(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための一形態(以下、「実施形態」という。)について、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物を処理するための粒状である複層構造の吸水処理材(排尿処理材)を例として、図面を参照して詳細に説明する。
また、検査用指示薬は、尿pH値検査用指示薬を例として説明する。
【0013】
[吸水処理材]
本発明の吸水処理材(以下、「本吸水処理材」という。)は、外部からの水分を吸収するための粒状芯部と、この粒状芯部の表面を被覆する所定厚さの被覆層部とから形成される複層構造を有している。
【0014】
(1)粒状芯部
粒状芯部は、小塊の形状に形成されていればよく、完全な球形等である必要はないものであり、柱状体(細長形)、扁平形等、その形状は問わない。
また、粒状芯部は吸水性能又は保水性能を有しており、排泄物の検査にあたり、その検査を阻害する物質(例えば、排泄物のpH値の変動を観察する場合には、その変動を与えない)を含まなければ、その材質等に制限はない。
例えば、pH値の検査を阻害しない有機物廃材であるバージンパルプ、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、化粧紙廃材、ちり紙廃材、紙綿廃材、紙タオル廃材、不織布廃材等)を用いることができる。
【0015】
また、粒状芯部には、ベントナイト、ゼオライト、酸化チタン等の無機質材料等を用いることもできる。
なお、脱臭材料、消臭材料、殺菌作用を有する物質、着色物質、吸水性能を阻害することなく、他の効果を奏することが可能となるような物質を配合することもできる。
【0016】
(2)被覆層部
被覆層部は、使用時に尿等の排泄物で濡れた吸水処理材同士を付着させて塊状とさせる作用を奏させることを第1の目的として設けられている。また、被覆層部は、粒状芯部が固有の色を有している場合に、その周囲を覆うことによって、使用前に粒状芯部の色を隠すという作用を奏させることを第2の目的として設けられている。
上記被覆層部は、基材と排泄物検査用材料とから構成されている。
【0017】
<基材>
上記被覆層部の目的を果たす役割は基材が担っているが、その材料の例としては、吸水性材料、接着性を有する水溶性材料(以下、「水溶性接着材料」という。)若しくは両材料の混合物と、紙粉の混合物とを用いることが好適である。
これらの物質としては、排泄物の検査にあたり、その検査を阻害しない公知の物質を用いることができる。例えば、上記吸水性樹脂としては、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉(T−α化澱粉、デキストリン、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉)などの吸水性能を備える材料を使用することができる。
【0018】
上記水溶性接着材料としては、例えば、糊料やポリアクリル酸ナトリウム等の高吸水性材料がある。このような接着剤として機能する糊料としては、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ(検査を阻害しないもの)、タピオカ澱粉、米澱粉、デキストリン、各アルファ(α)化した澱粉などの澱粉類、アクリルアミド、PVA、カルボキシメチルセルロース又はアルギン酸ナトリウムを使用することができ、又はこれらの2種類以上の物質を組み合わせて使用することができる。
【0019】
紙粉としては、バージンパルプ、トイレットペーパー用紙、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー用紙、ティッシュペーパー廃材、ちり紙用紙、ちり紙廃材、紙綿、紙綿廃材、紙タオル、紙タオル廃材、綿状パルプ、綿状パルプ廃材、不織布製造時に発生する紙粉又はこれら二以上の粉砕物の混合物であり、何れも、0.5ミリメートル以下、好ましくは、0.3ミリメートル以下の粒度の粒状物に粉砕されて使用されることになる。
