特許第5764345号(P5764345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764345
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】エバポレータ
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20150730BHJP
   F28F 9/22 20060101ALI20150730BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20150730BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   F28F9/02 301D
   F28F9/22
   F28D1/053 A
   F25B39/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-29623(P2011-29623)
(22)【出願日】2011年2月15日
(65)【公開番号】特開2012-167880(P2012-167880A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2014年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025676
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】東山 直久
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−156532(JP,A)
【文献】 特開2006−284160(JP,A)
【文献】 特開2010−223464(JP,A)
【文献】 特開平06−026780(JP,A)
【文献】 特開2008−298349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F25B 39/02
F28D 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向にのびるとともに通風方向と直角をなす方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブからなるチューブ列が、通風方向に並んで2列設けられ、風下側および風上側チューブ列の上端部が、風下側および風上側上ヘッダ部内に突出するように挿入された状態で両上ヘッダ部に接続され、風下側および風上側チューブ列の熱交換チューブの下端部が、風下側および風上側下ヘッダ部に接続され、風下側チューブ列に3以上のチューブ群が設けられ、風上側チューブ列に風下側チューブ列のチューブ群の数よりも1つ少ないチューブ群が設けられ、風下側上下両ヘッダ部に、風下側チューブ列のチューブ群の数と同数の区画が設けられるとともに、各区画に風下側チューブ列の各チューブ群の熱交換チューブが通じさせられ、風上側上下両ヘッダ部に、風上側チューブ列のチューブ群の数と同数の区画が設けられるとともに、各区画に風上側チューブ列の各チューブ群の熱交換チューブが通じさせられ、風下側上下両ヘッダ部のうちのいずれか一方のヘッダ部における一端の区画に冷媒入口が設けられ、風上側上下両ヘッダ部のうちの冷媒入口が設けられた風下側ヘッダ部と同じ側のヘッダ部における冷媒入口と同一端の区画に冷媒出口が設けられており、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、冷媒が熱交換チューブ内を下から上に流れる上昇流チューブ群とが設けられ、冷媒入口から流入した冷媒が、すべてのチューブ群を通過して冷媒出口から流出するようになされ、風下側チューブ列の冷媒入口から最も遠い位置にある最遠チューブ群、および風上側チューブ列の冷媒出口から最も遠い位置にある最遠チューブ群が、冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群であり、風下側上ヘッダ部における最遠チューブ群の熱交換チューブの上端部が通じる最遠区画に、風下側上ヘッダ部における最遠区画に隣接する区画から冷媒が流入するようになされ、風下側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブの上端部が通じる風下側ヘッダ部の最遠区画と、風上側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブの上端部が通じる風上側ヘッダ部の最遠区画とが通風方向に並んでおり、風下側および風上側の両上ヘッダ部間に、風下側上ヘッダ部の最遠区画と、風上側上ヘッダ部の最遠区画とを通じさせる連通路が設けられ、冷媒が、風下側上ヘッダ部の最遠区画から連通路を通って風上側上ヘッダ部の最遠区画に流入するようになされ、連通路の下端が、熱交換チューブの上端よりも下方に位置しているエバポレータ。
