特許第5764378号(P5764378)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764378
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】側溝蓋、および側溝蓋の固定方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/04 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   E03F5/04 F
   E03F5/04 A
   E03F5/04 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-94978(P2011-94978)
(22)【出願日】2011年4月21日
(65)【公開番号】特開2012-225085(P2012-225085A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】591077678
【氏名又は名称】インフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】松崎 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】片岡 洋二
(72)【発明者】
【氏名】田畑 朗
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−144470(JP,A)
【文献】 特開2007−32143(JP,A)
【文献】 特開2005−163471(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3007821(JP,U)
【文献】 実開昭64−688(JP,U)
【文献】 特開2002−235365(JP,A)
【文献】 特開2005−105514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋本体の外側面に固定材を充填する充填切欠部を複数個縦状に対応位置に凹設し、
前記充填切欠部の正面視左右の側面には前記固定材が流入される縦断面略三角形の拡張流入溝が前記蓋本体の長手方向に分岐して固定材の充填に適当長さ設けられ
前記拡張流入溝が、鉛直方向の下方に向かうに従って前記外側面から離れる方向に傾斜する傾斜面を有している
ことを特徴とする側溝蓋。
【請求項2】
蓋本体の外側面に固定材を充填する充填切欠部を複数個縦状に対応位置に凹設し、
前記充填切欠部の正面視左右の側面には前記固定材が流入される縦断面略三角形の拡張流入溝が前記蓋本体の長手方向に分岐して固定材の充填に適当長さ設けられ、
前記蓋本体の上面には、集水溝が長手方向に設けられ、前記集水溝には側溝本体に設けられた流水溝内に連通される複数個の通水長孔部が設けられ、前記通水長孔部には前記集水溝よりも僅かに幅狭をなす扁平な漏斗部を有する漏斗状案内部材が嵌着されていることを特徴とする側溝蓋。
【請求項3】
前記蓋本体の上面には、前記集水溝に対して少なくとも左右の一側に下り勾配の傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の側溝蓋。
【請求項4】
蓋本体の外側面に固定材を充填する充填切欠部を複数個縦状に対応位置に凹設し、
前記充填切欠部の正面視左右の側面には前記固定材が流入される縦断面略三角形の拡張流入溝が前記蓋本体の長手方向に分岐して固定材の充填に適当長さ設けられ、
前記蓋本体の四隅下面には、不陸調整用切欠部が設けられ、前記不陸調整用切欠部には、該不陸調整用切欠部に対応して側溝本体の蓋掛かり部に、ボルトと、該ボルトの先端部が螺入されたナットと、により高さ調整杆が構成され、該高さ調整杆が、前記不陸調整用切欠部内に収容されていることを特徴とする側溝蓋。
【請求項5】
