(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記速度切替手段は、前記第二の検知部からの信号を受信している間は前記ドアの開閉速度を切り替え、前記第二検知部からの信号が受信されなくなった際には前記ドアの開閉速度を前記第二の検知部からの信号を受信する前の速度に復帰するように切り替えることを特徴とする請求項1に記載の自動ドア装置。
前記第一の検知部は開放時の前記ドアの開口部近傍の所定の領域へ照射した光線の反射光を検出して前記移動体の有無を検知する光センサであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動ドア装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第一の実施の形態による自動ドア装置について、
図1乃至
図14に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による自動ドア装置1は、建物や部屋の内外を連通する開口部に取り付けられた枠部2と、枠部2内に進退自在に配置された2枚の板状のドア3と、ドア3を進退移動させる進退移動機構4とを備える。
進退移動機構4は、ドア3を開閉動作させる開閉駆動部5と、開放時のドア3の開口部近傍の所定の領域6に侵入する人や物などの移動体を検知する検知部8と、検知部8からの開放指示信号7(
図5参照)に基づいて開閉駆動部5を制御する制御部9と、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13に侵入する人や物などの移動体を検知し速度切替信号11(
図5参照)を制御部9に送信する多光軸光電センサ10と、制御部9に送信された速度切替信号11に対応してドア3の開閉速度を切り替える速度切替手段12とを備える。
【0016】
図1に示すように、ドア3は、開閉によりその端部3aが位置30と位置35との間を往復移動しており、完全に閉鎖されて停止している状態では端部3aは位置30にあり、完全に開放されて停止している状態では端部3aは位置35にある。そして、ドア3は停止している状態ではドア速度が0となるように制御されている。
なお、本実施の形態の自動ドア装置1は2枚のドア3が互いに逆方向に移動して開閉を行うが、1枚のドアが移動する自動ドア装置としてもよい。
【0017】
開閉駆動部5は枠部2の内部に格納された電気モータ等からなる周知の駆動機構14と、駆動機構14とドア3とのそれぞれに接続されて駆動機構14によって生じる動力をドア3の直線運動に変換する図示しない連結機構と、ドア3と枠部2との相対位置を測定する位置センサ17とを備える。開閉駆動部5は制御部9に電気的に接続され、その動作が制御されている。
【0018】
図1乃至
図3に示すように、検知部8は、枠部2から開放時のドア3の開口部近傍の所定の領域6に向かって光線L1を照射する発光部と、この所定の領域6で反射した光線を受光する受光部とからなる光センサ15を備える。
ここで、開放時のドア3の開口部近傍の所定の領域6とは、
図3に示すように、ドア3が開放した際の開口部と同じまたは開口部よりも長い幅6aで、ドア3の面に直行する方向に奥行き6bを有する範囲で、例えば、幅6aは開口部の両側に約0.3mを足した寸法とし、奥行き6bは1.0mとする。
光センサ15は、制御部9に電気的に接続されていて、発光部から所定の領域6に至るまでの空間Xに侵入する移動体による光線L1の反射の変化を検出して開放指示信号7を制御部9に送信する構成である。
【0019】
図2乃至
図4に示すように、多光軸光電センサ10は、数多くの投光素子を一列に配置した投光器18と、この投光素子からの光軸L2を受ける数多くの受光素子を一列に配置した受光器19とを備えていて、枠部2の一方の端部に投光器18が設置されて他方の端部に受光器19が設置されている。投光器18と受光器19は、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13に光軸L2のカーテンを形成している。
ここで、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13とは、
