(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記一対の垂直壁のうちの一方に沿って、その外側に配置されている上記部品は、電子部品であり、上記一対の垂直壁のうちの一方の内側には、ヒートシンクが配置されている、請求項7に記載の電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情のもとで考え出されたものであって、部品が配置された空間への粉塵の侵入を効果的に抑制することができる電源装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明により提供される電源装置は、水平長手状に延びる空洞状の風路と、空気の吸入口および吐出口を有し、上記吐出口から上記風路に風を送り込むファンと、上記風路に沿って配置される部品と、を備え、上記風路を通る風によって上記部品が冷却されるように構成された電源装置であって、上記ファンは、上記風路に隣接し、かつ
上記風路との間を仕切る仕切り壁を含む壁に囲まれた空間に
おいて、上記吐出口が上記風路に臨むように上記仕切り壁に取付けて配置されるとともに、上記空間は、上記ファンの上下高さよりも十分に大の上下高さを有しており、上記壁は、上記吸入口に対向するファン対向壁を含んでおり、上記ファン対向壁は、外部の空気を上記空間内に導くための吸気孔部を有しており、かつ、上記吸気孔部は、上記ファン対向壁における上記吸入口の正面領域に対して、上記ファン対向壁の面内方向であって上記風路の延びる方向における一方側に位置ずれした領域と、他方側に位置ずれした領域とにそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、装置内部を保護する筐体カバーを備え、上記ファン対向壁は、上記筐体カバーの一面によって形成されている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記風路は、上記筐体カバーの内側におい
て設けられるとともに、上記ファンは、上記風路の長手方向中間部に上記吐出口を臨ませて上記空間に配置されており、上記ファン対向壁は、上記風路に対して平行であるとともに、上記吸気孔部は、上記ファン対向壁における水平方向端部寄りの領域に設けられている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記吸気孔部は、上記ファン対向壁における上下方向中間部ないし上部寄りの領域に設けられている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記風路の長手方向両端部は、風の出口になっており、上記筐体カバーは、上記各出口に面する正面部および背面部を有しており、その正面部および背面部には、上記出口からの風を外部に導くための通風孔部が設けられている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記風路は、水平方向に対向する一対の垂直壁と、上下方向に対向する上部壁および底部壁とで囲まれた横断面矩形状を呈しており、上記部品は、上記一対の垂直壁のうちの一方に沿って配置されているとともに、上記空間は、上記一対の垂直壁のうちの
上記仕切り壁としての他方によって上記風路と仕切られており、上記ファンの吐出口は、上記一対の垂直壁のうちの他方の内面から風を吹き出すように配置されている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記部品の少なくとも一部は、上記一対の垂直壁のうちの一方に沿って、その外側に配置されている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記一対の垂直壁のうちの一方に沿って、その外側に配置されている上記部品は、電子部品であり、上記一対の垂直壁のうちの一方の内側には、ヒートシンクが配置されている。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記部品の一部は、上記一対の垂直壁のうちの少なくともいずれか一方に沿って、当該壁を貫通するようにして配置されている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記部品は、リアクトルまたはトランスであり、それらのコイル部分が上記風路内に位置している。
