特許第5764335号(P5764335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764335
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】蓄冷機能付きエバポレータ
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/02 20060101AFI20150730BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   F25B39/02 C
   B60H1/32 613C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-16167(P2011-16167)
(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公開番号】特開2012-154595(P2012-154595A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2014年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025676
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】東山 直久
【審査官】 関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−006058(JP,A)
【文献】 実開昭57−137972(JP,U)
【文献】 特開2011−012947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/02
B60H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向にのびるとともに幅方向が通風方向を向いた状態で互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の扁平状冷媒流通管と、上下方向にのびるとともに幅方向が通風方向を向き、かつ内部に蓄冷材が封入された複数の扁平状蓄冷材容器とを有し、蓄冷材容器が、少なくとも一部が冷媒流通管に沿うように配置されて冷媒流通管に熱的に接触させられ、蓄冷材容器内の蓄冷材が、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱により冷却されるようになされている蓄冷機能付きエバポレータにおいて、
冷媒流通管と、蓄冷材容器における冷媒流通管に沿う部分との間に、蓄冷材容器の上下方向の長さよりも長く、かつ内部に凝縮水を発生させるとともに発生した凝縮水を上から下に流す水路が、蓄冷材容器の上端部から下端部にかけて設けられており、
蓄冷材容器の冷媒流通管側を向いた面に、冷媒流通管側に突出して突出端が冷媒流通管に接触するとともに風上側から風下側に向かって下方に傾斜し、かつ熱交換コア部の風上側部分から風下側部分に至る複数の第1水路形成用凸条と、冷媒流通管側に突出して突出端が冷媒流通管に接触するとともに風上側から風下側に向かって上方に傾斜し、かつ熱交換コア部の風上側部分から風下側部分に至る複数の第2水路形成用凸条とが、上下方向に間隔をおくとともに上下方向に交互に並んで設けられ、第1水路形成用凸条と第1水路形成用凸条の直下に間隔をおいて設けられた第2水路形成用凸条とからなる第1の組、および第2水路形成用凸条と第2水路形成用凸条の直下に間隔をおいて設けられた第1水路形成用凸条とからなる第2の組を有し、前記第1の組において、第1水路形成用凸条の風下側端部が、第2水路形成用凸条の風下側端部よりも風上側でかつ第2水路形成用凸条よりも上方に位置し、前記第2の組において、第2水路形成用凸条の風上側端部が、第1水路形成用凸条の風上側端部よりも風下側でかつ第1水路形成用凸条よりも上方に位置している蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項2】
隣り合う冷媒流通管どうしの間に間隙が形成されるとともに、蓄冷材容器の数が間隙の数よりも少なくなされ、全間隙のうち一部の複数の間隙に蓄冷材容器が配置されるとともに、蓄冷材容器の両面が両側の冷媒流通管の片面に沿わされ、蓄冷材容器の両面のうち少なくとも片面と冷媒流通管の片面との間に水路が形成され、残りの間隙にフィンが配置されている請求項1記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項3】
各冷媒流通管の片面側のみに蓄冷材容器が配置されるとともに蓄冷材容器の片面が冷媒流通管の片面に沿わされ、蓄冷材容器の片面と冷媒流通管の片面との間に水路が形成され、冷媒流通管および蓄冷材容器からなる組み合わせ体が、冷媒流通管の幅方向と直角をなす方向に間隔をおいて配置され、隣り合う組み合わせ体どうしの間が風が通る間隙とされ、当該間隙にフィンが配置されている請求項1記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項4】