図1に示すように、ドア3が開閉移動する範囲におけるドア3面の前方の領域で、その高さ方向の範囲はドア3の上端部から下端部(床面)までの範囲である。そして、多光軸光電センサ10は、例えばドア3面の前方約1センチから15センチの範囲内に設置されて、光軸L2のカーテンを形成している。なお、多光軸光電センサ10はの設置位置は、枠部2やドア3の厚さ寸法などによって決定される。
多光軸光電センサ10は、この光軸L2のカーテンに移動体が侵入すると、光軸L2の遮光を検知する。光軸L2はドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13のドア3の下端部から上端部にわたる高さ間に多数交差して配設されおり、光軸L2のカーテンへの移動体の侵入を精度良く検知することができる。
【0020】
多光軸光電センサ10は、制御部9に電気的に接続され、ドア3が移動する領域13に形成された光軸L2のカーテンに侵入する移動体による光軸L2の遮光を検知して速度切替信号11を制御部9に送信する構成である。
多光軸光電センサ10は、建物や部屋の内外においてドア3が引き込まれる側に設置される。また、ドア3が引き込まれる側に加えてその反対側に設置されてもよい。
なお、本実施の形態による多光軸光電センサ10では複数の光軸L2は交差しているが、複数の光軸が平行に配列された多光軸光電センサを使用してもよい。
【0021】
上記の構成の自動ドア装置1は
図5に示すように、制御部9では、検知部8による開放指示信号7及び多光軸光電センサ10による速度切替信号11に基づいてドア3の開閉動作を制御する駆動信号Mを開閉駆動部5に向けて送信している。そして、制御部9は速度切替信号11を受信した場合には、速度切替手段12によって速度を切り替える制御を行う駆動信号Mを開閉駆動部5に向けて送信している。
【0022】
次に、上記の構成の自動ドア装置1のドア3の移動制御について図面を用いて説明する。
本実施の形態による自動ドア装置1では、ドア3が閉鎖された状態から開放される方向に移動する速度を+の速度とし、ドア3が開放された状態から閉鎖される方向へ移動する速度を−の速度とする。
図6ではドア3の位置と速度の関係を示しており、位置30から位置35までの間には、開放時の速度を切り替える位置として位置30側から位置35側に向かって位置31〜位置34が設定されている。また、閉鎖時の速度を切り替える位置として位置35側から位置30側に向かって位置36〜位置39が設定されている。
【0023】
ドア3が完全に閉鎖された状態から開駆動する制御について説明する。
図6に示すように、まず、ドア速度を0から所定の開放高速度26まで加速させる。ドア3は、位置30から位置31までの開放加速区間40で加速駆動されて位置31において開放高速度26に達するように制御される。
続いて、ドア3は、位置31から位置32までの開放高速区間41を一定の開放高速度26で移動するように制御される。
続いて、ドア3が位置32に達したらドア3の速度は減速制御される。ドア3は、位置32から位置33までの開放高速減速区間42で減速駆動されて、位置33において開放高速度26よりも低速な開放微速度27に達するように制御される。
続いて、ドア3は、位置33から位置34までの開放微速区間43を一定の開放微速度27で移動するように制御される。
続いて、ドア3が位置34に達したらドア3はさらに減速制御される。ドア3は、位置34から位置35までの開放端停止区間44で減速制御されて、ドア3が完全に開放された位置35においてドア3の速度が0となるように制御される。
【0024】
次に、ドア3が完全に開放された状態から閉駆動する制御について説明する。
まず、ドア3の速度を0から所定の閉鎖高速度28まで加速させる。ドア3は、位置35から位置36まで閉鎖加速区間45で加速駆動されて位置36において閉鎖高速度28に達するように制御される。
続いて、ドア3は、位置36から位置37までの閉鎖高速区間46を一定の閉鎖高速度28で移動するように制御される。
続いて、ドア3が位置37に達したらドア3の速度は減速制御される。ドア3は、位置37から位置38までの閉鎖高速減速区間47で減速駆動されて、位置38において閉鎖高速度28より低速な閉鎖微速度29に達するように制御される。
続いて、ドア3は、位置38から位置39までの閉鎖微速区間48を一定の閉鎖微速度29で移動するように制御される。
続いて、ドア3が位置39に達したらドア3はさらに減速制御される。ドア3は、位置39から位置30までの閉鎖端停止区間49で減速駆動されて、ドア3が完全に閉鎖された位置30においてドア3の速度が0となるように制御される。
