特許第5764650号(P5764650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スネクマの特許一覧

特許5764650金属電着浴の効率を制御するための装置および方法
<>
  • 特許5764650-金属電着浴の効率を制御するための装置および方法 図000002
  • 特許5764650-金属電着浴の効率を制御するための装置および方法 図000003
  • 特許5764650-金属電着浴の効率を制御するための装置および方法 図000004
  • 特許5764650-金属電着浴の効率を制御するための装置および方法 図000005
  • 特許5764650-金属電着浴の効率を制御するための装置および方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764650
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】金属電着浴の効率を制御するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/12 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   C25D21/12 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-501914(P2013-501914)
(86)(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公表番号】特表2013-524011(P2013-524011A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】FR2011050715
(87)【国際公開番号】WO2011121240
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2014年3月6日
(31)【優先権主張番号】1052373
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラグランジユ,フレデリツク
(72)【発明者】
【氏名】モレ,エルベ
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−114566(JP,U)
【文献】 特開平04−072095(JP,A)
【文献】 特開平07−041998(JP,A)
【文献】 特開昭63−138246(JP,A)
【文献】 実開昭59−054568(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 21/12
C25D 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流発生部(4)へと接続されたそれぞれアノード(5)およびカソード(6)である電極を備えており、
前記カソード(6)が、タンク(2)に入れられた金属電気めっき(3)に沈めることができ、電流発生部(4)へと接続された制御可能な電源ユニット(11)によって電力が供給されるいくつかの個々のカソードサンプル(9)で構成され、
前記電源ユニット(11)が、カソードサンプルの各々に所定の電流が流れるようにカソードサンプルを通って流れる電流を前記カソードサンプルそれぞれに特有の値に調節するための手段(12)を備えており、
タンク(2)に入れられた前記金属電気めっきの効率を、特にめっき済みの被加工物を製造するための条件のもとで試験する装置であって、
個々のカソードサンプル(9)が、タンク(2)内の金属電気めっき浴(3)の上方に配置されるサンプルホルダ(10)から吊り下げられ、実質的にカソードサンプルだけが前記金属電気めっき浴に沈められることを特徴とする、装置。
【請求項2】
サンプルホルダ(10)が、カソードサンプルをタンクに対して昇降させるべく鉛直方向に移動可能であり、かつタンクの金属電気めっき浴内で水平方向に移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
電源ユニット(11)の電流調節手段(12)が、各々のカソードサンプル(9)について、一方において電流発生部へと接続され、他方において対応するカソードサンプルへと接続される可変抵抗器(14)によって定められている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
各々の可変抵抗器(14)と対応するカソードサンプル(9)との間に、カソードサンプルへと流れる電流を測定するための計器(17)が設けられ、計器は、電流計である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
個々のカソードサンプル(9)が、同じサイズであり、ディスク状である、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
金属電気めっき浴を撹拌するための手段(18)が、タンクに組み合わせられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
