特許第5764446号(P5764446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764446
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20150730BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-207883(P2011-207883)
(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公開番号】特開2013-70532(P2013-70532A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2014年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】毛利 江鳴
(72)【発明者】
【氏名】川内 勇太
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−153246(JP,A)
【文献】 特開2004−135444(JP,A)
【文献】 特開2009−141000(JP,A)
【文献】 特開2005−012940(JP,A)
【文献】 特開2000−324855(JP,A)
【文献】 特開2009−194273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個のパワーモジュールのケーシング内部に逆並列接続されたスイッチング素子とフライホイールダイオードから成る上アーム素子と下アーム素子を有し、このパワーモジュールの外部面に、上アーム素子のP端子と下アーム素子のN端子と上下アーム素子の共通接続点となる交流出力端子と上下アーム素子のゲート端子とを有し、ケーシングの上下に前記ゲート端子を持ち、ケーシングの左右の一方端に前記P端子とN端子を持ち、他方端に交流出力極端子を持つパワーモジュールを備えた電力変換装置において、
前記のパワーモジュールを、1相分につき、鉛直方向上下2並列となるように配列し、これを水平方向に3相分3列となるように配列し、
前記パワーモジュールの鉛直床方向に平滑コンデンサを配列し、
前記配列された2並列のパワーモジュールのP端子同士およびN端子同士をそれぞれ並列接続するP極並列配線バーとN極並列配線バーの形状を、それぞれL字状に立ち上げ、立体交差させて互いに絶縁物を挟んで重ね合わせ、前記P極並列配線バーとN極並列配線バーそれぞれのほぼ中央位置を前記平滑コンデンサ方向への方向変換接続位置とし、
前記配列された2並列のパワーモジュールの交流出力端子同士を並列接続する交流出力並列配線バーの形状、L字状に立ち上げ、当該交流出力並列配線バーほぼ中央位置を、鉛直床方向への方向変換接続位置としたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記P端子とN端子がケーシングの右端、前記交流出力極端子がケーシングの左端の位置にそれぞれ配列され、この向きに合わせて、前記各端子に配線バーが接続されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記P端子とN端子がケーシングの左端、前記交流出力極端子がケーシングの右端の位置にそれぞれ配列され、この向きに合わせて、前記各端子に配線バーが接続されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電力変換装置において、
さらにゲートドライブ基板とゲートドライブ基板取り付け板を設けて、ゲートドライブ基板上のゲート端子位置をパワーモジュールのケーシングのゲート端子位置に合わせ、前記ゲートドライブ基板とゲートドライブ基板取り付け板に、配線用の刳り貫き穴を設けたことを特徴とした電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動用インバータや系統連系インバータなどの直流を3相交流に、あるいは3相交流を直流に変換する電力変換装置に関し、特に、1相分が2個並列接続したパワーモジュールから成り、装置全体としては3相分6個のパワーモジュールから構成される電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3相交流を直流に、あるいは直流を3相交流に変換する電力変換装置において、1個のパワーモジュールの中に逆並列接続されたスイッチング素子とフライホイールダイオードから成る上アーム素子と下アーム素子を有し、また前記パワーモジュール外部に、上アーム素子のP端子と下アーム素子のN端子と上下アーム素子の共通接続点となる交流出力端子と上下スイッチング素子のゲート端子とを有したパワーモジュールを使用すると、電力変換装置全体としては3相分を3個のパワーモジュールで構成することが可能となる。この場合、平滑コンデンサのP極とN極および外部出力交流端子への配線が容易になるので、電力変換装置の小型化は図り易い。
