(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、トルクコンバータ100における振動減衰装置1を説明する図である。
図2は、振動減衰装置1を説明する図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(a)におけるB−B断面図である。
なお、
図2の(a)において、右下の略1/3は、ドリブンプレート4が存在する状態の平面図であり、左下の略1/3は、ドリブンプレート4の図示を省略した平面図であり、上側の略1/3は、回転中心軸Xに直交する面で振動減衰装置1を切断した断面図である。
【0016】
図1および
図2に示すように、振動減衰装置1は、トルクコンバータ100の内部に設けられており、ホールドプレート3と、ドリブンプレート4と、スプリング(外径側スプリング5、内径側スプリング6)と、イコライザ7と、を備えて構成される。
【0017】
振動減衰装置1は、トルクコンバータ100がロックアップピストン2をカバーコンバータ101に締結させたロックアップ状態にされて、エンジンの回転駆動力が変速機構部側に直接入力されるようにされた際に、エンジンの振動が変速機構部側に直接伝播することを防止するために設けられている。
【0018】
以下、振動減衰装置1の各構成要素を説明する。
図3は、ホールドプレート3を説明する図であって、(a)は、平面図、(b)は、(a)におけるA−A断面図である。
図4の(a)は、ホールドプレート3の一部を拡大した拡大図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図である。
【0019】
[ホールドプレート]
図2に示すように、ホールドプレート3は、ロックアップピストン2のカバーコンバータ101とは反対側の面に固定されており、ロックアップピストン2と一体に回転するように設けられている。
【0020】
図3に示すように、ホールドプレート3は、軸方向から見てリング形状の板状部材の成型体であり、その内径側には、リング状の固定部31が設けられている。
固定部31には、当該固定部31を厚み方向に貫通してリベット孔31aが設けられており、ホールドプレート3は、リベット孔31aを挿通させたリベットRにより、ロックアップピストン2に固定されている。
実施の形態では、リベット孔31aは、回転中心軸X周りの周方向に所定間隔で合計9箇所に設けられており、これらは、回転中心軸Xを中心とした仮想円Im1(
図4の(a)参照)上に位置している。
【0021】
固定部31の外周には、径方向外側に延びる当接部34が、回転中心軸X周りの周方向で、所定間隔で合計3箇所に設けられている。
平面視において当接部34は、回転中心軸Xから離れるにつれて周方向の幅が広くなる形状を有しており、各当接部34の外周縁は、固定部31の径方向外側に位置するフランジ部33に接続している。
【0022】
当接部34には、後記する外径側スプリング5が周方向から当接するようになっている(
図2参照)。当接部34は、外径側スプリング5との当接面を確保するために、断面視において湾曲した形状を有している。
具体的には、
図3の(b)および
図4の(b)に示すように、この当接部34は、内径側から順に、ロックアップピストン2から離れる方向に膨出するように湾曲した内径側湾曲部34aと、ロックアップピストン2に近づく方向に膨出するように湾曲した外径側湾曲部34bと、回転中心軸Xに対して平行にロックアップピストン2から離れる方向に延びる線状部34cと、を備えており、外径側スプリング5のロックアップピストン2側の周縁に沿うような形状となっている。
【0023】
ロックアップピストン2から離れる方向に延びる線状部34cの先端側は、径方向外側に湾曲しており、その先端は、フランジ部33の内周に一体的に接続されている。
フランジ部33は、固定部31よりも変速機構部側(ロックアップピストン2から離れる側)に位置しており、回転中心軸Xの略直交方向に沿って延びている(
図3の(b)参照)。
【0024】
フランジ部33は、軸方向から見てリング形状を有すると共に、後記するイコライザ7のフランジ部71に対して平行に延びており、イコライザ7のロックアップピストン2から離れる方向への移動可能な範囲を規定している。
【0025】
フランジ部33の外周縁には、ロックアップピストン2から離れる方向に延出する周壁部33aが、フランジ部33の外径側を、ロックアップピストン2から離れる方向に曲げて形成されている。この周壁部33aは、回転中心軸X周りの周方向で、フランジ部33の外周縁の全周に亘って設けられており(