タンク内の金属電気めっき浴について、平行な格子またはプレート(7)の形態をとる2つのアノード(5)が設けられ、該2つのアノード(5)の間にカソードサンプル(9)が配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
個々のカソードサンプルが、前記金属電気めっき浴任意の位置に配置され、あるいは1つの同じ水平面内に整列させられ、互いに一定の間隔で配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
タンク(2)に入れられた金属電気めっき(3)の効率を、特にめっき済みの被加工物を製造するための条件のもとで試験するための方法であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置のような試験装置(1)を使用し、
個々のカソードサンプル(9)の重量を、装置の可動のサンプルホルダ(10)に配置する前に測定するステップと、
カソードサンプルをサンプルホルダから吊り下げるステップと、
吊り下げられたカソードサンプル(9)を金属電気めっきに沈めるステップと、
カソードサンプルに所定の調節可能な電流を個別に加えるステップと、
ひとたび金属コーティングが前記カソードサンプルへと付着したならば、可動のサンプルホルダを使用してカソードサンプルを金属電気めっき浴から取り出すステップと、
コーティング後のカソードサンプル(9)の重量を測定し、各々のカソードサンプルに付着したコーティングの重量を割り出すステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
コーティング後のサンプル(9)の重量を測定した後で、試験した各々の金属電気めっき浴について効率グラフが作成され、これらのグラフが、各々のカソードサンプルにおける電流密度の関数としての付着速度を示しており、金属電気めっき浴の試験の際に得られた効率グラフが、必要に応じて、最適な製造条件のもとで被加工物へとコーティングを付着させるべく金属電気めっき浴のパラメータのうちの少なくとも1つを変更するために使用される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属電気めっき(特に、金属元素および添加剤を含んでいる)の効率を試験するための装置および方法に関し、さらに詳しくは、これに限られるわけではないが、処理対象の被加工物へと付着する金属コーティングの厚さおよび外観(例えば、光沢)を試験するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物をそのようなコーティングによって電気めっき(被覆)する前に、該当の液体金属電気めっきを、特に所与の電流の作用のもとで処理後の被加工物について得られるコーティングに特定の厚さおよび/もしくは光沢または他の所望の特性(例えば、機械関連の被加工物における高い耐食性や、宝石類の部品における特定の光沢または輝き)をもたらすの温度および組成を決定するために、試験することが必要である。
【0003】
現時点において、この種の試験装置は、通常はHullセル(例えば、米国特許第2149344号明細書を参照)である。これらの装置は、電気めっきによって付着させるべき液体金属のを収容するタンクと、に沈められる電極(それぞれ、アノードおよびカソード)と、電極を接続する電流発生部とを備えている。金属コーティングが付着するカソードは、矩形または他の形状の金属プレートの形態をとり、アノードからの距離がプレートの一端から他端へと徐々に変化するように、アノードに対して傾けられている。
【0004】
したがって、発生部によってもたらされ、金属電気めっきを通って電極間を流れる電流(アンペア数)のもとで、電極を隔てている距離が徐々に増加していることに起因して、電流密度(カソードの面積に対する電流の比)が変化し、付着する金属コーティングの厚さが斜めのカソードプレートの全長において徐々に変化し、その光沢も変化する。したがって、所定の電気分解の条件のもとで付着する金属の量(コーティングの厚さ、光沢、など)への電流密度の影響を調査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2149344号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0262152号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のHullセル試験装置は、信頼できる結果をもたらすが、それでもなお多数の欠点を有しており、そのうちの最も重要なものが、以下に挙げられる。
【0007】
1.第1に、選択される所与の電流密度の範囲を精密に走査することができない。なぜならば、アノードに所与の電流を印加したとき、斜めのカソードプレートが受け取る電流密度の範囲が、このカソードプレートによって決まってしまうからである。
【0008】
2.カソード上の各点における真の電流密度を測定することができず、したがってソフトウェアパッケージが考慮対象の点の理論的な電流密度を計算するために使用され、または製造者によって提供される表もしくはチャートが使用される。