【0003】
しかし、電力変換装置の1相分の定格電流が大きくなって1個のパワーモジュールで適応できなくなった場合は、例えば、パワーモジュールを1相に付き2並列にして、電力変換装置としては、3相で合計6個のパワーモジュールで構成せねばならず、この場合は、電力変換装置の小型化は難しい。
【0004】
電力変換装置の配線バー構造における従来技術例としては特許文献1、特許文献2があり、パワーモジュールのP端子、N端子から平滑コンデンサのP極、N極に導き出されるところのP極配線バーとN極配線バーとを平たく重ね合わせ、P極配線バーとN極配線バーとの間に絶縁物を入れた構造にするといった内容のものがある。この例での特徴的な課題は、配線の低インダクタンス化やパワーモジュールの並列接続における電流分担の均等化であり、配線バー構造の技術的な手段により、電力変換装置の小型化を図ることを課題としていない。
【0005】
このような背景から、パワーモジュールの配列の方法は、図9に示す3相分水平一列配列や、3相分鉛直一列配列(図9の水平と鉛直方向を逆にしたもの)や3相分離配列(図示せず)などが考えられる。3相分水平一列配列方法の場合は、6個のパワーモジュールを水平1列に配列することになり、パワーモジュールの冷却性は良いが、装置の水平方向寸法が大幅に増大する。また、3相分鉛直一列配列方法の場合は、6個のパワーモジュールを縦1列に配列することになり、装置の水平方向寸法は小さく出来るが、鉛直方向寸法が大幅に増大する。また、鉛直下方に位置する相のスイッチング主素子の熱が、上方に位置する他相のスイッチング主素子の熱に重なることになり、冷却性が悪くなる。3相分離配列方法の場合では、パワーモジュールの出力端子位置と平滑コンデンのP極位置、N極位置が、各相毎に3箇所に離れて配列される為、各相の直流部を一箇所に集合させる配線や出力端子を外部へ引き出す配線が複雑化し易い。また、各相の平滑コンデンサに発生するリップ電流を他の相の平滑コンデンサと互いに分担し合うことが難しい。この為、前記2方式と同容量の平滑コンデンサを用いた場合、前記2方式より平滑コンデンサは発熱しやすいという問題を抱える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−299240号公報
【特許文献2】特開2003−061365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとするところは、電力変換装置の小型化が主たる課題であるが、小型化するに際し、パワーモジュールの配列方法やパワーモジュール端子から取り出す配線バーの構造の有り方によっては、P,N配線バーの低インダクタンス化や2並列パワーモジュール間の電流分担の均一化を阻害する問題や冷却性能を悪くしてしまう問題を生じる。また、パワーモジュールのゲート端子位置に対するゲートドライブ基板の形状やゲートドライブ基板の取り付け板の有り方よっては、ゲート配線の作業性を悪くし、ゲートドライブ回路の安定動作を阻害してしまうなどの問題を生じる。
【0008】
本発明は、これらの問題にかんがみ、パワーモジュールの配列と、パワーモジュールの各端子の配線バーの配置に工夫を加えて、小形化を図った電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、1個のパワーモジュールの内部に逆並列接続されたスイッチング素子とフライホイールダイオードから成る上アーム素子と下アーム素子を有し、このパワーモジュールの外部面に、上アーム素子のP端子と下アーム素子のN端子と上下アーム素子の共通接続点となる交流出力端子と上下アーム素子のゲート端子とを有し、前記ゲート端子位置をケーシングの上端中央および下端中央に持ち、前記P端子とN端子を右端に持ち、前記交流出力極端子を水平方向左端に持つパワーモジュールを使用することを特徴とする。
【0010】
また、本発明では、前記特徴のパワーモジュールを、1相分につき、鉛直方向上下2並列となるように配列し、これを水平方向に3相分3列となるように配列することを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、前記配列された2並列パワーモジュールのP端子同士およびN端子同士を短絡して並列接続するP極並列配線バーとN極並列配線バーの形状を、パワーモジュールそれぞれのP端子およびN端子にて、L字状に立ち上げ、この立ち上がった一定の高さのところで、中央部分だけを残し再びパワーモジュール端子平面と並行に曲げ、この中央部分を、平滑コンデンサと接続する為の方向転換接続位置とし、この両極並列配線バー同士が立体交差して、互いに絶縁物を挟んで重ね合わせが出来るようにしたことを主要な特徴とする。
