(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンテナ装着部は、前記インクジェット式画像形成装置の装置本体に設けられ、前記コンテナ装着部には、前記ニードルと隣接する突起部が前記装置本体の仕様ごとに異なる位置に設けられ、
前記タグ固定部には、前記ニードル挿通部と隣接する切欠部が、前記装置本体の仕様に対応する前記インクコンテナごとに異なる位置に設けられ、
前記装置本体の仕様に対応する前記インクコンテナが前記コンテナ装着部に装着される場合にのみ、前記突起部と前記切欠部が係合することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット式画像形成装置。
前記パウチパックは、樹脂とアルミニウムが積層されたフィルム材を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット式画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パウチパックのフィルム材が導電層を含むインクコンテナの管理にRFIDを利用する場合に、コンテナケースに貼着されるRFIDタグとパウチパックの距離が近すぎると、パウチパックのフィルム材の導電層がRFIDタグとRFID検知基板の間の無線通信を阻害し、RFID検知基板がRFIDタグに格納された情報を読み出せなくなってしまう。
【0006】
一方で、RFIDタグとパウチパックの距離を十分に離すために、コンテナケースにおけるRFIDタグが貼着される部分とパウチパックを内包する部分との間に単純に隙間を設けると、輸送時の衝撃等によってパウチパックがコンテナケース内において振動しやすくなる。その結果、パウチパックとコンテナケースの固定部分にインクの重量等による負荷が集中して、パウチパックの破損が発生しかねない。
【0007】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、パウチパックのフィルム材が導電層を含むような場合であってもRFIDを確実に機能させ、且つ、輸送時の衝撃等によるパウチパックの破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェット式画像形成装置は、インクを収容するインクコンテナと、該インクコンテナが着脱されるコンテナ装着部と、を備え、前記インクコンテナに設けられたRFIDタグと前記コンテナ装着部に設けられたRFID検知基板との間で無線通信を行うように構成されたインクジェット式画像形成装置であって、前記インクコンテナは、インクが封入されるパウチパックと、該パウチパックを内包するコンテナケースと、を備え、前記パウチパックには、インクを吐出するための供給口が設けられ、前記コンテナケースは、前記パウチパックを保持し、前記供給口が固定されるパック保持部と、該パック保持部に隣接して設けられるタグ固定部と、を備え、該タグ固定部には、前記コンテナ装着部より差し込まれるニードルを挿通するためのニードル挿通部が設けられると共に、前記パック保持部と所定の間隔をおいて前記RFIDタグが固定されていることを特徴とする。
【0009】
このようにパック保持部とは所定の間隔をおいてRFIDタグがタグ固定部に固定されることで、パウチパックのフィルム材が導電層を含むような場合であってもRFIDを確実に機能させることが可能となる。また、パック保持部によってパウチパックを保持することで、輸送時の衝撃等によってパウチパックが振動するのを抑制することが可能となる。これに伴って、パウチパックに余計な負荷がかかりにくくなり、パウチパックにおけるコンテナケースとの固定部分の破損を防止することができる。
【0010】
前記タグ固定部は、箱型形状を成しており、前記供給口は、前記タグ固定部の内部に向かって開口されていても良い。
【0011】
このような構成を採用することで、供給口からインクが垂れたとしても、このインクがタグ固定部内に保持されることになり、インクコンテナにシャッターを設けることなく、インク漏れを防止することができる。そのため、インクコンテナの構成を簡易なものとすることができ、インクコンテナの製造コストを低廉化することが可能となる。
【0012】
前記コンテナ装着部は、前記インクジェット式画像形成装置の装置本体に設けられ、前記コンテナ装着部には、前記ニードルと隣接する突起部が前記装置本体の仕様ごとに異なる位置に設けられ、前記タグ固定部には、前記ニードル挿通部と隣接する切欠部が、前記装置本体の仕様に対応する前記インクコンテナごとに異なる位置に設けられ、前記装置本体の仕様に対応する前記インクコンテナが前記コンテナ装着部に装着される場合にのみ、前記突起部と前記切欠部が係合しても良い。
