特許第5764580号(P5764580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サン−ゴバン グラス フランスの特許一覧

<>
  • 特許5764580-電気接続素子を備えた窓ガラス 図000005
  • 特許5764580-電気接続素子を備えた窓ガラス 図000006
  • 特許5764580-電気接続素子を備えた窓ガラス 図000007
  • 特許5764580-電気接続素子を備えた窓ガラス 図000008
  • 特許5764580-電気接続素子を備えた窓ガラス 図000009
  • 特許5764580-電気接続素子を備えた窓ガラス 図000010
  • 特許5764580-電気接続素子を備えた窓ガラス 図000011
  • 特許5764580-電気接続素子を備えた窓ガラス 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764580
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】電気接続素子を備えた窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/58 20060101AFI20150730BHJP
   C03C 17/06 20060101ALI20150730BHJP
   C03C 27/04 20060101ALI20150730BHJP
   B60J 1/00 20060101ALN20150730BHJP
【FI】
   B60S1/58 A
   C03C17/06 A
   C03C27/04 A
   !B60J1/00 B
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-555353(P2012-555353)
(86)(22)【出願日】2011年2月15日
(65)【公表番号】特表2013-521180(P2013-521180A)
(43)【公表日】2013年6月10日
(86)【国際出願番号】EP2011052196
(87)【国際公開番号】WO2011107342
(87)【国際公開日】20110909
【審査請求日】2013年9月12日
(31)【優先権主張番号】10155181.0
(32)【優先日】2010年3月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツイーグラー,シユテフアン
(72)【発明者】
【氏名】ラタイチヤーク,ミチヤ
(72)【発明者】
【氏名】ロイル,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】シユラールブ,アンドレアス
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−218399(JP,A)
【文献】 特開平06−096847(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/098160(WO,A1)
【文献】 特開昭62−172676(JP,A)
【文献】 米国特許第02709211(US,A)
【文献】 特開平08−259278(JP,A)
【文献】 特開平08−231252(JP,A)
【文献】 特開平06−137047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/58
C03C 17/06
C03C 27/04
B60J 1/00 − 1/18
H05B 3/20
H05B 3/84 − 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続素子を備えた自動車用窓ガラスであって、
第1の熱膨張率を備えたソーダ石灰ガラスからなる基板(1)と、
基板(1)のある領域に5μm〜40μmの層厚みを備えた導電性構造(2)と、
第2の熱膨張率を備え、第1の膨張率と第2の膨張率の差が5×10−6/℃未満である電気接続素子(3)と、
導電性構造(2)のサブ領域に電気接続素子(3)を電気的に接続するハンダ材料(4)の層とを含み、
電気接続素子(3)が、少なくとも、鉄50重量%〜60重量%、ニッケル25重量%〜35重量%、コバルト15重量%〜20重量%、シリコン0重量%〜0.5重量%、炭素0重量%〜0.1重量%、およびマンガン0重量%〜0.5重量%を含む、窓ガラス。
