特許第5764319号(P5764319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764319
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20150730BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20150730BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   A41B13/02 A
   A41B13/02 H
   A41B13/02 S
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-281308(P2010-281308)
(22)【出願日】2010年12月17日
(65)【公開番号】特開2012-125483(P2012-125483A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】武井 忍
(72)【発明者】
【氏名】福田 優子
(72)【発明者】
【氏名】一萬田 俊明
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−148818(JP,A)
【文献】 特開2005−080859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体を含み、腹側部、股下部及び背側部を有する吸収性本体と、該背側部における該吸収性本体の両側縁から延出するサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、
前記サイドパネルは、2枚のパネル材間に複数本の弾性部材が、それぞれ該サイドパネルの延出方向に延びて配置された伸縮部を有しており、該サイドパネルの先端部に、ファスニングテープが設けられており、
前記ファスニングテープは、前記伸縮部が収縮して複数本の襞が生じた後の前記サイドパネルに重ねて固定されたテープ固定部を有し、
前記テープ固定部は、少なくとも一部が、前記伸縮部が収縮して生じた襞上に固定されており、
前記サイドパネルは、該テープ固定部の下方隣接部位に、前記伸縮部が収縮して生じた複数本の襞を有している、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記サイドパネルは、その延出方向の先端側に、前記2枚のパネル材間が、該延出方向と交差する交差方向に沿って連続的に接合されている先端側固定部を有し、その延出方向の基端側に、前記2枚のパネル材間が、該延出方向と交差する交差方向に沿って連続的に接合されている端側固定部を有し、該先端側固定部と該基端側固定部との間に、前記伸縮部として、前記2枚のパネル材間が、分散配置された多数の融着部において融着されていると共に前記弾性部材が、それらの融着部を通らないように配されている柔軟伸縮部を有している、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記サイドパネルは、前記2枚のパネル材間が、該サイドパネルの延出方向と交差する交差方向に連続的に接合されている連続接合部を、該延出方向に複数本有しており、隣り合う連続接合部どうし間に前記襞が形成されている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項1〜の何れか1項に記載の使い捨ておむつの製造方法であって、
前記サイドパネルを製造する工程、及び前記ファスニングテープを、その一部が、前記サイドパネルにおける、収縮により襞が生じた前記伸縮部と重なるようにサイドパネルに接合する工程を具備する、使い捨ておむつの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収体を含む吸収性本体における、着用時に着用者の背中側に配される部分(背側部)に、該吸収性本体の幅方向に伸縮する伸縮性のサイドパネルを取り付けてなる展開型の使い捨ておむつが知られている(特許文献1,2参照)。このタイプの使い捨ておむつを装着する際には、サイドパネルに設けたファスニングテープを手で引っ張り、該ファスニングテープに設けた止着材等を、吸収性本体における着用者の腹側に配される部分(腹側部)の外面等に止着する。
【0003】
しかし、ファスニングテープが、伸縮性のサイドパネルが引き伸ばされた状態で止着されるため、装着の際や着用中に、ファスニングテープのサイドパネルに対する接合部付近に大きな引っ張り力が掛かることがあり、それによって、ファスニングテープに伸びや破れが生じたり、ファスニングテープがサイドパネルから剥離したりする恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4021798号公報
