(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外郭を形成する筒状のモータケース、このモータケースの径内側に設けられ複数相を構成する巻線が巻回されたステータ、および前記ステータの径内側で前記ステータに対し相対回転可能に設けられたロータを有するモータ部と、
前記ステータの前記巻線に電力を供給する駆動素子、この駆動素子から生じる熱を吸収可能なヒートシンク、および前記駆動素子と電気的に接続する電子回路を有する回路基板を有し、前記モータケースの軸方向の一方に設けられる回路部と、
前記回路部が有する前記ヒートシンクから径外方向に延びる複数の腕部、一方の前記腕部と他方の前記腕部とを接続する接続部、および複数の前記腕部と前記接続部の内側で前記モータケースの軸方向に通じるコネクタ挿入孔を有し、前記ヒートシンクと一体に形成されるコネクタ保持部と、
外部電源または装置から電力または信号を前記電子回路へ供給する外部コネクタが接続可能な開口を前記モータケースの軸方向の一方または他方或いは前記モータケースの径外方向に有し、前記モータケースよりも径外側で前記コネクタ保持部の前記コネクタ挿入孔に挿入され、前記コネクタ保持部に取り付けられるコネクタと、を備えることを特徴とする駆動装置。
前記コネクタは、辺および頂点が角または丸となった直方体形状に形成され前記外部コネクタが接続可能な前記開口を有するコネクタ本体、一端が前記コネクタ本体の内側で前記外部コネクタの端子に接続可能であり他端が前記回路基板に接続されるコネクタ端子、前記コネクタ本体の外壁から外側に突出して一方の前記腕部に取り付けられる一方の取付部および前記コネクタ本体の外壁から外側に突出して他方の前記腕部に取り付けられる他方の取付部を有し、
一方の前記取付部、前記コネクタ端子の一端、および他方の前記取付部は、前記モータケースの軸に平行な仮想平面上に並び、
前記コネクタ本体は、直方体形状のうちで面積の最も広い面が前記モータケースの軸に平行となるように設けられることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
前記コネクタ保持部は、前記コネクタの取付部と当接する前記腕部の当接面と、板状に形成された前記接続部とが垂直に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両側のコネクタが設けられている位置は、駆動装置が搭載される車種によって異なる。このため、特許文献1に記載の駆動装置は、コントロールユニットのコネクタの開口と反対側に車両側のコネクタが設けられている場合、車両の配線をコントロールユニットのコネクタの開口側へ引き回さなければならないので、車両に駆動装置を取り付ける作業工数が増加する。
また、特許文献1に記載の駆動装置のコントロールユニットは、コネクタの開口と反対側に電子回路が形成された回路基板が設けられている。このため、車両側のコネクタの位置に対応するようにモータの軸方向の他方にコネクタの開口を設ける場合、コネクタの再設計に伴い、コントロールユニット全体のレイアウトを大きく変更することになる。したがって、種々の車種に対応したレイアウトの異なるコントロールユニットを数種類設定すると、駆動装置の製造上のコストが高くなることが懸念される。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、車両等に容易に搭載することの可能な駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明によると、駆動装置は、モータ部、回路部、コネクタ保持部およびコネクタを備える。
モータ部は、外郭を形成する筒状のモータケース、モータケースの径内側に設けられ複数相を構成する巻線が巻回されたステータ、およびステータの径内側でステータに対し相対回転可能に設けられたロータを有する。
回路部は、ステータの巻線に電力を供給する駆動素子、この駆動素子から生じる熱を吸収可能なヒートシンク、および駆動素子と電気的に接続する電子回路を有する回路基板を有し、モータケースの軸方向の一方に設けられる。
コネクタ保持部は、回路部から径外方向に延びる複数の腕部、一方の腕部と他方の腕部とを接続する接続部、および複数の腕部と接続部の内側でモータケースの軸方向に通じるコネクタ挿入孔を有する。
外部電源または装置から電力または信号を電子回路へ供給する外部コネクタが接続可能な開口をモータケースの軸方向の一方または他方或いはモータケースの径外方向に有するコネクタは、モータケースよりも径外側でコネクタ保持部のコネクタ挿入孔に挿入され、コネクタ保持部に取り付けられる。
