(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764688
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】アリピプラゾール含有口腔内崩壊錠剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/497 20060101AFI20150730BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20150730BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20150730BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20150730BHJP
A61K 47/34 20060101ALI20150730BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20150730BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20150730BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20150730BHJP
A61J 3/06 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
A61K31/497
A61K9/20
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/34
A61K47/32
A61K47/36
A61P25/18
A61J3/06 A
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-75519(P2014-75519)
(22)【出願日】2014年4月1日
(65)【公開番号】特開2015-91769(P2015-91769A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2014年4月1日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0124368
(32)【優先日】2013年10月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0024332
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514081863
【氏名又は名称】ハンドク インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チン−ゴン,ペ
(72)【発明者】
【氏名】トン−ウク,キム
(72)【発明者】
【氏名】ユン−ヒ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ−ソク,ホン
(72)【発明者】
【氏名】サン−ファン,ピョン
(72)【発明者】
【氏名】キョン−ミ,キム
【審査官】
▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−502987(JP,A)
【文献】
国際公開第01/095941(WO,A1)
【文献】
木下等,'健康成人男性におけるアリピプラゾール3mg普通錠1錠とアリピプラゾール3mg口腔内崩壊錠1錠の生物学的同等性試験',Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療),vol.39, no.11 (2011),949-960
【文献】
山田和男等,'統合失調症急性期薬物治療の今後の可能性',臨床精神薬理,Vol.8, No.10 (2005),1563-1568
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アリピプラゾールを有効成分として含む口腔内崩壊錠剤において、
前記錠剤は、アリピプラゾール及び親水性高分子の固体分散体を含み、
前記固体分散体は、不溶性成分を錠剤の総重量対比1重量%以下で含み、
前記固体分散体はマンニトールを含み、
前記錠剤は、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリトリトール、またはこれらの混合物である糖アルコールを含むことを特徴とする口腔内崩壊錠剤。
【請求項2】
前記糖アルコールが、マンニトールであることを特徴とする請求項1に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項3】
前記固体分散体内に含まれるマンニトールの含量が、アリピプラゾール1重量部に対して3重量部未満であることを特徴とする請求項2に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項4】
前記親水性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ナトリウム‐カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ポリメタアクリレート、澱粉、澱粉誘導体、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項5】