【0017】
上記構成では、ファンが作動すると、ファンの配置空間全体が負圧となり、それに伴い配置空間内には、吸気孔部を通じて外部の空気が引き込まれる。ファンは、吸気孔部から配置空間内を流動してきた空気を吸い込み、その空気を風として風路に送り出す。このとき、配置空間内では、吸気孔部からファンの吸入口へと空気が流れるうちに粉塵が十分取り除かれる。そのため、ファンは、粉塵の量がより少ない空気を風路に送り出すことができる。したがって、本発明によれば、風路に沿って配置された部品をファンの風によって空気冷却することができるとともに、その風路への粉塵の侵入を効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1〜3は、本発明に係る電源装置の一実施形態を示している。本実施形態の電源装置Aは、たとえばアーク溶接に必要な大電流および高電圧を出力させるために用いられる。電源装置Aは、一般的に工場などの粉塵が多い雰囲気環境下で使用される。
【0022】
電源装置Aは、ベース部材1、筐体カバー2、電源回路を構成する各種の部品3、ヒートシンク5、第1の仕切板6、2つの第2の仕切板7A,7B、および冷却用のファン8を備える。装置内には、ベース部材1の一部、第1の仕切板6の一部、および第2の仕切板7A,7Bによって囲まれた空洞状の風路9が設けられている。この風路9は、電源装置Aの前後方向(以下、「F方向」と称する)に長手状に延びている。また、装置内において風路9の外側方には、ベース部材1の一部、筐体カバー2の一部、第1の仕切板6の一部、および第2の仕切板7A,7Bによって囲まれた部品3の配置空間B1とファン8の配置空間B2とが設けられている。
【0023】
ベース部材1は、F方向に長い長矩形状の平板部材である。ベース部材1の下面には、ブラケットを介して複数の車輪10が軸支されている。ベース部材1は、これらの車輪10によって床面上を移動可能である。ベース部材1の上面中央部には、第2の仕切板7A,7Bが所定の間隔を空けて互いに対向するように配置されている。
【0024】
筐体カバー2は、たとえば金属製であり、装置内を保護するためのものである。筐体カバー2は、ベース部材1に対して着脱可能な箱状を呈し、ベース部材1の両側部に沿って鉛直面をなす2つの側面部2A,2Bと、ベース部材1の前端部および後端部に沿って鉛直面をなす正面部2Cおよび背面部2Dを有する。一方の側面部2AにおいてF方向両端部寄りの領域には、外部の空気をファン8の配置空間B2に導くための吸気孔部20が設けられている。吸気孔部20は、比較的小さな多数のスリット孔よりなる。正面部2Cおよび背面部2Dにおいて風路9と対応する領域には、その風路9からの風を外部に導くための通風孔部21が設けられている。通風孔部21は、風通しを良好とするために比較的大きな多数の孔よりなる。
【0025】
部品3は、作動時に発熱しやすいものであり、たとえば電源回路を構成するスイッチング素子やダイオード、コンデンサといった電子部品、さらにはトランスやリアクトルといった電気部品である。これらの部品3は、第2の仕切板7Aを貫通してヒートシンク5に直接取り付けられる。これにより、各部品3からの熱は、ヒートシンク5へと速やかに伝わる。
【0026】
ヒートシンク5は、たとえばアルミニウム製の放熱部材であり、第2の仕切板7Aに固定される基部50と、基部50から延出してF方向に延びるとともに上下方向に並ぶ複数のフィン51とを有する。第2の仕切板7Aに対向する基部50の一部分には、ネジ(図示略)などを介して部品3が直接取り付けられる。複数のフィン51は、基部50から伝わってきた熱を空気中に効率よく放熱する部分であり、放熱効果を高めるために表面積が大きくなっている。このヒートシンク5は、第2の仕切板7Aと同程度の大きさをもち、風路9の全長に及ぶ程度の長手方向寸法をもつ。本実施形態では、ヒートシンク5も冷却対象となる。なお、ヒートシンク
5の大きさは、第2の仕切板7Aより小さくてもよい。