図3の(a)参照)、後記するイコライザ7が当接するフランジ部33と、前記した当接部34を含むホールドプレート3の外径側の強度を確保するために設けられている。そして、この周壁部33aは、ロックアップピストン2の外周に設けられた円筒部2c(
図4の(b)参照)と略同じ外径で形成されている。
【0026】
フランジ部33の内周縁には、径方向内側に延びる外側規制部33bが設けられている。
図4の(b)に示すように、外側規制部33bは、ロックアップピストン2から離れる方向に、外径側スプリング5の軸方向から見た外周に沿って延びており、外径側スプリング5のロックアップピストン2から離れる方向への移動を規制するために設けられている。
【0027】
図3に示すように、平面視において固定部31の外径側には、固定部31と、当接部34と、フランジ部33とで囲まれた開口部32が位置している。
開口部32内には、ホールドプレート3とロックアップピストン2との間に形成された収容空間S(
図3の(b)参照)に配置された、外径側スプリング5が位置している。
【0028】
開口部32は、回転中心軸X周りの周方向に所定長さで形成されており、実施の形態では、合計3つの開口部32が等間隔で設けられている。
開口部32は、回転中心軸Xから見て、周方向に配置された2つの外径側スプリング5(5a、5b)を収容可能な角度範囲Wに亘って形成されている(
図2の(a)、
図3の(a)参照)。
【0029】
開口部32の内径側には、切り起こし曲げにより、内側規制部31bが設けられている。内側規制部31bは、
図3の(a)において図中手前側(ロックアップピストンから離れる方向)に曲げられており、開口部32内に配置される外径側スプリング5の内径方向への移動を規制するために設けられている。
この内側規制部31bは、回転中心軸Xから見て、リベット孔31aの径方向外側に重なる位置を避けて、周方向において2分割で形成されており、
図4の(a)に示すように、内側規制部31bは、回転中心軸Xを中心とする仮想円Im2に沿って弧状に形成されている。
【0030】
図2に示すように、平面視において開口部32内に位置する外径側スプリング5は、一対の分割ばね5a、5bにより構成されており、分割ばね5a、5bの長手方向における当接部34側の端部には、リテーナ8が挿入されて取り付けられている。
分割ばね5a、5bの一端は、リテーナ8を介してホールドプレート3の当接部34に周方向から当接し、他端は、後記するイコライザ7の支持部72に周方向から当接している。
よって、外径側スプリング5は、その両端が、回転中心軸Xまわりの周方向で隣接する当接部34、34で把持された状態で保持されており、回転中心軸X周りの周方向に沿って配置されている。
【0031】
図3に示すように、固定部31の内径側には、内径側スプリング6を保持するためのスプリング保持部35が、回転中心軸X側に膨出して形成されている。
スプリング保持部35は、回転中心軸Xから見て当接部34と重なる位置関係で形成されており、実施の形態では、回転中心軸X周りの周方向に所定間隔で3箇所に設けられている。
【0032】
図4の(a)に示すように、このスプリング保持部35には、内径側スプリング6を保持するための保持孔36が形成されている。保持孔36は、内径側スプリング6の軸方向長さと略同じ周方向の幅W1を有しており、保持孔36内に配置される内径側スプリング6は、その軸方向における両端が、保持孔36の縁36a、36aで把持された状態で設けられている。
【0033】
保持孔36の内径側と外径側の縁には、切り起こし曲げにより、規制部37、38が設けられている。
規制部37は、ロックアップピストン2から離れる方向に曲げられており、規制部38は、ロックアップピストン2側に曲げられている。実施の形態では、これら規制部37、38により、内径側スプリング6の内径方向と、外径方向への移動が規制されるようになっている。
【0034】
回転中心軸X周りの周方向における規制部37、38の幅W2は、保持孔36の幅W1よりも短くなっている。
実施の形態では、内径側スプリング6は、後記するドリブンプレート4のばね受部45(
図5参照)により、当該内径側スプリング6の軸方向に圧縮されるようになっている。そのため、内径側スプリング6の軸方向への伸縮が、規制部37により大きく阻害されないようにするために、内径側スプリング6の長手方向における中央部分のみが、規制部37、38に当接するようにされている。
【0035】