【0006】
コネクタ保持部は、モータケースの軸方向に通じるコネクタ挿入孔を有する。このため、コネクタ保持部には、駆動装置が搭載される車両等が備える外部コネクタの向きに対応した種々のコネクタを取り付けることが可能である。ここで、種々のコネクタとは、外部コネクタが接続可能な開口をモータケースの軸方向の一方に有するコネクタ、その開口をモータケースの軸方向の他方に有するコネクタ、またはその開口をモータケースの径外方向に有するコネクタである。したがって、車両等の外部コネクタに接続されている配線を取り回すことなく、車両等に駆動装置を容易に取り付けることが可能になり、車両等への駆動装置の搭載性を高めることができる。
また、駆動装置は、モータ部、回路部およびコネクタ保持部を共通化し、外部コネクタの向きに対応するようにコネクタのみを変更することが可能になる。したがって、駆動装置の製造上のコストを低減することができる。
さらに請求項1に係る発明によると、コネクタ保持部は、ヒートシンクと一体に形成される。
これにより、コネクタ保持部の剛性を高めることが可能となる。したがって、コネクタの開口へ外部コネクタを押圧する力を大きくすることが可能になるので、外部コネクタとコネクタとの接続を確実に行うことができる。
また、構成部品の一体化により、部品点数を削減することができる。
【0007】
請求項2に係る発明によると、コネクタは、コネクタ本体、コネクタ端子、一方の取付部および他方の取付部を有する。
コネクタ本体は、辺および頂点が角または丸となった直方体形状に形成され、外部コネクタが接続可能な開口を有する。
コネクタ端子は、一端がコネクタ本体の内側で外部コネクタの端子に接続可能であり、他端が回路基板に接続される。
一方の取付部は、コネクタ本体の外壁から外側に突出し、一方の腕部に取り付けられる。
他方の取付部は、コネクタ本体の外壁から外側に突出し、他方の腕部に取り付けられる。
一方の取付部、コネクタ端子の一端、および他方の取付部は、モータケースの軸に平行な仮想平面上に並ぶ。
コネクタ本体は、直方体形状のうちで面積の最も広い面がモータケースの軸に平行となるように設けられる。
これにより、コネクタが回路部から外側へ突出する距離が短くなる。したがって、駆動装置を小型化することができる。
なお、「モータケースの軸に平行」とは、コネクタが回路部から外側へ突出する距離を短くすることが可能な程度に平行であればよい。
【0008】
請求項3に係る発明によると、コネクタ保持部は、コネクタの取付部と当接する腕部の当接面と、板状に形成された接続部とが垂直に設けられる。
これにより、外部コネクタが接続可能な開口をモータケースの軸方向の一方に有するコネクタ、またはその開口をモータケースの軸方向の他方に有するコネクタをコネクタ保持部に取り付けた場合、コネクタの開口に外部コネクタを挿し込む方向と接続部とが平行になる。また、外部コネクタを挿し込む方向と腕部の当接面とが垂直になる。このため、コネクタの開口に外部コネクタを挿し込む際、コネクタの傾きを接続部で抑制するととともに、外部コネクタからコネクタに伝わる押圧力を腕部で確実に受け止めることができる。
【0010】
請求項
4に係る発明によると、接続部と複数の腕部とが一体で形成される。
これにより、接続部と複数の腕部の剛性を高めることが可能となる。したがって、外部コネクタとコネクタとの接続を確実に行うことができる。
【0011】
請求項
5に係る発明によると、駆動装置は、上カバーおよび下カバーを備える。
上カバーは、回路部、コネクタ保持部およびコネクタを回路部から見てモータ部と反対側から覆う。
下カバーは、回路部、コネクタ保持部およびコネクタを回路部から見てモータ部側から覆う。
コネクタは、外部コネクタが接続可能な開口をコネクタ保持部から見てモータ部と反対側に有するものである。
上カバーは、コネクタ本体が挿通する挿通孔を有する。
下カバーは、コネクタ挿入孔を塞ぐことでコネクタ端子を保護する保護板を有する。
これにより、回路部、コネクタ保持部およびコネクタが、上カバーと下カバーによって保護されるので、回路部に異物が混入することを防ぐことができる。また、コネクタ端子に異物が接触して電子回路に電流が流れることを防ぐことができる。
【0012】
請求項
6に係る発明によると、駆動装置は、回路部、コネクタ保持部およびコネクタを回路部から見てモータ部と反対側から覆う上カバーを備える。
コネクタは、外部コネクタが接続可能な開口をコネクタ保持部から見てモータ部側に有するものである。
これにより、回路部、コネクタ保持部およびコネクタが上カバーによって保護されるので、回路部に異物が混入することを防ぐことができる。また、コネクタ端子に異物が接触して電子回路に電流が流れることを防ぐことができる。