前記親水性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項4に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項6】
前記親水性高分子の粘度が、20℃、2重量%水溶液で測定したとき、2.5〜10cpsであることを特徴とする請求項5に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項7】
前記親水性高分子の含量が、アリピプラゾール1重量部に対して0.3〜0.04重量部であることを特徴とする請求項5に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項8】
前記親水性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項5に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項9】
前記口腔内崩壊錠剤が、不溶性成分を口腔内崩壊錠剤の総重量対比5重量%以下で含むことを特徴とする請求項1に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項10】
(S1)アリピプラゾール、親水性高分子、及び糖アルコールが含まれた溶液または懸濁液を用意する段階と、
(S2)前記溶液または懸濁液を噴霧乾燥して固体分散体を製造する段階と、を含み、
前記固体分散体は、不溶性成分を錠剤の総重量対比1重量%以下で含み、前記糖アルコールは、マンニトールであることを特徴とするアリピプラゾール含有口腔内崩壊錠剤の製造方法。
【請求項11】
前記製造方法が、(S3)固体分散体を糖アルコールと混合する段階をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記(S3)における前記糖アルコールが、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリトリトール、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記(S3)における前記糖アルコールが、マンニトールであることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記固体分散体内に含まれるマンニトールの含量が、アリピプラゾール1重量部に対して3重量部未満であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記親水性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ナトリウム‐カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ポリメタアクリレート、澱粉、澱粉誘導体、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項16】
前記親水性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記親水性高分子の粘度が、20℃、2重量%水溶液で測定したとき、2.5〜10cpsであることを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記親水性高分子の含量が、アリピプラゾール1重量部に対して0.3〜0.04重量部であることを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
前記親水性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請
求項16に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶出及び吸収性が改善され、味、異物感などの服用感が改善された、アリピプラゾール(aripiprazole)含有口腔内崩壊錠剤(orally disintegrating tablet、ODT)に関する。
【背景技術】
【0002】
アリピプラゾールは、キノリノン(quinolinone)誘導体であって、ドパミンD
2受容体と5‐HT
1A受容体の強力な部分アゴニスト(partial agonist)であり、いわゆる「ドパミン‐セロトニン系安定剤」と呼ばれる。部分アゴニストは、受容体が刺激を受け過ぎると受容体を遮断し、刺激が足りない状況では受容体を活性化する。
【0003】
このようなアリピプラゾールは、抗精神病剤としてAbilify
TMとの商品名で市販されており、精神分裂病の治療または改善、双極性障害に関連する急性躁病及び混合性エピソードの治療、主要憂鬱障害治療の付加療法などの目的で投与される。
【0004】
アリピプラゾールの物性上、水素イオンの濃度によって、酸性条件では溶出され易いが、中性及び塩基性条件では溶出され難い特徴がある。さらに、製造、溶出などの過程でアリピプラゾールが凝集して含量不均一性をもたらすか、又は保管中に溶出率が低下する問題点がある。これを改善するため、一般に界面活性剤類の溶解補助剤を使用する。しかし、このような界面活性剤を含む組成物を口腔内崩壊錠剤として製造する場合、味などが非常に悪くてマウスフィール(mouth feel)が低下し、長期間服用の際、毒性の恐れがあるため、結果的に使用が困難である。
【0005】
したがって、アリピプラゾールの溶出低下、凝集性などの問題点を改善するとともに、口腔内崩壊錠剤などを製造するとき、味、異物感などのマウスフィールを改善することができる方案が切実に求められている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/043844号
