(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記充電コードは、収納時に前記充電コードの後縁部に比べ前記充電コードの前縁部が低所に位置するように巻回される、請求項1から3のいずれかに記載の電動二輪車。
前記充電コードは、収納時に前記充電コードの後縁部が前記充電器の後端より前方に位置し、前記充電コードの前縁部が前記バッテリの上端より後方に位置するように巻回される、請求項4に記載の電動二輪車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この電動二輪車では、路面の凹凸等に起因して振動が発生し、充電器に伝達される振動の大きさは、ダウンチューブと後部フレームとの接続部から後部フレームおよびブラケットを介して充電器に至るまでの長さに左右される。特許文献1では、ダウンチューブと後部フレームとの接続部から後部フレームおよびブラケットを介して充電器に至るまでの長さが長いため、充電器に伝達される振動が大きくなり、充電器にとって好ましくない。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、充電器に伝達される振動を低減できる電動二輪車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の電動二輪車は、後部フレームを有する車体フレームと、乗員が着座するために後部フレームに支持されるシートと、シートの一部より前方かつ下方に配置され、車体フレームに支持されるフートレストと、車体フレームに前端部が接続されるリヤアームと、リヤアームに設けられる電動モータと、リヤアームの後端部に支持され、電動モータによって駆動される後輪と、電動モータに電力を供給するバッテリと、バッテリを充電するためにシートの下方かつ後輪の上方に配置される充電器とを備え、後部フレームは、フートレストより後方において上方かつ斜め後ろ方向に延びる左右一対の第1フレーム部と、充電器より下方の位置において一対の第1フレーム部に接続されかつ充電器より下方を後方に延びる左右一対の第2フレーム部と、第2フレーム部に設けられかつ充電器を支持する充電器支持部と、シートの前部を支持する第1シート支持部と、第1シート支持部より後方に位置して一対の第2フレーム部を連結しかつシートを支持する第2シート支持部とを含み、バッテリは、一対の第1フレーム部の間に設けられ、かつ側面視において第1フレーム部と第2フレーム部との接続部に重なるように配置され、第2シート支持部の少なくとも一部は、充電器支持部より前方に位置することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の電動二輪車は、請求項1に記載の電動二輪車において、第2シート支持部は、充電器を跨ぐように一対の第2フレーム部を連結することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の電動二輪車は、請求項2に記載の電動二輪車において、第2シート支持部は、一対の第2フレーム部に接続される一対の下部と、一対の下部とシートとの間に位置しかつ一対の下部に接続される一対の上部とを含み、各上部は、当該上部が接続される下部よりも車幅方向内側に位置する部分を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の電動二輪車は、請求項1に記載の電動二輪車において、充電器の前端がバッテリの後端より前方に位置することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の電動二輪車は、請求項1に記載の電動二輪車において、第1シート支持部と第2シート支持部とを連結する連結部をさらに含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の電動二輪車は、請求項1に記載の電動二輪車において、充電器に接続されかつシートと充電器との間に収納される充電コードをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の電動二輪車は、請求項6に記載の電動二輪車において、バッテリは後方に傾くように配置され、充電器の前端がバッテリの上端より下方に位置しかつ充電器は前方に傾くように配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の電動二輪車では、第1フレーム部と第2フレーム部との接続部が充電器より下方でありかつ側面視においてバッテリと重なるように、第1フレーム部が従来より短く形成される。また、第2フレーム部は充電器より下方を後方に延びるように従来より短く形成される。これにより、車体フレームにおける後部フレームの接続部(端部)から充電器に至るまでの部材(経路)の長さを、従来よりもかなり短くできる。