(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決することを踏まえ、フラップ弁を軸で回動することで注入口を開閉するとともに、フラップ弁と注入口の開口周縁との間をガスケットでシールする構成において、簡単な構成で、高いシール性を確保できる燃料タンクの開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
適用例1は、給油ノズルから吐出される燃料を燃料タンクへ供給する燃料通路を開閉する燃料タンクの開閉装置において、
上記燃料通路の一部を構成する注入口を有する弁支持部材と、
上記給油ノズルの先端で押されることで上記注入口を開く開閉部材と、上記開閉部材と上記弁支持部材とに設けられ上記開閉部材を回転可能に支持する軸支機構と、上記開閉部材を閉じ方向に付勢するスプリングと、上記注入口の開口周縁部と上記開閉部材との間をシールするガスケットとを有するフラップ弁機構と、
を備え、
上記軸支機構は、上記開閉部材の一端部に形成された軸部材と、上記軸部材を上記弁支持部材に対して回転可能に支持する軸支孔を有する軸受部と、上記軸支孔で支持された上記軸部材の回転を規制する回転規制機構とを備え、
上記軸受部は、上記開閉部材が上記ガスケットを撓ませる第1位置と、上記開閉部材が上記ガスケットを撓ませない第2位置とをとるように上記軸部材が上記軸支孔内で移動可能に支持されるように構成し、
上記回転規制機構は、
上記注入口の開口周縁部に設けられた規制部と、上記軸部材に設けられ上記規制部に係合する被規制部とを有し、
上記第1位置にて、上記規制部が上記被規制部に係合して上記軸部材の回転を規制することにより、上記開閉部材は、上記ガスケットが配置されている面とほぼ平行な姿勢を維持しつつ上記ガスケットを撓ませる方向へ移動するように構成し、
上記第2位置にて、上記規制部と上記被規制部との係合を解除することにより、上記開閉部材が、上記軸部材を中心に回転可能とするように構成したこと、
を特徴とする燃料タンクの開閉装置である。
【0008】
適用例1にかかる燃料タンクの開閉装置では、給油ノズルの先端で開閉部材を押し、または開閉部材を押す力を除くと、開閉部材は、スプリングの力を受けつつ開閉する。このとき、軸支機構は、第1位置にて、回転規制機構の規制部が被規制部に係合して上記軸部材の回転を規制することにより、開閉部材を、ガスケットが配置されている面に対して、平行の姿勢を維持しつつガスケットを撓ませる方向へ移動させ、また、第2位置にて、規制部と被規制部との係合を解除して、開閉部材を、軸部材を中心に回転させる。したがって、開閉部材は、注入口を開閉するときに、ガスケットを撓ませる第1位置にて、ガスケットが配置されている面に対して、平行の姿勢を維持しつつガスケットを撓ませる方向へ移動し、ガスケットを全周にわたって均一に撓ませるから、高いシール性を得ることができる。
【0009】
[適用例2]
適用例2は、適用例1に記載の燃料タンクの開閉装置において、
上記軸支孔は、上記軸部材が上記第1位置と上記第2位置との間で移動可能とする長穴で構成されている、燃料タンクの開閉装置である。
[適用例3]
適用例3は、適用例1または適用例2に記載の燃料タンクの開閉装置において、
上記軸体は、上記スプリングにより上記第2位置から上記第1位置の方向へ付勢されている、燃料タンクの開閉装置。
【0010】
[適用例4]
適用例4は、適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の燃料タンクの開閉装置において、上記規制部は、上記注入口の開口周縁部から突設された突起で形成され、上記被規制部は、上記軸部材の外周部に形成されかつ上記規制部に係合する切欠きで形成されている、燃料タンクの開閉装置である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1) 燃料タンクの開閉装置の概略構成
図1は本発明の第1実施例にかかる燃料タンクの開閉装置10を説明する斜視図である。自動車の車体の後部には、燃料を給油するための給油蓋FLが開閉可能に支持されている。給油蓋FLは、車体の外板に倣った蓋本体FLaがヒンジFLbを介して車体の外板に開閉可能に支持されている。給油蓋FLを開いたスペースは、給油室FRになっており、この給油室FR内に、基板BPに支持された燃料タンクの開閉装置10が配置されている。燃料タンクの開閉装置10は、燃料キャップを用いないで、燃料タンクに燃料を供給するための機構であり、給油蓋FLを開いた後に、給油ノズルからの外力で燃料通路に配置した弁を開閉することで、給油ノズルから燃料タンクへ燃料を供給することができる機構である。以下、燃料タンクの開閉装置の詳細な構成について説明する。