【特許文献2】国際公開第2007/113856号
【特許文献3】中国特許出願公開第102670533号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、溶出性に優れ、長期保管時にも溶出安定性が確保され、さらに、味、異物感などのマウスフィールに優れた、アリピプラゾール含有口腔内崩壊錠剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明は、アリピプラゾールを有効成分として含む口腔内崩壊錠剤(以下、「ODT」と略することもある)において、前記錠剤がアリピプラゾール及び親水性高分子の固体分散体(solid dispersion)を含み、前記錠剤が糖アルコールを含むことを特徴とする口腔内崩壊錠剤を提供する。
【0009】
より望ましくは、本発明による口腔内崩壊錠剤において、糖アルコールの一部がアリピプラゾール及び親水性高分子の固体分散体内に含まれている。
【0010】
本発明は、上述したアリピプラゾール口腔内崩壊錠剤における問題点を解決するために多様な方法を研究していたところ、アリピプラゾール、親水性高分子(特に、特定の親水性高分子)及び糖アルコールの3成分固体分散体が上述した問題点の解決に極めて優れているという驚くべき知見に至った。
【0011】
後述するように、固体分散体を製造するとき、糖アルコールを含ませれば、製造した固体分散体顆粒の流動性が著しく改善されて打錠機の充填効率が良くなり、充填偏差が小さくなり製造効率を著しく改善することができる。さらに、流動性の外にも、固体分散体内に糖アルコールが含まれたODTが固体分散体内に糖アルコールが含まれていないODTより口腔内で溶け易く、異物感が格段に減り、個々の錠剤間の初期溶出偏差が小さい。
【0012】
本発明のアリピプラゾールODTは、上記のような技術思想を導入することでアリピプラゾールが有する従来の問題点を改善することができた。結果的に、本発明の口腔内崩壊錠剤は多くの問題点を引き起こし得る界面活性剤を実質的に含まないことが望ましい。
【0013】
本発明において、「実質的に含まない」とは、錠剤の総重量対比約2重量%以下を含むことを意味し、望ましくは約1重量%以下を含むことを意味し、さらに望ましくは0.2重量%以下を含むことを意味し、最も望ましくは全く含まないことを意味する。
【0014】
本発明のアリピプラゾールODTにおいて、糖アルコールとしては、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリトリトール、またはこれらの混合物を使用することができ、本発明の多くの目的上、マンニトールが特に望ましい。例えば、ソルビトール及びマルチトールを使用した場合、口腔内崩壊錠剤を打錠するとき、スティッキング(sticking)が発生する恐れがあって量産にあまり適していない。また、ソルビトール及びマルチトールを使用した場合、固体分散体の水分含湿度が高くて安定性が低下する恐れがあり、マルチトールを使用したアリピプラゾール口腔内崩壊錠剤の場合には相対的に崩壊が遅い。
【0015】
本発明による3成分固体分散体の形成において、糖アルコール(特に、マンニトール)の含量は、溶出安定性、流動性などを考慮すれば、アリピプラゾール1重量部対比3重量部未満であることが望ましく、0.1〜2.5重量部であることがより望ましく、0.5〜2重量部であることがさらに望ましい。
【0016】
本発明によるアリピプラゾールODTにおいて、固体分散体を形成するための親水性高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ナトリウム‐カルボキシメチルセルロース(Na‐CMC)、キサンタンガム、ポリメタアクリレート、澱粉、澱粉誘導体(starch derivative)、またはこれらの混合物を使用することができ、これらのうち本発明の多くの目的上、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはこれらの混合物がさらに望ましく、製造過程中の流動性、マウスフィール、溶出率、崩壊時間などの多くの面で、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が最も望ましい。
【0017】
このような固体分散体を形成するための親水性高分子(特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))の粘度は、20℃、2重量%水溶液で、通常の高分子粘度測定機器を用いて測定した場合、2.5〜10cpsであることが望ましく、4〜6cpsであることがより望ましい。固体分散体形成用親水性高分子の粘度が高すぎれば、口腔内崩壊が遅くなって異物感をもたらし、粘度が低すぎれば、溶出率改善効果があまりない恐れがある。
【0018】
また、固体分散体の形成、溶出率の向上、口腔内崩壊時間などの服用感などを総合的に考慮するとき、親水性高分子(特に、HPMC)の含量は、アリピプラゾール1重量部に対して0.3〜0.04重量部であることが望ましく、0.25〜0.04重量部であることがより望ましく、0.16〜0.06重量部であることがさらに望ましい。
【0019】
本発明は、また、本発明によるアリピプラゾールODTにおいて、異物感、溶解性などを総合的に考慮し、製造工程中の流動性などの製造容易性を総合的に考慮すれば、前記固体分散体のd(0.9)は10〜50μmであることが望ましく、10〜30μmであることがより望ましく、10〜25μmであることがさらに望ましい。また、固体分散体のd(0.5)は5〜20μmであることが望ましく、5〜10μmであることがさらに望ましい。