【請求項2】
ハンダ材料(4)が、電気接続素子(3)と導電性構造(2)との間の中間スペースから1mm未満の流出幅bで流出し、最大流出幅bが、電気接続素子(3)の外縁と、ハンダ材料(4)が50μmの層厚みを下回るハンダ材料重複部分の点との距離として定義される、請求項1に記載の窓ガラス。
【請求項3】
最大流出幅bが0.5mm未満である、請求項2に記載の窓ガラス。
【請求項4】
ハンダ材料(4)が、電気接続素子(3)と導電性構造(2)との間に凹面メニスカスを形成し、ハンダ材料重複部分の点が、凹面メニスカス上にある、請求項2または3に記載の窓ガラス。
【請求項5】
導電性構造(2)が、8μm〜15μmの層厚みを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の窓ガラス。
【請求項6】
導電性構造(2)が、銀を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の窓ガラス。
【請求項7】
ハンダ材料(4)の層厚みが、3.0×10−4m未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の窓ガラス。
【請求項8】
ハンダ材料(4)が、錫、およびビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、またはそれらの組成物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の窓ガラス。
【請求項9】
ハンダ材料(4)中の錫の割合が、3重量%〜99.5重量%である、請求項8に記載の窓ガラス。
【請求項10】
ハンダ材料(4)中のビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、またはそれらの組成物の割合が、0.5重量%〜97重量%である、請求項8または9に記載の窓ガラス。
【請求項11】
電気接続素子(3)が、ニッケル、錫、銅、および/または銀で被覆されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の窓ガラス。
【請求項12】
電気接続素子(3)が、0.1μm〜0.3μmのニッケルおよび/または3μm〜10μmの銀で被覆されている、請求項11に記載の窓ガラス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の電気接続素子(3)を備えた窓ガラスを製造する方法であって、
a)ハンダ材料(4)は、一定の層厚み、体積、形状、および配置を備えたプレートレットとして電気接続素子(3)上に配置、付着され、
b)導電性構造(2)は、基板(1)上に付着され、
c)電気接続素子(3)は、導電性構造(2)上にハンダ材料(4)とともに配置され、
d)電気接続素子(3)は、導電性構造(2)にハンダ付けされる、方法。
【請求項14】
求項1から12のいずれか一項に記載の電気接続素子を備えた窓ガラスを使用する方法であって、導電性構造(2)が、自動車用窓ガラスの加熱導体、および/または自動車用窓ガラスのアンテナ導体を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続素子を備えた窓ガラス、およびその製造のための経済的で環境に優しい方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、さらに、例えば、加熱導体またはアンテナ導体などの導電性構造を備えた自動車用電気接続素子を備えた窓ガラスに関する。導電性構造は、通例、ハンダ付けされた電気接続素子を介してオンボード電気システムに接続される。使用される材料の異なる熱膨張率により、機械的応力が生じ、それは、窓ガラスを歪ませ、製造および操作中に窓ガラスの破損を引き起こす場合がある。
【0003】
