【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する顕微鏡照明システムによって達成される。対応する顕微鏡は、請求項
9の主題であり、傾斜照明を用いる入射光顕微鏡検査用の対応する方法は、請求項
19の主題である。有利な実施形態は、対応する従属クレームおよび以下の説明から明らかになろう。
【0008】
本発明によれば、開口装置には、回転軸を中心に回転可能で、かつ異なるサイズの複数の開口部が円周方向に形成された開口ホイールまたはディスクが含まれる。開口ホイールを回転させることによって、これらの開口部のそれぞれは、光軸を中心として、または光軸の回りの所定領域内で光軸から偏心して配置することができる。もちろん、これには、開口ホイールの回転軸が、光軸からオフセットされることを必要とする。別段の定めがない限り、かつ一般性を制限することなく、照明は垂直照明であると仮定されるが、この場合に、照明ビームは、ビームスプリッタおよび顕微鏡対物レンズを通って、検査される対象物上に導かれる。中心照明ビーム経路は、軸入射明視野照明(axial incident bright-field illumination)を提供し、一方で偏心照明ビーム経路は、「傾斜照明」とも呼ばれる、一側からの角度入射照明をもたらす。
【0009】
本出願に用いられる用語「光入射方向」および「入射光角度」を明確にするために、周知の球座標系およびその球座標が参照される。入射光角度、すなわち、対物面に対する垂線と、照明ビームの入射方向との間の角度は、極角に対応し、一方で光入射方向は、球座標系における方位角に対応する。
【0010】
初期位置において、特定の開口部が、顕微鏡照明システムの光軸を中心とした位置にあるものとする。この位置からスタートして、開口ホイールをその回転軸を中心に右回りまたは左回りに回転させることによって、開口部は、光軸に対して偏心した位置に移動させることができる。このプロセスにおいて、最初に入射光角度が変化し、かつ開口ホイールの移動中に開口部がたどる円形経路ゆえに、光入射方向が同様に変化する。しかしながら、光入射方向は、わずかしか変化しない。なぜなら、光軸からのわずかな変位に対して、円形経路は、直線で近似することができ、光軸と開口ホイールの回転軸との間の距離が大きい場合には特にそうである。
【0011】
開口ホイールが、それ自体の中に、円周方向に配置された異なるサイズの複数の開口部を形成しているという事実ゆえに、適宜に開口ホイールを配置することによって、所定の開口サイズ間で容易に切り替えることが可能である。
【0012】
定義された位置へと開口部のそれぞれを再現可能に合わせる能力ゆえに、本発明は、技術的に単純で使いやすい方法で、特に、光軸の両側において入射光角度の容易に再現可能な変更を可能にし、一方で同時に、異なる開口サイズの利用を可能にする。
【0013】
「光軸の回りの所定領域」、すなわち、請求項1で言及され、かつその内側では特定の開口部を光軸から偏心して配置可能な「光軸の回りの所定領域」は、円周方向における開口部間の間隔によって、およびまた開口ホイールのエッジに対するそれぞれの開口部の位置によって、原則として、範囲を制限される。しかしながら、実際には、前記制限は、主として、開口部の上流の光源および照明光学装置によって生成された照明ビームの直径によって課される。光軸を中心として配置され、かつ開口ホイール前に、特に直前に配置された固定開口絞りは、かかる領域を光軸の回りで固定して画定/規定できるようにする。
これに関連して、「開口ホイールの直前に配置される」は、固定開口絞りが、光源に向かう方向において、開口ホイールに隣接した位置することを意味する。固定開口絞りと開口ホイールとの間に他の光学的に活性な要素が存在すべきではない。
【0014】
開口ホイールの極めて可変な回転をできる限り可能にするために、ステッパモータを用いて開口ホイールを駆動することが好都合である。駆動装置はまた、DCモータまたは磁気駆動装置などの他のモータによって設けてもよい。モータおよび開口ホイールを動作位置に導くために、ギア機構、ベルト駆動装置、歯付きリングなどを取り付けることが可能である。適切な制御が与えられたとすると、開口ホイールは、代替としてモータシャフト上に直接取り付けてもよい。最小のステップサイズで動作するステッパモータによって、開口ホイールのほぼ連続的な回転が可能になる。特に、ステッパモータを用いれば、傾斜入射照明、特に特定の対象物に依存する入射光角度における特定の設定の信頼できる再現が可能になる。