蓄冷材容器における冷媒流通管側を向いた面に、両水路形成用凸条よりも短くかつ風上側から風下側に向かって上方および/または下方に傾斜しているとともに、突出端が冷媒流通管に接触する複数の短凸条が間隔をおいて設けられている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項5】
すべての蓄冷材容器のうち少なくとも一部の複数の蓄冷材容器の内部空間どうしが連通部を介して通じさせられている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンに用いられる蓄冷機能付きエバポレータに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図1の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、環境保護や自動車の燃費向上などを目的として、信号待ちなどの停車時にエンジンを自動的に停止させる自動車が提案されている。
【0004】
しかしながら、通常のカーエアコンにおいては、エンジンを停止させると、エンジンを駆動源とする圧縮機が停止するので、エバポレータに冷媒が供給されなくなり、冷房能力が急激に低下するという問題がある。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、エバポレータに蓄冷機能を付与し、エンジンが停止して圧縮機が停止した際に、エバポレータに蓄えられた冷熱を放冷して車室内を冷却することが考えられている。
【0006】
この種の蓄冷機能付きエバポレータとして、上下方向に間隔をおいて配置された1対のタンクと、両タンク間に、幅方向を通風方向に向けるとともにタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両タンクに通じさせられた複数の扁平状冷媒流通管と、上下方向にのびるとともに冷媒流通管に熱的に接触させられた複数の蓄冷材容器とを備えており、各蓄冷材容器内に潜熱蓄冷材が封入されており、蓄冷材容器内の蓄冷材が、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱により冷却されるようになされている蓄冷機能付きエバポレータが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1記載の蓄冷機能付きエバポレータによれば、圧縮機が作動している通常の冷房時には、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱が、蓄冷材容器内の蓄冷材に伝わって蓄冷材に蓄えられ、圧縮機が停止した際には、蓄冷材容器内の蓄冷材に蓄えられた冷熱が、蓄冷材容器が熱的に接触させられた冷媒流通管を通って通風間隙に配置されたフィンに伝えられ、フィンから当該通風間隙を流れる空気に放冷されるようになっている。
【0008】
ところで、この種の蓄冷機能付きエバポレータの蓄冷材容器内に封入される蓄冷材としては、融点が5〜10℃に調整されたパラフィン系の潜熱蓄熱材を用いるのが一般的である。たとえば特許文献1に記載された蓄冷機能付きエバポレータにおいても、蓄冷材容器内に封入される蓄冷材としては、融点が6℃であるテトラデカンが用いられている。
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の蓄冷機能付きエバポレータにおいては、圧縮機が停止した際に、蓄冷材容器内の蓄冷材に蓄えられた冷熱のみが、通風間隙に配置されたフィンに伝えられ、フィンから当該通風間隙を流れる空気に放冷されるので、比較的短時間で蓄冷材に蓄えられた冷熱が消費されて放冷時間が短くなる可能性がある。また、蓄冷材の融点が5〜10℃であるから、エバポレータの冷媒流通管内を流れる冷媒の温度が5℃よりも低くなった場合には、それ以上の冷熱を蓄えることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4043776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明の目的は、上記問題を解決し、放冷時間を延長しうる蓄冷機能付きエバポレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0013】
1)上下方向にのびるとともに幅方向が通風方向を向いた状態で互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の扁平状冷媒流通管と、上下方向にのびるとともに幅方向が通風方向を向き、かつ内部に蓄冷材が封入された複数の扁平状蓄冷材容器とを有し、蓄冷材容器が、少なくとも一部が冷媒流通管に沿うように配置されて冷媒流通管に熱的に接触させられ、蓄冷材容器内の蓄冷材が、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱により冷却されるようになされている蓄冷機能付きエバポレータにおいて、