【0020】
本発明によるアリピプラゾールODTは、上述した成分の外に、本発明の目的から逸脱しない範囲内で多様な添加剤を含むことができる。例えば、低置換‐ヒドロキシプロピルセルロース(L‐HPC)、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピル澱粉、微結晶セルロースなどの崩壊剤;マグネシウムステアレート、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、カルシウムステアレート、二酸化ケイ素などの滑沢剤;着香剤;着色剤;抗酸化剤などをさらに含むことができるが、本発明がこのような追加成分の種類によって限定されることはない。
【0021】
ただし、異物感、服用感、溶出率の改善など本発明の目的上、本発明の口腔内崩壊錠剤は、口腔内崩壊錠剤の総重量対比、滑沢剤を除いて不溶性成分を7重量%以下、望ましくは5重量%以下、さらに望ましくは3重量%以下で含む。また、口腔内崩壊錠剤を製造するための本発明の3成分固体分散体は、不溶性成分を実質的に含まないことが望ましい。
【0022】
本発明は、また、(S1)アリピプラゾール、親水性高分子、及び糖アルコール(望ましくは、マンニトール)が含まれた溶液または懸濁液を用意する段階;及び(S2)前記溶液または懸濁液を噴霧乾燥(spray−drying)して固体分散体を製造する段階を含むことを特徴とする、アリピプラゾール含有口腔内崩壊錠剤の製造方法を提供する。より望ましくは、本発明による製造方法は、(S3)製造された固体分散体を糖アルコール(望ましくは、マンニトール)と混合する段階をさらに含み、その後、(S4)このような混合物を打錠する段階を含む。
【0023】
本発明による製造方法において、3成分固体分散体を形成するための糖アルコール(望ましくは、マンニトール)の含量は、溶出安定性、流動性などを考慮すれば、アリピプラゾール1重量部に対して3重量部未満であることが望ましく、0.1〜2.5重量部であることがより望ましく、0.5〜2重量部であることがさらに望ましい。
【0024】
本発明による製造方法において、3成分固体分散体を形成するための親水性高分子(特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))の粘度は、20℃、2重量%水溶液で、通常の高分子粘度測定機器を用いて測定した場合、2.5〜10cpsであることが望ましく、4〜6cpsであることがさらに望ましい。
【0025】
本発明による製造方法において、3成分固体分散体を形成するための親水性高分子(特に、HPMC)の含量は、アリピプラゾール1重量部に対して0.3〜0.04重量部であることが望ましく、0.25〜0.04重量部であることがより望ましく、0.16〜0.06重量部であることがさらに望ましい。
【0026】
本発明による製造方法において、前記噴霧乾燥は本発明が属した分野で通常使用される噴霧乾燥機(spray−dryer)、流動層造粒装置(fluid−bed granulator)などの機器を用いて行うことができるが、本発明の製造方法はこのような特定機器の種類によって限定されない。
【0027】
本発明による3成分固体分散体顆粒の製造には噴霧乾燥方式が望ましい。一般的な湿式顆粒法(wet granulation method)で顆粒を製造すれば、崩壊が遅くなり、異物感によって服用感が低下する問題がある。噴霧乾燥方式による固体分散体の製造方法に比べ、一般的な湿式顆粒の製造方法では、顆粒が大きくなり、大きくなった顆粒は溶解速度に影響を及ぼし、決定的に錠剤の崩壊速度が遅くなると理解されるが、本発明がこのような機序によって限定されることはない。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、吸収及び溶出率に優れ、味、異物感などのマウスフィールが良好なアリピプラゾール含有ODT及びその製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による3成分固体分散体の溶出率改善効果を示したグラフである。
【
図2】本発明による3成分固体分散体において、結合剤として使用された高分子による溶出率の変化を示したグラフである。
【
図3】本発明による3成分固体分散体において、糖アルコールの有無が錠剤の溶出率に及ぼす影響を示した溶出グラフである。
【
図4】本発明による3成分固体分散体において、使用された親水性高分子の粘度が溶出率に及ぼす影響を示した溶出グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の理解に役立つように実施例などを挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が下記実施例によって限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界において平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0031】
<実施例1〜3> 3成分固体分散体の影響評価
表1に示された成分と含量で、次のようにアリピプラゾールが含有された錠剤を製造した。
【0032】