したがって、当該接続部から後部フレームを通って充電器に伝達される振動を低減できる。また、一対の第2フレーム部を第2シート支持部で連結することによって、一対の第2フレーム部を強固に支持でき、これによっても充電器への振動を低減できる。さらに、たとえば第2フレーム部の後端に第2シート支持部が連結されると、第2フレーム部の振動は当然大きくなってしまう。特に、第2シート支持部には乗員の体重がかかるので悪影響は大きい。この発明では、第2シート支持部の少なくとも一部が充電器支持部より前方に位置するように第2シート支持部が一対の第2フレーム部を連結することによって、荷重が第2フレーム部の後端に集中して加わるのを回避する。これにより、第2フレーム部の振動を抑制し、充電器への振動を低減する。このように、後部フレームを短くし、一対の第2フレーム部を強固に支持し、第2シート支持部の取り付け位置を工夫する等の複数の構造的特徴によって、充電器への振動を低減する。
【0014】
請求項2に記載の電動二輪車では、第2シート支持部が充電器を跨ぐように一対の第2フレーム部を連結することによって、第2シート支持部は充電器の配置の障害にならず、充電器を前方に配置することができる。その結果、充電器を支持する充電器支持部も前方に位置し、充電器支持部が設けられる第2フレーム部を短くできる。したがって、車体フレームにおける後部フレームの接続部から充電器に至るまでの部材(経路)の長さを、さらに短くでき、充電器に伝達される振動をさらに低減できる。
【0015】
請求項3に記載の電動二輪車では、第2シート支持部の各上部は、当該上部が接続される下部よりも車幅方向内側に位置する部分を有する。電動二輪車が充電器に接続される充電コードを有する場合には、充電コードを第2シート支持部の上部の外側に配設することによって充電コードをばたつきなく円滑に収納できる。
【0016】
請求項4に記載の電動二輪車では、充電器の前端がバッテリの後端より前方に位置するように充電器が配置されるので、それに応じて充電器の後端が前寄りになる。したがって、充電器を保持する第2フレーム部を短くでき、充電器に伝達される振動をさらに抑制できる。
【0017】
請求項5に記載の電動二輪車では、第1シート支持部と第2シート支持部とが連結部によって連結されるので、第2シート支持部ひいては第2フレーム部をさらに強固に支持でき、充電器に伝達される振動を一層抑制できる。
【0018】
請求項6に記載の電動二輪車では、充電コードがシートと充電器との間に収納される。この場合、充電コードの収納スペースを広くでき、長い充電コードであっても容易に収納できるとともに充電作業における乗員の利便性を向上できる。また、充電コードを小さい曲率で収納でき、充電コード自体の耐久性も向上できる。
【0019】
請求項7に記載の電動二輪車では、バッテリは後方に傾くように配置され、充電器の前端がバッテリの上端より下方に位置しかつ充電器は前方に傾くように配置されるので、充電器とシートとの間に充電コードの大きな収納スペースを確保できる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、充電器に伝達される振動を低減できる電動二輪車が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明の一実施形態の電動二輪車を示す左側面図である。
【
図3】一対の第2フレーム部を連結する充電器保持部およびその周辺の一例を示す斜視図である。
【
図4】後部フレーム、バッテリおよび充電器の一例を示す斜視図である。
【
図5】後部フレーム、バッテリ、充電器およびシートの一例を示す側面図解図である。
【
図6】保持部材に取り付けられた充電器の一例を示す斜視図である。
【
図8】充電器の内部構造の一例を示す図解図である。
【
図9】充電コードが収納されたコード収納トレーの一例を示す斜視図である。
【
図10】充電コードが収納されたコード収納トレーの一例を示す平面図である。
【
図11】コード収納トレー、後部上カバーおよび後部下カバーの一例を示す斜視図である。
【
図12】後部下カバーに設けられた排出口の一例を示す斜視図である。
【
図13】後部下カバーに設けられた排気口の一例を説明するための断面図解図である。
【
図14】バッテリのバッテリ本体およびサービスプラグの一例を示す図解図である。
【
図15】コード収納トレーおよびプラグカバーの一例を示す斜視図である。
【
図16】プラグカバーを取り外した状態のコード収納トレーの一例を示す平面図である。
【
図17】プラグカバーを取り付けた状態のコード収納トレーの一例を示す斜視図である。
【
図18】プラグカバーを取り外した状態のコード収納トレーの一例を示す斜視図である。
【
図19】プラグカバーおよびサービスプラグを取り外した状態のコード収納トレーおよびバッテリ本体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