【0013】
請求項
7に係る発明によると、コネクタ保持部の接続部および腕部と、上カバーの内壁とが当接している。
これにより、上カバーの剛性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による駆動装置を
図1〜
図10に基づいて説明する。駆動装置1は、車両などに搭載される電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という。)に適用される。
図1に示すように、駆動装置1は、モータ部2およびコントロールユニット3を備えている。モータ部2は、車両のステアリングホイール4に連結されたステアリングシャフト5を回転させる減速ギヤ6にその出力端100が噛合うように設けられている。
運転者によってステアリングホイール4が操舵されると、その操舵によってステアリングシャフト5に生じるトルクがトルクセンサ7により検出される。駆動装置1は、トルクセンサ7から出力される信号、および図示しないCAN(Control Area Network)から伝送される車速信号などに基づき、ステアリングホイール4の操舵をアシストするためのトルクを発生する。このトルクは、減速ギヤ6を経由してステアリングシャフト5に伝達される。
【0016】
コントロールユニット3は、
図6に示すように、回路部10、コネクタ保持部50、コネクタ60、上カバー70および下カバー80などを備える。
まず、コントロールユニット3の備える回路部10の電気的構成について、
図1を参照して説明する。
回路部10は、モータ部2を駆動する電流が流れるパワー部11と、そのパワー部11の動作を制御する制御部30とから構成され、モータ部2を駆動制御する。
パワー部11は、第1コンデンサ12、チョークコイル13、複数のインバータ回路14、15を形成する複数のスイッチング素子16〜21および第2コンデンサ22などから構成される。スイッチング素子16〜21は、特許請求の範囲に記載の「駆動素子」に相当する。
【0017】
パワー部11には、駆動装置1の外部に設けられる電源8から電力が供給される。電源8は、例えば車両のバッテリーなどである。パワー部11の備える第1コンデンサ12およびチョークコイル13は、フィルタ回路を構成し、電源8を共有する他の装置から回路部10に伝わるノイズを低減するとともに、回路部10から電源8を共有する他の装置へ伝わるノイズを低減する。また、チョークコイル13は、電源8と電源リレー23、24との間に直列接続され、電圧変動を減衰する。
【0018】
パワー部11は、2個のインバータ回路14、15を備えている。一方のインバータ回路14と他方のインバータ回路15とは、実質的に同一の構成であるので、ここでは、一方のインバータ回路14の構成のみを説明する。
電源リレー23、24およびスイッチング素子16〜21は、MOSFETであり、ゲート電圧により、ソース−ドレイン間がオンオフ制御される。電源リレー23、24は、スイッチング素子16〜21とチョークコイル13との間に設けられ、異常時にスイッチング素子16〜21を経由してモータ部2へ流れる電流を遮断可能である。
【0019】
電源側の3個のスイッチング素子16〜18は、ドレインが電源側に接続され、ソースが電源側の3個のスイッチング素子16〜18のそれぞれに対応するグランド側の3個のスイッチング素子19〜21のドレインに接続されている。グランド側の3個のスイッチング素子19〜21のソースは、シャント抵抗25を経由してグランドに接続されている。電源側のスイッチング素子16〜18と、それに対応するグランド側のスイッチング素子19〜21との接続点は、それぞれモータ部2の三相巻線に接続されている。
シャント抵抗25は、スイッチング素子19〜21とグランドとの間に接続されている。シャント抵抗25に印加される電圧または電流を検出することにより、モータ部2に流れる電流を検出可能である。
【0020】
第2コンデンサ22は、スイッチング素子16〜21の電源側の配線とグランド側の配線とに接続されている。つまり、第2コンデンサ22は、スイッチング素子16〜21と並列接続されている。第2コンデンサ22は、電荷を蓄えることでスイッチング素子16〜21への電力供給を補助し、また、電流の切り替えにより生じるリップル電流を吸収する。
【0021】
制御部30は、カスタムIC31、回転角センサ32、マイコン33およびプリドライバ34、35等から構成される。
カスタムIC31は、レギュレータ36、回転角センサ信号増幅部37および検出電圧増幅部38等を含む半導体集積回路である。
