【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、次の特性を含む接続素子を備えた窓ガラスによって達成される:
第1の熱膨張率を備えたガラスからなる基板、
基板のある領域に5μm〜40μm、好ましくは5μm〜20μmの層厚みを備えた導電性構造、
第2の熱膨張率を備え、それによって、第1の膨張率と第2の膨張率との差が5×10
−6/℃未満である接続素子、および
導電性構造のサブ領域に接続素子を電気的に接続し、接続素子と導電性構造との間の中間スペースから接続素子の接触面に対して1mm未満の流出幅bで流出するハンダ材料の層。
【0008】
本発明の目的は、次の特性を含む接続素子を備えた窓ガラスによってさらに達成される:
第1の熱膨張率を備えたガラス(1)からなる基板、
基板(1)のある領域に5μm〜40μm、好ましくは、5μm〜20μmの層厚みを備えた導電性構造(2)、
第2の熱膨張率を備え、それによって、第1の膨張率と第2の膨張率との差が5×10
−6/℃以上である接続素子(3)、および
導電性構造(2)のサブ領域に接続素子(3)を電気的に接続するハンダ材料(4)の層。
【0009】
導電性構造は、窓ガラス上に付着される。電気接続素子は、サブ領域上のハンダ材料によって導電性構造に電気的に接続されている。ハンダ材料は、接続素子と導電性構造との間の中間スペースから1mm未満の流出幅で流出する。
【0010】
好ましい実施形態では、最大流出幅は、好ましくは、0.5mm未満、特におよそ0mmである。
【0011】
最大流出幅は、接続素子の外側縁と、ハンダ材料の重複部分の点との距離と定義され、その部分で、ハンダ材料は、50μmの層厚みを下回る。最大流出幅は、ハンダプロセス後に固化したハンダ材料上で測定される。
【0012】
所望の最大流出幅は、ハンダ材料、および接続素子と導電性構造との垂直距離を適切に選択することによって得られ、簡単な実験によって決定することができる。接続要素と導電性構造との垂直距離は、適切なプロセス工具、例えば、組み込みスペーサーを備えた工具によってあらかじめ定めることができる。
【0013】
最大流出幅は、さらに、マイナス、つまり、好ましくは凹面メニスカス中の電気接続素子および導電性構造によって形成された中間スペースに引き戻されることができる。凹面メニスカスは、ハンダがまだ流動性である間に、例えば、ハンダプロセスの間にスペーサーと導電性構造との垂直距離を増大させることによって作成される。
【0014】
利点は、窓ガラス中で、特に、大きなハンダ材料の重複部分となる危険域で機械的応力の低下にある。
【0015】
第1の熱膨張率は、好ましくは、8×10
−6/℃〜9×10
−6/℃である。基板は、好ましくは、0℃〜300℃の温度範囲で、8.3×10
−6/℃〜9×10
−6/℃の熱膨張率を有するガラスである。
【0016】
第2の熱膨張率は、好ましくは、8×10
−6/℃〜9×10
−6/℃であり、特に好ましくは、0℃〜300℃の温度範囲で8.3×10
−6/℃〜9×10
−6/℃である。
【0017】
接続素子の熱膨張率は、4×10
−6/℃以下とすることができる。
【0018】
本発明による導電性構造は、好ましくは、8μm〜15μm、特に好ましくは、10μm〜12μmの層厚みを有する。本発明による導電性構造は、好ましくは、銀、特に好ましくは、銀粒子およびガラスフリットを含む。
【0019】
本発明によるハンダの層厚みは、3×10
−4未満である。本発明によるハンダ材料は、好ましくは、錫、およびビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、またはそれらの組成物を含む。本発明によるハンダ組成物中の錫の割合は、3重量%〜99.5重量%、好ましくは、10重量%〜95.5重量%、特に好ましくは、15重量%〜60重量%である。本発明によるハンダ組成物中のビスマス、インジウム、亜鉛、銅、銀、またはそれらの組成物の割合は、0.5重量%〜97重量%、好ましくは、10重量%〜67重量%であり、それによって、ビスマス、インジウム、亜鉛、銅、または銀の割合は、0重量%とすることができる。本発明によるハンダ組成物は、0重量%〜5重量%の割合で、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウム、または燐を含むことができる。本発明によるハンダ組成物は、非常に特に好ましくは、Bi40Sn57Ag3、Sn40Bi57Ag3、Bi59Sn40Ag1、Bi57Sn42Ag1、In97Ag3、Sn95.5Ag3.8Cu0.7、Bi67In33、Bi33In50Sn17、Sn77.2In20Ag2.8、Sn95Ag4Cu1、SN99Cu1、Sn96.5Ag3.5、またはそれらの混合物を含む。
【0020】
本発明による接続素子は、好ましくは、少なくとも鉄50重量%〜75重量%、ニッケル25重量%〜50重量%、コバルト0重量%〜20重量%、マグネシウム0重量%〜1.5重量%、シリコン0重量%〜1重量%、炭素0重量%〜1重量%、またはマンガン0重量%〜1重量%を含む。
【0021】
本発明による接続素子は、好ましくは、少なくとも、鉄55重量%〜70重量%、ニッケル30重量%〜45重量%、コバルト0重量%〜5重量%、マグネシウム0重量%〜1重量%、シリコン0重量%〜1重量%、または炭素0重量%〜1重量%を含む。
【0022】
本発明による接続素子は、さらに、好ましくは、少なくとも鉄50重量%〜60重量%、ニッケル25重量%〜35重量%、コバルト15重量%〜20重量%、シリコン0重量%〜0.5重量%、炭素0重量%〜0.1重量%、またはマンガン0重量%〜0.5重量%を含む。