この発明の実施の形態における左右、前後、上下とは、電動二輪車10のシート98に乗員がそのハンドル24に向かって着座した状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
【0023】
図1を参照して、この発明の一実施形態の電動二輪車10は、車体フレーム12を有する。車体フレーム12は、ヘッドパイプ14、ヘッドパイプ14から後方へ斜め下方に延びる前部フレーム16、および前部フレーム16の後部に連結されかつ後方へ斜め上方に立ち上がる後部フレーム18を備えている。
【0024】
ヘッドパイプ14内には、ステアリング軸20が回動自在に挿通されている。ステアリング軸20の上端にはハンドル支持部22が取り付けられ、ハンドル支持部22にはハンドル24が固定されている。ステアリング軸20の下端にはフロントフォーク26が取り付けられており、フロントフォーク26の下端には前輪28が回転自在に取り付けられている。ヘッドパイプ14の前方には、バッテリ68(後述)からの出力電圧を補器に供給するための低電圧に(ここでは、48Vを12Vに)変換するためのDC−DCコンバータ30が設けられている。
【0025】
前部フレーム16は左右一対のダウンチューブ16a,16b(
図2参照)を含む。一対のダウンチューブ16a,16bはそれぞれ、後方斜め下方向へ延びたのち湾曲して後方へ延びる略V字状に形成されている。一対のダウンチューブ16a,16bの屈曲部近傍には一対のフートレスト32が取り付けられている。一対のダウンチューブ16a,16bの後端部にはそれぞれブラケット17a,17bが設けられており、ブラケット17a,17bにはピボットシャフト17cを介してリヤアーム34の前端部が取り付けられ、リヤアーム34が揺動自在に設けられている。リヤアーム34の後端部34aには、たとえばアキシャルギャップ型の電動モータ36が内蔵されている。電動モータ36は後輪38に連結されかつ後輪38を回転駆動する。リヤアーム34には駆動ユニット40が内蔵されている。駆動ユニット40は、電動モータ36に電気的に接続されかつ電動モータ36の回転駆動を制御する。
【0026】
図2を参照して、後部フレーム18は、左右一対の第1フレーム部42a,42bと、左右一対の第2フレーム部44a,44bと、充電器支持部46と、第1シート支持部48と、第2シート支持部50と、サスペンション取付部52とを含む。
【0027】
一対の第1フレーム部42a,42bはそれぞれ、フートレスト32より後方において一対のダウンチューブ16a,16bに接続され、後方かつ斜め上方に延びる。一対の第2フレーム部44a,44bは、一対の第1フレーム部42a,42bから延設され、かつ水平方向に対する傾斜角度が第1フレーム部42a,42bよりも小さくなるように後方に延びる。この実施形態では、第1フレーム部42aと第2フレーム部44aとは、一本のフレームを湾曲させて全体視略V字状に形成され、湾曲部の中心部が第1フレーム部42aと第2フレーム部44aとの接続部P1に相当する。同様に、第1フレーム部42bと第2フレーム部44bとは、一本のフレームを湾曲させて全体視略V字状に形成され、湾曲部の中心部が第1フレーム部42bと第2フレーム部44bとの接続部P2に相当する。
【0028】
図3をも参照して、充電器支持部46は、板状に形成され、一対の第2フレーム部44a,44bを直線状に連結する。充電器支持部46は、第2フレーム部44a,44bの後端部を相互に連結する板状の連結部54と、連結部54上に取り付けられる絶縁板56とを含む。連結部54と絶縁板56とは複数(ここでは3つ)のたとえばボルトなどの固定部材58によって連結されている。
【0029】
図2および
図4を参照して、第2シート支持部50は、第1シート支持部48より後方に位置し、充電器支持部46に取り付けられた充電器74(後述)を跨ぐように一対の第2フレーム部44a,44bを連結しかつシート98を支持する。第2シート支持部50は、充電器支持部46の前部近傍でありかつ一対の第2フレーム部44a,44bの略中央部から立設される一対の下部60a,60bと、一対の下部60a,60bに接続される一対の上部62a,62bと、一対の上部62a,62bを連結しかつシート98を支持する板状の連結部62cとを含む。一対の下部60a,60bと一対の上部62a,62bとは、ボルト63によって接続されている。一対の上部62a,62bは、上方ほど相互の間隔が狭くなるように設けられ、一対の上部62a,62bと連結部62cとは、全体視略π字状に形成される。
【0030】