【0020】
<排泄物検査用材料>
排泄物検査用材料は、検査用指示薬を含有したインク組成物(以下、「検査用指示薬含有インク組成物」という)を多孔質吸着剤に吸着させたものである。
【0021】
(検査用指示薬含有インク組成物)
検査用指示薬含有インク組成物は、検査用指示薬をインク組成物に定着させたものである。
【0022】
◎検査用指示薬
排泄物のpH値の測定は、当該尿のpH値を検出して、例えば持続性の酸性尿又はアルカリ性尿の検出を行い、結石症やその他疾病の必要性を判断することを目的としている。犬や猫などの肉食動物の尿のpH値は、健康時で、4.3乃至7.0であるところから、通常時(健康時)のpH値4.3乃至7.0と、疾病時のpH値4.3未満又は疾病時のpH値7.0を超えたpH値を変色により判別することが可能となる、すなわち、pH値4.3又は7.0を閾値として変色する尿pH値検査用指示薬を使用することにより、その判別を行うことができる。
【0023】
また、人の尿のpH値は、健康時に通常の食事を取っているときで、4.6乃至7.5であるところから、疾病時のpH値4.6未満又は疾病時のpH値7.6を超えたpH値を変色により判別することが可能となる、すなわち、pH値4.6又は7.5を閾値として変色する尿pH値検査用指示薬を使用することにより、その判別を行うことができる。
【0024】
このようなpH値、即ち、4.1乃至7.7のpH域に変色域を有する尿pH値検査用指示薬としては、チモールブルー、フェノールフタレイン、トロペオリンOOO、クレゾールレッド、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ブロモチモールブルー、ブロモクレゾールパープル、ブロモフェノールレッド、p−ニトロフェノール、メチルレッド、ブロモクレゾールグリーン、テトラブロモフェノールブルー、クロロフェノールレッド、メチルオレンジ、エチルオレンジ、ブロモフェノールブルー、ブリリアントイエロー、コンゴーレッド又はブロモクレゾールブルー等が存在するため、検出の目的に応じて、上記の指示薬を単体で、あるいは、2種類以上の指示薬を組み合わせて使用することができる。
なお、適切な2種類以上の指示薬を組み合わせる場合には、所望の変色域の設定が可能となるとともに、所望の発色を行うことが可能となるため好適である。
また、この他に全pH域でpH値の測定を行うことができるユニバーサル指示薬を使用することもできる。
【0025】
例えば変色時のpH値の閾値が4.3である場合には、ブロムフェノールブルー又はメチルオレンジとブロモクレゾールグリーンをエタノールに溶解させたものを使用すること、変色時のpH値の閾値が7.0である場合には、ブロムチモールブルーを使用することができる。
【0026】
◎インク組成物
上記検査用指示薬含有インク組成物は、検査用指示薬及び結合剤を公知のインク組成物に定着させたものであり、本実施形態では、上記尿pH値検査用指示薬を、例えば、セルロース及び該セルロースの誘導体等の樹脂類の少なくとも一種類(以下、「樹脂類」という。)を有機溶媒中で分散、または、溶解させることにより作成することができる。具体的には、尿pH値検査用指示薬に樹脂類を加え、メタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸プロピル等のエステルなどの有機溶媒中で分散、又は、溶解して検査用指示薬含有インク組成物を形成するものである。
樹脂類については、セロール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が、濡れ性及び目視による判定がし易いなどの点から好ましい。またこの場合、溶剤としては、上記検査用指示薬及び結合剤としての樹脂を安定して溶解できる、又は分散できる溶剤を選ぶことが好ましい。
【0027】
