特許第5764309号(P5764309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764309
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】シートガラスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20150730BHJP
   B08B 1/02 20060101ALI20150730BHJP
   B08B 7/04 20060101ALI20150730BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20150730BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   B08B1/04
   B08B1/02
   B08B7/04 A
   B08B3/02 C
   C03C23/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-221680(P2010-221680)
(22)【出願日】2010年9月30日
(65)【公開番号】特開2012-75998(P2012-75998A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2013年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】598055910
【氏名又は名称】AvanStrate株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】伊▲せ▼ 広教
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 修
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 年広
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−072685(JP,U)
【文献】 特開平05−031471(JP,A)
【文献】 特開平07−299016(JP,A)
【文献】 実開平04−048619(JP,U)
【文献】 実開平04−061689(JP,U)
【文献】 特開平08−089910(JP,A)
【文献】 特開2002−177911(JP,A)
【文献】 特開2001−104893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/04
B08B 1/02
B08B 3/02
B08B 7/04
C03C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートガラスを製造する方法であって、
シートガラスを搬送する工程と、
前記シートガラスの搬送中に、前記シートガラスを横断するように一方向に並んだ複数の洗浄ブラシ体を回転させることにより、前記シートガラスの少なくとも一方のガラス面を洗浄する工程と、を有し、
前記洗浄ブラシ体のそれぞれは、前記シートガラスのガラス面に直交する回転中心軸を有し、前記洗浄ブラシ体のそれぞれは、前記回転中心軸を軸周りに囲む基部と、前記回転中心軸から放射状に延びるよう前記基部と接続され、前記シートガラスに対して摺動する複数の羽根ブラシ部と、を備え、
前記複数の洗浄ブラシ体のそれぞれと隣接する洗浄ブラシ体との間の回転中心軸間距離は、前記回転中心軸から前記羽根ブラシ部の先端までの長さと、前記隣接する洗浄ブラシ体の回転中心軸から羽根ブラシ部の先端までの長さとの合計より短くなるように、前記複数の洗浄ブラシ体は設けられ、
前記複数の洗浄ブラシ体のそれぞれの前記羽根ブラシ部のそれぞれは、回転中、前記隣接する洗浄ブラシ体の羽根ブラシ部と、この羽根ブラシ部に周上で隣り合う羽根ブラシ部との間に位置するように、前記複数の洗浄ブラシ体は同期して回転
前記複数の洗浄ブラシ体は、前記シートガラスの搬送方向上の異なる位置に、前記搬送方向と直交する方向に延びた複数の列を形成するように配列され、
