【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の射出成形機のデータ表示方法は、時刻又はショット番号と対応付けされた成形データの実測値を、コンピュータを用いて、設定された評価区分値に応じて色のグラデーションを付けたセルに置換えて、前記セルを時系列の帯状グラフとし
、前記帯状グラフを所定時間長さで周期的に区切ってディスプレイに
並列表示することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、前記セルの色の濃淡(又は色の明暗)で前記成形データの良し悪しが視覚的に判断できるとともに、前記帯状グラフ全体に対する前記セルの色の濃い部分(色の明るい部分)や前記セルの色の薄い部分(色の暗い部分)の占有度合いや分布状況が一目見て分かる。よって、前記成形データが悪い状態となる頻度や前記成形データが良い状態となる頻度が容易に把握できることとなる。
ここで、色のグラデーションとは、色の濃淡又は色の明暗を表している。本発明では、既知の表計算ソフトウエアやコンピュータグラフィックス用ソフトウエア等に備わっている色のグラデーション機能を使用することができる。
【0012】
前記成形データの実測値は、時刻と対応付けされているか、又はショット番号と対応付けされており、グラフの時間軸が時刻又はショット番号となった時系列の帯状グラフ形式でディスプレイ表示される。 前記時刻とは射出成形機に内蔵された時計の指す時刻であり、前記ショット番号とは射出成形機に内蔵された計数器がカウントしたショット番号である。前記時刻と前記ショット番号とは互いに置き換え可能である。
【0013】
前記設定された評価区分値は、例えば、前記成形データの平均値又は基準値に対する実測値の外れ度合いを前記セルの色の濃淡度合いや色の明暗度合いの段階として表すために設定する評価区分値である。 前記成形データの平均値とは、過去の実績値から算出された平均値、又は過去の実績値から異常値を除いたものから算出された平均値である。前記成形データの基準値とは、目標品質を得るための設定値又は設計値である。
【0014】
本発明は、表示対象となる前記成形データの平均値又は基準値に対する前記実測値の外れ度合いが大きくなるに応じて前記セルの指定された色を濃く表示させるとともに、前記外れ度合いがプラス側の場合とマイナス側の場合とで前記セルの指定された色を異ならせることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記セルの色が濃くなれば前記実測値の外れ度合いが大きくなることが一目瞭然であり、また、前記外れ度合いがプラス側なのかマイナス側なのかが容易に判別がつく。
【0016】
本発明は、表示対象となる前記成形データが1種である場合には、前記セルに置換えて、前記帯状グラフを所定時間長さで周期的に区切って並列表示し、また、表示対象となる前記成形データが2種以上である場合には、その対象となる成形データ毎に求められる当該成形データの平均値又は基準値に対する前記実測値の外れ度合いの中で、その外れ度合いが最も大きな成形データの実測値を前記セルに置換えて、前記帯状グラフを所定時間長さで周期的に区切って並列表示することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、1種の前記成形データが選択された場合にはそのまま前記セルに置換わり、また、2種以上の前記成形データが選択された場合には、選択された複数の前記成形データについて前記時刻又はショット番号毎に前記実測値の外れ度合いが最も大きなデータが代表値として前記セルに置換わるので、前記帯状グラフとしては1種のグラフが1画面で表示されることとなり、複数種類の帯状グラフが表示される場合と比較して表示が見易くなる。そして、1種の前記帯状グラフが所定時間長さで周期的に区切って並列表示されることで、対象となる前記成形データの平均値又は基準値に対する実測値の外れ度合いに周期性があるかが判別し易くなる。
【0018】
前記帯状グラフを周期的に区切る所定時間長さとしては、例えば、4時間、8時間、12時間、1日、7日間、30日間、1ヶ月間、6ヶ月間、12ヶ月間等が挙げられる。その際、例えば、その所定時間長さを4時間とした場合には、単に0時間目から4時間目、4時間目から8時間目、8時間目から12時間目などのそれぞれの帯状グラフを並べて表示しても良いし、あるいは、指定した開始時間から4時間、すなわち、例えば、午後0時から午後4時までの4時間分の帯状グラフを複数日分並べて表示しても良い。
【0019】
前記コンピュータ及びディスプレイは、市販されているオフィス作業用のコンピュータ及びディスプレイを使用しても良いし、射出成形機の制御装置に備えるコンピュータ及びディスプレイの機能を使用しても良い。オフィスでデータ解析する場合や、現場の射出成形機にて直接データ解析する場合がある。
【0020】
本発明は、前記成形データとして、充填時間、最小クッション量、最終クッション量、V−P切換圧、最高充填圧、V−P切換位置、計量時間、サイクル時間、計量完了位置、充填率、背圧、各シリンダ温度、ノズル温度、スクリュ回転数のうちいずれか1
種又はいずれか
2種以上の実測値を選択することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、これら射出成形機の工程監視項目から前記成形データを選択して、有効かつ効果的な工程分析が素早く行なわれる。射出成形機としては、樹脂成形用射出成形機や金属成形用射出成形機が挙げられる。
【0022】
本発明の射出成形機のデータ表示装置は、射出成形機の挙動を観察するに際し使用され、時刻又はショット番号と対応付けされた成形データの実測値を入力するデータ入力手段と、データ編集用プログラムが搭載されたコンピュータと、ディスプレイを備え、前記コンピュータ上で前記データ編集用プログラムを起動させ、前記データ入力手段によって入力された前記実測値を、設定された評価区分値に応じて色のグラデーションを付けたセルに置換えて、前記セルを時系列の帯状グラフとし
