(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、近年は、発熱体の電気抵抗値が低く設定されている急速昇温型のグロープラグが使用されるようになっている。しかしながら、このような急速昇温型のグロープラグは、外観上は発熱抵抗体の電気抵抗値が高い従来型のグロープラグと同様である。このため、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける可能性がある。このように従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付けてしまうと、発熱体が耐熱温度を超えて加熱され、溶融して破損し、エンジン自体を破損してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記従来の事情に対処してなされたものである。本発明は、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を未然に防止することのできるグロープラグ組み付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグロープラグ組み付け構造の一態様は、軸線方向に延びるグロープラグであって、棒状の発熱体と、前記発熱体を取り囲み、該発熱体を保持する筒状の主体金具と、前記主体金具内に挿通され、前記発熱体の後端側に接続する接続端子と、前記接続端子と前記主体金具との間に配置され、前記接続端子と前記主体金具とを電気的に絶縁する絶縁体と、を有するグロープラグと、前記グロープラグの後端側に接続し、前記グロープラグと外部回路とを電気的に接続するグロープラグコネクタであって、前記グロープラグの前記接続端子に外挿され、前記接続端子と電気的に接続するコネクタ端子と、該コネクタ端子を内包するキャップ部と、を有するグロープラグコネクタと、を備えるグロープラグ組み付け構造において、前記発熱体及び前記主体金具の外観形状が同一であり、且つ発熱体の性能が異なる複数種の前記グロープラグについて、前記主体金具の後端から後端側に向かって突出する前記接続端子の後端部又は前記絶縁体の少なくとも一部の形状を、複数種の前記グロープラグ毎に夫々異ならせ、複数種の前記グロープラグのうち第1種の前記グロープラグの前記接続端子の後端部又は前記絶縁体のみに
正しく嵌合させることができるように挿抜可能な形状を有する前記コネクタ端子又は前記キャップ部を備える第1種の前記グロープラグコネクタを準備して、前記第1種の前記グロープラグに前記第1種の前記グロープラグコネクタを組み付けてなることを特徴とする。
【0008】
本発明のグロープラグ組み付け構造では、発熱体及び主体金具の外観形状が同一であり、且つ発熱体の性能が異なる複数種のグロープラグについて、主体金具の後端から後端側に向かって突出する接続端子の後端部又は前記絶縁体の少なくとも一部の形状を、複数種のグロープラグ毎に夫々異ならせ、複数種のグロープラグのうち第1種のグロープラグの接続端子の後端部又は絶縁体のみに挿抜可能な形状を有するコネクタ端子又はキャップ部を備える第1種のグロープラグコネクタを準備して、第1種のグロープラグに第1種の前記グロープラグコネクタを組み付けてなる構成となっている。したがって、例えば、従来型のグロープラグと急速昇温型のグロープラグとにおける接続端子の後端部の形状、又は絶縁体の形状を異なる形状としておき、且つ急速昇温型のグロープラグとのみ、又は従来型のグロープラグとのみ対応するコネクタが組みつけられるようにしておく。これにより、急速昇温型のグロープラグに取り付けるはずのグロープラグコネクタを従来型のグロープラグに取り付けることを防止できる。よって、発熱体や主体金具の外観形状が同一で、且つ発熱体の性能が異なる複数種のグロープラグであっても、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける等の誤装着を防止することができ、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を未然に防止することができる。
【0009】
なお、グロープラグとグロープラグコネクタとの組み付け構造としては、グロープラグの接続端子の後端部とグロープラグコネクタのコネクタ端子との組み合わせ、グロープラグの接続端子の後端部とグロープラグコネクタのキャップ部との組み合わせ、グロープラグの絶縁体とグロープラグコネクタのコネクタ端子との組み合わせ、グロープラグの絶縁体とグロープラグコネクタのキャップ部との組み合わせにて対応可能である。
【0010】