【請求項2】
熱交換チューブの区画内の下面からの突出高さが、区画内の全高の1/5以上である請求項1記載のエバポレータ。
【請求項3】
連通路が、風下側または風上側から見て四角形であり、連通路の下辺が直線状となっている請求項1または2記載のエバポレータ。
【請求項4】
連通路が、風下側または風上側から見て方形または台形である請求項3記載のエバポレータ。
【請求項5】
風下側上ヘッダ部と風上側上ヘッダ部とが、ヘッダタンク内を仕切部により仕切ることにより通風方向に並んで設けられ、仕切部に、貫通穴からなる連通路が設けられている請求項1〜4のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンに好適に使用されるエバポレータに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、各図面の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
この種のエバポレータとして、上下方向にのびるとともに通風方向と直角をなす方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブからなるチューブ列が、通風方向に並んで2列設けられており、風下側チューブ列に複数の熱交換チューブからなる3以上のチューブ群が設けられ、風上側チューブ列に複数の熱交換チューブからなりかつ風下側チューブ列のチューブ群の数よりも1つ少ないチューブ群が設けられ、風下側および風上側チューブ列に、それぞれ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、冷媒が熱交換チューブ内を下から上に流れる上昇流チューブ群とが設けられ、風下側および風上側チューブ列の熱交換チューブの上下両端部が、それぞれ風下側および風上側下ヘッダ部内に突出するように挿入された状態で上下両ヘッダ部に接続され、風下側上下両ヘッダ部に、風下側チューブ列のチューブ群の数と同数の区画が設けられるとともに、各区画に風下側チューブ列の各チューブ群の熱交換チューブが通じさせられ、風上側上下両ヘッダ部に、風上側チューブ列のチューブ群の数と同数の区画が設けられるとともに、各区画に風上側チューブ列の各チューブ群の熱交換チューブが通じさせられ、風下側上下両ヘッダ部のうちのいずれか一方のヘッダ部における一端の区画に冷媒入口が設けられ、風上側上下両ヘッダ部のうちの冷媒入口が設けられた風下側ヘッダ部と同じ側のヘッダ部における冷媒入口と同一端の区画に冷媒出口が設けられ、冷媒入口から流入した冷媒が、すべてのチューブ群を通過して冷媒出口から流出するようになされ、風下側チューブ列の冷媒入口から最も遠い位置にある最遠チューブ群、および風上側チューブ列の冷媒出口から最も遠い位置にある最遠チューブ群が下降流チューブ群であり、風下側および風上側の両上ヘッダ部間に、風下側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブが通じる風下側上ヘッダ部の最遠区画と、風上側チューブ列の最遠チューブ群における熱交換チューブの上端部が通じる風上側ヘッダ部の区画とを通じさせる連通路が設けられ、連通路が、風下側または風上側から見て円形であり、連通路の下端が熱交換チューブの上端よりも上方に位置し、冷媒が、風下側上ヘッダ部の最遠区画から連通路を通って風上側上ヘッダ部の最遠区画内に流入するようになっているエバポレータが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のエバポレータにおいては、連通路が熱交換チューブの上端よりも上方に位置するので、風下側上ヘッダ部の最遠区画に流入した冷媒は、重力の影響によって、風下側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブ内に多量に流入する。したがって、風下側および風上側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブ内を流れる冷媒量を効果的に均一化することができず、冷却性能が不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−156532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、前記問題を解決し、冷却性能を向上しうるエバポレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)上下方向にのびるとともに通風方向と直角をなす方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブからなるチューブ列が、通風方向に並んで2列設けられ、風下側および風上側チューブ列の上端部が、風下側および風上側上ヘッダ部内に突出するように挿入された状態で両上ヘッダ部に接続され、風下側および風上側チューブ列の熱交換チューブの下端部が、風