、前記帯状グラフを所定時間長さで周期的に区切って前記ディスプレイに
並列表示することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、前記コンピュータ上で前記データ編集用プログラムを起動させると、前記データ入力手段によって入力された前記実測値を、設定された評価区分値に応じて色のグラデーションを付けたセルに置換えて、前記セルを時系列の帯状グラフとして前記ディスプレイに表示する構成であるから、前記セルの色の濃淡(又は色の明暗)で前記成形データの良し悪しが瞬時に視覚的に判断できるとともに、前記帯状グラフ全体に対する前記セルの色の濃い部分(色の明るい部分)や前記セルの色の薄い部分(色の暗い部分)の占有度合いや分布状況が一目見て分かる。
【0024】
例えば、前記データ編集用プログラムを起動させると、前記評価区分値の入力画面が表示される設定としておけば、適宜数値を入力すると、入力された数値に一対一で対応したピッチや、入力された数値に比例したピッチや、入力された数値に所定の重み付け処理を行なったピッチで、グラデーションを付けたセルに置換える構成となり、分析対象となる前記成形データの種別に応じて、グラデーションの付け方を工夫することが容易となる。ここで、前記数値とは、ゼロを含めない正の数であり、例えば、±%表示される数であり、より具体的には、±1%、±2.5%、±5%、±10%、±15%、±25%、±30%等の数値が挙げられる。前記所定の重み付け処理とは、例えば、前記成形データの平均値又は基準値に対する実測値の外れ度合いが大きいほど入力された数値に大きな値の定数を掛けるか又は大きな値の定数で割る処理である。
【0025】
前記成形データは、射出成形機の工程監視項目となる成形データであり、時間、圧力、温度、プランジャ位置、スクリュ回転数等の項目から選択する。例えば、前記データ編集用プログラムを起動させると、複数の前記成形データ項目を選択するチェックボックスが表示される設定としておけば、これらの前記成形データ項目からいずれか1つ又はいずれか2種以上の項目を選択する構成となり、前記成形データ項目の選択が容易となる。
【0026】
本発明は、前記データ編集用プログラムが、表示対象となる前記成形データの平均値又は基準値に対する前記実測値の外れ度合いが大きくなるに応じて前記セルの指定された色を濃く表示させるとともに、前記外れ度合いがプラス側の場合とマイナス側の場合とで前記セルの指定された色を異ならせ、かつ、表示対象となる前記成形データが1種である場合には、前記セルに置換えて、前記帯状グラフを所定時間長さで周期的に区切って並列表示し、また、表示対象となる前記成形データが2種以上である場合には、前記実測値の外れ度合いが最も大きな成形データの実測値を前記セルに置換えて、前記帯状グラフを所定時間長さで周期的に区切って並列表示することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、そして、分析対象となる前記成形データの平均値又は基準値に対する実測値の外れ度合いが大きくなるに応じて前記セルの指定された色が濃く表示されることで、色が濃くなれば前記実測値の外れ度合いが大きくなることが一目瞭然であり、また、前記実測値の外れ度合いがプラス側なのかマイナス側なのかを色の違いによって容易に識別できることとなる。さらに、前記帯状グラフとしては1種のグラフがディスプレイ表示されることとなり、複数種類の帯状グラフが表示される場合と比較して表示が見易くなる。そして、1種の前記帯状グラフが所定時間長さで周期的に区切って並列表示されることで、対象となる前記成形データの平均値又は基準値に対する実測値の外れ度合いに周期性があるかが判別し易くなり、前記データ編集用プログラムをインストールすることによって有効かつ効果的な工程分析が素早く行なわれる。
【0028】
例えば、前記データ編集用プログラムを起動させると、複数の前記所定時間長さを選択するボタンが表示される設定としておけば、これらの前記所定時間長さボタンからいずれかのボタンを選択することで、1種の前記帯状グラフが所定時間長さで周期的に区切って一画面に並列表示されることとなる。 また例えば、前記データ編集用プログラムを起動させると、複数の前記成形データ項目が選択できるチェックボックスと前記評価区分値が入力できる画面が表示され、前記成形データ項目が選択されて前記評価区分値が入力されると、前記成形データの値を、設定された評価区分値に応じて有色でグラデーションを付けたセルに置換えて、前記セルを時系列の帯状グラフに変換し、次に、縦軸が0Hから24Hまでの時刻で、横軸が指定日から7日間に区切って前記ディスプレイに表示する構成とすることができ、そして、複数の成形機の機種番号と表示データの開始日がそれぞれ選択できる選択ダイアログが表示され、また、複数の前記所定時間長さを選択するボタンが表示され、設定された成形機の機種番号と表示データの開始日と前記所定時間長さに対応した前記帯状グラフが一画面に表示される構成とすることができる。
【0029】
本発明では、時刻又はショット番号と対応付けされた成形データの実測値、つまり射出成形機に保存されている成形データの実測値を、USBメモリや有線ケーブルや無線LAN等を介して管理PC(パソコン)に転送し、1台ないしは複数台の射出成形機を集中管理する管理PC上で前記データ編集用プログラムを起動させて、設定された成形機の機種番号と表示データの開始日と前記所定時間長さに対応した前記帯状グラフを一画面に表示させる構成とすることができる。ここで、上述のコンピュータや管理PCは、いわゆる個人向けパーソナルコンピュータでも対応可能である。