また、「発熱体及び主体金具の外観形状が同一」とは、発熱体及び主体金具の形状、長さや太さ等の寸法が同一であることを指す。さらに、「発熱体の性能が異なる」とは、発熱体の昇温速度、抵抗値が異なるものを指し、具体的には、例えば、メタルグロープラグにおいては、発熱体内に設けられるコイルの材質、太さや巻き数が異なるもの、セラミックグロープラグにおいては、セラミック材の材質、形状が異なるものを指す。
【0011】
上記構成の本発明のグロープラグ組み付け構造では、複数種のグロープラグについて、主体金具の後端から後端側に向かって突出する接続端子の後端部又は絶縁体の、前記軸線方向から見た形状を、複数種のグロープラグ毎にそれぞれ形状を異ならせ、複数種のグロープラグのうち、第1種のグロープラグの接続端子の後端部又は絶縁体のみに挿抜可能な形状を有するコネクタ端子又はキャップ部を備える第1種のグロープラグコネクタを準備して、第1種のグロープラグに第1種のグロープラグコネクタを組み付けてなる構成とすることができる。これにより、発熱体や主体金具の外観形状が同一で、且つ発熱体の性能が異なる複数種のグロープラグであっても、接続端子の後端部、絶縁体、コネクタ端子又はキャップ部の形状のみを変更することで、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける等の誤装着を防止することができる。よって、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を容易に防止することができる。
【0012】
さらに、絶縁体又はキャップ部の、軸線方向から見た形状を、複数種のグロープラグ毎にそれぞれ形状を異ならせることがより好ましい。なぜなら樹脂製部品である絶縁体及びキャップ部の形状を所定形状に加工することによって上記のグロープラグ組み付け構造をさらに容易に実現することができるので、接続端子やコネクタ端子の金属製部品を加工する場合に比べてその製造工程を簡易化することができる。
【0013】
また、上記構成の本発明のグロープラグ組み付け構造では、主体金具の後端から後端側に向かって突出する絶縁体又は接続端子の後端部の、軸線方向後端側から見た形状が、軸線を通る直線に対して線対称、もしくは、軸線を通る点に対して点対称とすることができる。これによって、複数の回転方向位置で嵌合させることができ、嵌合を容易に行うことができる。
【0014】
また、上記構成の本発明のグロープラグ組み付け構造では、主体金具の後端から後端側に向かって突出する絶縁体又は接続端子の後端部の、軸線方向後端側から見た形状を、一部を外側に向けて突出する凸部を有する形状、一部を内側に向けて凹陥された凹部を有する形状、多角形状又は楕円形状などとすることができる。
【0015】
さらに、上記構成の本発明のグロープラグ組み付け構造では、主体金具の後端から後端側に向かって突出する絶縁体の直径を複数種のグロープラグ毎に夫々異ならせ、複数種のグロープラグのうち、第1種のグロープラグの絶縁体のみに挿抜可能な内径を有するキャップ部を備える第1種のグロープラグコネクタを準備して、第1種の前記グロープラグに第1種の前記グロープラグコネクタを組み付けてなる構成とすることができる。これにより、グロープラグやグロープラグコネクタのうちで、絶縁体以外の仕様を変更することなく、さらに絶縁体の形状を変更することなく、絶縁体の外径を変更することのみで、発熱体や主体金具の外観形状が同一で、且つ発熱体の性能が異なる複数種のグロープラグであっても、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける等の誤装着を防止することができる。よって、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を防止することができる。
【0016】
さらに、上記構成の本発明のグロープラグ組み付け構造では、主体金具の後端から後端側に向かって突出する絶縁体の厚さを複数種のグロープラグ毎に夫々異ならせ、複数種のグロープラグのうち、第1種のグロープラグの絶縁体にキャップ部が当接するように、第1種のグロープラグにグロープラグコネクタを挿入した際に、接続端子とコネクタ端子とが電気的に接続可能となるキャップ部を備える第1種の前記グロープラグコネクタを準備して、第1種の前記グロープラグに第1種の前記グロープラグコネクタを組み付けてなる構成とすることができる。これにより、グロープラグやグロープラグコネクタのうちで、絶縁体以外の仕様を変更することなく、さらに絶縁体の形状を変更することなく、絶縁体の厚みを変更することのみで、発熱体や主体金具の外観形状が同一で、且つ発熱体の性能が異なる複数種のグロープラグであっても、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける等の誤装着を防止することができる。よって、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を未然に防止することのできるグロープラグ組み付け構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の詳細を、図面を参照して実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるグロープラグ1の全体概略構成を示す図であり、