前記洗浄する工程では、前記複数の列のうち互いに隣接する2列を形成する複数の洗浄ブラシ体が摺動する前記シートガラスの領域よりも前記搬送方向の上流側の領域に設けられた供給ノズルから洗浄液を供給し、
前記隣接する2列のうち前記搬送方向の上流側の列の洗浄ブラシ体の前記基部および前記羽根ブラシ部の一方で洗浄された前記シートガラスの部分は、前記隣接する2列のうち前記搬送方向の下流側の列の洗浄ブラシ体の前記基部および前記羽根ブラシ部の他方で洗浄されることを特徴とするシートガラスの製造方法。
【請求項2】
前記洗浄ブラシ体のそれぞれと前記隣接する洗浄ブラシ体とは、回転方向が逆である、請求項1に記載のシートガラスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートガラスを洗浄する工程を有するシートガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置用ディスプレイ等のFPD(Flat Panel Display)には、シートガラスが用いられる。シートガラスは、半導体プロセスにより、TFT(Thin Film Transistor)素子等の半導体素子を形成するため、塵や汚れが付いておらず洗浄度が高いことが求められている。
【0003】
シートガラスの製造工程では、薄板状で帯状のガラスが所定の長さに切断された後、ガラスは積層されて保管される。この後、ガラスは、所定のサイズにダイヤモンドカッターあるいはレーザ光により切り込み線(スクライブ線)が入れられ、切り込み線に沿って薄板状のガラスが折り曲げられることにより切断される。また、レーザ光による溶断により切断される。ガラスが保管されている間に、空中に飛遊した埃や塵などがガラス面に付着する。また、ガラスとガラスの間に合紙が挟まれて保管される場合には、合紙の成分がガラスに付着して、ガラスが汚れてしまう。また、ガラスの切断時には、ガラスの切断された端面から数μm〜数100μmの大きさのガラス微小片が塵となってガラス面に飛散し、塵としてガラス面に付着する。このため、シートガラスを梱包して出荷する前に、シートガラスが所定の製品の出荷規格を満たすように、シートガラスを洗浄する。
【0004】
このような背景の下、ガラス板の表面をむらなく洗浄するガラス板用スクラブ洗浄装置が知られている(特許文献1)。
具体的には、当該洗浄装置は、洗浄機内に複数個の円形スポンジブラシが一定の間隔を空けて千鳥状に配置される。スポンジブラシの中央には洗浄用流体の吐出孔が設けられている。ガラス板の表面を洗浄するとき、スポンジブラシをガラス板に押し付け、スポンジブラシを回転させ、吐出孔から洗浄用流体を吐出させる。このとき、スポンジブラシは、ガラス板との接触面が広がって隣接するスポンジブラシの隙間がなくなる。これにより、ガラス板の表面はむらなく洗浄できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−222550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記洗浄装置は、スポンジブラシ特有の性質を利用した洗浄方法を用いる。つまり、スポンジブラシは弾力性があるので、スポンジブラシはガラス板に押し付けられることにより、ガラス板との接触面が広がる。しかしながら、スポンジブラシをガラス板に押し付けた場合、上記したガラス微小片などもガラス板に押し付けられ、ガラス板に傷を発生させてしまう場合がある。したがって、上記洗浄装置は、傷の無いシートガラスを製造する工程においてシートガラスを洗浄する装置として用いることはできない。
また、上記洗浄装置では、ガラス板への押し付けにより円形スポンジブラシと隣接する円形スポンジブラシとの間の隙間がなくなるとしても、円形スポンジブラシの端部と隣接する円形スポンジブラシの端部とが接する場所ではガラス板の洗浄度は低く、洗浄むらが発生する場合がある。このため円形スポンジブラシは千鳥状に配置される。つまり上記洗浄装置では、円形スポンジブラシが、複数列に亘って配置されることが前提となっている。
また、上記洗浄装置は、円形スポンジブラシを用いるため、洗浄液を取り込んだり、排出したりする機能が弱く、汚れた洗浄液が円形スポンジブラシの内部に停留したままガラス板を洗浄する。この結果、ガラス板の洗浄むらが発生し、洗浄度を低下させてしまう。あるいは、洗浄効率を高めるために、この円形スポンジブラシを高速で回転させると、円形スポンジブラシは洗浄液を十分に取り込めず、さらに、洗浄度を低下させてしまう。
