特許第5764544号(P5764544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764544
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】自動原稿搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20150730BHJP
   B65H 9/14 20060101ALI20150730BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20150730BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   B65H3/06 350A
   B65H9/14
   H04N1/00 108M
   H04N1/12 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-247353(P2012-247353)
(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-94808(P2014-94808A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2013年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−026368(JP,A)
【文献】 特開2012−116659(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0119436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00 − 3/68
B65H 9/14
H04N 1/00
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される給紙トレイと、
前記給紙トレイに載置された原稿を1枚ずつ給紙する給紙手段と、
前記給紙手段により給紙される原稿を原稿読取部の手前位置へと送り込むレジストローラと、
前記原稿読取部の手前位置に達した原稿をその原稿読取部に通して排出する搬送手段と、
搬送される原稿の長さを前記レジストローラの手前位置で検知するためのレングスセンサと、
前記給紙手段から給紙される原稿が前記レジストローラの手前位置に達しているかを検知するレジストセンサと、
前記レジストローラにより搬送される原稿の先端が前記原稿読取部の手前位置に達しているかを検知する読取前センサと、
前記レングスセンサによる原稿検知がオンからオフに変化してから、前記原稿読取部の読取速度と前記給紙手段による給紙速度との差を考慮した一定時間が経過したとき、前記給紙手段による次の原稿の給紙を開始する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
原稿が載置される給紙トレイと、
前記給紙トレイに載置された原稿を1枚ずつ給紙する給紙手段と、
前記給紙手段により給紙される原稿を原稿読取部の手前位置へと送り込むレジストローラと、
前記原稿読取部の手前位置に達した原稿をその原稿読取部に通して排出する搬送手段と、
前記原稿読取部が読取りを開始してから、前記原稿読取部の読取速度と前記給紙手段による給紙速度との差を考慮した一定時間が経過したとき、前記給紙手段による次の原稿の給紙を開始する制御手段と、
を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記給紙手段は、
前記給紙トレイに載置された原稿を1枚ずつピックアップするピックアップローラと、
前記ピックアップローラによりピックアップされる原稿を前記レジストローラに向け搬送する給紙ローラと、
これらピックアップローラおよび給紙ローラを駆動する給紙モータと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記給紙手段は、
前記給紙モータの正転時の動力を前記ピックアップローラおよび前記給紙ローラに伝えて、前記給紙モータの反転時の動力を前記ピックアップローラおよび前記給紙ローラに伝えない第1ワンウェイクラッチと、
前記給紙モータの反転時の動力を前記レジストローラに伝えて、前記給紙モータの転時の動力を前記レジストローラに伝えない第2ワンウェイクラッチと、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、
前記原稿読取部の手前位置に達した原稿を前記原稿読取部に向け搬送する読取前ローラと、
前記原稿読取部を経た原稿を排出部に向け搬送する読取後ローラと、