【0015】
有利なことに、開口ホイールの回転軸は、顕微鏡照明システムおける光軸と平行に配置され、かつ回転軸および光軸と開口ホイールとの交点間の接続線17が水平線とほぼ45度の角度を形成するような方法で、配置される。用語「ほぼ」は、約10度の精度を意味すると理解され、その結果、前記角度は、35度〜55度までの範囲にあるべきである。用語「水平線」は、実際には、照明ビーム経路の光軸を通る水平線と理解される。
【0016】
デカルト座標系の原点が、開口ホイールの回転軸と一致し、x軸が水平軸を表し、y軸が垂直軸を表すように、デカルト座標系を開口ホイール上に課する場合には、光軸に対する回転軸の上記の有利な配置は、選択された開口部が、開口ホイールの回転に応じ、x軸およびy軸に対して約45度の角度で、固定開口絞り内(またはより一般的には、光軸の回りの所定領域内)の円弧に沿って移動されることに帰着する。実際的な用途において固定開口絞りの寸法が与えられたとすると、前述の円弧は、直線で適切に近似することができる。かかる照明ビームが、ケーラー照明の原理に従って入射照明を提供するために、顕微鏡対物レンズを通って対物面上に導かれた場合には、(対応するx’−y’座標系のように)対物面において傾斜入射照明を得ることが可能であり、この場合に、光入射方向(方位角)は約45度であり、入射光角度は、(回転軸を中心に開口ホイールを回転させることにより)光軸から離れるように開口部を移動させることによって調整可能である。
【0017】
このように、南北方向に(x’軸と平行に)延びるサンプル表面構造、および東西方向(y’軸)に延びる構造は、同時に効果的に可視化することができる。これらの構造は、例えば、ウエハ上の構造、マイクロエレクトロニクスコンポーネント、太陽電池パネル等であってもよく、コンポーネントが完成されたときかまたは製造中に検査してもよい。例えば、開口部が、光軸に対して垂直方向にのみ、すなわち開口ホイールにおける前述のデカルト座標系による南北方向においてのみ移動可能な場合には、これは、以下でさらに説明するケーラー型入射顕微鏡照明システムにおいて、対物面に対して水平方向における(すなわち、対物面の対応するデカルト座標系における東西方向における)入射光角度の変化に帰着する。この種の可変傾斜入射照明を用いれば、南北方向に延びる試料の表面構造を効果的に可視化することが実際に可能であるが、しかし特に東西方向に、すなわち変位方向と平行に延びる構造は、入射光角度を変えた後でも少しもよりよく見ることができない。対照的に、提案される45°傾斜入射照明によって、南北方向を有する構造および東西方向を有する構造の両方の効果的な可視化が可能になる。特に、かかる構造をよりよく可視化するためには、顕微鏡ステージを例えば45度だけ回転させる必要はない。かかる回転ステージは高価であり、さらに貧弱な再現性しか可能にしないであろう。
【0018】
本発明の別の実施形態において、開口ホイールの回転軸が、少なくとも一方向で光軸に対して垂直に移動可能なことは、有利になり得る。この目的のために、例えば、前述のステッパモータは、回転軸を中心に開口ホイールを回転させることができるが、例えばxおよび/またはy方向において、開口ホイールのx−y座標系内で移動してもよい。このように、45°傾斜照明に加えて、南北方向および/または東西方向に変位を実行することが可能であろう。
【0019】
スペクトルの紫外線領域における照明(「傾斜UV」)中に、傾斜入射照明のコントラストおよび解像度を向上させることがまた、特に有利であると分かった。物理法則によれば、UVスペクトルの短波長を用いた照明は、可視領域における照明より高い解像度をもたらす。適切な光源は、特に、(「iライン」と呼ばれる)365nmの波長を有する光を発光するLEDである。紫外線スペクトル領域は、400〜約185nmに及ぶ。UV照明は、軸入射明視野照明において既により高い解像度を提供し、かつ傾斜入射照明に変化した場合に、さらに、三次元の外観で対象物構造を表現できるようにする。傾斜UV照明を用いれば、より大きな形態の要素を、向上した解像度で検査することができる。例えばベアウエハの微細な掻き傷、または半導体構造のフォトレジスト腐食の程度を、このようにして可視化することができる。
【0020】