スプリング保持部35における保持孔36の両側は、内径側スプリング6の両端を把持する把持部39となっている。この把持部39は、内径側スプリング6との当接面を確保するために、断面視において湾曲した形状を有している。
図4の(b)に示すように、この把持部39は、断面視においてロックアップピストン2に近づく方向に膨出するように湾曲しており、この湾曲した部分における最もロックアップピストン2の近くに位置する頂点39aが、保持孔36の径方向幅W3における略中央に位置するようになっている。
【0036】
[ドリブンプレート]
図5は、ドリブンプレート4を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(b)における領域Bの拡大図である。
【0037】
図2に示すように、ドリブンプレート4は、ホールドプレート3のロックアップピストン2とは反対側に位置しており、ドリブンプレート4とホールドプレート3は、外周側のばね受部45と当接部34とが、軸方向から見て重なる位置関係で設けられている。
【0038】
図5の(a)に示すように、ドリブンプレート4は、軸方向から見てリング形状の板状部材の成型体であり、その内径側にはリング状の取付部41が設けられている。
振動減衰装置1において、取付部41は、回転中心軸Xに直交する向きで設けられており、この取付部41には、取付孔41aが設けられている。この取付孔41aは、取付部41を厚み方向に貫通して設けられており、回転中心軸X周りの周方向に所定間隔で複数設けられている。
【0039】
実施の形態では、合計6個の取付孔41aが設けられており、これら取付孔41aに挿通したリベット(図示せず)により、ドリブンプレート4がトルクコンバータのタービンに連結されるようになっている。
【0040】
取付部41の外径側は、ロックアップピストン2側に膨出するように湾曲する湾曲部42となっており、この湾曲部42には、湾曲部42を厚み方向に貫通して開口部43が形成されている。
実施の形態では、湾曲部42のロックアップピストン2側に最も位置する頂点部42aが、開口部43の径方向幅W4における略中間に位置するように形成されており、開口部43は、回転中心軸X周りの周方向で所定間隔を空けて3つ設けられている。
【0041】
実施の形態では、ドリブンプレート4が振動減衰装置1に組み込まれた状態において、頂点部42aが、内径側スプリング6の軸方向から見た中央部を横切るように、湾曲部42の形状が設定されている(
図5の(c)参照)。
【0042】
ドリブンプレート4の外周には、径方向外側に延びるばね受部45が、回転中心軸X周りの周方向で、所定間隔で合計3箇所に設けられている。
平面視においてばね受部45は、回転中心軸Xから離れるにつれて周方向の幅が広くなる形状を有しており、外径側スプリング5が周方向から当接するようになっている。
ばね受部45は、ロックアップピストン2側に位置するホールドプレート3の当接部34との干渉を避けつつ、外径側スプリング5との当接面を確保するために、断面視において湾曲した形状を有している。
【0043】
具体的には、
図5の(b)、(c)に示すように、ばね受部45は、内径側から順に、ロックアップピストン2から離れる方向に膨出するように湾曲した内径側湾曲部45aと、回転中心軸Xに直交する方向に延びる線状部45bと、を備えており、線状部45bが、外径側スプリング5の軸方向から見た中央部を横切るように、ばね受部45の形状が設定されている。
【0044】
[イコライザ]
図6は、イコライザ7を説明する図であり、(a)は、軸方向から見た平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(b)における領域Cの拡大図である、(d)は、(a)におけるB−B断面図である。
【0045】
図2の(b)に示すように、イコライザ7は、回転中心軸Xの軸方向で、ロックアップピストン2とホールドプレート3との間に位置しており、ロックアップピストン2およびホールドプレート3に対して相対回転可能に設けられている。
【0046】
イコライザ7は、軸方向から見てリング形状の本体部70と、フランジ部71と、本体部70から内径側に延びる支持部72と、を備える。
【0047】
本体部70におけるロックアップピストン2とは反対側は、径方向外側に曲げられており、回転中心軸Xに対して直交する方向に延びるフランジ部71が形成されている。
実施の形態では、遠心力で径方向外側に移動した外径側スプリング5が、本体部70の内周面70aに接触するようになっており、本体部70が外径側スプリング5から受ける応力により変形することを防止するために、本体部70にフランジ部71を設けて強度を確保している。