【0012】
また、本発明では、前記2並列パワーモジュールの交流出力端子同士を短絡して並列接続する交流出力並列配線バーの形状を、パワーモジュールそれぞれの交流出力端子にて、L字状に直角に立ち上げ、この立ち上がったある一定の高さのところで、中央部分だけを残し、再びパワーモジュール端子平面と並行に曲げ、この中央部分を、外部交流出力端子との方向転換接続位置としたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、ゲートドライブ基板の形状と同基板のゲート端子位置を、パワーモジュールのゲート端子位置に平面的に合わせたものとし、また、ゲートドライブ基板を取り付ける板を、ゲートドライブ基板の形状と配線バー通過位置に合わせて、大きく刳り貫いた穴とし、この穴をゲート配線通過用穴としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パワーモジュールの配列と、パワーモジュールの各端子の配線バーの配置により小形化を図ることができる。上記配列によりパワーモジュール表面を風が流れ易くなり冷却性が良くなる。さらに、P極、N極配線バーの低インダクタンス化と2並列素子の電流分担性も阻害されない。
【0015】
パワーモジュールとゲートドライブ基板間のゲート配線作業が簡単となり、ゲート配線長を短く出来ることからノイズを受けにくくなり、ゲートドライ部回路動作の安定化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例のP極、N極並列配線バー及び交流出力並列配線バー構造図。
図2】同じく方向変換用P極、N極の配線バー及び交流出力配線バー構造図。
図3】同じく方向変換用P極、N極の配線バーと平滑コンデンサとの接続構造図。
図4】同じくパワーモジュールの各端子の端子構造図。
図5】同じく配線バー構造の全体構成図。
図6】同じくゲートドライブ基板の形状とゲートドライブ基板取付板の構造図。
図7図6の1相分の拡大図。
図8】実施例2の配線バー構造の全体構造図。
図9】従来例のパワーモジュールの配置図。
図10】本発明実施例のパワーモジュールの配置図。
図11】パワーモジュール内の回路構成図。
図12】1相分のパワーモジュールの電力変換装置への接続構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
電力変換装置の小型化を、使用パワーモジュールの選択と、配列方法の選択と、パワーモジュールに接続される配線バー形状と、パワーモジュールのゲートドライブ基板の形状とゲートドライブ基板の取り付け構造の工夫により、並列パワーモジュールの電流分担の均等化や配線バーの低インダクタンス化や冷却性を阻害することがなく実現した。
【0018】
本発明の電力変換装置の実施例1について図1図7を用いて説明する。
【0019】
実施例において、3相の各相パワーモジュールは、図11に示すように構成されている。すなわち、1個のパワーモジュール2のケーシング2a内部に、逆並列接続されたスイッチング素子70とフライホイールダイオード71から成る上アーム素子72と下アーム素子73を有し、このパワーモジュールの外部面に、上アーム素子のP端子11と、下アーム素子のN端子12と、上下アーム素子の共通接続点となる交流出力端子13と、上下アーム素子のゲート端子14、15とを有している。
【0020】
上記構成のパワーモジュール2は、1相分の定格電流が大きくなって1個のパワーモジュールで適応できなくなった場合は、例えば図12に示すように、1相につきパワーモジュール2個を並列に接続して用い、電力変換装置全体としては、3相で分の計6個のパワーモジュールで構成される。図12で、10はパワーモジュール2のP端子11とN端子12との間に接続される複数の平滑コンデンサである。
【0021】
本実施例において、上記6個のパワーモジュール2は図10のように配列される。1相分につきパワーモジュール2を鉛直方向上下2並列となるように配列し、この1相分を水平方向に3相分3列となるように配列することを特徴とする。この配列によれば、図9に示す3相分水平一列配列や、3相分鉛直一列配列(図9の水平と鉛直方向を逆にしたもの)の配列に比べて、水平方向または鉛直方向の長さを小さく抑えることができ、小形化を図ることができる。
【0022】