【0013】
このような構成を採用することで、突起部と切欠部を利用して、装置本体の仕様に対応するインクコンテナをコンテナ装着部に装着することをユーザーに促すことができる。
【0014】
前記インクコンテナ及び前記コンテナ装着部は、インクの色ごとに複数設けられ、前記コンテナ装着部には、前記ニードルと隣接する突起部が前記コンテナ装着部ごとに異なる位置に設けられ、前記タグ固定部には、前記ニードル挿通部と隣接する切欠部が、前記インクコンテナごとに異なる位置に設けられ、色の一致する前記コンテナ装着部に前記インクコンテナが装着される場合にのみ、前記突起部と前記切欠部が係合しても良い。
【0015】
このような構成を採用することで、突起部と切欠部を利用して、色の一致しないコンテナ装着部にインクコンテナが誤装着されるのを防止することが可能となる。
【0016】
前記パウチパックは、樹脂とアルミニウムが積層されたフィルム材を用いて形成されていても良い。
【0017】
このようにパウチパックのフィルム材がアルミニウムの層を有することで、パウチパックのガスバリア性を向上させることが可能となり、インクの保存性を高めることができる。
【0018】
前記ニードル挿通部は、前記タグ固定部の第1壁部に設けられ、前記RFIDタグは、前記タグ固定部の前記第1壁部と隣接する第2壁部に固定されていても良い。
【0019】
本発明のインクコンテナは、インクジェット式画像形成装置に設けられたコンテナ装着部に着脱されるように構成され、前記コンテナ装着部に設けられたRFID検知基板との間で無線通信を行うためのRFIDタグが設けられたインクコンテナであって、インクが封入されるパウチパックと、該パウチパックを内包するコンテナケースと、を備え、前記パウチパックには、インクを吐出するための供給口が設けられ、前記コンテナケースは、前記パウチパックを保持し、前記供給口が固定されるパック保持部と、該パック保持部に隣接して設けられるタグ固定部と、を備え、該タグ固定部には、前記コンテナ装着部より差し込まれるニードルを挿通するためのニードル挿通部が設けられると共に、前記パック保持部と所定の間隔をおいて前記RFIDタグが固定されていることを特徴とする。
【0020】
このようにパック保持部とは所定の間隔をおいてRFIDタグがタグ固定部に固定されることで、パウチパックのフィルム材が導電層を含むような場合であってもRFIDを確実に機能させることが可能となる。また、パック保持部によってパウチパックを保持することで、輸送時の衝撃等によってパウチパックが振動するのを抑制することが可能となる。これに伴って、パウチパックに余計な負荷がかかりにくくなり、パウチパックにおけるコンテナケースとの固定部分の破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パウチパックのフィルム材が導電層を含む場合であってもRFIDを確実に機能させ、輸送時の衝撃等によるパウチパックの破損を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、
図1を用いて、インクジェット式画像形成装置としてのインクジェット式カラープリンター1(以下、「プリンター1」と略称する。)の全体の構成について説明する。以下、
図1における紙面手前側を、プリンター1の正面側(前側)とする。
【0024】
プリンター1は、装置本体としての箱型形状のプリンター本体2を備えている。プリンター本体2の下部には用紙Pを収納する給紙カセット3が収容されている。
【0025】
プリンター本体2の右側部には、用紙Pの搬送路4が形成されている。搬送路4の下端部には給紙ローラー5が給紙カセット3の近傍に設けられ、給紙ローラー5の右方には、搬送ローラー6が設けられている。搬送路4の上端部にはレジストローラー7が設けられている。
【0026】
プリンター本体2の中央部には、昇降可能な搬送ユニット8が設けられている。搬送ユニット8は、搬送フレーム10と、搬送フレーム10の左上隅部に回転可能に支持される駆動ローラー11と、搬送フレーム10の右上隅部に回転可能に支持される従動ローラー12と、搬送フレーム10の中央下部に回転可能に支持されるテンションローラー13と、駆動ローラー11、従動ローラー12及びテンションローラー13に巻き掛けられる無端状の搬送ベルト14と、搬送ベルト14に囲まれるように配置される吸気ダクト15と、を備えている。
【0027】