【0025】
ここで、本実施の形態による自動ドア装置1では、多光軸光電センサ10による速度切替信号11が制御部9に送信されると、制御部9はドア速度を切り替える制御を行う。
ドア速度を切り替える制御では、ドア3の速度を低速とする制御とドアを停止させる制御のいずれかを任意に選択することができる。
【0026】
ドア3の速度を低速とする制御では、
図7(a)、(b)に示すように、開放時にはドア3の開放速度が通常の開放高速度26より低速な開放切替速度26Aとなり、閉鎖時にはドア3の閉鎖速度が通常の閉鎖高速度28より低速な閉鎖切替速度28Aとなる。図中の実線が速度切替信号11を制御部9が受信した場合のドア3の位置と速度の関係を示し、二点鎖線が
図6によるドア3の位置と速度の関係を示している。
そして、開放切替速度26Aあるいは閉鎖切替速度28Aでドア3を開放あるいは閉鎖駆動する制御は、ドア3が完全に開放あるいは完全に閉鎖されたところで解除され、ドア3の速度は開放高速度26および閉鎖高速度28に戻される。
【0027】
一方、ドア3を停止させる制御では、
図7(c)に示すように、速度切替信号11が制御部9に送信された際に、制御部9はドア3の速度を0とし、開駆動および閉駆動を停止する。なお、開放加速区間40および閉鎖加速区間45において停止する制御とすることもできる。図中の実線が速度切替信号11を制御部9が受信した場合のドア3の位置と速度の関係を示し、二点鎖線が
図6によるドア3の位置と速度の関係を示している。
そして、ドア3の開駆動および閉駆動を停止する制御は、多光軸光電センサ10による速度切替信号11を受信している間行われ、速度切替信号11を受信していない状態となった後に解除されて、このときに制御部9が開放指示信号7を受信すれば開駆動とし、開放指示信号7を受信しなければ閉駆動とする。なお、ドア3の開駆動および閉駆動を停止する制御は、ドア3が停止し速度切替信号11が切れてから所定の時間が経過した後にドア3を開駆動する制御としてもよい。
【0028】
次に、自動ドア装置1のドア3の開閉駆動の流れを
図8〜
図12の各フローチャートを参照して詳述する。
まず、自動ドア装置1が起動されると、
図8に示す開放指示信号7及び速度切替信号11に基づくドア3の開閉制御(スローダウンドア制御)S10が開始される。スローダウンドア制御S10が開始されると、
図5に示す開閉駆動部5に駆動信号Mを発する各処理を呼び出す条件分岐が開始されて処理が決定される。
また、自動ドア装置1の起動時に、速度切替信号11を受信した場合にドア3の開閉速度を減速する制御とするか、ドア3の開閉を停止する制御とするかを選択する。なお、後に切り替えることも可能である。
【0029】
この条件分岐は、
図8に示すようにドア閉鎖端停止中処理S40を呼び出す分岐工程S13と、ドア開放中処理S60を呼び出す分岐工程S14と、ドア開放端停止中処理S80を呼び出す分岐工程S15とを備える。
【0030】
自動ドア装置1の起動時にはドア閉鎖端停止中処理S40、ドア開放中処理S60、ドア開放端停止中処理S80のいずれの状態でもないので、分岐工程S13、S14、S15の全ての条件分岐においてNOが選択され、ドア閉鎖中処理S20に決定される。
【0031】
図9に示すように、ドア閉鎖中処理S20は、ドア3を閉鎖するための処理であり、ドア3が閉駆動を開始されてからドア3が閉鎖されるまでの間の処理を受け持つ。ドア閉鎖中処理S20が開始されると、ドア3の移動位置を測定する位置センサ17(
図1参照)からの位置情報を基にドア3が閉鎖された状態で停止しているか否かを判断する(処理S21)。
【0032】
処理S21において、ドア3が閉鎖された状態で停止している(YES)と判断された場合は、ドア3の移動速度を0とする駆動信号を開閉駆動部5へ送信した後に後述するドア閉鎖端停止中処理S40へ移行する(処理S31)。一方、ドア3が閉鎖された状態で停止していない(NO)と判断された場合は、続いて開放指示信号7の入力があるか否かを判断する(処理S22)。
【0033】
処理S22において、開放指示信号7が受信されている(YES)と判断された場合は、閉駆動中の開閉駆動部5に対してドア速度を0とする駆動信号を送信した後に後述のドア開放中処理S60へ移行する(処理S30)。一方、開放指示信号7が受信されていない(NO)と判断された場合は、続いてドア3の位置が閉鎖加速区間45または閉鎖高速区間46にあるか否かを判断する(処理S23)。
