(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764622
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】レンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20150730BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-169848(P2013-169848)
(22)【出願日】2013年8月19日
(65)【公開番号】特開2014-52626(P2014-52626A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2013年8月19日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0098430
(32)【優先日】2012年9月5日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0073993
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】蔡 奎 ▲文▼
(72)【発明者】
【氏名】朴 一 容
【審査官】
堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−044373(JP,A)
【文献】
特開2014−026254(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/008357(WO,A1)
【文献】
特開2012−155223(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/129319(WO,A1)
【文献】
特開2010−224521(JP,A)
【文献】
特開2010−262270(JP,A)
【文献】
特開2012−008489(JP,A)
【文献】
特開2001−124990(JP,A)
【文献】
特開平07−234361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 13/00
G02B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体面から撮像面に順次配置される第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ群及び第4レンズで構成され,
前記第1レンズは、正(+)の屈折力を有し、
前記第2レンズは、負(−)の屈折力を有し、
前記第3レンズ群は、正(+)の屈折力を有し、
前記第4レンズは、負(−)の屈折力を有しており、
前記第3レンズ群は、正(+)の屈折力を有する第1サブレンズ、第2サブレンズ、及び第3サブレンズで構成され,
前記第4レンズは、
光軸周辺の中心部及び前記中心部の外側に形成された外郭部で構成され、
前記撮像面側の前記中心部は、凹状に形成され、前記撮像面側の前記外郭部は、凸状に形成され、
前記第1レンズの両側面が、凸状であり、
前記第2レンズの前記被写体面側の面が、凸状であり、
前記第1サブレンズは、前記被写体面側の面が凸状であり、前記撮像面側の面が凹状であることを特徴とするレンズモジュール。
【請求項2】
前記レンズモジュールの全体焦点距離をfとし、前記第1サブレンズ、前記第2サブレンズ、及び前記第3サブレンズの合成焦点距離をf3とする場合、
(f3/f)<1.0を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記レンズモジュールの全体焦点距離をfとし、前記第1レンズの焦点距離をf1とする場合、(f1/f)<1.5を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記第1レンズ乃至前記第4レンズのうちの少なくとも一つのレンズの片面または両面は、非球面を含むことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記第1レンズのアッベ(Abbe)数をV1とし、前記第2レンズのアッベ数をV2とする場合、20<V1−V2<60を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記第1レンズのアッベ数をV1とし、前記第2レンズのアッベ数をV2とする場合、
40<V1<60、及び20<V2<30を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項7】
前記第2レンズの屈折率をn2とする場合、
1.60<n2<1.80を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項8】
前記第1レンズの屈折率をn1とする場合、
1.50<n1<1.70を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュー
【請求項9】