搬送ベルト14の上面には、略水平な搬送面16が形成されている。搬送ベルト14には多数の吸気孔(図示せず)が設けられ、吸気ダクト15の上面にも多数の吸気孔(図示せず)が設けられている。吸気ダクト15は、吸引ポンプ等の吸引手段(図示せず)に接続されており、吸引手段を稼働させることで、搬送ベルト14の吸気孔及び吸気ダクト15の吸気孔を介して、搬送ベルト14の搬送面16側から吸気ダクト15側に空気を吸引できるようになっている。
【0028】
プリンター本体2の中央下部には、搬送ユニット8の下方に左右一対の昇降手段17が設けられている。昇降手段17は、回転軸18と、この回転軸18に支持されるカム20と、を備えている。各カム20は、駆動モーター等の駆動手段(図示せず)に接続されており、この駆動手段を稼働させることで各カム20が回転軸18を中心に回転し、各カム20の姿勢が起立姿勢(
図1の実線参照)と倒伏姿勢(
図1の二点鎖線参照)との間で切り替わるようになっている。各カム20は、起立姿勢を取ることで搬送フレーム10を持ち上げて搬送ユニット8を上昇させ、倒伏姿勢を取ることで搬送フレーム10への持ち上げを解除して搬送ユニット8を下降させるようになっている。
【0029】
プリンター本体2の中央部には、搬送ユニット8の上方に4セットの記録ヘッド21(21K、21C、21M、21Y)が並設されている。各記録ヘッド21は、用紙Pの搬送方向における上流側(本実施形態では右側)から順に、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色に対応している。以下、色を特定して説明する場合を除き、「K」、「C」、「M」、「Y」の記号は省略する。各記録ヘッド21には、搬送ベルト14の搬送面16と対向するようにして、ノズル(図示せず)が設けられている。
【0030】
プリンター本体2の上部には、4個のインクコンテナ22(22K、22C、22M、22Y)が並設されている。4個のインクコンテナ22は、インクの色ごとに設けられており、用紙Pの搬送方向における上流側(本実施形態では右側)から順に、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクを収容している。以下、色を特定して説明する場合を除き、インクコンテナ22について「K」、「C」、「M」、「Y」の記号は省略する(図面上も同様とする)。
【0031】
各インクコンテナ22は、サブコンテナ23を介して各記録ヘッド21に接続されており、各インクコンテナ22に収容されたインクが、サブコンテナ23に一旦貯留された後、各記録ヘッド21に供給されるようになっている。なお、サブコンテナ23は、記録ヘッド21及びインクコンテナ22と同様に、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色に対応して設けられているが、
図1では、ブラック(K)に対応するサブコンテナ23のみを表示し、その他の色に対応するサブコンテナ23については、記載が省略されている。
【0032】
プリンター本体2の左側部には、排出機構24が設けられている。排出機構24は、搬送ユニット8の左上方に設けられる乾燥装置25と、乾燥装置25の左方に設けられる排出ローラー26と、排出ローラー26の下方に設けられて排出口27を介してプリンター本体2の外部に突出する排紙トレイ28と、を備えている。
【0033】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
【0034】
プリンター1が外部コンピューター等から画像データを受信すると、給紙カセット3内に収納された用紙Pが、給紙ローラー5によって搬送路4へと送り出される。搬送路4に送り出された用紙Pは、搬送ローラー6によって搬送路4の下流側へと搬送され、レジストローラー7によって搬送路4から搬送ベルト14の搬送面16へと送り出される。
【0035】
搬送ベルト14の搬送面16へと送り出された用紙Pは、吸気ダクト15に接続された吸引手段(図示せず)の吸引力によって搬送ベルト14の搬送面16に吸着される。この搬送面16に吸着された用紙Pに対して、外部コンピューター等から受信した画像データの情報に基づいて各記録ヘッド21がインクを吐出する。これにより、カラーインク画像が用紙Pの表面に形成される。カラーインク画像を形成された用紙Pは、乾燥装置25によって表面のインクを乾燥された後、排出ローラー26によって排紙トレイ28上に排出される。
【0036】
次に、プリンター本体2の上部について、詳細に説明する。なお、
図2以降の各図に付される矢印Frは、プリンター1の正面側を示している。
【0037】