UVビームスプリッタおよびUV感受性カメラと共に、この傾斜UV照明用に特に適合したUV対物レンズによって、ユーザは、カメラが捕捉したUV画像を、例えばPCのモニタ上で可視化し、それを最適化することができる。しかしながらまた、(本出願人から入手可能なような)UV対物レンズがあり、それらは、入射明視野照明、入射暗視野照明(incident dark-field illumination)およびDIC照明のような従来の方法に適しており、かつまたiライン照明(すなわち365nmのUV光)を用いて同じ方法を実行するために用いることができる。さらに、実際には「UV最適化されている」が、しかし可視光におけるそれぞれの方法にもまた適しているビームスプリッタがある。
【0021】
本発明の別の重要な態様は、光源と、一方では中心照明ビーム経路、および他方では代替として偏心照明ビーム経路を生成するための開口装置と、を有する顕微鏡照明システムであって、簡単な方法で照明光のスペクトル領域を変更できる顕微鏡照明システムに関する。この態様に対しては別個の保護が請求されるが、しかし明確にするために、この態様は、上記の顕微鏡照明システムの有利な実施形態として、以下で説明する。様々なランプハウジングおよび光源としての異なるタイプのランプが、通常、周知の顕微鏡照明システムにおける光源として用いるために利用可能である。フィルタが、特定のスペクトル領域を取り出すために用いられる。例えば、従来、可視スペクトルから紫外線スペクトルへの切り替えは、手動またはモータ手段によるフィルタの挿入または除去を常に伴っていた。スペクトル領域間のかかる切り替えは、異なるスペクトルまたは異なる波長領域を有する2つの光源を顕微鏡照明システムに設けることによって、技術的に単純な方法で達成可能である。次に、照明スペクトルは、フィルタを用いる必要なしに、単に光源間を切り替えることによって簡単に変更することができる。もちろん、これには、光源およびそれらによって生成された光の経路が、顕微鏡照明システムの照明ビーム経路に適切に結合されることを必要とする。これは、2色ビームスプリッタ、すなわち、それを介して2つの光源を照明ビーム経路に結合できる2色ビームスプリッタを用いて容易に達成することができる。もちろん、この態様はまた、2を超える光源に適用可能である。
【0022】
光源は、特に出力電力において制御可能なLEDの形態を取ってもよい。したがって、異なるLEDを交互にオンにすることができ、これによって、例えば、可視スペクトルと、紫外線スペクトル(または紫外線波長領域の少なくとも一部を含むスペクトル)との間の容易な切り替えが可能になる。電力制御はまた、異なるスペクトルの特定の部分を、特定の強度で照明ビーム経路に同時に結合できるように、実行してもよい。
【0023】
ケーラーの原理に従って入射照明を提供するために、開口ホイールは、顕微鏡照明システムの光源と共役な平面に位置してもよい。この場合に、光源は、開口ホイールに、すなわち開口ホイールの直前に位置する固定開口絞りに結像される。さらに、顕微鏡照明システムの開口ホイールは、顕微鏡対物レンズの入射瞳と共役な平面に位置する。これによって、対物面の均一照明が可能になる。
【0024】
本発明の別の目的は、上記したように、少なくとも1つの光源を含む顕微鏡照明システムと、さらに少なくとも1つの顕微鏡対物レンズと、を有する顕微鏡である。典型的には実際に、選択するための基となる複数の顕微鏡対物レンズを担持するノーズピースが設けられる。さらに、顕微鏡には、チューブ光学系、アイピースおよび/またはカメラなどの通常のコンポーネントが含まれる。別段の定めがない限り、これらのコンポーネントは、以下では一緒に「結像光学装置」と呼ばれる。かかる顕微鏡において、入射光照明は、好ましくは顕微鏡対物レンズと結像光学装置との間に配置されたビームスプリッタを介して、顕微鏡照明システムの照明ビームを顕微鏡の光学経路に結合することよって達成することができ、その結果、対物レンズは、光ビームを試料上に合焦させる。ビームは、対象物から、結像ビーム経路に沿って対物レンズ、ビームスプリッタおよびチューブ光学系を通過し、カメラ上に結像される。
【0025】