【特許文献2】特開2008−066200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、ファスニングテープに伸び、破れ、剥離等が生じ難い使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収体を含み、腹側部、股下部及び背側部を有する吸収性本体と、該背側部における該吸収性本体の両側縁から延出するサイドパネルを備えた使い捨ておむつであって、前記サイドパネルは、2枚のパネル材間に複数本の弾性部材が、それぞれ該サイドパネルの延出方向に延びて配置された伸縮部を有しており、該サイドパネルの先端部に、ファスニングテープが設けられており、前記ファスニングテープは、前記サイドパネルに重ねた状態に固定されたテープ固定部を有し、前記サイドパネルは、該テープ固定部の下方隣接部位に、前記伸縮部が収縮して生じた複数本の襞を有している、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の使い捨ておむつは、ファスニングテープに伸び、破れ、剥離等が生じ難いものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態である使い捨ておむつを、表面シート側から見た展開平面図である。
図2図2は、第1実施形態におけるサイドパネル及びその近傍を、おむつ外面側から見た拡大平面図(収縮状態)である。
図3図3は、図2のIII−III線断面図(収縮状態)である。
図4図4は、図2のIV−IV線断面図(収縮状態)である。
図5図5は、図1に示す使い捨ておむつに用いたサイドパネルを単独状態で示す平面図(伸長状態)である。
図6図6は、図1に示す使い捨ておむつの着用状態を側方から見た図である。
図7図7は、図1に示す使い捨ておむつの製造方法の一工程を示す説明図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態におけるサイドパネル及びその近傍を、おむつ外面側から見た拡大平面図(図2相当図)である。
図9図9は、図8のVIII−VIII線断面図(収縮状態)である。
図10図10は、第3及び第4実施形態に用いたサイドパネルを単独状態で示す平面図(伸長状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、吸収体23を含み、腹側部A、股下部C及び背側部Bを有する吸収性本体2と、背側部Bにおける該吸収性本体2の両側縁から延出するサイドパネル3,3を備えている。
【0010】
吸収性本体2は、図1に示すように、液透過性の表面シート21と、液不透過性又は撥水性の裏面シート22と、これら両シート21,22間に介在された液保持性の吸収体23とを有している。吸収性本体2は、図1に示すように、おむつ1の内面をなす表面シート21と、おむつ1の外面をなす裏面シート22とを、これら両シート21,22間に吸収体23を介在させて接合することにより形成されている。また、吸収性本体2は、その長手方向の両側部に沿って立体ガード形成用シート24,24が配設されている。立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の長手方向の両側部において、表面シート21及び該表面シートの側縁から延出した裏面シート22に固定されている。各立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2の幅方向(X方向)内方側の端縁近傍に該端縁に沿って立体ガード形成用の弾性部材25を有しており、着用時には、その弾性部材25の収縮力により、該端縁から所定幅の部分が表面シート21から離間して立体ガードを形成する。また、吸収性本体2の長手方向両側部の脚廻りに配される部分には、レッグギャザー形成用の弾性部材26が配されている。着用時には、弾性部材26の収縮によりレッグギャザーが形成され、脚廻りに対して良好にフィットする。
【0011】
吸収性本体2は、着用時に、着用者の腹側に位置する腹側部A、背側に位置する背側部B、及び股間部に位置する股下部Cを有する縦長の形状を有しており、サイドパネル3,3は、背側部Bにおける吸収性本体2の左右両側縁部から該吸収性本体2の長手方向に直交する方向(X方向)に延出している。
また、サイドパネル3,3は、それぞれの延出方向(X方向)の先端部に、ファスニングテープ4が設けられている。一方、おむつ1の腹側部Aの外面には、ファスニングテープ4の止着部41を止着させるランディングゾーン5が設けられている。
ファスニングテープ4は、図3に示すように、テープ基材42と、該テープ基材42に接合されて止着部41を形成する機械的面ファスナーのオス部材43とからなる。
【0012】
おむつ1は、図1に示すように、吸収性本体2の長手方向中央線CLに対して左右対称に形成されている。そのため、サイドパネル3,3の構成については、図1の左側のサイドパネルの構成について主として説明するが、右側のサイドパネルの構成も左右対称である以外は同様の構成を有する。