【0013】
(2) 各部の構成および動作
図2は
図1の2−2線に沿った断面図、
図3は
図2の燃料タンクの開閉装置10を分解して示す断面図である。燃料タンクの開閉装置10は、燃料タンク(図示省略)に接続される燃料通路11Pを有するタンク開口形成部材11と、シャッタ機構40と、フラップ弁機構50とを備えている。
【0014】
(2)−1 タンク開口形成部材11
図3において、タンク開口形成部材11は、燃料通路11Pを構成する部材であり、燃料タンクに接続された管体12と、管体12の上部に装着されたカバー部材20と、カバー部材20内に配置された挿入ガイド部材27と、管体12の上部に装着された弁支持部材30とを備えている。
【0015】
管体12は、金属製の管体であり、燃料タンクに接続される管本体13を備えている。カバー部材20は、弁支持部材30の上部に装着され、円筒状の側壁部21と、カバー上板22とを備えている。側壁部21は、上部を傾斜した円筒形状であり、その傾斜した上部にカバー上板22が一体に形成されている。カバー上板22は、給油ノズルを挿入するための開口部23を備えている。開口部23は、導入開口23aと、軸支持部23bとを備えている。導入開口23aは、給油ノズルを挿入するためのほぼ円形であり、燃料通路11Pの一部を構成しており、燃料通路11Pの通路面積より狭く形成されている。軸支持部23bは、導入開口23aの端部に形成され、シャッタ機構40の端部を装着支持するための部位である。カバー部材20は、側壁部21の下部の係合爪21bと弁支持部材30の上部との係合手段により弁支持部材30の上部に装着されている。
【0016】
挿入ガイド部材27は、カバー部材20内に配置されており、燃料通路11Pに挿入された給油ノズルをガイドするとともに、カバー上板22の導入開口23aと弁支持部材30の注入口30aとを接続する部材である。挿入ガイド部材27は、弁支持部材30の注入口30aに向けて通路面積を狭くした円錐形状に傾斜して形成することで、挿入通路11Paに入った燃料を注入口30aに向けて速やかに流すように構成されている。
【0017】
図4は管体12と弁支持部材30とを組み付けた状態を説明する説明図、
図5は管体12と弁支持部材30とを組み付ける前の状態を説明する断面図、
図6は管体12を弁支持部材30に組み付ける前の状態を示す斜視図である。
弁支持部材30は、管体12の上部に装着されており、フラップ弁機構50(
図3)を取り付けることで、燃料通路11Pを挿入通路11Pa(
図2)と燃料タンク側の通路であるタンク側通路11Pbとに区画する部材である。弁支持部材30は、円筒状の弁支持本体31と、フランジ32と、注入口30aを有する注入口形成部材33とを備え、これらを一体に形成している。
弁支持本体31は、管体12に挿入された円筒形状であり、その内側スペースが燃料通路11Pの一部を構成している。フランジ32は、弁支持本体31の上端に、外方へ張り出し形成されており、管体12のフランジ14に当接している。注入口形成部材33は、軸方向と直角方向の面に対して傾斜して形成されており、注入口30aが形成されている。注入口30aの開口周縁のうち、その下面側、つまり、燃料タンク側の開口周縁部にシート部33aが形成されている。
【0018】
図6は管体12と弁支持部材30とを連結機構34を介して組み付ける前の状態を示す
斜視図である。連結機構34は、弁支持部材30を管体12に取り付けるための機構であり、第1連結部34Fと、第2連結部34Sとを備えている。
第1連結部34Fは、管体12の第1パイプ側係合部15と、弁支持部材30の内側連結部35とを備えている。第1パイプ側係合部15は、管体12の一部をその中心側へかつ周方向に沿って凹ませるように形成されており、管体12の管本体13の軸を中心として180゜の位置に所定の幅で2箇所設けられている。内側連結部35は、第1パイプ側係合部15に係合する部材であり、基部35aから片持ちで下方に向けて形成された係合片35bと、係合片35bの下部に形成され径外方に突設された爪35cとを備えている。内側連結部35は、弁支持部材30が管体12に装着されたときに、係合片35bの爪35cが第1パイプ側係合部15に係合することで、管体12から抜止めするように形成されている。内側連結部35が対向する弁支持本体31の部分は、弁支持本体31を下端から上方に向けて切り欠いた開口部31aとなっており、射出成形の際に型割りを容易にしている。