冷媒流通管と、蓄冷材容器における冷媒流通管に沿う部分との間に、蓄冷材容器の上下方向の長さよりも長く、かつ内部に凝縮水を発生させるとともに発生した凝縮水を上から下に流す水路が、蓄冷材容器の上端部から下端部にかけて設けられており、
蓄冷材容器の冷媒流通管側を向いた面に、冷媒流通管側に突出して突出端が冷媒流通管に接触するとともに風上側から風下側に向かって下方に傾斜し、かつ熱交換コア部の風上側部分から風下側部分に至る複数の第1水路形成用凸条と、冷媒流通管側に突出して突出端が冷媒流通管に接触するとともに風上側から風下側に向かって上方に傾斜し、かつ熱交換コア部の風上側部分から風下側部分に至る複数の第2水路形成用凸条とが、上下方向に間隔をおくとともに上下方向に交互に並んで設けられ、第1水路形成用凸条と第1水路形成用凸条の直下に間隔をおいて設けられた第2水路形成用凸条とからなる第1の組、および第2水路形成用凸条と第2水路形成用凸条の直下に間隔をおいて設けられた第1水路形成用凸条とからなる第2の組を有し、前記第1の組において、第1水路形成用凸条の風下側端部が、第2水路形成用凸条の風下側端部よりも風上側でかつ第2水路形成用凸条よりも上方に位置し、前記第2の組において、第2水路形成用凸条の風上側端部が、第1水路形成用凸条の風上側端部よりも風下側でかつ第1水路形成用凸条よりも上方に位置している蓄冷機能付きエバポレータ。
【0014】
2)隣り合う冷媒流通管どうしの間に間隙が形成されるとともに、蓄冷材容器の数が間隙の数よりも少なくなされ、全間隙のうち一部の複数の間隙に蓄冷材容器が配置されるとともに、蓄冷材容器の両面が両側の冷媒流通管の片面に沿わされ、蓄冷材容器の両面のうち少なくとも片面と冷媒流通管の片面との間に水路が形成され、残りの間隙にフィンが配置されている上記1)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0015】
3)各冷媒流通管および蓄冷材容器が、それぞれ幅方向を通風方向に向けた扁平状であり、各冷媒流通管の片面側のみに蓄冷材容器が配置されるとともに蓄冷材容器の片面が冷媒流通管の片面に沿わされ、蓄冷材容器の片面と冷媒流通管の片面との間に水路が形成され、冷媒流通管および蓄冷材容器からなる組み合わせ体が、冷媒流通管の幅方向と直角をなす方向に間隔をおいて配置され、隣り合う組み合わせ体どうしの間が風が通る間隙とされ、当該間隙にフィンが配置されている上記1)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0016】
4)蓄冷材容器における冷媒流通管側を向いた面に、両水路形成用凸条よりも短くかつ風上側から風下側に向かって上方および/または下方に傾斜しているとともに、突出端が冷媒流通管に接触する複数の短凸条が間隔をおいて設けられている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0017】
5)すべての蓄冷材容器のうち少なくとも一部の複数の蓄冷材容器の内部空間どうしが連通部を介して通じさせられている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【発明の効果】
【0018】
上記1)〜5)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、冷媒流通管と、蓄冷材容器における冷媒流通管に沿う部分との間に、蓄冷材容器の上下方向の長さよりも長く、かつ内部に凝縮水を発生させるとともに発生した凝縮水を上から下に流す水路が設けられているので、圧縮機が作動している通常の冷房時に、水路内に凝縮水が発生するとともに、発生した凝縮水が凍結することがある。そして、圧縮機が停止した際に、蓄冷材封入部の蓄冷材貯留部内の蓄冷材に蓄えられた冷熱だけではなく、水路を流れる凝縮水の顕熱としての冷熱や、水路内において凝縮水が凍結していた場合には、凍結した凝縮水の潜熱としての冷熱および溶融した後に水路を流れる凝縮水の顕熱としての冷熱が、冷媒流通管を経て間隙を流れる空気に放冷されるので、放冷時間を延長することができる。
【0019】
また、融点が5〜10℃の蓄冷材を使用し、エバポレータの冷媒流通管内を流れる冷媒の温度が5℃よりも低くなった場合には、水路内に発生した凝縮水を凍結させることによって、凝縮水に潜熱としての冷熱を蓄えることができる。
【0020】
上記1)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、水路の長さを効果的に長くすることができるので、水路を流れる凝縮水の顕熱としての冷熱を長時間にわたって冷媒流通管を経て間隙を流れる空気に放冷することができ、放冷時間を延長することができる。
【0021】
上記1)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、蓄冷材容器における冷媒流通管に沿う面と冷媒流通管の片面との間に、蓄冷材容器の上下方向の長さよりも長く、かつ内部に凝縮水を発生させるとともに発生した凝縮水を上から下に流す水路を、比較的簡単に設けることができる
【0022】