レギュレータ36は、電源8から供給される電力を安定化する安定化回路である。レギュレータ36により、マイコン33は、安定した所定の電圧(例えば5V)で動作する。
回転角センサ信号増幅部37には、回転角センサ32から出力された信号が入力される。回転角センサ32は、モータ部2のシャフトに設けられた磁石の磁界内に設けられ、周囲の磁界の変化を検出する。回転角センサ32の出力する信号は、モータ部2のロータの回転角度に関する信号として回転角センサ信号増幅部37に伝送される。回転角センサ信号増幅部37は、回転角センサ32から伝送された信号を増幅し、マイコン33へ出力する。
検出電圧増幅部38は、シャント抵抗25の両端電圧を検出し、その検出した検出値を増幅し、マイコン33へ出力する。
【0022】
マイコン33は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROMおよびRAM等を有する小型のコンピュータである。マイコン33には、回転角センサ信号増幅部37からロータの回転角度に関する信号、検出電圧増幅部38からシャント抵抗25の両端電圧、トルクセンサ7から操舵トルク信号、およびCANから車速情報等が入力される。
マイコン33は、これらの信号が入力されると、ロータの回転角度に基づき、車速に応じてステアリング4の操舵をアシストするように、プリドライバ34、35を介してPWM制御により作り出されたパルス信号を生成する。このパルス信号は、2系統のインバータ回路14、15のスイッチング素子16〜21のオンオフの切り替え動作を制御する。また、マイコン33は、検出電圧増幅部38から入力されるシャント抵抗25の両端電圧に基づき、モータ部2へ供給する電流を正弦波に近づけるようインバータ回路14、15を制御する。これにより、モータ部2には、位相の異なる正弦波の駆動電流が供給され、モータ部2のステータの巻線に回転磁界が生じる。この回転磁界によりモータ部2はトルクを発生し、運転者のステアリング4による操舵がアシストされる。
【0023】
次にコントロールユニット3の構成について説明する。コントロールユニット3は、
図2に示すように、モータ部2の軸方向の一方に設けられている。そしてコントロールユニット3は、
図6に示すように、回路部10、コネクタ保持部50、コネクタ60、上カバー70および下カバー80などを備える。
図3〜
図5に示すように、回路部10は、2個のパワーモジュール40、41、パワー基板42、制御基板43、ヒートシンク44およびコンポーネントキャリア45等を有する。
一方のパワーモジュール40は、一方のインバータ回路14を形成する電源リレー23、24、スイッチング素子16〜21、シャント抵抗25およびそれらを接続する配線などを樹脂等の封止体で覆うことで構成される。
他方のパワーモジュール41は、他方のインバータ回路15を形成するスイッチング素子などを樹脂等の封止体で覆うことで構成される。一方のパワーモジュール40と他方のパワーモジュール41とは、実質的に同一の構成である。
【0024】
パワー基板42には、上述したパワー部11を構成する第1コンデンサ12、チョークコイル13および第2コンデンサ22等が実装される。また、パワー基板42には、電源8から供給された電流が2個のパワーモジュール40、41のスイッチング素子16〜21を経由し、モータ部2の三相巻線に流れる配線が形成される。これにより、パワー基板42は、電源8からモータ部2へ大電流の流れる電子回路を有する。
一方、制御基板43には、制御部30を構成するカスタムIC31、回転角センサ32、マイコン33およびプリドライバ34、35等が実装される。制御基板43には、2個のパワーモジュール40、41のスイッチング素子16〜21のオンオフの切り替え動作を制御する信号を送信する配線が形成される。これにより、パワー基板42は、スイッチング素子16〜21の動作を制御する電子回路を有する。
パワー基板42および制御基板43は、特許請求の範囲に記載の「回路基板」に相当する。
【0025】
ヒートシンク44は、例えばアルミなどの熱伝導性の高い金属から形成され、2個のパワーモジュール40、41の発する熱を吸収可能である。ヒートシンク44は、モータケース90の中心軸Oを含む仮想平面αを挟んで向き合うように設けられた2個のブロック46、47を有する。一方のブロック46の外壁に一方のパワーモジュール40が取り付けられ、他方のブロック47の外壁に他方のパワーモジュール41が取り付けられる。ヒートシンク44のモータ部2と反対側にパワー基板42が取り付けられ、ヒートシンク44のモータ部側に制御基板43が取り付けられる。また、2個のブロック46、47の間に第2コンデンサ22が設けられている。