図2に示されるように、プリンター本体2の上部には、装着フレーム30が設けられている。装着フレーム30には、前後方向に延びる4個のコンテナ装着部32(32K、32C、32M、32Y)がインクの色ごとに設けられている。各コンテナ装着部32には、右側から順に、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクコンテナ22が前後方向に沿って着脱されるようになっている。なお、本実施形態では、プリンター1の前側が、インクコンテナ22のコンテナ装着部32への装着方向手前側であり、プリンター1の後側が、インクコンテナ22のコンテナ装着部32への装着方向奥側である。なお、
図2以降の各図に付される矢印Aは、インクコンテナ22の各コンテナ装着部32への装着方向を示している。以下、色を特定して説明する場合を除き、コンテナ装着部32について「K」、「C」、「M」、「Y」の記号は省略する(図面上も同様とする)。
【0038】
図2に示されるように、装着フレーム30の前部には、前後方向に延びる3個の仕切板33が左右に間隔をおいて設けられており、各仕切板33によって各コンテナ装着部32が仕切られている。左端のコンテナ装着部32(コンテナ装着部32Y)の左側には、仕切板33と同様の形状のガイド板34が設けられている。
【0039】
図3に示されるように、装着フレーム30の後面31には、各コンテナ装着部32と対応する位置に、ニードル35が前方に向かって突設されている。ニードル35は、内部にインクの供給路(図示せず)を備えた管状の部材であり、サブコンテナ23(
図1参照)と接続されている。ニードル35の先端側には、装着筒36が取り付けられている。装着筒36は、ニードル35の外周に固定される固定筒部37と、固定筒部37の外周に装着される可動筒部38と、を備えている。可動筒部38は、ニードル35の先端部40を露出させる位置(
図3の実線参照)とニードル35の先端部40を被覆する位置(
図3の二点鎖線参照)の間で前後方向に進退可能となっている。
【0040】
装着フレーム30の後面31には、各コンテナ装着部32と対応する位置に、突起部41が前方に向かって突設されている。突起部41は、ニードル35の右方にニードル35と隣接して設けられている。突起部41は、プリンター本体2の仕様ごとに異なる位置に設けられている。つまり、本実施形態のプリンター本体2とは異なる仕様のプリンター本体(図示せず)については、例えば、ニードル35の左方といった具合に、本実施形態のプリンター本体2とは異なる位置に突起部41が設けられている。
【0041】
装着フレーム30の後端部には、左右方向に長い上側フレーム42が、各コンテナ装着部32のニードル35及び突起部41の上方を覆うようにして設けられている。上側フレーム42の上面には、各コンテナ装着部32と対応する位置に、基板保持部43が設けられている。基板保持部43は、前後方向に延びる左右の側板44、45と、左側板44の前端部と右側板45の前端部の間に設けられるフック46と、左右の側板44、45の後端側に設けられる後板47と、を備えている。左側板44の内面(右面)と右側板45の内面(左面)には、前後方向に延びる突条48が設けられている。後板47の上端には、左右一対のリブ50が前方に向かって突設されている。
【0042】
基板保持部43には、RFID検知基板51が上側フレーム42から僅かに浮いた状態で保持されている。RFID検知基板51の下面の左右両端部は、基板保持部43の左右の側板44、45の突条48に載置されている。RFID検知基板51は、フック46によって前方への移動を規制され、後板47によって後方への移動を規制され、フック46と後板47のリブ50によって上方への移動を規制されている。
【0043】
次に、各インクコンテナ22について詳細に説明する。
【0044】
図2に示されるように、各インクコンテナ22は、コンテナケース52と、コンテナケース52に内包されるパウチパック53と、を備えている。なお、パウチパック53は、インクコンテナ22ごとに設けられているが、
図2では、右端のインクコンテナ22(インクコンテナ22K)のパウチパック53のみを点線で表示し、他のインクコンテナ22のパウチパック53については、記載を省略している。
【0045】
まず、コンテナケース52について説明する。コンテナケース52は、前後方向に長い形状を成している。コンテナケース52は、パック保持部54と、パック保持部54の後端部に連結されるタグ固定部55と、パック保持部54の前端部に連結されるレバー56と、を備えている。レバー56については説明を省略する。
【0046】
パック保持部54は、略直方体の箱型形状を成している。