【0027】
第1の仕切板6は、たとえば金属製であり、装置内の空間を上段と下段の空間に分けるものである。第1の仕切板6は、ベース部材1と同程度の大きさの矩形状を呈し、筐体カバー2の上下方向中間位置において水平に配置される。第1の仕切板6は、部品3の配置空間B1、ファン8の配置空間B2、および風路9といった下段の空間の上部壁をなす。なお、特に図示しないが、上段の空間にも部品などが設けられる。
【0028】
第2の仕切板7A,7Bは、たとえば金属製であり、装置内における下段の空間を、部品3の配置空間B1、ファン8の配置空間B2、風路9といった空間に分けるものである。第2の仕切板7A,7Bは、ベース部材1と同程度のF方向寸法を有し、ベース部材1および第1の仕切板6に対して垂直に配置される。第2の仕切板7A,7Bは、部品3の配置空間B1、ファン8の配置空間B2、風路9といった空間の垂直壁をなす。第2の仕切板7Aには、ヒートシンク5の基部50一部を配置空間B1に露出させ、その部分に部品3を取り付け可能とするための角窓70が設けられている。この角窓70は、基部50によって閉塞される。第2の仕切板7BのF方向中間部には、風路9に対してファン8を臨ませる開口71が設けられている(
図3参照)。
【0029】
ファン8は、たとえば複数の羽根と電動機とが一体化された軸流式のものであり、その電動機の軸方向両端側に空気の吸入口80および吐出口81を有する。このファン8は、第2の仕切板7Bの開口71に吐出口81が一致して配置される。すなわち、ファン8は、風路9の長手方向中間部に配置され、吐出口81が風路9の内側に臨むように位置する。これにより、ファン8の送風方向は、風路9の長手方向に対して水平面内で交差する方向となる。吸入口80は、配置空間B2に位置し、側面部2Aの内面に対して所定の間隔をもって対向する。これにより、側面部2Aは、吸入口80に対向するファン対向壁となる。この側面部2Aにおける吸入口80の正面領域には、吸気孔部20が設けられていない。すなわち、側面部2AのF方向両端部寄りに位置する吸気孔部20に対して吸入口80がある程度離れて位置する。
【0030】
風路9は、ファン8からの風によってヒートシンク5を空気冷却し、その風を長手方向両端部に導くものである。この風路9は、第2の仕切板7A,7Bを幅方向に対向する一対の垂直壁とし、さらに第1の仕切板6の一部およびベース部材1の一部を上下方向に対向する上部壁および底部壁として囲われており、横断面矩形状に形成されている。風路9の長手方向両端部は、風が吹き出る出口90となる。ファン8から風路9内に送り込まれた風は、フィン51に当たって風路9の長手方向両端部へと二手に分かれ、このフィン51から多くの熱を奪いながら出口90から吹き出る。この風は、筐体カバー2の正面部2Cおよび背面部2Dに設けた通風孔部21を通って速やかに外部に吹き出る。
【0031】
次に、上記電源装置Aの作用について説明する。
【0032】
電源装置Aは、動作中、溶接用の大電流および高電圧を出力するのに伴い、複数の部品3が発熱してその温度が高まる。各部品3の熱は、配置空間B1の空気中に伝わるほか、ヒートシンク5に対して直接伝わる。このとき、ヒートシンク5の素材となる金属の方が空気よりも熱伝導率が大きいため、各部品3で発生した熱は、ヒートシンク5に効率よく伝わる。
【0033】
ヒートシンク5は、複数のフィン51によって空気に触れる表面積が大きい。そのため、ヒートシンク5がもつ熱は、複数のフィン51によって風路9内の空気中に効率よく放熱される。
【0034】
ファン8が作動すると、吸入口80周辺の空気がファン8に取り込まれ、その空気が風として風路9の長手方向に対して交差する方向に吐出口81から風路9内に送り出される。
【0035】
このとき、