【0019】
第2連結部34Sは、フランジ14に形成した第2パイプ側係合部16と、弁支持部材30に形成した
外側連結部36とを備えている。第2パイプ側係合部16は、管体12の上部のフランジ14の下面に形成されている。外側連結部36は、第2パイプ側係合部16に係合する部材であり、弁支持部材30のフランジ32の下部から片持ちで下方に向けて形成された係合片36bと、係合片36bの下部に形成され径内方に突設された爪
36cとを備えている。外側連結部36は、弁支持部材30が管体12に装着されたときに、係合片36bの爪36cがフランジ14の第2パイプ側係合部16に係合することで、管体12から抜止めするように形成されている。
連結機構34を構成する第1パイプ側係合部15およびフランジ14の第2パイプ側係合部16は、プレス成形やスエージング加工などの金属加工方法などにより形成することができる。
【0020】
上記連結機構34の構成において、弁支持部材30を管体12に取り付けるためには、
図4および
図5に示すように、弁支持部材30の弁支持本体31の下部から管体12の開口へ挿入し、そして、内側連結部35の爪35cが管体12の第1パイプ側係合部15に当たって、係合片35bが径内方へ撓み、爪35cが第1パイプ側係合部15を乗り越えて第1パイプ側係合部15に係合する。また、外側連結部36も、爪36cが管体12のフランジ14に当たって、係合片
36bが径外方へ撓み、爪
36cがフランジ14を乗り越えて第2パイプ側係合部16に係合する。
【0021】
(2)−2 シャッタ機構40
図3において、シャッタ機構40は、給油ノズルの挿入に連動して導入開口23aを開閉するための機構であり、カバー部材20に固定されている。シャッタ機構40は、シャッタ部材41と、シャッタ部材41の軸42を支持しカバー部材20に固定された軸受部45と、シャッタ部材41を閉じ方向に付勢するスプリング48とを備えている。このシャッタ機構40の構成により、シャッタ部材41が給油ノズルFNの先端で押されると、スプリング48の付勢力
に抗して、軸受部45に支持された軸42を中心に回動することにより、導入開口23aを開き、一方、給油ノズルFNを抜くことにより、スプリング48の付勢力で導入開口23aを閉じる。
【0022】
(2)−3 フラップ弁機構50
図7はフラップ弁機構50を示す断面図である。フラップ弁機構50は、弁支持部材30に設けた注入口30aを開閉する機構であり、注入口30aを開閉する開閉部材51と、開閉部材51と弁支持部材30とに設けられ開閉部材51を回転可能に支持する軸支機構54と、開閉部材51を閉じ方向に付勢するスプリング59と、撓み方向(給油ノズルの挿入方向)へ圧縮されることで注入口30aの開口周縁部のシート部33aと開閉部材51との間をシールするガスケットGSと、調圧弁60とを備えている。
【0023】
図8はフラップ弁機構50を分解した断面図、
図9はフラップ弁機構50の付近を分解した斜視図である。開閉部材51は、押圧部材52と、弁室形成部材53
とを備えている。押圧部材52は、給油ノズルにより押圧される上面部52aと、上面部52aの外周から突設された側壁部52bとを備え、下方に開放した皿状に形成されている。弁室形成部材53は、カップ形状であり、押圧部材52と接合されることで調圧弁60を収納する弁室51Sを形成している。弁室形成部材53の外周部には、フランジ53aが形成されている。ガスケットGSは、ゴム材料から形成されており、フランジ53aの内周側の上面と押圧部材52の外周開口周縁部との間で挟持されることで保持され、
図7に示すように、弁支持部材30のシート部33aとの間で圧縮されることで注入口30aをシールしている。
【0024】
図9において、軸支機構54は、開閉部材51の一端部に形成された軸部材55と、軸部材55を弁支持部材30(
図7)に対して回転可能に支持する軸受部56と、軸受部56で支持された軸部材55の回転を規制する回転規制機構58とを備えている。