【0009】
3.さらに、斜めのカソードに付着したコーティングの効率(電流密度の関数として付着した金属の重量に比例する)を測定することも不可能である。なぜならば、装置が斜めの金属プレートをカソードとして使用するため、電流密度の関数として付着した重量を測定することができないからである。斜めのプレートに付着した所与の厚さのコーティングについて、加えられた電流密度が正確には分からない。
【0010】
4.撹拌付きのを使用する工業用タンクにおける実際の流体力学的条件が考慮されない。従来のHullセル装置は、非撹拌のを有する小型のタンクにおける実験室の用途を意図している。
【0011】
5.試験される電解液()の温度を保証するためにハードウェアが必要である。
【0012】
確かに、欠点4を取り除くために、斜めのカソードプレートを回転する金属シリンダで置き換えることができるが、金属シリンダの回転によってカソードとの液体との間に非ゼロの速度が生じる。
【0013】
さらに、米国特許出願公開第2004/0262152号明細書に、金属の特性を試験するための装置が記載されており、この装置は、装置の底部およびカバーに、付着したコーティングの厚さまたは重量を流れる電流に依存して割り出すために、電流が流される別々の電極セグメントまたは電極部が被覆された絶縁基板を備えている。しかしながら、そのような装置は、不規則な形状および相当な体積を有し、完全に内に配置されるため、工業用タンクへの適用には困難が伴い、実験室のタンクにより適している。
【0014】
本発明の目的は、これらのさまざまな欠点を軽減することにあり、金属電気めっきの効率を試験するための装置および方法であって、その装置の設計により、とりわけ、選択された電流密度の範囲を精密に走査することができ、各点の真の電流密度を測定することができ、所与の電流密度について付着したコーティングを測定し、測定結果からコーティングの重量、厚さ、および光沢を導出することができ、実際の流体力学的条件を考慮に入れることができる装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的のため、タンクに入れられた金属電気めっきの効率を、特に被加工物を製造するための条件のもとで試験するための装置が、電極(それぞれ、アノードおよびカソード)を電流発生部へと接続して備えており、前記カソードが、前記金属電気めっきに沈めることができ、制御可能な電源によって電力が供給されるいくつかの個々のサンプルで構成されている。電源は、電流発生部へと接続され、前記カソードサンプルの各々に所定の電流が流れるように前記サンプルを通って流れる電流を調節するための手段を備えている。
【0016】
上述の装置は、個々のカソードサンプルが、タンク内の金属の上方に配置されるサンプルホルダから吊り下げられ、実質的にサンプルだけが前記に沈められる点で、特筆すべきである。
【0017】
したがって、本発明の装置によれば、1つの同じ試験において同時に、個々のカソードサンプルの各々に、各々のカソードサンプルに別々の電流密度を加えつつ、金属コーティングが付着させられる。したがって、選択された正確な範囲の種々の別々の電流密度が加えられた複数のサンプルについて、使用された電流密度に対応する異なるコーティングが、前記サンプル上に得られる。したがって、特有の電流密度が直接加えられた各々のサンプルについて、各々のサンプルに付着したコーティングの重量が、試験された該当のの効率を(特に試験の前後の重量を測定することによって)精密に割り出すことを可能にし、したがって所与の電流密度において得られる厚さ、光沢、および他の特性を、割り出すことを可能にする。
【0018】
さらに、実質的にサンプルだけが工業用タンク内のに接触し、装置の残りの部分は外部に位置するため、行なわれる測定が、信頼性および再現性に富むものとなり、装置がこれらの測定を妨げる恐れがない。さらには、サンプルホルダを、好都合には、サンプルを沈めるために鉛直方向に動かすことができるだけでなく、水平方向にも動かすことができ、吊り下げられたサンプルの水平方向の移動により、液体金属が試験されているときに、コーティングすべき表面と液体金属との間に相対速度がもたらされる。
【0019】
次に、該当の金属電解液の効率を装置によって(の組成、Ph、温度、および他のパラメータの関数として)測定した後で、処理(めっき)すべき被加工物に、次に所与の耐食性または特定の光沢に対応する厚さを有する所望のコーティングが被加工物の表面に得られるように選択された電流が加えられる。
【0020】
本発明の装置は、個別のカソードサンプルを使用して、所定の正確な範囲の電流密度を使用してカバーすることによって、先行技術の欠点を克服し、加えられる電流密度に依存してから付着した金属の重量に比例する個々のサンプルの各々に付着したコーティングの測定が、試験対象のの効率を割り出すことを可能にする。
【0021】
ひとたびの試験が終わると、処理すべき1つ以上の被加工物がに沈められ、付着させるべき金属コーティングの厚さに対応する所与の電流が加えられる。したがって、試験装置を、を監視するために定期的に使用することができる。