図3に示すように、配置空間B2内における吸入口80付近の空気は、ファン8に吸い込まれ、それに伴い外部の空気が多数のスリットからなる吸気孔部20を通じて配置空間B2内に吸い込まれる。これは、吸入口80に対して離れた位置の吸気孔部20が空気の流入抵抗となり、吸入口80付近と吸気孔部20付近との間に十分な圧力差が生じ、配置空間B2内が負圧になるためである。これにより、吸気孔部20から配置空間B2内に吸気された粉塵を含む空気は、吸気孔部20に対してF方向に離れて位置する吸入口80へと減速しながら流れ、空気中の粉塵は、その多くが重力落下し、あるいは配置空間B2の内壁面に当たるなどして空気と分離されやすくなる。その結果、ファン8は、配置空間B2を介して粉塵が効果的に除去された空気を取り込み、その空気を風路9内に送り出すことができる。
【0036】
ファン8から風路9内に送られた風は、ヒートシンク5に対して直接的に当たり、フィン51に沿って風路9の長手方向両端部へと流れる。その際、多数のフィン51に対して風が効率よく当たるため、各フィン51の表面から多くの熱が奪われる。また、ファン8から出た風は、風路9の長手方向両端部へと二手に分かれ、比較的短い距離を流れて両側の出口90から外部に排出される。そのため、風路9を流れる風の抵抗が少なくなり、速やかに出口90から風が排出される。これにより、ヒートシンク5は、効率よく空気冷却されるとともに、このヒートシンク5を介して部品3も効率よく冷却される。
【0037】
風路9に沿って配置された複数の部品3は、ファン8が風路9の長手方向中間部に位置するために、そのファン8の周辺に位置した恰好となる。すなわち、風路9の長手方向におけるファン8と各部品3との距離は、風路9全体の長さに比べて短くなり、ファン8に対して比較的近い位置に各部品3が配置される。このようなファン8と部品3との位置関係によっても、複数の部品3が効率よく冷却される。そのため、部品3の発熱特性に応じて各部品3の位置を決める必要はなく、複数の部品3をある程度自由に配置することができる。
【0038】
上記風路9内には、電源装置Aの運用時間が長くなるほど、ファン8の風とともに入り込んだ粉塵の量が多くなり、ヒートシンク5のフィン51の隙間などに粉塵が集積した状態になりがちである。そうした状態のまま電源装置Aを使用していると、ヒートシンク5の放熱効果が弱まり、ひいては部品3が十分に冷却されない結果、部品3が熱的に損傷してしまうおそれがある。そのため、運用に際しては、図示しないエアブローガンを用いて風路9内の粉塵を定期的に吹き飛ばすといった除塵作業が行われる。
【0039】
エアブローガンを用いた除塵作業では、ベース部材1から筐体カバー2を取り外して風路9の出口90を露出させた状態とし、その後、たとえば風路9の一方の出口90からエアブローガンの空気噴出口を内部に向けて圧縮空気が噴射される。圧縮空気は、風路9の長手方向に沿う噴流となり、たとえばフィン51の間に積もった粉塵を他方の出口90に向けて勢いよく吹き飛ばす。
【0040】
また、エアブローガンから噴射された圧縮空気の噴射方向は、風路9の長手方向に沿った方向となり、すなわちファン8の送風方向に対して交差した方向となる。これにより、エアブローガンからの圧縮空気は、ファン8の羽根に対して風圧を直接作用させにくい噴流となる。そのため、エアブローガンを用いた除塵作業時、圧縮空気の強い噴流によってファン8が高速に逆転させられるといったことはなく、このファン8の羽根や回転軸受を破損させるおそれはない。
【0041】
さらに、上記電源装置Aによれば、ファン8から風とともに風路9内に入る粉塵が抑えられるため、除塵作業を行うまでの期間を延長し、動作効率を高めることができる。
【0042】
図4〜10は、本発明に係る電源装置の他の実施形態を示している。なお、同図に示す電源装置A1は、先述の実施形態によるものと同様の風路を上下の各段に有するものである。以下の説明では、先述した実施形態によるものと同一または類似の構成要素について、同一または類似の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
