【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のHullセル試験装置は、信頼できる結果をもたらすが、それでもなお多数の欠点を有しており、そのうちの最も重要なものが、以下に挙げられる。
【0007】
1.第1に、選択される所与の電流密度の範囲を精密に走査することができない。なぜならば、アノードに所与の電流を印加したとき、斜めのカソードプレートが受け取る電流密度の範囲が、このカソードプレートによって決まってしまうからである。
【0008】
2.カソード上の各点における真の電流密度を測定することができず、したがってソフトウェアパッケージが考慮対象の点の理論的な電流密度を計算するために使用され、または製造者によって提供される表もしくはチャートが使用される。
【0009】
3.さらに、斜めのカソードに付着したコーティングの効率(電流密度の関数として付着した金属の重量に比例する)を測定することも不可能である。なぜならば、装置が斜めの金属プレートをカソードとして使用するため、電流密度の関数として付着した重量を測定することができないからである。斜めのプレートに付着した所与の厚さのコーティングについて、加えられた電流密度が正確には分からない。
【0010】
4.撹拌付きの
浴を使用する工業用タンクにおける実際の流体力学的条件が考慮されない。従来のHullセル装置は、非撹拌の
浴を有する小型のタンクにおける実験室の用途を意図している。
【0011】
5.試験される電解液(
浴)の温度を保証するためにハードウェアが必要である。
【0012】
確かに、欠点4を取り除くために、斜めのカソードプレートを回転する金属シリンダで置き換えることができるが、金属シリンダの回転によってカソードと
浴の液体との間に非ゼロの速度が生じる。
【0013】
さらに、米国特許出願公開第2004/0262152号明細書に、金属
浴の特性を試験するための装置が記載されており、この装置は、装置の底部およびカバーに、付着したコーティングの厚さまたは重量を流れる電流に依存して割り出すために、電流が流される別々の電極セグメントまたは電極部が被覆された絶縁基板を備えている。しかしながら、そのような装置は、不規則な形状および相当な体積を有し、完全に
浴内に配置されるため、工業用タンクへの適用には困難が伴い、実験室のタンクにより適している。
【0014】
本発明の目的は、これらのさまざまな欠点を軽減することにあり、金属電気めっき
浴の効率を試験するための装置および方法であって、その装置の設計により、とりわけ、選択された電流密度の範囲を精密に走査することができ、各点の真の電流密度を測定することができ、所与の電流密度について付着したコーティングを測定し、測定結果からコーティングの重量、厚さ、および光沢を導出することができ、実際の流体力学的条件を考慮に入れることができる装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的のため、タンクに入れられた金属電気めっき
浴の効率を、特に被加工物を製造するための条件のもとで試験するための装置が、電極(それぞれ、アノードおよびカソード)を電流発生部へと接続して備えており、前記カソードが、前記金属電気めっき
浴に沈めることができ、制御可能な電源によって電力が供給されるいくつかの個々のサンプルで構成されている。電源は、電流発生部へと接続され、前記カソードサンプルの各々に所定の電流が流れるように前記サンプルを通って流れる電流を調節するための手段を備えている。
【0016】
上述の装置は、個々のカソードサンプルが、タンク内の金属
浴の上方に配置されるサンプルホルダから吊り下げられ、実質的にサンプルだけが前記
浴に沈められる点で、特筆すべきである。
【0017】
したがって、本発明の装置によれば、1つの同じ試験において同時に、個々のカソードサンプルの各々に、各々のカソードサンプルに別々の電流密度を加えつつ、金属コーティングが付着させられる。したがって、選択された正確な範囲の種々の別々の電流密度が加えられた複数のサンプルについて、使用された電流密度に対応する異なるコーティングが、前記サンプル上に得られる。したがって、特有の電流密度が直接加えられた各々のサンプルについて、各々のサンプルに付着したコーティングの重量が、試験された該当の
浴の効率を(特に試験の前後の重量を測定することによって)精密に割り出すことを可能にし、したがって所与の電流密度において得られる厚さ、光沢、および他の特性を、割り出すことを可能にする。
【0018】
さらに、実質的にサンプルだけが工業用タンク内の