鉛含有ハンダは、高い延性を有し、塑性変形により電気接続素子と窓ガラスとの間に生じる機械的応力を補償することができる。しかしながら、End of Life Vehicles Directive 2000/53/ECのために、鉛含有ハンダは、EC内では無鉛ハンダと取り替えなければならない。指令は、手短に言えば、頭文字ELV(End of Life Vehicles)と称する。目的は、使い捨て電子機器の大量増加に起因する製品からの極めて問題の成分を禁止することである。影響される物質は、鉛、水銀、カドミウム、およびクロムである。これは、とりわけ、ガラス上での電気用途での無鉛ハンダ材料の実装、および対応する置換製品の導入に関係がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1942703号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
欧州特許出願公開第1942703号明細書は、自動車の窓ガラス上の電気接続素子を開示し、窓ガラスと電気接続素子との熱膨張率の差は、5×10−6/℃未満である。適切な機械的安定性およびプロセス可能性を可能にするために、過剰のハンダ材料を使用することが提案されている。過剰のハンダ材料は、接続素子と導電性構造との間の中間スペースから流出する。過剰のハンダ材料は、ガラス窓中に高い機械的応力を引き起こす。これらの機械的応力は、最終的に窓ガラスの破損をもたらす。
【0006】
本発明の目的は、電気接続素子を備えた窓ガラス、およびその製造のための経済的で環境に優しい方法を提供するであり、それによって、窓ガラス中の重大な機械的応力は回避される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、次の特性を含む接続素子を備えた窓ガラスによって達成される:
第1の熱膨張率を備えたガラスからなる基板、
基板のある領域に5μm〜40μm、好ましくは5μm〜20μmの層厚みを備えた導電性構造、
第2の熱膨張率を備え、それによって、第1の膨張率と第2の膨張率との差が5×10−6/℃未満である接続素子、および
導電性構造のサブ領域に接続素子を電気的に接続し、接続素子と導電性構造との間の中間スペースから接続素子の接触面に対して1mm未満の流出幅bで流出するハンダ材料の層。
【0008】
本発明の目的は、次の特性を含む接続素子を備えた窓ガラスによってさらに達成される:
第1の熱膨張率を備えたガラス(1)からなる基板、
基板(1)のある領域に5μm〜40μm、好ましくは、5μm〜20μmの層厚みを備えた導電性構造(2)、
第2の熱膨張率を備え、それによって、第1の膨張率と第2の膨張率との差が5×10−6/℃以上である接続素子(3)、および
導電性構造(2)のサブ領域に接続素子(3)を電気的に接続するハンダ材料(4)の層。
【0009】
導電性構造は、窓ガラス上に付着される。電気接続素子は、サブ領域上のハンダ材料によって導電性構造に電気的に接続されている。ハンダ材料は、接続素子と導電性構造との間の中間スペースから1mm未満の流出幅で流出する。
【0010】
好ましい実施形態では、最大流出幅は、好ましくは、0.5mm未満、特におよそ0mmである。
【0011】
最大流出幅は、接続素子の外側縁と、ハンダ材料の重複部分の点との距離と定義され、その部分で、ハンダ材料は、50μmの層厚みを下回る。最大流出幅は、ハンダプロセス後に固化したハンダ材料上で測定される。
【0012】
所望の最大流出幅は、ハンダ材料、および接続素子と導電性構造との垂直距離を適切に選択することによって得られ、簡単な実験によって決定することができる。接続要素と導電性構造との垂直距離は、適切なプロセス工具、例えば、組み込みスペーサーを備えた工具によってあらかじめ定めることができる。
【0013】
最大流出幅は、さらに、マイナス、つまり、好ましくは凹面メニスカス中の電気接続素子および導電性構造によって形成された中間スペースに引き戻されることができる。凹面メニスカスは、ハンダがまだ流動性である間に、例えば、ハンダプロセスの間にスペーサーと導電性構造との垂直距離を増大させることによって作成される。
【0014】
利点は、窓ガラス中で、特に、大きなハンダ材料の重複部分となる危険域で機械的応力の低下にある。
【0015】
第1の熱膨張率は、好ましくは、8×10−6/℃〜9×10−6/℃である。基板は、好ましくは、0℃〜300℃の温度範囲で、8.3×10−6/℃〜9×10−6/℃の熱膨張率を有するガラスである。
【0016】
第2の熱膨張率は、好ましくは、8×10−6/℃〜9×10−6/℃であり、特に好ましくは、0℃〜300℃の温度範囲で8.3×10−6/℃〜9×10−6/℃である。
【0017】