電源装置A1は、ベース部材1、筐体カバー2、電源回路を構成する電子部品30および電気部品31、ヒートシンク5、第1の仕切板6、第2の仕切板7A,7B、第3の仕切板7C、および第1および第2のファン8,8’を備える。装置内には、第2の仕切板7Aの下側部分、第3の仕切板7C、およびベース部材1の一部によって囲われた第1の風路9が設けられているとともに、この第1の風路9とは別に、第1の仕切板6の一部、第2の仕切板7Aの上側部分、第2の仕切板7B、および第3の仕切板7Cの一部によって囲われた第2の風路9’が設けられている。装置内において第1および第2の風路9,9’の外側方には、ベース部材1の一部、筐体カバー2の一側面部2Aの一部、第1の仕切板6の一部、第2の仕切板7B、および第3の仕切板7Cの一部によって囲われたファン8,8’の配置空間B2が設けられている。電子部品30などの配置空間B1は、第1の仕切板6より上方の空間と連続している。
【0044】
図6に示すように、ベース部材1の上面中央部には、その上面に対して垂直に第2の仕切板7Aが配置されている。この第2の仕切板7Aの下側部分片面とベース部材1の上面一部とを囲うように第3の仕切板7Cが配置されている。
【0045】
図4に示すように、筐体カバー2の側面部2Aは、第1および第2のファン8,8’に対する対向壁となる。この側面部2AにおいてF方向両端部寄りの領域には、吸気孔部20が設けられている。吸気孔部20は、外部の空気をファン8,8’の配置空間B2に導くためのものであり、先述した実施形態と同様に比較的小さな多数のスリット孔よりなる。
図5ならびに
図9および
図10に示すように、通風孔部21は、正面部2Cおよび背面部2Dにおいて第1および第2の風路9,9’と対応する領域に設けられている。
【0046】
図10に示すように、電子部品30は、スイッチング素子やダイオード、コンデンサといったものであり、先述した実施形態と同様に第2の仕切板7Aの角窓70を通じてヒートシンク5の基部50に直接取り付けられている。
図6および
図8に示すように、電子部品30は、第2の仕切板7Aの上側部分に沿って配置されている。
図9に示すように、電気部品31は、トランスやリアクトルといったものであり、コイル部分31Aと端子部31Bとを有する。コイル部分31Aは、少なくとも先端部が第1の風路9内に位置し、端子部31Bは、電子部品30と同じ配置空間B1内に配置される。すなわち、電気部品31は、第2の仕切板7Aの下側部分を貫通し、配置空間B1および第1の風路9に対して臨むように配置される。このような電源装置A1に用いられる電気部品31は、比較的大きくて重い。そのため、電気部品31は、固定時の重量バランスをとるべく、第1の風路9に臨むコイル部分31Aの突出量が調整され、第2の仕切板7Aを貫通して固定される。なお、電気部品31のコイル部分31Aは、巻線が露出していてもよく、あるいは巻線がモールド樹脂によって封止されていてもよい。
【0047】
図6および
図10に示すように、ヒートシンク5は、第2の仕切板7Aに固定される基部50と、基部50から延出してF方向に延びるとともに上下方向に並ぶ複数のフィン51とを有する。第2の仕切板7Aに面した基部50の一面には、ネジ(図示略)などを介して電子部品30が直接取り付けられる。このヒートシンク5は、
図10によく示すように、第2の仕切板7Aの角窓70より大きく形成され、F方向において風路9’の全長と同程度かそれより短くなっている。本実施形態においても、ヒートシンク5が冷却対象となる。なお、ヒートシンク5は、第2の仕切板7Aに沿って複数個がF方向に並ぶように配置されていてもよい。
【0048】
図6に示すように、第1の仕切板6は、ファン8,8’の配置空間B2や第2の風路9’といった空間と電子部品30の配置空間B1とを上下に分けるものである。第1の仕切板6は、F方向にベース部材1と同程度の長さを有し、その短手方向一端が第2の仕切板7Aの上端に垂直に接合される。これにより、第1の仕切板6は、筐体カバー2の上下方向中間部に水平に位置する。第1の仕切板6は、ファン8,8’の配置空間B2および第2の風路9’の上部壁をなす。
【0049】
第2の仕切板7Aは、第1および第2の風路9,9’と配置空間B1とを仕切るものである。第2の仕切板7Aも、ベース部材1と同程度のF方向寸法を有し、ベース部材1および第1の仕切板6に対して垂直に配置される。すなわち、第2の仕切板7Aは、第1および第2の風路9,9’の垂直壁をなす。この第2の仕切板7Aの上側部分には、ヒートシンク5の基部50一部を配置空間B1に露出させ、その部分に電子部品30を取り付け可能とするための角窓70が設けられている。この角窓70は、基部50によって閉塞される。第2の仕切板7Aの下側部分には、電気部品31が貫通して嵌合可能な開口が設けられている(符号略)。