軸部材55は、軸支持部55aと、軸体55bとを一対備えている。一対の軸支持部55aは、弁室形成部材53の端部から平行に突設されており、軸支持部55aの間がスペースになっている。軸体55bは、軸支持部55aから外方へそれぞれ突出している。軸受部56は、軸部材55を回動可能に支持する機構であり、上側軸支持体56aと、下側支軸体56bとを備えている。上側軸支持体56aは、弁支持部材30の注入口形成部材33の開口周縁部の下面から突設され、下方を開放した軸支孔56cを備えている。軸支孔56cは、軸部材55の軸体55bが挿入方向(上下方向)へ移動可能とする長穴に形成され、軸支孔56cで軸部材55の軸体55bを軸支持することにより、開閉部材51を回動可能に支持している。下側支軸体56bは、弁支持部材30の内壁に図示しない係合機構を介して装着されている。下側支軸体56bの上部には、軸受突起57dが形成されている。軸受突起57dは、軸支孔56cに突入することで、軸体55bの下面を支持している。
【0025】
回転規制機構58は、規制部58aと、被規制部58bとを備えている。規制部58aは、注入口形成部材33の下面から下向きに三角形に突設された楔であり、一対の上側軸支持体56aの内側に対向してそれぞれ配置されている。被規制部58bは、軸支持部55aの外周部の一部を三角形に切り欠くことにより形成されており、規制部58aが突入することにより、開閉部材51の回転を規制している。軸体55bは、ほぼ円状の外周部
を有しており、外周部
の一部に被規制部58bと連続する切欠きが形成されており、
規制部58aの先端を突入させるように形成されている。
スプリング59は、弦巻スプリングであり、そのコイル状の一端部が弁支持部材30(
図7)の内壁に支持され、他端部が開閉部材51の下部で支持されて、弦巻に巻かれた部分が軸部材55の軸支持部55aの間に配置されており、開閉部材51を閉じる方向に付勢している。
図7に示すように、スプリング59の他端部は、弁室形成部材53の中央下面のスプリング支持端53bで支持されている。スプリング支持端53bは、スプリング59の端部を滑り可能で支持しており、これにより、開閉部材51は、軸部材55を軸心として回動したときに、スプリング59によってその動きが規制されないように構成されている。
【0026】
図10および
図11はフラップ弁機構50の開閉動作を説明する説明図である。
図7の開閉部材51の閉じ状態にて、開閉部材51は、スプリング59に抗した挿入方向の力を受ける。この状態にて、スプリング59の付勢力は、開閉部材51を介して軸体55bに及んでいるから、軸体55bは、軸支孔56c内の上部である第1位置P1にある。第1位置P1では、軸体55bは
、軸支孔56cの長穴の上部に位置しているから、挿入方向(下方)への移動が許容されており、しかも、軸体55bは、回転規制機構58の規制部58aが被規制部58bに係合しているから、該軸体55bを中心とした回動が規制されている。
【0027】
図10に示すように、給油ノズルFNの先端が開閉部材51を押すと、開閉部材51は、スプリング59に抗した挿入方向の力を受ける。この状態にて、スプリング59の付勢力は、開閉部材51を介して軸体55bに及んでいるから、軸体55bは、軸支孔56c内の上部である第1位置P1にある。給油ノズルFNからの下方への力を受けた開閉部材51は、軸体55bとともに軸支孔56c内を下方へ移動する。これにより、規制部58aが被規制部58bから外れ、軸体55bは、軸支孔56cの下端に当たる第2位置P2まで移動する。そして、
図11に示すように、第2位置P2にて、給油ノズルFNにより押圧力を受けた開閉部材51は、軸体55bを中心に回転する。ここで、開閉部材51とガスケットGSとの関係において、第1位置P1は、開閉部材51がガスケットGSを撓ませる位置になり、第2位置P2は、開閉部材51がガスケットGSを撓ませ
ない位置になる。
【0028】
(3) 燃料タンクの開閉装置10の開閉動作
次に、燃料タンクの開閉装置10への給油ノズルFNによる給油動作について説明する。
(3)−1 開き動作
図1に示すように、給油蓋FLを開けると、給油室FR内に配置された燃料タンクの開閉装置10が表れる。
図12に示すように、給油ノズルFNを導入開口23aに挿入して、給油ノズルFNの先端がシャッタ部材41を押すと、シャッタ部材41は、軸受部45を中心にスプリング48の付勢力に抗して回動して、給油ノズルFNをフラップ弁機構50の開閉部材51に達するまで挿入する。そして、給油ノズルFNの先端が開閉部材51を押すと、
