【実施例】
【0118】
実施例1 7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、L−酒石酸塩の調製
ステップA:メタノール(1L)中の3−メトキシベンズアルデヒド(180g、1.32mol)溶液に、メチルアミンの40%水溶液(113mL、1.31mol)を添加し、続いて1時間、0℃で攪拌した。ホウ化水素ナトリウム(75g、1.98mol)を、0℃で何度かに分けて添加し、反応混合液を1時間攪拌した。溶液を少量に濃縮し、次に、水(200mL)で希釈して、得られる溶液を塩化メチレン(3x500mL)で抽出した。複合有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮し、粗N−メチルベンジルアミン(220g、定量的)を透明な油として得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0119】
ステップB:塩化メチレン(100mL)中のステップAからの上記アミン(6.2g、41.00mmol)溶液に、3,4−ジクロロフェナシル臭化物(10.0g、37.3mmol)を添加し、トリエチルアミン(5.20mL、37.31mmol)を添加する前に、得られる混合物を0℃で1時間攪拌し、続いて0℃で1時間攪拌した。反応混合液を水(100mL)で希釈した後、水相を追加の塩化メチレン(3x75mL)で抽出した。複合抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過および濃縮して、1−(3,4−ジクロロフェニル)−2−((3−メトキシベンジル)(メチル)アミノ)エタノン(15.08g)を薄黄色の油として得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0120】
ステップC:メタノール(150mL)中のステップBからのケトン(最大37mmol)溶液に、ホウ化水素ナトリウム(2.11g、55.79mmol)を0℃で何度かに分けて添加した。反応混合液を最初に2時間攪拌した後、水(100mL)で希釈し、塩化メチレン(3x300mL)で抽出した。複合有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾燥させて、粗アルコール(14.14g)を黄色の油として得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0121】
ステップD:塩化メチレン(200mL)中のステップCからのアルコール(最大37mmol)溶液に、濃縮硫酸(12mL、235mol)を添加し、混合液を0℃で28時間攪拌した。6N NaOH溶液をpHが最大9になるまで添加することによって、反応液をクエンチした。水相を追加の塩化メチレン(3x)で抽出した。複合有機抽出物を塩水(3x)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、ろ過および濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィにより精製して(1:1:1:〜1:1:2ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)、4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(7.0g、3ステップ後59%)を薄黄色の油として得た。
望ましくない5−メトキシ異性体も単離された(1.20g、3ステップ後10%)。
【0122】
ステップE:上記ステップDからのラセミ4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(7.0g)を、調製キラルHPLC(CHIRALPAK ADカラム、80:20:0.1ヘプタン/2−プロパノール/ジエチルアミンを溶離剤として使用する)によって溶解し、(+)−エナンチオマー([α]
25D+31.9°(c0.49、メタノール))(3.68g)を無色の油として、および(−)−エナンチオマー(3.99g)を無色の油として得た。
【0123】
ステップF:酢酸(20mL)および48%臭化水素酸水溶液(50mL)の混合液中の(+)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(3.68g、11.42mmol)の溶液を、8時間還流させた。氷冷反応混合液を、pHが約8〜9に到達するまで、水酸化ナトリウムの濃縮水溶液および重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で塩基性化し、ジクロロメタン(3x)で抽出した。複合抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させてろ過し、真空で濃縮して、粗アルコール(2.6g)を黄色い固体として得た。
【0124】
ステップG:ジクロロメタン(60mL)中の上記ステップFからのフェノール(2.1g、6.81mmol)およびピリジン(0.72mL、8.85mmol)の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.37mL、8.14mmol)を−78℃で添加した。反応液を0℃に加温し、1時間攪拌した。反応混合液を水(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(3x)で抽出した。複合抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過および濃縮して、粗トリフラートを黄色の油として得た。
【0125】
ステップH:ジメチルスルホキシド(35mL)中の上記ステップGからのトリフラート(最大6.8mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.07g、8.15mmol)、および酢酸カリウム(2.05g、20.8mmol)の混合液を、アルゴンで脱気した。この混合液に、ジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(0.40g、0.55mmol)を添加した。得られる混合液をアルゴンで脱気した後、85℃で2時間加熱した。冷却反応混合液を、酢酸エチル(150mL)で希釈した。得られる溶液を、水(2x40mL)、塩水(1x40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、ろ過し、真空で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィカラムによる精製(溶離剤、1:1:1〜1:1:2ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)は、所望のボロン酸エステル(2.6g、2ステップ後91%)を黄色の固体として生じた。