前記固定材が、セメントモルタル、合成樹脂接着剤の何れかであることを特徴とする請求項1−4の何れかに記載の側溝蓋。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうち何れかに記載の側溝蓋の固定方法であって、
流水溝を有する側溝本体の上部に対向して設けられた蓋掛かり部に蓋本体を嵌入する工程と、
前記蓋本体の外側面に対応して凹設された充填切欠部内に流動性を有する固定材を充填する工程と、
前記充填切欠部の左右の側面に長手方向に適当長さ分岐して正面視略T字状をなし、鉛直方向の下方に向かうに従って前記外側面から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する縦断面略三角形の拡張流入溝内に前記固定材を流入、固定することにより前記蓋本体の側面に前記蓋掛かり部に密着する掛かり部を成形する工程と、を含み、
該掛かり部を介して前記蓋本体を前記蓋掛かり部に固定する
ことを特徴とする側溝蓋の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は側溝蓋、および側溝蓋の固定方法に関し、側溝蓋にセメントモルタルのような固定材を用いて側溝本体の蓋掛かり部に固定し、側溝本体の蓋掛かり部での側溝蓋の不用意な移動を無くし、ガタツキ音を防止するようにするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、側溝蓋として、蓋板の上面形状を皿形状や略V字形状、あるいは片傾斜形状、L型形状、もしくはフラット形状とし、蓋板の中央部には縦方向あるいは横方向に1〜数個の逆V字状の漏斗形状としたスリット孔を設け、あるいは前記スリット孔に連通した浅い集水溝を配置した構成により、雨水などの路上の表面水の集水機能を発揮し、該蓋板側面に幅方向や長さ方向の位置規制用の凸部を形成した構成により、車両走行によるガタツキ騒音の低減をはかるようにしたものがあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−235365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された上記従来の側溝蓋では、蓋板側面に幅方向や長さ方向の位置規制用の凸部を形成した構成により、蓋板側面に幅方向や長さ方向に設けられた位置規制用の凸部を介して蓋板の長さ方向相互を位置規制するか、または側溝本体の蓋掛かり部の立壁との対向面に蓋板側面に長さ方向に設けられた位置規制用の凸部を介して位置規制させることにより車両走行によるガタツキ騒音を無くそうとするものであったが、蓋板側面に幅方向や長さ方向に設けられた位置規制用の前記凸部と、蓋板相互や側溝本体の蓋掛かり部の立壁との接触面積が少ないため、移動し易く、結局、蓋板が移動し易くなり、ガタツキ騒音の消音機能が不十分なものであった。そして、任意の蓋板が、隣接する他の蓋板相互や側溝本体の蓋掛かり部の立壁に対して移動し易く、側溝本体の対向面との間で衝突すると、蓋板にはカケやヒビ割れを生じ、構造的に脆弱なものであった。
【0005】
しかも、特許文献1に記載の上記従来の側溝蓋では、蓋板の長さ方向において、蓋板相互を連結する場合、または蓋板の幅方向においては、側溝本体の蓋掛かり部の立壁との間では、位置規制用の凸部の設置個所以外の個所は隙間を生ずるため、この隙間に砂やゴミが詰まり易かった。
【0006】
本発明は上記従来の側溝蓋の問題を解決し、ガタツキ騒音の消音機能が十分であり、カケやヒビ割れが生ずることなく、構造的に堅牢であり、しかも、蓋板の長手方向相互、または蓋板の幅方向において、側溝本体の蓋掛かりの立壁との間に、砂、ゴミが詰まることがない側溝蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、蓋本体の外側面に固定材を充填する充填切欠部を複数個縦状に対応位置に凹設し、
前記充填切欠部の正面視左右の側面には前記固定材が流入される縦断面略三角形の拡張流入溝が前記蓋本体の長手方向に分岐して固定材の充填に適当長さ設けられ