下側および風上側下ヘッダ部に接続され、風下側チューブ列に3以上のチューブ群が設けられ、風上側チューブ列に風下側チューブ列のチューブ群の数よりも1つ少ないチューブ群が設けられ、風下側上下両ヘッダ部に、風下側チューブ列のチューブ群の数と同数の区画が設けられるとともに、各区画に風下側チューブ列の各チューブ群の熱交換チューブが通じさせられ、風上側上下両ヘッダ部に、風上側チューブ列のチューブ群の数と同数の区画が設けられるとともに、各区画に風上側チューブ列の各チューブ群の熱交換チューブが通じさせられ、風下側上下両ヘッダ部のうちのいずれか一方のヘッダ部における一端の区画に冷媒入口が設けられ、風上側上下両ヘッダ部のうちの冷媒入口が設けられた風下側ヘッダ部と同じ側のヘッダ部における冷媒入口と同一端の区画に冷媒出口が設けられており、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、冷媒が熱交換チューブ内を下から上に流れる上昇流チューブ群とが設けられ、冷媒入口から流入した冷媒が、すべてのチューブ群を通過して冷媒出口から流出するようになされ、風下側チューブ列の冷媒入口から最も遠い位置にある最遠チューブ群、および風上側チューブ列の冷媒出口から最も遠い位置にある最遠チューブ群が、冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群であり、風下側上ヘッダ部における最遠チューブ群の熱交換チューブの上端部が通じる最遠区画に、風下側上ヘッダ部における最遠区画に隣接する区画から冷媒が流入するようになされ、風下側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブの上端部が通じる風下側ヘッダ部の最遠区画と、風上側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブの上端部が通じる風上側ヘッダ部の最遠区画とが通風方向に並んでおり、風下側および風上側の両上ヘッダ部間に、風下側上ヘッダ部の最遠区画と、風上側上ヘッダ部の最遠区画とを通じさせる連通路が設けられ、冷媒が、風下側上ヘッダ部の最遠区画から連通路を通って風上側上ヘッダ部の最遠区画に流入するようになされ、連通路の下端が、熱交換チューブの上端よりも下方に位置しているエバポレータ。
【0009】
2)熱交換チューブの区画内の下面からの突出高さが、区画内の全高の1/5以上である上記1)記載のエバポレータ。
【0010】
3)連通路が、風下側または風上側から見て四角形であり、連通路の下辺が直線状となっている上記1)または2)記載のエバポレータ。
【0011】
4)連通路が、風下側または風上側から見て方形または台形である上記3)記載のエバポレータ。
【0012】
5)風下側上ヘッダ部と風上側上ヘッダ部とが、ヘッダタンク内を仕切部により仕切ることにより通風方向に並んで設けられ、仕切部に、貫通穴からなる連通路が設けられている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載のエバポレータ
【発明の効果】
【0013】
前記1)〜5)のエバポレータによれば、連通路により通じさせられた2つの区画において、冷媒が、いずれか一方の区画から連通路を通って他方の区画に流入するようになされ、連通路の下端が、熱交換チューブの上端よりも下方に位置しているので、連通路により通じさせられた2つの区画のうち連通路の上流側に位置する前記一方の区画内に流入した冷媒は、当該区画に通じている熱交換チューブ内に流入するよりも、連通路を通って下流側に位置する前記他方の区画内に流入しやすくなる。したがって、連通路により通じさせられた2つの区画から熱交換チューブに流入する冷媒量が均一化され、連通路により通じさせられた2つの区画に通じている熱交換チューブ内を流れる冷媒量を均一化することが可能になって冷却性能が向上する。しかも、連通路により通じさせられた2つの区画に通じている熱交換チューブ内を流れる冷媒量を均一化するための分流制御部材などを別個には必要とせず、部品点数が少なくなる。
【0014】
上記1)のエバポレータのように、風下側および風上側の両上ヘッダ部における連通路により通じさせられた2つの区画に通じる熱交換チューブ内を、冷媒が上から下に流れるようになっている場合、連通路の下端が熱交換チューブの上端よりも上方に位置していると、連通路により通じさせられた2つの区画のうち連通路の上流側に位置する前記一方の区画内に流入した冷媒は、連通路を通って下流側に位置する前記他方の区画内に流入するよりも、前記上流側の一方の区画に通じている熱交換チューブ内に流入しやすくなる。しかしながら、上記1)のエバポレータのような構成を有すると、風下側および風上側の両上ヘッダ部における連通路により通じさせられた2つの区画に通じさせられた複数の熱交換チューブ内を、冷媒が上から下に流れるようになっている場合であっても、連通路により通じさせられた2つの区画のうち連通路の上流側に位置する前記一方の区画内に流入した冷媒は、当該区画に通じている熱交換チューブ内に流入するよりも、連通路を通って下流側に位置する前記他方の区画内に流入しやすくなる。したがって、連通路により通じさせられた2つの区画から熱交換チューブに流入する冷媒量が均一化され、連通路により通じさせられた2つの区画に通じている熱交換チューブ内を流れる冷媒量を均一化することが可能になる。