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ群、及び前記第4レンズは、プラスチック材質からなることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項10】
前記第1レンズの全体焦点距離をf1とし、前記第1サブレンズ、前記第2サブレンズ、及び前記第3サブレンズの合成焦点距離をf3とする場合、
(f1/f3)>1.0を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項11】
前記第1レンズ及び前記第2レンズの合成焦点距離をf12とし、前記第1サブレンズ、前記第2サブレンズ、及び前記第3サブレンズの合成焦点距離をf3とする場合、(f12/f3)>2.0を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項12】
前記第1サブレンズ、前記第2サブレンズ、及び前記第3サブレンズの合成焦点距離をf3とし、前記第4レンズの焦点距離をf4とする場合、
−2.0<(f4/f3)<−0.5を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項13】
前記第1レンズの焦点距離をf1とし、前記第2レンズ焦点距離をf2とする場合、
−2.0<(f2/f1)<−0.5を満たすことを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イメージピックアップシステム(Image Pick-up System)に係り、通信端末機用カメラモジュール、デジタルスチールカメラ(DSC; Digital Still Camera)、カムコーダ、PCカメラ(パーソナルコンピューターに付属した撮像装置)などが研究されている。
【0003】
このようなイメージピックアップシステムに関連されたカメラモジュールが像(image)を得るために、最も重要な構成要素は、像を結像するレンズが複数具備されたレンズモジュールである。
【0004】
ピクセルの大きさ(Pixel Size)>1.4μmであるセンサーに適用される光学系としては、8M級の高画素のカメラに4枚光学系が主に使用され、1.12μmセンサーには5枚レンズが主に使用される。
【0005】
4枚光学系は、第1レンズと第2レンズが光学系の全体的な屈折力を担い、第3レンズと第4レンズが、像面湾曲(Field Curvature)、歪曲(distortion)及び第1レンズと第2レンズにより補正されなかった収差を補正する役割を担い、このうち、第1レンズと第2レンズのいずれかの一つのレンズは、クラウン(Crown)系列であり、他の一つのレンズは、フリント(Flint)材質を用いて縦色収差(Longitudinal Chromatic Aberration)を補正し、主に第2レンズが負の屈折力を有しながらフリント材質からなる。
【0006】
4枚光学系を構成する4枚のレンズとして最も広く使用されるパワー配置は、一般的に第1レンズから(+)(−)(+)(−)の屈折力を有するレンズである。
【0007】
5枚光学系は、主に4枚光学系の2番レンズまたは3番レンズを分離して、レンズ当たり屈折角を小さくし、フィールド(Field)別の性能をより最適化することで実現される。
【0008】
本発明の背景技術は、韓国公開特許公報第10-2012-0039075号(2012年04月25日公開、撮像レンズ、撮像装置及び携帯端末機)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、4枚レンズのレンズモジュールのうち、第3番レンズを分離して、レンズ当たり屈折率を小さくし、フィールド別の性能を最適化することができるレンズモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、被写体面から撮像面に順次配置される第1レンズ、第2レンズ、
第3レンズ群及び第4レンズを含み、上記第1レンズは、正(+)の屈折力を有し、上記第2レンズは、負(−)の屈折力を有し、上記
第3レンズ群は、正(+)の屈折力を有し、上記第4レンズは、負(−)の屈折力を有しており、上記
第3レンズ群は、正(+)の屈折力を有する第1
サブレンズ、第2
サブレンズ、及び第3
サブレンズで構成され、上記第4レンズは、光軸周辺の中心部及び上記中心部の外側に形成された外郭部で構成されており、上記撮像面側の上記中心部は凹状に形成され、上記撮像面側の上記外郭部は、凸状に形成されることを特徴とするレンズモジュールが提供される。
【0011】
上記レンズモジュールの全体焦点距離をfとし、第1
サブレンズ、第2
サブレンズ、及び第3
サブレンズの合成焦点距離をf
3とする場合、(f
3/f)<1.0を満たすことができる。
【0012】
上記第1レンズ乃至上記第4レンズのうちの少なくとも一つのレンズの片面または両面は、非球面を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るレンズモジュールを用いて、4枚レンズのレンズモジュールのうちの第3番レンズを分離して、レンズ当たり屈折率を小さくし、フィールド別の性能を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1に係るレンズモジュールを示す概略図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るレンズモジュールの非点収差を示すグラフである。