前記拡張流入溝が、鉛直方向の下方に向かうに従って前記外側面から離れる方向に傾斜する傾斜面を有していることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、蓋本体の外側面に固定材を充填する充填切欠部を複数個縦状に対応位置に凹設し、
前記充填切欠部の正面視左右の側面には前記固定材が流入される縦断面略三角形の拡張
流入溝が前記蓋本体の長手方向に分岐して固定材の充填に適当長さ設けられ、
記蓋本体の上面には、集水溝が長手方向に設けられ、前記集水溝には側溝本体に設けられた流水溝内に連通される複数個の通水長孔部が設けられ、前記通水長孔部には前記集水溝よりも僅かに幅狭をなす扁平な漏斗部を有する漏斗状案内部材が嵌着されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記蓋本体の上面には、前記集水溝に対して少なくとも左右の一側に下り勾配の傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、蓋本体の外側面に固定材を充填する充填切欠部を複数個縦状に対応位置に凹設し、
前記充填切欠部の正面視左右の側面には前記固定材が流入される縦断面略三角形の拡張
流入溝が前記蓋本体の長手方向に分岐して固定材の充填に適当長さ設けられ、
前記蓋本体の四隅下面には、不陸調整用切欠部が設けられ、前記不陸調整用切欠部には、該不陸調整用切欠部に対応して側溝本体の蓋掛かり部に、ボルトと、該ボルトの先端部が螺入されたナットと、により高さ調整杆が構成され、該高さ調整杆が、前記不陸調整用切欠部内に収容されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1−4の何れかにおいて、前記固定材が、セメントモルタル、合成樹脂接着剤の何れかであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のうち何れかに記載の側溝蓋の固定方法であって、
流水溝を有する側溝本体の上部に対向して設けられた蓋掛かり部に蓋本体を嵌入する工程と、
前記蓋本体の外側面に対応して凹設された充填切欠部内に流動性を有する固定材を充填する工程と、
前記充填切欠部の左右の側面に長手方向に適当長さ分岐して正面視略T字状をなし、鉛直方向の下方に向かうに従って前記外側面から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する縦断面略三角形の拡張流入溝内に前記固定材を流入、固定することにより前記蓋本体の側面に前記蓋掛かり部に密着する掛かり部を成形する工程と、を含み、
該掛かり部を介して前記蓋本体を前記蓋掛かり部に固定する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載された発明によれば、蓋本体の外側面に固定材を充填する充填切欠部を複数個縦状に対応位置に凹設し、前記充填切欠部の正面視左右の側面には前記固定材が流入される縦断面略三角形の拡張流入溝が前記蓋本体の長手方向に分岐して固定材の充填に適当長さ設けられているので、固定材を充填切欠部内に充填すると、この固定材はその流動性により前記充填切欠部の正面視左右の側面に分岐して設けられた拡張流入溝内に左右分配されて平均して隅々まで流入し、固化されることにより蓋本体が側溝本体の蓋掛かり部に容易かつ確実に固定されるため、不用意な移動はなくなり、ガタツキ騒音の消音機能が十分である。
【0014】
