特許第5764437号(P5764437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5764437-エンジンのワイヤハーネス配索構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764437
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】エンジンのワイヤハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   B60R16/02 620Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-188554(P2011-188554)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-49358(P2013-49358A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2013年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】辻岡 利裕
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−197669(JP,A)
【文献】 特開2009−197742(JP,A)
【文献】 実開昭55−067329(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
F02F 1/00−1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン機壁(1)にワイヤハーネス(2)を沿わせた、エンジンのワイヤハーネス配索構造において、
エンジン機壁(1)にワイヤハーネス保護板(3)を取り付け、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)を挿通させるとともに、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス接当杆(4)を架設し、このワイヤハーネス接当杆(4)にワイヤハーネス(2)を接当させ、
ワイヤハーネス接当杆(4)はエンジン機壁(1)から突出させ、ワイヤハーネス接当杆(4)の突出端部(5)はワイヤハーネス保護板(3)にあけた接当杆嵌入孔(6)に嵌入させ、
ワイヤハーネス接当杆(4)の突出方向を後方として、後方から見て、ワイヤハーネス(2)に横一側方に向けて凸状となる湾曲部(2a)を設け、この湾曲部(2a)を後方からワイヤハーネス保護板(3)で覆い、後方から見て、この湾曲部(2a)をその内周側にあるワイヤハーネス接当杆(4)に斜め上から凭れさせ、
エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2) の湾曲部(2a)を挟み付けた、ことを特徴とするエンジンのワイヤハーネス配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのワイヤハーネス配索構造に関し、詳しくは、ワイヤハーネスの損傷を抑制することができるエンジンのワイヤハーネス配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンのワイヤハーネス配索構造として、エンジン機壁にワイヤハーネスを沿わせたものがある。(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この従来技術では、クランプを介してワイヤハーネスを位置決めしているため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−318343号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題》 ワイヤハーネスが損傷しやすい
クランプを介してワイヤハーネスを位置決めしているため、クランプの強い拘束力によりワイヤハーネスが損傷しやすい。
【0005】
本発明の課題は、ワイヤハーネスの損傷を抑制することができるエンジンのワイヤハーネス配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1(A)(B)に例示するように、エンジン機壁(1)にワイヤハーネス(2)を沿わせた、エンジンのワイヤハーネス配索構造において、
図1(A)(B)に例示するように、エンジン機壁(1)にワイヤハーネス保護板(3)を取り付け、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)を挿通させるとともに、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス接当杆(4)を架設し、このワイヤハーネス接当杆(4)にワイヤハーネス(2)を接当させ、
図1(A)(B)に例示するように、ワイヤハーネス接当杆(4)はエンジン機壁(1)から突出させ、ワイヤハーネス接当杆(4)の突出端部(5)はワイヤハーネス保護板(3)にあけた接当杆嵌入孔(6)に嵌入させ、
ワイヤハーネス接当杆(4)の突出方向を後方として、図1(A)に例示するように、後方から見て、ワイヤハーネス(2)に横一側方に向けて凸状となる湾曲部(2a)を設け、この湾曲部(2a)を後方からワイヤハーネス保護板(3)で覆い、後方から見て、この湾曲部(2a)をその内周側にあるワイヤハーネス接当杆(4)に斜め上から凭れさせ、
図1(B)に例示するように、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)の湾曲部(2a)を挟み付けた、ことを特徴とするエンジンのワイヤハーネス配索構造。
【発明の効果】
【0007】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 ワイヤハーネスの損傷を抑制することができる。
図1(A)(B)に例示するように、エンジン機壁(1)にワイヤハーネス保護板(3)を取り付け、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)を挿通させるとともに、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス接当杆(4)を架設し、このワイヤハーネス接当杆(4)にワイヤハーネス(2)を接当させたので、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間でワイヤハーネス(2)がワイヤハーネス接当杆(4)によって位置決めされ、ワイヤハーネス(2)にクランプのような強い拘束力がかからず、ワイヤハーネス(2)の損傷を抑制することができる。
【0008】