【0013】
サイドパネル3は、図3に示すように、2枚の不織布(パネル材)31,32と、その間に配置された複数本の弾性部材33とを有している。また、サイドパネル3は、伸長状態及び自然に収縮させた状態のいずれにおいても略矩形状である。
弾性部材33は、それぞれ、吸収性本体2の幅方向と同方向であるサイドパネル3の延出方向(X方向)に沿って延びており、複数本が、該延出方向と直交する直交方向(Y方向)に略等しい間隔を開けて配されている。また、吸収性本体2の幅方向に沿うサイドパネル3の延出方向を単にX方向、サイドパネルの延出方向に交差する方向を単にY方向ともいう。
【0014】
サイドパネル3に配された複数本の弾性部材33は、サイドパネル3に、X方向に伸縮する伸縮部30を形成している。伸縮部30は、弾性部材33の弾性伸縮力によってサイドパネル3のX方向に伸縮する。
【0015】
第1実施形態におけるサイドパネル3について、より詳細に説明すると、図2及び図3に示すように、サイドパネル3は、その延出方向(X方向)の先端3a側に、2枚の不織布31,32間が、Y方向に沿って連続的に接合された先端側固定部36を有し、その延出方向(X方向)の基端3b側に、2枚の不織布31,32間が、Y方向に沿って連続的に接合された基端側固定部37を有している。そして、サイドパネル3に配された弾性部材33は、何れも、先端側固定部36と基端側固定部37との間に亘るように配されていると共に、先端側固定部36及び基端側固定部37のそれぞれにおいて、接着剤36a,37aを介して不織布31,32間に固定されている。
【0016】
そして、サイドパネル3のX方向における、先端側固定部36と基端側固定部37との間が、X方向に伸縮する伸縮部30となっており、該伸縮部30の全体が、柔軟伸縮部38となっている。柔軟伸縮部38においては、図5に示すように、2枚の不織布31,32間が、分散配置された多数の融着部39において融着されていると共に弾性部材33が、それらの融着部39を通らないように配されている。
【0017】
図5に示すように、サイドパネル3における、先端側固定部36と基端側固定部37との間には、不織布31,32間が熱エンボス加工により熱融着された多数のドット状融着部39が形成されており、それらのドット状融着部39は、サイドパネル3のX方向及びY方向に分散している。また、ドット状融着部39は、その複数個(図示例では11個)がY方向に直列してなる融着部列Sを形成しており、その融着部列Sが、X方向に複数列(図示例では8列)形成されている。
【0018】
柔軟伸縮部38である伸縮部30においては、サイドパネル3に配された複数本の弾性部材33の何れもが、Y方向において隣り合うドット状融着部39,39間を通るように配されており、何れの弾性部材33も、ドット状融着部39を通らないように配されている。そのため、それらの弾性部材33は、先端側固定部36と基端側固定部37との間においては、何れの不織布31,32にも接合されていない。但し、融着部列S内の隣り合う融着部39,39間においては、不織布31,32が、伸縮部30における他の部位に比して強く弾性部材33に接触している。
【0019】
収縮状態の伸縮部30においては、融着部列Sどうし間における2枚の不織布31,32が、それぞれ弾性部材33から離れる方向に変形して、Y方向に延びる襞34,35が形成されている。おむつ外面側に配された不織布31は、襞34を形成し、おむつ内面側に配された不織布32は、X方向における襞34と重なる位置に、襞35を形成している。襞34及び襞35は、何れも、複数本の弾性部材33に跨ってY方向に延びている。
【0020】
ファスニングテープ4は、図2及び図3に示すように、サイドパネル3に重ねた状態に固定されたテープ固定部44を有しており、該テープ固定部44の伸縮部30上に位置する部分44aは、伸縮部30が収縮して生じた襞34,34・上に固定されている。テープ固定部44は、接着剤44cを介して、不織布31のおむつ外面側の面に接合されており、伸縮部30上に位置する部分44aが、複数本の襞34の少なくとも頂部に接合されている。また、テープ固定部44における、伸縮部30上に位置する部分44aは、図3に示すように、不織布32によって形成された複数本の襞35,35・とも重なっている。
【0021】
テープ固定部44は、サイドパネル3のY方向の一部R1に設けられている。サイドパネル3は、Y方向において、テープ固定部44より下方に延出する部分R2を有しており、テープ固定部44の下方隣接部位4Nにも、伸縮部30が収縮して生じた複数本の襞34,34・・を有している。
サイドパネル3は、装着時における吸収性本体2の背中部分のフィット性向上と、サイドパネル3の脚周りに対するつっぱりの防止の観点から、テープ固定部44より下方に延出する部分R2のY方向の長さL2(図2参照)が、Y方向の全長Lの25〜70%、特に35〜60%であることが好ましい。