図7で説明した状態から、
図10の状態へ移行し、つまり、開閉部材51がスプリング59の付勢力に抗して、ガスケットGSがシート部33aからガスケットGSを配置した面と平行な姿勢を維持して第1位置P1から第2位置P2へ移行する。そして、
図11に示すように、第2位置
P2にて、給油ノズルFNにより押圧力を受けた開閉部材51は、軸体55bを中心に回転する。これにより、
図13に示すように給油ノズルFNがタンク側通路11Pbに挿入される。
【0029】
そして、
図14に示すように、給油ノズルFNがさらに燃料通路11Pに挿入されて、給油ノズルFNからタンク側通路11Pbに給油する。燃料が燃料タンクの満タン液位を越えてタンク側通路11Pb内を燃料が上昇する。そして、燃料が給油ノズルFNの先端付近の検知穴(図示省略)に入ると、給油ノズルFNのオートストップが作動して、給油が停止する。
【0030】
(3)−2 閉じ動作
燃料タンクの開閉装置10の閉じ動作は、上述した開き動作と逆の動作を行なう。すなわち、給油を終えて、給油ノズルFNを注入口30aから抜くと、
図11に示すように、開閉部材51がスプリング59の復元力により、閉じ方向へ回転しつつ軸部材55が軸支孔56c内を上方へ移動する。そして、軸部材55の軸支持部55aの外周部55cが規制部58aの下端に当たると、軸部材55の上方への移動が規制される。この状態にて、スプリング59の復元力により、開閉部材51が回転して、被規制部58bが規制部58aに達すると、外周部55cのほぼ円形状にならって被規制部58b
に規制部58a
が入り込むように、軸部材55が上方へ移動する。このとき、開閉部材51のフランジ53aがガスケットGSを圧縮する。そして、規制部58aが被規制部58bに完全に入った状態にて、開閉部材51は、注入口30aを閉じる。さらに、
図12に示すように、給油ノズルFNが抜かれると、シャッタ機構40のシャッタ部材41が軸受部45のスプリング48の復元力により回動して導入開口23aを閉じる。さらに、給油蓋FL(
図1)を閉じる。
【0031】
(4) 燃料タンクの開閉装置10の作用・効果
上記実施例にかかる燃料タンクの開閉装置10により、以下の作用効果を奏する。
(4)−1
図7、
図10および
図11に示すように、開閉部材51が注入口30aを開くときに、軸支機構54は、開閉部材51の軸体55bを長穴の軸支孔56c内で第1位置P1から第2位置P2にガイドしてから、第2位置P2にて開閉部材51を軸体55bを中心に回転させる。すなわち、第1位置P1にて、回転規制機構58は、規制部58aが被規制部58bに係合して、開閉部材51の回動を規制して、開閉部材51を、ガスケットGSが配置されている面に対して、平行の姿勢を維持しつつガスケットGSから離れる方向へ移動させる。また、開閉部材51が注入口30aを閉じるときに、回転規制機構58は、規制部58aが被規制部58bに係合していないから、第2位置P2にて開閉部材51を軸体55bを中心に回転させ、その回転動作を終えてから、第1位置P1に移行して、開閉部材51を、ガスケットGSが配置されている面に対して、平行の姿勢を維持しつつガスケットGSを圧縮する方向へ移動させる。
したがって、開閉部材51は、注入口30aを開閉するときに、ガスケットGSを撓ませる第1位置P1にて、ガスケットGSが配置されている面に対して、平行の姿勢を維持しつつガスケットGSを撓ませる方向へ移動し、ガスケットGSを全周にわたって均一に撓ませるから、高いシール性を得ることができる。
【0032】
(4)−2 フラップ弁機構50を小型にできるのは、以下の理由による。ガスケットGSは、粘性の高いゴムで型形成した場合に、ゴムが狭いキャビティ内に流れ難く、小径で細く形成することが難しい。このため、ガスケットは、ある程度の厚みを必要とする。このようなガスケットを用いて、開閉部材51を小型に構成した場合に、開閉部材51が軸を中心に回動したときに、ガスケットGSに対して大きな横方向への力が生じ易い。特に、開閉部材51の軸部材55の付近のガスケットの部分は、その横方向へ大きな力を受ける。