これら読取前ローラおよび読取後ローラを駆動するリードモータと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に搭載される自動原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction printer)等の画像形成装置に搭載される自動原稿搬送装置は、給紙トレイに載置される原稿を1枚ずつピックアップしてレジストローラへ供給し、レジストローラに達した原稿を原稿読取部の手前位置へ搬送し、その原稿読取部の手前位置に達した原稿をMFP本体の原稿読取部に通して排出口へと搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−248783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近のMFPの画像形成速度の向上に伴い、原稿を給紙してから次の原稿を給紙するまでの時間間隔の短縮が強く望まれている。
【0005】
実施形態の目的は、給紙の時間間隔を短縮できる自動原稿搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の自動原稿搬送装置は、原稿が載置される給紙トレイと、この給紙トレイに載置された原稿を1枚ずつ給紙する給紙手段と、この給紙手段により給紙される原稿を原稿読取部の手前位置へと送り込むレジストローラと、前記原稿読取部の手前位置に達した原稿をその原稿読取部に通して排出する搬送手段と、搬送される原稿の長さを前記レジストローラの手前位置で検知するためのレングスセンサと、前記給紙手段から給紙される原稿が前記レジストローラの手前位置に達しているかを検知するレジストセンサと、前記レジストローラにより搬送される原稿の先端が前記原稿読取部の手前位置に達しているかを検知する読取前センサと、前記レングスセンサによる原稿検知がオンからオフに変化してから、前記原稿読取部の読取速度と前記給紙手段による給紙速度との差を考慮した一定時間が経過したとき、前記給紙手段による次の原稿の給紙を開始する制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に関わるMFPの外観を示す斜視図。
図2】一実施形態に関わるMFPの制御回路のブロック図。
図3】一実施形態の構成を断面して示す図。
図4】一実施形態の給紙手段およびレジストローラの構成を示す斜視図。
図5】一実施形態の中途部以降の搬送手段の構成を示す斜視図。
図6】一実施形態のCPUが実行する制御を示すフローチャート。
図7】一実施形態の動作を示すタイムチャート。
図8】一実施形態の読取前搬送を示す図。
図9】一実施形態の読取&読取後搬送と次の給紙を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1において、1は複合型のディジタル複写機いわゆるMFP(Multifunction printer)で、コピー機能、スキャン機能、プリント機能など複数の機能を併せ持つ。このMFP1は、上部の原稿台を覆う位置に、自動原稿搬送装置(ADF)2を開閉自在に備える。また、MFP1は、ディスプレイおよび各種キーからなる操作パネル3を前面側に備え、互いに異なるサイズの用紙が収容された複数の給紙カセット4を下部に備える。
【0009】
MFP1の制御回路を図2に示す。制御の中枢となるCPU10に、ROM11、RAM12、ハードディスクドライブ(HDD)13、ネットワークインタフェース14、自動原稿搬送装置2、操作パネル3、スキャナ部15、プリント部16が接続される。ROM11は、MFP1の制御に必要な各種制御プログラムを記憶する。RAM12は、各種データを記憶する。ネットワークインタフェース14は、LAN等の通信ネットワークに接続される。スキャナ部15は、原稿台に載置される原稿の画像および自動原稿搬送装置2から給紙される原稿の画像を光学的に読取る。プリント部16は、スキャナ部15の読取り画像やネットワークインタフェース14を介して入力される画像を給紙カセット4から供給される用紙にプリントする。
【0010】
自動原稿搬送装置2は、制御部としてCPU20を有するとともに、図3に示すようにMFP1の原稿台5および原稿読取部6の上に配置される。原稿台5は透明のガラス板で形成され、原稿読取部6は透明のガラス窓で形成され、これら原稿台5および原稿読取部6の下面側にスキャナ部15の光学系が配置される。
【0011】
図3において、21は給紙トレイで、複数枚の原稿D1,D2…を載置することができる。この給紙トレイ21の最奥に、ピックアップローラ22が配置される。ピックアップローラ22は、下降して原稿D1,D2…に当接しかつ回動することにより、原稿D1,D2…を1枚ずつピックアップする。ピックアップされた原稿D1は、給紙ローラ23aとそれに接する従動ローラ23bとの間に進入し、その給紙ローラ23aの回転を受けてレジストローラ24aへ送られる。
原稿D1をピックアップしてレジストローラ24aへ搬送することを、給紙という。