次に、1個のパワーモジュールのケーシングの外部面への各端子の配置について図4で説明する。図4において、パワーモジュールのケーシング2aの4方向を上端、下端、左端、右端で示す。上アーム素子のゲート端子14をケーシング2aの上端中央に設け、下アーム素子のゲート端子15をケーシング2aの下端中央に設ける。上アーム素子のP端子11と下アーム素子のN端子12をケーシング2aの右端に設け、前記交流出力端子13をケーシング2aの水平方向左端に設ける。
【0023】
図5は、図10のように配列されたパワーモジュール2の配線バー構造の全容を平面視したものである。1は電力変換装置であり、装置の側面壁、冷却ファン、端子台など発明に関係しない部分については省略している。本装置の特徴としては、大きくU相、V相、W相の3つのブロックに分かれる。ここで、1相分に使用されている配線バーは、他の二相の同じ箇所でも同じものを使用する為、以降の説明では1相分の配線構造についてのみ言及する。
【0024】
2はパワーモジュールで、この2個を1個の冷却フィン3に並列に並べて、1相分として配列する。また、4はP極並列配線バー、5はN極並列配線バー、6は交流出力並列配線バーとなっており、それぞれ、2並列のパワーモジュールの同極端子同士を短絡(接続)して並列接続している。7はP極配線バー、8はN極配線バー、9は交流配線バーであり、これらは、前記4、5、6の並列配線バーに連結され、鉛直床方向、すなわち平滑コンデンサ10方向へ方向変換する配線バーを成している。
【0025】
次に、パワーモジュール2の端子について説明する。パワーモジュール2は、図4に示すような端子配列の構成になっている。11は上アーム素子のP端子、12は下アーム素子のN端子、13は上下アーム素子の共通接続点となる交流出力端子、14は上アーム素子のゲート端子の設置位置、15は下アーム素子のゲート端子の設置位置である。
【0026】
次に、本実施例の主要な特徴となるP極並列配線バーおよびN極並列配線バーについて、図1図3を用いて説明する。図1で、4はP極並列配線バー、5はN極並列配線バーを示す。これらの配線バーの形状的特徴は、パワーモジュールそれぞれのP端子11およびN端子12に接続されて、この位置からL字状に立ち上り、この立ち上がった一定の高さのところで、中央部分だけが再びパワーモジュール端子平面と並行に曲げられ、この中央部分を、平滑コンデンサと接続する為の方向転換接続位置P極16とN極17としている点である。
【0027】
他の特徴としては、天井側パワーモジュールのP端子11から引き出されるP極並列配線バー4の足部が、N極並列配線バー5の立ち上がった部分と立体交差している点と、N極並列配線バー5のN極方向変換位置17が、P極並列配線バー4の立ち上がった部分と立体交差している点と、さらには、P,N両極並列バー4と5の間に絶縁物19が挟み込まれ、P極とN極並列配線バーが互いに重ね合わせられようになっている点である。
【0028】
つづいて、交流出力並列配線バー6の形状的特徴について説明する。この配線バー6の特徴は、パワーモジュールそれぞれの交流出力端子13にて、L字状に直角に立ち上り、この立ち上がったある一定の高さのところで、中央部分だけが再びパワーモジュール端子平面と並行に曲げられ、この中央部分を、外部交流出力端子と接続する為の方向転換接続位置としている点である。
【0029】
以上が、P極、N極並列配線バー4、5および交流出力並列配線バー6に関する形状的特長であるが、これらの技術的効果を以下に示しておく。
【0030】
先ず、第1点目は、前記3種類の並列バー4、5、6は何れも、ほぼ中央位置に方向変換接続位置16、17、18を持っているので、方向転換のし易さだけでなく、2並列パワーモジュールに流れる電流の分担性を良くしている点である。
【0031】
第2点目は、P極とN極並列配線バー4、5の取り付け方向が床側から天井側に沿って、冷却風の流れ方向に対し壁を作らないので、パワーモジュール表面の熱が逃げ易く、P極とN極並列配線バー4、5自体の熱も逃がしやすくしている点である。
【0032】
次に、鉛直床方向への方向変換を行うP極、N極配線バーおよび交流出力配線バーについて図1図2図3を用いて説明する。
【0033】
図2で、7、8はそれぞれ、平滑コンデンサと接続する為の方向転換を成すP極、N極の配線バーである。これらP極、N極の配線バーは、図1のP極、N極方向変換接続位置16と17に接続され、また、図2図3に示すように、互いの間に絶縁物20を挟み、上下重なりあうようにして、平滑コンデンサのP極、N極一括連結バー60、61に接続される。ここでの技術的効果は、前記P極、N極並列配線バー4、5と、P極、N極配線バー7,8とが方向変換しながらも、パワーモジュールから平滑コンデンサまで一連の重ね合わせの構造を成している為、配線バーの低インダクタンス化が図られることである。
【0034】