浴に接触し、装置の残りの部分は外部に位置するため、行なわれる測定が、信頼性および再現性に富むものとなり、装置がこれらの測定を妨げる恐れがない。さらには、サンプルホルダを、好都合には、サンプルを沈めるために鉛直方向に動かすことができるだけでなく、水平方向にも動かすことができ、吊り下げられたサンプルの水平方向の移動により、液体金属
浴が試験されているときに、コーティングすべき表面と液体金属
浴との間に相対速度がもたらされる。
【0019】
次に、該当の金属電解液
浴の効率を装置によって(
浴の組成、Ph、温度、および他のパラメータの関数として)測定した後で、処理(めっき)すべき被加工物に、次に所与の耐食性または特定の光沢に対応する厚さを有する所望のコーティングが被加工物の表面に得られるように選択された電流が加えられる。
【0020】
本発明の装置は、個別のカソードサンプルを使用して、所定の正確な範囲の電流密度を使用してカバーすることによって、先行技術の欠点を克服し、加えられる電流密度に依存して
浴から付着した金属の重量に比例する個々のサンプルの各々に付着したコーティングの測定が、試験対象の
浴の効率を割り出すことを可能にする。
【0021】
ひとたび
浴の試験が終わると、処理すべき1つ以上の被加工物が
浴に沈められ、付着させるべき金属コーティングの厚さに対応する所与の電流が加えられる。したがって、試験装置を、
浴を監視するために定期的に使用することができる。
【0022】
一好ましい実施の形態においては、電源ユニットの電流調節手段が、各々のカソードサンプルについて、一方において電流発生部へと接続され、他方において対応するカソードサンプルへと接続される可変抵抗器によって定められる。調節手段の単純さに注目でき、この単純さが、ユニットの確実な動作を保証する。
【0023】
さらに、好都合には、各々の可変抵抗器と対応するカソードサンプルとの間に、サンプルへと流れる電流を測定するための計器が設けられ、計器は、電流計などである。これにより、装置が電流を直接読み取り、カソードサンプル上の各点の実際の電流密度が計算され、あるいは電流計が、密度を表示するように特定の方法で目盛り付けされる。
【0024】
好ましくは、タンクが、処理対象の被加工物が後に沈められる工業用タンクである場合、個々のカソードサンプルは、前記工業用タンクのかなりのサイズがカソードサンプル間の「干渉」がわずかまたは皆無であることを意味するため、前記
浴において任意に配置される。
【0025】
しかしながら、個々のカソードサンプルを、金属
浴内の1つの同じ水平面内に配置することができ、カソードサンプルが、おそらくは互いに対して一定の間隔で、前記水平面において整列させられる。
【0026】
特に、個々のカソードサンプルが、同じサイズであり、ディスク状である。
【0027】
さらに、金属
浴を撹拌するための手段が、特にタンクが工業用タンクである場合に、タンクに組み合わせられる。さらに、タンク内の
浴が、好ましくは平行な格子またはプレートの形態をとる2つのアノードを備え、アノードの間にカソードサンプルが配置される。
【0028】
さらに本発明は、タンクに入れられた金属電気めっき
浴の特性を、めっき済みの被加工物を製造するための条件のもとで試験するための方法に関する。この方法は、
上述のような試験装置を使用し、
個々のカソードサンプルの重量を、装置の可動のサンプルホルダに配置する前に測定するステップと、
サンプルをサンプルホルダから吊り下げるステップと、
吊り下げられたサンプルを電気めっき
浴に沈めるステップと、
サンプルに所定の調節可能な電流を個別に加えるステップと、
ひとたび金属コーティングが前記サンプルへと付着したならば、可動のサンプルホルダを使用してサンプルを
浴から取り出すステップと、
コーティング後のサンプルの重量を測定し、各々のサンプルに付着したコーティングの重量を割り出すステップと
を含むことを特徴とする。
【0029】
好都合には、コーティング後のサンプルの重量を測定した後で、試験した各々の
浴について効率グラフが作成され、これらのグラフが、各々のサンプルにおける電流密度の関数としての付着速度を示しており、
浴の試験の際に得られた効率グラフが、必要に応じて、最適な製造条件のもとで被加工物へとコーティングを付着させるべく
浴のパラメータのうちの少なくとも1つを変更するために使用される。
【0030】
したがって、このような方法およびこのような装置を、
浴が新品であるか、使用中であるかにかかわらず、
浴の効率を直接的に描写し、確立されるパラメータをおそらくは被加工物のめっきに使用して、被加工物の廃棄を避けるために使用することができ、作業場などの任意の種類のタンクおよび/または
浴に容易に合わせることも可能である。
【0031】
添付の図面が、本発明をどのように実現するのかを理解できるようにする。これらの図において、同一の参照符号は、類似の要素を指し示している。