【
図3】本発明の実施例1に係るレンズモジュールの歪曲収差を示すグラフである。
【
図4】本発明の実施例2に係るレンズモジュールを示す概略図である。
【
図5】本発明の実施例2に係るレンズモジュールの非点収差を示すグラフである。
【
図6】本発明の実施例2に係るレンズモジュールの歪曲収差を示すグラフである。
【
図7】本発明の
比較例に係るレンズモジュールを示す概略図である。
【
図8】本発明の
比較例に係るレンズモジュールの非点収差を示すグラフである。
【
図9】本発明の
比較例に係るレンズモジュールの歪曲収差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、本願では特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0016】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるに過ぎず、構成要素がそれらの用語により限定されるものではない。それらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけに用いられる。
【0017】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組合せたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組合せたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0018】
また、「結合」とは、各構成要素の間に物理的に直接接触される場合のみを意味することではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として使用する。
【0019】
本発明の実施例に係るレンズモジュールについては、添付図面に基づいて詳細に説明し、添付図面に基づいて説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0020】
図1に示すように、本発明の一実施例に係るレンズモジュールは、被写体面Oから撮像面Iに順次に、第1レンズ100、第2レンズ200、
第3レンズ群及び第4レンズ600を配置可能である。このとき、
第3レンズ群は、第1
サブレンズ300、第2
サブレンズ400、及び第3
サブレンズ500で構成されることができる。
【0021】
第1レンズ100は、正(+)の屈折力を有し、第2レンズ200は、負(−)の屈折力を有し、
第3レンズ群は、正(+)の屈折力を有し、第4レンズ600は、負(−)の屈折力を有する。このとき、
第3レンズ群を構成する第1
サブレンズ300乃至第3
サブレンズ500も、すべて正の屈折力を有する。
【0022】
本発明の一実施例に係るレンズモジュールは、
第3レンズ群を分離してレンズ当たり屈折角を小さくし、フィールド別の性能を最適化するためのものであって、
第3レンズ群は、
図1に示すように、第1
サブレンズ300、第2
サブレンズ400、及び第3
サブレンズ500に分離された。
【0023】
第1
サブレンズ300乃至第3
サブレンズ500は、これらを合成したレンズの屈折力が、正(+)の屈折力を有するように、すべて正(+)の屈折力を有するように形成されなければならない。
【0024】
第3レンズ群は、分離されて、第1
サブレンズ300乃至第3
サブレンズ500で構成され、分離されたレンズは、中心と周辺光線の収差を補正する役割を担うことになる。
【0025】
従来の4枚構成レンズ中の
第3レンズ群を複数枚のレンズに分離することは、4枚レンズ中の
第3レンズ群の屈折力が大きい場合に効果的であり得る。
【0026】
本発明の一実施例に係るレンズモジュールにおいては、
第3レンズ群を分離した第1
サブレンズ300、第2
サブレンズ400、及び第3
サブレンズ500の合成屈折力が全体光学系の屈折力よりも大きく形成されることを特徴とする。
【0027】
本発明に係るレンズモジュールにおいて、屈折力は、焦点距離に反比例するので、レンズモジュールの全体焦点距離をfとし、第1
サブレンズ300、第2
サブレンズ400、及び第3
サブレンズ500の合成焦点距離をf
3とする場合、fとf
3は、下記の数学式(1)を満たすように決定されることができる。
【0028】
[数1]
(f
3/f)<1.0 (1)
上記の数学式(1)の条件により、本発明は、全体光学系の収束力(converging power)の中で
第3レンズ群の収束力が占める割合を充分に大きくし、残りのレンズの収束力が占める割合を小さくすることにより、全体光学系の敏感度を低減させながらも、要求される性能を確保することができる。
【0029】
また、本発明に係るレンズモジュールは、レンズモジュールの全体焦点距離をfとし、第1レンズ100の焦点距離をf
1とする場合、第1レンズ100が光を集める役割を行うために、fとf
1は、下記の数学式(2)を満たすように決定されることができる。