そして、蓋本体には、その蓋本体の外側面に縦状に対応して凹設された充填切欠部と、該充填切欠部の正面視左右の側面に蓋本体の長手方向に分岐して設けられた拡張流入溝とにより、正面視略逆T字状に構成されるので、蓋本体を側溝本体の蓋掛かり部に嵌入して施工後は、前述のように前記固定材が、正面視略逆T字状をなす充填切欠部と、この充填切欠部の正面視左右の側面に分岐して設けられた拡張流入溝とに、均一に且つ充分に充填され、固化されるため、蓋本体に、充填切欠部と、その左右に分岐して設けられた拡張流入溝とよりなる正面視逆T字状の掛かり部が蓋本体に密着して一体に形成される。そして、蓋本体は側溝本体に構造堅牢にかつ安定に支持される。また、拡張流入溝は断面略三角形に形成されているので、車両が蓋本体の上面を走行する等して荷重が加わる場合に、荷重は断面略三角形の前記拡張流入溝内に流入、固化された固定材を通じて分散されて軽減され、効果的に安定した状態になるから、ガタツキ騒音の消音機能が十分になり、カケやヒビ割れが生ずることなく、構造的に堅牢である。しかも、蓋板の長手方向相互、または蓋板の幅方向において、側溝本体の蓋掛かり部の立壁との間に、砂、ゴミが詰まることがない。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、前記蓋本体の上面には、集水溝が長手方向に設けられ、前記集水溝には側溝本体の内部に設けられた流水溝内に連通される複数個の通水長孔部が設けられ、前記通水長孔部には前記集水溝よりも僅かに幅狭をなす扁平な漏斗部を有する漏斗状案内部材が嵌着されているので、雨水などの路上の表面水は、蓋本体の上面に長手方向に設けられた集水溝に集水され、次いで、この集水溝に側溝本体の内部に設けられた流水溝内に連通される複数個の通水長孔部から、該通水長孔部に嵌着された集水溝よりも僅かに幅狭をなす漏斗部を有する漏斗状案内部材を介して円滑かつ迅速に流水溝内に流れ落ち、排水される。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項2において、前記蓋本体の上面には、前記集水溝に対して少なくとも左右の一側に下り勾配の傾斜面が形成されているので、雨水などの路上の表面水は、蓋本体の上面に長手方向に設けられた集水溝に対して少なくとも左右の一側に設けられた下り勾配の傾斜面に沿って円滑かつ確実に集水される。次いで、この集水溝に側溝本体に設けられた流水溝内に連通されるように設けられた複数個の通水長孔部から、該通水長孔部に嵌着された集水溝よりも僅かに幅狭をなす漏斗部を有する漏斗状案内部材を介して円滑かつ迅速に前記流水溝内に流れ落ち、排水される。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、前記蓋本体の四隅下面には、不陸調整用切欠部が設けられ、前記不陸調整用切欠部には、該不陸調整用切欠部に対応して側溝本体の蓋掛かり部に、その先端部が螺入されたボルトと、該ボルトに螺入されるナットと、により高さ調整杆が構成され、該高さ調整杆が、前記不陸調整用切欠部内に収容されているので、蓋本体を側溝本体の蓋掛かり部に敷設する場合に、蓋本体の四隅下面に設けられた前記不陸調整用切欠部に対応して側溝本体の蓋掛かり部に、ボルトの先端部をナットに螺入して高さを高低調整することにより不陸を調整し、蓋板の水平度を保ち、車両が走行する場合に荷重が加わることによるガタツキ騒音の消音機能が十分になり、カケやヒビ割れが生ずることなく、構造的に堅牢になる。
【0018】
また、本発明の請求項5に記載の発明によれば、請求項1−4の何れかにおいて、前記固定材が、セメントモルタル、合成樹脂接着剤の何れかであるので、蓋本体を側溝本体の蓋掛かり部に敷設するのに、蓋本体の外側面に縦状に対応して凹設された充填切欠部にセメントモルタル、合成樹脂接着剤のような固定材を充填すると、固定材は前記充填切欠部の正面視左右の側面に蓋本体の長手方向に分岐して設けられている拡張流入溝内に迅速かつ確実に流入され、固化される。そして、蓋本体には、蓋本体の外側面に縦状に対応して凹設された充填切欠部と、該充填切欠部の正面視左右の側面に蓋本体の長手方向に分岐して設けられた拡張流入溝とにより、正面視略逆T字状に構成され、しかも、固定材は断面略三角形の拡張流入溝に流入されて固化されるので、蓋本体を側溝本体の蓋掛かり部に嵌入して施工後は、前述のように前記固定材が、正面視略逆T字状をなす充填切欠部と、この充填切欠部の正面視左右の側面に分岐して設けられた拡張流入溝とに、平均して隅々まで充填、固化されて蓋本体に、充填切欠部と、その左右に分岐して設けられた拡張流入溝とよりなる正面視逆T字状の掛かり部が蓋本体に密着して一体に形成される。