異なる開口部を有する開口ホイールの使用には、例えば虹彩絞りを用いるときに可能であろうよりはるかに小さな開口直径を可能にするという利点がある。虹彩絞りが約1mmだけの直径に閉じることができるのに対して、開口ホイールにおける開口部は、さらに小さな直径さえ有することができる。例えば、150×/0.90対物レンズは、2.4mmの瞳直径を有する。開口絞りが、対物レンズの瞳に1/2で結像される場合には、わずかに2.4mm/2=1.2mmの開口直径が、この対物レンズの完全な照明開口部用に必要とされる。この対物レンズの場合に、照明側でレンズを絞りたい場合には、開口直径は、1.2mmより著しく小さく、好ましくは1mm未満でなければならないが、しかしながら、これは、従来の虹彩絞りを用いては不可能である。さらに、直径が完全に光軸の外側に位置する偏心照明ビームが、本発明に従って生成されることになる場合には、前述の対物レンズの開口直径は、0.6mm以下でなければならず、これもまた、従来の虹彩絞りを用いては不可能である。
【0026】
複数の対物レンズを有する前述の顕微鏡において、各顕微鏡対物レンズが、顕微鏡照明システムの開口ホイール上の開口部と関連付けられるか、または関連付けられ得る場合には有利である。用いられる顕微鏡対物レンズに依存して、適切な直径の特定の開口部を、入射照明用に選択することができる。この関連は、例えばそれぞれのコンポーネントをそれ相応に制御することによって、ユーザが行うか、または工場において行ってもよい。別の実施形態において、かかる顕微鏡は、顕微鏡照明システムの開口ホイール上の特定サイズの開口部と関連付けられるか、または関連付けられ得る複数の顕微鏡対物レンズを有する。代替として、顕微鏡対物レンズの少なくとも1つは、いくつかの開口部と関連付けられるか、または関連付けられ得る。好ましくは、関連は、対物レンズを変更する場合に、関連する開口部または関連する開口部の1つが、それに応じて開口ホイールを回転させることによって、目標位置に、すなわち光軸上へ回転されることである。
【0027】
異なるサイズの開口部を、有利には直径の昇順で開口ホイールの周面に沿って分配することによって、開口面における虹彩絞りを開閉することにより得られるのと同じ効果が提供される。しかしながら、この方法によって提供される再現性は、虹彩絞りによって提供される再現性よりはるかに高い。隣接する開口部の直径における差に依存して、2以上の開口部を特定の顕微鏡対物レンズに関連付けることが考えられる。開口部のサイズは、照明開口部のサイズを決定する。一般に周知のように、照明開口サイズの減少と共に、光学解像度は低下し、コントラストは向上する。大きな開口部は、より高い解像度およびより低いコントラストを伴うより大きな照明開口部に帰着する。
【0028】
顕微鏡で得られた画像を、解像度およびコントラストの点で最適化するために、制御ユニット、すなわち、顕微鏡照明システムの開口ホイールを回転させるための駆動ユニットに動作可能に接続され、かつまた顕微鏡照明システムの少なくとも1つの光源に随意に接続される制御ユニットを設けることが特に有利である。制御ユニットは、次のような方法で設計してもよい。すなわち、提供される照明がUV領域または可視領域にあるかどうかに依存して、対応する顕微鏡対物レンズおよびそれに関連付けられた開口部が、それらのそれぞれの初期または目標位置へ移動されるような方法で設計してもよい。例えば、光源の選択されたスペクトルに依存して、関連する開口部はまた、大なり小なり偏心して変位される照明ビーム経路を提供するように配置してもよい。
【0029】
カメラ画像を解析するために、制御ユニットが、対象物の顕微鏡画像をカメラ画像の形態で生成するカメラに動作可能に接続される場合には特に有利である。カメラ画像は、以下でさらに説明する方法を用いて、解像度および/またはコントラストに関して解析することができる。制御ユニットを用いて、調整可能なパラメータ(顕微鏡対物レンズのタイプと同様に、光源のスペクトル、照明の強度、開口部の直径、入射光角度および光入射方向)の1つまたは複数を変更することによって、カメラ画像を最適化することができる。それに応じて、見つけられた対応パラメータは、後で同じタイプの検査用に再選択することができ、これによって、高い再現性が提供される。
【0030】
例えば、照明のスペクトルまたは波長領域、および照明の強度は、少なくとも1つの光源の制御を通じ、定義した方法で調整することができる。開口ホイールの駆動ユニットの制御によって、例えば、開口部の直径、入射光角度(光軸からの開口部の距離)、および光入射方向(同じ距離に関して光軸に対する開口部の位置)の定義された調整が可能になる。
【0031】