上記2)および3)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、冷媒流通管と、蓄冷材容器における冷媒流通管に沿う部分との間に、水路を設けやすくなる
【0023】
上記4)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、蓄冷材容器と冷媒流通管との接触面積を増大させることができ、蓄冷時および放冷時の両者間での冷熱の伝熱を効率良く行うことができる。しかも、短凸条は、風上側から風下側に向かって上方および/または下方に傾斜しているので、凝縮水の水路への流入を妨げることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
図2図1のA−A線拡大断面図である。
図3図1の蓄冷機能付きエバポレータの蓄冷材容器を示す右側面図である。
図4図1の蓄冷機能付きエバポレータの蓄冷材容器を示す分解斜視図である。
図5】この発明の蓄冷機能付きエバポレータの他の実施形態を示す図2相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
以下の説明において、通風方向下流側(図1および図2に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。また、前方から後方を見た際の左右、すなわち図1の左右を左右というものとする。
【0027】
さらに、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0028】
図1はこの発明による蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示し、図2図4はその要部の構成を示す。
【0029】
図1において、蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置された左右方向にのびるアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0030】
第1ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する冷媒入口ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置しかつ冷媒入口ヘッダ部(5)に一体化された冷媒出口ヘッダ部(6)とを備えている。冷媒入口ヘッダ部(5)の右端部に冷媒入口(7)が設けられ、冷媒出口ヘッダ部(6)の右端部に冷媒出口(8)が設けられている。第2ヘッダタンク(3)は、前側に位置する第1中間ヘッダ部(9)と、後側に位置しかつ第1中間ヘッダ部(9)に一体化された第2中間ヘッダ部(11)とを備えている。第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(9)内と第2中間ヘッダ部(11)内とは、両中間ヘッダ部(9)(11)の右端部に跨って接合され、かつ内部が通路となった連通部材(12)を介して通じさせられている。
【0031】
図1および図2に示すように、熱交換コア部(4)には、上下方向にのびるとともに幅方向が通風方向(前後方向)を向いた複数のアルミニウム押出形材製扁平状冷媒流通管(13)が、左右方向に間隔をおいて並列状に配置されている。すなわち、前後方向に間隔をおいて配置された複数、ここでは2つの冷媒流通管(13)からなる複数の組(14)が左右方向に間隔をおいて配置されており、前後の冷媒流通管(13)よりなる組(14)の隣り合うものどうしの間に間隙(15)が形成されている。前側の冷媒流通管(13)の上端部は冷媒入口ヘッダ部(5)に接続されるとともに、同下端部は第1中間ヘッダ部(9)に接続されている。また、後側の冷媒流通管(13)の上端部は冷媒出口ヘッダ部(6)に接続されるとともに、同下端部は第2中間ヘッダ部(11)に接続されている。
【0032】
熱交換コア部(4)における全間隙(15)のうち一部の複数の間隙(15)でかつ隣接していない間隙(15)において、密閉状の内部空間(16a)内に蓄冷材(図示略)が封入されたアルミニウム製扁平状蓄冷材容器(16)が、幅方向を前後方向に向けた状態で前後両冷媒流通管(13)に跨るように配置されており、蓄冷材容器(16)の左右両面の少なくとも一部がそれぞれ左右両側の冷媒流通管(13)の片面に沿わされている。すなわち、蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、間隙(15)の数よりも少ない数の複数の蓄冷材容器(16)を備えている。また、残りの間隙(15)に、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるコルゲート状のアウターフィン(17)が、前後両冷媒流通管(13)に跨るように配置されて間隙(15)を形成する左右両側の組(14)を構成する前後両冷媒流通管(13)にろう付されており、蓄冷材容器(16)が配置された間隙(15)の両側の間隙(15)にそれぞれアウターフィン(17)が配置されている。また、左右両端の冷媒流通管(13)の組(14)の外側にも両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるアウターフィン(17)が配置されて前後両冷媒流通管(13)にろう付され、さらに左右両端のアウターフィン(17)の外側にアルミニウム製サイドプレート(18)が配置されてアウターフィン(17)にろう付されている。