第1シート支持部48は、第2シート支持部50の前方において一対の第2フレーム部44a,44bを連結しかつ前方に突出するように設けられる平面視略U字状のパイプ65と、パイプ65の前端部に設けられシート98の前部を支持する連結部100(後述)とを含む。パイプ65の両端部はそれぞれ、連結部64a,64bによって第2シート支持部50の下部60a,60bに連結されている。また、パイプ65の両側はそれぞれ、支持パイプ66a,66bによって、第1フレーム部42aと第2フレーム部44aとの接続部P1近傍、第1フレーム部42bと第2フレーム部44bとの接続部P2近傍に連結されている。サスペンション取付部52は、左側の第1フレーム部42aの上端部(接続部P1)近傍に取り付けられている。
【0031】
図4および
図5を参照して、このような後部フレーム18の一対の第1フレーム部42a,42b間には、電動モータ36とDC−DCコンバータ30とに電力を供給するバッテリ68が設けられている。一対の第1フレーム部42a,42b間において第1フレーム部42a,42bの長さ方向中央部からやや下方の位置には、バッテリホルダ70が設けられ、第1シート支持部48の前端部には後方に向けて押さえ部72が取り付けられている。バッテリ68はバッテリホルダ70に保持され、バッテリ68の上面は押さえ部72によって押さえられている。これによって、バッテリ68は、側面視において、第1フレーム部42a(42b)と第2フレーム部44a(44b)との接続部P1(P2)に重なるように配置されている。また、バッテリ68は、前方上部の隅部C1が後方上部の隅部C2より上方に位置するように後方に傾いて配置されている。さらに、バッテリ68は、たとえばリチウムイオン電池などの複数のセル68aを含む。各セル68aはその軸線68bが車幅方向(左右方向)を指向するように配置されている。この場合、各セル68aの軸線68bが前後方向を指向する場合に比べて、バッテリ容量を増加させても車長が過大になることを抑制できる。
【0032】
バッテリ68の後方にはBMC(バッテリ・マネージメント・コントローラ)69が設けられている。BMC69は、駆動ユニット40、バッテリ68および充電器74に電気的に接続されている。
【0033】
図6および
図7をも参照して、充電器支持部46の絶縁板56には、バッテリ68を充電するための充電器74が取り付けられている。充電器74は第2シート支持部50をくぐるように配置されている。充電器74の底面にはたとえば略角柱状の複数(ここでは3つ)の突起部76が形成されており、各突起部76と絶縁板56とはたとえばボルトなどの固定部材78によって連結されている。このようにして、充電器74がシート98の下方かつ後輪38の上方に配置され、充電器74の前端Fがバッテリ68の後端(隅部C2)より前に位置するように充電器74が配置される(
図5参照)。また、側面視において、充電器74は、第2フレーム部44a,44bより上方に配置されている。言い換えれば、第2フレーム部44a,44bの上方に充電器74を配置できるように、第1フレーム部42a,42bは短く形成され、接続部P1,P2の地上高さは充電器74よりも下方に位置し従来よりも低く設定されている。さらに、充電器74の前端Fがバッテリ68の上端(隅部C1)より下方に位置しかつ充電器74は前方に傾くように配置されている(
図5参照)。
【0034】
図8を参照して、充電器74は、たとえばアルミニウム製の上面開口のケース80を含み、ケース80の側面には放熱用の複数のフィン81が形成されている。ケース80の上面にはたとえば樹脂からなる蓋82が取り付けられている。ケース80にはIC基板84が収納されている。IC基板84には、ケース80の内壁に接触するように配置された放熱板86が取り付けられ、放熱板86に接触するようにトランジスタ88が取り付けられている。トランジスタ88は付勢部材90によって放熱板86に付勢されている。また、IC基板84には、コイル92およびトランス94などが取り付けられている。そして、ケース80内にはIC基板84を覆う程度にポッティング剤96が充填されている。
【0035】
このように、ポッティング剤96を、振動の影響を受けやすいIC基板84を覆う程度に充填することによって、ポッティング剤96の使用量を少なくでき充電器74を軽くできるとともに、後部フレーム18の振動の影響を軽減できる。
【0036】
また、放熱板86をケース80の内壁に設けることによって、後部下カバー112aの放熱口114(後述)と相まって放熱性を向上させることができる。さらに、放熱部品であるトランジスタ88を放熱板86に付勢部材90で付勢することによって、さらに放熱性を向上させることができる。
【0037】
図1、
図5および
図13を参照して、シート98は、シート本体98aとシート本体98aの下面に設けられる複数の突部98bとシート本体98aの後端部に設けられるカバー98cとを含む。
図4および
図5をも参照して、第1シート支持部48の前端部には、シート本体98aの下面前端部近傍が連結部100を介して連結され、シート98は連結部100を支点として開閉(揺動)可能となる。シート98が閉じられたとき複数の突部98bの平面状の下面が第2シート支持部50の連結部62cの上面に接触し、シート98の位置が規制される。