まず、実施例1は次のように製造した。D‐マンニトール72gとHPMC 8gを600gの水に入れて溶解させた。得られた溶液を撹拌機で撹拌しながらL‐HPC 32gとアリピプラゾール24gを加えて懸濁させた。得られた懸濁液を噴霧乾燥器(Mini spray dryer、Buchi 290)を使用して入口温度130〜135℃、出口温度65〜75℃の条件で噴霧−乾燥して固体分散体を得た。固体分散体104g、D‐マンニトール652g、及びマグネシウムステアレート12gを混合した後、単発打錠機(Killian SP300)を用いて錠剤当り100mgの重さに打錠し、アリピプラゾール3mgを含む錠剤を製造した。
【0033】
実施例2は次のように製造した。D‐マンニトール72gを600gの水に入れて溶解させた。得られた溶液を撹拌機で撹拌しながらL‐HPC 32gとアリピプラゾール24gを加えて懸濁させた。得られた懸濁液を用いて実施例1と同様の方法で固体分散体を得た。固体分散体104g、D‐マンニトール652g、及びマグネシウムステアレート12gを混合した後、単発打錠機(Killian SP300)を用いて錠剤当り100mgの重さに打錠し、アリピプラゾール3mgを含む錠剤を製造した。
【0034】
実施例3は次のように製造した。アリピプラゾール24g、L‐HPC 30g、D‐マンニトール684g、及びマグネシウムステアレート12gを混合した後、単発打錠機(Killian SP300)を用いて錠剤当り100mgの重さに打錠し、アリピプラゾール3mgを含む錠剤を製造した。
【0036】
実施例1ないし3の溶出率を評価した。具体的に、溶出媒質としてpH 5.0酢酸ナトリウム緩衝液900mlを使用し、パドル法(75rpm)を用いた。溶出実験の結果を
図1に示した。陽性対照群としては、現在市販中のアリピプラゾール3mgを含むアビリファイ(Abilify
TM)ODTを用いた。
【0037】
図1に示されたように、本発明による3成分でなるアリピプラゾール固体分散体を含む口腔内崩壊錠剤は、非常に速く溶出されることが確認できた。特に、結合剤として使用されて各成分を結び付く役割をする高分子であるHPMCが使用されていないにもかかわらず、実施例2の溶出は非常に遅く、また溶出が速いと知られた直打法によって製造された実施例3の場合にも本発明による3成分固体分散体より溶出が非常に遅かった。
【0038】
<実施例4〜8> 高分子の種類による影響の評価
表2に記載された成分と含量で、次のようにアリピプラゾールが含有された錠剤を製造した。
【0039】
具体的に、D‐マンニトール72g及び結合剤8gを600gの水に入れて溶解させた。得られた溶液を撹拌機で撹拌しながらアリピプラゾール24gを加えて懸濁させた。得られた懸濁液を用いて実施例1と同様の方法で固体分散体を得た。固体分散体104g、クロスポビドン35g、D‐マンニトール205.8g、及びマグネシウムステアレート5.3gを混合した後、単発打錠機(Killian SP300)を用いて錠剤当り350mgの重さに打錠し、アリピプラゾール24mgを含む錠剤を製造した。
【0041】
実施例4ないし8の溶出率を評価した。具体的に、溶出媒質としてpH 5.0酢酸ナトリウム緩衝液900mlを使用し、パドル法(75rpm)を用いた。溶出実験の結果を
図2に示した。
【0042】
図2に示されたように、本発明による3成分でなるアリピプラゾール固体分散体を含む口腔内崩壊錠剤において、固体分散体を形成するための高分子としてHPCとHPMCは望ましい一方、PVPの場合は、満足できない溶出結果を示した。
【0043】
実施例4ないし8で製造された固体分散体の粒径を測定し、その結果を下記表3に示した。粒径測定のためにHelos(レーザー回折)機器を用いた。表3において、d(0.1)は粒子の10%が該当粒径以下の粒度分布を有することを意味し、d(0.5)は粒子の50%が該当粒径以下の粒度分布を有することを意味し、d(0.9)は粒子の90%が該当粒径以下の粒度分布を有することを意味する。
【0045】
表3に示されたように、固体分散体を形成するために使用した高分子の種類によって、生成される固体分散体粒子の大きさが異なり、これはODTの重要な物性である異物感の程度にも大きい影響を及ぼした。
【0046】
本発明によるODTにおいて、異物感、溶解性などを総合的に考慮し、製造工程中の流動性などの製造容易性を総合的に考慮すれば、固体分散体のd(0.9)は10〜50μmであることが望ましく、10〜30μmであることがより望ましく、10〜25μmであることがさらに望ましい。また、固体分散体のd(0.5)は5〜20μmであることが望ましく、5〜10μmであることがさらに望ましい。
【0047】
<実施例9〜10> 固体分散体内のマンニトール有無による評価
表4に示された成分と含量で、実施例1と同一または類似の方法を用いてアリピプラゾールが含有された口腔内崩壊錠剤を製造した。
【0049】
実施例9及び10で製造した後混合物の打錠前の顆粒を用いて流動性(flowability)を測定した。流動性の評価では、粉末の流動性を測定するための一方法として、漏斗を通過した粉末が積もった斜面の角度である安息角を測定した。粉末の粒子が大きいほど、より角張ったものであるほど、安息角は大きくなる。安息角が大きければ、流動性が悪く、安息角が小さければ、流動性が良いと言える。その結果を下記表5に示した。
【0051】
表5に示されたように、固体分散体の製造時に糖アルコールであるマンニトールを含ませた実施例10の流動性が実施例9より格段に優れ、このことから固体分散体内に糖アルコールを含ませれば、ODT打錠などにおいて充填効率が良くなり、充填偏差が小さくなるため、製造効率が著しく改善されることが分かる。
【0052】
また、前記流動性の外にも、固体分散体内に糖アルコールが含まれたODTが、固体分散体内に糖アルコールが含まれていないODTより、口腔内でさらによく溶け、異物感がかなり減った。
