特許第5764338号(P5764338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764338
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/44 20060101AFI20150730BHJP
   B23Q 1/52 20060101ALI20150730BHJP
   B23Q 16/02 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   B23Q1/44 J
   B23Q1/52
   B23Q16/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-20476(P2011-20476)
(22)【出願日】2011年2月2日
(65)【公開番号】特開2012-157954(P2012-157954A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(73)【特許権者】
【識別番号】390006585
【氏名又は名称】株式会社三共製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104503
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 博文
(72)【発明者】
【氏名】山岸 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】宮内 信和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寿尚
(72)【発明者】
【氏名】大石 貴司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊樹
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/101788(WO,A1)
【文献】 実開平03−126545(JP,U)
【文献】 特開2012−161201(JP,A)
【文献】 特開2012−161200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/44
B23Q 1/52
B23Q 16/02
H02K 7/00−7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
界磁と電機子のいずれか一方を回転子、他方を固定子とする回転電機と、減速機と、を一体的に備えた回転装置であって、
前記減速機は、
ローラギヤカムが設けられた入力軸と、
前記ローラギヤカムに順次係合するカムフォロアが外周に設けられ、前記入力軸に対し垂直な方向に伸びる出力軸と、
前記入力軸を回転自在に支持する軸受と、を有し、
前記回転電機は、
前記回転子が固定され、前記減速機の前記入力軸に同軸に連結された回転軸を有し
前記軸受を支持する軸受支持部材と、記固定子が取り付けられる取付部材とが、共通化されている
ことを特徴とする回転装置。
【請求項2】
前記減速機は、
前記入力軸が貫通する貫通孔を有し、前記入力軸の軸方向と直交する方向に分割可能なハウジングを有しており、
記軸受支持部材は、
前記ハウジングの前記貫通孔に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記軸受支持部材は、
前記軸受が嵌合される嵌合部を有し、外径が前記貫通孔の内径よりも小さな支持部と、
外径が前記貫通孔の内径よりも大きな鍔部と、を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記軸受支持部材は、
前記固定子にインロー結合するインロー結合部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブル装置等の駆動源に用いられる回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工作機械等の分野において、ワークの載置台として採用される回転テーブル装置の駆動源として、回転電機と減速機を備えた回転装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この回転装置では、回転電機の回転子が、減速機の入力軸に対して取付フランジを介してボルトで連結されている。また、減速機の入力軸にはローラギヤカムが設けられており、出力軸の外周に設けられたカムフォロアがローラギヤカムに順次係合することにより、入力軸の回転が減速されて出力軸に伝達される。入力軸と出力軸は、各軸の軸方向が略直角且つねじれの位置関係となるようにハウジング内に回転自在に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−126545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転電機においては、回転子と固定子とが互いに同軸となるように精度良く位置決めされる必要がある。
【0005】