しかし、本実施例にかかる開閉部材51は、ガスケットGSを撓ませる第1位置P1にて、開閉部材51がガスケットGSに対して水平方向の姿勢を維持して圧縮し、横方向への力を加えない。よって、ガスケットGSは、小径であり、かつ該ガスケットGSを含む面に対して直角の方向(撓み方向)の力を開閉部材51から受けて撓んだときに最もシール力を発揮するように設計すると、全周にわたって均一な撓みを生じ、開閉部材51との間で高いシール性を確保することができる。
【0033】
(4)−3
図9に示すように、回転規制機構58の規制部58aは、先端が尖って形成され、一方、被規制部58bは開口が広く、規制部58aとの係合が進むにつれて狭くなっているから、第1位置P1と第2位置P2との移行をスムーズに行なうことができる。
【0034】
(4)−4
図4ないし
図6に示すように、連結機構34は、第1連結部34Fおよび第2連結部34Sを備えており、2箇所の連結部で弁支持部材30を管体12に連結する。第1連結部34Fの連結箇所は、管体12内にあり、一方、第2連結部34Sは、管体12の外側にある。したがって、第1連結部34Fの連結箇所は、管体12内にあり、管体12が外力に対する障壁となって保護されている。よって、燃料タンクの開閉装置10は、車両の衝突などによる大きな外力を受けた場合にも、弁支持部材30が管体12から外れ難く、燃料タンクに対する高いシール性を得ることができる。
【0035】
(4)−5 第1連結部34Fの連結箇所は、管体12に隠れているから、確実に係合しているか否かの確認を得にくいが、第2連結部34Sの連結箇所は、管体12の外側にあり、管体12の外側から見ることができる。よって、第2連結部34Sは、弁支持部材30を管体12に装着する際に、連結状態を確認することができ、不完全な連結状態となるのを回避できる。
【0036】
(4)−6 連結機構34の第1連結部34Fが連結を完了した後に、第2連結部34Sの連結が完了する。つまり、第2連結部34Sの連結の確認だけで、第1連結部34Fの連結が既に完了しているから、弁支持部材30を管体12へ装着する作業が一層簡単になる。
【0037】
(4)−7 連結機構34は、第1連結部34Fの連結が完了した後に、第2連結部34Sの連結が完了するように、内側連結部35は、外側連結部36より係合箇所の遊びを大きく設定している。このため、弁支持部材30が外力を受けたときに、第1連結部34Fの内側連結部35は、第2連結部34Sの外側連結部36の弾性変形した後に弾性変形し、つまり、急激に増加する負荷を直接受けないから、第1パイプ側係合部15から外れ難い。よって、燃料タンクの開閉装置10は、車両の衝突などによる大きな外力を受けた場合にも、弁支持部材30が管体12から外れ難く、燃料タンクに対する高いシール性を得ることができる。
【0038】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0039】
図15は他の実施例にかかる管体を弁支持部材に組み付ける前の状態を説明する説明図である。本実施例は、連結機構34Bの第1連結部34F−Bの構成に特徴を有する。すなわち、第1連結部34F−Bは、管体12Bの内壁に環状の第1パイプ側係合部15Bが突設されており、その一部に挿入用の切欠き15Baが形成され、また、第1パイプ側係合部15Bの下面にストッパ15Bbが形成されている。弁支持部材30Bを管体12Bに装着するには、内側連結部35Bを切欠き15Baに位置合わせし、弁支持部材30Bを管体12Bに軸方向に挿入する。これにより、第2連結部34S−Bが最初に係合することで弁支持部材30Bを管体12Bに連結する。その後、弁支持部材30Bを管体12Bに対して回転すると、第1連結部34F−Bの内側連結部35Bがストッパ15Bbに当たって停止する。これにより、2箇所の連結機構34Bの係合を介して、弁支持部材30Bが管体12Bに装着される。このように、連結機構34Bは、弁支持部材30Bを管体12Bに装着するのに、軸方向へ挿入する操作の他に、回転操作を加えることで連結する構成であってもよい。
【0040】
上記実施例において、
図9に示すように、回転規制機構58は、規制部58aを突起で形成し、被規制部58bを切欠きで構成したが、これに限らず、軸部材55の回転が規制されないように、規制部を切欠きで形成し、被規制部を突起で形成してもよい。
【0041】
上記実施例において、軸支機構54の軸部材55を軸支孔56c内で移動する力として、開閉部材51を開閉するスプリング59の付勢力を利用したが、これに限らず、別のスプリングを用いてよい。