【0053】
実施例9及び10の溶出結果を
図3に示した。
図3に示されたように、アリピプラゾール固体分散体内に糖アルコールを含ませることで、打錠時の固体分散体の充填偏差が小さく個別溶出率の偏差が小さいことが確認できる。
【0054】
<実施例11〜15> 固体分散体内のマンニトールの含量変化による評価
表6に示された成分と含量で、実施例1と同一または類似の方法を用いてアリピプラゾールが含有された口腔内崩壊錠剤を製造した。
【0056】
実施例11ないし15の溶出安定性を次のように評価し、その結果を下記表7に示した。具体的には、上記のように錠剤を製造して気密性に優れる包装基材であるAlu−Aluに包装し、60℃/80%RHの条件で2週間保管した。安定性試験前後のサンプルを、溶出媒質としてpH 5.0酢酸ナトリウム緩衝液900mlを使用してパドル法(75rpm)で溶出評価した。
【0058】
表7に示されたように、アリピプラゾール1重量部対比マンニトールの含量が3重量部以上である場合、ODTの溶出安定性を確保することができなかった。したがって、アリピプラゾール1重量部対比マンニトールの含量は3重量部未満であることが望ましく、0.1〜2.5重量部であることがより望ましく、0.5〜2重量部であることがさらに望ましい。
【0059】
<実施例16〜19> 固体分散体内のHPMCの粘度変化による評価
表8に示された成分と含量で、実施例1と同一または類似の方法を用いてアリピプラゾールが含有された口腔内崩壊錠剤を製造した。
【0061】
実施例16ないし19で製造された口腔内崩壊錠剤の口腔内崩壊時間(秒)を測定して下記表9に示した。
【0063】
表8に示されたように、アリピプラゾールの固体分散体を形成するための親水性高分子の粘度が6cpsを超過する場合、口腔内における崩壊が遅すぎて、結果的に服用時多くの異物感をもたらす問題があった。
【0064】
実施例16〜18の溶出結果を
図4に示した。溶出実験は実施例9と同様の方法で実施した。
図4に示されたように、固体分散体を形成するために使用されたHPMCの粘度が3cps未満の場合には、溶出率改善効果が低くなった。
【0065】
したがって、本発明による口腔内崩壊錠剤において、固体分散体を形成するための親水性高分子(特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))の粘度は、20℃、2重量%水溶液で、通常の高分子粘度測定機器を用いて測定した場合、2.5〜10cpsであることが望ましく、4〜6cpsであることがさらに望ましい。
【0066】
<実施例20〜23> 固体分散体内のHPMCの含量変化による評価
表10に示された成分と含量で、実施例1と同一または類似の方法を用いてアリピプラゾールが含有された口腔内崩壊錠剤を製造した。
【0068】
実施例20ないし23で製造された口腔内崩壊錠剤の口腔内崩壊時間(秒)及び錠剤硬度を測定し、下記表11に示した。
【0070】
表11に示されたように、アリピプラゾールの固体分散体を形成するための親水性高分子の含量が、アリピプラゾール1重量部に対して0.3重量部を超過する場合は、口腔内における崩壊が遅すぎて、結果的に服用時多くの異物感をもたらす問題があった。参照として、本発明者が官能実験を繰り返して評価した結果、アリピプラゾール口腔内崩壊錠剤の口腔内崩壊時間が1分以内であることが、口腔崩壊物性に適すると判断された。
【0071】
したがって、固体分散体の形成、溶出率の向上、適切な錠剤の硬度確保、口腔内異物感などの服用感などを総合的に考慮したとき、親水性高分子(特に、HPMC)の含量は、アリピプラゾール1重量部に対して0.3〜0.04重量部であることが望ましく、0.25〜0.04重量部であることがより望ましく、0.16〜0.06重量部であることがさらに望ましい。
【0072】
<実施例24〜27> 糖アルコールの種類による影響の評価
表12に示された成分と含量で、実施例1と同一または類似の方法を用いてアリピプラゾールが含有された口腔内崩壊錠剤を製造した。
【0074】
実施例24ないし27で製造された固体分散体顆粒の乾燥減量(Loss on Drying、ハロゲン水分計(Metter/Toledo)使用、105℃で10分後重さの変化がなくなるまで)、顆粒の粒度(d(0.9)、HELOS機器使用)、口腔内崩壊錠剤の口腔内崩壊時間(秒)、及び錠剤硬度を測定し、下記表13に示した。
【0076】
表13に示されたように、ソルビトールとマルチトールを使用した固体分散体は、L.O.Dが高くて打錠時スティッキングの恐れが多かった。一方、ソルビトールを用いた固体分散体顆粒の場合は、粒度が大きくて凝集物を形成し、それにより後混合過程における混合度が低下し、服用時に異物感などを引き起こして服用感が良くなかった。また、マルチトールを用いたアリピプラゾール口腔内崩壊錠剤の場合には崩壊が遅かった。
【0077】
一方、糖アルコールの代りに通常使用される不溶性の充填剤である微結晶セルロースを使用した実施例27の場合、L.O.Dが高くて固体分散体顆粒の粒度も非常に大きく、口腔内崩壊時間も非常に長かった。しかも、不溶性の微結晶セルロースを使用した口腔内崩壊錠剤は、官能評価時、明らかな異物感が感じられて被験者から非常に良くない評価を受けた。結果的に、本発明の口腔内崩壊錠剤は、口腔内崩壊錠剤の総重量対比不溶性成分を7重量%以下、望ましくは5重量%以下、より望ましくは3重量%以下で含む。また、口腔内崩壊錠剤を製造するための本発明の3成分固体分散体は、不溶性成分を実質的に含まないことが望ましい。