮上装置の設置場所に赴き物理量の計測対象範囲を調整する作業を、削減若しくは簡略化することができる。
【0069】
さらに、本発
明である磁気浮上装置は、前記差信号増幅率可変手段が、前記非浮上部に配設されたことを特徴と
してもよい。
【0070】
差信号増幅率可変手段を機構部本体の非浮上部に配設することにより、機構部本体で、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイルのインダクタンス、センサ回路と発振器の特性のばらつきなどによるセンサ感度のばらつきを所定の範囲内に収まるように調整することができる。
【0071】
これにより、機構部本体と制御装置の組み合わせに応じて、センサ感度を調整する必要がなくなり、機構部本体と制御装置の互換性を向上することができる。そして、機構部本体と制御装置のいずれか一方を故障などにより交換するときに、技術者が、計測器などの調整に必要な機材を帯同して磁気浮上装置の設置場所に赴きセンサ感度を調整する作業を、削減若しくは簡略化することができる。
【0072】
さらに、本発
明である磁気浮上装置は、前記物理量に対し、しきい値を設定するしきい値設定手段を備えて構成し
てもよい。
【0073】
これにより、磁気浮上装置の浮上部の物理量がしきい値を超えたか否かを識別することができる。また、磁気浮上装置が、浮上部の物理量がしきい値を超えた場合に、それを記録するメモリーなどの記憶装置や、アラームを表示するアラーム装置を備えても良い。しきい値としては、例えば、浮上部の位置や、変位、温度の許容値とすることができる。
【0074】
さらに、本発
明である磁気浮上装置は、前記非浮上部と前記制御装置間を接続するケーブルのインダクタンス、静電容量、抵抗分に応じて、前記被変調電圧の周波数特性、前記高周波電圧の周波数、前記被変調電圧の値、前記計測信号の値の内のいずれか少なくとも一つを補正する補正手段を前記制御装置に備えて構成し
てもよい。
【0075】
上記のように、磁気浮上装置の多くは、機構部本体と制御装置、これらを電気的に接続するケーブルとによって構成される。そして、発振器が制御装置に配設され、センサコイルが非浮上部に配設される場合には、これらはケーブルを介して接続されるため、ケーブルのインダクタンスや、静電容量、抵抗が変化すると、被変調電圧の周波数特性が変化してしまう。
また、ケーブルの長さは、磁気浮上装置の設置レイアウトによって、変更を余儀なくされることがあり、この場合には、ケーブルのインダクタンスや、静電容量、抵抗が変化してしまう。制御装置に、被変調電圧の周波数特性と、発振器が供給する高周波電圧の周波数、被変調電圧、センサ回路が出力する計測信号の値の内のいずれか少なくとも一つを補正する補正手段を配設することにより、ケーブルの長さの変更によるセンサ感度の変化を補正することができる。
【0076】
磁気浮上装置の例としては、回転体を磁気浮上して軸支する磁気軸受装置や、除振テーブルを磁気浮上する磁気浮上式除振装置などがあげられる。
【0077】
さらに、本発
明である真空ポンプは、磁性体又は導電体を有する回転部と、該回転部の物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルが配設された非回転部と、前記センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路とが配設された制御装置を備えて構成し
てもよい。
【0078】
さらに、本発
明である真空ポンプは、前記物理量が前記回転部の位置、変位、温度の内のいずれか少なくとも一つであることを特徴と
してもよい。
【0079】
さらに、本発
明である真空ポンプは、前記物理量が前記回転部の温度であって、前記被変調電圧に基づく信号の所定の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタ手段を備えたことを特徴と
してもよい。
【0081】
さらに、本発明(請求項
10)である真空ポンプは、前記周波数特性可変手段が前記非回転部に配設されたことを特徴とする。
【0082】
さらに、本発明(請求項
11)である真空ポンプは、前記発振周波数可変手段が前記非回転部に配設されたことを特徴とする。
【0083】
さらに、本発明(請求項
12)である真空ポンプは、前記基準値信号可変手段が、前記非回転部に配設されたことを特徴とする。
【0084】
さらに、本発明(請求項
13)である真空ポンプは、前記差信号増幅率可変手段が、前記非回転部に配設されたことを特徴とする。
【0085】
さらに、本発明(請求項
14)である真空ポンプは、前記温度に対し、しきい値を設定するしきい値設定手段を備えて構成した。
【0086】
周波数特性可変手段と、発振周波数可変手段、基準値信号可変手段、しきい値設定手段の内のいずれか少なくとも一つを、例えば、