【0022】
一好ましい実施の形態においては、電源ユニットの電流調節手段が、各々のカソードサンプルについて、一方において電流発生部へと接続され、他方において対応するカソードサンプルへと接続される可変抵抗器によって定められる。調節手段の単純さに注目でき、この単純さが、ユニットの確実な動作を保証する。
【0023】
さらに、好都合には、各々の可変抵抗器と対応するカソードサンプルとの間に、サンプルへと流れる電流を測定するための計器が設けられ、計器は、電流計などである。これにより、装置が電流を直接読み取り、カソードサンプル上の各点の実際の電流密度が計算され、あるいは電流計が、密度を表示するように特定の方法で目盛り付けされる。
【0024】
好ましくは、タンクが、処理対象の被加工物が後に沈められる工業用タンクである場合、個々のカソードサンプルは、前記工業用タンクのかなりのサイズがカソードサンプル間の「干渉」がわずかまたは皆無であることを意味するため、前記において任意に配置される。
【0025】
しかしながら、個々のカソードサンプルを、金属内の1つの同じ水平面内に配置することができ、カソードサンプルが、おそらくは互いに対して一定の間隔で、前記水平面において整列させられる。
【0026】
特に、個々のカソードサンプルが、同じサイズであり、ディスク状である。
【0027】
さらに、金属を撹拌するための手段が、特にタンクが工業用タンクである場合に、タンクに組み合わせられる。さらに、タンク内のが、好ましくは平行な格子またはプレートの形態をとる2つのアノードを備え、アノードの間にカソードサンプルが配置される。
【0028】
さらに本発明は、タンクに入れられた金属電気めっきの特性を、めっき済みの被加工物を製造するための条件のもとで試験するための方法に関する。この方法は、
上述のような試験装置を使用し、
個々のカソードサンプルの重量を、装置の可動のサンプルホルダに配置する前に測定するステップと、
サンプルをサンプルホルダから吊り下げるステップと、
吊り下げられたサンプルを電気めっきに沈めるステップと、
サンプルに所定の調節可能な電流を個別に加えるステップと、
ひとたび金属コーティングが前記サンプルへと付着したならば、可動のサンプルホルダを使用してサンプルをから取り出すステップと、
コーティング後のサンプルの重量を測定し、各々のサンプルに付着したコーティングの重量を割り出すステップと
を含むことを特徴とする。
【0029】
好都合には、コーティング後のサンプルの重量を測定した後で、試験した各々のについて効率グラフが作成され、これらのグラフが、各々のサンプルにおける電流密度の関数としての付着速度を示しており、の試験の際に得られた効率グラフが、必要に応じて、最適な製造条件のもとで被加工物へとコーティングを付着させるべくのパラメータのうちの少なくとも1つを変更するために使用される。
【0030】
したがって、このような方法およびこのような装置を、が新品であるか、使用中であるかにかかわらず、の効率を直接的に描写し、確立されるパラメータをおそらくは被加工物のめっきに使用して、被加工物の廃棄を避けるために使用することができ、作業場などの任意の種類のタンクおよび/またはに容易に合わせることも可能である。
【0031】
添付の図面が、本発明をどのように実現するのかを理解できるようにする。これらの図において、同一の参照符号は、類似の要素を指し示している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】金属電気めっきを試験するための本発明による装置の概略の断面図である。
図2】前記個々のカソードサンプルのうちの1つについて、図1の矢印Fの方向に沿って見たときの拡大図である。
図3】装置の各々のカソードサンプルの制御可能な電源ユニットを示している。
図4】本発明による試験装置を使用して本発明による方法を実行して得た種々のの典型的な効率曲線を示している。
図5】本発明による試験装置を使用して本発明による方法を実行して得た種々のの典型的な効率曲線を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に概略的に示されている試験装置1は、この例では、液体金属電気めっき3を収容している工業用タンク2に組み合わせられており、このの組成物の効率を、特定の運転基準に関して試験することが望まれる。具体的には、後に後者が、処理対象の被加工物について、特に付着するコーティングの厚さに依存し、したがって使用される電流に依存する機械的特性、外観、などに関して所望の結果が得られるように、製造パラメータを調節するために使用される。
【0034】
本発明の好ましい応用においては、金属が、電流発生部4によってもたらされる電流を3に沈められたアノード5およびカソード6の間に流すことによって、カソードを形成しているターボジェットの羽根または同様の装置に白金コーティングを付着させることで酸化および腐食に対する耐性を向上させるという狙いで、添加剤が加えられた白金(Pt2+およびPt4+イオン)である。
【0035】
当然ながら、試験装置を、実験室タンクなどの他の種類のタンクに組み合わせることも可能である。
【0036】