【0022】
本実施形態におけるサイドパネル3は、X方向における伸縮部30の両側に、非伸縮部40を有している。サイドパネル3の先端側の非伸縮部40は、図3に示すように、弾性部材33が、何れの不織布31,32にも接合されていない非接合部となっている。なお、非伸縮部40として、2枚の不織布31,32間が、先端側固定部や基端側固定部の接着剤等に比して低坪量の接着剤により、弾性部材33と不織布31,32との間にずれを生じ得る程度に弱く接合された弱接合部を設けることもできる。
【0023】
本実施形態のおむつ1を、着用者に装着する際には、ファスニングテープ4を手で引っ張り、サイドパネル3を、図6に示すように伸長させた状態で、該ファスニングテープ4をランディングゾーン5に対して止着する。
このようにして装着したおむつにおいては、装着の際や着用中に、ファスニングテープ4のサイドパネル3に対する接合部(テープ固定部44)付近に大きな引っ張り力が掛かり易い。特に、サイドパネル3の下部付近における着用者の周囲長は、着用者の足の付け根や臀部を通り長く、また、着用者の脚の動きにより伸縮の負荷がかかり易い。そのため、テープ固定部44を、伸縮部30よりもX方向の外方側に位置する非伸縮部40の平坦なパネル材のみに固定した場合には、ファスニングテープ4の下縁部付近に伸びや破れが発止し易く、ファスニングテープ4のサイドパネル3からの剥離も生じ易い。なお、ファスニングテープ4の下縁部付近が伸びることは、例えば、ファスニングテープの先端部がY方向の上側に向くことになり、吸収性本体2における着用者の腹側外面に止着する際に、試着する方向(X方向)にスムーズに伸ばしながら止着しづらくなるといった不都合がある。
【0024】
これに対して、本実施形態のおむつ1においては、テープ固定部44の下方隣接部位4Nに、伸縮部30が収縮して生じた複数本の襞34,34を有しているため、図6に示すように、下方隣接部位4Nが柔軟に変形して、テープ固定部44の下縁部44d付近に加わる引っ張り力を緩和する。そのため、ファスニングテープ4に伸びや破れが生じたり、ファスニングテープ4がサイドパネル3から剥離したりことが効果的に防止される。
斯かる効果は、本実施形態のサイドパネル3のように、テープ固定部44の一部44aが、伸縮部30が収縮して生じた襞34上に固定されていると一層確実に奏される。
【0025】
なお、本実施形態におけるテープ固定部44は、図3に示すように、伸縮部30上に固定された部分44aと、サイドパネル3の先端側の非伸縮部40上に固定された部分44bとを有している。
【0026】
テープ固定部44の下方隣接部位4Nに位置する襞34の本数、及びテープ固定部44と重なる部位に存する襞34の本数は、図示例では3本であるが、何れも、複数本であることが好ましく、より好ましくは2〜6本であり、更に好ましくは2〜4本である。
【0027】
また、本実施形態における伸縮部30は、上記構成の柔軟伸縮部38であり、襞34,35の柔軟性やX方向への変形性に優れるため、掛かる効果が一層確実に奏される。
【0028】
おむつ1の構成材料について説明する。
サイドパネル3を構成する不織布31,32、ファスニングテープ4のテープ基材42としては、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられている各種の不織布等を、特に制限なく用いることができる。また、サイドパネル3を構成するパネル材や、ファスニングテープのテープ基材42としては、不織布に代えて、樹脂フィルムや、不織布と樹脂フィルムとを積層一体化したシート等を用いることもできる。
【0029】
吸収性本体2を構成する表面シート21、裏面シート22、吸収体23としては、それぞれ、従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート22としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体23としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート24としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
【0030】
弾性部材33、立体ガードを構成する弾性部材25、レッグ部弾性部材26としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状ないし紐状の弾性部材を用いることができる。糸状ないし紐状の弾性部材としては、断面が円形、正方形状のものの他、断面が楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものを用いることもでき、マルチフィラメントタイプのものを用いることもできる。
【0031】
