(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記空間に残留する空気が前記空気排出部を通じて前記空間から排出された後、前記第1流路及び前記第3流路を閉じ、前記第2流路を開いた状態で、前記可動部材を前記押し動作させて前記空間内のインクが前記インク押出部を通じて押し出され、前記第2流路を通じて前記記録ヘッドに充填されるように前記駆動手段を制御する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
前記制御手段は、インクが前記記録ヘッドに充填された後、前記第1流路及び前記第3流路を閉じ、前記第2流路を開いた状態で、前記可動部材を前記押し動作させて前記空間内のインクが前記インク押出部を通じて押し出され、前記第2流路を通じて前記記録ヘッドに供給されて、前記記録ヘッドのノズルからインクが吐出される吐出回復動作が行われるように前記駆動手段を制御する、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、製品出荷時などのインク初期充填時におけるシリンダー内はインクが空の状態であり、ある程度の空気が存在している。この状態からピストンの引き動作によってシリンダー内にインクの初期充填が行われると、シリンダー内にはインクだけでなく、空気も残存している。また、インクジェット記録装置の使用中には、インク内に含まれる空気がシリンダー内において集まって気泡となることもある。
【0006】
このようにシリンダー内に空気が残存している状態でピストンを押し動作させてインクを加圧しようとしても、この加圧力がシリンダー内に残存する空気に吸収されてしまうため、前記吐出回復動作においてインクを十分に加圧することができないことがある。この場合、記録ヘッドのノズルにはインクの圧力が十分にかからないので、吐出回復効果が低下する。吐出回復効果が低下すると、この吐出回復時に使われるインクの消費量が増加する。
【0007】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吐出回復時のインク消費量の増加を抑制できるインク供給用ポン
プを備えたインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
記録ヘッドと、前記記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給用ポンプ
を備えるインクジェット記録装置である。
前記インク供給用ポンプは、ケーシングと、前記ケーシング内に配置された状態で押し動作及び引き動作が可能な可動部材と、前記ケーシングと前記可動部材とにより囲まれる空間に前記引き動作によってインクが吸い込まれる経路となるインク吸込部と、前記空間に残留する空気が前記押し動作によって前記空間から排出される経路となる空気排出部と、前記記録ヘッドにインクを供給するために、前記押し動作によって前記空間からインクが押し出される経路となるインク押出部と、を備えている。
【0009】
この構成では、前記空間に前記引き動作によってインクが吸い込まれる経路となるインク吸込部、及び前記押し動作によって前記空間からインクが押し出される経路となるインク押出部に加えて、さらに前記空間に残留する空気が前記押し動作によって前記空間から排出される経路となる空気排出部を備えている。したがって、インク吸込部からケーシング内にインクを吸い込んだ後、ケーシング内に残存する空気を、可動部材の押し動作によって空気排出部から排出することができる。これにより、吐出回復動作においてインクを十分に加圧することができるので、記録ヘッドのノズルに十分な圧力でインクを供給することができる。よって、従来のように残存する空気に起因する吐出回復効果の低下を抑制できるので、吐出回復時に使われるインク消費量の増加を抑制できる。
【0010】
また、例えば単色印字が実行されている場合などには、使用されない記録ヘッドがあり、この記録ヘッドではノズルにおいてインクが若干増粘することがある。このような場合には、上記した吐出回復動作時よりも少ない微少量のインクを吐出させる微少量パージが実行される。このような微少量パージ時には、インクの吐出量が少ないので、ケーシング内に残存する空気の影響を特に受けやすく、パージ効果が低下しやすい。したがって、本発明は、上記微少量パージ時における吐出回復効果の低下を効果的に抑制することができる。
【0013】