【0126】
ステップI:ジクロロエタン(80mL)中のステップFからのボロン酸エステル(2.6g、6.22mmol)およびプロトンスポンジ(2.6g、12.1mmol)の溶液に、0℃で、1−クロロギ酸クロロエチル(2.4mL、22.1mmol)を添加した。混合液を0℃で15分間攪拌した後、40分間還流し、真空で濃縮した。残渣を、シリカゲルの短いパッドを通してろ過し(溶離剤、1:1:1ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)、ろ液を真空で濃縮した。残渣をメタノール(160mL)で希釈し、加熱して1時間還流させ、真空で濃縮して4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを茶色の泡として得た。
【0127】
ステップJ:ジクロロメタン(120mL)中のステップIからの生成物(最大6.2mmol)、(Boc)
2O(3.60g、16.4mmol)、トリエチルアミン(1.5mL、10.7mmol)、およびDMAP(0.26g、2.20mmol)の溶液を、室温で4時間攪拌した。反応液を、水(50mL)の添加によってクエンチした後、水相を追加のジクロロメタン(2x100mL)で抽出した。複合抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過して、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィによる精製(溶離剤、47.5:47.5:5〜1:1:1ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)は、boc保護テトラヒドロイソキノリン(1.82g、3ステップ後58%)を白い泡として得た。
【0128】
ステップK:乾燥フラスコに、ステップJからのボロン酸エステル(0.8g、1.59mmol)、6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(0.35g、1.78mmol)、炭酸セシウム(0.97g、2.98mmol)、およびジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(87mg、0.12mmol)を入れた。フラスコをアルゴンで覆った後、DMF(20mL)および水(4mL)を添加し、短時間の超音波処理を行った。反応混合液を80℃に1時間加熱した。冷却反応混合液を水(20mL)で希釈し、水層をジクロロメタン(3x60mL)で抽出した。複合有機相を真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィによる精製(溶離剤、1:1:1〜1:1:2ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)は、Boc保護7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.86g、定量)を白い泡として生じた。
【0129】
ステップL:エタノール(10mL)中のBoc保護7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.85g、1.72mmol)および濃縮塩酸(4.0mL)の溶液を、室温で1時間攪拌した。反応混合液を、真空で濃縮乾燥させた。残渣をジクロロメタン(14mL)およびTFA(10mL)の混合液に溶解し、室温で1時間攪拌した後、真空で濃縮した。それによって得られシロップを、ジクロロメタンで希釈し、pHが8〜9になるまで、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で処理した。水相を追加のジクロロメタン(3x)で抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させて、ろ過し、真空で濃縮して、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.59g、87%)を白い泡として得た。
【0130】
ステップM:エタノール中のステップBからの生成物(0.59g、1.49mmol)の溶液に、L−酒石酸(0.22g、1.49mmol)を添加した。スラリーをろ過した。ケーキをエタノールで洗浄し、乾燥させて、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,L−酒石酸塩(0.49g、59%、AUC HPLC 99%より大)を白い固体として得た。[[α]
25D+9.0°(c 0.11、メタノール)]。
【0131】
(−)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンのL−酒石酸塩は、(+)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,L−酒石酸塩([α]
24D−6.0°(c 0.10、メタノール))の合成に関して記載される類似のステップに従って、(−)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを使用することにより調製した。
【0132】
実施例2 実施例1の代替合成