第1実施形態のおむつ1の好ましい製造方法は、サイドパネルを製造するサイドパネルの製造工程、及び前記ファスニングテープを、その一部が、製造したサイドパネルにおける収縮した伸縮部に重なるようにサイドパネルに接合するファスニングテープ接合工程を具備する。
サイドパネルの製造工程においては、サイドパネルを構成する2枚の不織布(パネル材)31,32間に、弾性部材33を伸長状態で固定し、図5に示すようなサイドパネル3を製造する。例えば、先端側固定部36及び基端側固定部37を形成するための接着剤36a,37aを、不織布31,32の何れか一方に塗工した後、弾性部材33を、その塗工部間に架け渡すようにして伸長状態で配し、更にその伸長状態を維持しながら、それらの弾性部材上に他方の不織布を配し、それらを、ニップローラーや公知のプレス装置等を用いて加圧して一体化させる。また、不織布31,32間に弾性部材33を配した後、熱エンボス加工、超音波エンボス加工、高周波エンボス加工等を用いて、ドット状融着部39を形成する。
【0032】
ファスニングテープ接合工程においては、図7に示すように、サイドパネル3の伸縮部30を収縮させて前述した襞34,35を生じさせた後、片面の所定箇所に接着剤44cを塗工したファスニングテープのテープ基材42を、その接着剤塗工部の一部を収縮した伸縮部30に重ねるようにしてサイドパネル3に重ね、それらを、ニップローラーや公知のプレス装置等を用いて加圧して一体化させる。ファスニングテープ接合工程においてサイドパネル3に接合するファスニングテープは、その時点で、既に機械的面ファスナーのオス部材43等が固定されて止着部41が形成されているものであっても良いし、止着部41を形成する前のものであっても良い。
【0033】
そして、このようにして得られたファスニングテープ及びサイドパネルの複合体を、吸収性本体2の構成部材、例えば、表面シート21の両側に立体ガード形成用シート24が接合されている複合シートに公知の接合方法により接合し、更に吸収性本体2の他の構成部材、例えば、裏面シート22や吸収体23を一体化させて、使い捨ておむつ1を得る。
なお、ファスニングテープ接合工程は、サイドパネルの製造工程で製造したサイドパネル3を、本体2の構成部材に固定した後に行っても良い。また、製造方法に関し特に説明しない点は、サイドパネルを有する使い捨ておむつの従来の製造方法と同様に行うことができる。
【0034】
次に、本発明の他の実施形態の使い捨ておむつについて図8図10を参照して説明する。他の実施形態の使い捨ておむつは、サイドパネル及び/又はファスニングテープの構成が第1実施形態と異なる。他の実施形態については、第1実施形態と異なる点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に言及しない点については、第1実施形態に関する説明が好ましい構成を含めて適宜適用される。
【0035】
第2実施形態のおむつにおいては、第1実施形態におけるのと同一構成のサイドパネル3に、第1実施形態とは異なる態様で、ファスニングテープ4Aが設けられている。
即ち、第2実施形態におけるファスニングテープ4Aは、図8及び図9に示すように、サイドパネル3の片面側にテープ基材42を重ねると共に該サイドパネル3の他面側に補助シート47を重ね、両者間にサイドパネル3を介在させた状態で、これらを熱エンボス加工により一体的に加熱及び加圧することにより、サイドパネル3に固定されている。補助シート47としては、不織布や、不織布と樹脂シートとの積層体等が用いられる。第2実施形態のファスニングテープ4Aには、テープ基材42の片面に粘着剤が塗工されて止着部41が形成されている。
【0036】
第2実施形態のおむつにおいても、テープ固定部44の下方隣接部位4Nに、伸縮部30が収縮して生じた複数本の襞34,34が形成されている。また、テープ固定部44は、熱エンボス加工により形成されたドット状の融着部45,46により、サイドパネル3に固定されており、テープ固定部44の一部44aは、伸縮部30が収縮して生じた襞34上に固定されている。
そのため、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
第3及び第4実施形態におけるサイドパネル3Aは、図10に示すように、2枚の不織布(パネル材)31,32間が、サイドパネルの延出方向(X方向)と交差する交差方向(Y方向)に連続的に接合されている連続接合部36’を、該延出方向に複数本有している。弾性部材33は、各連続接合部36’において、パネル材31,32間に図示しない接着剤を介して固定されている。
そして、収縮状態のサイドパネル3Aにおいては、隣り合う連続接合部36’,36’どうし間における不織布(パネル材)31,32が互いに離れる方向に膨出して、サイドパネル3Aの両面のそれぞれに、Y方向に沿って延びる複数本の襞(図示せず)が形成される。
【0038】