このとき、上記従来技術の回転装置では、回転電機の回転子が取付フランジを介して減速機の入力軸に連結されている。一方で、入力軸を支持する軸受は軸受スリーブを介して減速機のハウジングに固定されており、回転電機の固定子はこのハウジングに対して支持板を介して固定されている。このように、回転子と固定子との間に多数の部材が介在する構造となっているため、回転電機における回転子と固定子の同軸度を出しにくいという問題があった。また部材が多いために、回転装置の組立作業に手間を要するという問題もあった。
【0006】
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、回転電機の回転子と固定子の同軸度を出しつつ、組立作業を効率良く行うことができる回転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、界磁と電機子のいずれか一方を回転子、他方を固定子とする回転電機と、減速機と、を一体的に備えた回転装置であって、前記減速機は、ローラギヤカムが設けられた入力軸と、前記ローラギヤカムに順次係合するカムフォロアが外周に設けられ、前記入力軸に対し垂直な方向に伸びる出力軸と、前記入力軸を回転自在に支持する軸受と、を有し、前記回転電機は、前記回転子が固定され、前記減速機の前記入力軸に同軸に連結された回転軸を有し前記軸受を支持する軸受支持部材と、記固定子が取り付けられる取付部材とが、共通化されている
【0008】
好ましくは、前記減速機は、前記入力軸が貫通する貫通孔を有し、前記入力軸の軸方向と直交する方向に分割可能なハウジングを有しており、記軸受支持部材は、前記ハウジングの前記貫通孔に設けられている。
【0009】
また好ましくは、前記軸受支持部材は、前記軸受が嵌合される嵌合部を有し、外径が前記貫通孔の内径よりも小さな支持部と、外径が前記貫通孔の内径よりも大きな鍔部と、を有する。
【0010】
また好ましくは、前記軸受支持部材は、前記固定子にインロー結合するインロー結合部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転電機の回転子と固定子の同軸度を出しつつ、回転装置の組立作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である回転装置の全体構成を表す縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態である回転装置の全体構成を表す、エンコーダ部側から見た側面図である。
図3図1に示す回転装置の縦断面図のうち軸受支持部材近傍を抽出して示す部分拡大図、及び、図3(a)中IIIB−IIIB断面に相当する断面図である。
図4】軸受支持部材をエンコーダ部側にも設ける変形例における、回転装置の全体構成を表す縦断面図である。
図5】軸受支持部材を外周に形成されたねじ部により固定する変形例における、回転装置の全体構成を表す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
まず、図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態である回転装置の全体構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である回転装置の全体構成を表す縦断面図である。図2は、本発明の一実施形態である回転装置の全体構成を表す、エンコーダ部側から見た側面図である。
【0015】
図1に示すように、回転装置1は、回転電機としてのモータ100と、減速機200とを一体的に備えている。モータ100は、モータ電磁部110と、エンコーダ部120とを有している。モータ電磁部110とエンコーダ部120との間には、減速機200が配置されている。
【0016】
モータ電磁部110は、回転軸101と同軸となるように固定された回転子111と、この回転子111の外周面と径方向に対向するようにモータフレーム112に固定された固定子113とを備えている。回転軸101は、減速機200の入力軸211と1本の軸として一体成形されている。
【0017】
回転子111は、ヨーク114及びマグネット115を有しており、回転軸101の反減速機200側(反負荷側。図1中右側)から挿入され、回転軸101の外周に接着固定されている。
【0018】
固定子113は、積層鉄心体1131と、積層鉄心体1131を挿通したボビン1132と、ボビン1132に巻き回されたコイル線1133と、コイル線1133の結線基板1135と、結線基板1135に接続された入力端子1136とを有している。ボビン1132は、積層鉄心体1131とコイル線1133とを電気的に絶縁するために、樹脂等の絶縁性材料で構成されている。積層鉄心体1131、ボビン1132、コイル線1133、結線基板1135、入力端子1136は、樹脂1134によりモールドされている。固定子113の反減速機200側には、ブラケット116が設けられており、このブラケット116のさらに反減速機200側には、カバー102が設けられている。
【0019】
エンコーダ部120は、減速機200を挟み、モータ電磁部110とは反対側に配置されている。エンコーダ部120は、例えば光学式あるいは磁気式のエンコーダ121と、このエンコーダ121を覆うエンコーダカバー122を有している。エンコーダ121は、回転軸101の回転角度等を検出する。
【0020】