結合剤は、排泄物の検査に影響を及ぼすことなく、検査用指示薬の発色を妨げず、また発色した色を安定化させる水溶性高分子化合物(天然親水性高分子化合物、半合成親水性高分子化合物)、並びに、排泄物の検査に影響を及ぼすことなく、また、検査用指示薬の発色を妨げることがないもので、被膜形成機能を有する水不溶性高分子化合物があるが、これら両者を組み合わせて形成するのが好ましい。
【0028】
上記天然親水性高分子化合物としては、甘薯澱粉、馬鈴薯澱粉、蒟蒻粉、布海苔、アルギン酸ナトリウム、トロロアオイ、トンガロゴム、アラビアゴム、デキストラン、レバン、ニカワ、ゼラチン、カゼイン及びコラーゲン等を使用することができる。
上記半合成親水性高分子化合物としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、並びにジアルデヒド澱粉誘導体等を使用することができる。
【0029】
また、上記被膜形成機能を有する水不溶性高分子化合物としては、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース樹脂を使用することができ、また、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニルエマルション、酢酸ビニルコポリマー(酢酸ビニル−アクリル酸エステル等)エマルション、アクリル酸エステル共重合体エマルション、エポキシ樹脂エマルション及び合成ゴムラテックス等を使用することができる。これらの被膜形成機能を有する高分子化合物中で、特にウレタン樹脂及びポリビニルブチラールは、検査用指示薬の変色及びpH値の測定に悪影響を及ぼさないため好ましい。
【0030】
さらに、上記検査用指示薬含有インク組成物には、結合剤、安定剤或いは均一な試薬層を形成できるように界面活性剤など(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤又はポリエチレングリコールなど)の公知の添加剤を加えることができる。
【0031】
一般に、検査用指示薬含有のインク組成物の構成物質及びその配合割合は、検査用指示薬及び結合材1重量%乃至10重量%、セルロース等1重量%乃至15重量%、糊剤10重量%以下であり、残余は溶剤から構成されている。
【0032】
(多孔質吸着剤)
多孔質吸着剤は、微細孔(微細空隙)を多く含み、表面積が大きく、吸着率が20重量%以上(好ましくは25重量%)である吸着剤を用いることが必要であり、シリカゲル(いわゆる、A型シリカゲル及びB型シリカゲル)(二酸化珪素)、ゼオライト(アルミノ珪酸塩)等の公知の物質を用いることができる。特に、B型シリカゲルは、平均吸着表面積約450(m
2/g)、平均微細孔径約60Å、微細孔容積約0.75(ml/g))と、A型シリカゲル(A型シリカゲルは平均吸着表面積約700(m
2/g)、平均微細孔径約24Å、微細孔容積約0.46(ml/g))と比較して、微細孔径及び微細孔容積が大きいため、検査用指示薬含有インク組成物を吸着させる場合には高い吸着性能を発揮することになり、非常に好適である。
【0033】
また、被覆層部には、浸透剤又は膨潤剤を添加することも可能である。浸透剤としては、各種の界面活性剤など公知の物質を用いることができ、膨潤剤としては、セルロース系の膨潤剤など公知の物質を使用することができる。
【0034】
<その他の添加材料>
本発明の吸水処理材において、不織布の粉砕物粒子を用いた場合には、排泄物が排泄された場合において、当該粉砕物粒子を相互に接着させ、塊状とさせることにより、排泄後の排泄物処理材の取り扱いを容易とさせるために、尿の検査に影響を与えない糊料である接着性を有する糊剤が添加される。このような糊剤としては、上記検査用指示薬含有のインク組成物において結合剤として使用される天然親水性高分子化合物、半合成親水性高分子化合物等の水溶性高分子化合物を使用することができる。
【0035】
また、被覆層部には、浸透剤又は膨潤剤を添加することも可能である。浸透剤としては、各種の界面活性剤など公知の物質を用いることができ、膨潤剤としては、セルロース系の膨潤剤など公知の物質を使用することができる。
【0036】
◎各材料の構成比率