【0050】
第2の仕切板7Bは、第2の風路9’と配置空間B2とを仕切るものである。第2の仕切板7Bも、ベース部材1と同程度のF方向寸法を有する。第2の仕切板7Bは、第2の仕切板7Aの上側部分に対して対向するように配置され、その上端および下端が第1の仕切板6および第3の仕切板7Cに対して垂直に接合される。すなわち、第2の仕切板7Bは、第2の風路9’の垂直壁をなす。第2の仕切板7BのF方向中間部には、第2の風路9’に対して第2のファン8’を臨ませる開口71’が設けられている(
図10参照)。
【0051】
第3の仕切板7Cは、第1の風路9を囲う断面L字状のものである。第3の仕切板7Cも、ベース部材1と同程度のF方向寸法を有する。第3の仕切板7Cの水平部分の先端は、第2の仕切板7Aの中央部に垂直に接合される一方、鉛直部分の基端は、ベース部材1に垂直に接合される。これにより、第3の仕切板7Cの水平部分は、第1の風路9の上部壁および第2の風路9’の底部壁をなし、その鉛直部分は、第2の仕切板7Aの下側部分に対向した第1の風路9の垂直壁をなす。第3の仕切板7Cの鉛直部分におけるF方向中間部には、第1の風路9に対して第1のファン8を臨ませる開口71が設けられている(
図9参照)。
【0052】
図6に示すように、第1のファン8は、空気の吸入口80および吐出口81を有する。第1のファン8は、第3の仕切板7Cの開口71に吐出口81が一致して配置される。すなわち、第1のファン8は、第1の風路9の長手方向中間部に配置され、吐出口81が風路9の内側に臨むように位置する。これにより、第1のファン8の送風方向は、第1の風路9の長手方向に対して水平面内で交差する方向となる。吸入口80は、配置空間B2に位置し、側面部2Aの内面に対して所定の間隔をもって対向する。この側面部2Aにおける吸入口80の正面領域には、吸気孔部20が設けられていない。すなわち、側面部2AのF方向両端部寄りに位置する吸気孔部20に対して吸入口80がある程度離れて位置する。
【0053】
図6に示すように、第2のファン8’は、空気の吸入口80’および吐出口81’を有する。第2のファン8’は、第2の仕切板7Bの開口71’に吐出口81’が一致して配置される。すなわち、第2のファン8’は、第2の風路9’の長手方向中間部に配置され、吐出口81’が風路9’の内側に臨むように位置する。これにより、第2のファン8’の送風方向は、第2の風路9’の長手方向に対して水平面内で交差する方向となる。吸入口80’は、配置空間B2に位置し、側面部2Aの内面に対して所定の間隔をもって対向する。この側面部2Aにおける吸入口80’の正面領域にも、吸気孔部20が設けられていない。すなわち、側面部2AのF方向両端部寄りに位置する吸気孔部20に対して吸入口80’がある程度離れて位置する。
【0054】
図9に示すように、第1の風路9は、第1のファン8からの風によって電気部品31を直接冷却し、その風を長手方向両端部に導くものである。第1の風路9は、第2の仕切板7Aの下側部分および第3の仕切板7Cの鉛直部分を幅方向に対向する一対の垂直壁とし、さらに第3の仕切板7Cの水平部分およびベース部材1の一部を上下方向に対向する上部壁および底部壁として囲われており、横断面矩形状に形成されている。風路9の長手方向両端部は、風が吹き出る出口90となる。第1のファン8から第1の風路9内に送り込まれた風は、電気部品31のコイル部分31Aに直接当たって第1の風路9の長手方向両端部へと二手に分かれ、このコイル部分31Aから多くの熱を奪いながら出口90から吹き出る。この風は、筐体カバー2の正面部2Cおよび背面部2Dに設けた通風孔部21を通って速やかに外部に吹き出る。
【0055】