【0034】
処理S23において、ドア3の位置が閉鎖加速区間45または閉鎖高速区間46にある(YES)と判断された場合は、続いて速度切替信号11が受信されているかを判定する(処理S24)。
処理24において、速度切替信号11が受信されている(YES)と判断された場合は、続いて速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされているかを判断する(処理25)
【0035】
処理25において、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされている(YES)と判断された場合は、ドア3の速度を0としドア3の移動を停止する。そして、速度切替信号11を受信していない状態となった後に、制御部9が開放指示信号7を受信すれば開駆動とし、開放指示信号7を受信しなければ閉駆動として、スローダウンドア制御S10へ戻る(処理29)。
一方、処理25において、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされていない(NO)と判断された場合は、ドア3の速度を閉鎖切替速度28Aとする駆動信号を開閉駆動部5へ送信した後にスローダウンドア制御S10へ戻る(処理S28)。
【0036】
処理24において、速度切替信号11が受信されていない(NO)と判断された場合は、ドア3の速度を閉鎖高速度28とする駆動信号を開閉駆動部5へ送信した後にスローダウンドア制御S10へ戻る(処理S27)。
処理S23において、ドア3の位置が閉鎖加速区間45または閉鎖高速区間46にない(NO)と判断された場合は、すなわちドア3の位置が閉鎖高速減速区間47あるいは閉鎖微速区間48にあるので、ドア3の速度を閉鎖微速度29とする駆動信号を開閉駆動部5へ送信した後にスローダウンドア制御S10へ戻る(処理S26)。
【0037】
処理S26、S27、S28、S29から、
図8に示すスローダウンドア制御S10へ戻った後、分岐工程S13、S14、S15のすべての分岐工程においてNOが選択されてドア閉鎖中処理S20が再び呼び出されるので、ドア3が完全に閉鎖されてドア閉鎖端停止中処理S40へ移行するか、あるいは開放指示信号7を受信してドア開放中処理S60へ移行するまでドア閉鎖中処理S20が繰り返される。
【0038】
図10に示すように、ドア閉鎖端停止中処理S40は、ドア3が閉鎖状態にありかつドア3の移動速度が0である状態での処理である。ドア閉鎖端停止中処理S40が開始されると、開放指示信号7が受信されたかを判定する(処理S41)。
処理S41において、開放指示信号7が受信されている(YES)と判断された場合は、ドア3を開放するためのドア開放中処理S60へ移行した後にスローダウンドア制御S10に戻る(処理S42)。一方、処理S41で開放指示信号7が受信されていない(NO)と判断された場合には、ドア3の閉鎖状態を維持するためにドア3の速度を0とする駆動信号を開閉駆動部5へ送信した後にスローダウンドア制御S10に戻る(S43)。
【0039】
処理S43から
図8に示すスローダウンドア制御S10に戻った後、分岐工程S13によってドア閉鎖端停止中処理S40が再び呼び出されるので、開放指示信号7が受信されてドア開放中処理S60へ移行するまでドア閉鎖端停止中処理S40が繰り返される。
【0040】
図11に示すように、ドア開放中処理S60は、ドア3を開駆動させるための処理である。
ドア開放中処理S60が開始されると、ドア3の位置が開放端停止区間44にあるか否かが判定される(処理S61)。
処理S61において、ドア3の位置が開放端停止区間44にある(YES)と判断された場合は、ドア3の速度を0とする制御信号を開閉駆動部5に送信して位置35でドア3が停止するように制御した後にドア開放端停止中処理S80へ移行する(処理S69)。一方、ドア3の位置が開放端停止区間44にない(NO)と判断された場合には、ドア3の位置が開放加速区間40または開放高速区間41にあるか否かを判定する(処理S62)。
【0041】
処理S62において、ドア3の位置が開放加速区間40または開放高速区間41にある(YES)と判断された場合は、続いて速度切替信号11が受信されているかを判定する(処理S63)。処理S63において、速度切替信号11が受信されている(YES)と判断された場合は、続いて速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされているかを判断する(処理64)