【0015】
上記2)のエバポレータによれば、連通路により通じさせられた2つの区画のうち連通路の上流側に位置する前記一方の区画内に効果的に冷媒を貯めることができ、より多くの冷媒を、連通路を通って下流側に位置する前記他方の区画内に流入させることができる。
【0016】
上記3)および4)のエバポレータによれば、冷媒は、連通路により通じさせられた2つの区画のうち連通路の上流側に位置する前記一方の区画から同下流側に位置する前記他方の区画内に、一層流入しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施形態1のエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
図2図1のエバポレータの構成を概略的に示すとともに冷媒の流れを示す斜視図である。
図3図1のエバポレータの構成を概略的に示す図1のA−A線断面に相当する図である。
図4図1のエバポレータの構成を概略的に示す図1のB−B線断面に相当する図である。
図5図1のエバポレータの風下側上ヘッダ部の第3区画および風上側上ヘッダ部の第4区画を示す図4のC−C線断面に相当する図である。
図6】連通路の変形例を示す図4の一部分に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。以下に述べる実施形態は、この発明によるエバポレータをカーエアコンを構成する冷凍サイクルに適用したものである。
【0019】
全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
なお、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0021】
また、以下の説明において、隣接する熱交換チューブどうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1および図2に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとし、図1図4の左右を左右というものとする。
【0022】
図1はエバポレータの全体構成を示し、図2図5はその構成を概略的に示す。なお、図2図4においては、熱交換チューブやフィンなどの具体的な図示は省略されている。また、図5図1のエバポレータの要部の構成を示す。
【0023】
図1において、エバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)(上ヘッダタンク)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)の間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0024】
第1ヘッダタンク(2)は、風下側(前側)に位置する風下側ヘッダ部(5)と、風上側(後側)に位置しかつ風下側ヘッダ部(5)に一体化された風上側ヘッダ部(6)とを備えている。ここでは、風下側ヘッダ部(5)と風上側ヘッダ部(6)とは、第1ヘッダタンク(2)を仕切部(2a)により前後に仕切ることによって設けられている。第2ヘッダタンク(3)は、風下側(前側)に位置する風下側ヘッダ部(7)と、風上側(後側)に位置しかつ風下側ヘッダ部(7)に一体化された風上側ヘッダ部(8)とを備えている。ここでは、風下側ヘッダ部(7)と風上側ヘッダ部(8)とは、第2ヘッダタンク(3)を仕切部(3a)により前後に仕切ることによって設けられている。以下の説明において、第1ヘッダタンク(2)の風下側ヘッダ部(5)を風下側上ヘッダ部、第2ヘッダタンク(3)の風下側ヘッダ部(7)を風下側下ヘッダ部、第1ヘッダタンク(2)の風上側ヘッダ部(6)を風上側上ヘッダ部、第2ヘッダタンク(3)の風上側ヘッダ部(8)を風上側下ヘッダ部というものとする。したがって、風下側上ヘッダ部(5)と風上側上ヘッダ部(6)、および風下側下ヘッダ部(7)と風上側下ヘッダ部(8)とが、それぞれ第1ヘッダタンク(2)および第2ヘッダタンク(3)に、仕切部(2a)(3a)を介して通風方向に並んで設けられていることになる。
【0025】