つづいて、図2の交流出力配線バー9について説明する。この配線バー9は図1の交流出力変換位置18に接続され、この位置より外部交流端子に接続される。ここでの構造的特徴は、配線バー9が、前記P、N極配線バー7、8とある一定間隔を保った状態で、7、8とは平面的に並行にして鉛直床方向へ引き出されている点である。
【0035】
以上が1相分の配線バー4〜9であり、装置としてはこれと同じものがU、V、Wの3相分を成して、図5に示す電力変換装置全体となる。
【0036】
次に、ゲートドライブ基板の形状と、ゲートドライブ基板の取付板の構造について、図6図7を用いて説明する。図6は、本電力変換装置のパワーモジュールを駆動する為のゲートドライブ基板を図5に示される構成の上に配列したものである。図6において、ゲートドライブ基板21は、各相毎に1枚で合計3枚で構成され、ゲートドライブ基板取付板22に固定される。1相分のゲート配線は、他2相も同じパターンで配線する為、以下説明では、1相分のみについて説明する。
【0037】
図7は、1相分の拡大図であり、構造的特徴を以下に示す。第1点目は、ゲートドライブ基板21からパワーモジュール2の内側のゲート端子42,43へのゲート配線作業がし易いように、ゲートドライブ基板取付板22に大きな刳り貫き穴50を設け、この穴50に合わせるように、ゲートドライブ基板21の形状を図のようにコの字形に切り欠いている。
【0038】
第2点目は、同基板21の取り付け幅寸法を、平面的にパワーモジュールの外側のゲート端子41、44が上方から見える幅とし、パワーモジュールのゲート端子位置41〜44に対するゲートドライブ基板21上のゲート端子31〜34が、31−41、32−42、33−43、34−44の端子の組合せとなるように、平面的に位置合せしている。
【0039】
第3点目は、P極、N極配線バー7,8と交流出力配線バー9の間隔、および通過位置が、前記刳り貫き穴と協調した位置取りを成し、各配線バーや、ゲートドライブ基板21が、パワーモジュールゲート端子位置41〜44を平面的に覆わないように構成している点である。この技術的効果は、ゲート配線が最短にして、簡単に行え、また、配線バーからの誘導ノイズを受け難く、ゲートドライブ回路の安定動作を図れる点にある。
【0040】
次に、実施例2を図8で説明する。図8は、実施例1に対し、パワーモジュールのP、N端子11、12と交流出力端子13の設置位置を、ケーシング2aで左右反転させたものである。図8において、各部の配線バーの技術的な考え方は、実施例1と同じであり、各配線バーの形状と位置取りを、パワーモジュールのP、N端子と交流出力端子に合わせ、配置としては図1に示す実施例1とは鏡映的に反転したものになっている。この実施例2では、ドライブ基板形状や、取り付け板については特に説明しないが、これらに関しても、図8に示すパワーモジュールの端子位置や、配線バーの位置取りに合わせたものとなる。
【符号の説明】
【0041】
1 本発明の電力変換装置、
2 本発明に使用するパワーモジュール
2a パワーモジュールのケーシング
3 パワーモジュールを載せる冷却フィン
4 P極並列配線バー(パワーモジュールP端子との接続バー)
5 N極並列配線バー(パワーモジュールN端子との接続バー)
6 交流出力配線バー(パワーモジュール交流端子との接続バー)
7 P極配線バー(平滑コンデンサとの接続バー)
8 N極配線バー(平滑コンデンサとの接続バー)
9 交流出力配線バー(外部交流出力端子との接続)
10 平滑コンデンサ
11 パワーモジュールのP端子
12 パワーモジュールのN端子
13 パワーモジュールの交流出力端子
14 上アーム素子ゲート端子の設置位置
15 下アーム素子ゲート端子の設置位置
16 P極方向変換接続位置
17 N極方向変換接続位置
18 交流出力方向変換接続位置
19 P極並列配線バー−N極並列配線バー間絶縁物
20 P極配線バー−N極配線バー間絶縁物
21 ゲートドライブ基板
22 ゲートドライブ基板取り付け板
31 ゲートドライブ基板部上ゲート端子(天井側モジュール上アーム用)
32 ゲートドライブ基板部上ゲート端子(床側側モジュール上アーム用)
33 ゲートドライブ基板部上ゲート端子(天井側モジュール下アーム用)
34 ゲートドライブ基板部上ゲート端子(床側モジュール下アーム用)
41 天井側パワーモジュール上アーム用ゲート端子
42 床側パワーモジュール上アーム用ゲート端子
43 天井側パワーモジュール下アーム用ゲート端子
44 床側パワーモジュール下アーム用ゲート端子
50 ゲートドライブ基板取り付け板部ゲート配線通過用穴
60 平滑コンデンサP極一括短絡配線バー
61 平滑コンデンサN極一括短絡配線バー
70 スイッチング素子
71 フライホイールダイオード
72 上アーム素子
73 下アーム素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12