図2はグロープラグ1の縦断面概略構成を示す図である。
【0021】
図1、
図2に示すように、グロープラグ1は、筒状の主体金具2と、主体金具2に装着されたシーズヒータ3(特許請求の範囲の発熱体に相当)とを備えている。
【0022】
主体金具2には、軸線C
1方向に貫通する軸孔4が形成されている。また、主体金具2の外周面には、ディーゼルエンジンへの取付用のねじ部5と、トルクレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部6とが形成されている。
【0023】
シーズヒータ3は、発熱コイル等を収容するシーズ管7を具備している。シーズ管7の後端側には、リード部材としての中軸8が軸線C
1方向に一体化されて固定されている。
【0024】
シーズ管7は、先端部が閉じた金属製、例えばステンレスやニッケル系合金(例えば、インコネル(商品名))などからなる筒状のチューブから構成されている。このシーズ管7内には、シーズ管7先端に接合された図示しない発熱コイルと、当該発熱コイルの後端に直列接続された図示しない制御コイルとが酸化マグネシウム粉末等の絶縁粉末とともに封入されている。中軸8は、制御コイルの後端側に接合されており、シーズ管7の後端と中軸8との間は、図示しない環状ゴムにより封止されている。
【0025】
シーズ管7には、スウェージング加工等によって、その先端部に発熱コイル等を収容する小径部7aが形成されるとともに、その後端側において小径部7aよりも径の大きい大径部7bが形成されている。そして、
図2に示すように、この大径部7bが、主体金具2の軸孔4に形成された小径部4aに対し圧入接合されることにより、シーズ管7が主体金具2の先端より突出した状態で保持される。
【0026】
中軸8は、炭素鋼(例えばSCM435)からなる金属棒であり、自身の先端がシーズ管7内に挿入され、制御コイルの後端と電気的に接続されるとともに、主体金具2の軸孔4に挿通されている。中軸8の後端は主体金具2の後端から突出しており、中軸8の後端側には、環状のOリング12および樹脂などからなる絶縁リング13(特許請求の範囲の絶縁体に相当)が嵌められている。絶縁リング13には、後端側に拡径部が形成されており、この拡径部にて、主体金具2の後端に係合されている。
【0027】
上記Oリング12が、主体金具2の軸孔4の内周面と、中軸8の外周面と、絶縁リング13の先端側の面とに当接することによって軸孔4内の気密性が保たれている。また、絶縁リング13によって、中軸8と主体金具2の軸孔4とが非接触の状態で位置決めされ、両者の間が電気的に絶縁されている。
【0028】
絶縁リング13の後端より突出した中軸8の後端部分には、キャップ状のピン端子14が嵌合されている。これらの中軸8及びピン端子14によって、シーズヒータ3(発熱体)の後端側に接続する接続端子が構成されている。
【0029】
上記構成のグロープラグ1は、シーズヒータ3が主体金具2の軸孔4に圧入固定されるとともに、主体金具2の後端部分において、Oリング12及び絶縁リング13等が中軸8に嵌め込まれ、絶縁リング13を主体金具2に対して押圧した状態でピン端子14の外周がかしめられることによって完成する。
【0030】
次に、グロープラグに接続するグロープラグコネクタ30について説明する。
図3は、本発明の第1実施形態にかかるグロープラグコネクタ30の全体概略構成を示す図である。
【0031】
図3に示すように、グロープラグコネクタ30は、ピン端子14との間で電気的な導通をとるためのコネクタ端子31と、このコネクタ端子31を内包する絶縁性のキャップ部32とを具備している。このキャップ部32は、絶縁性の樹脂などから構成されている。さらに、コネクタ端子31には、外部回路と接続するためのリード線34が接続されている。
【0032】
そして、コネクタ端子31は、ピン端子14と嵌合可能な形状とされ、ピン端子14の後端側から嵌合される。一方、キャップ部32は、コネクタ端子31とピン端子14とを嵌合させた際に、ピン端子14の後端部の外側を覆うようになっている(
図4参照)。
【0033】