ステップA:ジメチルスルホキシド(200mL)中の実施例1のステップGからのトリフラート(9.5g、21.6mmol)およびビス(ピナコラート)ジボロン(6.6g、25.9mmol)の溶液に、酢酸カリウム(6.4g、64.8mmol)を添加した。溶液をアルゴンで5分間脱気した後、ジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(1.6g、2.2mmol)をそれに添加した。反応混合液をアルゴンで5分間脱気し、80℃で1時間加熱した後、室温に冷却した。この溶液に、6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジン(4.8g、23.8mmol)および炭酸セシウム(21.1g、87mLの水中64.8mmol)水溶液を添加した。得られる溶液をアルゴンで脱気した後、ジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(0.8g、1.1mmol)をそれに添加した。反応混合液をアルゴンで脱気し、80℃で1時間加熱した。反応中に、暗色の粘性油が形成された。暗色の上澄み溶液を注ぎ出し、水で希釈して、酢酸エチル(3x)で抽出し、これを硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮した。残った油をジクロロメタンに溶解し、得られる溶液を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、真空で濃縮した。複合粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(100%酢酸エチル〜92:7.2:0.8酢酸エチル/メタノール/水酸化アンモニウム)によって精製し、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(7.7g、87%、AUC HPLC 97.6%)を茶色の泡として得た。
【0133】
ステップB:1,2−ジクロロエタン(180mL)中の上記ステップAからの7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(7.2g、17.6mmol)の溶液に、0℃で、プロトンスポンジ(3.8g、17.6mmol)を添加し、続いて、1−クロロギ酸クロロエチル(2.3mL、21.1mmol)を添加した。添加後、反応溶液を、0℃で20分間、室温で14時間攪拌した。追加の1−クロロギ酸クロロエチル(0.5mL、4.6mmol)を、反応溶液に添加した。反応溶液をさらに3時間攪拌した後、0℃に冷却して、水性塩酸(1N)で洗浄した。酸洗浄中に、沈殿物が形成された。有機抽出物を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、真空で濃縮した。得られる残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン〜95:4.5:0.5のジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム)によって精製し、2バッチの部分的に精製されたカルバミン酸中間体を得て、これをメタノールに溶解し、1時間還流させた。反応溶液を真空で濃縮し、得られる粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル〜88:10.2:0.8酢酸エチル/メタノール/水酸化アンモニウム)および調製薄層クロマトグラフィ(酢酸エチル/メタノール/水酸化アンモニウム90:9:1)の組み合わせによって精製し、所望のdes−メチルテトラヒドロイソキノリン(3.8g、54%、AUC HPLC 98.7%)を薄ピンク色の泡として得た。
【0134】
ステップC:エタノール(80mL)中の上記ステップBからのdes−メチルテトラヒドロイソキノリン(3.75g、9.48mmol)の溶液に、活性化炭素(3.0g)を添加し、室温で30分間攪拌した。炭素をろ過によって除去し、得られるろ液を真空で濃縮した。得られる油をエタノール(60mL)に溶解し、エタノール(20mL)中のL−酒石酸(1.44g、9.5mmol)の溶液を添加した。その時直ちに、白い沈殿物が形成された。スラリーを室温で10分間攪拌し、ろ過した。得られるケーキを、熱いエタノール(70℃)中で3時間攪拌し、ろ過した。得られるケーキを真空で50〜60℃で40時間乾燥させて、(+)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸塩(3.7g、73%、AUC HPLC 250nmで99.4%)を、オフホワイトの固体として得た。[α]
23D+16.8°(c 0.13、メタノール):
【0135】
実施例3 実施例1(塩酸)の代替合成
ステップA:1Lの丸底フラスコに、2−アミノ−5−ブロモピリジン(100g、578mmol)、DMF−DMA(101mL、751mmol)および2−プロパノール(200mL)を添加した。混合液を加熱し、3時間還流させて、透明な暗色溶液を得た。次に、50℃に冷却し、塩酸ヒドロキシルアミン(52.2g、751mmol)を添加した。混合液を50℃で一晩攪拌し、黄色の懸濁液を得た。沈殿物をろ過によって収集した。黒いろ液を濃縮し、残渣をEtOH(20mL)中で20分間攪拌した。固体をろ過によって収集した。複合固体をオーブンで乾燥させて、N−(5−ブロモピリジン−2−イル)−N′−ヒドロキシホルムイミドアミドを、砂色の固体として得た(94g、収率75%)。
【0136】
ステップB:N−(5−ブロモピリジン−2−イル)−N′−ヒドロキシホルムイミドアミドを、THF(1L)に溶解する。溶液に、10℃で、トリフルオロ酢酸無水物(106mL、751mmol)をゆっくり添加し、反応温度を20℃以下に制御する。添加が完了した後、混合液を室温に加温し、2時間攪拌した。反応が終了した後、Na
2CO
3水溶液でクエンチして、7より高いpHに調整した。有機溶媒を減圧下で除去した後、生成物をDCM(4x300mL)で抽出した。複合有機層を、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮乾燥した。残渣をエチルエーテル(100mL)中で攪拌し、生成物6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンを、ろ過によってオフホワイトの固体として収集した(50g、収率58%)。
【0137】
ステップC:DMSO(600mL)および水(50mL)中の3−ホルミルフェニルボロン酸(21.41g、143mmol)、6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(28.27g、143mmol)の混合液に、Pd(dppf)Cl
2(5.83g、7.14mmol)およびCs