上述したスポンジブラシの問題は、基体に繊維が植毛されて構成される円形洗浄ブラシにおいても同様に発生する。
【0007】
そこで、本発明は、従来の問題点を解消するために、シートガラスの表面の洗浄むらが発生し難く洗浄度を向上することができるシートガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、シートガラスを製造する方法である。
当該製造方法は、
シートガラスを搬送する工程と、
前記シートガラスの搬送中に、前記シートガラスを横断するように一方向に並んだ複数の洗浄ブラシ体を回転させることにより、前記シートガラスの少なくとも一方のガラス面を洗浄する工程と、を有する。
前記洗浄ブラシ体のそれぞれは、前記シートガラスのガラス面に直交する回転中心軸を有し、前記洗浄ブラシ体のそれぞれは、前記回転中心軸の周りを囲む基部と、前記回転中心軸から放射状に延びるよう前記基部と接続され、前記シートガラスに対して摺動する複数の羽根ブラシ部と、を備え、
前記複数の洗浄ブラシ体のそれぞれと隣接する洗浄ブラシ体との間の回転中心軸間距離は、前記回転中心軸から前記羽根ブラシ部の先端までの長さと、前記隣接する洗浄ブラシ体の回転中心軸から羽根ブラシ部の先端までの長さとの合計より短くなるように、前記複数の洗浄ブラシ体は設けられる。
前記複数の洗浄ブラシ体のそれぞれの前記羽根ブラシ部のそれぞれは、回転中、前記隣接する洗浄ブラシ体の羽根ブラシ部と、この羽根ブラシ部に周上で隣り合う羽根ブラシ部との間に位置するように、前記複数の洗浄ブラシ体は同期して回転
前記複数の洗浄ブラシ体は、前記シートガラスの搬送方向上の異なる位置に、前記搬送方向と直交する方向に延びた複数の列を形成するように配列され、
前記洗浄する工程では、前記複数の列のうち互いに隣接する2列を形成する複数の洗浄ブラシ体が摺動する前記シートガラスの領域よりも前記搬送方向の上流側の領域に設けられた供給ノズルから洗浄液を供給し、
前記隣接する2列のうち前記搬送方向の上流側の列の洗浄ブラシ体の前記基部および前記羽根ブラシ部の一方で洗浄された前記シートガラスの部分は、前記隣接する2列のうち前記搬送方向の下流側の列の洗浄ブラシ体の前記基部および前記羽根ブラシ部の他方で洗浄される
上記態様のシートガラスの製造方法において、前記シートガラスは、液晶表示装置用ディスプレイのガラス基板に用いられる、ことが好ましい。
また、前記洗浄ブラシ体のそれぞれと前記隣接する洗浄ブラシ体とは、回転方向が逆である、ことが好ましい。
また、前記複数の洗浄ブラシ体は、前記シートガラスの搬送方向と直交する方向に沿って設けられる、ことが好ましい。このとき、前記複数の洗浄ブラシ体は、前記シートガラスの搬送方向上の異なる位置に、前記搬送方向と直交する方向に延びた複数の列を形成するように配列される、ことがより好ましい。
前記複数の列のうち互いに隣接する2列を形成する複数の洗浄ブラシ体は、千鳥状に配置されている、ことが好ましい。
前記シートガラスは、シートガラスの表面上の領域に供給された洗浄液を用いて前記洗浄ブラシ体で洗浄され、前記洗浄液は、前記羽根ブラシ部のそれぞれと前記隣接する洗浄ブラシ体の羽根ブラシ部とが回転によって近づく領域に供給ノズルから供給される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
上述のシートガラスの製造方法によれば、シートガラスの表面の洗浄むらが発生し難く、従来に比べてシートガラスの表面の洗浄度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のシートガラスの製造方法の流れを示すフローチャートである。
図2】(a),(b)は、本実施形態の洗浄を行う洗浄システムの概略を示す図である。
図3】シートガラスを洗浄するブラシ洗浄機およびスポンジブラシ洗浄機における本実施形態の洗浄ブラシ体の配置を説明する図である。
図4】シートガラスを洗浄するブラシ洗浄機およびスポンジブラシ洗浄機における本実施形態の洗浄ブラシ体の配置を詳細に説明する図である。