そして、蓋本体は側溝本体に構造堅牢にかつ安定に支持される。そして、拡張流入溝は断面略三角形に形成されているので、車両が蓋本体の上面を走行する等して荷重が加わる場合に、荷重は断面略三角形の前記拡張流入溝内に迅速且つ確実に、しかも平均して隅々まで流入、固化された固定材を通じて分散されて軽減され、効果的に安定した状態になるから、ガタツキ騒音の消音機能が十分になり、カケやヒビ割れが生ずることなく、構造的に堅牢になり、施工の作業性は良好である。
【0019】
また、本発明の請求項6に記載の発明によれば、流水溝を有する側溝本体の上部に対向して設けられた蓋掛かり部に蓋本体を嵌入する工程と、前記蓋本体の外側面に対応して凹設された充填切欠部内に流動性を有する固定材を充填する工程と、前記充填切欠部の左右の側面に長手方向に適当長さ分岐して正面視略T字状をなし、縦断面略三角形の拡張流入溝内に前記固定材を流入、固定することにより前記蓋本体の側面に前記蓋掛がかり部に密着する掛かり部を成形する工程と、を含み、該掛かり部を介して前記蓋本体を前記蓋掛かり部に固定するので、蓋本体を側溝本体の蓋掛かり部に敷設するのに、蓋本体の外側面に縦状に対応して凹設された充填切欠部にセメントモルタル、合成樹脂接着剤のような固定材を充填すると、固定材は前記充填切欠部の正面視左右の側面に蓋本体の長手方向に分岐して設けられている拡張流入溝内に迅速かつ確実に流入され、固化される。そして、蓋本体には、その外側面に縦状に対応して凹設された充填切欠部と、該充填切欠部の正面視左右の側面に蓋本体の長手方向に分岐して設けられた拡張流入溝とにより、正面視略逆T字状に構成されるので、蓋本体を側溝本体の蓋掛かり部に嵌入して施工後は、前述のように前記固定材が、正面視略逆T字状をなす充填切欠部と、この充填切欠部の正面視左右の側面に分岐して設けられた拡張流入溝とに、平均して隅々まで充填、固化されて蓋本体に、充填切欠部と、その左右に分岐して設けられた拡張流入溝とよりなる正面視逆T字状の掛かり部が蓋本体に密着して一体に形成される。そして、蓋本体は側溝本体に構造堅牢にかつ安定に支持される。そして、拡張流入溝は断面略三角形に形成されているので、車両が蓋本体の上面を走行する等して荷重が加わる場合に、荷重は断面略三角形の前記拡張流入溝内に流入、固化された固定材を通じて分散されて軽減され、効果的に安定した状態になるから、側溝蓋は不用意に移動することなく、しかもガタツキ騒音の消音機能が十分になり、カケやヒビ割れが生ずることなく、構造的に堅牢になり、施工の作業性は良好である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1を示し、側溝蓋を側溝本体に敷設する状態の斜視図である。
図2図2は同じく側溝蓋を側溝本体に敷設した状態の平面図である。
図3図3は同じく本実施形態1を構成する側溝蓋の側面図である。
図4図4は同じく図2のA−A断面図である。
図5図5は同じく図2のB−B断面図である。
図6図6は同じく本実施形態1を構成する漏斗案内部材を示す斜視図である。
図7図7は同じく本発明の実施形態2を示し、側溝蓋を側溝本体に敷設した状態の端面図である。
図8図8は同じく蓋本体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に従って本発明の実施の最良の形態により、本発明の詳細を説明する。
【0022】
<実施形態1>