レジストローラ24aは、給紙ローラ23aから給紙される原稿D1の先端を従動ローラ24bと共に一旦受け止め、MFP1のスキャン動作等を考慮した所定のタイミングで、原稿D1の先端を原稿読取部6の手前位置へと送り込む。このレジストローラ24aによる原稿D1の搬送に際しては、レジストローラ24aから原稿読取部6に至る湾曲状の搬送路に配置された中間搬送ローラ25aおよび読取前ローラ26aも連係して動作する。中間搬送ローラ25aには従動ローラ25bが接し、読取前ローラ26aには従動ローラ26bが接している。
原稿D1をレジストローラ24aから原稿読取部6の手前位置へと搬送することを、読取前搬送という。レジストローラ24aから読取前ローラ26aにかけての搬送路の長さLは、最小原稿サイズである例えば葉書などのレターサイズと同じ長さ、またはそれ以上の長さに設定される。
【0012】
原稿読取部6の手前位置に達した原稿D1は、所定のタイミング(MFP1からの読取開始指示)で、中間搬送ローラ25aおよび読取前ローラ26aの回転を受けて原稿読取部6に送られ、原稿読取部6のガラス面に接しながらその原稿読取部6を通過する。このとき、原稿D1上の画像が、スキャナ部15により、原稿読取部6を通して光学的に読取られる。
【0013】
この搬送に伴い、レジストローラ24aとその従動ローラ24bとの間に存している原稿D1の後端部がその両ローラ間から抜き取られる。原稿読取部6を経た原稿D1は、中間搬送ローラ25aおよび読取前ローラ26aの回転による後押しを受け、さらに原稿読取部6の下流側に配置されている読取後ローラ27aの回転による引込みを受けながら、排紙ローラ28aが配置された排出口へ送られる。読取後ローラ27aには従動ローラ27bが接し、排紙ローラ28aには従動ローラ28bが接している。排出口は排紙トレイ29に通じている。
原稿読取部6の手前位置に達した原稿D1を原稿読取部6に通して排出することを、読取&読取後搬送という。
【0014】
なお、排出口には、両面読取り時に原稿D1を反転させるための反転フラッパ30および反転トレイ31が配置される。この反転フラッパ30および反転トレイ31によって反転される原稿D1は、排紙ローラ28aから中間搬送ローラ25aに至る搬送路、およびその搬送路上に配置されている反転フラッパ32および反転レジストローラ33aにより、再び原稿読取部6へと送られる。反転レジストローラ33aには従動ローラ33bが接している。
【0015】
給紙トレイ21の近傍に、エンプティセンサ41が配置される。給紙ローラ23aとレジストローラ24aとの間の搬送路に、レングスセンサ42およびレジストセンサ43が配置される。読取前ローラ26aと原稿読取部6との間に、読取前センサ44が配置される。
【0016】
給紙トレイ21の近傍に、その給紙トレイ21に原稿D1,D2…が載置されているか否かを検知するエンプティセンサ41が配置される。給紙ローラ23aとレジストローラ24aとの間の搬送路に、原稿D1,D2…の搬送方向に沿う長さを検知するためのレングスセンサ42が配置されるとともに、原稿D1,D2…がレジストローラ24aに到達したか否かを検知するレジストセンサ43が配置される。読取前ローラ26aと原稿読取部6との間には、原稿D1,D2…が原稿読取部6の手前位置に到達したか否かを検知する読取前センサ44が配置される。
【0017】
レングスセンサ42とレジストセンサ43の互いの位置関係は、原稿D1,D2…の搬送方向において、レングスセンサ42の位置がレジストセンサ43の位置より手前である。これらセンサ41,42,43,44は、原稿D1,D2…を検知しているときオン信号を出力し、原稿D1,D2…を検知していないときオフ信号を出力する。以下、オン信号を出力することをオンといい、オフ信号を出力することをオフという。
【0018】
ピックアップローラ22、給紙ローラ23a、従動ローラ23bを含む給紙手段、およびレジストローラ24aとその従動ローラ24bの構成を図4に示す。
【0019】
すなわち、給紙モータ50の回転軸にローラ51が取付けられ、そのローラ51が環状のベルト52を介して第1ワンウェイクラッチ53および第2ワンウェイクラッチ54に係合される。第1ワンウェイクラッチ53は給紙ローラ23aの回転軸55に連結され、その回転軸55に環状のベルト56を介してピックアップローラ22の回転軸が係合される。第2ワンウェイクラッチ54は、複数のレジストローラ24aの回転軸57に連結される。
【0020】
第1ワンウェイクラッチ53は、給紙モータ50が正転動作してベルト52が実線矢印の方向に回転するとき、その回転力(給紙モータ50の動力)を回転軸55に伝え、給紙モータ50が逆転動作してベルト52が破線矢印の方向に回転するときには、その回転力を回転軸55に伝えない。したがって、給紙モータ50の正転動作するときのみ、その動力が第1ワンウェイクラッチ53および回転軸55を介して給紙ローラ23aに伝わり、給紙ローラ23aが矢印方向に回転して原稿D1の給紙を行う。また、このときの給紙ローラ23aの回転がベルト56を介してピックアップローラ22に伝わり、ピックアップローラ22が矢印方向に回転して原稿D1をピックアップする。