図10に示すように、第2の風路9’は、第2のファン8’からの風によってヒートシンク5を冷却し、その風を長手方向両端部に導くものである。第2の風路9’は、第2の仕切板7Aの上側部分および第2の仕切板7Bを幅方向に対向する一対の垂直壁とし、さらに第1の仕切板6の一部および第3の仕切板7Cの水平部分を上下方向に対向する上部壁および底部壁として囲われており、横断面矩形状に形成されている。第2の風路9’の長手方向両端部は、風が吹き出る出口90’となる。第2のファン8’から第2の風路9’内に送り込まれた風は、ヒートシンク5に直接当たって第2の風路9’の長手方向両端部へと二手に分かれ、このヒートシンク5から多くの熱を奪いながら出口90’から吹き出る。この風は、筐体カバー2の正面部2Cおよび背面部2Dに設けた通風孔部21を通って速やかに外部に吹き出る。
【0056】
次に、上記電源装置A1の作用について説明する。
【0057】
電源装置A1では、動作中、電子部品30および電気部品31が発熱してその温度が高まる。電子部品30の熱は、配置空間B1の空気中に伝わるほか、ヒートシンク5に対して直接伝わる。ヒートシンク5に伝えられた熱は、複数のフィン51によって第2の風路9’の空気中に効率よく放熱される。一方、電気部品31は、コイル部分31Aが最も発熱しやすく、このコイル部分31Aの熱が第1の風路9’の空気中に伝わる。
【0058】
第1および第2のファン8,8’が作動すると、吸入口80,80’周辺の空気が第1および第2のファン8,8’に取り込まれ、その空気が風として第1および第2の風路9,9’の長手方向に対して交差する方向に吐出口81
,81’から風路9,9’内に送り出される。それに伴い配置空間B2には、吸気孔部20から外部の空気が流入する。
【0059】
このとき、先述した実施形態と同様に、配置空間B2内における吸入口80,80’付近の空気は、第1および第2のファン8,8’に吸い込まれ、それに伴い外部の空気が多数のスリットからなる吸気孔部20を通じて配置空間B2内に吸い込まれる。これは、吸入口80,80’に対して離れた位置の吸気孔部20が空気の流入抵抗となり、吸入口80,80’付近と吸気孔部20付近との間に十分な圧力差が生じ、配置空間B2内が負圧になるためである。これにより、吸気孔部20から配置空間B2内に吸気された粉塵を含む空気は、吸気孔部20に対してF方向に離れて位置する吸入口80,80’へと減速しながら流れ、空気中の粉塵は、その多くが重力落下し、あるいは配置空間B2の内壁面に当たるなどして空気と分離されやすくなる。その結果、第1および第2のファン8,8’は、配置空間B2を介して粉塵が効果的に除去された空気を取り込み、その空気を第1および第2の風路9,9’内に送り出すことができる。
【0060】
第1のファン8から第1の風路9内に送られた風は、二手に分かれてこの風路9の長手方向両端部へと流れながら電気部品31に当たる。その際、電気部品31のコイル部分31Aに対して風が直接当たるため、このコイル部分31Aから効率的に熱が奪われる。また、第1のファン8から出た風は、第1の風路9の長手方向両端部へと二手に分かれ、比較的短い距離を流れて両側の出口90から外部に排出される。そのため、第1の風路9を流れる風の抵抗が少なくなり、速やかに出口90から風が排出される。これにより、電気部品31は、効率よく空気冷却される。
【0061】
第2のファン8’から第2の風路9’内に送られた風は、ヒートシンク5に対して直接当たり、フィン51に沿ってこの風路9’の長手方向両端部へと流れる。その際、多数のフィン51に対して風が効率よく当たるため、各フィン51の表面から多くの熱が奪われる。また、第2のファン8’から出た風は、第2の風路9’の長手方向両端部へと二手に分かれ、比較的短い距離を流れて両側の出口90’から外部に排出される。そのため、第2の風路9’を流れる風の抵抗が少なくなり、速やかに出口90’から風が排出される。これにより、ヒートシンク5は、効率よく空気冷却されるとともに、このヒートシンク5を介して電子部品30が効率よく冷却される。
【0062】
上記第1および第2の風路9,9’は、上段と下段とに分けられているため、上段に位置する電子部品30および下段に位置する電気部品31は、互いに熱の影響を受けずに第1および第2のファン8,8’の風によって冷却される。これにより、電子部品30および電気部品31についても、効率よく空気冷却することができる。
【0063】