本実施形態1は、図1ないし図3に示されるように、蓋本体1の外側面に固定材2を充填する充填切欠部3,3;3,3を複数個縦状に対応位置に凹設し、前記充填切欠部3,3;3,3の正面視左右の側面には前記固定材2が流入される図1および図4に示すように縦断面略三角形の拡張流入溝4,4が前記蓋本体1の長手方向Iに分岐して固定材2の充填に適当長さl,l設けられている。このように、固定材2の充填に適当長さlとは、蓋本体1の長さLが例えば1000mmである場合には、130mm〜150mmが最適である。何故なら、130mm未満であると、後記側溝本体6の蓋掛かり部12,12に対する接触長さに欠けて固定強度が損なわれ、構造的に脆弱になるからであり、また、長さlが150mmを超すと、充填切欠部3内に固定材2を投入した場合に、固定材2が拡張流入溝4,4において充填不足になり、空隙個所や不連続個所を生じて蓋掛かり部12,12に対する接触長さに欠けて固定強度が損なわれ、構造的に脆弱になるからである。
【0023】
前記蓋本体1は、本実施形態1では、集水タイプのものが示されている。そして、その上面形状は、例えば幅W1が180mm〜220mmのフラット部1Aと、幅W2が220mm程度であり、その中央には後記集水溝5が設けられた略V字状の傾斜部1B,1Bとからなる複合形をなし、長さLが例えば500mm〜1000mmに形成され、これらの数値の増減変更は指摘したものに限らず、自由に行える。そして、蓋本体1の上面形状は、図示するものに限らず、例えば片傾斜形状、L型形状に形成されることもある。
【0024】
そして、前記充填切欠部3と、拡張流入溝4,4とは、本実施形態1では、図1および図3に示されるように、正面視略逆T字状に形成されるが、図示は代表的例示であり、図示はしないが、拡張流入溝4は充填切欠部3に対して左右の何れか一側に連設された正面視L字状に構成されてもよい。このように、蓋本体1の外側面に縦状に充填切欠部3,3;3,3を対応位置に凹設し、前記充填切欠部3,3;3,3の正面視左右の側面には前記固定材2が流入される拡張流入溝4,4が前記蓋本体1の長手方向Iに分岐して設けられているので、蓋本体1は減容化されて軽量であるため、運搬する時に、可搬性がよい。
【0025】
5は前記蓋本体1の上面に長手方向Iに設けられた集水溝であり、前記集水溝5には側
溝本体6に設けられた流水溝7内に連通される複数個、図1および図2では2個の通水長
孔部8,8が設けられ、前記通水長孔部8,8には合成樹脂可塑物または金属にて形成され
て前記集水溝5よりも僅かに幅狭をなす図1図2図4図6に示すような扁平な漏斗
部9aを有する漏斗状案内部材9が嵌着されている。
【0026】
10は前記蓋本体1の上面に、図示する本実施形態1では、前記傾斜部1B,1Bの前記集水溝5に対して左右の両側に形成された下り勾配の傾斜面であり、この傾斜面10は図示するものに限らず、例えば前記集水溝5に対して少なくとも左右の一側に形成されるものであってもよい。
【0027】
前記固定材2が、セメントモルタル、合成樹脂接着剤の何れかであり、流動性があるものが使用される。
【0028】
本発明の側溝蓋の実施形態1は以上の構成からなり、蓋本体1の外側面に固定材2を充填する充填切欠部3,3;3,3を複数個、本実施形態1では、図1図2図3に示すように片側に2個づつ左右合計4個を縦状に対応位置に凹設し、前記充填切欠部3,3;3,3の正面視左右の側面には前記固定材2が流入される縦断面略三角形の拡張流入溝4,4が前記蓋本体1の長手方向Iに分岐して固定材2の充填に適当長さlが設けられているので、蓋本体1を側溝本体6の蓋掛かり部12,12に敷設するのに、先ず、蓋本体1を側溝本体6の蓋掛かり部12,12に嵌入する。
【0029】
次いで、蓋本体1の外側面に縦状に対応して凹設された充填切欠部3,3;3,3にセメントモルタルのような流動性を有する固定材2を充填すると、固定材2は、ワーカビリティの良い状態で流動性が発揮され、前記充填切欠部3,3;3,3から、この前記充填切欠部3,3;3,3の正面視左右の側面に蓋本体1の長手方向Iに分岐して固定材2の充填に適当長さl、例えば蓋本体1の長さLが例えば1000mmの場合には、130mm〜150mmに設けられている拡張流入溝4,4内に長手方向Iに沿って分配され、迅速かつ確実に平均して隅々まで流入され、固化される。
【0030】
