(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
内燃機関の一つとして、シリンダ内でピストンが1往復するごとに、吸気、圧縮、燃焼、および排気の1サイクルが完了するレシプロエンジンである、2ストロークエンジン(2サイクルエンジン)がある。この2ストロークエンジンには、可燃性ガス(ガス燃料)を主燃料に用いるガスモード運転と、重油(液体燃料)のみを燃料に用いるディーゼルモード運転とを選択できる2ストロークデュアルフューエル機関がある。なお、以下の説明では、可燃性ガスとして液化天然ガス(LNG)が用いられる場合を説明する。
【0003】
図5は、従来の2ストロークデュアルフューエル機関の一例を示す概略図である。この2ストロークデュアルフューエル機関100は、筒状のシリンダライナ1(シリンダ)と、上部壁2aがシリンダライナ1の長手方向中間部分に外側から嵌合してシリンダライナ1を保持する中空構造のハウジング2と、このハウジング2の側方に設けた開口部2bに装着された空気溜3と、シリンダライナ1の上端に装着されて燃焼室10を形成し且つ中央に排気弁筺5が装着されたシリンダ蓋4とを備えている。なお、
図5において、シリンダライナ1は上下方向に延びて配置されている。
【0004】
シリンダライナ1内にはピストン6が上下方向に往復動可能に挿入されている。このピストン6から下方へ向けて突出するピストン棒7は、ハウジング2の下部に形成した鍔部2cにスタッフィングボックス8を介して摺動可能に保持されている。
【0005】
また、シリンダライナ1の下端部には、径方向に貫通する複数の掃気ポート1aが、ハウジング2の中空部2dに面するように形成されている。この掃気ポート1aは、
図5に示すように、ピストン6が下死点にあるときに、ハウジング2の中空部2dとシリンダライナ1内部とを連通させ、空気溜3からシリンダライナ1内部へ空気Aを取り入れるための貫通孔である。
【0006】
シリンダ蓋4には、その下方に形成された燃焼室10へ向けて液体燃料を噴射するためのパイロット噴射弁12が斜めに装着されている。このパイロット噴射弁12には、燃料噴射ポンプ21が液体燃料タンク22から吸引した重油(液体燃料)が、燃料高圧管23を介して供給される。燃料噴射ポンプ21のピストンは、燃料カム41がカム軸39とともに回転することによって駆動される。
【0007】
排気弁筺5には、下端が燃焼室10に連通し且つ上端が機関排気経路に接続される排気通路5aが形成され、周上縁部分が排気弁筺5の下端に接して排気通路5aの下端部分を閉塞し得る排気弁13が組み込まれている。
【0008】
排気弁13の中心部分には、上方へ向けて突出する排気弁棒14が接続されている。この排気弁棒14は排気弁筺5を摺動可能に貫通している。排気弁棒14は、排気弁駆動部15によって昇降し、排気弁13が排気通路5aの下端を閉塞、あるいは開放する。
【0009】
シリンダライナ1の長手方向中間部分には複数のガス噴射弁11が、その噴射口がシリンダライナ1の中心を向き且つ掃気ポート1aの上方に位置するように装着されている。各ガス噴射弁11には、LNGポンプ31によってLNGタンク16からLNGが吸引された後、蒸発器32において気化したガス燃料が、圧力調整弁33、及びガス制御器34を経て供給される。このガス制御器34は、ガス噴射弁11に対するガス燃料の供給をオン、オフ制御する役割を担っている。また、LNGポンプ31は、電動機35によって駆動される。
【0010】
更に、
図5に示す2ストロークデュアルフューエル機関100は、掃気圧力センサ36と、クランク角検出センサ37と、制御器38とを備えている。掃気圧力センサ36は、空気溜3に装着され、この空気溜3内の空気圧を検出する。クランク角検出センサ37は、燃料噴射ポンプ21を駆動するカム軸39の一端に装着されたクランク角検出歯車40と対向して設けられている。クランク角検出センサ37は、クランク角検出歯車40の回転位置からクランク角を検出して、クランク角検出信号を出力する。
【0011】
制御器38は、クランク角検出センサ37が発信するクランク角検出信号に基づき、ガス噴射弁11よりガス燃料を噴射する時期を判断するとともに、ガス制御器34に指令信号を送信し、ガス燃料の噴射開始と噴射停止とを制御し得るように構成されている。
【0012】
更に、制御器38は、掃気圧力センサ36が検出した空気溜3内の空気圧の変動に応じてシリンダライナ1へ流入する空気Aの重量を推定するとともに、ガス制御器34を作動させ、ガス噴射弁11からシリンダライナ1内へ供給されるガス燃料の供給量を調整し得るように構成されている。
【0013】
次に、
図5に示す2ストロークデュアルフューエル機関100のガスモード運転時の動作を説明する。ピストン6が下死点に位置している状態では、過給機(図示せず)から空気溜3に供給された空気Aが、ハウジング2の中空部2d、シリンダライナ1の掃気ポート1aを経てこのシリンダライナ1の内部に取り入れられる。このとき、排気弁駆動部15は、排気弁13を下降させて排気通路5aを開放しており、シリンダライナ1へ流入する空気Aが、燃焼室10内に残留している燃焼ガスを、排気として排気通路5aを介して外部へ送り出す。