図5】(a),(b)は、本実施形態の洗浄ブラシ体の摺動面の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のシートガラスの製造方法について本実施形態に基づいて詳細に説明する。
本実施形態で製造されるシートガラスは、液晶表示装置用ディスプレイのガラス基板に用いる板状ガラスであり、例えば厚さが0.5〜0.7mmであり、2200mm×2500mm(縦×横)のサイズの薄板である。
なお、本実施形態で製造される板状ガラスは、上記に限定されず、携帯電話機などの電子機器の表示画面に用いられるカバーガラスや、プラズマ・ディスプレイ・パネル、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)などのフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display:FPD)に用いられる板状ガラスであってもよい。
【0012】
本実施形態で製造されるシートガラスの組成は特に限定されないが、例えば、以下の組成比率のガラス板に適用され得る。
(a)SiO:50〜70質量%、
(b)B:5〜18質量%、
(c)Al:10〜25質量%、
(d)MgO:0〜10質量%、
(e)CaO:0〜20質量%、
(f)SrO:0〜20質量%、
(o)BaO:0〜10質量%、
(p)RO:5〜20質量%(ただしRはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)、
(q)R’O:0.20質量%を超え2.0質量%以下(ただしR’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)、
(r)酸化スズ、酸化鉄および酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を合計で0.05〜1.5質量%。
【0013】
(シートガラスの製造方法)
図1は、本実施形態のシートガラスの製造方法の流れを示すフローチャートである。図1に示すように、溶融されたガラスが、所定の方法、例えばダウンドロー法あるいはフロート法により、所定の厚さの帯状ガラスである素板に成形される(ステップS10)。次に、成形された素板に対して、スクライブと切断が施され(ステップS20)、所定のサイズのシートガラスが得られる。この後、シートガラスの端面の研削、研磨およびコーナカットを含む端面加工が行われる(ステップS30)。上記スクライブでは、ダイヤモンドカッター等を用いて、微小のスジ状の傷である切り込み線(スクライブ線)が素板に入れられる。上記切断では、スクライブ線に沿って機械あるいはマニュアルにより切断される。あるいは、レーザ光による溶断により素板を切断することもできる。
【0014】
この後、シートガラスの洗浄が行われる(ステップS40)。洗浄については、本実施形態として以降で詳細に説明する。
洗浄されたシートガラスは塵、汚れあるいは光学欠陥を含む傷が無いか、光学的検査が行われる(ステップS50)。検査により品質の適合した複数のシートガラスが積層されて梱包され、納入先業者に出荷される(ステップS60)。
【0015】
上記シートガラスの製造方法では、素板のスクライブと切断、およびシートガラスの端面加工等の機械加工により、ガラスの微小片が発生し、素板あるいはシートガラスの表面に塵となって付着する。あるいは、上記機械加工時に、工具や治具等に付着した汚れが素板あるいはシートガラスの表面に付着する場合もある。
また、シートガラスの製造工程では、素板の成形(ステップS10)後、微小のスジ状の傷である切り込み線(スクライブ線)を入れるスクライブおよびスクライブ線に沿った切断(ステップS20)の前に、素板は積層されて保管される場合がある。素板が保管されている間に、空中に飛遊した埃や塵などが素板のガラス面に付着する。また、素板と素板との間に合紙が挟まれて保管される場合には、合紙の成分が素板のガラス面に付着して、ガラスが汚れてしまう。
このような塵や汚れをシートガラスが有する状態では、所定の製品の出荷規格を満たすことができず、納入先業者に納品することはできない。このため、本実施形態では、以降に示す洗浄装置を用いて洗浄が行われる。
特に、シートガラスが、液晶表示装置用ディスプレイのガラス基板に用いられる場合、ガラス基板に半導体素子を形成するため、シートガラスに対する高い洗浄度が求められる。