2CO
3(116g、357mmol)を添加した。反応温度は、添加後45℃に到達した。HPLCは、開始物質が、15分後に消費されたことを示した。反応液を水(400mL)で希釈した。黒い沈殿物をろ過によって収集し、DCM(300mL)に溶解して、塩水(200mL)で洗浄した。水層をDCM(100mL)で逆抽出した。複合有機層を、セライトパッドを通してろ過し、ろ液を濃縮して、黒い固体混合物を得た。生成物は、メタノール中で再結晶化し、3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンズアルデヒド(27.4g、123mmol、収率86%)を、薄灰色の固体として得た。m/z=224.0[M+1];
【0138】
ステップD:α−ブロモ−3,4′−ジクロロアセトフェノン(26.7g、100mmol)、ヘキサメチレンテトラミン(HMTA)(13.97g、100mmol)およびNaI(0.5g)の混合液を、室温で一晩攪拌した。HPLC分析は、開始物質の消費を示した。アンモニウム中間体を、ろ過によって白い固体として収集し、アセトンで洗浄して、乾燥させた(36g、収率89%)。
【0139】
EtOH(500mL)中の中間体(36g、88mmol)の溶液に、12N HCl(75mL、0.9mol)を添加した。混合液を76℃で一晩攪拌した後、室温に冷却した。生成物2−アミノ−1−(3,4−ジクロロフェニル)塩酸エタノンを、ろ過によって結晶固体として得た(20.2g、収率95%)。
【0140】
ステップE:MeOH(200mL)中の2−アミノ−1−(3,4−ジクロロフェニル)塩酸エタノン(50g、208mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(7.86g、208mmol)を0℃でゆっくり添加した。HPLCは、10分後に100%変換を示した。DCM/MeOH(180mL/50mL)中の3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンズアルデヒド(46.4g、208mmol)の溶液を、前述の溶液に一度に室温で添加した。混合溶液を、室温で2時間攪拌した後、水素化ホウ素ナトリウム(7.86g、208mmol)を添加した。HPLCは、10分後に100%変換を示した。溶媒の大部分を除去し、残渣をDCM/NH
4OH(4N)(1L/1L)に溶解した。有機層を塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させて、約250mLに濃縮した。DCM溶液中の生成物2−(3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンジルアミノ)−1−(3,4−ジクロロフェニル)エタノールを、さらなる精製なしに次のステップで使用した(HPLC領域92%)。m/z=413.1[M+1];
【0141】
ステップF:3Lの丸底フラスコ中の濃縮硫酸(500g、5.0mol)の溶液を、氷浴で0℃に冷却した。フラスコに、DCM(250mL)中の2−(3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンジルアミノ)−1−(3,4−ジクロロフェニル)エタノール(79g、0.191mol)の溶液を滴下添加した。添加は、30分で終了し、反応温度は、10〜20℃の範囲に制御した。添加中に、DCMを窒素ガスで吹き払った。DCMの蒸発は、反応温度の低下を助けた。混合溶液を、室温で一晩攪拌した。HPLCは、開始物質が残存しないことを示した。7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンおよび5−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンのHPLC面積比は、75:25であった。反応混合液を0℃に冷却した。イソプロパノール(2L)を、溶液にゆっくり添加し、温度を0℃より下に維持した。固体(所望の異性体92%純度)が、ろ過によって得られた。次に、固体をAcOEt(1L)に溶解し、NH
4OHでpHを10に調整した。水層をEtOAcで2回抽出した。複合有機層を水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させて濃縮した。残渣をEtOH(250mL)に溶解した後、1.1等量のメタンスルホン酸(20.20g、0.21モル)を添加し、溶液を一晩攪拌した。得られる沈殿物、メタンスルホン酸塩(純度98%)をろ過した。これを水に溶解し、NH
4OHでpHを10に調整した後、AcOEtで2回抽出した。複合抽出物を水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒の除去後、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが、非晶質状態で得られた(40.8g、収率54%)。m/z=395.0[M+1];
【0142】
ステップG:DMF(30mL)中の7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(25.2g、63.8mmol)の溶液に、ジ−tert−重炭酸ブチル(13.91g、63.8mmol)を添加した。反応混合液を室温で1時間攪拌した後、AcOEt(500mL)を添加した。溶液を塩水および水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させた。溶媒の除去後、固体rac−tert−ブチル7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(30.6g、61.8mmol、収率97%)を、MeOHからの再結晶化によって得た。m/z=495.1[M+1];
【0143】
ステップH:Chiralpak AS−Hカラム上のキラルSFC分離(3x25cm、5μm、溶離剤:CO2/(MeOH/TEA=100/0.2(v/v))=75/25、220nm)は、(+)−tert−ブチル7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(99.7% ee)を産出した。
【0144】