【0014】
ピストン6が上昇してシリンダライナ1の掃気ポート1aを塞ぐと、制御器38は、クランク角検出センサ37が発信するクランク角検出信号に基づき、ガス噴射弁11よりガス燃料を噴射する時期を判断するとともに、ガス制御器34に指令信号を送信し、ガス噴射弁11によるガス燃料の噴射が開始され、シリンダライナ1の内部で空気Aとガス燃料とが混合される。また、排気弁駆動部15は、排気弁13を上昇させて排気通路5aを閉塞する。ガス燃料は、ピストン6の上昇に伴って圧縮されるので、シリンダライナ1内へのガス燃料の噴射圧を高くしなくてもよい。
【0015】
ピストン6がシリンダライナ1のガス噴射弁11取付個所を通過するときに、制御器38は、クランク角検出センサ37が発信するクランク角検出信号に基づき、ガス噴射弁11よりガス燃料を噴射する時期を判断するとともに、ガス制御器34に指令信号を送信し、ガス噴射弁11によるガス燃料の噴射を停止する。
【0016】
ピストン6が上死点に到達し、空気Aとガス燃料との混合気体が最も圧縮されたときに、パイロット噴射弁12から燃焼室10へ向けて液体燃料を噴射すると、この液体燃料は燃焼室10の内部で自発火する。この火炎により空気Aとガス燃料との混合気体が着火爆発し、このときの爆発圧力によりピストン6が下降して、このピストン6は下死点に到達する。
【0017】
ピストン6が下死点に到達すると、過給機(図示せず)から空気溜3に供給された空気Aが、ハウジング2の中空部2d、シリンダライナ1の掃気ポート1aを経てこのシリンダライナ1の内部に取り入れられる状態になるとともに、排気弁駆動部15が、排気弁13を下降させて排気通路5aを開放する。その後、上述したような予混合燃焼が繰り返される。
【0018】
更に、
図5に示す2ストロークデュアルフューエル機関100において、ガス噴射弁11でのガス燃料の噴射を止め、パイロット噴射弁12による液体燃料の噴射のみを実行すれば、ディーゼルモード運転が行われる。
【0019】
すなわち、ピストン6が上死点に到達し、空気Aが最も圧縮されたときに、パイロット噴射弁12から液体燃料を燃焼室10へ向けて噴射すると、この液体燃料は燃焼室10の内部で自発火して着火爆発し、このときの爆発圧力によりピストン6が下降する。
【0020】
なお、2ストロークエンジンのうち、2ストロークデュアルフューエル機関に関連する先行技術文献情報としては、下記の特許文献1がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
図5に示す2ストロークデュアルフューエル機関100では、シリンダライナ1内に供給した空気Aとガス燃料との混合気をピストン6で圧縮した後、パイロット噴射弁12から燃焼室10へ液体燃料を噴射してこの混合気を着火爆発させる予混合燃焼を採用している。そのため、シリンダライナ1へのガス燃料の噴射圧を高くしなくてもよい、という利点がある。もっとも、正常な燃焼が行われるようにするには、混合気の空燃比が適正である必要がある。なお、空燃比とは、シリンダライナ1内の空気Aとガス燃料との重量比であり、一般的には空気Aの重量をガス燃料の重量で割ったものを示すが、以下、この重量比とは、エンジンに供給された実際の燃料と空気の混合比(空燃比)と理論空燃比(完全燃焼時の空燃比)との比率(空気過剰率)であって、エンジンに吸入される混合気の空燃比を理論空燃比で割ったものを示す場合がある。
一例として、ガス燃料としてLNGを用いる場合、適正な空燃比の範囲は、完全燃焼時の理論空燃比の1〜2倍程度である。
【0023】
しかしながら、空気溜3を経てシリンダライナ1へ流入する空気Aの重量は、空気溜3よりも空気流通方向上流側に配置される過給機(図示せず)の吸込み空気温度や、過給機から吐出される空気を冷却する空気冷却器の出口空気温度の影響を受けて変化する。このため、先に述べたような空気溜3内の空気圧の変動からシリンダライナ1へ流入する空気Aの重量を推定する方法では、この空気Aの重量を正しく推定できない可能性がある。よって、目標とする空燃比と実際の空燃比とに乖離が生じてしまい、効率的で安定した燃焼(機関の運転)を維持することが困難になる可能性がある。
【0024】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたもので、ガスモード運転時に適正な空燃比が得られる2ストロークエンジンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明によれば、2ストロークエンジンは、可燃性ガスを主燃料に用いるガスモード運転を少なくとも実行可能であり、複数のシリンダと、前記複数のシリンダにそれぞれ設けられる排気弁と、空燃比制御器と、を備える。