接続素子の熱膨張率は、4×10−6/℃以下とすることができる。
【0018】
本発明による導電性構造は、好ましくは、8μm〜15μm、特に好ましくは、10μm〜12μmの層厚みを有する。本発明による導電性構造は、好ましくは、銀、特に好ましくは、銀粒子およびガラスフリットを含む。
【0019】
本発明によるハンダの層厚みは、3×10−4未満である。本発明によるハンダ材料は、好ましくは、錫、およびビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、またはそれらの組成物を含む。本発明によるハンダ組成物中の錫の割合は、3重量%〜99.5重量%、好ましくは、10重量%〜95.5重量%、特に好ましくは、15重量%〜60重量%である。本発明によるハンダ組成物中のビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、またはそれらの組成物の割合は、0.5重量%〜97重量%、好ましくは、10重量%〜67重量%であり、それによって、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅、または銀の割合は、0重量%とすることができる。本発明によるハンダ組成物は、0重量%〜5重量%の割合で、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウム、または燐を含むことができる。本発明によるハンダ組成物は、非常に特に好ましくは、Bi40Sn57Ag3、Sn40Bi57Ag3、Bi59Sn40Ag1、Bi57Sn42Ag1、In97Ag3、Sn95.5Ag3.8Cu0.7、Bi67In33、Bi33In50Sn17、Sn77.2In20Ag2.8、Sn95Ag4Cu1、SN99Cu1、Sn96.5Ag3.5、またはそれらの混合物を含む。
【0020】
本発明による接続素子は、好ましくは、少なくとも鉄50重量%〜75重量%、ニッケル25重量%〜50重量%、コバルト0重量%〜20重量%、マグネシウム0重量%〜1.5重量%、シリコン0重量%〜1重量%、炭素0重量%〜1重量%、またはマンガン0重量%〜1重量%を含む。
【0021】
本発明による接続素子は、好ましくは、少なくとも、鉄55重量%〜70重量%、ニッケル30重量%〜45重量%、コバルト0重量%〜5重量%、マグネシウム0重量%〜1重量%、シリコン0重量%〜1重量%、または炭素0重量%〜1重量%を含む。
【0022】
本発明による接続素子は、さらに、好ましくは、少なくとも鉄50重量%〜60重量%、ニッケル25重量%〜35重量%、コバルト15重量%〜20重量%、シリコン0重量%〜0.5重量%、炭素0重量%〜0.1重量%、またはマンガン0重量%〜0.5重量%を含む。
【0023】
本発明による接続素子は、特に好ましくは、ニッケル、錫、銅、および/または銀で被覆されている。本発明による接続素子は、非常に特に好ましくは、0.1μm〜0.3μmのニッケルおよび/または3μm〜10μmの銀で被覆されている。接続素子は、ニッケル、錫、銅、および/または銀でめっきすることができる。NiおよびAgは、接続素子の通電容量および腐食安定性、およびハンダ材料との濡れを向上する。
【0024】
本発明による接続素子は、好ましくは、コバール(FeCoNi)および/またはインバール(FeNi)を含み、インバールの熱膨張率は0.1×10−6/℃〜4×10−6/℃であり、または窓ガラスの膨張率からのコバールの極大差は5×10−6/℃である。
【0025】
コバールは、通常およそ5×10−6/℃の熱膨張率を有する鉄−ニッケル−コバルト合金であり、このように、典型的な金属の熱膨張率未満である。組成物は、例えば、鉄54重量%、ニッケル29重量%、およびコバルト17重量%を含む。超小型電子およびマイクロシステム技術の分野では、コバールは、従って、筐体材料またはサブマウントとして使用される。サブマウントは、サンドイッチ原理にしたがって、実際の基板材料と大部分がはっきりとより高い膨張率を備えた材料との間に位置する。コバールは、このように、他の材料の異なる熱膨張率によって引き起こされる熱機械的応力を吸収、低減する補償素子としての機能を果たす。同様に、コバールは、電子部品の金属−ガラス実装、真空槽中の材料転移に使用される。
【0026】