ステップI:DCM(150mL)中のステップHからの(+)−エナンチオマー(32.41g、65.43mmol)の溶液に、塩化水素−EtOH溶液(2.5N、250mL)およびEtOH500mLを添加した。反応混合液を70℃で2時間攪拌した。溶媒の除去後、残渣を1000mLのAcOEt中で1時間還流させた。生成物(+)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−塩酸テトラヒドロイソキノリン(27.4g、収率97%)が、ろ過および乾燥後に得られた。m/z=395.1[M+1];
【0145】
実施例4 一次結合分析
膜の調製
hSERT、hDAT、またはhNETタンパク質のいずれかを発現する組み換えHEK−293細胞は、T−175フラスコから以下のように採取した。培地をフラスコから除去し、細胞をCaおよびMgを含まないHBSSで洗浄した。次に、ピペッティングおよび剥離の組み合わせで引き上げる前に、必要に応じて、細胞を5〜10分間、10mM Tris−Cl、pH 7.5、5mM EDTA中でインキュベートした。細胞懸濁液を、遠心分離ボトルに収集し、30秒間Polytronホモジナイザで均質化した。懸濁液を、30分間、32,000×g、4℃で遠心分離した。上澄みを移し、ペレットを50mM Tris−Cl、pH 7.5、1mM EDTA中で10秒間、再懸濁および均質化した。次に、懸濁液を再度30分間、32,000xg、4℃で遠心分離した。上澄みを移し、ペレットを50mM Tris−Cl、pH7.5、1mM EDTA中で再懸濁し、短時間均質化した。ブラッドフォード分析(Bio−rad)を行い、50mM Tris−Cl、pH 7.5、1mM EDTAで膜調製物を2mg/mLに希釈した。アリコートを調製した後、凍結させて、−80℃で保管した。
【0146】
SERT 放射線リガンド結合分析
化合物を、所望の最高分析濃度の100倍の濃度で100% DMSOに溶解し、100% DMSO中で1:3に連続希釈し、各溶液の0.4μL/ウェルをNuncポリプロピレン、丸底384ウェルプレートに分注した。100%阻害は、DMSOに溶解された0.4μL/ウェルの1mM フルオキセチンで定義される。20μL/ウェルの2x膜調製物(50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl中の15μg/mL)および20μL/ウェルの2x放射性リガンド溶液(50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl中の520pM [
125I]RTI−55)を、各ウェルに添加し、反応液を1時間、室温でインキュベートした。次に、分析プレートの内容物を、0.5% PEIで少なくとも1時間事前処理したMillipore Multiscreen
HTS GF/Bフィルタープレートに移した。プレートを真空ろ過し、4℃に冷却された100μL/ウェル 50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KClの7回洗浄で洗浄した。ろ過および洗浄は、90秒未満で完了した。プレートを一晩空気乾燥し、12μL/ウェルのMicroScintシンチレーション液を添加し、プレートをTriluxにおいてカウントした。
【0147】
DAT 放射性リガンド結合分析
化合物を所望の最高分析濃度の100倍の濃度で100% DMSOに溶解し、100% DMSO中で1:3に連続希釈し、各溶液の0.4μL/ウェルをNuncポリプロピレン、丸底384ウェルプレートに分注した。100%阻害は、DMSOに溶解された0.4μL/ウェルの1mM GBR−12935で定義される。20μL/ウェルの2x膜調製物(30mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.9、4℃中12.5μg/mL)および20μL/ウェルの2x放射性リガンド溶液(30mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.9、4℃中250pM [
125I]RTI−55)を、各ウェルに添加し、反応液を1時間、室温でインキュベートした。次に、分析プレートの内容物を、0.5% PEIで少なくとも1時間事前処理したMillipore Multiscreen
HTS GF/Bフィルタープレートに移した。プレートを真空ろ過し、4℃に冷却された100μL/ウェル 50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KClの7回洗浄で洗浄した。ろ過および洗浄は、90秒未満で完了した。プレートを一晩空気乾燥し、12μL/ウェルのMicroScintシンチレーション液を添加し、プレートをTriluxにおいてカウントした。
【0148】
NET 放射性リガンド結合分析
化合物を所望の最高分析濃度の100倍の濃度で100% DMSOに溶解し、100% DMSO中で1:3に連続希釈し、各溶液の1.0μL/ウェルをNuncポリプロピレン、丸底384ウェルプレートに分注した。100%阻害は、DMSOに溶解された1.0μL/ウェルの10mM デシプラミンで定義される。50μL/ウェルの2x膜調製物(50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl中0.4mg/mL)および50μL/ウェルの2x放射性リガンド溶液(50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl中の4nM [
3H]ニソキセチン)を、ウェルに添加し、反応液を1時間、室温でインキュベートした。次に、分析プレートの内容物を、0.5% PEIで少なくとも1時間事前処理したMillipore Multiscreen
HTS GF/Bフィルタープレートに移した。プレートを真空ろ過し、4℃に冷却された100μL/ウェルの50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KClの7回洗浄で洗浄した。ろ過および洗浄は、90秒未満で完了した。プレートを一晩空気乾燥し、12μL/ウェルのMicroScintシンチレーション液を添加し、プレートをTriluxにおいてカウントした。
【0149】
データ分析
原データを、各プレートで実行される0%(DMSOのみ)および100%(選択的阻害薬)阻害薬を定義する対照ウェルを使用して、阻害%に標準化した。各プレートは、3重複で行い、それによって生成された濃度反応曲線は、各化合物のIC