【0042】
処理64において、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされている(YES)と判断された場合は、ドア3の速度を0とし、ドア3の移動を停止する。そして、速度切替信号11を受信していない状態となった後に、制御部9が開放指示信号7を受信すれば開駆動とし、開放指示信号7を受信しなければ閉駆動として、スローダウンドア制御S10へ戻る(処理68)。
一方、処理64において、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされていない(NO)と判断された場合は、ドア3の速度を開放切替速度26Aとする駆動信号を開閉駆動部5へ送信した後にスローダウンドア制御S10へ戻る(処理S67)。
処理S63において、速度切替信号11が受信されていない(NO)と判断された場合には、ドア3の速度を開放高速度26とする駆動信号を開閉駆動部5へ送信した後にスローダウンドア制御S10へ戻る(処理S66)。
【0043】
処理S62において、ドア3の位置が開放加速区間40または開放高速区間41にない(NO)と判断された場合は、すなわちドア3が位置32から位置35までの間にあるので、ドア3の速度を開放微速度27とする駆動信号を開閉駆動部5に送信してスローダウンドア制御S10へ戻る(処理S65)。
【0044】
処理S65、S66、S67、S68からスローダウンドア制御S10へ戻った後、分岐工程S14からの工程によってドア開放中処理S60が再び呼び出されるので、ドア3が完全に解放されてドア開放端停止中処理S80へ移行するまでドア開放中処理S60が繰り返される。
【0045】
図12に示すように、ドア開放端停止中処理S80は、ドア3が完全に開放した状態でドア3の速度が0である状態での処理である。ドア開放端停止中処理S80が開始されると、まず、開放指示信号7が受信されたか否かが判定される(処理S81)。
処理S81において、開放指示信号7が受信されている(YES)と判断された場合では、ドア3の開放状態を維持するため、ドア速度を0とする駆動信号を開閉駆動部5に送信すると共に、ドア3の開放時間をカウントするタイマーをリセットしてスローダウンドア制御S10に戻る(処理S85)。一方、開放指示信号7が受信されていない(NO)と判断された場合には、続いてドア3の開放時間をカウントするタイマーを参照して予め設定された開放保持時間に達したか否かを判定する(処理S82)。
処理S82において、ドア3の開放時間が開放保持時間に達した場合(YES)は、ドア3を閉駆動させるためにドア閉鎖中処理S20へ移行する(処理S84)。一方、ドア3の開放時間が開放保持時間に達していない(NO)と判断された場合は、ドア3の開放状態を維持するためにドア3の速度を0とする駆動信号を開閉駆動部5へ送信した後にスローダウンドア制御S10へ戻る(処理S83)。
【0046】
処理S83及び処理S85からスローダウンドア制御S10に戻った後、分岐工程S15からの工程によってドア開放端停止中処理S80が再び呼び出されるので、開放保持時間が経過してドア閉鎖中処理S20へ移行するまでドア開放端停止中処理S80が繰り返される。
【0047】
次に、上述した構成の自動ドア装置1の動作について、ドア3に接近する人間や物等の移動体との関係を中心に
図13及び
図14を参照しながら説明を行う。
図13に示すように、ドア3が閉鎖されている状態において、人間P1が空間Xに接近し、空間Xに侵入すると、光センサ15から制御部9へ開放指示信号7(
図5参照)が送信されることによってドア開放中処理S60(
図10参照)へ移行してドア3が開駆動される。このようにして人間P1はドア3を通行することができる。
【0048】
そして、ドア3が閉鎖されている状態において、例えば子供などの人間P2が、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13内のドア3と枠部2との間の空間Yに侵入すると、多光軸光電センサ10が人間P2を検知し、速度切替信号11が制御部9に送信される。
これと同時に人間P1が空間Xに侵入すると、光センサ15から制御部9へ開放指示信号7が送信されるので、