この実質的に平行六面体形状の工業用タンク2において、アノード5は、金属製の格子またはプレート7の形態の2つのアノード(ここでは平行に位置するように図示されているが、必ずしも平行である必要はない)によって定められ、プレートまたは格子7が、タンクの向かい合う2つの側面8に沿って鉛直に配置されている。次に、処理対象の1つ以上の被加工物によって実質的に定められるカソード6が、本発明の試験装置1においては、複数の個別のカソードサンプル9で構成されている。これらのサンプルに別々の電流によってコーティングをめっきし、得られた重量、したがって厚さを測定するために、前記サンプルの各々に、後述されるように、他のサンプルを流れる電流とは異なる特定の電流が加えられる(なお、所与の範囲の電流を使用して同じ重量を得ようと試みることも可能であると考えられる)。
【0037】
より詳しくは、個々のカソードサンプル9が、同じサイズであり、この例では10個のカソードサンプル9が存在し、そのすべてが図1および図2に示されるような中実ディスクの形状を有している。さらに、カソードサンプル9が、金属3に沈められ、カソードサンプル9のディスクが、アノードに対して垂直に配置され、水平方向に一列に並べられる。この配置は、後述されるように、考えられる唯一の配置ではない。これらのサンプルはすべて、それぞれの線13によってサンプルホルダ(図1の参照番号10)から吊り下げられ、このホルダを、一方ではサンプルととの間に相対速度をもたらし、3を少し混合するために、サンプル9を水平方向に動かし、他方ではサンプル9を液体金属電気めっき3に対して昇降させるために鉛直方向に動かすように、好都合に制御することができる。当然ながら、サンプルの数および形状は、さまざまであってもよい。サンプルホルダは、この典型的な工業用タンクにおいては、製造用の被加工物を保持するためのシステム(図示せず)によって水平方向に動かされる。
【0038】
個々のサンプルを通って流れる電流を各々のサンプルに特有の値へと調節するために、試験装置1は、一方において電流発生部4へと接続され、他方において個々のカソードサンプル9へと接続された制御可能な電源ユニット11を備えている。特に、図3においてよりよく見て取ることができるように、ユニット11が、サンプルを通って流れる電流を所望の値へと調節するための手段12を備え、この手段12が、存在する個々のカソードサンプル9と同数の電気的または電子的に可変の抵抗器14で構成されている。これらの個々の可変抵抗器14のすべてが、一方において電流発生部4への接続のための共通のコネクタ15に接続される一方で、他方においては、これらの抵抗器14の各々が、コネクタ16によって該当のカソードの配線13へと接続される。
【0039】
したがって、可変抵抗器14を調節することで、各々のサンプル9を通って流れる電流の大きさ、したがって調査すべき電流密度(電流の大きさ/サンプルの面積)を、金属に沈められた各々のサンプルについて選択することができることが理解される。
【0040】
さらに、各々の抵抗器を通って流れる電流を測定するために、ユニット11において各々の可変抵抗器14とカソードサンプル9との間に直列に接続される電流計などの計器17が設けられる。
【0041】
このような設計により、試験装置1は、金属電気めっき3の特性から金属電気めっき3の効率を明らかにするために、正確かつ幅広い範囲の電流密度を選択およびカバーすることを可能にする。非限定的な例においては、10個のカソードサンプル9のそれぞれに別々の電流(例えば、1〜10アンペアの電流)を加え、図2の拡大部分AにコーティングRによって示されている各々の電流密度における金属の付着を、リアルタイムで観察することができる。
【0042】
この目的のため、本発明の方法は、実際の製造条件のもとにあるタンクにおいて実行され、撹拌によってに流れが形成される。さらに、本方法は、個々のカソードサンプル9の重量を、サンプルホルダ10への配置に先立って測定する。次に、サンプルをサンプルホルダから吊り下げた後で、サンプルホルダを下降させることによって、装置のうちのサンプル9だけが(それらの接続線13の一部とともに)タンクの3に沈められ、次いでサンプルに、各々のサンプルについて所望される対応する電流が加えられ、各々の電流が電流計17によって読み取られる。サンプルだけがに沈められるということが、サンプルの規則的な幾何学的形状(薄いディスク)と組み合わさって、測定の正確さおよび精度に貢献することに留意すべきである。次に、金属コーティングRを各々のサンプルに付着させた後で、各々のサンプルが可動のサンプルホルダ10を上昇させることによってから引き出され、サンプルホルダ10から取り外されて、再び重量が測定される。2回の重量測定の間の差から、コーティングR(図2)に相当する付着した金属の重量を測定して知ることができ、そこからコーティングRの厚さ「e」を導出することができる。同様に、付着した金属の色および外観(つやの有無、光沢、くすみ、鮮明さ、など)を、観察することができる。
【0043】
このようにして、本方法は、該当の電気めっきの効率グラフ、すなわち各々のサンプルへと加えられる電流密度の関数としての付着速度(付着した重量)を明らかにし、描画することを可能にする。そのようなグラフの例が、図4および図5に示されており、X軸が、A/dmという単位で表現されたアンペア数(電流密度)を表わし、Y軸が、g/dmhという単位で表現された付着速度を表わしている。