カメラ画像は、様々な方法で最適化可能である。一方で、表示された特定のカメラ画像は、言及した調整可能なパラメータの1つまたは複数を変更することによって最適化することができる。他方で、一連のカメラ画像は、異なる設定(前記パラメータの変化)を用いて捕捉してもよく、最適な画像は、前記一連のカメラ画像から自動的にまたはユーザが選択してもよい。最適なカメラ画像に関連する設定は、この対象物または類似対象物の追加カメラ画像を撮るために選択してもよい。
【0032】
言及したパラメータの対応する調整を通してカメラ画像を最適化するプロセスは、制御ユニットの一部を形成する画像解析装置を用いて自動的に実行するのが好ましい。次に、カメラ画像のこの自己最適化は、閉ループ制御システムに似た方法で実行されるが、この場合に、言及した調整可能なパラメータは入力変数であり、一方でカメラ画像用の1つまたは複数の解析基準、すなわち少なくとも解像度および/またはコントラストは、結果としての出力変数である。
【0033】
最後に、スペクトルのUV領域における前述の照明(「傾斜UV」)に関して、制御ユニットは、自動的にまたはユーザ入力に応じて、紫外線波長領域におけるスペクトルを有する光源を照明ビーム経路において活性化させるように、かつユーザ選択可能な開口部(または代替として固定した所定の開口部)を、開口ホイールの駆動ユニットによって、光軸に関連する位置へ再現可能に合わせるように、設計されるのが有利である。最適位置を選択するための基となる様々な定義された位置を連続的に調整することがまた有用になり得る。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、顕微鏡で検査される対象物の傾斜入射照明用の方法である。この方法の多くの態様は、本発明による顕微鏡照明システムおよび顕微鏡に関連して本明細書において前に説明した。したがって、上記の開示はまた、本発明の方法に明白に関連する。顕微鏡で検査される対象物の傾斜入射照明用の方法は、回転軸を中心に回転可能であり、かつ異なるサイズの複数の開口部が円周方向に形成された開口ホイールが、次のようなやり方で、顕微鏡照明システムの光軸に対して配置されるという基本的特徴を有する。すなわち、各開口部が、開口ホイールを回転させることにより初期位置において光軸を中心として配置可能であり、かつさらなる回転によって、かかる開口部が、光軸の回りの所定領域内で光軸から偏心して配置可能であるようなやり方である。この方法の利点に関しては、本発明による顕微鏡照明システムおよび顕微鏡に関連して上記で提示した説明が明示的に参照される。
【0035】
顕微鏡照明システムの光源として紫外線波長領域におけるスペクトルを有する光源を用いることが有利である。特に、紫外線領域および可視領域における(少なくとも)2つの光源をそれぞれ用いることが有利であり、これらの光源は、それぞれ、2色ビームスプリッタを介して顕微鏡照明システムのビーム経路に結合される。これらの実施形態は、本明細書において前に詳細に説明した。したがって、その説明は、重複を避けるために、ここでは繰り返さない。同じことは、実施形態、すなわち、それによれば、開口ホイールの回転が、開口ホイールの回転軸と自身のシャフトが一致する駆動モータを用いて達成される実施形態にも当てはまる。用語「一致する」は、回転軸およびシャフトの接続または単一ピース設計を含むように意図されている。
【0036】
光軸を中心にまたは光軸に対して偏心して伝播する照明ビームが、顕微鏡対物レンズを通して、検査される対象物上に導かれる本発明の方法では、選択された顕微鏡対物レンズに依存して、その対物レンズに関連付けられた開口部が、光軸に中心が合わせられた前記初期位置に移動される場合には有利である。開口部と顕微鏡対物レンズとの間の関連は、工場で予めプログラムして、例えば制御ユニットによって実行してもよい。代替として、関連は、ユーザが定義してもよい。これは、適切な入射光角度を調整するための開始位置として用いられることになる開口ホイールの初期位置を定義するための別の方法をユーザに提供する。
【0037】
本発明による方法は、特に、顕微鏡で検査されている対象物のカメラ画像を最適化するために用いることができる。この目的のために、カメラ画像は、少なくとも解像度および/またはコントラストに関して解析される。この解析は、周知の画像処理方法
を用いるかまたは本明細書で提案する解析技術を用いて実行することができるが、この解析技術は、以下でさらに説明する。画像の三次元の外観は、光軸の回りの所定領域内で開口ホイールを回転させることによって、または換言すれば入射光角度を変更することによって最適化することができる。