【0033】
蓄冷材容器(16)は、前側冷媒流通管(13)の前側縁よりも後方に位置し、かつ各組(14)の前後2つの冷媒流通管(13)にろう付された本体部(21)と、本体部(21)の前側縁部(風下側縁部)に連なるとともに前側冷媒流通管(13)の前側縁よりも前方(通風方向外側)に張り出すように設けられた外方張り出し部(22)とを備えており、本体部(21)の左右両面がそれぞれ左右両側の冷媒流通管(13)の片面に沿わされている。
【0034】
図3に示すように、蓄冷材容器(16)の本体部(21)における冷媒流通管(13)に沿う左右両面と冷媒流通管(13)との間に、蓄冷材容器(16)の上下方向の長さよりも長く、かつ内部に凝縮水を発生させるとともに発生した凝縮水を上から下に流す水路(23)が設けられている。水路(23)は、蓄冷材容器(16)の上端部から下端部にかけて設けられており、凝縮水を蛇行状に流す。水路(23)は、蓄冷材容器(16)の本体部(21)の左右両面に、風上側(前側)から風下側(後側)に向かって下方に傾斜した第1の水路形成用凸条(24)と、風上側から風下側に向かって上方に傾斜した第2の水路形成用凸条(25)とが、上下方向に間隔をおいて交互に形成されることによって設けられている。両水路形成用凸条(24)(25)は、それぞれ本体部(21)の左右両側壁を外方に突出するように変形させることにより形成されており、両水路形成用凸条(24)(25)の突出端は、冷媒流通管(13)に接触させられてろう付されている。第1の水路形成用凸条(24)の風上側端部は、第2の水路形成用凸条(25)の風上側端部よりも風上側に位置しており、第1の水路形成用凸条(24)の風下側端部は、第2の水路形成用凸条(25)の風下側端部よりも風上側に位置している。すなわち、蓄冷材容器(16)の本体部(21)は、第1の水路形成用凸条(24)と、第1の水路形成用凸条(24)の直下に間隔を設けられた第2の水路形成用凸条(25)とからなる組を有しており、前記2つの水路形成用凸条(24)(25)からなる組において、第1の水路形成用凸条(24)の風上側端部および風下側端部が、それぞれ第2の水路形成用凸条(25)の風上側端部および風下側端部よりも風上側に位置している。そして、第1の水路形成用凸条(24)の上面に沿って風下側に流れた凝縮水が、その風下側端部から第2の水路形成用凸条(25)の上面に流下して第2の水路形成用凸条(25)の上面に沿って風上側に流れ、その風上側端部から第1の水路形成用凸条(24)の上面に流下して風下側に流れることを繰り返すことによって、水路(23)内で発生した凝縮水が、水路(23)を蓄冷材容器(16)の上端部から下端部に向かって蛇行状に流れる。
【0035】
また、蓄冷材容器(16)の本体部(21)における冷媒流通管(13)に沿う左右両面に、両水路形成用凸条(24)(25)よりも短くかつ風上側から風下側に向かって下方に傾斜している複数の第1短凸条(26)と、風上側から風下側に向かって上方に傾斜している複数の第2短凸条(27)とが、それぞれ本体部(21)の左右両側壁を外方に突出するように変形させることにより間隔をおいて設けられており、両短凸条(26)(27)の突出端は冷媒流通管(13)に接触させられてろう付されている。第1短凸条(26)は、第1の水路形成用凸条(24)の風下側部分の上方に上下方向に間隔をおいて複数設けられ、第2短凸条(27)は、第2の水路形成用凸条(25)の風上側部分の上方に上下方向に間隔をおいて複数設けられている。すべての凸条(24)(25)(26)(27)間には隙間が存在しており、これにより通風部が確保されている。なお、すべての凸条(24)(25)(26)(27)の突出高さは等しくなっている。
【0036】
蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(22)は、上下方向の寸法が本体部(21)の上下方向の寸法と等しく、かつ左右方向の寸法が本体部(21)の左右方向の寸法よりも大きくなっており、本体部(21)に対して左右方向外方に膨出している。外方張り出し部(22)の左右方向の寸法は、冷媒流通管(13)の左右方向の寸法である管高さの2倍に、蓄冷材容器(16)の本体部(21)の左右方向の寸法と、左右両側の凸条(24)(25)(26)(27)の突出高さを加えた高さと等しくなっている。
【0037】
蓄冷材容器(16)内には、本体部(21)の後端部から外方張り出し部(22)の前端部に至るアルミニウム製インナーフィン(28)が、上下方向のほぼ全体にわたって配置されている。インナーフィン(28)は、前後方向にのびる波頂部、前後方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状である。インナーフィン(28)のフィン高さは全体に等しく、蓄冷材容器(16)の本体部(21)の左右両側壁内面にろう付されている。