図1に戻って、サスペンション取付部52とスイングアーム34とがサスペンション102によって連結されている。
【0038】
そして、
図5、
図9および
図10を参照して、第1シート支持部48、第2シート支持部50および充電器74の上には、コード収納トレー104が配置される。
【0039】
コード収納トレー104は、前後方向に細長いトレー本体104aを含む。トレー本体104aの先端部には、先端ほど高くなるように傾く傾斜部104bが形成され、傾斜部104bの両側には、前後方向に延びる一対の嵌合部104c,104dが形成されている。嵌合部104c,104dは、パイプ65の両側が嵌るように断面略円弧状に形成されている。嵌合部104c近傍には、充電器74に接続される充電コード106を引き出すための貫通孔104eが形成されており、嵌合部104c,104d間には、充電コード106を係合するためにやや湾曲した係合部104fが形成されている。トレー本体104aの後部には、上方に突出する突部104gが形成されている。突部104gは、前壁104hと、左右の側壁104i,104jと、後壁104kと、天板104lとを含む。突部104gには、前壁104hと左右の側壁104i,104jとによって囲まれる位置に、第2シート支持部50の一対の上部62a,62bが挿入される貫通孔104mが形成されている。貫通孔104mに一対の上部62a,62bが挿入されたとき、貫通孔104mから連結部62cが露出する。また、前壁104hの前方には爪状の係止部104nが立設されている。前壁104hと係止部104nとの間隔は、充電コード106のプラグ106aを係止できるように設定されている。さらに、トレー本体104aの後半部には、略半楕円状の外壁104oが形成されている。
【0040】
このようなコード収納トレー104上に充電コード106が収納され、これによって充電コード106はシート98と充電器74との間に収納される。収納時には、充電コード106は、外壁104oと突部104gとの間を通るように突部104gの側壁104i、後壁104k、側壁104jおよび係合部104fに巻回されていき、プラグ106aが突部104gの前壁104hと係止部104nとによって係止される。また、コード収納トレー104の近傍には、把持部107が設けられている。
【0041】
図1を参照して、ヘッドパイプ14の前部にはDC−DCコンバータ30を覆うようにフロントパネル108が装着され、前部フレーム16付近には前部カバー110が装着され、後部フレーム18付近には後部下カバー112aと後部下カバー112aに組み合わされる後部上カバー112bとが取り付けられている。
【0042】
図11〜
図13を参照して、後部下カバー112aのうち、充電器74の左右両側面の近傍には、それぞれ複数(この実施形態では5つ)の放熱口114が設けられている。各放熱口114は、たとえば長孔に形成されている。
【0043】
このような電動二輪車10によれば、第1フレーム部42a(42b)と第2フレーム部44a(44b)との接続部P1(P2)が充電器74より下方でありかつ側面視においてバッテリ74と重なるように、第1フレーム42a(42b)が従来より短く形成される。また、第2フレーム44a(44b)は充電器74より下方を後方に延びるように従来より短く形成される。したがって、第1フレーム部42a(42b)と第2フレーム部44a(44b)との合計長が従来より短く形成される。そして、一対の第2フレーム部44a,44bを直線状に連結する充電器支持部46によって充電器74が支持される。このように、従来より短い後部フレーム18を用い、かつブラケットを用いることなく一対の第2フレーム部44a,44bを直線状に連結する充電器支持部46を用いることによって、前部フレーム16と後部フレーム18との接続部X1(X2)(
図2,
図5参照)から、第1フレーム部42a(42b)、第2フレーム部44a(44b)および充電器支持部46を介して充電器74に至るまでの長さ、すなわち、前部フレーム16と後部フレーム18との接続部X1(X2)から充電器74に至るまでの部材(経路)の長さを、従来よりもかなり短くできる。したがって、接続部X1(X2)から後部フレーム18を通って充電器74に伝達される振動を低減できる。また、一対の第2フレーム部44a,44bを第2シート支持部50で連結することによって、一対の第2フレーム44a,44bを強固に支持でき、これによっても充電器74への振動を低減できる。さらに、第2シート支持部50の少なくとも一部が充電器支持部46より前方に位置するように第2シート支持部50が一対の第2フレーム部44a,44bを連結することによって、荷重が第2フレーム部44a,44bの後端に集中して加わるのを回避する。これにより、第2フレーム部44a,44bの振動を抑制し、充電器74への振動を低減する。このように、後部フレーム18を短くし、一対の第2フレーム部44a,44bを強固に支持し、第2シート支持部50の取り付け位置を工夫する等の複数の構造的特徴によって、充電器74への振動を低減する。