図4(a)に示されるように、パック保持部54の後壁部57(装着方向奥側の壁部)の外周には、略矩形枠状の保持枠58が後方に向かって突設されている。保持枠58の上下方向中央には、保持枠58の右側部と左側部の間に、上下一対の保持板60、61が略水平に架設されている。各保持板60、61は、上下に重合されている。上側の保持板60の左右方向中央には、上方に向かって円弧状に湾曲する上側湾曲部62が設けられ、下側の保持板61の左右方向中央には、下方に向かって円弧状に湾曲する下側湾曲部63が設けられている。上側湾曲部62と下側湾曲部63の間には、スパウト挿通部64が設けられている。
【0047】
タグ固定部55は、パック保持部54の後側(装着方向奥側)に隣接して設けられている。
図4(b)に示されるように、タグ固定部55は、下側部65と、下側部65の右上方(図面上は左上方)を覆う第1上側部66と、下側部65の左上方(図面上は右上方)を覆う第2上側部67と、によって構成されており、全体として略直方体の箱型形状を成している。なお、
図4(a)、
図5(a)及び
図5(b)においては、パック保持部54の後壁部57の周辺をより分かり易く表示するために、タグ固定部55の第1上側部66及び第2上側部67の記載が省略されている。以下、便宜上、下側部65と各上側部66、67を区別せず、全体を一つのタグ固定部55として説明を行う。
【0048】
図4(b)に示されるように、タグ固定部55の第1壁部としての後側壁部68の中央には、丸穴状のニードル挿通部70が設けられている。タグ固定部55の後側壁部68には、ニードル挿通部70の右側(図面上は左側)に隣接して、横長矩形状の切欠部71が設けられている。切欠部71は、ニードル挿通部70と連続して設けられている。切欠部71は、プリンター本体2の仕様に対応するインクコンテナ22ごとに異なる位置に設けられている。つまり、本実施形態のプリンター本体2とは仕様の異なるプリンター本体2への装着が予定されるインクコンテナ(図示せず)には、例えば、ニードル挿通部70の左側といった具合に、本実施形態のインクコンテナ22とは異なる位置に切欠部71が設けられている。タグ固定部55の後側壁部68には、ニードル挿通部70の右上方、左上方、右下方、左下方のそれぞれに、計4個の円形の位置決め穴72が設けられている。
【0049】
タグ固定部55の第2壁部としての上側壁部73の後部には、パック保持部54とは前後方向に所定の間隔XをおいてRFIDタグ74が貼着によって固定されている。そして、インクコンテナ22をコンテナ装着部32に装着した状態でコンテナ装着部32のRFID検知基板51とRFIDタグ74が対向して、RFID検知基板51とRFIDタグ74の間で、無線通信を行うように構成されている。
【0050】
RFIDタグ74は、不揮発性のメモリーを備えており、このメモリーには、例えば、型番、製造年月日、シリアル番号、使用履歴、インクの色等のインクコンテナ22に関する情報が格納されている。そして、これらの情報が、RFID検知基板51によって読み出されて制御部(図示せず)に出力され、制御部において各種判定(例えば、インクコンテナ22が純正品であるか否かの判定やインクコンテナ22が未使用品であるか否かの判定)が行われるように構成されている。このように、本実施形態では、インクコンテナ22を管理するための検知手段として、RFIDを用いている。
【0051】
タグ固定部55の上側壁部73の前端部には、左右一対の係合片75が前方に向かって突設されている。各係合片75は、パック保持部54の保持枠58の上部に係合している。
【0052】
図4(a)に示されるように、タグ固定部55の内部空間の後部には、ニードル挿通部70の左右両側に2個ずつ、計4個の補強板76が、左右に間隔をおいて設けられている。各補強板76は、タグ固定部55の後側壁部68及び下側壁部77と一体に形成されている。タグ固定部55の前側壁部78の中央には、円形(図面上は下側の半円部分のみを表示)のスパウト装着穴80が設けられている。
【0053】
次にパウチパック53について説明する。パウチパック53は、袋状を成している。パウチパック53には、インクが真空状態で封入されている。パウチパック53は、柔軟性(可撓性)を有するフィルム材によって形成されている。このフィルム材は、樹脂とアルミニウムが積層されることで形成されている。一例として、表面側から順に、ポリエステル(PET)、アルミニウム(AL)、ナイロン(PA)、低密度ポリエチレン(LLDPE)が積層される。表面層をポリエステルとすることで、パウチパック53の外観と強度を向上させることができる。アルミニウムの層を形成することで、パウチパック53のガスバリア性を向上させることが可能となり、インクの保存性を高めることができる。つまり、本実施形態では、バリア材としてアルミニウムを用いている。ナイロンの層を形成することで、パウチパック53の機械的強度及び耐衝撃性を向上させることができる。裏面層を低密度ポリエチレンとすることで、溶着によってフィルム材を袋状にする際の溶着強度を高めて、シール性を向上させることができる。
