特許第5764609号(P5764609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764609
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】ブッシュ分力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/16 20060101AFI20150730BHJP
   B60G 7/02 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   G01L5/16
   B60G7/02
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-98596(P2013-98596)
(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-219269(P2014-219269A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下山 浩
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4347784(JP,B2)
【文献】 特開2005−147291(JP,A)
【文献】 特許第5140853(JP,B2)
【文献】 米国特許第7770461(US,B2)
【文献】 特開2012−127764(JP,A)
【文献】 特開2004−270832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/
G01L 5/
B60G 7/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフレームに設けられた孔部に圧入されるブッシュに作用する分力を検出するブッシュ分力検出装置であって、
孔部に対して所定の隙間を有して挿入される円筒部材であって、複数の歪みゲージが配置された円筒部と、
円筒部の軸方向に延び、円筒部の外側面から径方向外側に突出形成された弾性変形可能な複数の外側突出部と、
円筒部の軸方向に延び、円筒部の内側面から径方向内側に突出形成された弾性変形可能な複数の内側突出部と、
を備え
前記歪みゲージは、前記内側突出部と前記外側突出部との間に、前記円筒部材の軸方向に沿った列となって貼付されている
ことを特徴とするブッシュ分力検出装置。
【請求項2】
外側突出部は、隣接する他の外側突出部に対して円筒部の周方向に間隔を有して配置され、
内側突出部は、隣接する他の内側突出部に対して円筒部の周方向に間隔を有して配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のブッシュ分力検出装置。
【請求項3】
外側突出部と内側突出部とは、円筒部の周方向に交互に並んで配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のブッシュ分力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の構造部材の連結部に設けられたブッシュに作用する分力を検出するためのブッシュ分力検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のサスペンションは、車両の乗り心地や操縦の安定性などに影響を与えるため、サスペンションの分力を測定して車両の乗り心地や操縦の安定性などを評価する。そして、車両の乗り心地や操縦の安定性などの評価に基づいて車両の設計などを行う。したがって、サスペンションの各部における動的な分力変化を正確に測定することにより、車両の乗り心地や操縦の安定性などを向上させることができる。
【0003】
そこで、特にサスペンション機構の各部において作用するヨー、ピッチ、ロール等の分力の変化を検出するための様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、複数の歪みゲージを備え、車両のサスペンション機構におけるダンパなどの棒状体に密着固定させる荷重測定センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−85514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車両のフレームとアーム部材との連結部となる各軸は、アーム部材の可動の基点となるため、サスペンション機構の設計や調整には、フレームとアーム部材との連結部における分力の検出を高精度で行うことが必要となる。
【0006】
しかしながら、サスペンションの各部の挙動を測定する際に、上記のように、ダンパやアーム部材等にセンサを取り付けたとしても、サスペンションの各軸(各部材の可動連結部分)の挙動を正確に測定することはできない。すなわち、サスペンションの各軸の挙動を測定するには、測定する軸に連結するアームやダンパなどに取り付けられたセンサによる測定結果を基に算出することになるので予測値にすぎない。特に、サスペンションの軸受けに弾性のブッシュを用いた場合、ブッシュの取付部材の位置や材質等によってブッシュにおいて作用する力の分布が異なるため、上記のような算出方法では、ブッシュにおいて作用する力の分布を正確に測定することは困難である。
【0007】