【0016】
(洗浄システム)
図2(a),(b)は、洗浄を行う一ラインの洗浄システム10の概略を示す図であり、図2(a)は洗浄システム10の平面図であり、図2(b)は、洗浄システム10の側面図である。
【0017】
洗浄システム10では、ブラシ洗浄機12と、スポンジブラシ洗浄機14と、シャワー洗浄機16と、がシートガラスGの搬送方向上流側からこの順番に配置されている。なお、本明細書でいう洗浄ブラシ体は、洗浄ブラシおよび洗浄スポンジブラシを含む。
ブラシ洗浄機12では、洗浄ブラシ体である洗浄ブラシがシートガラスGの搬送方向上の異なる位置(上流側の位置、下流側の位置)に、2つの列12a,12bになって複数配置されている。ブラシ洗浄機12は、シートガラスGの搬送中に、シートガラスGの搬送方向と直交する方向に並んだ複数の洗浄ブラシを回転させることにより、シートガラスGの両側のガラス面を洗浄する。洗浄ブラシによる洗浄は、例えば、図2(b)に示されるように、洗剤タンク18に貯留されている洗浄液がノズル18a,18bから供給されて行われる。洗浄液として、例えば、アルカリ性の洗浄液が用いられる。洗浄ブラシのそれぞれは、シートガラスGのガラス面に直交する回転中心軸を有する。洗浄ブラシのそれぞれは、回転中心軸から放射状に延び、シートガラスGに対して摺動する複数の羽根ブラシ部を備える。洗浄ブラシの形態については後述する。
本実施形態では、洗浄ブラシの列がシートガラスの搬送方向上の異なる位置に2列接近して設けられる。洗浄ブラシの列を2列接近して設けるとは、例えば、お互いの洗浄ブラシの列が並行していることをいう。このとき、洗浄ブラシの各列は、シートガラスGの搬送方向に直交する方向に延びている形態、搬送方向に対して傾斜した方向に直線的にあるいは湾曲して延びている形態、あるいは、途中で延びる方向が変化するように屈曲して延びている形態等が挙げられる。洗浄ブラシの列はシートガラスの搬送方向上の異なる位置に2列接近させて設けられる形態の他に、1列、あるいは3列、4列等であってもよい。
シートガラスGは、図示されない搬送機構により搬送されながらブラシ洗浄機12で洗浄された後、図示されない搬送機構によりスポンジブラシ洗浄機14に搬送される。
【0018】
スポンジブラシ洗浄機14においても、ブラシ洗浄機12と同様に、洗浄ブラシ体である洗浄スポンジブラシがシートガラスGの搬送方向上の異なる位置(上流側の位置、下流側の位置)に列になって複数配列されている。具体的には、複数の洗浄スポンジブラシが2つの列14a,14bになって配置されている。スポンジブラシ洗浄機14は、シートガラスGの搬送中に、シートガラスGの搬送方向と直交する方向に並んだ複数の洗浄スポンジブラシを回転させることにより、シートガラスGの両側のガラス面を洗浄する。洗浄スポンジブラシによる洗浄は、例えば、図2(b)に示されるように、洗剤タンク18に貯留されている洗浄液がノズル18c,18dから供給されて行われる。洗浄スポンジブラシのそれぞれは、シートガラスGの表面に直交する回転中心軸を有し、洗浄スポンジブラシのそれぞれは、回転中心軸から放射状に延び、シートガラスGに対して摺動する複数の羽根ブラシ部を備える。洗浄スポンジブラシの形態については後述する。
本実施形態では、洗浄ブラシと同様に、洗浄スポンジブラシの列をシートガラスの搬送方向上の異なる位置に2列接近して設ける。洗浄スポンジブラシの列を2列接近させて設けるとは、例えば、お互いの洗浄スポンジブラシの列が並行していることをいう。このとき、洗浄スポンジブラシの各列は、シートガラスGの搬送方向に直交する方向に延びている形態、搬送方向に対して傾斜した方向に直線的に、あるいは湾曲して延びている形態、あるいは、途中で延びる方向が変化するように屈曲して延びている形態等が挙げられる。洗浄スポンジブラシの列はシートガラスの搬送方向上の異なる位置に2列接近させて設けられる形態の他に、1列、あるいは3列、4列等であってもよい。
シートガラスGは、図示されない搬送機構によって搬送されながらスポンジブラシ洗浄機14で洗浄された後、図示されない搬送機構によってシャワー洗浄機16に搬送される。
【0019】
シャワー洗浄機16では、純水タンク20内の水がノズル20a,20bを通して供給されて、図示されない搬送機構によってシートガラスGが搬送されながら水洗いされる。