50値を決定するために、4つのパラメータ用量反応等式Y=Bottom+(Top−Bottom)/(1+10^((LogIC
50−X)*HillSlope))を使用して適合させた。各分析に選択される放射性リガンド濃度は、各分析に対して、飽和結合分析によって決定されるK
d濃度に対応する。
【0150】
実施例5 占有率分析
脳組織収集および輸送体占有率評価のための一般的な手順は、以下のように端的に説明される。マウスはCO
2中の窒息によって、ラットは断頭術によって、およびイヌは安楽死溶液のIV注入によって犠牲死させた。マウスおよびラットの場合、脳を頭蓋骨から除去した後、前脳組織(脳幹および小脳の除去)を、SERT、NET、およびDAT占有率評価に使用した。イヌにおいて、線条体をDAT占有率について分析し、残りの前脳組織(線条体、脳幹、および小脳を含まない)を、SERTおよびNET占有率評価に使用した。脳組織を冷却したイソペンタン中で凍結させ、均質化するまで−80℃で保管した。
【0151】
脳組織を解凍した後、ポリトロンホモジナイザ(Kinematica)を使用して均質化した。試料アリコートを速やかに凍結させ、−80℃で保管した。各試料のタンパク質含有量は、Coomassieタンパク質分析キット(Pierce)を使用して測定した。
【0152】
占有率評価のためのエクスビボ結合の日に、凍結試料アリコートを解凍し、ニードル均質化して、表1に要約される分析条件下で、SERT、NET、およびDAT結合のために100μgの組織をインキュベートした。インキュベーション後、氷冷分析緩衝液の添加およびFPXLR−196フィルターを使用するBrandel Cell Harvesterを通す急速ろ過によって、反応を終了させた。フィルターを、氷冷インキュベーション緩衝液で2回洗浄し、ウェル当り200μLのシンチレーション液を添加する前に、透明なプレートに打ち込んだ。放射性リガンドを、Wallac Microbeta液体シンチレーションカウンタを使用して測定した。
【0153】
(表1)セロトニン、ノルエピネフリン、およびドーパミン輸送体占有率に関するエクスビボ結合分析条件
【0154】
特異的結合は、各試料中の総結合の値から非特異的結合の値を差し引くことによって計算した。占有%は、(1−処理される薬物中の特異的結合/処理される媒体中の特異的結合)x100%として計算した。インビボ占有EC
50(50%占有をもたらす化合物の総血漿濃度)を推定する場合、占有値対血漿濃度のプロットを、以下の等式に従う非線形回帰を使用して、一部位結合モデルに適合させた。占有%=Emax*C/(EC
50+C)、式中、Emaxは最大特異的結合であり、Cは薬物濃度であり、EC
50は50%結合部位占有に必要とされる、総血漿濃度である。非線形回帰は、GraphPad Prism version 3.00(GraphPad Software,San Diego,Calif.)を使用して行った。
【0155】
結果は、以下の表2に示される。
【0156】
(表2)IC
50および占有値
【0157】
実施例6 インビボ動作分析
全試験
すべての動物を、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Committee on Animals of the Bristol−Myers Squibb CompanyのガイドラインおよびGuide for Care and Use of Laboratory Animals,Institute of Animal Laboratory Resources,1996に従って維持した。研究プロトコルは、Bristol−Myers Squibb Company Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認された。
【0158】
マウス尾部懸吊分析
雄のスイスウェブスターマウスを、一定温度(21〜23℃)および湿度(50±10%)、12時間の明暗周期で維持された室内で、ケージ当り3〜4匹収容した。研究を通して、動物は、水および食糧に自由にアクセスした。試験の日に、動物を試験室に入れ、1時間順応させた。試験を開始するために、尾部に一片のテープを取り付け、次に、それを防音室の天井のフックに取り付けた。Med Associatesソフトウェアを使用して、不動性を自動的に記録した。化合物は、セッション前の固定された前処理間隔で、急性投与した。
【0159】
マウス尾部懸吊研究における実施例1 (+)−エナンチオマーの最小有効用量は、10mg/kgであった。
【0160】
ラット強制水泳試験
雄のスプラーグドーリーラットを、一定温度(21〜23℃)および湿度(50±10%)、12時間の明暗周期で維持された室内で、対で収容した。研究を通して、動物は、水および食糧に自由にアクセスした。実験を開始する2日前に、それぞれ2分間、動物を処理する。試験の初日に、ラットを水泳タンク(Pyrexシリンダ 高さ46cmx直径21cm、24〜26℃の範囲の水を30cm入れた)に、15分間入れた(水泳前セッション)。15分のセッションの最後に、ラットを乾かし、それらのホームケージに移した。2回目の試験水泳前に、次の24時間の3つの時点(23.5、5、および1時間)で、化合物を投与する。この水泳試験の期間は5分であり、動物の動作をビデオ撮影し、活発な動作(不動性、水泳、登坂)を採点する。5分の試験セッション中、各5秒期間の最後に、ラットの動作を以下のうちの1つとして採点する。不動性(ラットは、もがくことなく水中に浮遊したままであり、頭部を水上に維持するために必要な運動のみを行った)、水泳(ラットは、頭部を水上に維持するために必要な程度以上に、活発な水泳動作を行った、例えば、シリンダ内を動き回った)、または登坂(ラットは、通常、シリンダ壁に向けて、前足を水から出し入れして活発に運動した)。化合物は、既定のコードによってのみ識別され、実験者は、実験を通して(ビデオテープの採点中を含む)、盲検状態である。
【0161】
ラットおよびマウスの自発運動
2つの種に関して上述される条件に従って、動物を収容する。試験装置は、8つのフォトビームの中断を検出する、Digiscan活動モニタを備えたPlexiglas室(Omnitech Electronics,Columbus,Ohio)で構成される。水平活動は、計60分間、5分間隔で記録し、網羅される総距離として表す(cm)。化合物は、試験前に固定された規定間隔で急性投与する。
