特許第5764635号(P5764635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タキゲン製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5764635-錠装置 図000002
  • 特許5764635-錠装置 図000003
  • 特許5764635-錠装置 図000004
  • 特許5764635-錠装置 図000005
  • 特許5764635-錠装置 図000006
  • 特許5764635-錠装置 図000007
  • 特許5764635-錠装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764635
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 27/00 20060101AFI20150730BHJP
   E05B 15/00 20060101ALI20150730BHJP
   E05B 27/08 20060101ALI20150730BHJP
   E05B 19/08 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   E05B27/00 Z
   E05B15/00 B
   E05B27/08 A
   E05B19/08
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-216888(P2013-216888)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-78550(P2015-78550A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2013年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】小粥 一弘
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−301633(JP,A)
【文献】 実公昭12−13480(JP,Y1)
【文献】 特開2004−300772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/06−19/08
E05B 27/00−27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠前と、この錠前を施解錠操作するための鍵とからなる錠装置であって、
前記錠前は、半径方向に延びて内周面に開口する複数のドライバピン孔を有する概略円筒形のシリンダケースと;外周面が前記シリンダケースの内周面に摺接するようにシリンダケース内に施錠位置と解錠位置の間を軸周り回転可能に挿入され、前端に開口して軸線方向に延びる鍵挿入空間を形成する鍵穴と、前記ドライバピン孔に対応する位置において外周面から鍵穴に貫通する複数のコードピン孔とを具備するプラグと;前記ドライバピン孔に移動自在に挿入され、前記シリンダケースの内周面の方向に付勢されるドライバピンと;前記コードピン孔に移動自在に挿入されるコードピンと、を具備し、
前記鍵は、前記鍵穴への挿入時に、前記コードピンとドライバピンとの接触面を前記プラグの外周面に一致させるようにコードピンの先端に当接する複数のピン操作部を具備し、
前記プラグの鍵穴は、鍵挿入空間が広い前方部と、この前方部に対して段部を介して鍵挿入空間が狭くなる奥方の狭小部とを具備し
前記プラグの最奥部の一のコードピン孔及びこれに対応する前記シリンダケースの最奥部の一のドライバピン孔は、前記鍵穴の狭小部対応位置に配置され、
前記鍵は、前記鍵穴の前方部に対応する幅広部と狭小部に対応する幅狭部とを有する鍵本体を具備し、
前記鍵の最先端に位置する一の前記ピン操作部は、前記鍵本体の幅狭部に鍵の挿入方向に対して直交方向に出没自在に保持された操作ピンからなり、
前記操作ピンは、前記鍵を前記鍵穴に挿入するとき、鍵穴の前方部の内面には接触せず、狭小部の内面には摺接し、前記最奥部のコードピン孔に合致したとき、先端部が前記鍵本体の幅狭部から突出して前記最奥部のコードピンの先端に当接するように付勢されることを特徴とする錠装置。
【請求項2】
前記鍵本体は、所定の厚さと幅を持った板状体で構成され、前記操作ピンは、鍵本体の厚さ部分に幅方向に形成されたピン孔内に、付勢ばねを介して保持されることを特徴とする請求項1に記載の錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵の複製、ピッキング用具による不正解錠が困難で、多数の鍵違いを作成できる錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリンダー錠と称される錠装置では、シリンダケースに回転可能にプラグを収容し、シリンダケースとプラグ間に設けたピンタンブラ錠機構によってプラグをシリンダケースに対して回転不能に拘束する。プラグの鍵穴に鍵板を挿入することによって、ピンタンブラ錠機構を拘束解除方向に操作する。このような錠装置は、合い鍵の複製が比較的容易にでき、またピッキング用具を用いたピンタンブラ錠機構の無効化も比較的容易にできるので、不正解錠による被害が跡を絶たない。ピッキングによる不正解錠を困難にする錠装置も種々提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−352229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、鍵の複製、ピッキング用具による不正解錠が困難で、多数の鍵違いを作成できる錠装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の錠装置1は、錠前2と、この錠前2を施解錠操作するための鍵3とからなる。錠前2は、概略円筒形のシリンダケース4と、その内側に施錠位置と解錠位置の間を軸周り回転可能に挿入されたプラグ5とを具備する。シリンダケース4は、半径方向に延びて内周面4aに開口する複数のドライバピン孔6を有する。プラグ5は、前端に開口して軸線方向に延びる鍵挿入空間を形成する鍵穴7と、ドライバピン孔6に対応する位置において外周面5aから鍵穴7に貫通する複数のコードピン孔8とを具備する。ドライバピン孔6には、ドライバピン9が移動自在に挿入され、シリンダケース4の内周面4aの方向に付勢される。コードピン孔8には、コードピン11が移動自在に挿入される。鍵3は、複数のピン操作部12を具備する。