次に、減速機200について説明する。減速機200は、ローラギヤカム212が設けられた入力軸211と、ローラギヤカム212に順次係合するカムフォロア222が外周に設けられた出力軸221と、これら入力軸211と出力軸221を、各軸の軸方向が略直角且つねじれの位置関係となるように内部に配設したハウジング201とを有する、いわゆるローラギヤ減速機である。
【0021】
入力軸211は、軸方向両側に配置された軸受213により、ハウジング201に対し回転自在に支持されている。入力軸211には、ローラギヤカム212が一体的に設けられており、このローラギヤカム212には、その回転角度に応じて軸方向の変位が一様に与えられた螺旋状のテーパリブ214が形成されている。また前述したように、入力軸211は、モータ100の回転軸101と1本の軸として一体成形されている。
【0022】
出力軸221は中空軸であり、軸方向両側に配置された図示しない軸受により、ハウジング201に対し回転自在に支持されている。出力軸221の外周面には、周方向に沿って所定の間隔で複数のカムフォロア222が放射状に設けられている。これらのカムフォロア222のうちの隣接する2つのカムフォロア222が、ローラギヤカム212の回転に伴い順次テーパリブ214の両側面に対して予圧を加えつつ当接係合することにより、入力軸211の回転が減速されて出力軸221に伝達される。
【0023】
図2に示すように、ハウジング201は、入力軸211の軸方向と直交する方向(すなわち出力軸221の軸方向。図2中左右方向)に分割可能な構造となっており、第1ハウジング部201uと第2ハウジング部201dの2つのハウジング部を有している。これら第1ハウジング部201uと第2ハウジング部201dとは、ボルト207(図1参照)により連結されている。またハウジング201は、入力軸211が貫通する貫通孔202を有している。この貫通孔202のうち、エンコーダ部120側の貫通孔202aには軸受213が設けられている。この軸受213の軸端側(図1中左側)には、オイルシール203と、このオイルシール203を支持するとともに、軸受213に予圧を与えるオイルシールホルダ204とが設けられている。貫通孔202aのさらに軸端側は、ハウジング201の表面に開口しており、この開口206にはエンコーダカバー132が所定の位置に固定されている。
【0024】
貫通孔202のうち、モータ電磁部110側の貫通孔202bには、軸受213を支持すると共に、当該軸受213に一定の予圧を与える軸受支持部材140が設けられている。なお、軸受213が予圧を与える必要のない軸受(例えば円筒ころ軸受等)である場合には、軸受支持部材140は予圧を与えない状態で軸受213を支持する。貫通孔202bの軸端側(図1中右側)は孔径が拡大されてハウジング201の表面に開口しており、この開口205には軸受支持部材140を介してモータ電磁部110が所定の位置に位置決めされて固定されている。
【0025】
次に、図3を用いて軸受支持部材140について説明する。図3(a)は、図1に示す回転装置1の縦断面図のうち軸受支持部材140近傍を抽出して示す部分拡大図、図3(b)は、図3(a)中IIIB−IIIB断面に相当する断面図である。
【0026】
図3(a)及び図3(b)に示すように、軸受支持部材140は、中央に入力軸211を貫通させるための貫通孔141を有する環状の部材である。この軸受支持部材140は、上述したハウジング201のモータ電磁部110側の貫通孔202bの内径よりも外径が小さな支持部142と、貫通孔202bの内径よりも外径が大きな鍔部143とを有している。軸受支持部材140がハウジング201の貫通孔202bに固定された状態において、支持部142は貫通孔202bの内部に挿入され、鍔部143は貫通孔202bの外部、この例では上述した開口205内に配置される。このとき、支持部142の外径が貫通孔202bの内径よりも小さいので、支持部142の外周と貫通孔202bの内周との間に隙間Sが形成される。
【0027】
貫通孔141の減速機200側(図3(a)中左側)は、孔径が拡大されて軸受支持部材140の減速機200側(図3(a)中左側)の表面に開口している。この開口144は、軸受213が嵌合される嵌合部として機能する。開口144に軸受213が嵌合されることで、支持部142が軸受213を支持する。なお、貫通孔141と開口144との間には孔径の差により段差部145が形成されており、この段差部145が軸受213に一定の予圧を与える。
【0028】
貫通孔141の反減速機200側(図3(a)中右側)には、オイルシール203が設けられている。このオイルシール203は、鍔部143の径方向中央側に円周状に設けられたオイルシールホルダ部146によって支持されている。
【0029】
鍔部143には、周方向複数箇所(この例では8箇所)に、軸受支持部材140を固定するためのボルト208が挿通されるボルト孔147が形成されている。ボルト孔147の孔径はボルト208よりも大きく形成されており、各ボルト孔147内ではボルト208の周囲に隙間が形成されるようになっている。ボルト208が、鍔部143に形成されたボルト孔147に挿通されてハウジング201に締結することにより、軸受支持部材140はハウジング201の貫通孔202bに固定される。
【0030】