以上の洗浄は、シートガラスGの両側のガラス面について同時に行われるように、洗浄ブラシおよび洗浄スポンジブラシの列12a,12b,14a,14bが、ガラス面の両側に設けられている。
本実施形態では、洗浄ブラシおよび洗浄スポンジブラシの列12a,12b,14a,14bが、ガラス面の両側に設けられているが、片側だけに設けられてもよい。すなわち、ブラシ洗浄機12とスポンジブラシ洗浄機14は、シートガラスGの少なくとも一方のガラス面を洗浄することができる。
【0020】
(洗浄ブラシ、洗浄スポンジブラシ)
図3図4は、シートガラスGを洗浄するブラシ洗浄機12およびスポンジブラシ洗浄機14における洗浄ブラシおよび洗浄スポンジブラシの配置を説明する図である。
以降、洗浄ブラシおよび洗浄スポンジブラシは同じ配置及び形態を有するので、代表して洗浄ブラシを用いて説明する。
【0021】
図3に示すブラシ洗浄機12の列12aには、複数の洗浄ブラシ22a,22b,22c,22d,・・・が設けられている。複数の洗浄ブラシ22a,22b,22c,22d,・・・を纏めて説明するとき洗浄ブラシ22という。洗浄ブラシ22のそれぞれは、シートガラスGの表面に直交する回転中心軸24a,24b,24c,24d,・・・を有し(回転中心軸を纏めて説明するとき、回転中心軸24という)、洗浄ブラシ22のそれぞれは、回転中心軸24から放射状に延び、シートガラスGに対して摺動する複数の羽根ブラシ部26(図4参照)を備える。列12bにも列12aと同様に、複数の洗浄ブラシ22がシートガラスGの搬送方向Xと直交する方向Yに沿って設けられる。ただし、列12bの洗浄ブラシ22の回転中心軸24のY方向における位置は、列12aの隣り合う2つの洗浄ブラシ22の回転中心軸24のY方向における位置の中間の位置に設けられる。すなわち、列12a,12bの洗浄ブラシ22は、互い違いに(千鳥状に)設けられる。このように、列12bの回転中心軸の位置を設定するのは、列12aの隣り合う洗浄ブラシ22が羽根ブラシ部26で洗浄液を取り込んで洗浄した後、羽根ブラシ部26が排出した洗浄液を列12bの洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26が効率よく取り込み、シートガラスGの幅全体に亘らせて、より均一に洗浄し洗浄度もより向上させるためである。
なお、本実施形態では、複数の洗浄ブラシ22が千鳥状に設けられるが、千鳥状に設けられなくても、さらには、1列に配置されても、後述する洗浄ブラシ22の構成を用いることにより、均一に洗浄し、従来に比べて洗浄度を向上することができる。
【0022】
また、図4に示されるように、複数の洗浄ブラシ22のそれぞれと隣接する洗浄ブラシとの間の回転中心軸間距離Lは、回転中心軸24から羽根ブラシ部26の先端までの長さl1と、隣接する洗浄ブラシ22の回転中心軸24から羽根ブラシ部26の先端までの長さl2との合計(l1+l2)より短くなるように、複数の洗浄ブラシ22は設けられる。図4に示す実施形態では、羽根ブラシ部26の長さは、いずれの洗浄ブラシ22において同じであるが、異なってもよい。すなわち。l1≠l2であってもよい。
【0023】
このように、回転中心軸間距離Lを(l1+l2)より短くするのは、隣接する洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26同士が互いにシートガラスGの同じ領域を摺動することにより、従来に比べて、洗浄度を上げるためである。また、1つの洗浄ブラシ22の複数の羽根ブラシ部26により、ガラス面は何度も摺動されるので、洗浄度は高くなる。しかも、羽根ブラシ部26の回転により洗浄液の流れを作るので、洗浄液が効率よくガラス面に流れる。特に、列12a,12bのように、洗浄ブラシ26をシートガラスGの搬送方向上の異なる位置に設け、洗浄ブラシ26の回転中心軸24を互い違いに(千鳥状に)設けることにより、互いに隣接する洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26同士によって洗浄される重なり領域が、シートガラスGのガラス面の略全体を覆う。この結果、洗浄むらのないシートガラスを得ることができる。
【0024】