【0030】
[数2]
(f
1/f)<1.5 (2)
また、本発明の一実施例に係るレンズモジュールは、第1レンズ100乃至上記第4レンズ600のうちの少なくとも一つのレンズの片面または両面は、非球面を含むことができる。
【0031】
上述したように、少なくともいずれかの片面または両面が非球面であるレンズを用いることにより、レンズの解像力を向上させ、収差特性が優れたレンズモジュールを得ることができる。
【0032】
図1に示すように、第4レンズ600は、光軸周辺の中心部610及び中心部610の外側に形成された外郭部620で構成されることができる。
【0033】
撮像面I側の中心部610は、凹状に形成され、撮像面I側の外郭部620は、凸状に形成されて、中心部610及び外郭部620の連結地点に、変曲点が形成されることができる。
【0034】
すなわち、撮像面I側から見ると、光軸を中心とする中心部から外郭に向かうほど、凹状になり、また外郭部で凸状を形成することにより、上述した凹状と凸状との間に変曲点が形成されることとなる。
【0035】
第4レンズ600に形成された変曲点は、受光素子の撮像に入射される主光線の最大射出角を調整し、画面の周辺部が暗くなる現象(shading)を防止することができる。
【0036】
また、第1レンズ100のアッべ(Abbe)数をV
1とし、上記第2レンズ200のアッベ数をV
2とする場合、色収差補正のために第1レンズ100及び第2レンズ200のアッベ数が、下記の数学式(3)を満たすように決定されることができる。
【0037】
[数3]
20<V
1−V
2<60 (3)
また、上述した色収差補正のための適正な第1レンズ100及び第2レンズ200のアッベ数の範囲は、下記の数学式(4)を満たすように決定されることができる。
【0038】
[数4]
40<V
1<60、及び20<V
2<30 (4)
本発明によれば、第1レンズ100の屈折率は、第1レンズ100の屈折率をn1とする場合、下記の数学式(5)を満たすように決定されることができる。
【0039】
[数5]
1.50<n1<1.70 (5)
また、第2レンズ200の屈折率をn2とする場合、第2レンズ200の屈折率は、下記の数学式(6)を満たすように決定されることができる。
【0040】
[数6]
1.60<n2<1.80 (6)
すなわち、第2レンズ200は、収差に有利になるように高屈折材料を用いて製作することができる。また、本発明に係るレンズモジュールのすべてのレンズ、すなわち、第1レンズ100、第2レンズ200、
第3レンズ群、及び第4レンズ600は、プラスチック材質からなり、費用を低減し、カメラ全体の重さを低減することができる。
【0041】
本発明に係るレンズモジュールは、第1レンズ100の全体焦点距離をf
1とし、第1
サブレンズ300、第2
サブレンズ400、及び第3
サブレンズ500の合成焦点距離をf
3とする場合、全体光学系の収束力(converging power)の中で
第3レンズ群の収束力が占める割合を充分に大きくし、第1レンズ100の収束力が占める割合を小さくして、全体光学系の敏感度を低減させながらも、要求される性能を確保できるように、f
1とf
3は、下記の数学式(7)を満たすように決定されることができる。
【0042】
[数7]
(f
1/f
3)>1.0 (7)
また、本発明のレンズモジュールは、上述した数学式(7)と同じ理由で、第1レンズ100及び第2レンズ200の合成焦点距離をf
12とし、第1
サブレンズ300、第2
サブレンズ400、及び第3
サブレンズ500の合成焦点距離をf
3とする場合、f
12とf
3は、下記の数学式(8)を満たすように決定されることができる。
【0043】
[数8]
(f
12/f
3)>2.0 (8)
また、第1
サブレンズ300、第2
サブレンズ400、及び第3
サブレンズ500の合成焦点距離をf
3とし、第4レンズ600の焦点距離をf
4とする場合、
第3レンズ群による収差を補正するために、
第3レンズ群及び第4レンズ600の適正な焦点距離は、下記の数学式(9)を満たすように決定されることもできる。
【0044】
[数9]
−2.0<(f
4/f
3)<−0.5 (9)
そして、収差補正のために、第1レンズ100及び第2レンズ200は、第1レンズ100の焦点距離をf
1とし、上記第2レンズ200の焦点距離をf
2とする場合、下記の数学式(10)を満たすように決定されることもできる。
【0045】
[数10]
−2.0<(f
2/f
1)<−0.5 (10)
以下に、具体的な実施例に基づいて本発明の一実施例に係るレンズモジュールの作用効果を説明する。
【0046】
表1及び表2は、実施例1に係る球面部の諸元及び非球面係数を、表3及び表4は、実施例2に係る球面部の諸元及び非球面係数を、表5及び表6は、
比較例に係る球面部の諸元及び非球面係数を示す。
【実施例2】
【0048】
【表3】
【表4】
〔比較例〕
【0049】
【表5】
【表6】
【0050】
Z=CR
2/(1+(1-(1+K)C
2R
2)(1/2))+AR
4+BR
6+CR
8+DR
10+ER
12+FR
14+GR
16
Z:表面の光軸方向のサグ(sag)
C:表面頂点での曲律
K:コーニック係数