【0054】
パウチパック53は、コンテナケース52のパック保持部54に保持されている。パウチパック53の後端部(装着方向奥側の端部)には、供給口としての円筒状のスパウト81(
図4(a)参照)が溶着されており、このスパウト81を介してパウチパック53内に収容されたインクを吐出できるようになっている。
【0055】
図4(a)に示されるように、スパウト81は、パック保持部54の後壁部57に固定されている。スパウト81は、パック保持部54のスパウト挿通部64に挿通されるとともに、タグ固定部55のスパウト装着穴80に挿通されており、タグ固定部55の内部に向かって開口されている。スパウト81の外周には前後に間隔をおいて前側鍔部82と後側鍔部83が設けられている。前側鍔部82は、パック保持部54のスパウト挿通部64よりも後側且つタグ固定部55のスパウト装着穴80よりも前側に位置し、後側鍔部83は、タグ固定部55のスパウト装着穴80よりも後側に位置している。
【0056】
このように構成されたものにおいて、インクコンテナ22がコンテナ装着部32に装着される前の状態では、
図3に示されるように、ニードル35の先端部40が装着筒36の可動筒部38によって被覆されている。この状態から、インクコンテナ22をコンテナ装着部32に前側から装着していくと、
図5(a)に示されるように、インクコンテナ22のスパウト81がコンテナ装着部32のニードル35に接近していく。インクコンテナ22を更に装着していくと、コンテナ装着部32のニードル35及び装着筒36がインクコンテナ22のタグ固定部55の後側壁部68に設けられたニードル挿通部70に挿通される。
【0057】
インクコンテナ22を更に装着していき、インクコンテナ22のコンテナ装着部32への装着が完了すると、
図5(b)に示されるように、インクコンテナ22のタグ固定部55の前側壁部78によって装着筒36の可動筒部38が後方に押圧される。この押圧により、可動筒部38が固定筒部37に対して後退し、ニードル35の先端部40が露出すると共に、この露出したニードル35の先端部40が、コンテナ装着部32よりインクコンテナ22のスパウト81に差し込まれる。これにより、パウチパック53内のインクをサブコンテナ23(
図1参照)にニードル35を介して供給することが可能となる。なお、インクコンテナ22をコンテナ装着部32から取り外すと、付勢手段(図示せず)の付勢力によってニードル35の先端部40を被覆する位置まで装着筒36の可動筒部38が固定筒部37に対して前進する。
【0058】
また、前記のようにインクコンテナ22のコンテナ装着部32への装着が完了すると、インクコンテナ22のRFIDタグ74がコンテナ装着部32のRFID検知基板51の下方まで移動し、RFIDタグ74とRFID検知基板51が対向する。これにより、RFIDタグ74のメモリーに格納された情報をRFID検知基板51によって読み出すことが可能となる。
【0059】
本実施形態では
図4(b)に示されるように、パック保持部54とは前後方向に所定の間隔XをおいてRFIDタグ74がタグ固定部55に固定されている。そのため、パウチパック53のフィルム材が導電層(本実施形態ではアルミニウムの層)を含んでいても、RFIDを確実に機能させることが可能となる。
【0060】
また、インクコンテナ22のパック保持部54によってパウチパック53を保持することで、輸送時の衝撃等によってパウチパック53がコンテナケース52内において前後方向に振動するのを抑制することが可能となる。これに伴ってパウチパック53に余計な負荷がかかりにくくなり、パウチパック53におけるコンテナケース52との固定部分(例えば、スパウト81の周辺部分)の破損を防止することができる。また、上記のようにパウチパック53の振動を抑制することで、パウチパック53だけでなくコンテナケース52に対する負荷も軽減することができる。
【0061】
また、本実施形態のプリンター1において、プリンター本体2の仕様に対応するインクコンテナ22がコンテナ装着部32に装着される場合には、