本吸水処理材は、粒状芯部が80重量%乃至87重量%、被覆層部が20重量%乃至13重量%の構成比率であることが、粒状芯部の寸法及び被覆層部の層厚や下記の水溶性染料の添加割合との関係上最適である。
【0037】
上記被覆層部は、90重量%乃至96重量%である基材と、10重量%乃至4重量%の排泄物検査用材料とから構成されている。
【0038】
そして、上記排泄物検査用材料における検査用指示薬の添加量は、被覆層部の全体量に対して、0.1重量%を超え1.0重量%以下(好ましくは、0.15重量%乃至0.50重量%)の範囲内となることが必要となる。そのため、検査用指示薬をインク組成物に定着させる場合には、検査用指示薬量が上記範囲内となるように溶媒等の量を調節するとともに、多孔質吸着剤の種類に応じてその量を定める必要がある。
【0039】
本吸水処理材は使用前における美観を保つために、予め所望の明度及び彩度(特に、明度が重要である)に発色させておく必要があるが、上記排泄物検査用材料における検査用指示薬の添加量は、少なすぎると使用前に発色しないことになる。一方、多孔質吸着剤は間隙率に応じて吸着可能な検査用指示薬の量が定まるものであり、当該検査用指示薬を必要以上に多量に添加しても使用前後において、発色の程度(明度)が変化しないことになる。そのため、発明者は鋭意実験を重ねることにより、上記の好適な添加量を見出したものである。
【0040】
[製造方法]
続いて、本発明の吸水処理材の製造方法について、
図1を参照して説明する。
本発明に係る排泄物処理材の製造方法は、造粒工程(S1)と、排泄物検査用指示薬吸着工程(S2)と、被覆材料製造工程(S3)と、被覆工程(S4)と、分粒工程(S5)と、乾燥工程(S6)とから構成されている。
【0041】
(1)造粒工程(S1)
本工程は、粒状芯部を形成する工程である。
本工程では、パルプ廃材等の構成材料を破砕機で所定の大きさに粉砕し、当該粉砕された構成材料を所定の割合となるようにミキサーに投入して混ぜ合わせる。そして、加水して含水率を高めた後に、混合された構成材料を押出造粒することにより、粒状芯部を形成する作業を行うことになる。
【0042】
被覆材料は粒状芯部に存在する水分によってその周囲に付着するため、当該被覆層部の形成前における粒状芯部の含水率の下限値を下回ると、粒状芯部の周囲に被覆層部を形成する材料が付着しないことになる。すなわち、粒状芯部の含水率が20重量%未満の場合には、所定の作用を奏するために必要となる所定厚の被覆層部が形成されず、複層構造の吸水処理材が形成されない結果となり、被覆層部に剥離が生じたり、使用後に塊状にならならず、美観にも優れないため好ましくない。
一方、粒状芯部の含水率が41重量%を上回ると、乾燥工程に時間を要する等の理由で好ましくない。
このような事情を考慮して、上記の押出造粒する場合には、20重量%乃至41重量%(より好ましくは、20重量%乃至25重量%)となるように粒状芯部の含水率を調整することが好ましい。
【0043】
(2)排泄物検査用指示薬吸着工程(S2)
本工程は、排泄物検査用材料を調合する工程である。
本工程では、上記検査用指示薬を溶媒に溶解させて作成した検査用指示薬含有インク組成物を多孔質吸着剤に吸着させる工程である。
【0044】
本工程では、公知の方法により製造された検査用指示薬含有インク組成物を、微細粉末とした多孔質吸着剤に少量ずつ、滴下し、混合することにより、検査用指示薬を多孔質吸着剤に吸着させて排泄物検査用材料を調合する。
検査用指示薬と多孔質吸着剤の構成割合は、多孔質吸着剤の吸着率に依存して定められることになる。しかし、多孔質吸着剤の添加量を所定量より多くすると、多孔質吸着剤の粒子が被覆層部の表層から顕出してしまい、当該顕出した部分が表層から突起状に突出することになる。そして、袋詰時や運搬時において、吸水処理材同士が接触することにより、当該突出部が基端部から分離し、表層部が破損するなどの状態が生じるため好ましくない。
【0045】
また、検査用指示薬の添加量は、被覆層部の全体量に対して、0.1重量%を超え1.0重量%以下の範囲内であることが必要となるが、検査用指示薬をインク組成物に定着させる場合には、検査用指示薬の添加量が上記範囲内となるように溶剤等の量を調節することになる。