また、本発明のインクジェット記録装置は、前記インク供給用ポンプと、前記可動部材を前記押し動作及び前記引き動作させる駆動手段と、インクを貯留するインクタンクと、前記インクタンクと前記インク吸込部とを連結する開閉可能な第1流路と、前記インク押出部から押し出されたインクが供給される記録ヘッドと、前記インク押出部と前記記録ヘッドとを連結する開閉可能な第2流路と、一端が前記空気排出部に接続された開閉可能な第3流路と、前記駆動手段、前記第1流路の開閉動作、前記第2流路の開閉動作、及び前記第3流路の開閉動作を制御する制御手段と、を備えている。前記制御手段は、前記第1流路を開き、前記第2流路及び前記第3流路を閉じた状態で、前記可動部材を前記引き動作させて前記インクタンクのインクが前記インク吸込部を通じて前記空間に吸い込まれるように前記駆動手段を制御し、前記第1流路及び前記第2流路を閉じ、前記第3流路を開いた状態で、前記可動部材を前記押し動作させて前記空間に残留する空気が前記空気排出部を通じて前記空間から排出されるように前記駆動手段を制御する。
【0014】
この構成では、前記駆動手段、前記第1流路の開閉動作、前記第2流路の開閉動作、及び前記第3流路の開閉動作を上記のように制御することにより、ケーシング内の空気を排出することができる。
【0015】
また、前記第3流路の他端は、前記空気排出部から前記空気とともに排出されるインクを前記インクタンクに回収可能なように、前記インクタンクに接続されてい
る。
【0016】
この構成では、空気排出部から空気とともに少量のインクが排出される場合であっても、そのインクをインクタンクに回収することができるので、インクの無駄を省くことができる。
また、前記制御手段は、前記空間に残留する空気が前記空気排出部を通じて前記空間から排出された後、前記第1流路及び前記第3流路を閉じ、前記第2流路を開いた状態で、前記可動部材を前記押し動作させて前記空間内のインクが前記インク押出部を通じて押し出され、前記第2流路を通じて前記記録ヘッドに充填されるように前記駆動手段を制御するのが好ましい。
また、前記制御手段は、インクが前記記録ヘッドに充填された後、前記第1流路及び前記第3流路を閉じ、前記第2流路を開いた状態で、前記可動部材を前記押し動作させて前記空間内のインクが前記インク押出部を通じて押し出され、前記第2流路を通じて前記記録ヘッドに供給されて、前記記録ヘッドのノズルからインクが吐出される吐出回復動作が行われるように前記駆動手段を制御するのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、吐出回復時のインク消費量の増加を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかるインク供給用ポンプとしてのインク供給用シリンジ、及びこれを備えたインクジェット記録装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
<インク供給用シリンジ>
図1に示すように、本実施形態のインク供給用シリンジ11は、ケーシングとしてのシリンダー13と、可動部材としてのピストン15と、インク吸込部としてのインク吸込流路17と、空気排出部としての空気排出流路19と、インク押出部としてのインク押出流路21とを備えている。
【0021】
シリンダー13は、円筒形状の胴部13aと、この胴部13aの下端に設けられた底板13bと、胴部13aの上端に設けられた天板13cとを有する中空部材であり、長手方向が上下方向に沿って配置される。天板13cの中央には開口部13dが設けられている。
【0022】
ピストン15は、シリンダー13の中空内に挿入されており、このシリンダー13に沿って押し動作及び引き動作が可能である。このピストン15は、下方への前記押し動作時及び上方への前記引き動作時にシリンダー13の内側面と摺接する摺動部15aと、この摺動部15aから上方に延設され、開口部13dから前記シリンダー13の外部に突出する棒状部15bと、この棒状部15bの上端に設けられたフランジ部15cと、このフランジ部15cの中央付近から上方に延びる円筒部15dとを有している。棒状部15bは、シリンダー15の天板13cによって前記押し動作時及び引き動作時の横ぶれが抑制されている。
【0023】
摺動部15aの下面とこの下面よりも下方に位置するシリンダー13の内面とによって空間Sが形成されている。摺動部15aは、扁平な円盤形状を有し、例えば合成ゴムなどの弾性部材により形成されている。この摺動部15aの外径は、シリンダー13の内径とほぼ同じかあるいはわずかに大きい。これにより、ピストン15の押し動作時及び引き動作時に、空間Sに貯められたインクが摺動部15aとシリンダー13の内面との間を通じて摺動部15aよりも上方に漏れ出すのを抑制できる。