さらに、複数の洗浄ブラシ22のそれぞれの羽根ブラシ部のそれぞれは、回転中、隣接する洗浄ブラシの羽根ブラシ部と、この羽根ブラシ部に周上で隣り合う羽根ブラシ部との間に位置するように、複数の洗浄ブラシ22は同期して回転する。例えば、図4中の列12aにおける最上部にある洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26は、上から2番目にある隣接する洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26と、この羽根ブラシ部26に周上で隣り合う羽根ブラシ部27との間に位置し、互いに接触しないように、洗浄ブラシ22のそれぞれは同期して回転する。また、上から2番目の洗浄ブラシ22と上から3番目にある洗浄ブラシ22とは、互いに接触しないように、同期して回転する。その際、洗浄ブラシ22のそれぞれと隣接する洗浄ブラシ22とは、回転方向が逆である。このように洗浄ブラシ22を同期させて回転させ、しかも、隣接する洗浄ブラシ22と逆方向に回転させなければ、隣接する羽根ブラシ部26同士が衝突してしまう。つまり、洗浄ブラシ22を同期させて回転させ、しかも、隣接する洗浄ブラシ22と逆方向に回転させることにより、隣接する羽根ブラシ部26同士は、常に接触しない。
【0025】
従来の円板形状の洗浄ブラシの場合、隣接する円板状の洗浄ブラシとの間を、本実施形態の洗浄ブラシ22のように近づけることはできないので、本実施形態のように、異なる洗浄ブラシによってガラス面の同じ領域を洗浄することはできない。しかも、従来の洗浄ブラシは円板状であるため、羽根ブラシ部26のように、洗浄液を取り込むあるいは排出する流れは弱い。このため、シートガラスGのガラス面が、新たな洗浄液と接触し、化学的作用により洗浄効果を発揮する機会は本実施形態に比べて少ない。また、従来の円板形状の洗浄ブラシを高速に回転させると、洗浄液を取り込むあるいは排出する流れはさらに弱くなるため、洗浄効率を上げるために、高速に回転することができない。一方、羽根ブラシ部24は、洗浄液を取り込むあるいは排出する流れが強いため、洗浄効率を上げるために、高速に回転することが可能となる。
【0026】
なお、本実施形態の洗浄ブラシ22のそれぞれが備える羽根ブラシ部26は、6個であるが、この数に限定されない。
【0027】
また、シートガラスGは、シートガラスGのガラス面上に供給された洗浄液を用いて洗浄ブラシ22で洗浄される。洗浄液は、羽根ブラシ部26のそれぞれと隣接する洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26とが回転によって近づく領域にノズル18a,18bから供給される。図4に示す実施形態では、斜線領域Aにおいて、最上部に位置する洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26と、上から2番目に位置する洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26とが、回転により近づいて、洗浄液を効率よく巻き込もうとする。このため、図4中の最上部に位置する洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26と、上から2番目に位置する洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26とが、回転により近づこうとする斜線領域Aに洗浄液のノズル18(18a,18b,18c,18d)が設けられて、シートガラスGのガラス面上に供給される。これにより、洗浄液は、羽根ブラシ部26のガラス面との摺動作用により、ガラス面上を流れてガラス面を効率よく洗浄する。
【0028】
(洗浄ブラシの形態)
図5(a)は、本実施形態のブラシ洗浄機12に用いられる洗浄ブラシ22の摺動面の形態を示す図である。洗浄ブラシ22は、例えば、金属製または樹脂製の基体に繊維が植毛されて構成される。図5(a)に示すように、ブラシ洗浄機12に用いられる洗浄ブラシ22には、ナイロンを材質とする多数の繊維(図5(a)中の○印)28が均一な密度で植毛され、いわゆるブラシを構成している。図5(b)は、本実施形態のスポンジブラシ洗浄機14に用いられる洗浄スポンジブラシ23の摺動面の形態を示す図である。洗浄スポンジブラシ23は、例えば、金属製または樹脂製の基体にスポンジが設けられて構成される。図5(b)に示すように、一定の気孔率を持つ連通孔を有する多孔質部材(スポンジ)30が洗浄スポンジブラシ23の基体に設けられている。