そして、蓋本体1には、例えば図1図3に示されるように、蓋本体1の外側面に縦状に対応して凹設された充填切欠部3,3;3,3と、該充填切欠部3,3;3,3の正面視左右の外側面に蓋本体1の長手方向Iに分岐して設けられた拡張流入溝4,4と、に前述のように、固定材2が充填、固化されることにより、図1の想像線に示されるように正面視逆T字状の掛かり部Fが蓋本体1の外側面に密着して一体に形成される。しかも固定材2は正面視略逆T字状をなし、図5に示されるように、断面略三角形の拡張流入溝4,4内に迅速かつ確実に隅々まで平均して流入され、固化されるので、施工後は、前述のように前記固定材2が、蓋本体1に対して図には示さない矩形断面の拡張流入溝に充填される場合よりも少ない充填量の割に大きな接触面積をもって側溝本体6の蓋掛かり部12,12に平面4個所にて密着して構造堅牢にかつ安定に支持されるから、蓋本体1は不用意に移動することなく、ガタツキ騒音は生ぜず、消音機能が十分になる。
【0031】
この際、固定材2が充填される充填切欠部3,3;3,3に対して拡張流入溝4,4は、蓋本体1の長手方向Iに分岐して固定材2の充填に適当長さl,l、本実施形態1では、例えば蓋本体1の長さLが例えば1000mmである場合には、130mm〜150mmに設けられているので、充填切欠部3,3;3,3に固定材2を充填した場合に、固定材2は充填切欠部3,3;3,3に分岐して設けられた拡張流入溝4,4内に充填不足になることなく、空隙個所や不連続個所は生ぜず、蓋掛かり部12,12に対して固定され、接触長さが充分になり、固定強度が損なわれず、構造的に堅牢になる。
【0032】
この時、充填切欠部3,3;3,3に対して拡張流入溝4,4の長さl,lを130mm〜150mmにしたのは、130mm未満であると、側溝本体6の蓋掛かり部12,12に対する接触長さに欠けて固定強度が損なわれ、構造的に脆弱になるからであり、また、長さlが150mmを超すと、充填切欠部3内に固定材2を投入した場合に、固定材2が拡張流入溝4,4内に充填不足になり、空隙個所や不連続個所を生じて蓋掛かり部12,12に対する接触長さに欠けて固定強度が損なわれ、構造的に脆弱になるからである。
【0033】
そして、車両が蓋本体1の上面を走行する等して荷重W3が加わる場合に、荷重W3は断面略三角形の拡張流入溝4,4内に流入、固化された固定材2を通じて応力が集中することなく、分散されて軽減され、効果的に安定した状態になるため、蓋本体1は不用意に移動したり、しかも上下方向に移動してガタ付騒音の消音機能が十分になる。しかも、前述のように、正面視逆T字状の掛かり部Fが蓋本体1の外側面に密着して一体に形成されるため、カケやヒビ割れが生ずることなく、構造的に堅牢になる。
【0034】
しかも、上述のように、蓋本体1の外側面に縦状に対応して凹設された充填切欠部3,3;3,3および前記充填切欠部3,3;3,3の正面視左右の側面に蓋本体1の長手方向Iに分岐して設けられている拡張流入溝4,4内にはセメントモルタルのような固定材2が充填、固化されるので、蓋本体1は、その長手方向Iにおいて、側溝本体6の蓋掛かり部12,12の立壁12A,12Aとの間に、砂、ゴミが詰まることがない。
【0035】
また、雨水などの路上の表面水は、蓋本体1の上面に設けた略V字状の傾斜部1Bの上
面に長手方向Iに設けられた集水溝5に集水され、次いで、この集水溝5に側溝本体6に
設けた流水溝7内に連通されるように設けられた複数個の通水長孔部8,8から、該通水
長孔部8,8に嵌着された集水溝5よりも僅かに幅狭をなす扁平な漏斗部9aを有する漏
斗状案内部材9を介して円滑かつ迅速に流水溝7内に流れ落ち、排水される。
【0036】
この際、雨水などの路上の表面水は、蓋本体1の上面に長手方向Iに設けられた集水溝5に対して左右に設けられた下り勾配θの傾斜面10,10に沿って集水溝5に流れ下って円滑かつ確実に集水される。
【0037】