【0038】
カメラ画像を最適化する代替または追加の方法は、適切な開口部および/または適切な顕微鏡対物レンズを選択することである。例えば、所与の顕微鏡対物レンズに対して、絞りの開閉は、この顕微鏡対物レンズに関連付けられた開口部からスタートして、より小さいかまたはより大きな開口部をそれぞれ選択することによって達成することができる。より大きな照明開口部と比較して、より小さな照明開口部は、より低い解像度だが、より高コントラストをもたらし、一方でより大きな照明開口部は、より小さな照明開口部と比較して、向上した解像度だが、より低いコントラストにつながる。適切な顕微鏡対物レンズは、対象物の所望の倍率に従って選択される。可視光を用いた照明からUV光に変わる場合には、対物レンズを変更することがまた必要になり得る。
【0039】
カメラ画像を最適化する別の代替または追加の方法は、顕微鏡照明システムの光源を選択することによる。本明細書で前に説明したように、スペクトルの可視領域における観察は、十分かつ有利であり得るが、しかしより高い解像度のためには、UV照明に切り替えることが好都合である。
【0040】
カメラ画像を最適化するための可能な方法は、本発明の顕微鏡およびその制御ユニットに関連して本明細書で前に説明した。繰り返しを避けるために、そこで提示された説明はまた、カメラ画像の最適化における任意の可能な形態に関連して本発明の方法をサポートするように意図されている。
【0041】
カメラ画像の最適化は、特に、顕微鏡および/または顕微鏡照明システム上で変更できる設定のうちの異なる設定、すなわち、入射光角度、開口部、顕微鏡対物レンズ、および/または光源を変更する、ちょうど説明した選択肢を用いて、選択された対象物領域の様々なカメラ画像を捕捉することによって、およびこれらのカメラ画像それぞれのための代表的エリアの強度プロファイルを生成することによって、達成される。かかる強度プロファイルは、例えば画素数としての対応する画像ライン上にプロットされた、画像ラインのグレースケール値によって特に形成される。対象物のタイプに依存して、三次元強度プロファイルを作成することがまた可能である。続くステップにおいて、解析基準が、得られた強度プロファイル用に定義される。特に適切な解析基準の例は、強度プロファイルにおけるフランク/側面の数および傾斜、または強度プロファイルにおける極値の数である。フランクの数が、観察される画像エリアのコントラストに関する情報を提供するのに対して、極値(強度プロファイルまたはグレースケール値の最大値および最小値)の数は、観察される画像エリア内における解像度に関する情報を提供する。強度プロファイルに基づいて解析を実行する代わりに、その第1の数学的導関数を用いることがまた可能であり、この場合には、強度プロファイルのフランクは、極値によって識別することができ、強度プロファイルの極値は、ゼロ交差によって識別することができる。次に、個別カメラ画像の強度プロファイルは、解析基準に対して比較することができ、最適強度プロファイルおよび関連するカメラ画像は、比較に基づいて決定することができる。この決定は、実行される特定のタスクに従って行われる。このタスクは、できるだけ高い解像度を備えた画像、または高解像度と高コントラストとの間の最適な妥協をもたらす画像を生成することであってもよい。
【0042】
カメラ画像の最適化における別の方法は、顕微鏡および/または顕微鏡照明システムに関して変更できる設定の記憶されたパラメータ用いて、異なるカメラ画像を生成すること、およびユーザに最適なカメラ画像を選択させることである。この場合には、カメラ画像は、ユーザによって視覚的に評価されることになる。繰り返すと、記憶されるパラメータには、入射光角度(すなわち所与の開口部を備えた開口ホイールの回転)、光入射方向(すなわち開口ホイールの回転方向)、照明開口部(すなわち動作位置に位置する開口部)、照明スペクトル(すなわち所定のスペクトル領域を備えた活性光源)、光源の強度、および顕微鏡対物レンズのタイプが含まれる。
【0043】
本発明のさらなる利点および実施形態は、以下の説明および添付の図面から明らかになろう。
【0044】
前述の特徴および以下で説明する特徴は、特定の組み合わせにおいてだけでなく、本発明の範囲から逸脱せずに、他の組み合わせにおいて、または単独で使用できることが理解されよう。
【0045】
本発明は、例示的な実施形態を用いて図面で概略的に説明され、かつ図面に関連して以下で詳細に説明される。