熱交換コア部(4)は、幅方向を通風方向に向けるとともに左右方向(通風方向と直角をなす方向)に間隔をおいて配置され、かつ上下方向にのびる複数のアルミニウム製扁平状熱交換チューブ(9)からなるチューブ列(11)(12)が、前後方向に並んで2列設けられ、各チューブ列(11)(12)の隣接する熱交換チューブ(9)どうしの間の通風間隙および左右両端の熱交換チューブ(9)の外側に、それぞれ前後両チューブ列(11)(12)の熱交換チューブ(9)に跨るようにアルミニウム製コルゲートフィン(13)が配置されて熱交換チューブ(9)にろう付され、左右両端のコルゲートフィン(13)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(14)が配置されてコルゲートフィン(13)にろう付されることにより構成されている。風下側チューブ列(11)の熱交換チューブ(9)の上下両端部は、風下側上下両ヘッダ部(5)(7)内に突出するように挿入された状態で両ヘッダ部(5)(7)に連通状に接続され、風上側チューブ列(12)の熱交換チューブ(9)の上下両端部は、風上側上下両ヘッダ部(6)(8)内に突出するようにに挿入された状態で両ヘッダ部(6)(8)に連通状に接続されている。なお、風下側チューブ列(11)の熱交換チューブ(9)の数と風上側チューブ列(12)の熱交換チューブ(9)の数とは等しくなっている。すべての熱交換チューブ(9)は同一の構成であり、各熱交換チューブ(9)の冷媒通路の数、および各熱交換チューブ(9)の複数の冷媒通路の通路断面積の合計が同一になっている。
【0026】
図2図4に示すように、風下側チューブ列(11)には、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブ(9)からなる3つのチューブ群(11A)(11B)(11C)が、右端から左端に向かって並んで設けられ、風上側チューブ列(12)には、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブ(9)からなる2つ(風下側チューブ列(11)のチューブ群の数よりも1つ少ない数)のチューブ群(12A)(12B)が、左端から右端に向かって並んで設けられている。
【0027】
風下側上下両ヘッダ部(5)(7)に、それぞれ風下側チューブ列(11)のチューブ群(11A)(11B)(11C)と同数でかつ各チューブ群(11A)(11B)(11C)の熱交換チューブ(9)が通じる区画(15)(16)(17)および(18)(19)(21)が設けられている。風下側上ヘッダ部(5)における右端の区画(15)の右端部に冷媒入口(22)が設けられている。ここで、風下側チューブ列(11)の3つのチューブ群(11A)(11B)(11C)を冷媒入口(22)側端部(右端部)から他端部(左端部)に向かって第1〜第3チューブ群といい、第1〜第3チューブ群(11A)(11B)(11C)の熱交換チューブ(9)が通じる区画(15)(16)(17)および(18)(19)(21)を冷媒入口(22)側端部(右端部)から他端部(左端部)に向かって第1〜第3区画というものとする。
【0028】
風上側上下両ヘッダ部(6)(8)に、それぞれ風上側チューブ列(12)のチューブ群(12A)(12B)と同数でかつ各チューブ群(12A)(12B)の熱交換チューブ(9)が通じる区画(23)(24)および(25)(26)が設けられている。風上側上ヘッダ部(6)における右端の区画(24)の右端部(冷媒入口(22)と同一端部)に冷媒出口(27)が設けられている。ここで、風上側チューブ列(12)の2つのチューブ群(12A)(12B)を冷媒出口(27)とは反対側の端部(左端部)から冷媒出口側(27)の端部(右端部)に向かって第4〜第5チューブ群といい、第4〜第5チューブ群(12A)(12B)の熱交換チューブ(9)が通じる区画(23)(24)および(25)(26)を冷媒出口(27)とは反対側の端部(左端部)から冷媒出口側(27)の端部(右端部)に向かって第4〜第5区画というものとする。
【0029】
なお、風下側チューブ列(11)の第1および第2チューブ群(11A)(11B)を構成する熱交換チューブ(9)の合計数は、風上側チューブ列(12)の第5チューブ群(12B)を構成する熱交換チューブ(9)の数と等しくなっており、風下側チューブ列(11)の第3チューブ群(11C)を構成する熱交換チューブ(9)の数は、風上側チューブ列(12)の第4チューブ群(12A)を構成する熱交換チューブ(9)の数と等しくなっている。また、風下側上下両ヘッダ部(5)(7)における第1区画(15)(18)と第2区画(16)(19)の左右方向の合計長さは、風上側上下両ヘッダ部(6)(8)における第5区画(24)(26)の左右方向の長さと等しく、風下側上下両ヘッダ部(5)(7)における第3区画(17)(21)の左右方向の長さは、風上側上下両ヘッダ部(6)(8)における第4区画(23)(25)の左右方向の長さと等しくなっている。
【0030】
風下側上ヘッダ部(5)の第1区画(15)と第2区画(16)との間には仕切壁(28)が設けられ、これにより両区画(15)(16)は非連通状態となっている。また、風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(16)の左端部が全体に開口するとともに、第3区画(17)の右端部が全体に開口することにより両区画(16)(17)は連通状態となっており、冷媒が、第2区画(16)内から真っ直ぐ左方に流れて第3区画(17)内に流入するようになされている。