また、この空燃比制御器は、ガスモード運転時に、前記複数のシリンダ内の平均空燃比を算出するとともに、前記複数のシリンダに供給される空気量を調節することにより前記平均空燃比を制御する機能と、各前記シリンダ内の空燃比をそれぞれ算出するとともに、前記排気弁の閉止時期を調節することにより前記空燃比を制御する機能とを有している。
【0026】
この場合、前記可燃性ガスとして、LNGを気化させたガスを用い、前記空燃比制御器は、ガスモード運転時に、算出された前記平均空燃比が1.5に近付くように前記複数のシリンダに供給される空気量を調節するとともに、算出された前記空燃比が1.0〜2.5の範囲になるように前記排気弁の閉止時期を調節してもよい。なお、上記空燃比(上記平均空燃比)は、シリンダ内における混合気の空燃比(一般的な空燃比)を理論空燃比で割った比率である。
【0027】
また、本発明の2ストロークエンジンは、前記複数のシリンダにそれぞれ接続される排気枝管と、前記複数のシリンダから送出される排気を前記排気枝管を介して集める排気主管と、前記排気弁を開閉する排気弁駆動部と、前記複数のシリンダに空気を供給する空気供給管に空気流通方向上流端が連通している空気逃し管と、前記空気逃し管に組み込まれた空気逃し弁と、前記排気主管内の空燃比を計測する排気主管空燃比センサと、各前記排気枝管内の空燃比をそれぞれ計測する排気枝管空燃比センサと、クランク角度を検出するクランク角検出センサと、をさらに備えてもよい。
また、前記空燃比制御器は、ガスモード運転時に、前記排気主管空燃比センサの計測値から前記平均空燃比を算出するとともに、前記空気逃し弁の開度を調節することにより前記平均空燃比を制御する機能と、前記排気枝管空燃比センサの計測値から前記空燃比をそれぞれ算出するとともに、前記クランク角検出センサの検出値に基づいて前記排気弁駆動部による前記排気弁の閉止時期を調節することにより前記空燃比を制御する機能と、を有してもよい。
【0028】
また、本発明の2ストロークエンジンは、前記排気主管に集められた排気のエネルギーを回転運動に変換する過給機タービンと、前記過給機タービンにより駆動され且つ空気を昇圧させて前記複数のシリンダに供給する過給機ブロワと、をさらに備えてもよい。
また、前記空気供給管の空気流通方向上流端が前記過給機ブロワの空気出口に連通していてもよい。
【0029】
また、前記空気逃し管の空気流通方向下流端が前記過給機ブロワの空気入口に連通していてもよい。
【0030】
また、前記空気逃し管の空気流通方向下流端が前記過給機タービンの排気入口に連通していてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の2ストロークエンジンによれば、下記のような優れた作用効果を得ることができる。
【0032】
(1)ガスモード運転時に、排気主管空燃比センサの計測値から複数のシリンダ内の平均空燃比を算出し、空気逃し弁の開度を調節することによりこの平均空燃比を制御して、機関全体としての空燃比を適正な値に保つことができる。
【0033】
(2)また、排気枝管空燃比センサの計測値から各シリンダ内の空燃比を算出し、排気弁駆動部による排気弁の閉止時期を調節することによりこの空燃比を制御して、各シリンダの空燃比を適正な値に保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0036】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態における2ストロークデュアルフューエル機関の概略図である。本実施形態の2ストロークデュアルフューエル機関101(2ストロークエンジン)において、シリンダライナ1、ハウジング2、空気溜3、シリンダ蓋4、排気弁筺5、ピストン6、ピストン棒7、スタッフィングボックス8、ガス噴射弁11、パイロット噴射弁12、排気弁13、排気弁棒14、及び排気弁駆動部15によって構成される機関本体は、
図5に示す2ストロークデュアルフューエル機関100と同等である。
図1において、
図5に示す2ストロークデュアルフューエル機関100の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0037】
ガス噴射弁11ヘガス燃料を供給する手段の構成は、従来の2ストロークデュアルフューエル機関と同様である。ガス噴射弁11には、
図5におけるLNGポンプ31によってLNGタンク16からLNGが吸引された後、蒸発器32において気化したガス燃料が、圧力調整弁33、及びガス制御器34を経て供給される。
【0038】
また、パイロット噴射弁12へ液体燃料を供給する手段の構成も、従来の2ストロークデュアルフューエル機関と同様である。パイロット噴射弁12には、
図5における燃料噴射ポンプ21が液体燃料タンク22から吸引した液体燃料(重油)が、燃料高圧管23を介して供給される。
【0039】
図1に示す2ストロークデュアルフューエル機関101は、シリンダライナ1を複数備えている。複数のシリンダライナ1には、排気弁筺5がそれぞれ設けられている。また、2ストロークデュアルフューエル機関101は、燃焼室10から排気通路5aを経て外部へ送り出される排気Gを集める排気主管51と、この排気主管51に集められた排気Gのエネルギーで空気Aを昇圧させる過給機52と、この過給機52が昇圧させた空気Aを冷却する空気冷却器53と有している。