【0024】
シリンダー13の底板13bには、下方に延びる円筒部13e及び円筒部13fが設けられている。円筒部13eの内部には上下方向に延びて空間Sに連通する貫通口が形成されており、この貫通口がインク吸込流路17として機能する。すなわち、このインク吸込流路17は、ピストン15の引き動作によって空間Sにインクが吸い込まれる経路となる。また、円筒部13fの内部には上下方向に延びて空間Sに連通する貫通口が形成されており、この貫通口がインク押出流路21として機能する。すなわち、このインク押出流路21は、ピストン15の押し動作によって空間Sからインクが押し出される経路となる。
【0025】
空気排出流路19は、摺動部15aの下面から棒状部15b及びフランジ部15cを経て円筒部15dの上端にまで至り、摺動部15a、棒状部15b、フランジ部15c及び円筒部15dを貫通する貫通口である。この空気排出流路19は、空間Sに連通しており、空間Sに残留する空気がピストン15の押し動作によって空間Sから排出される経路となる。
【0026】
後述するように、円筒部13eには第1流路としての送液管31が接続され、円筒部13fには第2流路としての送液管33が接続され、円筒部15dには第3流路としての排出管35が接続される。
【0027】
<インクジェット記録装置の主要部の構造>
図2に示すインクジェット記録装置41は、外部のコンピュータから受信した画像情報に基づいて記録媒体(例えば用紙)に画像を形成可能なインクジェットプリンタである。この記録装置41は、図略のケーシング内に、上記したインク供給用シリンジ11、このシリンジ11のピストン15を押し動作及び引き動作させる駆動手段としての駆動機構61、記録ヘッド45、この記録ヘッド45に供給するインクを貯留するインクタンク43、記録ヘッド45に供給されたインクのうちノズルから吐出されずに記録ヘッド45から排出されるインクを回収する廃インクタンク47、送液管31,33,37、排出管35、制御部81などが収容されている。なお、廃インクタンク47に回収されたインクは、再びインクタンク43に戻すようにしてもよい。
【0028】
記憶ヘッド45は、例えばブラック、シアン、マゼンダ及びイエローの各色に対応したものがそれぞれ前記ケーシング内に配設されているが、
図2ではそのうちの一つについてのみ示している。したがって、各色の記録ヘッド45に対してインクタンク43、インク供給用シリンジ11、廃インクタンク47などがそれぞれ設けられている。
【0029】
送液管31は、インクタンク43と円筒部13eとを接続している。送液管33は、円筒部13fと記録ヘッド45とを接続している。排出管35は、円筒部15dとインクタンク43とを接続している。送液管37は、記録ヘッド45と廃インクタンク47とを接続している。具体的には、送液管31はインクタンク43の下面に設けられた図略のインク出口に接続されている。排出管35はインクタンク43の上面に設けられた図略のインク入口に接続されている。送液管31,33,37及び排出管35には、電磁弁51,53,55,57がそれぞれ配設されている。これにより、各管は流路が開閉可能である。
【0030】
図3に示すように、駆動機構61は、回転軸63aを有するモータ63と、回転軸63aに接続され、表面に雄ねじを有するねじ軸65と、回転軸63aとねじ軸65とを連結するカップリング67と、ねじ軸65が挿通され、内面に雌ねじが形成された貫通口を有するボールねじ部71と、このボールねじ部71の上下方向の移動を規制するとともにねじ軸65を支持する支持部材68,69とを有している。
【0031】
ボールねじ部71は、ねじ軸65に螺合された部分から略水平方向に延設されており、その端部に、上下に並ぶ一対の挟持片71a,71bを有している。これらの挟持片71a,71bは、ピストン15のフランジ部15cを上下から挟むようにフランジ部15cに固定されている。これにより、モータ63が駆動すると、支持部材68,69の間でボールねじ部71が上下に移動してピストン15を押し動作又は引き動作させることができる。
【0032】
インクタンク43内には、貯留されたインクの他、上部に空気も存在している。インクタンク43内のインクの液面は、記録ヘッド43の下面に設けられているノズルの下端よりも低くなるように調整されている(水頭差)。
【0033】
制御部81は、中央処理装置(CPU)、プログラムなどのデータが記憶されているメモリ(ROM)、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するためのメモリ(RAM)などで構成されている。この制御部81は、駆動機構61、電磁弁51,53,55,57などの動作を制御する。