ここで、第1実施形態のグロープラグ1のピン端子14は、後端側から見た時の形状が、単に円形の形状ではなく、例えば、
図5(a)〜
図9(a)に示すような形状とされている。すなわち、例えば
図5(a)に示すようにピン端子14の外周の一部に、外周側に向けて突出する矩形状の凸部40が形成された形状などとされている。したがって、通常のグロープラグコネクタのように、キャップ部の先端側の形状が円形とされているものは、グロープラグ1に正しく嵌合させることができない。なお、ピン端子14において形状を異ならせる位置は、後端側の棒状部91、もしくは棒状部91の先端側に設けられている大径部92のいずれであってもよい(
図4参照)。
【0034】
一方、本第1実施形態において、グロープラグコネクタ30は、
図5(b)に示すように、少なくともキャップ部32の先端側開口33の形状が、ピン端子14の形状に応じ、凸部40に対応する凹部41が形成された形状となっている。これによって、
図5(b)の形状のキャップ部32を有するグロープラグコネクタ30と、
図5(a)の形状のピン端子14を有するグロープラグ1とが、一対一の対応にて挿抜可能とされている。なお、
図5に示す例では、矩形状の凸部40及び凹部41を夫々1つずつ設けているが、これらの凸部40及び凹部41は、周方向に沿って複数設けた形状としてもよい。また、凸部40及び凹部41は矩形状に限らず他の形状、例えば3角形状などとしてもよい。
【0035】
図6〜
図9は、上記のピン端子14の形状及びグロープラグコネクタ30のキャップ部32の先端側開口33の形状における他の例を示すものである。
【0036】
図6に示す例では、
図6(a)に示すように、ピン端子14は後端側から見た時の形状が、三角形状とされている。また、グロープラグコネクタ30は、
図6(b)に示すように、少なくともキャップ部32の先端側開口33の形状が、ピン端子14の形状に応じて三角形状とされている。これによって、
図6(b)の形状のキャップ部32を有するグロープラグコネクタ30と、
図6(a)の形状のピン端子14を有するグロープラグ1とが、一対一の対応にて挿抜可能とされている。なお、上記の形状は三角形状に限定されるものではなく、四角形状、五角形状などの多角形状又は楕円形状などとしてもよい。
【0037】
図7に示す例では、
図7(a)に示すように、ピン端子14は後端側から見た時の形状が、ピン端子14の外周の一部に、外周側に向けて突出する矩形状の凸部60が形成された形状とされている。この凸部60の外側に向けて突出する突出長さは、
図5に示した矩形状の凸部40より長くなっている。一方、グロープラグコネクタ30は、
図7(b)に示すように、少なくともキャップ部32の先端側開口33の形状が、ピン端子14の形状に応じて切り欠き部61が形成された形状となっている。これによって、
図7(b)の形状のキャップ部32を有するグロープラグコネクタ30と、
図7(a)の形状のピン端子14を有するグロープラグ1とが、一対一の対応にて挿抜可能とされている。
【0038】
図8に示す例では、
図8(a)に示すように、ピン端子14は後端側から見た時の形状が、ピン端子14の外周の一部に、内周側に向けて凹陥された矩形状の凹部70が形成された形状とされている。一方、グロープラグコネクタ30は、
図8(b)に示すように、少なくともキャップ部32の先端側開口33の形状が、ピン端子14の形状に応じて内側に向けて突出する矩形状の凸部71が形成された形状となっている。これによって、
図8(b)の形状のキャップ部32を有するグロープラグコネクタ30と、
図8(a)の形状のピン端子14を有するグロープラグ1とが、一対一の対応にて挿抜可能とされている。
【0039】
図9に示す例では、
図9(a)に示すように、ピン端子14は後端側から見た時の形状が、ピン端子14の外周の一部に、外周側に向けて突出する矩形状の凸部80が、1つ形成された形状とされている。一方、グロープラグコネクタ30は、
図9(b)に示すように、少なくともキャップ部32の先端側の形状が、ピン端子14の凸部80に対応した凹部81が180°離れた位置に夫々1つずつ合計2つ形成された形状となっている。これによって、
図9(b)の形状のキャップ部32を有するグロープラグコネクタ30と、
図9(a)の形状のピン端子14を有するグロープラグ1とが、一対一の対応にて挿抜可能とされている。また、この場合、グロープラグ1とグロープラグコネクタ30とを180°回転させた各位置で嵌合させることができるようになっている。このように、凸部80を1つのみ設け、凹部81を周方向に沿って複数設けることによって、複数の回転方向位置で嵌合させることができる。なお、凹部81の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【0040】