【0048】
支持部72は、前記した分割ばね5a、5bの他端を支持するものであり、本体部70のロックアップピストン2側の端部から径方向内側に延出して形成されている。
実施の形態では、支持部72は、回転中心軸Xまわりの周方向で、等間隔で3つ形成されており、一対の分割ばね5a、5bを回転中心軸X周りの周方向に連結するために設けられている。
【0049】
図6の(c)に示すように、支持部72は、ロックアップピストン2側の端部から径方向内側に延びたのち、ロックアップピストン2から離れる方向に曲げられており、さらにその先端側が、内径側に曲げられている。よって、支持部72は、外径側スプリング5の軸方向から見た中央部を、ロックアップピストン2側から横切るように湾曲した形状とされている。
【0050】
実施の形態では、イコライザ7のトランスミッション側への移動は、ホールドプレート3のフランジ部33により規制され、エンジン側への移動は、ロックアップピストン2により規制される。
そして、イコライザ7の内径方向(回転中心軸X)側への移動は、基本的には外径側スプリング5により規制され、外径方向への移動はロックアップピストン2の円筒部2cにより規制されるようになっている。
【0051】
かかる構成の振動減衰装置1では、
図1に示すように、エンジンの回転数が所定回転数になると、ロックアップピストン2が油圧によりエンジン側へ押されて、トルクコンバータ100は、ロックアップピストン2の摩擦ライニング2bをカバーコンバータ101に締結させたロックアップ状態にされる。
ロックアップ状態では、エンジンの回転駆動力が、ロックアップピストン2を介してホールドプレート3に直接入力されるので、ホールドプレート3が回転中心軸X回りで、ドリブンプレート4に対して相対的に回転する。
この際、ドリブンプレート4のばね受部45の当接面45c(
図5の(a)参照)が、外径側スプリング5に軸方向から当接しているので、ホールドプレート3は、ばね受部45で外径側スプリング5を周方向に押し縮めながら、ドリブンプレート4に対して相対的に回転する。
【0052】
これにより、ドリブンプレート4には、外径側スプリング5を介して、ホールドプレート3に入力された回転駆動力が入力されるので、この入力された回転駆動力は、図示しないタービンハブおよびトランスミッションへと伝達されることになる。
【0053】
ここで、
図2の(a)に示すように、ドリブンプレート4の開口部43の縁43aと、ホールドプレート3のスプリング保持部35の保持孔36の縁36aとは、回転中心軸X回りの周方向で角度θの位相差をもって配置されている。
そのため、ホールドプレート3からドリブンプレート4への回転駆動力の伝達が開始された直後では、外径側スプリング5のみが圧縮される。
そして、伝達される回転駆動力(トルク)が大きくなって、ホールドプレート3がドリブンプレート4に対して相対的にθだけ回転すると、内径側スプリング6の開口部43の縁43aによる圧縮が開始される。
よって、ドリブンプレート4には、最終的に外径側スプリング5と内径側スプリング6を介して、回転駆動力が入力されることになる。
【0054】
実施の形態にかかる振動減衰装置1における要部を説明する。
図7は、実施の形態にかかる振動減衰装置1のイコライザ7と、従来例にかかる減衰装置のイコライザとを比較する図であって、(a)は、実施の形態にかかる振動減衰装置1におけるイコライザ7周りの拡大図であり、(b)従来例にかかる振動減衰装置におけるイコライザ周りの拡大図である。
【0055】
図7の(a)に示すように、イコライザ7の環状の本体部70は、回転中心軸Xに平行な軸線X2に対して所定角度θ1傾斜しており、本体部70の内径が、フランジ部71が設けられた一端側から他端側に向かうにつれて縮径している。
そして、本体部70のロックアップピストン2側の端部70bの内径は、振動減衰装置1において基準位置に配置されている外径側スプリング5の外周が描く外径線よりも小さい径に設定されている。
【0056】
よって、外径側スプリング5は、軸線X2に対して傾斜した本体部70(内周面70a)により、ロックアップピストン2に近づく方向への移動が規制されている。
ロックアップピストン2に近づく方向への移動が規制されていない場合、外径側スプリング5がロックアップピストン2の内周面に当接することがある。そして、この状態で回転駆動力の伝達により外径側スプリング5が伸縮すると、ロックアップピストン2の内周面が摩耗してしまう。実施の形態では、本体部70を傾斜させて、外径側スプリング5がロックアップピストン2に当接することを防止しているので、かかる摩耗の問題が生じないようにされている。