【0034】
<インクジェット記録装置の動作>
次に、インクジェット記録装置41の記録ヘッド45の吐出回復動作について説明する。
図4(a)は、インク供給用シリンジ11の空間Sにインクが充填されていない製品出荷時などの初期状態を示している。このとき、空間Sには空気が存在している。
【0035】
まず、制御部81は、電磁弁51を開き、電磁弁53,55,57を閉じるように各電磁弁を制御する。この状態で、制御部81は、駆動機構61を制御してモータ63を一方側に回転させてピストン15を引き動作させる。ピストン15が引き動作されると空間S及び送液管31が負圧となるので、
図4(b)に示すように、インクタンク43のインクが送液管31及びインク吸込流路17を通じて空間Sに吸い込まれる。このとき、空間S内にはインクLとその上部に空気Aとが存在している。
【0036】
次に、制御部81は、電磁弁55を開き、電磁弁51,53,57を閉じるように各電磁弁を制御する。この状態で、制御部81は、駆動機構61を制御してモータ63を他方側に回転させてピストン15を押し動作させる。ピストン15が押し動作されると、空間Sの上部に残存している空気Aがピストン15に設けられた空気排出流路19を通じて空間Sから排出される。排出された空気Aは、排出管35を通じてインクタンク43に回収される。
【0037】
この空気Aの排出動作においては、空間Sに空気Aが残存しないように、
図4(c)に示すように、大半の空気Aが排出された後もしばらくピストン15の押し動作を継続して少量のインクLも空気排出流路19を通じて空間Sから排出する。空気Aとともに空間Sから排出された少量のインクLは、排出管35を通じてインクタンク43に回収される。これにより、空間Sは、ほぼ空気Aが排出されてインクLが充填された状態となる。
【0038】
次に、空間Sに充填されたインク量が記録ヘッド45のノズルの吐出回復動作に必要な量以上である場合には、ピストン15を押し動作して記録ヘッド45にインクを供給する。一方、インク量が吐出回復動作に必要な量未満である場合には、再度、ピストン15を引き動作して空間Sにより多くのインクを充填する。インクの充填量を増やす場合には次の動作が行われる。
【0039】
すなわち、制御部81は、電磁弁51を開き、電磁弁53,55,57を閉じるように各電磁弁を制御する。この状態で、制御部81は、駆動機構61を制御してモータ63を前記一方側に回転させてピストン15を引き動作させる。ピストン15が引き動作されると、インクタンク43のインクが送液管31及びインク吸込流路17を通じて空間Sに吸い込まれる。このとき、空間S内には
図4(c)の状態よりも多くのインクLが充填され、空気はほとんど存在しない。
【0040】
次に、記録ヘッド45にインクを供給する。製品出荷時などの初期状態では、記録ヘッド45にもインクは充填されていないので、まずは記録ヘッド45にインクを充填する動作を実行する。
【0041】
すなわち、制御部81は、電磁弁53,57を開き、電磁弁51,55を閉じるように各電磁弁を制御する。この状態で、制御部81は、駆動機構61を制御してモータ63を前記他方側に回転させてピストン15を押し動作させる。ピストン15が押し動作されると、インク供給用シリンジ11の空間S内のインクLは、インク押出流路21を通じて空間Sから押し出される。空間Sから押し出されたインクは、送液管33を通じて記録ヘッド45に供給され、記録ヘッド45に充填される。このとき、初期状態において記録ヘッド45内に存在していた空気は、インクに押し出されて廃インクタンク47に回収される。
【0042】
次に、インク供給用シリンジ11の空間Sに再度インクを充填する。すなわち、制御部81は、電磁弁51を開き、電磁弁53,55,57を閉じるように各電磁弁を制御する。この状態で、制御部81は、駆動機構61を制御してモータ63を前記一方側に回転させてピストン15を引き動作させる。ピストン15が引き動作されると、インクタンク43のインクが送液管31及びインク吸込流路17を通じて空間Sに吸い込まれる。
【0043】