図示しないが、第3実施形態におけるサイドパネル3Aには、第1実施形態におけるファスニングテープと同様の構成を有するファスニングテープが第1実施形態と同様の態様で固定されており、第4実施形態におけるサイドパネル3Aには、第2実施形態におけるファスニングテープと同様の構成を有するファスニングテープが第2実施形態と同様の態様で固定されている。
第3及び第4実施形態においても、ファスニングテープのテープ固定部の一部が、伸縮部30の収縮により生じた襞上に固定されており、また、テープ固定部の下方隣接部位に、伸縮部30の収縮により生じた複数本の襞が形成されている。
そのため、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0039】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は、上記の各実施形態に制限されず、種々の変更可能である。
【0040】
例えば、伸縮部30は、X方向の全体に代えて一部が柔軟伸縮部38であっても良い。柔軟伸縮部38に形成する融着部列Sの本数も、図5に示す8本に代えて、1本〜7本、又は9本以上(例えば4〜15本等)とすることもできる。また、融着部列Sを構成するドット状融着部39の個数も、サイドパネルに配する弾性部材33の本数等に応じて適宜に決定することができる。また、ドット状融着部39の形状は、矩形、長円、円、楕円、菱形、三角形、五角形等の適宜の形状とすることができる。
また、一枚のサイドパネルに配する弾性部材33の本数も、適宜に変更することができ、例えば、5〜20本とすることができ、好ましくは10〜15本程度である。
【0041】
また、ファスニングテープ4,4Aの止着部は、機械的面ファスナーのオス部材に代えて、粘着剤を塗布した粘着部であっても良い。機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部を止着するランディングゾーンは、裏面シート22の外面に、機械的面ファスナーのメス部材を接合して形成しても良いし、裏面シート22の外面を、係合性に富む不織布から構成し、その所定領域をランディングゾーンとしても良い。また、腹側部Aにおける吸収性本体3の両側に腹側サイドパネルを設け、該腹側サイドパネルに、ファスニングテープの止着部41を止着させるようにしても良い。
また、融着部39、融着部45及び融着部46は、それぞれ、熱エンボス加工の他、超音波エンボス、高周波エンボスにより形成したものであっても良い。また、先端側固定部及び基端側固定部も、接着剤に代えて、熱エンボス加工、超音波エンボス、高周波エンボスによる融着等により形成したものであっても良い。また、接着剤と熱エンボス加工等の併用による接合部であっても良い。
【0042】
また、図3及び9には、ファスニングテープ4,4Aのテープ基材42を、不織布31のおむつ外面側の面に固定した例を示したが、不織布32のおむつ内面(着用者の肌側に向けられる面)側の面に固定しても良い。
また、テープ固定部44は、サイドパネル3の伸縮部30上のみに固定され、サイドパネル3の先端側の非伸縮部40上には固定されていないものであっても良い。また、先端側の非伸縮部40自体を実質的に有しないものであっても良い。
【0043】
サイドパネル3の吸収性本体2に対する固定に関し、図3には、サイドパネルを、立体ガード形成用シート24と裏面シート22との間に、図示しない接着剤を介して固定した例を示したが、サイドパネルを、吸収性本体2を構成するシート間に熱融着等により固定しても良いし、サイドパネルを、裏面シート22の外面(立体ガード形成用シート24側ではない面)側に接着剤や熱融着等により接合しても良い。
【0044】
また、サイドパネルは、サイドパネル3における融着部列Sの何れか1以上を連続接合部36’に代えたものであっても良いし、サイドパネル3Aにおける連続接合部36’の何れか1以上(好ましくはX方向に連続する2以上)を融着部列Sに代えたものであっても良い。
また、使い捨ておむつは、立体ガードを有しないものであっても良く、サイドパネルを、吸収性本体2の両側部において、表面シートと裏面シートとの間や表面シート上に固定しても良い。
【0045】
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 使い捨ておむつ
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
24 立体ガード形成用シート
3,3A サイドパネル
30 伸縮部
31,32 不織布(パネル材)
33 弾性部材
34,35 襞
36 先端側固定部
37 基端側固定部
38 柔軟伸縮部
39 ドット状融着部(融着部)
4,4A ファスニングテープ
41 止着部
42 テープ基材
44 テープ固定部
4N テープ固定部の下方隣接部位
5 ランディングゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10