なお、
図5,7,8に示す例では、グロープラグ1とグロープラグコネクタ30とを一定の回転位置に合わせた状態、つまり、例えば凸部40と凹部41との位置を合わせた位置で嵌合させる必要がある。また、
図6に示す例では、上記したピン端子14の三角形状を、正三角形とすることによって、グロープラグ1とグロープラグコネクタ30とを120°回転させた各位置で嵌合させることができる。ピン端子14の形状及びグロープラグコネクタ30のキャップ部32の先端側の形状は、軸線C1(
図1,2参照。)方向後端側から見た形状が、軸線C1を通る直線に対して線対称、もしくは、軸線C1を通る点に対して点対称とすることが好ましい。これによって、複数の回転方向位置で嵌合させることができる。
【0041】
以上のように、本第1実施形態のグロープラグ組み付け構造では、複数種のグロープラグ1について、主体金具2の後端から後端側に向かって突出するピン端子14を複数種のグロープラグ1毎にそれぞれ形状を異ならせ、複数種のグロープラグ1のうち、第1種のグロープラグ1のピン端子14のみに挿抜可能なキャップ部32を備える第1種のグロープラグコネクタ30を準備して、第1種のグロープラグ1に第1種のグロープラグコネクタ30を組み付けてなる構成となっている。
【0042】
したがって、シーズヒータ3や主体金具2の外観形状が同一で、且つ発熱コイルや制御コイルの性質が異なる複数種のグロープラグ1であっても、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける等の誤装着を防止することができ、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を未然に防止することができる。
【0043】
また、複数種のグロープラグ1について、主体金具2の後端から後端側に向かって突出するピン端子14の、軸線方向から見た形状を、複数種のグロープラグ1毎にそれぞれ形状を異ならせ、複数種のグロープラグ1のうち、第1種のグロープラグのピン端子14のみに挿抜可能な形状を有するキャップ部32を備える第1種のグロープラグコネクタ30を準備して、第1種のグロープラグ1に第1種のグロープラグコネクタ30を組み付けてなる構成とすることができる。これにより、シーズヒータ3や主体金具2の外観形状が同一で、且つ発熱コイルや制御コイルの性質が異なる複数種のグロープラグ1であっても、ピン端子14及びキャップ部32の形状のみを変更することで、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける等の誤装着を容易に防止することができ、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を容易に防止することができる。
【0044】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、グロープラグ1の絶縁リング13の形状をグロープラグ1の種類毎に異ならせ、これに応じてグロープラグコネクタ30のキャップ部32の形状を変更するものである。なお、第2実施形態においては、第1実施形態に対してピン端子14及び絶縁リング13の形状のみが異なるものであり、その他の部分の説明については省略し、第1実施形態と同部材については同符号を用いる。
【0045】
第2実施形態においては、キャップ部32の形状は、前述した第1実施形態と同様に、例えば、
図5(b)〜
図9(b)に示した形状などとすることができる。
【0046】
一方、ピン端子14は、第1実施形態のようにキャップ部32の形状に対応しておらず、後端側から見た時の形状が(キャップ部32の内孔よりも小径の)略円形を有している。これに対し、絶縁リング13の形状は、グロープラグコネクタ30とグロープラグ1とが、一対一の対応にて挿抜可能となるように、キャップ部32の形状に対応していればよく、例えば、第1実施形態のピン端子14にて説明した、
図5(a)〜
図9(a)に示した形状と同様の形状とすることができる。なお、第2実施形態では、キャップ部32が、コネクタ端子31がピン端子14に嵌合した際に、グロープラグ1の絶縁リング13に外嵌することとなる。
【0047】
この第2実施形態のように、グロープラグ1の種類毎に絶縁リング13の形状を異ならせ、これに応じてグロープラグコネクタ30のキャップ部32の形状を変更して、グロープラグ1とグロープラグコネクタ30とが、一対一の対応にて挿抜可能としてもよい。さらに、樹脂製部品である絶縁体13及びキャップ部32の形状を所定形状に加工することによって上記のグロープラグ組み付け構造を実現することができるので、金属製部品を加工する場合に比べてその製造工程を簡易化することができる。