図3のターボ分子ポンプの底蓋145の内側周辺などに配置する。これにより、底蓋145を外すだけで、作業者が容易にセンサ感度と、物理量の計測対象範囲、しきい値のいずれか少なくとも一つを調整することができるとともに、真空ポンプ本体と制御装置の互換性を向上することができる。
【0087】
さらに、本発明(請求項
15)である真空ポンプは、前記
非回転部と前記制御装置間を接続するケーブルのインダクタンス、静電容量、抵抗分に応じて、前記被変調電圧の周波数特性、前記高周波電圧の周波数、前記被変調電圧の値、前記計測信号の値の内のいずれか少なくとも一つを補正する補正手段を前記制御装置に備えて構成した。
【0088】
これにより、上記発明の物理量計測装置又は磁気浮上装置と同様の効果を奏する真空ポンプを提供することが可能となる。
【0089】
さらに、本発明(請求項
16)である真空ポンプは、円筒部の内周側又は下端に前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、前記磁性体又は前記導電体と対向する前記センサコイル又は該センサコイルのコアが配設された非回転部と、前記発振器が配設された制御装置を備えて構成した。
【0090】
さらに、本発明(請求項
17)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体の前記センサコイル又は該センサコイルのコアと対向する対向面が、前記回転部の回転中心軸に対して直角であることを特徴とする。
【0091】
例えば、
図6の構成のターボ分子ポンプは、半導体製造装置に使用される場合に、半導体製造装置のチャンバー内に連続的に供給されるプロセスガスを排気するために、回転体103の円筒部102dとプロセスガスの間の摩擦などにより、円筒部102dの温度が上昇する。
【0092】
そして、円筒部102dの温度が上昇すると、円筒部102dは、自らに作用する遠心力によって円周方向の残留歪が増加し、外周径が大きくなってネジ付きスペーサ131と接触したり、自らの材料強度が低下し、遠心力に耐えられず破壊したりする。
【0093】
これらの不具合を防止するために、ターボ分子ポンプは、運転中に円筒部102dの温度を連続的あるいは定期的に計測し、温度がしきい値を超えたときに、アラームを表示したり、回転体103の回転を減速あるいは停止したりすることが望まれる。
【0094】
円筒部102dの温度を計測する代わりに、予め、実験により、回転体103の所定の箇所の温度と円筒部102dの温度の間の関係式を求め、この所定の箇所の温度を計測し、この関係式に基づいて、円筒部102dの温度を算出しても良いが、この場合には、この関係式が、プロセスガスの種類や流量、回転体103の温度などによって変動するため、これらの条件を変えて膨大な実験を行ない、その結果に基づいて、ターボ分子ポンプが運転しているときのこれらの条件に応じて、この関係式を修正しなければならない。
したがって、磁性体又は導電体を円筒部102dに配置して、直接円筒部102dの温度を計測することが望ましいが、磁性体又は導電体を円筒部102dの外周側に配置すると、磁性体又は導電体に作用する遠心力の向きが、磁性体又は導電体を円筒部102dから引き離す向きとなり、磁性体又は導電体を円筒部102dに固定する固定強度が経時変化などによって低下すると、磁性体又は導電体は円筒部102dから脱落する恐れがある。さらに、半導体製造装置のプロセスガスの多くは腐食性を持ち、円筒部102dの外周側はこのプロセスガスの流路であるため、磁性体又は導電体は、このプロセスガスにさらされ腐食してしまう。
【0095】
このため、本発明の真空ポンプは、磁性体又は導電体を回転部の円筒部の内周側に配置する。これにより、磁性体又は導電体に作用する遠心力の向きが、磁性体又は導電体を円筒部102dに押し付ける向きとなり、磁性体又は導電体を円筒部102dに固定する固定強度が低下しても、磁性体又は導電体は円筒部102dから脱落することは少ない。また、電装部には、腐食防止のために、ベース129に設けられたパージポートを通じて窒素などのパージガスが導入されており、このパージガスが電装部のハウジング122の上端の軸穴開口部から円筒部102dの内周面とハウジング122の外周面の間を通って、円筒部102dの下端でプロセスガスと合流する。このパージガスの流れによって、円筒部102dの内周側にプロセスガスが進入することは少なく、磁性体又は導電体の腐食を低減することができる。
そして、円筒部102dの温度がしきい値を超えたときに、ターボ分子ポンプは、アラームを表示したり、ターボ分子ポンプに連動する装置にアラーム信号を出力したり、回転体103の回転を減速あるいは停止したりする。
【0096】