【0023】
本発明による接続素子は、特に好ましくは、ニッケル、錫、銅、および/または銀で被覆されている。本発明による接続素子は、非常に特に好ましくは、0.1μm〜0.3μmのニッケルおよび/または3μm〜10μmの銀で被覆されている。接続素子は、ニッケル、錫、銅、および/または銀でめっきすることができる。NiおよびAgは、接続素子の通電容量および腐食安定性、およびハンダ材料との濡れを向上する。
【0024】
本発明による接続素子は、好ましくは、コバール(FeCoNi)および/またはインバール(FeNi)を含み、インバールの熱膨張率は0.1×10
−6/℃〜4×10
−6/℃であり、または窓ガラスの膨張率からのコバールの極大差は5×10
−6/℃である。
【0025】
コバールは、通常およそ5×10
−6/℃の熱膨張率を有する鉄−ニッケル−コバルト合金であり、このように、典型的な金属の熱膨張率未満である。組成物は、例えば、鉄54重量%、ニッケル29重量%、およびコバルト17重量%を含む。超小型電子およびマイクロシステム技術の分野では、コバールは、従って、筐体材料またはサブマウントとして使用される。サブマウントは、サンドイッチ原理にしたがって、実際の基板材料と大部分がはっきりとより高い膨張率を備えた材料との間に位置する。コバールは、このように、他の材料の異なる熱膨張率によって引き起こされる熱機械的応力を吸収、低減する補償素子としての機能を果たす。同様に、コバールは、電子部品の金属−ガラス実装、真空槽中の材料転移に使用される。
【0026】
インバールは、ニッケル36重量%の含有量の鉄−ニッケル合金(FeNi36)である。ある温度範囲に異常に小さい、または時として負の熱膨張率を有する特性を有する一群の合金および化合物がある。Fe
65Ni
35インバールは、鉄65重量%およびニッケル35重量%を含む。最大1重量%のマグネシウム、シリコン、および炭素は通常合金化されて機械的特性を変える。コバルト5重量%を合金化することによって、熱膨張率αは、さらに低減することができる。合金の1つの名前は、Inovco、0.55×10
−6/℃の膨張率α(20℃〜100℃)を備えたFeNi33Co4.5である。
【0027】
4×10
6/℃未満の非常に低い絶対熱膨張率を備えたインバールなどの合金が使用される場合には、機械的応力の過剰補償が、ガラス中の重大でない加圧応力、または合金中の重大でない引張応力によって生じる。合金の過剰補償のために、接続素子と導電性構造との間の中間スペースからの流出幅は無視できる。
【0028】
コバールおよび/またはインバールは、また、例えば、鋼、アルミニウム、チタン、銅からなる接続素子上の補償プレートとして溶接、圧着、または接着することができる。バイメタルとして、ガラス膨張に対して接続素子の有利な膨張挙動を得ることができる。補償プレートは、好ましくは帽子形状である。
【0029】
電気接続素子は、ハンダ材料に対向する表面上に、銅、亜鉛、錫、銀、金、またはそれらの組み合わせ、好ましくは銀を含むコーティングを含む。これは、コーティングを越えてハンダ材料が広がることを防ぎ、流出幅を限定する。
【0030】
電気接続素子は、少なくとも2つの接触面を備えたブリッジの形態で、しかし1つの接触面を備えた接続素子として設計することができる。
【0031】
接続素子は、平面視で、例えば、好ましくは、長さおよび幅が1mm〜50mm、特に好ましくは、長さおよび幅が3mm〜30mm、非常に特に好ましくは、長さおよび幅が2mm〜4mmおよび12mm〜24mmである。
【0032】
電気接続素子の形状は、接続素子および導電性構造の中間スペースでハンダ溜まりを形成することができる。接続素子上のハンダのハンダ溜まりおよび濡れ特性は、中間スペースからハンダ材料の流出を防ぐ。ハンダ溜まりは、長方形、丸形、または、多角形に設計することができる。
【0033】
ハンダ熱の分布、およびしたがってハンダプロセスの間のハンダ材料の分布は、接続素子の形状によって定めることができる。ハンダ材料は、最も暖かい点に流れる。例えば、ブリッジは、ハンダプロセスの間に接続素子中で熱を有利に分布するために、単一または二重の帽子形状を有することができる。
【0034】
電気的接続および導電性構造の電気的接続の間のエネルギーの導入は、好ましくは、パンチ、サーモード、ピストンハンダ付け、好ましくはレーザーハンダ付け、熱風ハンダ付け、誘導ハンダ付け、抵抗ハンダ付け、および/または超音波で生じる。
【0035】
本発明の目的は、接続素子を備えた窓ガラスの製造方法によってさらに成し遂げられ、
a)ハンダ材料は、一定の層厚み、体積、形状、および配置を備えたプレートレットとして接続素子上に配置、付着され、
b)導電性構造は、基板上に付着され、
c)ハンダ材料を備えた接続素子は、導電性構造上に配置され、
d)接続素子は、導電性構造にハンダ付けされる。
【0036】
ハンダ材料は、好ましくは、一定の層厚み、体積、形状、および配置を備えたプレートレットとして、好ましくは接続素子に予め付着される。
【0037】
接続素子は、例えば、銅からなるシート、編組線、メッシュ(図示せず)に溶接または圧着され、オンボード電気システム(図示せず)に接続されている。
【0038】
接続素子は、建物、特に、自動車、鉄道、航空機、または船中で、加熱された窓ガラスまたはアンテナを備えた窓ガラスで好ましく使用される。接続素子は、窓ガラスの外側に配置された電気システムに窓ガラスの導電構造を接続する役割を果たす。電気システムは、増幅器、制御ユニット、または電源である。
【0039】
本発明は、図面および典型的な実施形態を参照して詳細に説明する。