最後に、記録ヘッド45のノズルからインクを強制的に吐出させる。すなわち、制御部81は、電磁弁53を開き、電磁弁51,55,57を閉じるように各電磁弁を制御する。この状態で、制御部81は、駆動機構61を制御してモータ63を前記他方側に回転させてピストン15を押し動作させる。ピストン15が押し動作されると、インク供給用シリンジ11の空間S内のインクLは、インク押出流路21を通じて空間Sから押し出される。空間Sから押し出されたインクは、送液管33を通じて記録ヘッド45に供給され、記録ヘッド45の下面の複数のノズルから吐出される。吐出されたインクは、記録ヘッド45の下方に配置されたインク受皿46に収容され、送液管38を通じて廃インクタンク47に回収される。押し出されるインクの量は、ピストン15の押し下げ量を調整することによって適宜調整可能である。例えば、1回の吐出回復動作に使用されるインクの量は、0.1〜10cc程度にすることができる。また、ノズルにおけるインクの吐出圧は、例えばピストン15の押し下げ速度を変えることによって調整できる。以上の一連の動作が終了した後、制御部81は、必要に応じて印字動作などを実行する。
【0044】
以上説明したように本実施形態では、空間Sに前記引き動作によってインクが吸い込まれる経路となるインク吸込流路17、及び前記押し動作によって空間Sからインクが押し出される経路となるインク押出流路21に加えて、さらに空間Sに残留する空気が前記押し動作によって空間Sから排出される経路となる空気排出流路19を備えている。したがって、インク吸込流路17からシリンダー13内にインクを吸い込んだ後、シリンダー13内に残存する空気を、ピストン15の押し動作によって空気排出流路19から排出することができる。これにより、吐出回復動作において、空間Sに空気がほとんど残存しない状態でインクを十分に加圧することができるので、記録ヘッド45のノズルに十分な圧力でインクを供給することができる。よって、従来のように残存する空気に起因する吐出回復効果の低下を抑制できるので、吐出回復時に使われるインク消費量の増加を抑制できる。
【0045】
また、本実施形態では、ピストン15の押し動作及び引き動作が上下方向に沿って行われ、空気排出流路19がピストン15を上下に貫通する貫通口であり、インク吸込流路17及びインク押出流路21がシリンダー13の下部に設けられている。したがって、シリンダー13内において、シリンダー13の下部でインクが吸い込まれ、又は押し出される一方で、空間Sの上部に溜まる空気は、ピストン15の貫通口を通じて上方に排出することができる。このようにシリンダー13内においてインクと空気とを上下に分けて効率よく空気を排出できる。
【0046】
また、本実施形態では、駆動機構61、電磁弁51、電磁弁53、及び電磁弁55を上記のように制御することにより、シリンダー13内の空気を効率よく排出することができる。
【0047】
また、本実施形態では、排出管35の他端は、空気排出流路19から空気とともに排出されるインクをインクタンク43に回収可能なように、インクタンク43に接続されているので、空気排出流路19から空気とともに少量のインクが排出される場合であっても、そのインクをインクタンク43に回収することができるので、インクの無駄を省くことができる。
【0048】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、ピストンの押し動作及び引き動作が上下方向に沿って行われる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ピストンが鉛直方向に対して傾斜した方向、水平方向などの方向に沿って行われてもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、シリンダーが円筒形状である場合を例に挙げて説明したが、他の形状であってもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、空気排出部がピストン内を貫通する貫通口である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、空気排出部は、シリンダーに設けられていてもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、可動部材が摺動部と棒状部とを有するピストンである場合を例に挙げて説明したが、プランジャなどの他の部材であってもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、インク供給用ポンプとしてシリンジを用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。インク供給用ポンプとしては、ケーシングとその内部に摺接する可動部材との間にできる空間を体積変化させることによって液体をインク吸込部から吸い込み、インク押出部から押し出すことができ、かつ、前記空間に残留する空気が可動部材の押し動作によって前記空間から排出される空気排出部を備えた他の容積式ポンプを用いることもできる。