また鍔部143は、径方向外周側にオイルシールホルダ部146と同心円状に形成された凸部148(インロー結合部)を有している。なお、インロー結合部としては、凸部形状に限られず、凹部形状であってもよい。この凸部148は、反減速機200側(図3(a)中右側)に向けて突出して形成されており、その内周面と、モータ電磁部110の固定子113の樹脂1134の外周面とが係合することにより、凸部148と樹脂1134とがインロー結合する。これにより、軸受支持部材140に固定子113が設けられる。このとき、モータフレーム112の端部が凸部148と突き当たり、インロー結合時の突き当て面としての役割を果たす。このインロー結合によって、軸受支持部材140と固定子113とが互いに同軸となるように位置決めされる。なお、凸部148と樹脂1134とは、インロー結合された後、接着により固定される。
【0031】
以上説明した回転装置1により得られる効果について説明する。
【0032】
前述のように、モータ100は、減速機200の入力軸211を回転自在に支持する軸受213を支持すると共に、当該軸受213に一定の予圧を与える軸受支持部材140を備えており、この軸受支持部材140には固定子113が設けられている。このとき、減速機200の入力軸211とモータ100の回転軸101とは一体的に構成されており同軸である。その結果、回転子111と固定子113とは、1つの部材である軸受支持部材140によって実質的に位置決めが行われる構造となる。これにより、回転電機100における回転子111と固定子113の同軸度を向上できる。また、軸受支持部材140が一部材で固定子113の取付部材、軸受213の支持部材、及び予圧部材として機能するため、部品点数を少なくでき、回転装置1の組立作業を効率良く行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では特に、減速機200のハウジング201が、入力軸211の軸方向と直交する方向に分割可能に構成されている。このような構造の場合、図3(b)に一例として示すように、2つのハウジング部201u,201d間に生じる寸法誤差により、モータ電磁部110側の貫通孔202bにおいてハウジング部同士の突き合わせ部分に段差209が生じる可能性がある。この場合において、例えば貫通孔202bに軸受を嵌め込む一般的な構造である場合、貫通孔202bの内径と軸受の外径とは略一致するように構成されているため、そのままでは軸受を貫通孔202bに嵌め込むことが困難となる。このため、貫通孔202bの段差209を消去するための切削作業等が必要となり、回転装置の組立作業に手間を要する結果となる。
【0034】
これに対し本実施形態の回転装置1では、軸受支持部材140が軸受213を支持した状態でハウジング201の貫通孔202bに設けられる。このとき、軸受支持部材140の支持部142の外径が貫通孔202bの内径よりも小さくなっているので、支持部142の外周と貫通孔202bの内周との間に隙間Sが形成される。これにより、上記のように貫通孔202bに段差209が生じた場合でも、図3(b)に示すように、その段差209を隙間Sで許容しつつ、軸受213を貫通孔202bに配設することができる。その結果、段差209を消去する切削作業等をすることなく、軸受213をハウジング201に容易に設置することができるので、回転装置1の組立作業を効率良く行うことができる。また、支持部142の外径と貫通孔202bの内径との寸法差に比較的余裕をもたせておくことで、貫通孔202bに生じた段差209が大きな場合でも確実に軸受213を設けることができる。
【0035】
また軸受支持部材140の鍔部143では、ボルト孔147の孔径がボルト208よりも大きく形成されており、各ボルト孔147内ではボルト208の周囲に隙間が形成される。このボルト孔147の隙間と、上述した支持部142の外周と貫通孔202bの内周との間の隙間Sとによって、軸受支持部材140は、ハウジング201に対し入力軸211の軸方向に垂直な面方向に隙間分だけずらしつつ任意の位置で固定することが可能である。したがって、ハウジング部201u,201dの寸法誤差により貫通孔202bの中心位置が入力軸211の軸芯位置よりずれたような場合でも、軸受213を入力軸211と同軸となる位置に支持しつつ固定することができる。
【0036】
また、本実施形態では特に、軸受支持部材140が支持部142と鍔部143とを有している。支持部142は、軸受211が嵌合される開口144を有しており、外径が貫通孔202bの内径よりも小さく構成されている。これにより、軸受支持部材140をハウジング201に固定した際に、支持部142の外周と貫通孔202bの内周との間に確実に隙間Sを形成しつつ、軸受211を貫通孔202bの内部に配置することができる。一方、鍔部143は、外径が貫通孔202bの内径よりも大きく構成されている。これにより、貫通孔202bの外部に位置する鍔部143を利用して、ボルト締結により軸受支持部材140をハウジング201に確実に固定することができる。
【0037】
また、本実施形態では特に、軸受支持部材140の鍔部143が、モータ100の固定子113の樹脂1134にインロー結合する凸部148を有している。これにより、回転装置1の組立作業においてモータ100を減速機200に取り付ける際に、凸部148と固定子113とをインロー結合させることにより、固定子113を軸受支持部材140に対し所定の位置に位置決めしつつ容易に取り付けることができる。したがって、モータ100の位置決め作業が不要となり、組立作業の作業性を向上することができる。