【0038】
蓄冷材容器(16)内へ充填される蓄冷材としては、凝固点が5〜10℃程度に調整されたパラフィン系潜熱蓄冷材が用いられる。具体的には、ペンタデカン、テトラデカンなどが用いられる。蓄冷材容器(16)内の蓄冷材充填率(蓄冷材容器(16)の密閉された内部空間(16a)の内容積に対する封入された蓄冷材の体積の比率)は、70〜90%、好ましくは70〜80%である。
【0039】
図4に示すように、蓄冷材容器(16)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工が施されることにより形成され、かつ周縁部どうしが互いにろう付された2枚の略縦長方形状アルミニウム板(29)(31)よりなる。蓄冷材容器(16)を構成する右側のアルミニウム板(29)における本体部(21)を形成する部分、すなわち前側部分を除いた大部分には、右方に膨出した第1膨出部(32)が設けられ、同じく外方張り出し部(22)を形成する部分、すなわち前側部分には、第1膨出部(32)の前側に連なるとともに右方に膨出し、かつ第1膨出部(32)よりも膨出高さの高い第2膨出部(33)が、上下方向の全長にわたって設けられている。第1膨出部(32)の膨出頂壁(32a)に、両水路形成用凸条(24)(25)および両短凸条(26)(27)が形成されている。蓄冷材容器(16)を構成する左側のアルミニウム板(31)は、右側アルミニウム板(29)を左右逆向きにしたものであり、同一部分には同一符号を付す。
【0040】
そして、2枚のアルミニウム板(29)(31)を、インナーフィン(28)を間に挟んで第1および第2膨出部(32)(33)の開口どうしが対向するように組み合わせ、この状態でろう付することによって蓄冷材容器(16)が形成されている。ここで、両アルミニウム板(29)(31)の第1膨出部(32)により本体部(21)が形成され、第2膨出部(33)により外方張り出し部(22)が形成されている。
【0041】
アウターフィン(17)は、前後方向にのびる波頂部、前後方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状である。アウターフィン(17)は、前側冷媒流通管(13)の前側縁よりも後方に位置し、かつ各組(14)の前後の冷媒流通管(13)にろう付されたフィン本体部(34)と、フィン本体部(34)の前側縁に連なるとともに後側冷媒流通管(13)の前側縁よりも前方に張り出すように設けられた外方張り出し部(35)とを備えている。そして、蓄冷材容器(16)が配置された間隙(15)の両隣の間隙(15)に配置されたアウターフィン(17)の外方張り出し部(35)が、蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(22)の左右両側面にろう付されている。また、隣接するアウターフィン(17)の外方張り出し部(35)間にはアルミニウム製スペーサ(36)が配置されており、外方張り出し部(35)にろう付されている。
【0042】
上述した蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、車両のエンジンを駆動源とする圧縮機、圧縮機から吐出された冷媒を冷却するコンデンサ(冷媒冷却器)、コンデンサを通過した冷媒を減圧する膨張弁(減圧器)とともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両、たとえば自動車に搭載される。そして、圧縮機が作動している場合には、圧縮機で圧縮されてコンデンサおよび膨張弁を通過した低圧の気液混相の2相冷媒が、冷媒入口(7)を通って蓄冷機能付きエバポレータ(1)の冷媒入口ヘッダ部(5)内に入り、前側の全冷媒流通管(13)を通って第1中間ヘッダ部(9)内に流入する。第1中間ヘッダ部(9)内に入った冷媒は、連通部材(12)を通って第2中間ヘッダ部(11)内に入った後、後側の全冷媒流通管(13)を通って出口ヘッダ部(6)内に流入し、冷媒出口(8)から流出する。そして、冷媒が冷媒流通管(13)内を流れる間に、間隙(15)を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
【0043】
このとき、冷媒流通管(13)内を流れる冷媒の有する冷熱によって蓄冷材容器(16)の本体部(21)内の蓄冷材が冷却され、さらに本体部(21)内の冷却された蓄冷材の有する冷熱がインナーフィン(28)を介して蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(22)内の蓄冷材に伝えられるとともに、間隙(15)を通って冷媒により冷やされた空気の有する冷熱が外方張り出し部(22)内の蓄冷材に伝えられ、その結果蓄冷材容器(16)内全体の蓄冷材に冷熱が蓄えられる。また、冷媒流通管(13)内を流れる冷媒によって、水路(23)内において凝縮水が発生し、凝縮水に顕熱としての冷熱が蓄えられる。また、水路(23)内に発生した凝縮水は少なくとも一部が凍結し、潜熱としての冷熱が蓄えられる。