【0021】
第2ワンウェイクラッチ54は、給紙モータ50が正転動作してベルト52が実線矢印の方向に回転するときに、その回転力(給紙モータ50の動力)を回転軸57に伝えず、給紙モータ50が逆転動作してベルト52が破線矢印の方向に回転するとき、その回転力を回転軸57に伝える。したがって、給紙モータ50の逆転動作するときのみ、その動力が第2ワンウェイクラッチ54および回転軸57を介してレジストローラ24aに伝わり、レジストローラ24aが破線矢印の方向に回転して原稿D1の送り込みを行う。
【0022】
また、中間搬送ローラ25a、従動ローラ25b、読取前ローラ26a、従動ローラ26b、読取後ローラ27a、従動ローラ27b、反転レジストローラ33a、従動ローラ33bを含む中途部以降の搬送手段の構成を図5に示す。
【0023】
すなわち、リードモータ60の回転軸にローラ61が取付けられ、そのローラ61に環状のベルト62を介してローラ63,64が係合される。さらに、ローラ63に環状のベルト65を介してローラ66,67が係合される。そして、ローラ66に中間搬送ローラ25aの回転軸71が係合され、ローラ67に読取前ローラ26aの回転軸72が係合される。ローラ63には反転レジストローラ33aの回転軸73が係合され、ローラ64には読取後ローラ27aの回転軸74が係合される。リードモータ60が動作すると、中間搬送ローラ25a、読取前ローラ26a、反転レジストローラ33a、読取後ローラ27aがそれぞれ矢印方向に回転し、原稿D1の搬送が行われる。
【0024】
そして、自動原稿搬送装置2のCPU20は、主要な機能として、次の(1)の手段を有する。
(1)原稿読取部6の手前位置に達した原稿D1をその原稿読取部6に通して排出口へと搬送する最中(読取&読取後搬送中)に、その原稿D1の後端がレジストローラ24aを通過する前に、給紙手段による次の原稿D2の給紙を開始する制御手段。原稿D1の後端がレジストローラ24aを通過する前というのは、具体的には、レングスセンサ42がオンからオフに変化したとき(レングスセンサ42による原稿検知がオンからオフに変化したとき)、または原稿読取部6が読取りを開始したとき、またはこれらいずれかのタイミングから一定時間が経過したときである。
【0025】
つぎに、自動原稿搬送装置2のCPU20が実行する制御を図6のフローチャートおよび図7のタイムチャートを参照しながら説明する。
給紙トレイ21に原稿D1,D2…が載置されると、エンプティセンサ41がオンする(ステップ101のYES)。この状態で操作パネル3のスタート釦がオンされると(ステップ102のYES)、CPU20は、ピックアップローラ22を下降させるとともに給紙モータ50を正転動作させる(ステップ103)。給紙モータ50が正転動作すると、ピックアップローラ22および給紙ローラ23aが回転し、給紙トレイ21上の原稿D1が1枚だけピックアップされてレジストローラ24aに向け給紙される。
【0026】
給紙された原稿D1がレジストローラ24aに達すると、レジストセンサ43がオンする(ステップ104のYES)。CPU20は、レジストセンサ43のオンに基づく所定のタイミングで、原稿D1の先端を原稿読取部6の手前位置へと搬送する読取前搬送、および原稿読取部6の手前位置に存する原稿D1を原稿読取部6に通して排出口へと搬送する読取&読取後搬送の処理を実行する(ステップ105)。
【0027】
すなわち、読取前搬送の処理では、給紙モータ50を逆転動作させてレジストローラ24aを回転し、続いてリードモータ60を動作させて中間搬送ローラ25aおよび読取前ローラ26aを回転し、図8に示すように、原稿D1の先端を原稿読取部6の手前位置へと搬送する。
【0028】
読取&読取後搬送の処理では、原稿D1の先端が原稿読取部6の手前位置に達して読取前センサ44がオンしたとき、給紙モータ50およびリードモータ60の動作を停止する。そして、MFP1からの読取開始指示を待ち、その読取開始指示を受けると、リードモータ60をスキャナ部15の解像度やプリント倍率などに応じた所定の読取速度で動作させて中間搬送ローラ25a、読取前ローラ26a、読取後ローラ27aを回転し、図9に示すように、原稿読取部6の手前位置に存している原稿D1を原稿読取部6に通して排出口へと搬送する。この搬送に伴い、レジストローラ24aとその従動ローラ24bとの間に存していた原稿D1の後端部がその両ローラ間から抜き取られる。レジストローラ24aおよび従動ローラ24bはこの抜き取りを受けて従属的に回転する。排出口へ搬送された原稿D1は、排紙ローラ28aにより排紙トレイ29へと排出される。
【0029】
一方、CPU20は、読取前搬送の開始に伴い、レングスセンサ42の状態を監視する(ステップ106)。そして、CPU20は、レングスセンサ42がオンからオフに変化したとき、または原稿読取部6が原稿D1の読取りを開始したとき、またはこれらいずれかのタイミングから一定時間が経過したとき、エンプティセンサ41の状態つまり給紙トレイ21上の原稿の有無を確認する(ステップ107)。