インバールは、ニッケル36重量%の含有量の鉄−ニッケル合金(FeNi36)である。ある温度範囲に異常に小さい、または時として負の熱膨張率を有する特性を有する一群の合金および化合物がある。Fe65Ni35インバールは、鉄65重量%およびニッケル35重量%を含む。最大1重量%のマグネシウム、シリコン、および炭素は通常合金化されて機械的特性を変える。コバルト5重量%を合金化することによって、熱膨張率αは、さらに低減することができる。合金の1つの名前は、Inovco、0.55×10−6/℃の膨張率α(20℃〜100℃)を備えたFeNi33Co4.5である。
【0027】
4×10/℃未満の非常に低い絶対熱膨張率を備えたインバールなどの合金が使用される場合には、機械的応力の過剰補償が、ガラス中の重大でない加圧応力、または合金中の重大でない引張応力によって生じる。合金の過剰補償のために、接続素子と導電性構造との間の中間スペースからの流出幅は無視できる。
【0028】
コバールおよび/またはインバールは、また、例えば、鋼、アルミニウム、チタン、銅からなる接続素子上の補償プレートとして溶接、圧着、または接着することができる。バイメタルとして、ガラス膨張に対して接続素子の有利な膨張挙動を得ることができる。補償プレートは、好ましくは帽子形状である。
【0029】
電気接続素子は、ハンダ材料に対向する表面上に、銅、亜鉛、錫、銀、金、またはそれらの組み合わせ、好ましくは銀を含むコーティングを含む。これは、コーティングを越えてハンダ材料が広がることを防ぎ、流出幅を限定する。
【0030】
電気接続素子は、少なくとも2つの接触面を備えたブリッジの形態で、しかし1つの接触面を備えた接続素子として設計することができる。
【0031】
接続素子は、平面視で、例えば、好ましくは、長さおよび幅が1mm〜50mm、特に好ましくは、長さおよび幅が3mm〜30mm、非常に特に好ましくは、長さおよび幅が2mm〜4mmおよび12mm〜24mmである。
【0032】
電気接続素子の形状は、接続素子および導電性構造の中間スペースでハンダ溜まりを形成することができる。接続素子上のハンダのハンダ溜まりおよび濡れ特性は、中間スペースからハンダ材料の流出を防ぐ。ハンダ溜まりは、長方形、丸形、または、多角形に設計することができる。
【0033】
ハンダ熱の分布、およびしたがってハンダプロセスの間のハンダ材料の分布は、接続素子の形状によって定めることができる。ハンダ材料は、最も暖かい点に流れる。例えば、ブリッジは、ハンダプロセスの間に接続素子中で熱を有利に分布するために、単一または二重の帽子形状を有することができる。
【0034】
電気的接続および導電性構造の電気的接続の間のエネルギーの導入は、好ましくは、パンチ、サーモード、ピストンハンダ付け、好ましくはレーザーハンダ付け、熱風ハンダ付け、誘導ハンダ付け、抵抗ハンダ付け、および/または超音波で生じる。
【0035】
本発明の目的は、接続素子を備えた窓ガラスの製造方法によってさらに成し遂げられ、
a)ハンダ材料は、一定の層厚み、体積、形状、および配置を備えたプレートレットとして接続素子上に配置、付着され、
b)導電性構造は、基板上に付着され、
c)ハンダ材料を備えた接続素子は、導電性構造上に配置され、
d)接続素子は、導電性構造にハンダ付けされる。
【0036】
ハンダ材料は、好ましくは、一定の層厚み、体積、形状、および配置を備えたプレートレットとして、好ましくは接続素子に予め付着される。
【0037】
接続素子は、例えば、銅からなるシート、編組線、メッシュ(図示せず)に溶接または圧着され、オンボード電気システム(図示せず)に接続されている。
【0038】
接続素子は、建物、特に、自動車、鉄道、航空機、または船中で、加熱された窓ガラスまたはアンテナを備えた窓ガラスで好ましく使用される。接続素子は、窓ガラスの外側に配置された電気システムに窓ガラスの導電構造を接続する役割を果たす。電気システムは、増幅器、制御ユニット、または電源である。
【0039】
本発明は、図面および典型的な実施形態を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明による窓ガラスの第1の実施形態の斜視図である。
図2図1の窓ガラスを通る断面A−Aである。
図3】本発明による代わりの窓ガラスによる断面である。
図4】本発明による他の代わりの窓ガラスによる断面である。
図5】本発明による他の代わりの窓ガラスによる断面である。
図6】本発明による窓ガラスの代わりの実施形態の斜視図である。