図5(b)に示されるように、コンテナ装着部32の突起部41とインクコンテナ22の切欠部71の位置が一致し、突起部41と切欠部71が係合する。これに対して、プリンター本体2の仕様に対応しないインクコンテナ22がコンテナ装着部32に装着される場合には、突起部41と切欠部71の位置が一致せず、突起部41とインクコンテナ22のタグ固定部55の後側壁部68が干渉する。このような構成により、プリンター本体2の仕様に対応するインクコンテナ22をコンテナ装着部32に装着することをユーザーに促すことができる。そのため、各プリンター本体2の印刷品質、印刷速度、用途等に基づいて最適のインクを用いて画像形成動作を行うことが可能になる。
【0062】
また、本実施形態では、箱型形状のタグ固定部55に向かってスパウト81が開口されているため、スパウト81からインクが垂れたとしても、このインクがタグ固定部55内に保持されることになり、インクコンテナ22にシャッターを設けることなく、インク漏れを防止することができる。そのため、インクコンテナ22の構成を簡易なものとすることができ、インクコンテナ22の製造コストを低廉化することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、インクコンテナ22が省スペースでシンプルな形状となっているため、インクコンテナ22自体を小型化しつつ、パウチパック53の容量は十分に確保することが可能となる。
【0064】
本実施形態では、タグ固定部55を箱型形状としたが、他の異なる実施形態では、タグ固定部55を平板状等としても良い。
【0065】
本実施形態では、プリンター本体2の仕様に対応するインクコンテナ22がコンテナ装着部32に装着される場合にのみ、コンテナ装着部32の突起部41とインクコンテナ22の切欠部71が係合する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、色の一致するコンテナ装着部32にインクコンテナ22が装着される場合にのみ、コンテナ装着部32の突起部41とインクコンテナ22の切欠部71が係合するように構成しても良い。この場合には、例えば、ニードル35と隣接する突起部41をコンテナ装着部32ごとに異なる位置に設け、ニードル挿通部70と隣接する切欠部71をインクコンテナ22ごとに異なる位置に設ければ良い。また、他の異なる実施形態では、突起部41や切欠部71を利用して、正規の仕向地のインクコンテナ22をコンテナ装着部32に装着することをユーザーに促しても良い。
【0066】
本実施形態では、パウチパック53の後端部(装着方向奥側の端部)に供給口としてのスパウト81が設けられる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば、パウチパック53の前端部(装着方向手前側の端部)や上下両側部や左右両側部にスパウト81が設けられていても良い。
【0067】
本実施形態では、パック保持部54の後壁部57(装着方向奥側の壁部)に供給口としてのスパウト81が固定される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、パック保持部54の前壁部(装着方向手前側の壁部)や上下両壁部や左右両壁部に供給口としてのスパウト81が固定されていても良い。
【0068】
本実施形態では、パック保持部54の後側(装着方向奥側)にタグ固定部55が隣接して設けられる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、パック保持部54の前側(装着方向手前側)や上下両側や左右両側にタグ固定部55が隣接して設けられていても良い。
【0069】
本実施形態では、タグ固定部55の後側壁部68(装着方向奥側の壁部)にニードル挿通部70や切欠部71が設けられる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、タグ固定部55の前側壁部(装着方向手前側の壁部)や上下両側壁部や左右両側壁部にニードル挿通部70や切欠部71が設けられていても良い。本実施形態では、タグ固定部55の上側壁部73(装着方向奥側の壁部と隣接する壁部)にRFIDタグ74が固定される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、タグ固定部55の下側壁部や前後両側壁部や左右両側壁部にRFIDタグ74が固定されても良い。
【0070】
本実施形態では、インクジェット式画像形成装置としてのプリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の異なるインクジェット式画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。