【0026】
コネクタ保持部50は、
図3〜
図6、
図8および
図9に示すように、ヒートシンク44と一体に形成され、2個の腕部51、52および接続部53を有する。
一方の腕部51は、ヒートシンク44の一方のブロック46から径外方向かつ仮想平面αから離れる方向へ延び、その端部から仮想平面αに平行に延びている。他方の腕部52は、ヒートシンク44の他方のブロック47から径外方向かつ仮想平面αから離れる方向へ延び、その端部から仮想平面αに平行に延びている。2個の腕部51、52は、後述するコネクタ60の当接部が当接可能な当接面54を有している。当接面54は、モータケース90の軸Oに対して垂直に形成されている。当接面54にはねじ孔55が設けられている。
接続部53は、板状に形成され、一方の腕部51と他方の腕部52とを接続している。板状の接続部53は、仮想平面αに垂直、かつ、モータケース90の軸Oに平行な仮想平面βに平行に設けられている。2個の腕部51、52の当接面54と接続部53とは、垂直に設けられている。
コネクタ保持部50は、2個の腕部51、52および接続部53の内側に、モータケース90の軸方向に通じるコネクタ挿入孔56を有する。コネクタ挿入孔56は、モータケース90よりも径外側に設けられ、モータケース90の軸方向の両側に開放されている。
【0027】
コネクタ60は、
図3〜
図7に示すように、コネクタ本体61、取付部62、63およびコネクタ端子を有する。
コネクタ本体61は、辺および頂点が角または丸となった直方体形状に形成される。コネクタ本体61は、直方体形状のうちで面積の最も広い面67がモータケース90の軸Oに平行となるように設けられる。コネクタ本体61は、外部コネクタが接続可能な3個の開口64を有する。コネクタ本体61の有する3個の開口64は、コネクタ保持部50から見て、モータケース90の軸方向のモータ部2と反対側に設けられている。
コネクタ本体61の有する1個の開口641には、外部電源8から電力をパワー基板42の電子回路に供給する外部コネクタが接続可能である。他の2個の開口642には、トルクセンサ7等から伝送される信号を制御基板43の電子回路に供給する外部コネクタが接続可能である。
コネクタ端子は、パワー端子65と制御端子66とから構成される。パワー端子65は、コの字型に形成され、一端がコネクタ本体61の内側で外部コネクタの端子に接続可能であり、他端がパワー基板42の配線に接続されている。一方、制御端子66は、Z型に形成され、一端がコネクタ本体61の内側で外部コネクタの端子に接続可能であり、他端が制御基板43の配線に接続されている。
取付部62、63は、コネクタ本体61と一体に樹脂から形成され、コネクタ本体61の左右に突出する。コネクタ本体61の外壁から外側に突出する一方の取付部62は、コネクタ保持部50の一方の腕部51に取り付けられる。コネクタ本体61の外壁から外側に突出する他方の取付部63は、コネクタ保持部50の他方の腕部52に取り付けられる。
一方の取付部62、パワー端子65の一端、制御端子66の一端、および他方の取付部63は、モータケース90の軸Oに平行な仮想平面β上に並ぶように設けられる。
コネクタ60の開口64に外部コネクタが挿し込まれる際、コネクタ60がモータケース90の径外方向へ傾くことをコネクタ保持部50の接続部53が抑制する。また、外部コネクタからコネクタ60へ伝わる押圧力を腕部51、52の当接面54が受け止める。
【0028】
図6、
図8及び
図9に示すように、コンポーネントキャリア45は樹脂から形成され、ヒートシンク44の外側に設けられる。コンポーネントキャリア45は、ヒートシンク44にねじ48によって取り付けられる。
コンポーネントキャリア45の内側で、図示しない基板用端子と図示しないモータ端子とが接続される。基板用端子は、パワーモジュール40、41からパワー基板42に延びる配線に電気的に接続する端子である。モータ端子は、モータ部2のステータ91に巻回された巻線95に電気的に接続する端子である。これにより、回路部10からモータ部2の巻線95へ電流が供給される。
【0029】
上カバー70は、
図3〜
図6及び
図10に示すように、有底筒状に形成され、回路部10、コネクタ保持部50およびコネクタ60を、回路部10から見てモータ部2と反対側から覆っている。上カバー70は、コネクタ本体61が挿通する挿通孔71を有する。このため、コネクタ60の開口64に外部コネクタを差し込むことが可能である。上カバー70は、上カバー70に設けられた孔72から挿入される図示しないスルーボルトによって、ヒートシンク44とともにモータケース90に固定される。
下カバー80は、