【0162】
実施例7 (S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸(L−酒石酸塩)の単結晶の調製
(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸塩(20mg)を、バイアル中で加熱しながら、メタノール(8mL)に溶解した。次に、蒸留水(2mL)を、上記の透明な溶液に添加した。得られる溶液に蓋をし、室温で放置した。(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸塩の針状結晶は、数日以内に、空気中にゆっくり蒸発した後に得られた。
【0163】
実施例8 (S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩一イソプロパノール酸塩一水和物(HCL塩、形態SA−1)の単結晶の調製
(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩(20mg)を、バイアル中で加熱しながら、イソプロパノール(10mL)に溶解した。次に、蒸留水(2mL)を、上記の透明な溶液に添加した。得られる溶液に蓋をし、室温で放置した。(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩一イソプロパノール酸塩一水和物塩の長い針状結晶は、数日以内に、空気中にゆっくり蒸発した後に得られた。針状結晶は、ろ過によって母液から分離し、湿式ケーキを、45℃および100mmHgの条件下で、16時間オーブンで乾燥させた。
【0164】
実施例9 (S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩(HCl塩、形態N−2)の単結晶の調製
(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩(20mg)を、バイアル中で加熱しながら、メタノール(8mL)に溶解した。次に、蒸留水(2mL)を、上記の透明な溶液に添加した。得られる溶液に蓋をし、室温で放置した。(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩の針状単結晶は、数日以内に、空気中にゆっくり蒸発した後に得られた。
【0165】
実施例10 X線結晶学による単結晶分析
(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸(L−酒石酸塩)および(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩(HCl塩、形態N−2)結晶のデータは、グラファイト単色化Cu Kα放射線(λ=1.54178Å)を備えるSMART CCD回折計上で、225Kおよび室温でそれぞれ収集した。(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩一イソプロパノール酸塩一水和物(HCl塩、形態SA−1)のデータは、グラファイト単色化Cu Kα放射線(λ=1.54178Å)を備えるX8−ApexII回折計上で、室温で収集した(APEX−II 1.0−28、Bruker CCDデバイス用データ収集ソフトウェアBruker AXS Inc.,Madison,Wisconsin,US. SAINT PLUS、Bruker CCDデバイス用処理ソフトウェア、Bruker AXS Inc.,Madison,Wisconsin,US)。最終単位セルパラメータは、全体データセットを使用して決定した。
【0166】
すべての構造は、直接法によって解決し、全マトリクス最小二乗法によって、SHELXTLソフトウェアパッケージ(Sheldrick,GM. 1997,SHELXTL.Structure Determination Programs. Version 5.10、Bruker AXS,Madison,Wisconsin,USA.)を使用して精密化した。精密化において最小化される関数は、Σw(|Fo|−|Fc|)
2であった。Rは、Σ||Fo|−|Fc||/Σ|Fo|として定義されるが、Rw=[Σw(|Fo|−|Fc|)
2/Σw|Fo|
2]
1/2であり、wは、認められる強度の誤差に基づく適切な重み関数である。差フーリエマップを、精密化の全段階で試験した。L−酒石酸塩形態で、ペンダントフェニル環上のクロロ原子のうちの1つは、2つの位置において、それぞれ50%占有率で無秩序化される。酒石酸分子も無秩序化されるが、うまくモデル化することができなかった。メタノール分子の数は、無秩序に起因して識別され得ない。すべての非水素原子は、異方性熱変位パラメータで精密化した。水素結合と関連付けられる水素原子は、最終差フーリエマップ内で位置付けられたが、他の水素原子の位置は、標準的な結合長および角度を用いて、理想形状から計算した。それらは、割り当てられた等方性温度因子であり、固定パラメータを用いる構造因子計算に含まれる。
【0167】
L−酒石酸塩形態の結晶データは、表3に示され、部分原子座標は、表4に列挙される。形態SA−1の結晶データは、表5に示され、部分原子座標は、表6に列挙される。形態N−2の結晶データは、表7に示され、部分原子座標は、表8に列挙される。座標におけるわずかな変動は可能であり、本開示の範囲内であると考えられることは、当業者に理解されるはずである。
【0168】
(表3)L−酒石酸塩形態の結晶データ
実験式 C40 H40 Cl2 N8 O8
式重量 831.70
温度 225(1) K
波長 1.54178 Å
結晶系、空間基 斜方晶系、C222
1
単位セル寸法 a = 7.6264(10) Å α = 90°
b = 38.942(5) Å β = 90°
c = 24.449(3) Å γ = 90°
体積 7261.1(16) Å
3
Z, 算出密度 8, 1.522 Mg/m
3
吸収係数 2.195 mm
-1
F(000) 3472
データ収集のθ範囲 2.27〜66.20°
限界指数 -8<=h<=8, -45<=k<=42, -22<=l<=28
収集された/固有の反射 24815 / 6156 [R(int) = 0.1027]
精密化法 F^2に関する全マトリクス最小二乗