【0048】
次に、第3実施形態について説明する。
図10に示すように、この第3実施形態では、グロープラグ1のピン端子14の形状をグロープラグ1の種類毎に異ならせ、これに応じてグロープラグコネクタ30のコネクタ端子31の形状を変更するものである。なお、第3実施形態においては、第1実施形態に対してコネクタ端子31及びキャップ部32の形状のみが異なるものであり、その他の部分の説明については省略し、第1実施形態と同部材については同符号を用いる。また、
図10では、第3実施形態の説明のために、キャップ部32については省略している。
【0049】
第3実施形態では、ピン端子14の形状は、前述した第1実施形態と同様に、例えば、
図5(a)〜
図9(a)に示した形状などとすることができる。
【0050】
一方、キャップ部32(特に、先端開口部33)は、第1実施形態のようにピン端子14の形状に対応しておらず、後端側から見た時の形状が(ピン端子14よりも大径の)略円形を有している。これに対し、コネクタ端子31の形状は、グロープラグコネクタ30とグロープラグ1とが、一対一の対応にて挿抜可能となるように、ピン端子14の形状に対応していればよく、例えば、第1実施形態のキャップ部32の先端部開口33にて説明した、
図5(b)〜
図9(b)に示した形状と同様の形状とすることができる。
【0051】
この第3実施形態のように、グロープラグ1の種類毎にピン端子14の形状を異ならせ、これに応じてグロープラグコネクタ30のコネクタ端子31の形状を変更して、グロープラグ1とグロープラグコネクタ30とが、一対一の対応にて挿抜可能としてもよい。
【0052】
次に、第4実施形態について説明する。
図11に示すように、この第4実施形態では、上述した第2実施形態とは異なる形状のグロープラグコネクタ130を用いている。なお、第4実施形態においては、第2実施形態に対してグロープラグコネクタ130(特に、コネクタ端子131)の形状のみが異なるものであり、その他の部分の説明については省略し、第1実施形態と同部材については同符号を用いる。また、
図11では、第4実施形態の説明のために、キャップ部132については省略している。
【0053】
第4実施形態では、
図11に示すように、グロープラグコネクタ130のコネクタ端子31の先端側に、コネクタ端子131よりも径大な金属製のカップ部135を有している。このカップ部135は、コネクタ端子131がピン端子14に嵌合した際、グロープラグ1の絶縁リング13に外嵌することとなる。
【0054】
そして、第4実施形態においては、絶縁リング13の形状は、前述した第2実施形態と同様に、例えば、第1実施形態のピン端子14にて説明した、
図5(a)〜
図9(a)に示した形状などとすることができる。
【0055】
一方、グロープラグコネクタ130のカップ部135は、グロープラグコネクタ130とグロープラグ1とが、一対一の対応にて挿抜可能となるように、絶縁リング13の形状に対応していればよく、例えば、第1実施形態のキャップ部32にて説明した、
図5(b)〜
図9(b)に示した形状と同様の形状とすることができる。
【0056】
この第4実施形態のように、グロープラグ1の種類毎に絶縁リング13の形状を異ならせ、これに応じてグロープラグコネクタ130のカップ部135の形状を変更して、グロープラグ1とグロープラグコネクタ130とが、一対一の対応にて挿抜可能としてもよい。
【0057】
次に、
図12、
図13を参照して第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、グロープラグ1の絶縁リング113、213の径をグロープラグ1の種類毎に異ならせ、これに応じてグロープラグコネクタ230の少なくともキャップ部232の先端側開口233の径を変更する構成としたものである。すなわち、
図12(a)、(b)に示すグロープラグ1は、
図13(a)、(b)に示すグロープラグ1よりも径の小さな絶縁リング113が使用されており、
図13(a)、(b)に示すグロープラグ1は絶縁リング113よりも径の大きな絶縁リング213が使用されている。この場合、
図12に示すように、絶縁リング113に対応した径の先端側開口233を有するグロープラグコネクタ230は、絶縁リング113を用いたグロープラグ1には正しく嵌合させることができる。しかし、
図13に示すように、このグロープラグコネクタ230は、絶縁リング213を用いたグロープラグ1には正しく嵌合させることができない。
【0058】