このように、本実施形態の洗浄ブラシ22および洗浄スポンジブラシ23は、一定の密度で繊維28が植毛されたブラシ、あるいは、一定の気孔率を有するスポンジ30が用いられる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態では、シートガラスGを横断するように一方向に並べた複数の洗浄ブラシ22のそれぞれと隣接する洗浄ブラシ22との間の回転中心軸間距離Lは、回転中心軸から羽根ブラシ部26の先端までの長さと、隣接する洗浄ブラシ22の回転中心軸から羽根ブラシ部26の先端までの長さとの合計(l1+l2)より短くなるように、複数の洗浄ブラシ22は設けられることで、羽根ブラシ部26が同じ領域を重複して洗浄する。このため、従来に比べて、洗浄むらは発生し難く、洗浄力を上げることができる。しかも、羽根ブラシ部26を用いて洗浄液の流れを作るので、洗浄液が効率よくガラス面に流れる。このため、効率よく流れる洗浄液の作用により、ガラス面の洗浄むらは一層発生し難く、洗浄度も向上する。
従来の円形スポンジブラシを一列に配列した場合、隣接する円形スポンジブラシの端部と接する部分ではガラス板の洗浄度が低下し洗浄むらが生じる。本実施形態では、洗浄ブラシ22を複数の列に配置するが、1列に配置し、しかも千鳥状に配置しなくても洗浄むらは発生し難く、洗浄度も向上する。しかし、洗浄むらのないより均一な洗浄と、より向上した洗浄度を達成するためには、複数の洗浄ブラシ22を2列以上に配置し、かつ、千鳥状に配置することが好ましい。
【0030】
従来の円形スポンジブラシを千鳥状に並べた場合、シートガラスのある部分は、搬送方向上流側の列において円形スポンジブラシの端部と隣接する円形スポンジブラシの端部とが接する部分で洗浄され、搬送方向下流側の列において円形スポンジブラシの中心部で洗浄される。また、シートガラスのある他の部分は、搬送方向上流側の列および搬送方向下流側の列においていずれも円形スポンジブラシの中間部(端部と中心部の中間部分)で洗浄される。このため、シートガラスの洗浄むらが発生し易い。
一方、本実施形態の複数の洗浄ブラシ22を2列以上に配置し、かつ、千鳥状に配置した場合、シートガラスGの搬送方向上流側の列の洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26で洗浄されたシートガラスGの部分は、搬送方向下流側の列の洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26以外の部分(例えば、羽根ブラシ部26の基部)で洗浄される。同様に、搬送方向上流側の列の洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26以外の部分(例えば、羽根ブラシ部26の基部)で洗浄されたシートガラスGの部分は、搬送方向下流側の列の洗浄ブラシ22の羽根ブラシ部26で洗浄される。このため、洗浄むらが発生し難い。
【0031】
本実施形態では、シートガラスを水平面に平行に搬送しつつ洗浄するが、シートガラスを水平面に対して傾斜させて、さらには、シートガラスを垂直に立たせた状態で、洗浄ブラシ体で洗浄を行うこともできる。
【0032】
以上、本発明のシートガラスの製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
例えば、本発明のシートガラスの製造方法は、建材用ガラスや自動車用ガラスなどのシートガラスの製造方法に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 洗浄システム
12 ブラシ洗浄機
12a,12b,14a,14b 列
14 スポンジブラシ洗浄機
16 シャワー洗浄機
18 洗剤タンク
18a,18b,18c,18d、20a,20b ノズル
20 純水タンク
22,22a,22b,22c,22d 洗浄ブラシ
23 洗浄スポンジブラシ
24,24a,24b,24c,24d 回転中心軸
26 羽根ブラシ部
28 繊維
30 スポンジ
図1
図2
図3
図4
図5