図7図6の窓ガラスを通る断面B−Bである。
図8】本発明による方法の詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および図2は、各場合において、電気接続素子3の範囲において本発明による加熱可能な窓ガラス1の詳細を示す。窓ガラス1は、ソーダ石灰ガラスからなる厚み3mmの熱プレストレスト単一窓ガラス安全ガラスであった。窓ガラス1は、幅150cmおよび高さ80cmを有していた。加熱導体構造2の形態の導電性構造2が、窓ガラス1上に印刷された。導電性構造2は、銀粒子およびガラスフリットを含んでいた。窓ガラス1の縁の範囲では、導電性構造2は、幅10mmに広げられ、電気接続素子3用の接触面を形成した。窓ガラス1の縁の範囲では、カバーセリグラフ(図示せず)もあった。電気接続素子3と導電性構造2との間の接触面の範囲で、ハンダ材料4が付着され、電気接続素子3と導電性構造2との間で耐久性のある電気的および機械的接続を達成した。ハンダ材料4は、ビスマス57重量%、錫42重量%、および銀1重量%を含んでいた。ハンダ材料4は、完全に電気接続素子3と導電性構造2との間にあらかじめ定められた体積および形状によって配置された。ハンダ材料4の厚みは250μmであった。電気接続素子3と導電性構造2との間の中間スペースからのハンダ材料4の流出は、50μmの層厚みtを超え、b=0.5mmの最大流出幅で観察された。電気接続素子3は、鉄54重量%、ニッケル29重量%、およびコバルト17重量%を含む合金であった。電気接続素子3は、ブリッジの形態で設計され、幅4mmおよび長さ24mmを有していた。接続素子3の材料厚みは、0.8mmであった。接続素子3の接触面は、幅4mmおよび長さ4mmであった。重大な機械的応力は、接続素子3および導電性構造2によってあらかじめ定められたハンダ材料4の配置により窓ガラス1に観察されなかった。導電性構造2を介しての電気接続素子3への窓ガラス1の接続は、耐久的に安定していた。
【0042】
図3は、図1および図2の例示的実施形態の続きで、本発明による接続素子3の代わりの実施形態を表す。電気接続素子3は、銀含有コーティング5を備えたハンダ材料4に対向する表面上に設けられた。これは、コーティング5を越えてハンダ材料が広がることを防ぎ、流出幅bを限定した。ハンダ材料4の流出幅bは1mm未満であった。重大な機械的応力は、ハンダ材料4の配置により窓ガラス1に観察されなかった。導電性構造2を介しての電気接続素子3への窓ガラス1の接続は、耐久的に安定していた。
【0043】
図4は、図1および図2の例示的実施形態の続きで、本発明による接続素子3の他の代わりの実施形態を表す。電気接続素子3は、ハンダ材料4に対向する表面上に、ハンダ材料4用のハンダ溜まりを形成する250μmの深さを備えた凹部を含んでいた。中間スペースからハンダ材料4の流出を完全に防ぐことは可能であった。窓ガラス1中の熱応力は重大ではなく、耐久性のある電気的機械的接続は、導電性構造2を介して接続素子3と窓ガラス1との間に設けられた。
【0044】
図5は、図1および図2の例示的実施形態の続きで、本発明による接続素子3の他の代わりの実施形態を表す。電気接続素子3は、縁の範囲で上方に曲げられていた。ガラス窓1の縁の範囲の上向きの曲がりの高さは、最高400μmであった。これは、ハンダ材料4用のスペースを形成した。あらかじめ定められたハンダ材料4は、電気接続素子3と導電性構造2との間に凹面メニスカスを形成した。中間スペースからハンダ材料4の流出を完全に防ぐことは可能であった。流出幅bは、およそ0で、形成されたメニスカスのために、大部分は0未満であった。窓ガラス1中の熱応力は重大ではなく、耐久性のある電気的機械的接続は、導電性構造2を介して接続素子3と窓ガラス1との間に設けられた。
【0045】
図6および図7は、ブリッジの形態で接続素子3を備えた本発明による窓ガラス1の他の実施形態を表す。接続素子3は、8×10−6/℃の熱膨張率を備えた鉄含有合金を含んでいた。材料厚みは2mmであった。窓ガラス1を備えた接続素子3の接触面の範囲では、帽子形状の補償部材6は、鉄−ニッケル−コバルト合金で付着された。帽子形状の補償部材6の最大層厚みは、4mmであった。補償部材によって、窓ガラス1およびハンダ材料4の必要条件に接続素子3の熱膨張率を適応させることが可能であった。帽子形状の補償部材6は、半田接続4の生成の間に、向上された熱流れをもたらした。加熱は、主として、接触面の中心で生じた。ハンダ材料4の流出幅bをさらに低減することが可能であった。1mm未満の低い流出幅bおよび適応された膨張率のために、窓ガラス1中の熱応力をさらに低減することが可能であった。窓ガラス1中の熱応力は、重大ではなく、耐久性のある電気的機械的接続が、導電性構造2を介して、接続素子3と窓ガラス1との間に設けられた。