さらに、ターボ分子ポンプは、上述したように、円筒部102dの温度が上昇すると、円筒部102dは、回転中に自らに作用する遠心力によって円周方向の残留歪が増加し、外周側に膨らんで変形する。その結果、円筒部102dの内周径diも大きくなり、センサコイル1は、磁性体又は導電体との距離が増加し、インダクタンスが変化する。これにより、温度検出値に誤差が生じる。
【0097】
このため、本発明の真空ポンプは、
図9のように構成しても良い。すなわち、円筒部102dに配設された磁性体又は導電体m1のセンサコイル1又はそのコア1cとの対向面を、回転体103の回転中心軸O−O‘に対して直角になるようにする。そして、センサコイル1又はコア1cを、回転体103の回転中に、回転中心軸O−O’と平行な方向に磁性体又は導電体m1と対向するように、非回転部に配設する。これにより、円筒部102dが外周側に変形しても、磁性体又は導電体m1とセンサコイル1又はコア1cの距離の変化は小さいので、温度検出値の誤差の発生を少なくすることができる。また、磁性体又は導電体m1の回転中心軸O−O’に対して直角な径方向の大きさを、特に円筒部102dの内周側へ、センサコイル1又はコア1cの磁性体又は導電体m1と対向する部分より大きくすることにより、円筒部102dが外周側に変形しても、磁性体又は導電体m1とセンサコイル1又はコア1cの対向面積を機能上問題の無い程度に確保することができる。また、円筒部102dの変形はその下端に近い位置ほど大きいので、磁性体又は導電体m1を円筒部102dの内周側でより上部に配設することにより、円筒部102dの変形による影響をより小さくすることができる。
【0098】
さらに、磁性体又は導電体のプロセスガスによる腐食が許容できる程度である場合には、
図10に示すように、磁性体又は導電体m1を円筒部102dの下端に配設し、センサコイル1又はコア1cを、回転体103の回転中に、回転中心軸O−O’と平行な方向に磁性体又は導電体m1と対向するように、非回転部に配設しても良い。この場合にも、磁性体又は導電体m1の回転中心軸O−O’に対して直角な径方向の大きさを、特に円筒部102dの内周側へ大きくすることにより、円筒部102dが外周側に変形しても、磁性体又は導電体m1とセンサコイル1又はコア1cの対向面積を必要十分に確保することができる。
【0099】
さらに、本発明(請求項
18)である真空ポンプは、前記回転部が、該回転部の回転中心軸と前記磁性体又は前記導電体を通って想定される平面上の位置に、錘、厚肉部、薄肉部の内のいずれか少なくとも一つを有することを特徴とする。
【0100】
磁性体又は導電体を回転部に配置すると、磁性体又は導電体の質量が付加されたことによって回転部に不釣合いが発生し、真空ポンプが振動したり、大きな軸支力を有する軸受若しくは高強度の軸受を必要としたり、軸受の寿命が低下したりする。このため、本発明の真空ポンプは、回転部が、その回転中心軸と磁性体又は導電体を通って想定される平面上の位置に、錘、厚肉部、薄肉部の内のいずれか少なくとも一つを有する。錘としては、耐腐食性のステンレスなどの金属材、樹脂材などの非金属材、熱硬化性の接着剤などがあげられる。
【0101】
さらに、本発明の真空ポンプ(請求項
19)は、前記磁性体又は前記導電体が、前記回転部の回転中心軸に関して対象に配置又は形成されたことを特徴とする。
【0102】
磁性体又は導電体を、例えば、回転部の回転中心軸に関して対象な円形状又はリング形状としたり、磁性体又は導電体を分割して配置する場合には、回転部の回転中心軸に対して垂直に想定される平面上に、回転部の回転中心軸を挟むように対をなして、回転部に配置したりする。
【0103】
これにより、磁性体又は導電体の質量が付加されたことによって生じる回転部の不釣合いを低減することができる。
【0104】
さらに、本発明(請求項
20)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体と前記錘の内のいずれか少なくとも一つが、密封手段により密封されていることを特徴とする。
【0105】
これにより、半導体製造装置のプロセスガスが、上述のパージガスの流れに逆らって回転部の内周側に進入しても、磁性体又は導電体の腐食を低減することができる。密封手段としては、めっき、被膜、コーティング材、モールド材、接着剤、容器、磁性体又は導電体の耐食性の表層などがあげられる。
【0106】
さらに、本発明(請求項
21)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体と前記錘の内のいずれか少なくとも一つが、熱硬化性の接着剤で前記回転部に固定されたことを特徴とする。
【0107】
磁性体又は導電体、質量体を熱硬化性の接着剤で回転部に接着し、ドライヤーなどの温風機器で接着剤を加熱することにより、接着剤の硬化時間を短縮し、真空ポンプの製造工程を効率化することができる。