【0044】
圧縮機が停止した場合には、蓄冷材容器(16)の本体部(21)および外方張り出し部(22)内の蓄冷材の有する冷熱が、インナーフィン(28)を介して本体部(21)および外方張り出し部(22)の左右両側壁に伝えられる。本体部(21)の左右両側壁に伝えられた冷熱は、冷媒流通管(13)を通過し、当該冷媒流通管(13)にろう付されているアウターフィン(17)のフィン本体部(34)を介して蓄冷材容器(16)が配置されている間隙(15)の両隣の間隙(15)を通過する空気に伝えられる。外方張り出し部(22)の左右両側壁に伝えられた冷熱は、外方張り出し部(22)の左右両側面にろう付されたアウターフィン(17)の外方張り出し部(35)を介して間隙(15)を通過する空気に放冷される。また、水路(23)を流れる凝縮水の顕熱としての冷熱や、水路(23)内において凝縮水が凍結した場合には、氷の潜熱としての冷熱および溶融した後に水路を流れる凝縮水の顕熱としての冷熱が、冷媒流通管(13)を通過し、アウターフィン(17)のフィン本体部(34)を介して蓄冷材容器(16)が配置されている間隙(15)の両隣の間隙(15)を通過する空気に伝えられる。その結果、間隙(15)を流れる空気に放冷される放冷時間を延長することができる。したがって、エバポレータ(1)を通過した風の温度が上昇したとしても、当該風は冷却されるので、冷房能力の急激な低下が防止される。
【0045】
上記実施形態においては、蓄冷材容器(16)の両面と冷媒流通管(13)の片面との間に水路(23)が設けられているが、これに限定されるものではなく、蓄冷材容器(16)の片面と冷媒流通管(13)の片面との間に水路(23)が設けられていてもよい。この場合、水路(23)が設けられていない側においては、蓄冷材容器(16)の本体部(21)は平坦面であり、冷媒流通管(13)に面接触した状態でろう付される。
【0046】
図5はこの発明による蓄冷機能付きエバポレータの他の実施形態を示す。
【0047】
図5において、熱交換コア部(4)における前後2つの冷媒流通管(13)からなる各組(14)の片面、ここでは左面側に、各組(14)の2つの冷媒流通管(13)に跨るように、密閉状の内部空間(40a)内に蓄冷材(図示略)が封入されたアルミニウム製扁平状蓄冷材容器(40)が、幅方向を前後方向に向けた状態で配置されており、蓄冷材容器(40)の右面の少なくとも一部が右側の冷媒流通管(13)の左面に沿わされている。
【0048】
蓄冷材容器(40)は、前側冷媒流通管(13)の前側縁よりも後方に位置し、かつ各組(14)の前後の冷媒流通管(13)にろう付された本体部(42)と、本体部(42)の前側縁部に連なるとともに前側冷媒流通管(13)よりも前方に張り出すように設けられた外方張り出し部(43)とを備えており、本体部(42)の右面が右側の冷媒流通管(13)の左面に沿わされている。
【0049】
蓄冷材容器(40)の本体部(42)における冷媒流通管(13)に沿う右面と冷媒流通管(13)との間に、蓄冷材容器(40)の上下方向の長さよりも長く、かつ内部に凝縮水を発生させるとともに発生した凝縮水を上から下に向かって蛇行状に流す水路(23)が設けられている。図示は省略したが、水路(23)は、蓄冷材容器(40)の本体部(42)の右面に、風上側(前側)から風下側(後側)に向かって下方に傾斜した第1の水路形成用凸条(24)と、風上側から風下側に向かって上方に傾斜した第2の水路形成用凸条(25)とが、上下方向に間隔をおいて交互に形成されることによって設けられている。水路(23)および両水路形成用凸条(24)(25)の構成は、図3に示す第1の実施形態の蓄冷機能付きエバポレータ(1)と同じであり、水路(23)内で発生した凝縮水が、水路(23)を蓄冷材容器(40)の上端から下端に向かって蛇行状に流れる。
【0050】
また、蓄冷材容器(40)の本体部(42)における冷媒流通管(13)に沿う右面に、両水路形成用凸条(24)(25)の他に、両水路形成用凸条(24)(25)よりも短くかつ風上側から風下側に向かって下方に傾斜している複数の第1短凸条(26)と、風上側から風下側に向かって上方に傾斜している複数の第2短凸条(27)とが形成されている。両短凸条(26)(27)の構成は、図3に示す第1の実施形態の蓄冷機能付きエバポレータ(1)と同じである。
【0051】
蓄冷材容器(40)の外方張り出し部(43)は、上下方向の寸法が本体部(42)の上下方向の寸法と等しく、かつ左右方向の寸法が本体部(42)の左右方向の寸法よりも大きくなっており、本体部(42)に対して左右方向外方に膨出している。外方張り出し部(43)の左右方向の寸法は、冷媒流通管(13)の左右方向の寸法である管高さに、蓄冷材容器(40)の本体部(42)の左右方向の寸法と、凸条(24)(25)(26)(27)の突出高さを加えた高さと等しくなっている。
【0052】