【0031】
風下側下ヘッダ部(7)の第1区画(18)の左端部が全体に開口するとともに、第2区画(19)の右端部が全体に開口することにより両区画(18)(19)は連通状態となっており、冷媒が、第1区画(18)内から真っ直ぐ左方に流れて第2区画(19)内に流入するようになされている。また、風下側下ヘッダ部(7)の第2区画(19)と第3区画(21)との間には仕切壁(29)が設けられ、これにより両区画(19)(21)は非連通状態となっている。
【0032】
風上側上ヘッダ部(6)の第4区画(23)と第5区画(24)との間には仕切壁(31)が設けられ、これにより両区画(23)(24)は非連通状態となっている。また、風上側下ヘッダ部(8)の第4区画(25)の右端部が全体に開口するとともに、第5区画(26)の左端部が全体に開口することにより両区画(25)(26)は連通状態となっており、冷媒が、第4区画(25)内から真っ直ぐ右方に流れて第5区画(26)内に流入するようになされている。
【0033】
風下側上ヘッダ部(5)の第3区画(17)と、風上側上ヘッダ部(6)の第4区画(23)とは、第1ヘッダタンク(2)の仕切部(2a)における仕切壁(31)よりも左側の部分に左右方向に間隔をおいて設けられた貫通穴からなる複数の連通路(32)によって通じさせられている。すなわち、熱交換チューブ(9)の上下両側に、それぞれ通風方向に並んだ2つの区画からなる複数の区画組が配されており、風下側および風上側の両上ヘッダ部(5)(6)間に、通風方向に並んだ少なくとも1つの区画組における通風方向に並んだ2つの区画(17)(23)を通じさせる連通路(32)が設けられている。各連通路(32)は、前方から見て横長方形であり、連通路(32)の下辺は左右方向にのびる水平な直線状となっている。連通路(32)の下端、すなわち下辺は、熱交換チューブ(9)の上端よりも下方に位置している。ここで、図5に示すように、熱交換チューブ(9)の第3および第4区画(17)(23)内の下面からの突出高さ(h)は、第3および第4区画(17)(23)の内部空間の全高(H)の1/5以上であることが好ましい。
【0034】
風下側下ヘッダ部(7)の第3区画(21)と、風上側下ヘッダ部(8)の第4区画(25)とは、第2ヘッダタンク(3)の仕切部(3a)における仕切壁(29)よりも左側の部分に設けられた連通部(33)によって通じさせられている。
【0035】
上述のようにして各区画(15)〜(19)(21)(23)〜(26)、冷媒入口(22)、冷媒出口(27)、連通路(32)および連通部(33)が設けられることによって、冷媒は、第1チューブ群(11A)、冷媒入口(22)から最も遠い位置にある第3チューブ群(11C)(風下側チューブ列(11)の最遠チューブ群)および冷媒出口(27)から最も遠い位置にある第4チューブ群(12A)(風上側チューブ列(12)の最遠チューブ群)の熱交換チューブ(9)内を上から下に流れることになり、これらのチューブ群(11A)(11C)(12A)が下降流チューブ群となっている。また、冷媒は、第2チューブ群(11B)および第5チューブ群(12B)の熱交換チューブ(9)内を下から上に流れることになり、これらのチューブ群(11B)(12B)が上昇流チューブ群となっている。風下側チューブ列(11)における冷媒入口(22)から最も遠い位置にある第3チューブ群(11C)(最遠チューブ群)、および風上側チューブ列(12)における冷媒出口(27)から最も遠い位置にある第4チューブ群(12A)(最遠チューブ群)の熱交換チューブ(9)における冷媒の流れ方向は同一方向である。したがって、冷媒入口(22)から流入した冷媒は、次のように2つの経路を流れて冷媒出口(27)から流出するようになされている。第1の経路は、第1区画(15)、第1チューブ群(11A)、第1区画(18)、第2区画(19)、第2チューブ群(11B)、第2区画(16)、第3区画(17)、第4区画(23)、第4チューブ群(12A)、第4区画(25)、第5区画(26)、第5チューブ群(12B)および第5区画(24)であり、第2の経路は、第1区画(15)、第1チューブ群(11A)、第1区画(18)、第2区画(19)、第2チューブ群(11B)、第2区画(16)、第3区画(17)、第3チューブ群(11C)、第3区画(21)、第4区画(25)、第5区画(26)、第5チューブ群(12B)および第5区画(24)である。上記第1の経路において、冷媒は、風下側上ヘッダ部(5)の第3区画(17)から連通路(32)を通って風上側上ヘッダ部(6)の第4区画(23)内に流入する。
【0036】