図4〜
図6に示すように、回路部10、コネクタ保持部50およびコネクタ60を、回路部10から見てモータ部側から覆っている。下カバー80は、下カバー本体81から垂直に立ちあがる爪部82によってヒートシンク44に取り付けられる。下カバー80は、保護板83を有する。保護板83は、コネクタ保持部50の腕部51、52および接続部53の軸方向モータ部側の端面に当接し、コネクタ挿入孔56の軸方向モータ部側を塞ぐ。保護板83は、コネクタ端子を保護している。
【0030】
続いてモータ部2について、
図4および
図5を参照して説明する。
モータ部2は、モータケース90、ステータ91、ロータ92およびシャフト93を有している。
モータケース90は、例えば鉄板をプレス加工して有底筒状に形成され、モータ部2の外郭を形成する。モータケース90は、筒状の周部901と、この周部901の軸方向の一方から径内方向へ延びる底部902とを有している。モータケース90の周部901の他方の側の開口をフレームエンド94が塞いでいる。
モータケース90の周部901の内壁にステータ91が固定されている。ステータ91は、積層鋼板から形成され、突極及び図示しないスロットを周方向に交互に有している。ステータ91のスロットに巻線95が収容されている。巻線95は突極に巻回される。巻線95は、2系統の三相巻線を形成している。巻線95から取り出された図示しない取出線はコントロールユニット側へ延び、図示しないモータ端子と接続している。
【0031】
ロータ92は、積層鋼板から形成され、ステータ91の径内側でステータ91に対し相対回転可能に設けられている。ロータ92には、ロータコアの径外側に異種の磁極が周方向に交互に形成されている。ロータ92の回転中心に形成された軸孔にシャフト93が固定されている。シャフト93は、軸方向の一端がモータケース90の底部902に設けられた軸受97に取り付けられ、他端がフレームエンド94に設けられた軸受98に取り付けられている。これにより、シャフト93は、モータケース90及びフレームエンド94に回転可能に支持される。シャフト93の制御基板43側の端部には、ロータ92の回転角を検出するための磁石99が設けられている。
回路部10からステータ91の巻線95に通電されると、回転磁界が形成され、ロータ92及びシャフト93はステータ91及びモータケース90に対して正逆回転する。そして、シャフト93のフレームエンド側の出力端100からステアリングシャフト5の減速ギヤ6に駆動力が出力される。
【0032】
次に、駆動装置1の製造方法について、
図6〜
図10を参照して説明する。
ヒートシンク44のコネクタ保持部50のコネクタ挿孔56にコネクタ60を挿入する。そしてコネクタ60の取付け部62,63とコネクタ保持部50の腕部51、52とをねじ57で固定する。
コンポーネントキャリア45をヒートシンク44にねじ48にて固定する。
ヒートシンク44に電子部品の実装されたパワー基板42、制御基板43を図示しないねじにて固定し、コネクタ60の端子65および図示しないコンポーネントキャリア45の基板用端子をパワー基板42に、コネクタ60の端子66を制御基板43に半田付けにて電気的に接合する。
ここで、回路部10およびコネクタ保持部50は、後述する第2実施形態または第3実施形態と同一構成の共通部品である。
続いて、ヒートシンク44に下カバー80を取り付ける。
次に、
図10に示すように、回路部10、コネクタ保持部50、コネクタ60、下カバー80が組み付けられたものに上カバー70を被せる。このとき、
図3〜
図5に示すように、上カバー70の内壁と、コネクタ保持部50の接続部53および腕部51、52とが当接する。これにより、上カバー70の剛性が高くなる。
上カバー70に設けられた孔72からスルーボルトを挿入し、上カバー70とヒートシンク44とをモータケース90に固定する。スルーボルトは、ヒートシンク44の円筒部441を通り、モータケース90に設けられた図示しないめねじに固定される。
これにより、駆動装置1が完成する。
【0033】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、コネクタ保持部50は、モータケース90の軸方向に通じるコネクタ挿入孔56を有する。これにより、コネクタ保持部50には、駆動装置1が搭載される車両等が備える外部コネクタの向きに対応した種々のコネクタを取り付けることが可能である。本実施形態では、コネクタ保持部50から見てモータ部2と反対側に開口64を有するコネクタ60をコネクタ保持部50に取り付けたが、後述する第2実施形態のように、コネクタ保持部50から見てモータ部側に開口を有するコネクタをコネクタ保持部50に取り付けることも可能である。また、後述する第3実施形態のように、モータケース90の径外方向に開口を有するコネクタをコネクタ保持部50に取り付けることも可能である。このため、駆動装置1は、モータ部2、回路部10およびコネクタ保持部50を共通化し、外部コネクタの向きに対応するようにコネクタ60のみを変更することが可能である。したがって、駆動装置1の製造上のコストを低減することができる。