【0044】
第2シート支持部50が充電器74を跨ぐように一対の第2フレーム部44a,44bを連結することによって、第2シート支持部50は充電器74の配置の障害にならず、充電器74を前方に配置することができる。その結果、充電器74を支持する充電器支持部46も前方に位置し、充電器支持部46が設けられる第2フレーム部44a,44bを短くできる。したがって、前部フレーム16と後部フレーム18との接続部X1(X2)から充電器74に至るまでの部材(経路)の長さを、さらに短くでき、充電器74に伝達される振動をさらに低減できる。
【0045】
第2シート支持部50の上部62aは、それが接続される下部60aよりも車幅方向内側に位置する部分を有し、同様に、上部62bは、それが接続される下部60bよりも車幅方向内側に位置する部分を有する。したがって、充電コード106を第2シート支持部50の上部62a,62bの外側に配設することによって充電コード106をばたつきなく円滑に収納できる。
【0046】
充電器74の前端がバッテリ68の後端より前方に位置するように充電器74が配置されるので、それに応じて充電器74の後端が前寄りになる。したがって、充電器74を保持する第2フレーム部44a,44bを短くでき、充電器74に伝達される振動をさらに抑制できる。
【0047】
第1シート支持部48と第2シート支持部50とが連結部64a,64bによって連結されるので、第2シート支持部50ひいては第2フレーム部44a,44bをさらに強固に支持でき、充電器74に伝達される振動を一層抑制できる。
【0048】
充電コード106がシート98と充電器74との間に収納される。この場合、充電コード106の収納スペースを広くでき、長い(たとえば2m程度の)充電コード106であっても容易に収納できるとともに充電作業における乗員の利便性を向上できる。また、充電コード106を小さい曲率で収納でき、充電コード106自体の耐久性も向上できる。
【0049】
バッテリ68は後方に傾くように配置され、充電器74の前端Fがバッテリ68の上端(隅部C1)より下方に位置しかつ充電器74は前方に傾くように配置されるので、充電器74とシート98との間に充電コード106の大きな収納スペースを確保できる。
【0050】
充電コード106は、コード収納トレー104の外壁104oと突部104gとの間を通るように収納されるので、充電コード106のばたつきを抑えるとともに収納が容易となる。
【0051】
また、充電コード106は、トレー本体104aの前後に設けられた係合部104fと後壁104kとに係合しながら巻回されていくので、充電コード106のばたつきを抑えるとともに収納が容易となる。
【0052】
さらに、プラグ106aが突部104gの前壁104hと係止部104nとによって係止されるので、充電コード106のばたつきを抑えるとともに収納が容易となる。
【0053】
充電器74と充電コード106とを電動二輪車10に搭載しておくことによって、任意の一般用電源から充電でき利便性を向上できる。
【0054】
充電器74と連結部54との間に絶縁板56を介挿することによって、充電器74と第2フレーム部44a,44bとを絶縁させることができる。
【0055】
なお、
図4、
図5、
図14および
図19を参照して、バッテリ68は、複数のセル68aが収容されたバッテリ本体116と、バッテリ本体116に着脱可能なサービスプラグ118とを含む。サービスプラグ118は、バッテリ68の導通状態を機械的に確実に遮断するために用いられる。バッテリ本体116は、その上面略中央部にプラグ取付部120を有する(
図19参照)。サービスプラグ118をプラグ取付部120に取り付け、サービスプラグ118の接続導体122をバッテリ本体116のサービスプラグソケット124に接続することによって、バッテリ68が導通される。一方、サービスプラグ118をプラグ取付部120から取り外し、サービスプラグ118の接続導体122とバッテリ本体116のサービスプラグソケット124とを非接続にすることによって、バッテリ68が非導通となる。
【0056】
図16をも参照して、サービスプラグ118がバッテリ本体116のプラグ取付部120に装着されているとき、サービスプラグ118は、平面視において車幅方向(左右方向)略中央部でありかつ第1シート支持部48によって3方から囲まれる位置に設けられ、側面視において充電器74の前方に位置するように設けられている。
【0057】
このようなサービスプラグ118へのアクセスを容易にするために、たとえば
図15および