【0040】
排気主管51は、複数の排気弁筺5が共用する排気管である。各排気弁筺5の排気通路5aには、複数の排気枝管54の排気流通方向上流端がそれぞれ接続されている。排気主管51には、各排気枝管54の排気流通方向下流端が接続されている。
【0041】
過給機52は、排気主管51に集められた排気Gのエネルギーを回転運動に変換するタービン55(過給機タービン)と、このタービン55により駆動され且つ空気Aを昇圧させるブロワ56(過給機ブロワ)とを備えている。
【0042】
タービン55の排気入口には、タービン入口管57の排気流通方向下流端が接続され、このタービン入口管57の排気流通方向上流端は、排気主管51に接続されている。また、タービン55の排気出口には、タービン出口管58の排気流通方向上流端が接続され、このタービン出口管58の排気流通方向下流端は、消音器(図示せず)を介して大気開放されている。
【0043】
ブロワ56の空気入口には、ブロワ入ロ管59の空気流通方向下流端が接続され、このブロワ入ロ管59の空気流通方向上流端は、エアフィルタ(図示せず)を介して大気開放されている。また、ブロワ56の空気出口には、ブロワ出口管60(空気供給管)の空気流通方向上流端が接続されている。
【0044】
この過給機52は、ディーゼル機関と同様な液体燃料のみによる運転(ディーゼルモード運転)時に必要な空気量を確保できる性能を有している。
【0045】
空気冷却器53は、空気出口がハウジング2側を向くように空気溜3に内装されている。空気冷却器53の空気入口とブロワ出口管60の空気流通方向下流端とは、冷却器入口管61を介して接続されている。
【0046】
図1に示す2ストロークデュアルフューエル機関101の特徴部分は、ガスモード運転時に、過給機52のブロワ56の空気出口から送出される空気Aの一部を、このブロワ56の空気入口へ戻すとともに、排気弁13の閉止時期をディーゼルモード運転時に比べて遅らせ、適正な空燃比が得られるように構成した点にある。
【0047】
2ストロークデュアルフューエル機関101は、空気流通方向上流端が過給機52のブロワ56の空気出口に連通し且つ空気流通方向下流端が過給機52のブロワ56の空気入口に連通する空気逃し管62と、この空気逃し管62に組み込まれた空気逃し弁63と、この空気逃し弁63の弁体を駆動して開度を調整するモータ64と、排気主管51内の空燃比を計測する排気主管空燃比センサ65と、各排気枝管54内の空燃比を計測する排気枝管空燃比センサ66と、を備えている。さらに、2ストロークデュアルフューエル機関101は、クランク軸に嵌合して装着されたクランク角検出歯車67と、このクランク角検出歯車67の回転位置からクランク角を検出してクランク角検出信号を出力するクランク角検出センサ68と、ディーゼルモード運転またはガスモード運転を選択するための指令器69と、空燃比制御器70と、を備えている。
【0048】
指令器69は空燃比制御器70へ、ディーゼルモード運転信号またはガスモード運転信号のいずれかを択一的に出力するように構成されている。
【0049】
空燃比制御器70は、指令器69からディーゼルモード運転信号を受信した際に、空気逃し弁63の弁体を駆動するモータ64を作動させて空気逃し弁63を閉じる機能と、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて、排気弁13が定常状態で開閉するための信号を排気弁駆動部15に送信する機能とを有している。
【0050】
ここで言う定常状態とは、
図2に示すように、ピストン6の上死点からクランク角度で80°以上300°以下の範囲が排気弁13の開区間となる状態を示す。なお、
図2においてωはクランク軸の回転方向を表している。
【0051】
また、空燃比制御器70は、指令器69からガスモード運転信号を受信した際に、排気主管空燃比センサ65の計測値(排気主管51内の空燃比)から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う複数のシリンダライナ1内の平均空燃比を算出するとともに、空気逃し弁63の弁体を駆動するモータ64を作動させて空気逃し弁63の開度を調節することにより上記平均空燃比を制御する機能を有している。
さらに、空燃比制御器70は、排気枝管空燃比センサ66の計測値(排気枝管54内の空燃比)から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う各シリンダライナ1内の空燃比を算出するとともに、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて排気弁13の閉止時期を調節するための信号を排気弁駆動部15に送信することにより上記空燃比を制御する機能を有している。