そこで、本願発明は、車両のサスペンション機構における各軸受けにおいて分力の分布等も高精度で検出することができるブッシュ分力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るブッシュ分力検出装置は、車両のフレームに設けられた孔部に圧入されるブッシュに作用する分力を検出するブッシュ分力検出装置であって、孔部に対して所定の隙間を有して挿入される円筒部材であって、外周面に複数の歪みゲージが配置された円筒部と、円筒部の軸方向に延び、円筒部の外側面から径方向外側に突出形成された弾性変形可能な複数の外側突出部と、円筒部の軸方向に延び、円筒部の内側面から径方向内側に突出形成された弾性変形可能な複数の内側突出部と、を備え、歪みゲージは、内側突出部と外側突出部との間に、円筒部材の軸方向に沿った列となって貼付されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明に係るブッシュ分力検出装置は、第1の発明に係るブッシュ分力検出装置であって、外側突出部は、隣接する他の外側突出部に対して円筒部の周方向に間隔を有して配置され、内側突出部は、隣接する他の内側突出部に対して円筒部の周方向に間隔を有して配置されている、ことを特徴とする。
【0010】
第3の発明に係るブッシュ分力検出装置は、第1の発明または第2の発明に係るブッシュ分力検出装置であって、外側突出部と内側突出部とは、円筒部の周方向に交互に並んで配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブッシュを圧入する車両の孔部に挿入される円筒部の外側面と内側面とにそれぞれ突出部を設け、円筒部に歪みゲージを貼付している。そのため、円筒部の変形を突出部によって抑制することができるともに、円筒部が変形したとしてもブッシュや孔部の内側面に接触することを回避することができるので、ブッシュに作用する分力を正確に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の車両のサスペンション装置を車両前方から見た模式的正面図である。
図2図1のサスペンション装置を上方から見た模式的平面図である。
図3】本発明のフロントブッシュ取付部の斜視図、フロントブッシュの斜視図、感受体の斜視図、およびロアアーム先端部の斜視図である。
図4図3(d)のA−A´断面図である。
図5図3(d)のB−B´断面図である。
図6図5の一部を拡大した模式的断面図である。
図7】本発明の感受体の模式的斜視図である。
図8】6分力検出装置における力検出系のブリッジ回路の構成を示す図である。
図9】6分力検出装置におけるモーメント検出系のブリッジ回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図9は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0014】
図1図2に示すように、本発明のブッシュ分力検出装置を備えた車両の車体1は、サイドメンバ2と、アッパメンバ3と、ストラットタワー4と、クロスメンバ5と、サスペンション装置10とを備えている。
【0015】
サイドメンバ2は、車室前部隔壁である図示しないトーボードから、車両前方向に延びる構造部材であり、車両のエンジンルームを挟んで左右に一対に設けられている。左右のサイドメンバ2の後端部同士は、連結部材21によって連結されている。
【0016】
アッパメンバ3は、左右のサイドメンバ2の上方の車外側方向にそれぞれ設けられ、車室前部隔壁から車両前方向に向かって、エンジンフードの左右両端部に沿うように延びる構造部材である。
【0017】
ストラットタワー4は、サイドメンバ2の車幅方向外側の端部から、アッパメンバ3の車幅方向内側の端部にかけて設けられており、後述するショックアブソーバ41の上端部が固定されている。
【0018】
クロスメンバ5は、車両幅方向に延びる構造部材であり、両端部がそれぞれ左右のサイドメンバ2の下面にボルト等によって締結されている。また、クロスメンバ5の下部には、後述するロワアーム6が接続されるブラケット51が、下方に向かって突出形成されている。
【0019】
サスペンション装置10は、ショックアブソーバ41と、ロワアーム6と、サポートプレート7とを備えている。
【0020】
ショックアブソーバ41は、外周面にコイルスプリング42を有する油圧式緩衝装置であり、上端部がストラットタワー4に回転可能に取り付けられ、下端部は前輪11を回転可能に支持する図示しない前輪懸架部材の上端部に締結されて固定されている。
【0021】
ロワアーム6は、前輪懸架部材の下端部を支持するサスペンションアームであり、車幅方向に左右一対に設けられている。左右のロワアーム6の車体幅方向内側端部の車両前後方向前側にはフロントブッシュ取付部61が設けられ、車体幅方向内側端部の車両前後方向後側にはリアブッシュ取付部62が設けられ、車体幅方向外側端部にはボールジョイント63が設けられている。
【0022】
フロントブッシュ取付部61は、図3(a)に示すように、ロワアーム6の先端部分に設けられており、中心軸がロワアーム6の上下方向の揺動中心軸に沿って延びる円筒形状の孔部61aが形成されている。そして、孔部61aには、後述する感受体150に圧入されたフロントブッシュ100が圧入されている。
【0023】