【0046】
図8は、電気接続素子3を備えた窓ガラス1の製造のための本発明による方法を詳細に表す。電気接続素子3を備えた窓ガラスの製造のための本発明による方法の一例が、ここに提示される。第一ステップとして、形状および体積に従ってハンダ材料4を分けることが必要であった。分けられたハンダ材料4は、電気接続素子3上に配置された。電気接続素子3は、導電性構造2上にハンダ材料3とともに配置された。導電性構造2、およびしたがって窓ガラス1への電気接続素子3の耐久性のある接続は、エネルギーの投入を通じて行われた。
【0047】
実施例
試験片が、窓ガラス1(厚み3mm、幅150cm、および高さ80cm)、加熱導体構造の形態の導電性構造2、電気接続素子3、接続素子3の接触面上の銀層、およびハンダ材料4で作製された。ハンダ材料4は、接続素子3の接触面上に一定の層厚み、体積,および形状を備えたプレートレットとして予め付着された。接続素子3は、導電性構造2上に付着されたハンダ材料を用いて付着された。接続素子は、温度200℃で処理時間2秒で導電性構造2上にハンダ付けされた。電気接続素子3と導電性構造2との間の中間スペースからのハンダ材料4の流出は、50μmの層厚みtを超え、b=0.5mmの最大流出幅のみで観察された。導電性構造2、電気接続素子3、接続素子3の接触面上の銀層、およびハンダ材料4の寸法および組成は、表1、図1および図2、および図の説明で分かる。
【0048】
すべての試験片で、+80℃〜−30℃の温度差で、ガラス基板1が壊れ、破損を示さないことが観察されることができた。ハンダ直後に、ハンダ付けされた接続素子3を備えたこれらの窓ガラス1は、突然の温度降下に対して安定していることを証明することができた。
【0049】
【表1】
【0050】
比較例1
比較例1は、次の違いをもって実施例と同様に実施した。導電性構造2、電気接続素子3、接続素子3の接触面上の金属層、およびハンダ材料4の寸法および成分は、表4で分かる。ハンダ材料4は、先行技術に従って、接続素子3の接触面上のプレートレットとして予め付着されなかった。接続素子3は、従来の方法に従って導電性構造2にハンダ付けされた。50μmの層厚みtを超える、電気接続素子3と導電性構造2との間の中間スペースからのハンダ材料4の流出で、平均流出幅b=2mm〜3mmが得られた。
【0051】
+80℃から−30℃の突然の温度差で、ガラス基板1にハンダ付け直後により大きな破損があることが観察された。
【0052】
【表2】
【0053】
比較例2
比較例2は、次の違いをもって実施例と同様に実施した。導電性構造2、電気接続素子3、接続素子3の接触面上の金属層、およびハンダ材料4の寸法および成分は、表3で分かる。ハンダ材料4は、先行技術に従って、接続素子3の接触面上のプレートレットとして予め付着されなかった。接続素子3は、従来の方法に従って導電性構造2にハンダ付けされた。50μmの層厚みtを超える、電気接続素子3と導電性構造2との間の中間スペースからのハンダ材料4の流出で、平均流出幅b=1mm〜1.5mmが得られた。
【0054】
+80℃から−30℃の突然の温度差で、ガラス基板1にハンダ付け直後により大きな破損があることが観察された。
【0055】
【表3】
【0056】
ガラス基板1および本発明による電気接続素子3を備えた本発明による窓ガラスは、突然の温度差に対してより良好な安定性を有していることが証明された。この結果は、当業者にとって予期しないものであり、驚くべきことである。
【符号の説明】
【0057】
1 窓ガラス/ガラス
2 導電性構造/Ag−スクリーンプリント
3 電気接続素子/Fe−Ni合金コバール
4 ハンダ材料(Bi40Sn57Ag3)
5 濡れ層/Agコーティング
6 補償部材
b ハンダ材料の最大流出幅
t ハンダ材料の限定厚み
A−A’、B−B’ 断面線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8