なお、排気主管空燃比センサ65および排気枝管空燃比センサ66は、空燃比を直接計測するセンサであってもよいが、空燃比制御器70が空燃比を算出するための情報を取得するセンサ、すなわち排ガス中の排ガス濃度(例えばO2濃度)を計測するセンサであってもよい。
【0052】
より詳細には、空燃比制御器70は、指令器69からガスモード運転信号を受信した際に、排気主管空燃比センサ65の計測値から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う複数のシリンダライナ1内の平均空燃比を算出するとともに、この平均空燃比が1.5に近付くように、空気逃し弁63の弁体を駆動するモータ64を作動させて空気逃し弁63の開度を調節する機能を有している。
さらに、空燃比制御器70は、排気枝管空燃比センサ66の計測値から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う各シリンダライナ1内の空燃比を算出するとともに、この空燃比が1.0〜2.5の範囲になるように、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて、排気弁13の閉止時期を調節する信号を排気弁駆動部15に送信する機能を有している。
なお、上記空燃比(上記平均空燃比)は、シリンダライナ1内における混合気の空燃比(一般的な空燃比)を理論空燃比で割った比率(空気過剰率)である。すなわち、シリンダライナ1内の空燃比(一般的な空燃比)を適切に制御するために、空気過剰率を制御指標として用いている。
【0053】
図2に示すように、掃気ポート1aの開区間は、ディーゼルモード運転時またはガスモード運転時のいずれにおいても、ピストン6の上死点からクランク角度で100°以上260°以下の範囲である。
【0054】
排気弁13の開区間は、ディーゼルモード運転時は、ピストン6の上死点からクランク角度で80°以上300°以下の範囲である。また、ガスモード運転時では、排気弁駆動部15により排気弁13の閉時期をクランク角度で最大320°とし、排気弁13の開区間をディーゼルモード運転時に比べて拡大している。
【0055】
図3はディーゼルモード運転時の空燃比の負荷に対する空気量と、ガスモード運転時の空燃比の負荷に対する空気量とを示すグラフである。ガスモード運転時の空燃比は、ディーゼルモード運転時における空燃比よりも低い1.0〜2.5の範囲に設定されている。
【0056】
次に、
図1に示す2ストロークデュアルフューエル機関101の動作を説明する。
【0057】
空燃比制御器70は、指令器69からディーゼルモード運転信号が送信されていると、空気逃し弁63の弁体を駆動するモータ64を作動させて空気逃し弁63を閉じる。これにより、過給機52のブロワ56が送出する空気Aの全量が、空気溜3からハウジング2を経てシリンダライナ1内に流入する。
【0058】
更に、パイロット噴射弁12から燃焼室10へ向けて液体燃料を噴射すると、
図3に示すように、ディーゼルモード運転時における空燃比は、ガスモード運転時における空燃比の範囲である1.0〜2.5よりも高くなる。
【0059】
空燃比制御器70は、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて排気弁駆動部15に信号を送信し、
図2に示すように、ピストン6の上死点からクランク角度で80°以上300°以下の範囲で排気弁13が開くように制御する。
【0060】
また、空燃比制御器70は、指令器69からガスモード運転信号が送信されると、排気主管空燃比センサ65の計測値(排気主管51内の空燃比)から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う複数のシリンダライナ1内の平均空燃比を算出するとともに、この平均空燃比が1.5に近付くように、空気逃し弁63の弁体を駆動するモータ64を作動させて空気逃し弁63の開度を拡げる。
【0061】
空気逃し弁63の開度が拡げられると、過給機52のブロワ56が送出する空気Aの一部は、空気溜3からハウジング2を経てシリンダライナ1内に流入するものの、空気Aの残りは、空気逃し管62を経てブロワ56の空気入口へ戻る。そのため、
図3に示すように、ディーゼルモード運転から平均空燃比1.5を目標値としたガスモード運転に移行させる「空気逃し制御」が行われる。つまり、各シリンダライナ1内へ流入する空気Aの量を減少させ、機関全体としての空燃比を下げることができる。
【0062】
なお、複数のシリンダライナ1内の算出された平均空燃比が1.5であっても、複数のシリンダライナ1のうちの一つでは、ガスモード運転時の空燃比の上限値である2.5を上回っている場合がある。
【0063】
そこで、空燃比制御器70は、排気枝管空燃比センサ66の計測値(排気枝管54内の空燃比)から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う各シリンダライナ1内の空燃比を算出するとともに、この空燃比が1.0〜2.5の範囲になるように、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて、排気弁13の閉止時期を遅らせる信号を排気弁駆動部15に送信し、空気Aの一部を排気通路5aを介してシリンダライナ1外へ排出する。