データ/拘束/パラメータ 6156 / 2 / 323
F^2に関する適合度 2.340
最終R指数[I>2sigma(I)] R1 = 0.2345, wR2 = 0.4418
R指数(全データ) R1 = 0.3127, wR2 = 0.4595
絶対構造パラメータ 0.00(11)
減衰係数 0.0075(9)
最大差ピークおよびホール 0.991および-0.773 e. Å
-3
【0169】
(表4)L−酒石酸形態の原子座標
L−酒石酸形態の原子座標(x10
4)および相当する等方性変位パラメータ(Å
2x10
3)。U(eq)は、直交Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。
【0170】
(表5)HCl塩: 形態SA−1の結晶データ
実験式 C24 H26 Cl3 N4 O2
式重量 508.84
温度 298(2) K
波長 1.54178 Å
結晶系、空間基 単斜晶系、P2
1
単位セル寸法 a = 11.0668(9) Å α = 90°
b = 7.3750(6) Å β = 100.594(7)°
c = 15.3927(14) Å γ = 90°
体積 1234.90(18) Å
3
Z, 算出密度 2, 1.363 Mg/m
3
吸収係数 3.595 mm
-1
F(000) 530
データ収集のθ範囲 4.06〜61.98°
限界指数 -12<=h<=12, -7<=k<=6, -17<=l<=15
収集された/固有の反射 3911 / 2687 [R(int) = 0.0253]
θに対する完全性 = 61.98 89.5 %
精密化法 F^2に関する全マトリクス最小二乗
データ/拘束/パラメータ 2687 / 1 / 306
F^2に関する適合度 1.035
最終R指数[I>2sigma(I)] R1 = 0.0382, wR2 = 0.0994
R指数(全データ) R1 = 0.0423, wR2 = 0.1027
絶対構造パラメータ 0.02(2)
最大差ピークおよびホール 0.270および-0.201 e. Å
-3
【0171】
(表6)HCl塩: 形態SA−1の原子座標
形態SA−1の原子座標(x10
4)および相当する等方性変位パラメータ(Å
2x10
3)。U(eq)は、直交Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。
【0172】
(表7)HCl塩: 形態N−2の結晶データ
実験式 C21 H17 Cl3 N4
式重量 431.74
温度 298(2) K
波長 1.54178 Å
結晶系、空間基 斜方晶系, P2
12
12
1
単位セル寸法 a = 7.1183(2) Å α = 90°
b = 21.2160(7) Å β = 90°
c = 26.3602(9) Å γ = 90°
体積 3981.0(2) Å
3
Z, 算出密度 8, 1.441 Mg/m
3
吸収係数 4.283 mm
-1
F(000) 1776
結晶サイズ 0.16 x 0.07 x 0.06 mm
データ収集のθ範囲 2.67〜44.53°
限界指数 -6<=h<=5, -19<=k<=18, -23<=l<=23
収集された/固有の反射 9626 / 2985 [R(int) = 0.0700]
θに対する完全性 = 44.53 95.3 %
データ/拘束/パラメータ 2985 / 0 / 505
F^2に関する適合度 1.031
最終R指数[I>2sigma(I)] R1 = 0.0580, wR2 = 0.1446
R指数(全データ) R1 = 0.0780, wR2 = 0.1669
絶対構造パラメータ 0.10(4)
最大差ピークおよびホール 0.260および-0.278 e. Å
-3
【0173】
(表8)HCl塩: 形態N−2の原子座標
形態N−2の原子座標(x10
4)および相当する等方性変位パラメータ(Å
2x10
3)。U(eq)は、直交Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。
【0174】
実施例11 形態SA−1およびN−2の粉末X線回折
X線粉末回折(PXRD)データは、Bruker C2 GADDSを使用して得た。放射線は、Cu Kα(40KV、40MA)であった。試料検出器距離は、15cmであった。粉末試料を、直径1mm以下の密閉ガラス毛細管に入れ、毛細管をデータ収集中に回転させた。少なくとも1000秒の試料曝露時間で、3
<20
<35°のデータを収集した。得られる二次元回折アークを統合して、従来の一次元PXRDを形成した。形態SA−1の単結晶データから算出されたPXRDパターンおよび模擬パターンの結果は、
図1に示される。
【0175】
表9は、形態SA−1((S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩一イソプロパノール酸塩一水和物)および形態N−2((S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩を説明する、特徴的PXRDピークを列挙する。特に、表9は、NISTまたは他の適切な標準で較正された2θを有する回転毛細管を備える、回折形(cuKα)を用いて収集された高品質パターンに基づいて、室温での特徴的な回折ピーク位置(20±0.1°)を示す。
【0176】
(表9)
【0177】
実施例12 形態SA−1の示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC)実験は、TA Instruments(商標)モデルQ1000または2920において行った。試料(約2〜6mg)を、針を刺した密閉したアルミ皿に計量し、1/100ミリグラムまで正確に記録して、DSCに移した。装置は、窒素ガス50mL/分でパージした。データは、室温〜300℃、10℃/分の加熱率で収集した。下方を指している吸熱ピークでプロットを形成した。結果が
図2に示される。
【0178】
実施例13 形態SA−1の熱重量分析
結果が
図3に示される。
【0179】
好適な実施形態が、本明細書において詳細に図示および説明されたが、様々な修正、追加、置換等が、本発明の精神から逸脱することなく行われ得ること、およびしたがって、それらは、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることが、当業者に明らかとなるであろう。