図11に示すドア開放中処理S60へ移行してドア3が開駆動される。この状態では、ドア位置が開放加速区間40にあるので、処理62はYESと判定される。続いて、速度切替信号11を受信しているので処理63もYESと判定される。
そして、処理S64において、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされている場合はドアが停止し(処理68)、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされていない場合はドア3が開放切替速度26Aで動作する(処理67)。
このように、ドア3が停止または開放切替速度26Aで動作することにより、空間Yにいる人間P2がドア3から退避する時間を確保することができて、ドア3と枠部2との間に挟まれることや、ドア3に巻き込まれることを防ぐことができる。
【0049】
また、ドア3が開放駆動している途中に、例えば子供などの人間P2がドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13内のドア3と枠部2との間の空間Yに侵入し、速度切替信号11が制御部9に送信された場合においても、ドア3の位置が開放加速区間40または開放高速区間41にあるので、処理62はYESと判定され、速度切替信号11を受信しているので処理43もYESと判定される。
そして、ドア3の処理S64において、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされている場合はドア3が停止し(処理68)、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされていない場合はドアが開放切替速度26Aで動作する(処理67)。
なお、ドア3が開放駆動している途中において、ドア位置が開放高速減速区間42及び開放微速区間43にある場合に、ドア3の開放を停止する制御を行う処理を組み込んでもよい。
【0050】
また、
図14に示すように、ドア3が閉鎖駆動している途中に、例えば子供などの人間P2が通行部の空間Zに侵入しようとすると、光センサ15から制御部9へ開放指示信号7が送信されるので、
図9に示すように、処理22がYESと判断されてドア開放中処理S60へ移行してドア3が開駆動される。
しかし、人間P2が小さい子供などで、更にしゃがみこんだり転んだりして光センサ15が人間Pを検知しなかった場合には、人間Pが処理22空間Zに侵入した際に多光軸光電センサ10が人間P2を検知して速度切替信号11が制御部9に送信される。そして、処理S23および24がYESと判断されて、処理25において、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされている(YES)場合はドア3が停止し(処理29)、速度切替信号11を受信した場合に停止制御とする設定がされていない(NO)場合はドア3が閉鎖切替速度28Aで動作する(処理28)。
このように、空間Zにいる人間P2が光センサ15に検知されなかった場合にも、複数の光軸L2でライトカーテンを形成している多光軸光電センサ10には検知され、ドア3が停止または閉鎖切替速度28Aで動作するので、人間P2がドア3に挟まれることを防ぐことができる。
また、多光軸光電センサ10はドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13に光軸L2のカーテンを形成しているので、検知することができる。
なお、ドア3が閉鎖駆動している途中において、ドア3の位置が
図6に示す閉鎖高速減速区間47及び閉鎖微速区間48にある場合に、ドア3の開放を停止する制御を行う処理を組み込んでもよい。
【0051】
次に、第一の実施形態に係る自動ドア装置1による作用効果について図面を用いて説明する。
第一の実施形態に係る自動ドア装置1によれば、
図1に示すように、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13において多光軸光電センサ10が人や物などの移動体を検知し、制御部9が速度切替信号11を受信している間は、ドア3の開閉速度を低速度とする、またはドア3の速度を0としドア3の移動を停止することができる。
そして、速度切替信号11を受信している間はドア3の開閉速度を低速度とすれば、ドア3から移動物を退避させる時間を確保できたり、移動物にドア3が衝突した場合にも衝撃を和らげたりすることができる。また、速度切替信号11を受信している間はドア3の移動を停止させれば、移動体がドア3に挟まれたり巻き込まれたりすることを防ぐことができる作用効果を奏する。