《効果》 ワイヤハーネスの損傷を抑制することができる。
図1(A)(B)に例示するように、ワイヤハーネス接当杆(4)はエンジン機壁(1)から突出させ、ワイヤハーネス接当杆(4)の突出端部(5)はワイヤハーネス保護板(3)にあけた接当杆嵌入孔(6)に嵌入させたので、エンジン機壁(1)へのワイヤハーネス保護板(3)の取付作業中、誤ってワイヤハーネス接当杆(4)の突出端部(5)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)を挟み込ませる不具合が生じても、ワイヤハーネス(2)が接当杆嵌入孔(6)の位置にあることが接当杆嵌入孔(6)を介して目視で観察でき、その不具合をワイヤハーネス保護板(3)の取付作業者に気付かせる。これにより、取付作業者により上記挟み込みの不具合が解消される契機が得られ、この不具合に起因するワイヤハーネス(2)の損傷を抑制することができる。
【0009】
《効果》 ワイヤハーネスの位置が安定化する。
図1(A)(B)に例示するように、ワイヤハーネス接当杆(4)にワイヤハーネス(2)を凭れさせたので、ワイヤハーネス(2)がワイヤハーネス接当杆(4)に押し付けられ、ワイヤハーネス(2)の位置が安定化する。
【0010】
《効果》 ワイヤハーネスの支持が安定化する。
図1(A)(B)に例示するように、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)を挟み付けたので、ワイヤハーネス(2)の支持が安定化する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るエンジンを説明する図で、図1(A)は要部背面図、図1(B)は図1(A)のB−B線断面図である。
図2図1のエンジンの背面図。
図3図1のエンジンの縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図3は本発明の実施形態に係るエンジンのワイヤハーネス配索構造を説明する図であり、この実施形態では、ワイヤハーネス配索構造を備えた立形水冷の直列2気筒ガソリンエンジンについて説明する。
【0013】
エンジンの概要は、次の通りである。
図2図3に示すように、シリンダブロック(22)の上部にシリンダヘッド(23)を組み付け、シリンダヘッド(23)の上部にヘッドカバー(24)を組み付け、シリンダブロック(22)の前部に調時伝動ケース(25)を組み付け、調時伝動ケース(25)の前方にエンジン冷却ファン(26)を配置し、シリンダブロック(22)の下部にオイルパン(27)を組み付け、シリンダブロック(22)の後方にフライホイール(8)を配置している。
シリンダブロック(22)内にはクランク軸(28)を架設して収容し、このクランク軸(28)で調時伝動ケース(25)内の巻き架け調時伝動ベルト(29)を駆動するとともに、フライホイール(8)を駆動する。
【0014】
図3に示すように、シリンダブロック(22)の後端壁(22a)にベアリングケース(30)を取り付け、このベアリングケース(30)に支持させたベアリング(31)でクランク軸(28)の後ジャーナル部(32)を軸受けしている。ベアリング(31)の後方にはオイルシール(39)を配置している。ベアリングケース(30)から後向きに突出させた突出部(33)に充電コイル(34)を取り付け、この充電コイル(34)をフライホイール(8)内に収容し、フライホイール(8)の内周に配置した磁性体(35)が充電コイル(34)の周囲を通過することにより、充電コイル(34)で発電が行われるようになっている。この充電コイル(34)からワイヤハーネス(1)を導出し、このワイヤハーネス(1)を介して充電コイル(34)を整流回路(図外)を介してバッテリ(図外)に接続している。
【0015】
図1(A)(B)に示すように、エンジン機壁(1)にワイヤハーネス(2)を沿わせたワイヤハーネス配索構造を備えている。
図1(A)(B)に示すように、エンジン機壁(1)にワイヤハーネス保護板(3)を取り付け、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)を挿通させるとともに、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス接当杆(4)を架設し、このワイヤハーネス接当杆(4)にワイヤハーネス(2)を接当させている。
【0016】
図1(A)(B)に示すように、ワイヤハーネス接当杆(4)はエンジン機壁(1)から突出させ、ワイヤハーネス接当杆(4)の突出端部(5)はワイヤハーネス保護板(3)にあけた接当杆嵌入孔(6)に嵌入させている。
ワイヤハーネス接当杆(4)にワイヤハーネス(2)を凭れさせている。
エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)を挟み付けている。
【0017】
図3に示すように、ワイヤハーネス保護板(3)を取り付けるエンジン機壁(1)は、シリンダブロック(22)の後端壁(22a)に沿って取り付けたエンドプレート(9)である。このエンドプレート(9)は、フライホイール(8)を前側から覆うとともに、スタータモータ(図外)の取り付け部となる。エンドプレート(9)は、その中心部にベアリングケース(30)を一体形成している。ワイヤハーネス保護板(3)を取り付けるエンジン機壁(1)は、シリンダブロック(22)の後端壁(22a)であってもよい。
【0018】
ワイヤハーネス保護板(3)は、左右両端部を取付ボルト(10)(10)でエンジン機壁(1)に取り付け、左右方向中央部は後向き突出状に屈曲させ、エンジン機壁(1)の後側の窪み(11)とワイヤハーネス保護板(3)との間に隙間(12)を設け、この隙間(12)にワイヤハーネス(2)を挿通させている。また、この隙間(12)にワイヤハーネス接当杆(4)を架設している。このワイヤハーネス接当杆(4)は、エンジン機壁(1)から後向きに突出させている。ワイヤハーネス(2)は、このワイヤハーネス接当杆(4)に斜め上から凭れさせ、その荷重の一部をワイヤハーネス接当杆(4)に支持させている。
この実施形態では、ワイヤハーネス接当杆(4)の突出方向を後方として、図1(A)に示すように、後方から見て、ワイヤハーネス(2)に横一側方に向けて凸状となる湾曲部(2a)を設け、この湾曲部(2a)を後方からワイヤハーネス保護板(3)で覆い、後方から見て、この湾曲部(2a)をその内周側にあるワイヤハーネス接当杆(4)に斜め上から凭れさせ、図1(B)に示すように、エンジン機壁(1)とワイヤハーネス保護板(3)との間にワイヤハーネス(2)の湾曲部(2a)を挟み付けている。
【符号の説明】
【0019】
(1) エンジン機壁
(2) ワイヤハーネス
(3) ワイヤハーネス保護板
(4) ワイヤハーネス接当杆
(5) ワイヤハーネス接当杆の突出端部
(6) 接当杆嵌入孔
図1
図2
図3