図16に示すようなコード収納トレー126およびプラグカバー128が用いられる。
【0058】
コード収納トレー126は、第1シート支持部48、第2シート支持部50、バッテリ68および充電器74の上に配置される。コード収納トレー126は、バッテリ68のサービスプラグ118に対応する位置に貫通孔126aを有する。また、コード収納トレー126は、第1シート支持部48上に設けられるトレー前部126bと、第2シート支持部50上に設けられるトレー後部126cと、トレー後部126cに沿うように設けられる略半楕円状の外壁126dとを含む。
【0059】
プラグカバー128は、カバー本体128aと、カバー本体128aの前部から立設しかつ横方向に湾曲した係合部128bと、カバー本体128a上に設けられる板状部128cとを含む。プラグカバー128は、コード収納トレー126に着脱でき、貫通孔126aを塞ぎかつバッテリ68のサービスプラグ118の上方に配置されることができる。プラグカバー128の装着時には、係合部128bが前方に位置するようにプラグカバー128は位置決めされる。
【0060】
充電コード130の収納時には、充電コード130はトレー後部126cおよび係合部128bに巻回され、プラグ130aはトレー前部126bとトレー後部126cとの間に収納される。
【0061】
このようなコード収納トレー126およびプラグカバー128を用いる場合、サービスプラグ118へは次のようにしてアクセスされる。
まず、
図17に示す状態においてプラグカバー128の係合部128bを摘んでプラグカバー128を引き上げ、プラグカバー128を取り外す。すると、
図18に示すように、プラグカバー128の下に位置していたサービスプラグ118が露出する。そして、サービスプラグ118に対して上方からアクセスし、
図19に示すようにサービスプラグ118をバッテリ本体116から取り外す。
【0062】
このようなコード収納トレー126およびプラグカバー128を用いることによって、通常の使用状態ではサービスプラグ118は外部に露出しないように収納できる。一方、サービスプラグ118は、平面視において車幅方向(左右方向)略中央部かつバッテリ本体116の上面というアクセスが容易な位置に設けられており、プラグカバー128を取り外すだけで上方から容易にサービスプラグ118へアクセスできる。
【0063】
また、サービスプラグ118は、後方に傾くように配置されたバッテリ本体116の上面の略中央部に取り付けられるので、バッテリ本体116にサービスプラグ118が装着された状態であってもバッテリ68は上方へ出っ張らず、バッテリ68の上方にスペースを確保できる。
【0064】
さらに、プラグ取付部120はシート98の下方に位置している。したがって、プラグカバー128を取り外しかつバッテリ本体116からサービスプラグ118を取り外した状態であっても、シート98を倒すだけでプラグ取付部120を覆うことができ、プラグ取付部120からバッテリ本体116内にごみなどの異物が侵入することを防ぐことができる。
【0065】
なお、上述の実施形態では、一対の第2フレーム部44a,44bは、水平方向に対する傾斜角度が第1フレーム部42a,42bよりも小さくなるように後方に延びる構造であった。しかし、この発明はこれに限定されない。一対の第2フレーム部44a,44bは、少なくとも後方に延びていればよく、たとえば真後ろへ延びるように構成されてもよい。
【0066】
また、上述の実施形態では、第1フレーム部42aと第2フレーム部44aとは、一本のフレームを湾曲させて全体視略V字状に形成されたものであった。しかし、この発明はこれに限定されない。第1フレーム部42aと第2フレーム部44aとは、一本のフレームを折り曲げて形成されてもよい。この場合、折り曲げ部が、第1フレーム部42aと第2フレーム部44aとの接続部P1に相当する。また、第1フレーム部42aと第2フレーム部44aとは、別体のフレームであり、それらをたとえば溶接などによって接続するようにしてもよい。第1フレーム部42bと第2フレーム部44bとについても同様である。
【0067】
上述の実施形態では、第2シート支持部50の一対の上部62a,62bは上方ほど相互の間隔が狭くなるように設けられたが、この発明はこれに限定されない。上部62aはそれが接続される下部60aよりも車幅方向内側に位置する部分を有することが好ましい。同様に、上部62bはそれが接続される下部60bよりも車幅方向内側に位置する部分を有することが好ましい。
【0068】
フートレスト32は、シート98の一部より前方かつ下方に配置されることが好ましい。
【0069】
充電器支持部46は、一対の第2フレーム部44a,44bのうちのいずれか一方に接続され、所謂片持ち構造であってもよい。
【0070】
第2シート支持部50は、その少なくとも一部が充電器支持部46より前方に位置するように設けられることが好ましい。