また、たとえば上段のヒートシンク5よりも下段の電気部品31の方が発熱によって温度が高くなりやすい場合、下段の第1のファン8として、送風力が比較的強いものとし、あるいは大型のものを採用することができる。すなわち、第1および第2のファン8,8’は、冷却能力が異なるものとすることができる。さらに、たとえば電子部品30および電気部品31の動作が時間的に異なる場合、それに応じて第1および第2のファン8,8’を作動させるタイミングをそれぞれ異なるようにすることもできる。
【0064】
本実施形態の電源装置A1においても、第1の風路9の長手方向における第1のファン8と電気部品31との距離や、第2の風路9’の長手方向における第2のファン8’と電子部品30との距離は、これら風路9,9’全体の長さより短く、電子部品30および電気部品31は、各ファン8,8’に対して比較的近い位置に配置される。そのため、電子部品30や電気部品31は、第1および第2の風路9,9’に沿うF方向においてある程度自由に配置することができる。
【0065】
本実施形態の電源装置A1も、エアブローガンを用いた除塵作業が行われる。その際、たとえば第1の風路9の一方の出口90からエアブローガンの空気噴出口を内部に向けて圧縮空気が噴射される。圧縮空気は、第1の風路9の長手方向に沿う噴流となり、電気部品31のコイル部分31Aに付着した粉塵を他方の出口90に向けて勢いよく吹き飛ばす。エアブローガンから噴射された圧縮空気の噴射方向は、第1の風路9の長手方向に沿った方向となり、すなわち第1のファン8の送風方向に対して交差した方向となる。これにより、エアブローガンを用いた除塵作業時、圧縮空気の強い噴流によって第1のファン8が高速に逆転させられるといったことはなく、このファン8の羽根や回転軸受を破損させるおそれはない。同様に、第2の風路9’についても、エアブローガンを用いて除塵作業を行うことができ、その際に第2のファン8’の羽根や回転軸受を破損させるおそれはない。
【0066】
このような電源装置A1によっても、第1および第2のファン8,8’から風とともに第1および第2の風路9,9’内に入る粉塵が抑えられるため、除塵作業を行うまでの期間を延長し、動作効率を高めることができる。
【0067】
図11は、本発明に係る電源装置の他の実施形態を示している。なお、同図に示す電源装置A2は、
図4〜10に示した電源装置A2と吸気孔部20の位置が異なるものである。
【0068】
図11に示す電源装置A2では、筐体カバー2の側面部2Aにおける吸気孔部20は、その側面部2AのF方向両端部寄りの領域でかつ上下方向中間部付近に設けられている。この電源装置A2をたとえば工場内の床面上に配置した場合、その床面付近には、粉塵が集まりやすいためにより多くの粉塵を含む空気が存在する。しかして吸気孔部20は、そのような床面よりある程度上方に離れた位置に配置される。そのため、配置空間B2には、吸気孔部20を通じて空気とともに吸い込まれる粉塵の量が抑えられ、ひいては第1および第2の風路
9,9’に対する第1および第2のファン8,8’からの粉塵の侵入がより効果的に抑制される。このような粉塵の侵入を抑制する効果は、吸気孔部20を上下方向上部寄りに位置させるほどより高めることができる。
【0069】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0070】
上記の各実施形態で示した構成は、あくまでも一例にすぎず、各請求項に記載した事項の範囲内での各部の変更は、すべて本発明の範囲に含まれる。
【0071】
たとえば、風路の底部壁や上部壁、あるいはファンが配置された側の垂直壁に沿って冷却対象となる部品を配置してもよい。
【0072】
風路には、電子部品を直接臨ませるように配置してもよい。
【0073】
ファンは、たとえば風路の長手方向一端部に配置され、その長手方向一端部から他端部へと風を送るように構成された軸流式のものでもよい。この場合、たとえばファンの吸入口側にファン対向壁を含むカバー部材を別途設け、このカバー部材でファンを囲うようにしてファンの配置空間を形成することができる。このようなカバー部材のファン対向壁には、吸入口の正面となる領域に対してその面内方向に位置ずれした領域に吸気孔部を設ければよい。このような構成によっても、風路に対する粉塵の侵入を効果的に抑制することができる。