ピン操作部12は、鍵3を錠前2の鍵穴7への挿入した時、コードピン11の先端に当接して、コードピン11とドライバピン9との接触面をプラグ5の外周面5aに一致させることにより、プラグ5の解錠方向への回転を可能とする。プラグ5の鍵穴7は、鍵挿入空間が広い前方部7aと、この前方部に対して段部7bを介して鍵挿入空間が狭くなる奥方の狭小部7cとを具備する。プラグ5の最奥部の一のコードピン孔8a及びこれに対応するシリンダケース4の最奥部の一のドライバピン孔6aは、鍵穴7の狭小部7cに対応する位置に配置される。鍵本体13は、鍵穴7の前方部7aに対応する幅広部13aと、狭小部7cに対応する幅狭部13bとを有する。鍵3の最先端に位置するピン操作部12は、操作ピン14からなる。操作ピン14は、鍵本体13の幅狭部13bに、鍵3の挿入方向に対して直交方向に出没自在に保持され、鍵3を鍵穴7に挿入するとき、鍵穴7の前方部7aの内面には接触せず、狭小部7cの内面には摺接し、最奥部のコードピン孔8aに合致したとき、先端部が鍵本体13の幅狭部13bから突出して最奥部のコードピン11aの先端に当接するように付勢される。操作ピン14がコードピン11aの先端に当接すると、コードピン11aを押して、コードピン11aとドライバピン9aとの接触面をプラグ5の外周面5aに一致させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の扉の錠装置1は、鍵本体13に、コードピン11aを操作するための操作ピン14が組み込まれるため、鍵の複製が困難である。鍵穴7の奥部が狭小で、ピッキング用具による不正解錠が困難である。操作ピン14とこれに対応するコードピン11aの長さ変更により多数の鍵違いを作成できる。操作ピン14は、鍵穴7の奥部の狭小部7cのみに摺接するから、使用による摩耗が少なく、長期使用に耐える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】錠前から鍵を抜き取った状態の錠装置の断面図である。
図2図1の錠装置の解錠操作を順を追って示す断面図である。
図3図1の錠装置の解錠操作を順を追って示す断面図である。
図4図1の錠装置の解錠操作を順を追って示す断面図である。
図5図1の錠装置の解錠操作を順を追って示す断面図である。
図6図1の錠装置の解錠操作を順を追って示す断面図である。
図7図1のVII−VIIによる鍵の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
この実施形態のストッパ錠装置1は、錠前2と、この錠前2を施解錠操作するための鍵3とからなる。
【0009】
錠前2は、概略円筒形のシリンダケース4と、その内側に施錠位置と解錠位置の間を軸周り回転可能に挿入されたプラグ5とを具備する。
【0010】
シリンダケース4は、半径方向に延びて内周面4aに開口する複数のドライバピン孔6を有する。
【0011】
プラグ5は、前端に開口して軸線方向に延び、鍵挿入空間を形成する鍵穴7と、ドライバピン孔6に対応する位置において外周面5aから鍵穴7に貫通する複数のコードピン孔8とを具備する。
【0012】
シリンダケース4のドライバピン孔6には、ドライバピン9が移動自在に挿入され、ばね10により、シリンダケースの内周面4aの方向に付勢される。
【0013】
プラグ5のコードピン孔8には、コードピン11が移動自在に挿入される。
鍵3は、複数のピン操作部12を具備する。ピン操作部12は、鍵3を錠前2の鍵穴7への挿入した時、コードピン11の先端に当接して、これを非ロック位置へ移動させ、コードピン11とドライバピン9との接触面をプラグの外周面5a(シリンダケースの内周面4a)に一致させる。これにより、プラグ5の解錠方向への回転を可能とする。
【0014】
プラグ5の鍵穴7は、鍵挿入空間が広い前方部7aと、この前方部に対して段部7bを介して鍵挿入空間が狭くなる奥方の狭小部7cとを具備する。
【0015】
プラグ5の最奥部の一のコードピン孔8a及びこれに対応するシリンダケース4の最奥部の一のドライバピン孔6aは、鍵穴7の狭小部7cに対応する位置に配置される。
【0016】
鍵3は、鍵本体13と、操作ピン14とからなる。鍵本体13の挿入部は、所定の厚さと幅を持った板状体で構成され、そこにコードピン11の先端に当接する複数のピン操作部12が設けられる。操作ピン14の先端は、複数のピン操作部12のうちの最先端部に位置する一のピン操作部12aを構成する。
【0017】
鍵本体13は、鍵穴の前方部7aに対応する幅広部13aと、狭小部7cに対応する幅狭部13bとを有する。幅狭部13bの厚さ部分に、幅方向(鍵の挿入方向に対して直交方向)に操作ピン孔15が形成される。操作ピン14は、先端が操作ピン孔15から突出するように、操作ピン孔15内に付勢ばね16を介して保持される。
【0018】
操作ピン14の先端は、鍵本体の幅広部13aの外縁の延長線から突出しない位置にある。したがって、操作ピン14は、鍵3を鍵穴7に挿入するとき、鍵穴の前方部7aの内面には接触せず、狭小部7cに至って操作ピン孔15内に押し込まれ、狭小部7cの内面に摺接する。そして、操作ピン14が、最奥部のコードピン孔8aに合致したとき、その先端部が鍵本体の幅狭部13bから突出して、コードピン11aの先端を押圧する。操作ピン14に押されたコードピン11aは、ばね10を圧縮してドライバピン9aと共に半径方向外側の非ロック位置へ移動し、ドライバピン9aとの接触面をプラグ5の外周面4aに一致させる。
【0019】
錠装置1は、鍵本体13に操作ピン14が組み込まれるため、鍵2の複製が困難である。鍵穴7は前方部7aが大きいので、鍵3の挿入時に操作ピン14が障害とならない。操作ピン14は、鍵穴7の前方部7aを摺動しないから、使用により摩耗を生じにくい。鍵穴7の奥部が狭小で、ピッキング用具による不正解錠が困難である。操作ピン14と、これに対応するコードピン11aの長さ変更により多数の鍵違いを作成できる。
【符号の説明】
【0020】
1 錠装置
2 錠前
3 鍵
4 シリンダケース
4a 内周面
5 プラグ
5a 外周面
6 ドライバピン孔
6a 最奥部のドライバピン孔
7 鍵穴
7a 前方部
7b 段部
7c 狭小部
8 コードピン孔
8a 最奥部のコードピン孔
9 ドライバピン
9a 最奥部のドライバピン
10 ばね
11 コードピン
11a 最奥部のコードピン
12 ピン操作部
12a 最先端のピン操作部
13 鍵本体
13a 幅広部
13b 幅狭部
14 操作ピン
15 操作ピン孔
16 ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7