【0038】
また組立作業においては、軸受支持部材140に支持された軸受213に入力軸211を挿通させ、軸受支持部材140を入力軸211に取り付けた後、軸受支持部材140の凸部148とモータ100の固定子113とをインロー結合させて固定子113を軸受支持部材140に取り付ける。このとき、初めに軸受支持部材140を入力軸211に取り付けた際に、軸受支持部材140と入力軸211とは互いに同軸となる。また、その後に軸受支持部材140の凸部148とモータ100の固定子113とをインロー結合させた際に、軸受支持部材140と固定子113とが互いに同軸となる。さらに、減速機200の入力軸211とモータ100の回転軸101とは一体的に構成されているので、同軸である。これらの結果、モータ100を減速機200に取り付けた際に、回転子111と固定子113とが軸受支持部材140を介して互いに同軸となるように位置決めされるので、回転装置1の組立精度を向上することができる。
【0039】
さらに、モータ100の固定子113を軸受支持部材140に対し直接インロー結合させる構造としたので、例えばモータ100のブラケットを軸受支持部材140に取り付ける構造に比べて、ブラケットが不要となり、モータ100(すなわち回転装置1)の小型化を図ることができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0041】
(1)軸受支持部材をエンコーダ部側にも設ける場合
上記実施形態では、モータ電磁部110側の軸受213のみ軸受支持部材140で支持する構成としたが、これに限らず、エンコーダ部120側の軸受213についても軸受支持部材で支持する構成としてもよい。
【0042】
図4は、本変形例の回転装置の全体構成を表す縦断面図である。この図4において、図1と同様の部分には同符号を付し適宜説明を省略する。図4に示すように、回転装置1Aの減速機200Aにおいては、エンコーダ部120側の貫通孔202aにも、軸受213を支持する軸受支持部材150が固定されている。
【0043】
軸受支持部材150は、軸受支持部材140と同様、中央に入力軸211を貫通させるための貫通孔151を有する環状の部材である。この軸受支持部材150は、ハウジング201のエンコーダ部120側の貫通孔202aの内径よりも外径が小さな支持部152と、貫通孔202aの内径よりも外径が大きな鍔部153とを有している。軸受支持部材150がハウジング201の貫通孔202aに固定された状態において、支持部152は貫通孔202aの内部に挿入され、鍔部153は貫通孔202aの外部、この例では上述した開口206内に配置される。このとき、支持部152の外径が貫通孔202aの内径よりも小さいので、支持部152の外周と貫通孔202aの内周との間に隙間Sが形成される。
【0044】
貫通孔151の減速機200A側(図4中右側)は、孔径が拡大されて軸受支持部材150の減速機200A側の表面に開口しており、この開口154は軸受213が嵌合される嵌合部として機能する。貫通孔151と開口154との間には孔径の差により段差部155が形成されており、この段差部155が軸受213に一定の予圧を与える。貫通孔151の反減速機200A側(図4中左側)には、オイルシール203が設けられている。
【0045】
鍔部153には、軸受支持部材140と同様、周方向複数箇所に、軸受支持部材150を固定するためのボルト208が挿通されるボルト孔157が形成されている。ボルト孔157の孔径はボルト208よりも大きく形成されており、各ボルト孔157内ではボルト208の周囲に隙間が形成されるようになっている。ボルト208が、鍔部153に形成されたボルト孔157に挿通されてハウジング201に締結することにより、軸受支持部材150はハウジング201の貫通孔202aに固定される。
【0046】
軸受支持部材150の反減速機200A側には、エンコーダカバー122が設けられている。なお、回転装置1Aの上記以外の構成については、前述の実施形態の回転装置1と同様である。
【0047】
本変形例によれば、前述の実施形態と同様の効果を得る他、エンコーダ部120側の貫通孔202aに段差が生じた場合でも、その段差を隙間Sで許容しつつ、軸受213を貫通孔202aに配設することができる。
【0048】
(2)軸受支持部材を外周に形成されたねじ部により固定する場合
上記実施形態では、軸受支持部材140の鍔部143に形成したボルト孔147にボルト208を挿通してハウジング201に締結することにより、軸受支持部材140をハウジング201に固定していたが、これに限られない。例えば、軸受支持部材140Bの鍔部143Bの外周に形成したねじ部1431をハウジング201Bの開口205の内周に形成したねじ部に螺合することにより、軸受支持部材140Bをハウジング201Bに固定してもよい。なお、本変形例は、ハウジング201Bの開口205に段差が生じない場合(例えばハウジング201Bが分割構造でない場合。あるいは、2つのハウジング部201u,201dの寸法誤差が小さい場合等)に適用可能な構成である。
【0049】