【0064】
特定のシリンダライナ1内の算出された空燃比が2.5を上回っている場合には、
図2に示すように、排気弁13の閉時期をクランク角度で最大320°として、排気弁13の開区間を拡大する。すなわち、
図3に示すように、個々のシリンダライナ1内の算出された空燃比を1.0〜2.5とする「排気弁閉時期遅延制御」が行われるので、各シリンダライナ1内の空燃比を適正な値に保つことができる。
【0065】
更に、外乱によって機関負荷が変動する場合は、上記「空気逃し制御」を行うのみでは適正な空燃比になるまでの時間が長くなる(応答性が低い)可能性があるが、上記「排気弁閉時期遅延制御」を行うことにより、適正な空燃比になるまでの時間を短縮する(応答性が高い)ことができる。
【0066】
また、排気主管空燃比センサ65が故障した場合には、排気枝管空燃比センサ66のみによって各シリンダライナ1内の空燃比の適正化を図ることができる。
【0067】
[第2実施形態]
図4は本発明の第2の実施形態における2ストロークデュアルフューエル機関の概略図である。本実施形態の2ストロークデュアルフューエル機関102(2ストロークエンジン)において、シリンダライナ1、ハウジング2、空気溜3、シリンダ蓋4、排気弁筺5、ピストン6、ピストン棒7、スタッフィングボックス8、ガス噴射弁11、パイロット噴射弁12、排気弁13、排気弁棒14、及び排気弁駆動部15によって構成される機関本体は、
図5に示す2ストロークデュアルフューエル機関100と同等である。
図4において、
図5に示す2ストロークデュアルフューエル機関100または
図1に示す2ストロークデュアルフューエル機関101の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0068】
ガス噴射弁11へガス燃料を供給する手段の構成は、従来の2ストロークデュアルフューエル機関と同様である。ガス噴射弁11には、
図5におけるLNGポンプ31によってLNGタンク16からLNGが吸引された後、蒸発器32において気化したガス燃料が、圧力調整弁33、及びガス制御器34を経て供給される。
【0069】
また、パイロット噴射弁12へ液体燃料を供給する手段の構成も、従来の2ストロークデュアルフューエル機関と同様である。パイロット噴射弁12には、
図5における燃料噴射ポンプ21が液体燃料タンク22から吸引した液体燃料(重油)が、燃料高圧管23を介して供給される。
【0070】
また、機関本体に付属する排気主管51、排気枝管54、過給機52のタービン55、過給機52のブロワ56、空気冷却器53は、
図1に示す2ストロークデュアルフューエル機関101と同等である。
【0071】
図4に示す2ストロークデュアルフューエル機関102の特徴部分は、ガスモード運転時に、過給機52のブロワ56の空気出口から送出される空気Aの一部を、同じ過給機52のタービン55の排気入口(作動ガス入口)へ導くとともに、排気弁13の閉止時期をディーゼルモード運転時に比べて遅らせ、適正な空燃比が得られるように構成した点にある。
【0072】
2ストロークデュアルフューエル機関102は、空気流通方向上流端が過給機52のブロワ56の空気出口に連通し且つ空気流通方向下流端が過給機52のタービン55の排気入口(作動ガス入口)に連通する空気逃し管71と、この空気逃し管71に組み込まれた空気逃し弁72と、この空気逃し弁72の弁体を駆動して開度を調整するモータ73と、排気主管51内の空燃比を計測する排気主管空燃比センサ65と、各排気枝管54内の空燃比を計測する排気枝管空燃比センサ66と、を備えている。さらに、2ストロークデュアルフューエル機関102は、クランク軸に嵌合して装着されたクランク角検出歯車67と、このクランク角検出歯車67の回転位置からクランク角を検出してクランク角検出信号を出力するクランク角検出センサ68と、ディーゼルモード運転またはガスモード運転を選択するための指令器69と、空燃比制御器74と、を備えている。
【0073】
指令器69は空燃比制御器74へ、ディーゼルモード運転信号またはガスモード運転信号のいずれかを択一的に出力するように構成されている。
【0074】
空燃比制御器74は、指令器69からディーゼルモード運転信号を受信した際に、空気逃し弁72の弁体を駆動するモータ73を作動させて空気逃し弁72を閉じる機能と、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて、排気弁13が定常状態で開閉するための信号を排気弁駆動部15に送信する機能とを有している。
【0075】
ここで言う定常状態とは、
図2に示すように、ピストン6の上死点からクランク角度で80°以上300°以下の範囲が排気弁13の開区間となる状態を示す。なお、
図2においてωはクランク軸の回転方向を表している。