フロントブッシュ100は、図3(b)に示すように、円筒形状に形成された防振用のゴムブッシュであり、内筒110とゴム部120とから構成される。ゴム部120には、内筒110の軸方向に貫通した開口部であるスグリ部121が左右一対に形成されている。スグリ部121は平面視において内筒110を中心とする円弧形状に形成され、ゴム部120の弾性を径方向(x軸方向)とx軸と直交する径方向(y軸方向)とで異ならせている。
【0024】
感受体150は、後述するフロントブッシュ分力検出装置160を構成し、図3(c)に示すように、円筒形状に形成されており、内周面には複数の内側突出部130が設けられ、外周面には複数の外側突出部140が設けられている。内側突出部130は、感受体150の軸方向に沿って形成された弾性部材であり、感受体150の内周面から径方向内側に向かって突出形成されている。また、外側突出部140は、感受体150の軸方向に沿って形成された弾性部材であり、感受体150の外周面から径方向外側に向かって突出形成されている。内側突出部130と外側突出部140とは、感受体150の周方向に等間隔に交互に配設されている。本実施形態では、内側突出部130と外側突出部140とは、それぞれ4本ずつ設けられている。
【0025】
そして、図3(d)に示すように、フロントブッシュ100は感受体150内に圧入され、さらに、フロントブッシュ100が圧入された感受体150は、孔部61aに圧入されている。すなわち、フロントブッシュ100は、図4乃至図6に示すように、フロントブッシュ100の外周面と孔部61aの内周面との間に挟まれるように感受体150が配設されている。そして、フロントブッシュ100による径方向外側への圧力によって、フロントブッシュ100が感受体150の内周面に係止されるとともに、フロントブッシュ100が圧入された感受体150が孔部61aの内周面に係止されている。
【0026】
リアブッシュ取付部62は、リアブッシュ200が圧入され固定される部分であり、中心軸がロワアーム6の車体前後方向の揺動中心軸に沿って延びる円筒型に形成された孔部が形成されている。リアブッシュ200は、フロントブッシュ100とほぼ同様に構成される防振用のゴムブッシュであり、内筒とゴム部とから構成され、ゴム部にはスグリ部が形成されている。そして、ロワアーム6は、リアブッシュ取付部62に圧入されたリアブッシュ200の内筒に挿入されたボルトを介して、サポートプレート7に連結される。
【0027】
サポートプレート7は、ロワアーム6の下部を支持する板状部材であり、左右のロワアーム6のリアブッシュ取付部62に圧入されたリアブッシュ200とボルトを介して連結されるとともに、サイドメンバ2の後端部付近にボルト等によって締結されている。
【0028】
次に、フロントブッシュ100に作用する分力を検出するためのフロントブッシュ分力検出装置160について、図4乃至図9を用いて説明する。
【0029】
フロントブッシュ分力検出装置160は、ロワアーム6とクロスメンバ5とを連結するフロントブッシュ100に作用する6分力を検出するものである。フロントブッシュ分力検出装置160は、感受体150と感受体150に設けられた複数の歪みゲージ、およびこのゲージを含むブリッジ回路を有し、Fx検出系、Fy検出系、Fz検出系、Mx検出系、My検出系、Mz検出系を備えている。
【0030】
図7に示すように、各歪みゲージは、感受体150の外周面の内側突出部130と外側突出部140との間に、感受体150の軸方向に沿った列となって貼付されている。したがって、図4乃至図6に示すように、感受体150の外周面と孔部61aの内周面とは外側突出部140によって離間しているため、感受体150の外周面に貼付された歪みゲージは、孔部61aの内周面には接触しない。なお、この歪みゲージの列は複数形成されており、本実施形態では、歪みゲージは8列となって感受体150に貼付されている。
【0031】
Fx検出系は、感受体150に作用する径方向(以下、x軸方向)の力Fxを検出するものである。
Fy検出系は、感受体150に作用するx軸方向と直交する方向の径方向(以下、y軸方向)の力Fyを検出するものである。
Fz検出系は、感受体150に作用する軸方向(以下、z軸方向)の力Fzを検出するものである。
Mx検出系は、感受体150に作用するx軸回りのモーメントMxを検出するものである。
My検出系は、感受体150に作用するy軸回りのモーメントMyを検出するものである。
Mz検出系は、感受体150に作用するz軸回りのモーメントMzを検出するものである。
【0032】
Fx検出系、Fy検出系、Fz検出系、Mx検出系、My検出系、およびMz検出系は、それぞれ4つの歪みゲージを含むブリッジ回路を有している。
【0033】
Fx検出系は、歪みゲージ151a、151b、151c、151dを有している。歪みゲージ151a〜151dは、単軸の歪みゲージであって、その検出方向が感受体150の中心軸方向と平行となるように、感受体150の外周面に貼付されている。
【0034】
また、図8(a)に示すように、Fx検出系のブリッジ回路は、歪みゲージ151a〜151dをループ状に順次接続し、歪みゲージ151bと151cとの間、および歪みゲージ151aと151dとの間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、歪みゲージ151aと151bとの間、および歪みゲージ151cと151dとの間の電位差を生じさせるものである。
【0035】