【0057】
また、回転中心軸Xの軸方向における本体部70の長さW6は、外径側スプリング5の外径W5よりも短くなっており、断面視において、本体部の端部70bと外径側スプリング5のロックアップピストン2側の頂点P1とを一致させて配置すると、イコライザ7のフランジ部71は、外径側スプリング5の中心Cと、ロックアップピストン2とは反対側の頂点P3との間に位置し、フランジ部71の対向面71aが、頂点P3よりもロックアップピストン2側に位置するようにされている。
【0058】
この状態で外径側スプリング5が遠心力により径方向外側に移動して、本体部70の内周面70aに当接すると、当該外径側スプリング5の径方向外側の頂点P2が、フランジ部71の近傍位置で本体部70の内周面70aに当接する。
かかる位置では、本体部70の剛性強度がフランジ部71により高められているので、本体部70の厚みを厚くすることなしに、外径側スプリング5から作用する遠心力荷重を支えることができるようになっている。
【0059】
ちなみに、従来例(
図7の(b)参照)のように、フランジ部205cが内径側に延びているイコライザ205の場合、軸方向の長さW8を、フランジ部205cと外径側スプリング204との干渉を避けるために、外径側スプリング204の外径W5よりも長くする必要がある。
そうすると、フランジ部205cから、外径側スプリング204の頂点P2がイコライザ205に当接する位置までの距離W9が、本願の場合の距離W7よりも必然的に長くなってしまう。そのため、頂点P2が当接する位置におけるイコライザ205の荷重強度が、フランジ部205cから離れている分だけ本願の場合よりも弱くなる。かかる場合、外径側スプリング204から作用する遠心力荷重を支えるために、本体部205aの厚みを厚くする必要が生じることになる。
【0060】
さらに、実施の形態にかかる振動減衰装置1の場合、イコライザ7のフランジ部71を外径方向に延出させて、回転中心軸Xの軸方向における本体部70の長さW6を、外径側スプリング5の外径W5よりも短くした。そのため、イコライザ7の軸方向の移動を規制するホールドプレート3のフランジ部33を、イコライザ7のフランジ部71に追従させて、ロックアップピストン2側に移動させて、本体部70の端部70bからホールドプレート3のフランジ部までの長さW10を短くすることができる。
【0061】
実施の形態では、フランジ部33の位置を、イコライザ7のフランジ部71に追従させて、ロックアップピストン2側に移動させており、この移動させた距離W11に相当する高さの周壁部33aを、フランジ部33の外周に全周に亘って設けて、ホールドプレート3のフランジ部33の剛性強度のみならず、ホールドプレート3の当接部34を含む外径側の剛性強度を高めている。
【0062】
図8は、ホールドプレート3の当接部34を含む外径側の断面を示す斜視図である。
前記したように、ホールドプレート3の当接部34には、周方向から外径側スプリング5(リテーナ8)が当接しており、ホールドプレート3からドリブンプレート4への動力伝達が行われる際には、当接部34には、リテーナ8から周方向に向かう付勢力(図中矢印F1参照)が作用する。
【0063】
ここで、当接部34は、外径側スプリング5のロックアップピストン2側の周縁に沿って位置している(
図7の(a)参照)ので、当接部34には、
図7の(a)において外径側スプリング5の頂点P3側を紙面手前側に、頂点P1側を紙面奥側に移動させようとする捩り応力が作用する。
【0064】
よって、フランジ部33の剛性強度が低い場合(ホールドプレート3の外径側の剛性強度が低い場合)、動力伝達時において当接部34のフランジ部33側が動力の伝達方向(
図9において矢印F2参照)に捩れるような変形が生じ、断面視におけるホールドプレートの外径側に、捩り対する夾角の捻転が発生し、動力の伝達に不具合が生ずる場合がある。
【0065】
実施の形態では、フランジ部33の外周に全周に亘って周壁部33aを設けて、ホールドプレート3のフランジ部33の剛性強度のみならず、ホールドプレート3の当接部34を含む外径側の剛性強度を高めているので、かかる捩りに対する夾角の捻転の発生を好適に防止している。
【0066】