そして、本実施形態1では、図1図2図4図6に示すように集水溝5に複数個、2個が設けられた通水長孔部8に扁平な漏斗部9aが嵌着された漏斗状案内部材9は、合成樹脂可塑物または金属にて形成されているので、車両が蓋本体1の上面を走行する等して荷重W3が加わる場合に、漏斗状案内部材9によって通水長孔部8は保護され、通水長孔部8の内縁がカケるのが防止され、構造堅牢である。また、漏斗状案内部材9は、扁平な漏斗部9aが通水長孔部8に嵌着されているので、不用意に軸周りに回動しない。
【0038】
<実施形態2>
図7および図8に示すものは、本発明の実施形態2である。この実施形態2では、蓋本体1の上面形状がフラット形状に形成されるほか、前記蓋本体1の四隅下面には、不陸調整用切欠部11,11;11,11が設けられ、前記不陸調整用切欠部11,11;11,11には、該不陸調整用切欠部11,11;11,11に対応して側溝本体1の蓋掛かり部12,12に、その先端部13aが螺入されたボルト13と、該ボルト13に螺入されるナット14と、により高さ調整杆15が構成され、該高さ調整杆15が、前記不陸調整用切欠部11内に収容されている構成を採用している点が前記実施形態1とは異なる構成であるほかは前記実施形態1と同様な構成である。
【0039】
そして、本実施形態2では、蓋本体1を側溝本体6の蓋掛かり部12,12に敷設する場合に、蓋本体1の四隅下面に設けられた前記不陸調整用切欠部11,11;11,11に対応して側溝本体6の蓋掛かり部12,12に、その先端部13aが螺入されたボルト13にナット14を螺入して高さHを高低調整することにより不陸を調整し、蓋本体1の水平度を保ち、車両が走行する場合に荷重W3が加わることによるガタツキ騒音の消音機能が十分になり、カケやヒビ割れが生ずることなく、構造的に堅牢になるという作用・効果を奏するほかは、前記実施形態1と同様な構成、作用である。
【0040】
なお、上記実施形態1、および上記実施形態2では、蓋本体1の外側面には、一側に2個づつ、左右には合計4個の充填切欠部3,3;3,3と、この充填切欠部3の左右には正面視2個づつ、蓋本体1の左右では、合計8個の拡張流入溝4が設けられているが、これは代表的例示であり、増減変更は図示するものに限らず、自由に行える。
【0041】
前記充填切欠部3と、拡張流入溝4,4とは、実施形態1および実施形態2では、正面視略逆T字状に形成されるが、図示は代表的例示であり、図示はしないが、拡張流入溝4は充填切欠部3に対して左右の何れか一側に連設された正面視L字状に構成されてもよい。
【0042】
また、上記実施形態2では、蓋本体1の四隅下面に前記不陸調整用切欠部11,11;11,11を設け、この不陸調整用切欠部11,11;11,11に対応して側溝本体6の蓋掛かり部12,12に、その先端部13aが螺入されたボルト13にナット14を螺入して高さHを高低調整することにより不陸を調整し、蓋本体1の水平度を保つ構成としているが、実施形態1においても蓋本体1の四隅下面に前記不陸調整用切欠部11,11;11,11を設けるとともに、この不陸調整用切欠部11,11;11,11に対応して側溝本体6の蓋掛かり部12,12に、ボルト13の先端部13aをナット14に螺入することにより高さHを高低調整して不陸を調整するようにすることも本発明の適用範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、ガタツキ騒音の消音機能が十分であり、カケやヒビ割れが生ずることなく、構造的に堅牢であり、しかも、蓋板の長手方向相互、または蓋板の幅方向において、側溝本体の蓋掛かりの立壁との間に、砂、ゴミが詰まることがないという用途・機能に適する。
【符号の説明】
【0044】
1 蓋本体
1A フラット部
1B 傾斜部
2 固定材
3 充填切欠部
4 拡張流入溝
5 集水溝
6 側溝本体
流水溝
8 通水長孔部
9 漏斗状案内部材
9a 漏斗部
10 傾斜面
12 蓋掛かり部
12A 立壁
13 ボルト
13a 先端部
14 ナット
15 高さ調整杆
I 長手方向
J 幅方向
L 長さ
W1 幅
W2 幅
W3 荷重
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8