ところで、多孔質吸着剤の最大吸着率はその物質により決まっているため、必要となる検査用指示薬を吸着させるための多孔質吸着剤に関する最低必要量が決定されることになり、それにより定められた量の多孔質吸着剤に検査用指示薬含有インク組成物を吸着させることになる。
【0046】
(3)被覆材料製造工程(S3)
本工程は、被覆部を構成する被覆材料を製造する工程である。
本工程は、所定の材料から構成される基材に、排泄物検査用指示薬吸着工程で調合された排泄物検査用材料を添加し、所望の検査用指示薬の量となるように所定の割合で混合することにより被覆材料を製造する工程である。
なお、被覆層部に、浸透剤や膨潤剤などの被覆材料と排泄物検査用材料以外の所望の材料を添加するときは、本工程で行うことになる。
【0047】
(4)被覆工程(S4)
本工程は、粒状芯部の周囲を上記被覆材料で被覆することにより、被覆層部を形成する工程である。本工程では、コーティング装置等を用いて、粒状芯部の周囲に被覆材料を噴霧し、被覆層部を形成することにより、複層構造の吸水処理材を製造する作業を行うことになる。
【0048】
(5)分粒工程(S5)
本工程は、吸水処理材の寸法が所定の規格になるように分粒する工程である。
本工程では、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させることにより規格外の製品を分別し、所定の規格品のみを抽出する作業を行うことになる。
【0049】
(6)乾燥工程(S6)
本工程は、規格品として抽出した吸水処理材を乾燥機で乾燥させる工程である。
吸水性処理材の保存時において粒状芯部の含水率が高い場合には、長期的に粒状芯部の水分が滲出し、品質の劣化の原因となるなど好ましくない。そこで、保存時の品質の劣化等を防ぐことが可能となるように、粒状芯部の含水率が3%以上10%以下の範囲内となるように乾燥させることになる。
【0050】
[作用効果]
本発明の吸水処理材によれば、検査用指示薬を被覆層部の構成材料に直接に添加するのではなく、当該検査用指示薬を一旦溶媒に溶解させ検査用指示薬含有インク組成物とし、その後、多孔質吸着剤に吸着させている。多孔質吸着剤は多数存在する間隙部に検査用指示薬をまんべんなく吸着させているため、特段の処理をすることなく、明確に変色又は明度の変化を認識することが可能となる量の検査用指示薬を均一に保持させることができる。
【0051】
また、被覆層部に検査用指示薬を混入しているため、当該検査用指示薬と接触することにより、被覆層部が速やかに変色等することから、短時間で容易に、検査結果を判別することができる。
さらに、本発明の吸水処理材によれば、検査用指示薬の添加量として、被覆層部の全体量に対して、0.1重量%を超える量を配合しているため、使用前に所定明度及び彩度の発色をさせておくことができるため、外見上も美観を保持させることができる。そのため、検査用指示薬や着色料を含有しないタイプの安価吸水処理材と混合して使用した場合であっても、所定の検査を行うことができるため、経済的にも優れた吸水処理材とすることができる。
【0052】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。本実施形態では、愛玩動用の排泄物を処理するための吸水処理材を例として説明したが、吸水処理材の用途は人間や他の動物等に使用するものであってもいいことは言うまでもない。
また、検査用指示薬として、尿pH値検出用指示薬を例として説明したが、検査用指示薬はそれに限定されるものではなく、尿ブドウ糖検出用指示薬、尿蛋白検出用指示薬、尿潜血検出用指示薬又は尿ウロビリノーゲン検出用指示薬等、各種の指示薬を使用することができる。
【0053】
さらに、上記説明において、造粒工程の後に排泄物検査用指示薬吸着工程を行う説明としたが、両工程は時間的に並列して行ってもよく、上記工程以外にも、適宜、他の工程を追加することも可能である。