さらに、実施の形態では、フランジ部33の位置を、イコライザ7のフランジ部71に追従させて、ロックアップピストン2側に移動させており、この移動させた距離W11に相当する高さの周壁部33aを、フランジ部33の外周に全周に亘って設けて、ホールドプレート3のフランジ部33の剛性強度のみならず、ホールドプレート3の当接部34を含む外径側の剛性強度を高めている。
すなわち、回転中心軸Xの軸方向におけるホールドプレート3の長さWtを長くすることなく、フランジ部33の剛性強度を高めることができるようになっており、トルクコンバータ100内の限られた空間を損なうことなく、ホールドプレート3の外径側の剛性を高めることができるようになっている。
【0067】
以上の通り、トルクコンバータ100のロックアップピストン2に固定されて、ロックアップピストン2と一体に回転中心軸X回りに回転するホールドプレート3と、トルクコンバータ100のタービンに連結されて回転中心軸X回りに回転するドリブンプレート4と、ホールドプレート3の外径側で回転中心軸X回りの周方向に沿って配置されると共に、ホールドプレート3とドリブンプレート4とを周方向で弾性的に連結する外径側スプリング5と、を備える振動減衰装置1において、
ホールドプレート3には、外径側スプリング5が周方向から当接する当接部34が、ロックアップピストン2との固定部であるリング状の固定部31から径方向外側に延出して形成されており、軸方向から見てリング形状を有すると共に回転中心軸Xの径方向外側に延びるフランジ部33が、回転中心軸X回りの周方向に所定間隔で複数設けられた当接部34の外周を互いに接続して設けられており、フランジ部33の外周縁には、回転中心軸Xの軸方向でロックアップピストン2から離れる方向に延びる周壁部33aが全周に亘って設けられている構成とした。
【0068】
このように構成すると、ホールドプレート3の当接部34の外周をフランジ部33で互いに接続することで、外径側スプリング5が周方向から当接する当接部34の周方向における剛性が高くなり、さらに、フランジ部33の外周に周壁部33aを全周に亘って設けることで、フランジ部33の回転中心軸の軸方向の剛性も高くなる。これにより、ホールドプレート3の当接部34の捻転変形に対して、剛性強度を確保することができ、ホールドプレート3の当接部34が、外径側スプリング5を介してドリブンプレート4側にトルクを確実に伝達できるようになる。
【0069】
さらに、外径側スプリング5の径方向外側への移動を規制するイコライザ7を備えており、イコライザ7は、回転中心軸Xの軸方向で、ロックアップピストン2とホールドプレート3の間に設けられた円筒状の本体部70を有しており、本体部70のロックアップピストン2とは反対側の一端には径方向外側に延びるフランジ部71が設けられており、本体部70の内径は、フランジ部71が設けられた一端から、ロックアップピストン2側の他端(端部70b)に向かうにつれて縮径している構成とした。
【0070】
このように構成すると、イコライザ7のフランジ部71を径方向外側に延出させたことにより、フランジ部71を、遠心力により径方向外側に移動した外径側スプリング5と本体部70との当接点の近傍に位置させることができる。本体部70では、フランジ部71の近傍ほど剛性強度が高められているので、本体部70の厚みを厚くすることなしに、外径側スプリング5から作用する遠心力荷重を支えることができる。
【0071】
また、フランジ部71を径方向内側に延出させた従来例の場合、フランジ部205cと外径側スプリング204との干渉を避けるために、本体部105Aの長さW8を、外径側スプリング204の外径W5よりも長くする必要があった(
図7の(b)参照)。本願のように、フランジ部71を径方向外側に延出させると、フランジ部71と外径側スプリング5との干渉がないために、本体部70の軸方向の長さW6を短くすることができる。
これにより、ホールドプレート3のフランジ部33の位置を、イコライザ7のフランジ部71に追従させて、ロックアップピストン2側に移動させることができるので、トルクコンバータ100内の限られた空間を損なうことなく、ホールドプレート3の外径側の剛性を高める周壁部33aを設けることができる。
【0072】
さらに、本体部70の内径は、フランジ部71が設けられた一端から、ロックアップピストン2側の他端(端部70b)に向かうにつれて縮径しているので、外径側スプリング5は、軸線X2に対して傾斜した本体部70(内周面70a)により、ロックアップピストン2に近づく方向への移動が規制されている。
これにより、外径側スプリング5がロックアップピストン2の内周面に当接することが好適に防止されているので、ロックアップピストン2の内周面の摩耗の発生が防止されている。