上述したエバポレータ(1)は、圧縮機、冷媒冷却器としてのコンデンサおよび減圧器としての膨張弁とともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。カーエアコンの稼働時には、圧縮機、コンデンサおよび膨張弁を通過した冷媒が、冷媒入口(22)を通って風下側上ヘッダ部(5)の第1区画(15)内に入る。第1区画(15)内に入った冷媒は、第1チューブ群(11A)、風下側下ヘッダ部(7)の第1および第2区画(18)(19)、第2チューブ群(11B)、ならびに風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(16)を経て風下側上ヘッダ部(5)の第3区画(17)内に流入する。
【0037】
風下側上ヘッダ部(5)の第3区画(17)内に流入した冷媒の一部は、連通路(32)を通って風上側上ヘッダ部(6)の第4区画(23)内に入った後に、第4チューブ群(12A)の熱交換チューブ(9)内に流入する。これと同時に、第3区画(17)内に流入した冷媒の残部は、第3チューブ群(11C)の熱交換チューブ(9)内に流入する。第4チューブ群(12A)の熱交換チューブ(9)内に流入した冷媒は、熱交換チューブ(9)内を下方に流れて風上側下ヘッダ部(8)の第4区画(25)内に入り、さらに第5区画(26)内に入る。これと同時に、第3チューブ群(11C)の熱交換チューブ(9)内に流入した冷媒は、熱交換チューブ(9)内を下方に流れて風下側下ヘッダ部(7)の第3区画(21)内に入った後連通部(33)を通って風上側下ヘッダ部(8)の第4区画(25)内に入り、さらに第5区画(26)内に入る。第5区画(26)内に入った冷媒は、第5チューブ群(12B)を経て風上側上ヘッダ部(6)の第5区画(26)内に入り、冷媒出口(27)を通って流出する。
【0038】
そして、冷媒が風下側チューブ列(11)の熱交換チューブ(9)内、および風上側チューブ列(12)の熱交換チューブ(9)内を流れる間に、熱交換コア部(4)の通風間隙を通過する空気(図1および図2矢印X参照)と熱交換をし、空気は冷却され、冷媒は気相となって流出する。
【0039】
上述したエバポレータ(1)において、各連通路(32)の下端が熱交換チューブ(9)の上端よりも下方に位置しており、しかも熱交換チューブ(9)の第3および第4区画(17)(23)内の下面からの突出高さ(h)が第3および第4区画(17)(23)の内部空間の全高(H)の1/5以上であるとともに、連通路(32)の下辺が左右方向にのびる水平な直線状となっているので、第2区画(16)から第3区画(17)内に流入した冷媒は、第3区画(17)内における熱交換チューブ(9)の上端よりも下方の部分に溜まった後、連通路(32)を通って第4区画(23)内に優先的に流入し、さらに第4チューブ群(12A)の熱交換チューブ(9)内に流入する。また、第2区画(16)から第3区画(17)内に流入した冷媒は、第3区画(17)内における熱交換チューブ(9)の上端よりも下方の部分に溜まった後、第3チューブ群(11C)の熱交換チューブ(9)内に流入する。したがって、第3区画(17)から第3チューブ群(11C)の熱交換チューブ(9)に流入する冷媒量と、連通路(32)により第3区画(17)に通じさせられた第4区画(23)から第4チューブ群(12A)の熱交換チューブ(9)に流入する冷媒量とが均一化され、両チューブ群(11C)(12A)の熱交換チューブ(9)内を流れる冷媒量を均一化することが可能になる。
【0040】
図6は、風下側上ヘッダ部(5)の第3区画(17)と風上側上ヘッダ部(6)の第4区画(23)とを通じさせる連通路の変形例を示す。
【0041】
図6において、連通路(40)は前方または後方から見て、下底が上底よりも長い等脚台形の貫通穴からなり、連通路(40)の下辺は左右方向にのびる水平な直線状となっている。この場合も、連通路(40)の下端、すなわち下辺は、熱交換チューブ(9)の上端よりも下方に位置している。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明によるエバポレータは、カーエアコンを構成する冷凍サイクルに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0043】
(1):エバポレータ
(2):第1ヘッダタンク
(2a):仕切部
(3):第2ヘッダタンク
(3a):仕切部
(5):第1ヘッダタンクの風下側ヘッダ部(風下側上ヘッダ部)
(6):第1ヘッダタンクの風上側ヘッダ部(風上側上ヘッダ部)
(7):第2ヘッダタンクの風下側ヘッダ部(風下側下ヘッダ部)
(8):第2ヘッダタンクの風上側ヘッダ部(風上側下ヘッダ部)
(9):熱交換チューブ
(11):風下側チューブ列
(11A)(11B)(11C):第1〜第3チューブ群
(12):風上側チューブ列
(12A)(12B):第4〜第5チューブ群
(15)(16)(17):風下側上ヘッダ部の第1〜第3区画
(18)(19)(21):風下側下ヘッダ部の第1〜第3区画
(22):冷媒入口
(23)(24):風上側上ヘッダ部の第4および第5区画
(25)(26):風上側下ヘッダ部の第4および第5区画
(27):冷媒出口
(32):連通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6