また、
図4に示すように、多光軸光電センサ10は、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13のドア3の下端部から上端部に相当する高さにわたって多数の光軸L2を配設した構成なので、小さい子供や物などの移動体を精度よく検知することができ、例えば、子供がしゃがみこんだり転んだりした場合にも検知することができる。
【0052】
次に、他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施の形態と異なる構成について説明する。
図15に示すように、第二の実施の形態による自動ドア装置51は、多光軸光電センサ10の信号により、音声を発する音声部52を備えている。音声部52は制御部9と電気的に接続されており、制御部9は速度切替信号11(
図5参照)を受信すると音声部52が音声を発するように制御する。
【0053】
具体的には、
図9に示すドア閉鎖中処理S20において、速度切替信号11を受信したかどうか判断する処理S24においてYESと判断された場合に音声部52が音声を発する共に、処理S25に移行する。
また、
図11に示すドア開放中処理S60において、速度切替信号11を受信したかどうか判断する処理S63においてYESと判断された場合に音声部52が音声を発する共に、処理S64に移行する。
【0054】
第二の実施の形態による自動ドア装置51によれば、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13に移動体が侵入した際に音声で周囲に知らせることができる。
特に、ドア3が移動する領域13に小さい子供が侵入した場合には、音声によりドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13から子供が離れると共に、この子供の保護者などに危険を知らせることができ、子供がドア3に挟まれたり、巻き込まれたりする事故を防ぐことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、本実施の形態では、制御部9が速度切替信号11を受信したときに、ドア3の移動を停止する停止設定とする処理を行うことができるが、この停止設定とする処理を設けずに、速度切替信号11が受信された場合にはドア3の移動速度を開放切替速度26Aあるいは閉鎖切替速度28Aに変更する処理のみを行う設定としてもよい。
また、本実施形態では、制御部9が速度切替信号11を受信したときに、ドア3の移動速度が開放切替速度26Aあるいは閉鎖切替速度28Aに変更されてドア3が開放、あるいは閉鎖される構成としたが、これに限らず、たとえば、速度切替信号11が受信されている間のみ開放切替速度26Aあるいは閉鎖切替速度28Aに切替を行い、速度切替信号11が受信されなくなった際には開放高速度26あるいは閉鎖高速度28へ復帰するような構成とすることもできる。
また、本実施形態では速度切替信号11が受信されたとき開放切替速度26A及び閉鎖切替速度28Aが開放高速度26及び閉鎖高速度28よりも低速となるように設定された構成としたが、切替えた後のドア3の速度は任意の速度に設定することが可能である。例えば開放微速度27及び閉鎖微速度29よりも低速にすることも可能である。
また、本実施の形態では、多光軸光電センサ10がドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13への移動体の侵入を検知しているが、多光軸光電センサ10に代わって、光線や熱線などのセンサや、画像により移動物の侵入を検知するセンサなどを採用してもよい。
また、多光軸光電センサ10はドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13を一体に検知するシステムとしてもしてもよいし、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13を縦方向や横方向に分割して分割された区域ごとに検知するシステムとしてもよい。また、ドア3が開閉移動する範囲近傍の所定の領域13を一体に検知する多光軸光電センサ10に加えて、例えばドア3の戸袋近傍の移動体の侵入を検出する検知手段を設けて、区域ごとに検知するシステムとしてもよい。