【0044】
図4の効率曲線AおよびBが、所与の金属の時間につれてのエージング(aging)およびそれに起因する付着速度の低下を示している。は、例えば以下の特性を有し、すなわちpH=6.5±0.3およびT=65℃±2℃であり、標準的な工業用の撹拌を備えている。
【0045】
本方法の実行は、装置1を使用し、に沈められたサンプル9によって、前記サンプルを通って流れるさまざまな電流について、付着の速度を測定することを可能にし、これを、所定の所望の電流範囲について、1つの同じでの試験にて可能にする。すなわち、が「未使用」であるとき、装置は、サンプル(曲線上の四角い記号で表わされている)および続く測定によって曲線Aを取得し、曲線Aから、処理対象の被加工物に所望のコーティング厚さを達成するためのアンペア数が選択される。関連付けられた電流を加えられた、サンプル9Aが最高の付着速度を達成しているため、このサンプル9Aに加えた電流を、処理対象の被加工物について選択できることを、見て取ることができる。
【0046】
を特定の時間にわたって使用した後で、の効率が、本方法に従って装置の個々のサンプル9をへと沈め、これらのサンプルに未使用のについて最初に使用した電流と同じ電流を加えることによって、再び試験される。これにより、曲線Bが装置によって得られ、この曲線は、サンプル(丸で表わされている)を通って流れる試験電流が同じでも、付着速度が低くなっていることを示しており、すなわちの組成物が、被加工物の処理を承けて時間とともにその特性を失うことを意味している。
【0047】
このように、の効率の試験は、の特性が変化したか否かを判断し、の寿命の全体にわたって被加工物の最適なコーティングが維持されるように、介入を行なって関連のパラメータを変更することを可能にする。すなわち、曲線Bから、が未使用であるときにサンプル9Aに加えられた電流とは異なる電流が加えられたサンプル9Bについて、付着の速度がより高く、このより大きな電流を被加工物の処理において選択できることを、見て取ることができる。
【0048】
このように、を、きわめて容易にの使用の最中の任意の時期に試験することができる。さらに、実質的にディスク状のサンプルだけがに沈められるため、それらが測定結果に影響を及ぼさないことを思い出されたい。
【0049】
図5の効率曲線CおよびDは、例として、それぞれ4.2±0.3および6.5±0.3のpHならびに55℃±2℃および65℃±2℃の温度を有し、標準的な工業用の撹拌を備えている異なる組成の2つのにて得ることができる結果を示している。
【0050】
曲線C(さらには、ほぼ直線である)については、サンプル(ひし形で表わされている)の間の比較的狭い範囲の電流において、得られる付着速度がきわめて幅広い範囲に広がる一方で、曲線Dについては、加えられた電流が小さい最初のいくつかのサンプルを除き、サンプル(正方形で表わされている)の間の比較的広い範囲の電流において、付着速度が互いに比較的よく似ている。適切なサンプルが、最適な付着速度を得るために選択される。
【0051】
これは、本発明の装置によって得られる効率曲線が、各々のを評価し、被加工物を最も適切な方法で処理するために、どれほど重要であるかを示している。すなわち、の化学組成、温度、pH、および他のパラメータ(撹拌、被加工物の位置、など)が既知であるため、および種々の電流について装置1によって得た効率曲線が、タンクの初期のパラメータまたは製造の最中のパラメータに応じて適切なコーティングの付着および獲得のための最良の電流を選択できるようにすることによって、処理対象の1つ以上の被加工物に付着させられるコーティングの品質を保証する。例えば、得られるコーティングの厚さが、そのような電流の関数であるため、試験装置1(この工業用タンクの例では、サンプルホルダ10および制御可能なユニット11)を分解した後で、所与の電流に対応して、後にに沈められる処理対象の1つ以上の被加工物について選択されたコーティングの厚さが得られるように、タンクのパラメータを調節することができる。
【0052】
試験装置1を、被加工物への付着の条件を維持し、最終的に同じコーティング(すなわち、再現性のある同一な被加工物)を得るために、の特性を定期的に監視し、効率試験の結果に応じてのパラメータを変更するために、未使用のの効率だけでなく、使用中のの効率を割り出すためにも使用することができる。このように、本方法および装置は、の特性がもはや所望される要件を満たさなくなるまで、のあらゆる時間変化の監視を可能にする。さらに、先行技術の装置と比較し、これらの試験の実行についてかなりの時間が節約され、節約される実際の製造時間も多大である。
【0053】
例のタンクは、比較的大型の工業用タンクであるため、を撹拌するためのポンプなどの手段18が、の一様性が保証されるように設けられる。したがって、サンプルを、水平方向に一列に並べる代わりに、内に任意に配置することができ、それでもサンプルが同一のコーティングを受けると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5