A 〜 G:4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数
表面の光軸方向のサグ(Sag of the surface parallel to optical axis)から非球面の形状を得ることができ、このような非球面の形状及び各データに基づいて収差を測定することになる。
【0051】
図2及び
図3は、上記実施例1に係る収差度を示すグラフであって、ここでは、非点収差及び歪曲収差を測定した。
【0052】
図2は、本発明の実施例1に係る非点収差を測定したグラフである。
【0053】
図2において、Y軸は、像の高さ(mm)を示し、X軸は、非点収差(mm)を示す。
【0054】
図2に示すように、曲線がY軸に近づくほど、収差補正機能が優れると解釈される。
【0055】
非点収差は、光学系が、互いに垂直な二つの光に対して互いに異なる光学的な力を有する時に現す収差であって、接平面とサジタル平面で構成される。
【0056】
互いに異なる二つの光のうち、光軸を通過するものを接平面といい、光軸を通過しないものをサジタル平面という。図示された収差度では、像の値がY軸に隣接しているので、収差補正の機能が優れることを示している。
【0057】
図3は、上記実施例1に係る歪曲収差を測定したグラフである。
図3において、Y軸は、像の高さ(mm)を意味し、X軸は、歪曲収差(%)を意味する。
図3では、曲線がY軸に近づくほど、収差補正機能が優れると解釈される。
【0058】
図示された収差度では、像の値がY軸に隣接しているので(歪曲収差が2%内に形成される)補正機能が優れることを示している。
【0059】
これと同じく、実施例2及び
比較例においても、収差補正の機能が優れたことを確認することができる。
【0060】
図4は、実施例2に係るレンズモジュールの概略図である。
【0061】
表3及び
図4を参照すると、本発明の実施例2に係るレンズモジュールの
S5及びS6の曲率半径は、
負の値を有するので、
正の値を有する実施例1に係るレンズモジュールの
S5及びS6の曲率半径と多少差がある。
【0062】
それでも、本発明の実施例2に係るレンズモジュールも実施例1に係るレンズモジュールと同じく、少なくともいずれかの片面または両面が非球面のレンズで構成されている。また、実施例1のレンズモジュールと同じく、
第3レンズ群を構成する第1
サブレンズ300乃至第3
サブレンズ500の合成屈折力が正の屈折力を有する。
【0063】
図5及び
図6は、上記実施例2に係る収差度を示すグラフであって、
図5は、本発明の実施例2に係る非点収差を測定したグラフである。
【0064】
図6は、上記実施例2に係る歪曲収差を測定したグラフである。
【0065】
実施例2は、球面部の諸元及び非球面係数において、実施例1と多少差はあるが、
図5から分かるように、実施例1と同じく、非点収差に対する像の値がY軸に隣接しているので、実施例2も収差補正の機能が優れることが分かる。
【0066】
また、
図6から分かるように、実施例1と同じく、歪曲収差に対する像の値がY軸に隣接しているので、実施例2も収差補正の機能が優れることが分かる。
【0067】
図7は、
比較例に係るレンズモジュールの概略図である。
【0068】
表5及び
図7を参照すると、
比較例に係るレンズモジュールのS5乃至S10の曲率半径は、全て負の値であって、実施例1及び実施例2に係るレンズモジュールの曲率半径とは差がある。
【0069】
それでも、
比較例に係るレンズモジュールも実施例1及び実施例2に係るレンズモジュールと同じく、少なくともいずれかの片面または両面が非球面のレンズで構成されており、実施例1及び実施例2のレンズモジュールと同じく、
第3レンズ群を構成する第1
サブレンズ300乃至第3
サブレンズ500の合成屈折力が正の屈折力を有する。
【0070】
図8及び
図9は、上記
比較例に係る収差度を示すグラフであって、
図8は、
比較例に係る非点収差を測定したグラフである。
【0071】
図9は、上記
比較例に係る歪曲収差を測定したグラフである。
【0072】
比較例は、球面部の諸元及び非球面係数において、実施例1または実施例2と多少差はあるが、
図8から分かるように、実施例1または実施例2と同じく、非点収差に対する像の値がY軸に隣接しているので、
比較例も収差補正の機能が優れることが分かる。
【0073】
また、
図9から分かるように、実施例1または実施例2と同じく、歪曲収差に対する像の値がY軸に隣接しているので、
比較例も収差補正の機能が優れることが分かる。
【0074】
以上では、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求範囲に記載した本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などにより本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえる。
【符号の説明】
【0075】
O 被写体
I 撮像
100 第1レンズ
200 第2レンズ
300 第1
サブレンズ
400 第2
サブレンズ
500 第3
サブレンズ
600 第4レンズ
610 中心部
620 外郭部