【0076】
また、空燃比制御器74は、指令器69からガスモード運転信号を受信した際に、排気主管空燃比センサ65の計測値(排気主管51内の空燃比)から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う複数のシリンダライナ1内の平均空燃比を算出するとともに、空気逃し弁72の弁体を駆動するモータ73を作動させて空気逃し弁72の開度を調節することにより上記平均空燃比を制御する機能を有している。
さらに、空燃比制御器74は、排気枝管空燃比センサ66の計測値(排気枝管54内の空燃比)から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う各シリンダライナ1内の空燃比を算出するとともに、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて排気弁13の閉止時期を調節するための信号を排気弁駆動部15に送信することにより上記空燃比を制御する機能を有している。
【0077】
より詳細には、空燃比制御器74は、指令器69からガスモード運転信号を受信した際に、排気主管空燃比センサ65の計測値から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う複数のシリンダライナ1内の平均空燃比を算出するとともに、この平均空燃比が1.5に近付くように、空気逃し弁72の弁体を駆動するモータ73を作動させて空気逃し弁72の開度を調節する機能を有している。
さらに、空燃比制御器74は、排気枝管空燃比センサ66の計測値から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う各シリンダライナ1内の空燃比を算出するとともに、この空燃比が1.0〜2.5の範囲になるように、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて、排気弁13の閉止時期を調節する信号を排気弁駆動部15に送信する機能を有している。
なお、上記空燃比(上記平均空燃比)は、シリンダライナ1内における混合気の空燃比(一般的な空燃比)を理論空燃比で割った比率である。
【0078】
図2に示すように、掃気ポート1aの開区間は、ディーゼルモード運転時またはガスモード運転時のいずれも、ピストン6の上死点からクランク角度で100°以上260°以下の範囲である。
【0079】
排気弁13の開区間は、ディーゼルモード運転時は、ピストン6の上死点からクランク角度で80°以上300°以下の範囲である。また、ガスモード運転時では、排気弁駆動部15により排気弁13の閉時期をクランク角度で最大320°とし、排気弁13の開区間をディーゼルモード運転時に比べて拡大している。
【0080】
図3はディーゼルモード運転時の空燃比の負荷に対する空気量と、ガスモード運転時の空燃比の負荷に対する空気量とを示すグラフである。ガスモード運転時の空燃比は、ディーゼルモード運転時における空燃比よりも低い1.0〜2.5の範囲に設定されている。
【0081】
次に、
図4に示す2ストロークデュアルフューエル機関102の動作を説明する。
【0082】
空燃比制御器74は、指令器69からディーゼルモード運転信号が送信されていると、空気逃し弁72の弁体を駆動するモータ73を作動させて空気逃し弁72を閉じる。これにより、過給機52のブロワ56が送出する空気Aの全量が、空気溜3からハウジング2を経てシリンダライナ1内に流入する。
【0083】
更に、パイロット噴射弁12から燃焼室10へ向けて液体燃料を噴射すると、
図3に示すように、ディーゼルモード運転時における空燃比は、ガスモード運転時における空燃比の範囲である1.0〜2.5よりも高くなる。
【0084】
空燃比制御器74は、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて排気弁駆動部15に信号を送信し、
図2に示すように、ピストン6の上死点からクランク角度で80°以上300°以下の範囲で排気弁13が開くように制御する。
【0085】
また、空燃比制御器74は、指令器69からガスモード運転信号が送信されると、排気主管空燃比センサ65の計測値(排気主管51内の空燃比)から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う複数のシリンダライナ1内の平均空燃比を算出するとともに、この平均空燃比が1.5に近付くように、空気逃し弁72の弁体を駆動するモータ73を作動させて空気逃し弁72の開度を拡げる。
【0086】
空気逃し弁72の開度が拡げられると、過給機52のブロワ56が送出する空気Aの一部は、空気溜3からハウジング2を経てシリンダライナ1内に流入するものの、空気Aの残りは、空気逃し管71を経てタービン55の排気入口(作動ガス入口)へ導かれる。そのため、
図3に示すように、ディーゼルモード運転から平均空燃比1.5を目標値としたガスモード運転に移行させる「空気逃し制御」が行われる。つまり、各シリンダライナ1内へ流入する空気Aの量を減少させ、機関全体としての空燃比を下げることができる。