図7に示すように、Fy検出系は、歪みゲージ152a、152b、152c、152dを有している。歪みゲージ152a〜152dは、単軸の歪みゲージであって、その検出方向が感受体150の中心軸方向と平行となり、かつ、それぞれ歪みゲージ151a〜151dの添付位置に対して感受体150の中心軸回りの位相が90度ずれた位置となるように、感受体150の外周面に貼付されている。
【0036】
また、図8(b)に示すように、Fy検出系のブリッジ回路は、歪みゲージ152a〜152dをループ状に順次接続し、歪みゲージ152bと152cとの間、および歪みゲージ152aと152dとの間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、歪みゲージ152aと152bとの間、および歪みゲージ152cと152dとの間の電位差を生じさせるものである。
【0037】
図7に示すように、Fz検出系は、歪みゲージ153a、153b、153c、153dを有している。歪みゲージ153a〜153dは、単軸の歪みゲージであって、その検出方向が感受体150の中心軸方向と平行となるように、感受体150の外周面に貼付されている。歪みゲージ153aは、歪みゲージ151aと151bとの中間に配置され、歪みゲージ153b〜153dは、それぞれ歪みゲージ153aに対して、感受体150の中心軸回りの位相が90度、180度、270度ずれた位置に配置されている。
【0038】
また、図8(c)に示すように、Fz検出系のブリッジ回路は、歪みゲージ153a〜153dをループ状に順次接続し、歪みゲージ153aと153cとの間、および歪みゲージ153bと153dとの間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、歪みゲージ153aと153bとの間、および歪みゲージ153cと153dとの間の電位差を生じさせるものである。
【0039】
図7に示すように、Mx検出系は、歪みゲージ154a、154b、154c、154dを有している。歪みゲージ154a〜154dは、単軸の歪みゲージであって、その検出方向が感受体150の中心軸方向と平行となるように、感受体150の外周面に貼付されている。歪みゲージ154a〜154dは、それぞれ歪みゲージ152a〜152dに対して、感受体150の中心軸方向に隣接して配置されている。
【0040】
また、図9(a)に示すように、Mx検出系のブリッジ回路は、歪みゲージ154a〜154dをループ状に順次接続し、歪みゲージ154aと154cとの間、および歪みゲージ154bと154dとの間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、歪みゲージ154aと154bとの間、および歪みゲージ154cと154dとの間の電位差を生じさせるものである。
【0041】
図7に示すように、My検出系は、歪みゲージ155a、155b、155c、155dを有している。歪みゲージ155a〜155dは、単軸の歪みゲージであって、その検出方向が感受体150の中心軸方向と平行となるように、感受体150の外周面に貼付されている。歪みゲージ155a〜155dは、それぞれ歪みゲージ151a〜151dに対して、感受体150の中心軸方向に隣接して配置されている。
【0042】
また、図9(b)に示すように、My検出系のブリッジ回路は、歪みゲージ155a〜155dをループ状に順次接続し、歪みゲージ155aと155cとの間、および歪みゲージ155bと155dとの間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、歪みゲージ155aと155bとの間、および歪みゲージ155cと155dとの間の電位差を生じさせるものである。
【0043】
図7に示すように、Mz検出系は、歪みゲージ156a、156b、156c、156dを有している。歪みゲージ156a〜156dは、せん断形の歪みゲージであって、その検出方向が感受体150の周方向と平行となるように、感受体150の外周面に貼付されている。歪みゲージ156aと156bは、それぞれ歪みゲージ153aと153bとの間、歪みゲージ153bと153dとの間に配置され。歪みゲージ156cと156dとは、それぞれ歪みゲージ156aと156bに対して、感受体150の中心軸対称となるように配置されている。
【0044】
また、図9(c)に示すように、Mz検出系のブリッジ回路は、歪みゲージ156a〜156dをループ状に順次接続し、歪みゲージ156aと156cとの間、および歪みゲージ156bと156dとの間に電源の正極、負極をそれぞれ接続するとともに、歪みゲージ156aと156bとの間、および歪みゲージ156cと156dとの間の電位差を生じさせるものである。
【0045】
このような構成により、フロントブッシュ分力検出装置160は、フロントブッシュ100において作用する分力分布を検出する。例えば、図4に示すP点はフロントブッシュ取付部61の基端中心部であり、Q点はフロントブッシュ取付部61の最先端部分である。本実施形態において、P点部分の歪みは1.1mv/vと検出され、Q点部分の歪みは1.36mv/vと検出され、力FxはP点側に変位していることが観測できる。このように、フロントブッシュ100に作用する力を部位毎に検出することで、フロントブッシュ取付部61の形状や配置、スグリ部の大きさなどによる力の変位を正確に観測することが可能となる。