また、種類の異なる複数の検査用指示薬を溶媒に溶解させて、多孔質吸着剤に吸着させ、それを被覆層部に添加することとすれば、一度に複数の検査結果の判別を行うことができる。
【実施例】
【0054】
本発明の吸水処理材の性能を調べるために、下記製造方法でサンプルを作成し、発色試験を行った。
【0055】
<構成材料>
以下の試験で使用した各サンプルは、本発明の製造方法により製造されたものであり、粒状芯部と被覆層部とから形成される複層構造の吸水処理材である。当該粒状芯部と被覆層部を構成する材料の重量比は83重量%対17重量%であり、1000gのサンプルを製造した。
【0056】
(1)粒状芯部
バージンパルプ(50重量%、含水率8.0%)、パルプスラッジ(49重量%、含水率57.0%)、コーンスターチ(1重量%、含水率9.0%)を原材料とした。
【0057】
(2)被覆層部
被覆層部は、基材(バージンパルプとカルボキシメチルセルロースの混合物)(但し、配合比率は同重量%)と排泄物検査用材料を混合して生成した。
【0058】
排泄物検査用材料は、検査用指示薬含有インク組成物と多孔質吸着剤から構成されている。
検査用指示薬含有インク組成物は、ブロモチモールブルー(検査用指示薬)(アドバンテック東洋株式会社製)とセルロース系樹脂を有機溶媒(工業用エチルアルコール及びメチルアルコール)に溶解させたものを使用し(いずれも、東洋インキ製造株式会社製)、検査用指示薬の添加量を変化させてサンプルを製造した。
また、多孔質吸着剤として、シリカゲル(A型)の微粉末(ハイモ株式会社製)を使用した。
【0059】
<サンプル>
被覆層部は、全重量に対して、基材を93重量%、排泄物検査用材料を7重量%としている。
そして、被覆層部の全体量に対して、検査用指示薬の配合量を0.09重量%、0.10重量%、0.11重量%、0.15重量%、0.20重量%、0.30重量%、0.40重量%、0.50重量%、0.60重量%、0.70重量%、0.80重量%、0.90重量%、1.00重量%、1.10重量%として、配合比率の異なる合計14サンプルを作成した。
【0060】
<観察結果>
上記の各サンプルに関し、それぞれ使用前、及び、pHが6.8となるように調整した適量の生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.9重量%)の滴下後(使用後に相当)における被覆層部の発色の程度を目視により観察し、マンセルカラーシステムによる明度を測定した(表1)。
【0061】
(1)被覆層部の全重量に対する検査用指示薬の添加量を0.09重量%及び0.10重量%としたサンプル1,2に関しては、使用前において被覆層部の発色が視認されないという不適切な結果となった。
【0062】
【表1】
【0063】
(2)一方、被覆層部の全重量に対する検査用指示薬の添加量を0.11重量〜1.0重量%としたサンプル3〜13に関しては、使用前において所定明度である緑色の発色が生じた。そして、上記と同様な疑似尿を滴下した場合(使用後に相当)には、それぞれ明度が向上し、使用後の状況を確認することができるという良好な結果が得られた。特に、使用前後の明度の変化を視認しやすかったのは、検査用指示薬の添加量を0.15重量〜0.50重量%としたサンプル4〜8であった。
なお、各サンプルに対して、pHが8.0となるように調整した適量の生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.9重量%)を滴下したところ、同一の明度である青色に変色したことが確認された。
【0064】
(3)被覆層部の全重量に対する検査用指示薬の添加量を1.10重量%としたサンプル14に関しては、使用前後において緑色の発色がなされたが明度が変化せず、使用後の状況を確認することができないという不適切な結果となった。
【0065】
以上のように発色試験の結果、検査用指示薬の添加量は、被覆層部の全体量に対して、0.1重量%を超え1.0重量%以下の範囲内(特に、好ましくは、0.15重量%乃至0.50重量%)とすることが好適であることが明かになった。