蓄冷材容器(40)内には、本体部(42)の後端部から外方張り出し部(43)の前端部に至るアルミニウム製インナーフィン(44)が、上下方向のほぼ全体にわたって配置されている。インナーフィン(44)は、前後方向にのびる波頂部、前後方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状である。インナーフィン(44)のフィン高さは全体に等しく、蓄冷材容器(40)の本体部(42)および外方張り出し部(43)の左側壁内面と、本体部(42)の右側壁内面とにろう付されている。
【0053】
蓄冷材容器(40)内へ充填される蓄冷材としては、凝固点が5〜10℃程度に調整されたパラフィン系潜熱蓄冷材が用いられる。具体的には、ペンタデカン、テトラデカンなどが用いられる。蓄冷材容器(40)内の蓄冷材充填率(蓄冷材容器(16)の密閉された内部空間(40a)の内容積に対する封入された蓄冷材の体積の比率)は、70〜90%、好ましくは70〜80%である。
【0054】
蓄冷材容器(40)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工が施されることにより形成され、かつ周縁部どうしが互いにろう付された2枚の略縦長方形状アルミニウム板周縁部どうしが互いにろう付された2枚の略縦長方形状アルミニウム板(45)(46)よりなる。蓄冷材容器(40)を構成する右側のアルミニウム板(45)における本体部(42)を形成する部分(47)、すなわち前側部分を除いた大部分に、両水路形成用凸条(24)(25)および両短凸条(26)(27)が形成されている。また、右側のアルミニウム板(45)における外方張り出し部(43)を形成する部分、すなわち前側部分には、右方に膨出した膨出部(48)が、上下方向の全長にわたって設けられている。
【0055】
蓄冷材容器(40)を構成する左側のアルミニウム板(46)における本体部(42)を形成する部分、すなわち前側部分を除いた大部分には、左方に膨出した第1膨出部(49)が設けられ、同じく外方張り出し部(43)を形成する部分、すなわち前側部分には、第1膨出部(49)の前側に連なるとともに右方に膨出し、かつ第1膨出部(49)と膨出高さの等しい第2膨出部(51)が、上下方向の全長にわたって設けられている。
【0056】
そして、2枚のアルミニウム板(45)(46)を、インナーフィン(44)を間に挟んで左側アルミニウム板(46)の第1膨出部(49)の開口を、右側アルミニウム板(36)の本体部(42)を形成する部分(47)で塞ぐとともに、両アルミニウム板(45)(46)の膨出部(48)(51)の開口どうしが対向するように組み合わせ、この状態でろう付することによって蓄冷材容器(40)が形成されている。ここで、右側アルミニウム板(45)の部分(47)と左側アルミニウム板(46)の第1膨出部(49)により本体部(42)が形成され、右側アルミニウム板(46)の膨出部(48)と左側アルミニウム板(47)の第2膨出部(51)により外方張り出し部(43)が形成されている。
【0057】
熱交換コア部(4)において、前後方向に並んだ2つの冷媒流通管(13)からなる各組(14)および各組(14)の2つの冷媒流通管(13)に跨って配置された蓄冷材容器(40)によって、複数の組み合わせ体(52)が構成されている。当該組み合わせ体(52)は左右方向に間隔をおいて配置されており、隣り合う組み合わせ体(52)どうしの間が風が通る間隙(15)となるとともに、当該間隙(15)にアルミニウム製アウターフィン(17)が配置されて冷媒流通管(13)および蓄冷材容器(40)にろう付されている。各組(14)の冷媒流通管(13)および蓄冷材容器(40)からなる組み合わせ体(52)の右側に位置するアウターフィン(17)のフィン本体部(34)は各組(14)の前後の冷媒流通管(13)にろう付され、同じく外方張り出し部(35)は蓄冷材容器(40)の外方張り出し部(43)にろう付されている。また、各組(14)の冷媒流通管(13)および蓄冷材容器(40)からなる組み合わせ体(52)の左側に位置するアウターフィン(17)のフィン本体部(34)は蓄冷材容器(40)の本体部(42)にろう付され、同じく外方張り出し部(35)は蓄冷材容器(40)の外方張り出し部(43)にろう付されている。
【0058】
上記2つの実施形態においては、各蓄冷材容器(16)(40)が独立しているが、これに限定されるものではなく、全蓄冷材容器(16)(40)のうち、少なくとも一部の複数の蓄冷材容器(16)(40)の内部空間(16a)(40a)どうしが、適当な連通部を介して通じさせられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明による蓄冷機能付きエバポレータは、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンを構成する冷凍サイクルに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0060】
(1):蓄冷機能付きエバポレータ
(13):冷媒流通管
(15):間隙
(16)(40):蓄冷材容器
(16a)(40a):内部空間
(17):アウターフィン
(23):水路
(24):第1の水路形成用凸条
(25):第2の水路形成用凸条
(26)(27):短凸条
(52):組み合わせ体
図1
図2
図3
図4
図5