本実施形態では、コネクタ保持部50から見てモータ部2と反対側に開口64を有するコネクタ60をコネクタ保持部50に取り付けた。このため、駆動装置1は、車両に取り付けの際、駆動装置1の軸方向コントロールユニット側に外部コネクタが設けられている場合、その外部コネクタに接続されている配線を取り回すことなく、外部コネクタと駆動装置1のコネクタ60とを容易に取り付けることが可能である。したがって、車両への駆動装置1の搭載性を高めることができる。
【0034】
本実施形態では、一方の取付部62、コネクタ端子65、66の一端、および他方の取付部63は、モータケース90の軸Oに平行な仮想平面β上に並ぶ。そして、コネクタ本体61は、直方体形状のうちで面積の最も広い面67がモータケース90の軸Oに平行となるように設けられる。これにより、回路部10から外側へコネクタ60が突出する距離が短くなる。したがって、駆動装置1を小型化することができる。
本実施形態では、コネクタ保持部50の腕部51、52は、ヒートシンク44と一体に形成される。これにより、コネクタ保持部50の剛性を高めることが可能となる。したがって、コネクタ60の開口64の内側へ外部コネクタを押圧する力を大きくすることが可能になるので、外部コネクタとコネクタ60との接続を確実に行うことができる。また、構成部品の一体化により、部品点数を削減することができる。
本実施形態では、回路部10、コネクタ保持部50およびコネクタ60が、上カバー70および下カバー80の保護板83によって外部から遮蔽される。このため、回路部10に異物が混入することを防ぐことができる。また、保護板83によってコネクタ端子65、66に異物が接触することが防がれるので、コネクタ端子65、66から電子回路に電流が流れることを防ぐことができる。
【0035】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による駆動装置を
図11〜
図22に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、外部コネクタが接続可能な開口640が軸方向モータ部側に設けられたコネクタ600がコネクタ保持部50に取り付けられている。
図18〜
図20に示すように、コネクタ600は、取付部620、630がコネクタ本体610の軸方向モータ部2と反対側に設けられている。このため、コネクタ本体610は、コネクタ保持部50から軸方向モータ部側へ突出している。
コネクタ本体610は、モータケース90の軸Oに垂直に延びる第1凸部611および第2凸部612を有する。第1凸部611は、コネクタ保持部50の段差58に当接する。第2凸部612は、下カバー本体81から垂直に立ち上がる第2保護板84に当接する。
パワー端子650は、Z型に形成され、一端がコネクタ本体61の内側で外部コネクタの端子に接続可能であり、他端がパワー基板42の配線に接続されている。一方、制御端子660は、コの字型に形成され、一端がコネクタ本体61の内側で外部コネクタの端子に接続可能であり、他端が制御基板43の配線に接続されている。
なお、第2実施形態では、上カバー70は、挿通孔を有していない。
また、下カバー80は、下カバー本体81から垂直に立ち上がり、コネクタ本体61の第2凸部と当接する第2保護板84を有する。
【0036】
次に、第2実施形態の駆動装置の製造方法について、
図18〜
図22を参照して説明する。
図18に示すように、回路部10およびコネクタ保持部50は、第1実施形態または第3実施形態と同一の構成である。
図20に示すように、コネクタ保持部50のコネクタ挿入孔56にコネクタ600を挿入する。そしてコネクタ600の取付部620、630と、コネクタ保持部50の腕部51、52とをねじ57によって固定する。
続いて、ヒートシンク44に下カバー80を取り付ける。
【0037】
次に、
図21に示すように、回路部10、コネクタ保持部50、コネクタ600、下カバー80が組み付けられたものに上カバー70を被せる。このとき、
図14、
図16および
図17に示すように、上カバー70の内壁と、コネクタ保持部50の接続部53および腕部51、52が当接する。
続いて