【0087】
なお、複数のシリンダライナ1内の算出された平均空燃比が1.5であっても、複数のシリンダライナ1のうちの一つでは、ガスモード運転時の空燃比の上限値である2.5を上回っている場合がある。
【0088】
そこで、空燃比制御器74は、排気枝管空燃比センサ66の計測値(排気枝管54内の空燃比)から、予め実験により得た算出式を用いて計測値に見合う各シリンダライナ1内の空燃比を算出するとともに、この空燃比が1.0〜2.5の範囲になるように、クランク角検出センサ68の検出値に基づいて、排気弁13の閉止時期を遅らせる信号を排気弁駆動部15に送信し、空気Aの一部を排気通路5aを介してシリンダライナ1外へ排出する。
【0089】
特定のシリンダライナ1内の算出された空燃比が2.5を上回っている場合には、
図2に示すように、排気弁13の閉時期をクランク角度で最大320°として、排気弁13の開区間を拡大する。すなわち、
図3に示すように、個々のシリンダライナ1内の算出された空燃比を1.0〜2.5とする「排気弁閉時期遅延制御」が行われるので、各シリンダライナ1内の空燃比を適正な値に保つことができる。
【0090】
更に、外乱によって機関負荷が変動する場合は、上記「空気逃し制御」を行うのみでは適正な空燃比になるまでの時間が長くなる(応答性が低い)可能性があるが、上記「排気弁閉時期遅延制御」を行うことにより、適正な空燃比になるまでの時間を短縮する(応答性が高い)ことができる。
【0091】
また、排気主管空燃比センサ65が故障した場合には、排気枝管空燃比センサ66のみによって各シリンダライナ1内の空燃比の適正化を図ることができる。
【0092】
なお、本発明の2ストロークデュアルフューエル機関は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加えることが可能である。
【0093】
例えば、上述した実施の形態では、可燃性ガスを主燃料に用いるガスモード運転と、液体燃料のみを燃料に用いるディーゼルモード運転とを選択的に実行可能な2ストロークデュアルフューエル機関が説明されている。しかしながら、可燃性ガスを主燃料に用いるガスモード運転を少なくとも実行可能な2ストロークエンジンであれば、本発明を適用することが可能である。
【0094】
また、上述した実施の形態では、2ストロークエンジンに過給機が設けられているが、この過給機が設けられない構成であってもよい。空気比制御器はモータの駆動を制御して空気逃し弁の開度を調節しているが、空気比制御器がエンジンのシリンダに供給される空気量を調整できるのであれば、他の構成を用いてもよい。
【0095】
また、上述した実施の形態では、可燃性ガス(ガス燃料)としてLNGが用いられているが、これに限定されず、水素ガス、炭化水素系ガス(メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等)、アルコール系ガス燃料等の、可燃性を有するガスを用いることができる。
【0096】
また、可燃性ガスとしてLNG以外のガスを用いる場合は、空燃比制御器の制御の態様を適宜変更してよい。上述した実施の形態では、空燃比制御器は、算出された平均空燃比が1.5に近付くように空気逃し弁の開度を調節するとともに、算出された空燃比が1.0〜2.5の範囲になるように排気弁駆動部による排気弁の閉止時期を調節しているが、使用する可燃性ガスに応じて上記平均空燃比および上記空燃比の制御目標を適宜変更してよい。
また、上述した実施の形態では、空燃比制御器は、算出された平均空燃比が特定の数値に近付くように、空気逃し弁の開度を拡げているが、使用する可燃性ガスに応じて空気逃し弁の開度を狭めるように制御してもよい。また、空燃比制御器は、算出された空燃比が特定の数値範囲になるように、排気弁駆動部による排気弁の閉止時期を遅らせているが、使用する可燃性ガスに応じて排気弁の閉止時期を早めるように制御してもよい。
【0097】
また、上述した実施の形態では、空気逃し管の空気流通方向下流端が、過給機ブロワの空気入口または過給機タービンの排気入口に接続されている。しかし、空気逃し管の空気流通方向下流端が過給機ブロワまたは過給機タービンに接続されることは必ずしも要求されず、例えば空気逃し管の空気流通方向下流端が大気開放されていてもよい。過給機から吐出される空気を空気逃し管を介して機関の外部に一部放出することによっても、シリンダに供給される空気量を減少させ、シリンダ内の空燃比を調節することが可能である。
【0098】
また、上述した実施の形態では、クランク角検出信号を出力するクランク角検出センサは、クランク軸に嵌合して装着されたクランク角検出歯車の回転位置からクランク角を検出しているが、これに限定されず、クランク軸の回転位置またはピストン位置等からクランク角を検出してもよい。
【0099】
また、パイロット噴射弁が噴射する液体燃料として重油が用いられているが、他の可燃性を有する液体を用いてもよい。