【0030】
CPU20は、エンプティセンサ41がオンで、給紙トレイ21上にまだ原稿が存在していれば(ステップ107のNO)、ステップ103に戻って図9のように次の原稿D2の給紙を開始する。エンプティセンサ41がオフで、給紙トレイ21上に原稿がなければ(ステップ107のYES)、処理を終了する。
【0031】
先行の原稿D1の読取速度が後続の原稿D2の給紙速度より遅い場合、原稿D2が原稿D1に追いついてジャムが発生するおそれがある。このような状況では、上記一定時間を確保し、その一定時間を読取速度と給紙速度との差を考慮した値に設定することにより、最適な給紙タイミングを設定できて、ジャムを防ぐことができる。
【0032】
以上のように、先行する原稿D1の読取&読取後搬送を行っているとき、その原稿D1の後端がレジストローラ24aを抜ける前に次の原稿D2の給紙を開始することにより、原稿D1の給紙から次の原稿D2の給紙までの時間間隔を短縮できる。MFP1の画像形成が速くても、それに遅れることなく適切な給紙を行うことができる。
【0033】
また、ピックアップローラ22および給紙ローラ23aの駆動を給紙モータ50の正転動作により実行し、レジストローラ24aの駆動を同じ給紙モータ50の逆転動作により実行するので、駆動用のモータの個数を減らすことができる。これにより、コストの低減が図れる。
【0034】
なお、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]原稿が載置される給紙トレイと、前記給紙トレイに載置された原稿を1枚ずつ給紙する給紙手段と、前記給紙手段により給紙される原稿を原稿読取部の手前位置へと送り込むレジストローラと、前記原稿読取部の手前位置に達した原稿をその原稿読取部に通して排出する搬送手段と、前記搬送手段により搬送中の原稿の後端が前記レジストローラを通過する前に、前記給紙手段による次の原稿の給紙を開始する制御手段と、を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
[2]前記給紙手段は、前記給紙トレイに載置された原稿を1枚ずつピックアップするピックアップローラと、前記ピックアップローラによりピックアップされる原稿を前記レジストローラに向け搬送する給紙ローラと、これらピックアップローラおよび給紙ローラを駆動する給紙モータと、を含む、ことを特徴とする付記[1]に記載の自動原稿搬送装置。
[3]前記給紙手段は、前記給紙モータの正転時の動力を前記ピックアップローラおよび前記給紙ローラに伝えて、前記給紙モータの反転時の動力を前記ピックアップローラおよび前記給紙ローラに伝えない第1ワンウェイクラッチと、前記給紙モータの反転時の動力を前記レジストローラに伝えて、前記給紙モータの反転時の動力を前記レジストローラに伝えない第2ワンウェイクラッチと、をさらに含む、ことを特徴とする付記[2]に記載の自動原稿搬送装置。
[4]前記搬送手段は、前記原稿読取部の手前位置に達した原稿を前記原稿読取部に向け搬送する読取前ローラと、前記原稿読取部を経た原稿を前記排出部に向け搬送する読取後ローラと、これら読取前ローラおよび読取後ローラを駆動するリードモータと、を含む、ことを特徴とする付記[1]乃至付記[3]のいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
[5]搬送される原稿の長さを前記レジストローラの手前位置で検知するためのレングスセンサと、前記給紙手段から給紙される原稿が前記レジストローラの手前位置に達しているかを検知するレジストセンサと、前記レジストローラにより搬送される原稿の先端が前記原稿読取部の手前位置に達しているかを検知する読取前センサと、をさらに備え、前記制御手段は、前記レングスセンサによる原稿検知がオンからオフに変化したとき、または前記原稿読取部が読取りを開始したとき、またはこれらいずれかのタイミングから一定時間が経過したとき、前記給紙手段による次の原稿の給紙を開始する、ことを特徴とする付記[1]乃至付記[4]のいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
【符号の説明】
【0035】
1…MFP、2…自動原稿搬送装置、3…操作パネル、4…給紙カセット、5…原稿台、6…原稿読取部、20…CPU、21…給紙トレイ、22…ピックアップローラ、23a…給紙ローラ、24a…レジストローラ、25a…中間搬送ローラ、26a…読取前ローラ、27a…読取後ローラ、28a…排紙ローラ、29…排紙トレイ、41…エンプティセンサ、42…レングスセンサ、43…レジストセンサ、44…読取前センサ、50…給紙モータ、53…第1ワンウェイクラッチ、54…第2第1ワンウェイクラッチ、60…リードモータ
図1
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図9