図5は、本変形例の回転装置の全体構成を表す縦断面図である。この図5において、図1等と同様の部分には同符号を付し適宜説明を省略する。図5に示すように、回転装置1Bの減速機200Bにおいては、ハウジング201Bの貫通孔202のうち、モータ電磁部110側(図5中右側)の貫通孔202bに、軸受213を支持する軸受支持部材140Bが設けられている。
【0050】
軸受支持部材140Bは、支持部142Bと鍔部143Bとを有している。支持部142Bは、前述の支持部142とほぼ同様の構成である。
【0051】
鍔部143Bは、鍔部143とは異なり、その周方向に前述のボルト孔147が形成されていない。この鍔部143Bには、その外周にねじ部1431が形成されており、このねじ部1431がハウジング201Bの開口205の内周に形成されたねじ部(図示省略)にねじ込まれて螺合することにより、軸受支持部材140Bがハウジング201Bに固定されている。また、この鍔部143Bには、そのモータ電磁部110側に治具取り付け用の孔1432が形成されており、軸受213に対して与える予圧を調整するときは、この孔1432にモータ電磁部110側から所定の治具が取り付けられる。そして、当該治具を介して軸受支持部材140Bを回転させ、ねじ部1431の締め込み量を調整することにより、言い換えれば、軸受支持部材140Bをエンコーダ部120側(図5中左側)に押し入れたり、モータ電磁部110側に引き出すことにより、上記予圧の調整を行う。
【0052】
なお、回転装置1Bの上記以外の構成については、前述の実施形態の回転装置1と同様である。
【0053】
以上説明した本変形例によれば、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。また特に本変形例によれば、次のような効果を得ることができる。すなわち、軸受支持部材140Bの外周に設けたねじ部1431とハウジング201Bの開口205の内周に形成されたねじ部とを螺合する構成とすることによって、軸受支持部材140Bを回転させてねじ部1431の締め込み量を調整することにより、入力軸211のローラギヤカム212の位置を軸方向にスライドさせ、ローラギヤカム212のテーパリブ214と出力軸221のカムフォロア222との接触状態の微調整が可能となる。この結果、より高精度な位置決めを行うことができる。また、軸受支持部材140Bには、固定子113がインロー結合により固定されているので、軸受支持部材140Bを回転させて入力軸211の位置が軸方向に移動したとしても、固定子113も同様に軸方向に移動するため、回転子111と固定子113との相対的な位置を不変とすることができるという効果もある。
【0054】
なお、本変形例では一方側の軸受213のみを軸受支持部材で支持する構成としたが、上記(1)の変形例のようにエンコーダ部120側の軸受213についても軸受支持部材で支持する構成とし、当該軸受支持部材の鍔部の外周に形成したねじ部をハウジングの内周に形成したねじ部に螺合することにより、当該軸受支持部材をハウジングの貫通孔に固定する構成としてもよい。
【0055】
(3)その他
以上では、減速機のハウジングが2つに分割される構成を一例として説明したが、回転子と固定子の同軸度を出しつつ組立作業を効率良く行うという本発明の主要な効果を得る上では、ハウジングは分割構成である必要はなく、一体型としてもよい。また分割構成とする場合には、2つに分割される構成に限定されず、3つ以上に分割される構成でもよい。
【0056】
また、図1図5では、モータ電磁部110とエンコーダ部120とを減速機200,200A,200Bの両側に分けて配置した構成だったが、例えばモータ電磁部110とエンコーダ部120とを減速機200,200A,200Bの一方側に配置した構成のモータに対して本発明を適用してもよい。また、この場合に減速機200,200A,200Bの他方側にブレーキ部を配置した構成としてもよい。さらには、例えばモータ電磁部110、ブレーキ部、及びエンコーダ部120の全てを減速機200,200A,200Bの一方側にまとめて配置した構成としてもよい。これらの変形例においても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
また以上においては、ヨーク114及びマグネット115を含む界磁を回転子とし、ボビン117等を含む電機子を固定子とするモータ100を例にとって説明したが、これに限られない。反対に、ヨーク及びマグネットを含む界磁をモータフレームに設けて固定子とし、ボビン等を含む電機子を回転軸に設けて回転子とするモータとしてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0059】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0060】
1,1A,1B 回転装置
100 モータ(回転電機)
101 回転軸
111 回転子
113 固定子
140,140B 軸受支持部材
142,142B 支持部
143,143B 鍔部
144 開口(嵌合部)
148 凸部(インロー結合部)
150 軸受支持部材
200 減速機
200A,200B 減速機
201,201B ハウジング
202b 貫通孔
211 入力軸
212 ローラギヤカム
213 軸受
221 出力軸
222 カムフォロア
図1
図2
図3
図4
図5