このように、主体金具2の後端から後端側に向かって突出する絶縁リング113、213の直径を複数種のグロープラグ1毎に夫々異ならせ、複数種のグロープラグ1のうち、第1種のグロープラグ1の絶縁リング113、213のみに挿抜可能な内径を有するキャップ部232を備える第1種のグロープラグコネクタ230を準備して、第1種のグロープラグ1に第1種のグロープラグコネクタ230を組み付けてなる構成とすることができる。これにより、グロープラグ1やグロープラグコネクタ230のうちで、絶縁リング113、213以外の仕様を変更することなく、さらに絶縁リング113、213の形状を変更することなく、絶縁リング113、213の外径を変更することのみで、シーズヒータ3や主体金具2の外観形状が同一で、且つ発熱コイルや制御コイルの性質が異なる複数種のグロープラグ1であっても、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける等の誤装着を防止することができる。よって、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を容易に防止することができる。
【0059】
次に、
図14、
図15を参照して第6実施形態について説明する。この第6実施形態では、グロープラグ1の絶縁リング13の露出部の厚さ(
図2に示した後端側の拡径部の厚さ)をグロープラグ1の種類毎に異ならせ、これに応じてグロープラグコネクタ330のキャップ部332の長さ(内包するコネクタ端子より先端側に延在する部分の長さ)を変更する構成としたものである。すなわちこの場合、例えば、グロープラグ1の種類によって、
図14(a)に示すような厚さの薄い絶縁リング313と、
図15(a)に示すような厚さの厚い絶縁リング413とを用いる。これによって、グロープラグ1では、絶縁リング313及び絶縁リング413の後端側(
図14、
図15中上側)露出面とピン端子14の後端部までの高さ(
図14に示すh1、
図15に示すh2)が変化する。つまり、厚さの厚い絶縁リング413を用いると露出面とピン端子14の後端部までの高さh2が、厚さの薄い絶縁リング313を用いた場合のh1に比べて短くなる。
【0060】
一方、グロープラグコネクタ330は、キャップ部332の先端が、絶縁リング313及び絶縁リング413の後端側(
図14中上側)露出面に当接される構成とするとともに、キャップ部332の長さ(内包するコネクタ端子より先端側に延在する部分の長さ)を、上記したh1、h2に応じて変更する。これによって、絶縁体31リングを用いたグロープラグ1用のグロープラグコネクタ330は、
図14(b)に示すように、絶縁リング313を用いたグロープラグ1には嵌合させることができるが、
図15(b)に示すように、絶縁リング413を用いたグロープラグ1には、所定の嵌合位置まで挿入することができず、正しく嵌合させることができない。
【0061】
このように、主体金具2の後端から後端側に向かって突出する絶縁リング313、413の厚さを複数種のグロープラグ1毎に夫々異ならせ、複数種のグロープラグ1のうち、第1種のグロープラグ1の絶縁リング313、413にキャップ部332が当接するように、第1種のグロープラグ1にグロープラグコネクタ330を挿入した際に、ピン端子14とコネクタ端子とが電気的に接続可能となるキャップ部332を備える第1種のグロープラグコネクタ330を準備して、第1種のグロープラグ1に第1種のグロープラグコネクタ330を組み付けてなる構成とすることができる。これにより、グロープラグ1やグロープラグコネクタ330のうちで、絶縁リング313、413以外の仕様を変更することなく、さらに絶縁リング313、413の形状を変更することなく、絶縁リング313、413の厚さを変更することのみで、シーズヒータ3や主体金具2の外観形状が同一で、且つ発熱コイルや制御コイルの性質が異なる複数種のグロープラグ1であっても、誤って従来型の電気系統を有する自動車のエンジンに急速昇温型のグロープラグを取り付ける等の誤装着を防止することができる。よって、グロープラグの誤装着によるグロープラグ及びエンジンの破損を容易に防止することができる。
【0062】
以上、本発明を実施形態について説明したが、本発明は、各実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能であることは勿論である。例えば、上記実施形態では、中軸8は一部材にて構成されていたが、これに限らず、複数の部材を接合(溶接等)することにより形成しても良い。また、上記実施形態では、シーズヒータを用いたメタルグロープラグについて説明したが、セラミックヒータを用いたセラミックグロープラグについても同様にして適用することができる。