【0046】
なお、リアブッシュ200にも、リアブッシュ200に作用する分力を検出するためのリアブッシュ検出装置が設けられており、リアブッシュ検出装置は、フロントブッシュ分力検出装置160と同様に、内輪、外輪、および感受体から構成されている。そして、リアブッシュ検出装置により、リアブッシュ200に作用する径方向(x軸方向およびy軸方向)に作用する分力、軸方向(z軸方向)に作用する分力、x軸回り方向に作用する分力、y軸回り方向に作用する分力、z軸回り方向に作用する分力をそれぞれ検出可能となっている。
【0047】
以上のように、フロントブッシュ100と孔部61aとの間に設けられた感受体150の内周面に内側突出部130を備え、外周面に外側突出部140と歪みゲージとを備えることにより、フロントブッシュ100に作用する分力分布を直接的かつ正確に検出することが可能となる。すなわち、感受体150に圧入されるフロントブッシュ100の外周面は、感受体150内周面との接触面積が内側突出部130によって拡大されるため、フロントブッシュ100の圧力による感受体150の変形を最小限に抑え、正確な分力の検出が可能になっている。また、また、外側突出部140によって感受体150の外周面と孔部61aの内周面とは一定の間隔が保たれ、感受体150の変形を許容するとともに、歪みゲージが孔部61aの内周面に接触することによる不具合を回避することができるので、常に、分力を正確に検出することができる。
【0048】
また、感受体150の外周面および内周面に設けられた複数の内側突出部130と外側突出部140は等間隔に配置されているため、感受体150の偏った変形を防止することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、車両のサスペンション装置10において、ロワアーム6とクロスメンバ5とがフロントブッシュ100を介して連結し、ロワアーム6とサポートプレート7とがリアブッシュ200を介して連結し、フロントブッシュ100とリアブッシュ200とにそれぞれブッシュに作用する分力を検出するための分力検出装置を設けている。しかし、これに限らず、その他の構造部材の連結部分の軸受け部材にブッシュを用いてもよいし、当該ブッシュに、フロントブッシュ100におけるフロントブッシュ分力検出装置160と同様の分力検出装置を設けてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、フロントブッシュ100やリアブッシュ200はゴムブッシュを用いているが、これに限らず、例えばウレタン等を用いたブッシュとしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、複数の歪みゲージが感受体150の外周面に貼付されているが、これに限らず、感受体150の内周面に貼付するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態においては、車両に取り付けられたフロントブッシュ100に作用する分力を検出するためにフロントブッシュ分力検出装置160を用いているが、これに限らず、例えば、感受体を独立して設け、当該感受体にブッシュを圧入して当該ブッシュに作用する分力を検出するようにしてもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、内側突出部130と外側突出部140とが感受体150の周方向に等間隔で設けられているが、これに限らず、不等間隔でもうけてもよい。この場合は、各ブリッジ回路において、測定値に対する補正を行う必要がある。
【0054】
また、本実施形態においては、外側突出部140は感受体150の外周面に設けられているが、これに限らず、孔部61aの内周面に設けるようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態においては、内側突出部130と外側突出部140とは、それぞれ4カ所ずつ設けられているが、これに限らず、これによりも多くても少なくてもよいし、内側突出部130の設置数を外側突出部140よりも多くしてもよいし少なくしてもよい。また、歪みゲージは8列となって感受体150に貼付されているが、例えば4列や16列などとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 車体
2 サイドメンバ
3 アッパメンバ
4 ストラットタワー
5 クロスメンバ
6 ロワアーム
7 サポートプレート
10 サスペンション装置
11 前輪
21 連結部材
41 ショックアブソーバ
42 コイルスプリング
51 ブラケット
61 フロントブッシュ取付部
61a 孔部
62 リアブッシュ取付部
63 ボールジョイント
100 フロントブッシュ
110 内筒
120 ゴム部
121 スグリ部
130 内側突出部
140 外側突出部
150 感受体
151a〜151d Fx検出系の単軸歪みゲージ
152a〜152d Fy検出系の単軸歪みゲージ
153a〜153d Fz検出系の単軸歪みゲージ
154a〜154d Mx検出系の単軸歪みゲージ
155a〜155d My検出系の単軸歪みゲージ
156a〜156d Mz検出系のせん断形歪みゲージ
160 フロントブッシュ分力検出装置
200 リアブッシュ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9