図22に示すように、上カバー70に設けられた孔72からスルーボルト73を挿入し、モータケース90に設けられためねじ74に螺着することで、上カバー70とヒートシンク44とをモータケース90に固定する。このとき、モータ部2の巻線95に電気的に接続するモータ端子を保持するホルダ49を、回路部10のコンポーネントキャリア45の内側に挿入する。そして
図14に示すように、上カバー70の外側からねじ75で固定することで、モータ端子と図示しない基板用端子とを接続する。
これにより、駆動装置が完成する。
【0038】
第2実施形態では、以下の作用効果を奏する。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、駆動装置は、モータ部2、回路部10およびコネクタ保持部50を共通化し、外部コネクタの向きに対応するようにコネクタ600のみを変更することが可能になる。したがって、駆動装置の製造上のコストを低減することができる。
本実施形態では、コネクタ保持部50から見てモータ部側に開口640を有するコネクタ600をコネクタ保持部50に取り付けた。このため、駆動装置は、車両に取り付けの際、駆動装置の軸方向モータ部側に外部コネクタが設けられている場合、その外部コネクタに接続されている配線を取り回すことなく、外部コネクタと駆動装置のコネクタ600とを容易に取り付けることが可能である。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様、コネクタ保持部50のコネクタ挿入孔56は、モータケース90よりも径外側に設けられている。このため、外部コネクタをモータ部側からコネクタ600に差し込むことが可能である。
第2実施形態では、コネクタ本体610の第1凸部611とコネクタ保持部50の段差58とが当接し、コネクタ本体610の第2凸部612と下カバー80の第2保護板84とが当接する。これにより、回路部10、コネクタ保持部50およびコネクタ600が外部から遮断され、回路部10に異物が混入することを防ぐことができる。また、コネクタ端子650、660に異物が接触して電子回路に電流が流れることを防ぐことができる。
【0039】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による駆動装置を
図23および
図24に基づいて説明する。
第3実施形態では、外部コネクタが接続可能な開口643がモータケース90の径外方向に設けられたコネクタ601がコネクタ保持部50に取り付けられている。コネクタ本体61は、コネクタ保持部50の接続部53の軸方向のモータ部2と反対側の端面に当接している。また、コネクタ本体61は、上カバー70の挿通孔71を通り、上カバー70の径外側へ突出している。
コントロールユニット3の備える回路部10およびコネクタ保持部50は、上述した第1、第2実施形態と同一の構成である。
【0040】
第3実施形態では、以下の作用効果を奏する。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様、駆動装置は、モータ部2、回路部10およびコネクタ保持部50を共通化し、外部コネクタの向きに対応するようにコネクタ601のみを変更することが可能になる。したがって、駆動装置の製造上のコストを低減することができる。
本実施形態では、駆動装置の径外方向に開口643を有するコネクタ601をコネクタ保持部50に取り付けた。このため、駆動装置は、車両に取り付けの際、駆動装置の径外方向に外部コネクタが設けられている場合、その外部コネクタに接続されている配線を取り回すことなく、外部コネクタと駆動装置のコネクタ601とを容易に取り付けることが可能である。
【0041】
(他の実施形態)
上述した複数の実施形態では、コネクタ保持部とヒートシンクとを一体で形成した。これに対し、他の実施形態では、コネクタ保持部とコンポーネントキャリアとを一体で形成してもよい。また、コンポーネントキャリアを樹脂から形成し、コネクタ保持部を金属から形成し、コンポーネントキャリアとコネクタ保持部とをボルト止めなどにより固定してもよい。
また、制御基板またはパワー基板と、コネクタ保持部とをボルト止めなどにより固定してもよい。
上述した複数の実施形態では、コネクタ保持部にコネクタを固定した。これに対し、他の実施形態では、コネクタ保持部を備えることなく、モータケースよりも径外方向へ制御基板を延長し、その延長した制御基板のモータ部側の端面、またはモータ部と反対側の端面にコネクタを固定してもよい。
このように、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。